(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸発ガス熱交換器、前記冷媒熱交換器と前記第1減圧装置を通過して、一部が再液化された液化ガスと、気体状態で残っている蒸発ガスとを分離する気液分離器をさらに備え、
前記気液分離器によって分離された液化ガスは、前記貯蔵タンクに送られ、
前記気液分離器によって分離された蒸発ガスは、前記蒸発ガス熱交換器に送られることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
前記予備圧縮機によって圧縮され前記冷媒熱交換器と前記冷媒減圧装置を通過した後、前記冷媒熱交換器の冷媒として使用された前記第2流体は、再び前記予備圧縮機に送られて、
前記予備圧縮機、前記冷媒熱交換器、前記冷媒減圧装置、再び前記冷媒熱交換器を連結する閉ループの冷媒サイクルを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の船舶。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好適な実施例の構成と作用を詳細に説明する。本発明の船舶は、天然ガスを燃料として使用するエンジンを搭載した船舶と液化ガス貯蔵タンクを備えた船舶などに多様な応用と適用が可能である。また、下記実施例は、様々な形態として変形が可能であり、本発明の範囲は下記の実施例に限定されない。
【0036】
後述する本発明の蒸発ガス処理システムは、低温液体貨物または液化ガスを貯蔵することができる貯蔵タンクが設置された全種類の船舶と海上構造物、すなわち、液化天然ガス運搬船、液化エタンガス(Liquefied Ethane Gas)運搬船、LNG−RVなどの船舶をはじめ、LNG−FPSO、LNG−FSRUなどの海上構造物に適用することができる。ただし、後述の実施例では、説明のため、代表的な低温液体貨物の液化天然ガスを例に挙げて説明する。
【0037】
また、本発明の各ラインにおいての流体は、システムの運用条件に応じて、液体状態、気液混合状態、気体状態、超臨界流体の状態のいずれかの状態であり得る。
【0038】
図1は、従来の部分再液化システムを概略的に示した構成図である。
【0039】
図1を参照すると、従来の部分再液化システムで、液体貨物を貯蔵する貯蔵タンクで発生して排出される蒸発ガスは、配管に沿って移送されて蒸発ガス圧縮部(10)で圧縮される。
【0040】
貯蔵タンク(T)は、液化天然ガスなどの液化ガスを極低温状態で貯蔵できるように密封障壁および断熱障壁を備えているが、外部から伝達される熱を完全に遮断することはできなく、タンク内では液化ガスの蒸発が継続で行われ、タンク内圧が上昇し得るが、このような蒸発ガスによるタンク圧力の過度な上昇を防ぎ、適正なレベルの耐圧を維持するために貯蔵タンク内の蒸発ガスを排出させ、蒸発ガス圧縮部(10)に供給する。
【0041】
貯蔵タンクから排出されて蒸発ガス圧縮部(10)で圧縮された蒸発ガスを第1ストリームと称し、圧縮された蒸発ガスの第1ストリームを第2ストリームと第3ストリームに分け、第2ストリームは液化させて貯蔵タンク(T)に復帰させるように構成し、第3ストリームは船内の推進用エンジンや発電用エンジンなどのガス燃料消費先に供給するように構成することができる。この場合、蒸発ガス圧縮部(10)は燃料消費先の供給圧力まで蒸発ガスを圧縮することができ、第2のストリームは必要に応じて蒸発ガス圧縮部の全部または一部を経て分岐させることができる。燃料消費先の燃料必要量に応じて、第3のストリームに圧縮された蒸発ガスの全部を供給することもでき、第2ストリームに全量を供給して圧縮された蒸発ガスの全部を貯蔵タンクに復帰させることもできる。ガス燃料消費先は、高圧ガス噴射エンジン(例えば、MDT社が開発したME−GIエンジンなど)と低圧ガス噴射エンジン(例えば、Wartsila社のX−DFエンジン(Generation X−Dual Fuel engine)など)をはじめ、DF−Generator、ガスタービン、DFDEなどを例に挙げることができる。
【0042】
この際、圧縮された蒸発ガスの第2ストリームを液化させることができるように、熱交換器(20)を設置し、貯蔵タンクから発生する蒸発ガスを圧縮された蒸発ガスの冷熱供給源として利用する。熱交換器(20)を経て蒸発ガス圧縮部の圧縮過程での温度が上昇した圧縮された蒸発ガス、すなわち第2ストリームは冷却され、貯蔵タンクで発生して熱交換器(20)に導入された蒸発ガスは、加熱されて蒸発ガス圧縮部(10)に供給される。
【0043】
圧縮前の蒸発ガスの流量が第2ストリームの流量より多いため、圧縮された蒸発ガスの第2ストリームは、圧縮前の蒸発ガスから冷熱の供給を受け、少なくとも一部が液化することができる。このように熱交換器では、貯蔵タンクから排出された直後の低温蒸発ガスと蒸発ガス圧縮部で圧縮された高圧状態の蒸発ガスを熱交換させて高圧蒸発ガスを液化させる。
【0044】
熱交換器(20)を経た第2ストリームの蒸発ガスは、膨張バルブや膨張機などの膨張手段(30)を通過しながら減圧されながらさらに冷却され、気液分離器(40)に供給される。液化された蒸発ガスは、気液分離器で気体成分と液体成分に分離され、液体成分、すなわち、液化天然ガスは、貯蔵タンクに復帰し、気体成分、すなわち、蒸発ガスは、貯蔵タンクから排出されて熱交換器(20)と蒸発ガス圧縮部(10)に供給される蒸発ガスの流れに合流したり、再び熱交換器(20)に供給され、蒸発ガス圧縮部(10)で圧縮された高圧状態の蒸発ガスを熱交換させる冷熱源として活用されることもできる。もちろん、ガス燃焼装置(Gas Combustion Unit;GCU)などに送られて燃焼させたり、ガス消費先(ガスエンジンを含む)に送られて消耗させることもできる。蒸発ガスの流れに合流する前、気液分離器で分離された気体をさらに減圧させるために、更に他の膨張手段(50)が設置され得る。
【0045】
図2は、本発明の第1実施例に係る船舶の蒸発ガス処理システムを概略的に示した構成図である。
【0046】
図2を参照すると、本実施例のシステムは、貯蔵タンクに貯蔵された低温液体貨物から発生する蒸発ガス(Boil Off Gas)の供給を受け、蒸発ガスを冷媒として循環させる冷媒循環部(300a)を構成したことを特徴とする。
【0047】
このため、貯蔵タンクから冷媒循環部(300a)に蒸発ガスを供給する冷媒供給ライン(CSLa)が備えられ、冷媒供給ラインにはバルブ(400a)が設けられ、冷媒循環部を循環できる十分な量の蒸発ガスが供給されると、冷媒供給ライン(CSLa)を遮断し、冷媒循環部(300a)は、閉ループ(closed loop)で運用される。
【0048】
前述した基本的な実施例と同様に、第1拡張実施例においても、貯蔵タンク(T)の低温液体貨物から発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機(100a)が設けられる。貯蔵タンクで発生した蒸発ガスは蒸発ガス供給ライン(BLa)に沿って圧縮機(100a)に導入される。
【0049】
本実施例の貯蔵タンク(T)は、液体貨物の荷重が断熱層に直接加わらない独立型(Independent Type)タンクまたは貨物の荷重が断熱層に直接加わるメンブレイン型(Membrane Type)タンクであり得る。独立型タンクの場合は、2barg以上の圧力に耐えるように設計された圧力容器で使用することも可能である。
【0050】
一方、本実施例では、蒸発ガスの再液化のためのラインだけを図示したが、圧縮機で圧縮された蒸発ガスは、船舶又は海上構造物の推進用エンジンおよび発電用エンジンなどの燃料需要先に燃料として供給されることができ、燃料消費量が蒸発ガスの全量を消費することができるときには、再液化された蒸発ガスがないこともある。船舶が停泊しているなど、ガス燃料の消費量が少ない場合には、蒸発ガスの全量を蒸発ガス再液化ライン(RLa)に供給することもできる。
【0051】
圧縮された蒸発ガスは蒸発ガス再液化ライン(RLa)に沿って蒸発ガス熱交換器(200a)に供給されるが、蒸発ガス熱交換器(200a)は蒸発ガス再液化ライン(RLa)と蒸発ガス供給ライン(BLa)にわたって設けられ、圧縮機(100a)に導入される蒸発ガスと圧縮機の少なくとも一部を経て圧縮された蒸発ガスを熱交換させる。圧縮過程で温度が高くなった蒸発ガスは、貯蔵タンクから発生して圧縮機(100a)に導入される低温蒸発ガスと熱交換によって冷却される。
【0052】
蒸発ガス熱交換器(200a)の下流には、冷媒熱交換器(500a)が設けられ、圧縮後に蒸発ガス熱交換器で熱交換された蒸発ガスは、冷媒循環部(300a)を循環する蒸発ガスと熱交換によってさらに冷却される。
【0053】
冷媒循環部(300a)は、貯蔵タンクから供給される蒸発ガスを圧縮する冷媒圧縮機(310a)と、冷媒圧縮機で圧縮された蒸発ガスを冷却する冷却器(320a)と、冷却器で冷却された蒸発ガスを減圧させて追加冷却する冷媒減圧装置(330a)とを備える。冷媒減圧装置(330a)は、蒸発ガスを断熱膨張させて冷却する膨張バルブまたは膨張機であり得る。
【0054】
冷媒減圧装置(330a)を経て冷却された蒸発ガスは、冷媒循環ライン(CCLa)に沿って冷媒として冷媒熱交換器(500a)に供給され、蒸発ガス熱交換器(200a)を経て供給された蒸発ガスと、冷媒熱交換器(500a)で熱交換によって、蒸発ガスを冷却させることになる。冷媒熱交換器(500a)を経た冷媒循環ライン(CCLa)の蒸発ガスは、冷媒圧縮機(310a)に循環されて、前述した圧縮および冷却過程を経て冷媒循環ラインを循環することになる。
【0055】
一方、冷媒熱交換器(500a)で冷却された蒸発ガス再液化ライン(RLa)の蒸発ガスは、第1減圧装置(600a)を経て減圧される。第1減圧装置(600a)は、ジュール−トムソン(Joule−Thomson)バルブなどの膨張バルブまたは膨張機であり得る。
【0056】
減圧された蒸発ガスは、第1減圧装置(600a)の下流の気液分離器(700a)に供給され、気液分離され、気液分離器(700a)で分離された液体、すなわち液化天然ガスは、貯蔵タンク(T)に供給され、再貯蔵される。
【0057】
気液分離器(700a)で分離された気体、すなわち蒸発ガスは、第2減圧装置(800a)を経てさらに減圧され、貯蔵タンク(T)から蒸発ガス熱交換器(200a)に導入される蒸発ガスの流れに合流されるか、再び蒸発ガス熱交換器(200a)に供給されて圧縮機(100a)で圧縮された高圧状態の蒸発ガスを熱交換させる冷熱源として活用されることもできる。もちろん、ガス燃焼装置(Gas Combustion Unit;GCU)などに送られて燃焼させたり、燃料需要先(ガスエンジンを含む)に送られて消耗させることもできる。
【0058】
図3は、本発明の第2実施例に係る船舶の蒸発ガス処理システムを概略的に示した構成図である。
【0059】
図3を参照すると、本実施例は、冷媒循環部(300b)で、冷却器(320b)から冷媒減圧装置(330b)に導入される蒸発ガスを、冷媒減圧装置(330b)で減圧された蒸発ガスと熱交換によって冷却させた後、冷媒減圧装置(330b)に供給するように構成した。
【0060】
蒸発ガスは冷媒減圧装置(330b)を経て減圧されながら冷却されるため、冷媒減圧装置の下流の蒸発ガスは、冷媒減圧装置の上流の蒸発ガスよりも温度が低く、本実施例では、この点を考慮して、冷媒減圧装置の上流の蒸発ガスを下流の蒸発ガスと熱交換させて冷却した後、減圧装置に導入させる。このため、
図3に示した通り、冷媒熱交換器(500b)に冷媒減圧装置(330b)の上流の蒸発ガスを供給することができる(
図3のA部分)。必要に応じて冷媒減圧装置の上流と下流の蒸発ガスが熱交換できる別の熱交換装置を追加的に設けることもできる。
【0061】
以上で説明した通り、本実施例のシステムは、貯蔵タンクの液体貨物から発生する蒸発ガスを再液化して貯蔵することが可能であるため、液体貨物の輸送率を高めることができる。特に船内ガス消費先の燃料消費量が少ない場合でも、貯蔵タンクの圧力上昇を防ぐために、ガス燃焼装置(Gas Combustion Unit;GCU)などで燃焼させて浪費される貨物の量を減らすか、またはなくすことが可能であるため、エネルギーの浪費を防ぐことができる。
【0062】
また、蒸発ガスを冷媒として循環させ、蒸発ガスの再液化のための冷熱源として活用することで、別の冷媒サイクルを構成しなくても、蒸発ガスを効果的に再液化させることができ、別の冷媒を供給する必要がないため、船内の空間確保に貢献し経済的である。また、冷媒サイクルの冷媒が足りなくなると、貯蔵タンクから補充することができ、円滑な冷媒補充が行われ、冷媒サイクルの効果的運用ができる。
【0063】
前述のように、蒸発ガス自体の冷熱を多段階に利用して蒸発ガスを再液化することができるため、船内の蒸発ガス処理システムの構成を簡素化することができ、複雑な蒸発ガス処理装置の設置と運用費用を低減することができる。
【0064】
図4は、本発明の第3実施例に係る船舶の蒸発ガス処理システムを概略的に示した構成図である。
【0065】
図4を参照すると、本実施例の船舶は、貯蔵タンク(T)の下流に設置される蒸発ガス熱交換器(110);蒸発ガス熱交換器(110)の下流に設置されて、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを圧縮する圧縮機(120)と予備圧縮機(122);圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスの温度を下げる冷却器(130);予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスの温度を下げる予備冷却器(132);圧縮機(120)の上流に設置される第1バルブ(191);冷却器(130)の下流に設置される第2バルブ(192);予備圧縮機(122)の上流に設置される第3バルブ(193);予備冷却器(132)の下流に設置される第4バルブ(194);蒸発ガス熱交換器(110)によって冷却された蒸発ガスをさらに冷却する冷媒熱交換器(140);冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスを膨張させた後、再び冷媒熱交換器(140)に送る冷媒減圧装置(160);冷媒熱交換器(140)によってさらに冷却された蒸発ガスを膨張させる第1減圧装置(150);を備える。
【0066】
貯蔵タンク(T)で自然的に発生して排出された蒸発ガスは、第1供給ライン(L1)に沿って燃料需要先(180)に供給される。蒸発ガス熱交換器(110)は、第1供給ライン(L1)に設置されて貯蔵タンク(T)から排出された直後の蒸発ガスから冷熱を回収する。本実施例の船舶は、燃料需要先(180)の上流に設置されて、燃料需要先(180)に送られる蒸発ガスの流量と開閉を調節する第11バルブ(203)をさらに備えることができる。
【0067】
蒸発ガス熱交換器(110)は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスの供給を受け、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に供給される蒸発ガスを冷却させる冷媒として使用する。復帰ライン(L3)上には蒸発ガスの流量と開閉を調節する第5バルブ(195)が設置され得る。
【0068】
圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスを圧縮する。圧縮機(120)は、第1供給ライン(L1)上に設置され、予備圧縮機(122)は、第2供給ライン(L2)上に設置される。第2供給ライン(L2)は、圧縮機(120)の上流の第1供給ライン(L1)から分岐して圧縮機(120)の下流の第1供給ライン(L1)に連結される。また、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、並列に設置され、同じ性能の圧縮機であり得る。
【0069】
一般的に船舶には、圧縮機(120)と冷却器(130)が故障した場合に備えて、予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)をさらに設置する。従来は、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障していない平常時には、予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)を使用しなかった。
【0070】
すなわち、従来は、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障していない平常時には、予備圧縮機(122)の上流の第3バルブ(193)と、予備冷却器(132)の下流の第4バルブ(194)とを閉じて、蒸発ガスが圧縮機(120)と冷却器(130)を通過して燃料需要先(180)に供給されるように構成し、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障した場合には、予備圧縮機(122)の上流の第3バルブ(193)と予備冷却器(132)の下流の第4バルブ(194)は開いて、圧縮機(120)の上流の第1バルブ(191)と冷却器(130)の下流の第2バルブ(192)を閉じて、蒸発ガスが予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)を通過して燃料需要先(180)に供給されるように構成した。
【0071】
本発明は、従来の船舶に設置されていたにも関わらず使用されなかった予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)を使用して、蒸発ガスの再液化効率と再液化量を高めるためのものであり、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを、一部は燃料需要先(180)に送り、他の一部は冷媒熱交換器(140)で蒸発ガスをさらに冷却する冷媒として用いる。
【0072】
図7は、温度と圧力によるメタンの相変化を概略的に示したグラフである。
図7を参照すると、メタンは約−80℃以上の温度および約55bar以上の圧力条件になると超臨界流体状態になる。すなわち、メタンの場合、約−80℃、55barの状態が臨界点になる。超臨界流体の状態は、液体状態や気体状態と異なる第3の状態である。
【0073】
また、臨界点以上の圧力で臨界点より低い温度になると、一般的な液体の状態とは異なる、高密度の超臨界流体状態と類似した状態になることができ、臨界点以上の圧力と臨界点以下の温度の蒸発ガスの状態を、以下、「高圧液体状態」という。
【0074】
圧縮機(120)または予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスは、圧縮された程度によって、気体状態または超臨界流体状態であり得る。
【0075】
復帰ライン(L3)を介して蒸発ガス熱交換器(110)に送られる蒸発ガスが気体状態である場合には、蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)を通過しながら温度が低くなって、液体と気体の混合状態であることができ、超臨界流体状態である場合には、蒸発ガス熱交換器(110)を通過しながら温度が低くなって、「高圧液体状態」になり得る。
【0076】
蒸発ガス熱交換器(110)によって冷却された蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)を通過しながら温度がより低くなり、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが液体と気体の混合状態ある場合には、蒸発ガスは冷媒熱交換器(140)を通過しながら温度がより低くなって液体の割合がより高い混合状態又は液体状態になり、「高圧液体状態」である場合には、冷媒熱交換器(140)を通過しながら温度がより低くなる。
【0077】
また、冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスが「高圧液体状態」である場合にも、蒸発ガスは第1減圧装置(150)を通過しながら圧力が低くなり、液体の状態又は液体と気体の混合状態になる。
【0078】
蒸発ガスが第1減圧装置(150)によって圧力が同様のレベル(
図7のP)まで低くなっても、温度が高い状態で減圧された場合(
図7のX→X′)より温度が低い状態で減圧された場合(
図7のY→Y′)に液体の割合がより高い混合状態になる。また、温度をもっと下げることが可能であれば、理論的に蒸発ガスを100%再液化することも可能である(
図7のZ→Z′)ことが分かる。したがって、第1減圧装置(150)を通過する前に、冷媒熱交換器(140)によって蒸発ガスをもう一回冷却すると、再液化効率と再液化量が高められる。
【0079】
また、
図4を参照すると、本実施例では、第1実施例及び第2実施例で蒸発ガスをさらに冷却するための冷媒循環部(300a、300b)を閉ループで構成したことに比べて、冷媒サイクルを開ループで構成したことに相違点がある。
【0080】
第1実施例及び第2実施例では、冷媒循環部(300a、300b)を閉ループで構成して、冷媒圧縮機(310a、310b)によって圧縮された蒸発ガスは、冷媒熱交換器(500a、500b)で冷媒として使用されるのみであり、燃料需要先に送られることと再液化過程を経ることは不可能である。
【0081】
一方、本実施例では、冷媒サイクルを開ループで構成して、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスが圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと合流した後、合流された蒸発ガスの一部は燃料需要先(180)に送られ、他の一部は再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用され、残りの一部は復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経ることになる。
【0082】
再循環ライン(L5)は、圧縮機(120)の下流の第1供給ライン(L1)から分岐して圧縮機(120)の上流の第1供給ライン(L1)に連結されるラインである。第1供給ライン(L1)から分岐された蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)に送られる再循環ライン(L5)上には、蒸発ガスの流量と開閉を調節する第6バルブ(196)が設置され得る。
【0083】
冷媒サイクルを開ループで構成された本実施例では、冷媒サイクルを閉ループで構成した第1実施例及び第2実施例に比べて、圧縮機(120)の下流のラインと予備圧縮機(122)の下流のラインが連結されるという点で大きな相違点がある。すなわち、本実施例では、予備圧縮機(122)の下流の第2供給ライン(L2)が圧縮機(120)の下流の第1供給ライン(L1)と連結されて、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスが圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと合流した後、冷媒熱交換器(140)、燃料需要先(180)または蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。本実施例では、圧縮機(120)の下流のラインと予備圧縮機(122)の下流のラインが連結されている他の変形例をすべて含む。
【0084】
したがって、本実施例によれば、船舶の運航速度が増加するなど、燃料需要先(180)における需要量が増加する場合には、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスだけでなく、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスも燃料需要先(180)に送られることができる。
【0085】
しかし、一般的に、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、燃料需要先(180)で要求される量の約1.2倍程度の容量を有するように設計されるため、圧縮機(120)の容量を超えて予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスも燃料需要先(180)に送る必要になることは、ほとんど発生しない。むしろ貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを燃料需要先(180)で全部消費することができず、再液化しなければならない蒸発ガスが増加し、大量の蒸発ガスを再液化させるために大量の冷媒が必要な場合がより頻繁である。
【0086】
本実施例によれば、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスだけでなく、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスも、冷媒熱交換器(140)での熱交換冷媒として使用することができるため、蒸発ガス熱交換器(110)を通過してから復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給される蒸発ガスを、より多くの冷媒を利用してより低い温度まで冷却することができ、全般的な再液化効率と再液化量を増加させることができ、理論的には100%再液化することも可能である。
【0087】
一般的に、船舶に設置される圧縮機(120、122)の容量を決定する場合、燃料需要先(180)に蒸発ガスを供給するために必要な容量と、燃料需要先(180)で全部消費することができず残った蒸発ガスを再液化させるために必要な容量とを考慮するが、本実施例によれば、予備圧縮機(122)を使用して再液化量を増加させることと再液化に必要な容量を減少させることができ、小容量の圧縮機(120、122)を設置することができるようになる。圧縮機の容量が減少されると、装置の設置と運用にかかる費用を低減することができるという長所がある。
【0088】
本実施例では、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障していない平常時にも、第1バルブ(191)及び第2バルブ(192)だけでなく、第3バルブ(193)及び第4バルブ(194)も開いて、圧縮機(120)、冷却器(130)、予備圧縮機(122)および予備冷却器(132)をすべて稼働させ、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障した場合には、再液化効率と再液化量を高めることを放棄し、第1バルブ(191)及び第2バルブ(192)を閉じて、予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)を通過した蒸発ガスのみでシステムを運用する。
【0089】
説明の便宜上、圧縮機(120)と冷却器(130)が主な役割をして、予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)が補助的な役割をすることとして説明したが、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)、冷却器(130)と予備冷却器(132)は、同じ役割を行い、一つの船に同じ役割をする圧縮機と冷却器を複数備えて、いずれかが故障した場合に、他の装備で代替できるという点で、冗長性(Redundancy)の概念を満足する。以下、同様である。
【0090】
したがって、予備圧縮機(122)または予備冷却器(132)が故障した場合にも、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障した場合と同様に、再液化効率と再液化量を高めることは放棄し、第3バルブ(193)及び第4バルブ(194)を閉じて、圧縮機(120)と冷却器(130)を通過した蒸発ガスだけでシステムを運用する。
【0091】
一方、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスの大部分または全部が燃料需要先(180)の燃料として使用されることができるほどの高速で船舶が運航する場合には、再液化する蒸発ガスの量が非常に少ないことになる。したがって、船舶が高速運航する場合には、圧縮機(120)または予備圧縮機(122)のいずれかのみ駆動させることもできる。
【0092】
圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、燃料需要先(180)から要求される圧力で蒸発ガスを圧縮することができ、燃料需要先(180)は、蒸発ガスを燃料として駆動されるエンジン、発電機等であることができる。一例として、燃料需要先(180)が船舶推進用エンジンである場合、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、蒸発ガスを約10〜100barの圧力で圧縮することができる。
【0093】
また、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、燃料需要先(180)がME−GIエンジンである場合、蒸発ガスを約150bar〜400barの圧力で圧縮することができ、燃料需要先(180)がDFDEである場合、蒸発ガスを約6.5barの圧力で圧縮することができ、燃料需要先(180)がX−DFエンジンである場合、蒸発ガスを約16barの圧力で圧縮することができる。
【0094】
燃料需要先(180)は、様々な種類のエンジンが含まれるが、一例として、燃料需要先(180)がX−DFエンジンとDFDEを備える場合、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、X−DFエンジンが要求する圧力まで蒸発ガスを圧縮し、DFDEの上流には減圧装置を設置して、X−DFエンジンが必要とする圧力まで圧縮された蒸発ガスの一部をDFDEが必要とする圧力まで下げてDFDEに供給することもできる。
【0095】
そのほかにも、蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)における再液化効率と再液化量を高めるために、圧縮機(120)または予備圧縮機(122)によって、蒸発ガスの圧力が燃料需要先(180)から要求される圧力を超えるように蒸発ガスを圧縮し、燃料需要先(180)の上流には減圧装置を設置して、燃料需要先(180)が要求する圧力を超えるように圧縮された蒸発ガスの圧力を燃料需要先(180)が必要とする圧力まで下げた後、燃料需要先(180)に供給することもできる。
【0096】
また、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、それぞれ多段圧縮機であり得る。
図4は、1つの圧縮機(120または122)によって蒸発ガスを燃料需要先(180)から要求される圧力まで圧縮することが図示されているが、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)が多段圧縮機である場合、蒸発ガスは複数の圧縮シリンダーによって燃料需要先(180)から要求される圧力まで複数回圧縮され得る。
【0097】
圧縮機(120)と予備圧縮機(122)が多段圧縮機である場合、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)の内部には、複数の圧縮シリンダーが直列に設置されることができ、複数の圧縮シリンダーの下流には、複数の冷却器がそれぞれ設置され得る。
【0098】
本実施例の冷却器(130)は、圧縮機(120)の下流に設置され、圧縮機(120)によって圧縮されて、圧力だけでなく温度も上がった蒸発ガスを冷却する。本実施例の予備冷却器(132)は予備圧縮機(122)の下流に設置され、予備圧縮機(122)によって圧縮されて、圧力だけでなく温度も上がった蒸発ガスを冷却する。冷却器(130)と予備冷却器(132)は、外部から流入した海水、清水や空気との熱交換によって蒸発ガスを冷却することができる。
【0099】
本実施例の冷媒熱交換器(140)は、蒸発ガス熱交換器(110)によって冷却された後、復帰ライン(L3)に沿って、冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガスをさらに冷却し、本実施例の冷媒減圧装置(160)は、冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスを膨張させた後、再び冷媒熱交換器(140)に送る。
【0100】
すなわち、冷媒熱交換器(140)は、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、復帰ライン(L3)に沿って、冷媒熱交換器(140)に供給される蒸発ガスを、冷媒減圧装置(160)によって膨張された蒸発ガスを冷媒として熱交換させて、さらに冷却する。
【0101】
本実施例の冷媒減圧装置(160)は、流体の圧力を下げるための様々な手段であることができ、冷媒減圧装置(160)を通過する直前の流体の状態と通過した直後の流体の状態は、システムの運用条件によって異なることがある。ただし、冷媒減圧装置(160)が膨張機である場合、冷媒減圧装置(160)の物理的な損傷を防止するために、冷媒減圧装置(160)を通過する直前の流体と通過した直後の流体は、気体状態で維持されることが好ましい。以下、同様である。
【0102】
冷媒減圧装置(160)を通過し冷媒熱交換器(140)で熱交換の冷媒として使用される蒸発ガスは、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスが予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスと合流した後、合流した蒸発ガスの一部が再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給され、冷媒熱交換器(140)で冷媒減圧装置(160)を通過した蒸発ガスを冷媒として熱交換されて冷却された後冷媒減圧装置(160)に供給されたものである。
【0103】
また、第1供給ライン(L1)から再循環ライン(L5)に沿って、冷媒熱交換器(140)に供給される蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で先に冷却され、冷媒減圧装置(160)によってさらに冷却された後、再び冷媒熱交換器(140)に送られ、冷媒として使用される。
【0104】
すなわち、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスが予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスと合流し再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給される流れ;と、蒸発ガス熱交換器(110)を通過し復帰ライン(L3)に沿って、冷媒熱交換器(140)に供給される蒸発ガス;は、両方、冷媒減圧装置(160)を通過した蒸発ガスを冷媒にして、熱交換されて冷却される。
【0105】
本実施例の第1減圧装置(150)は、復帰ライン(L3)上に設置され、蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)によって冷却された蒸発ガスを膨張させる。圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスは、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスと合流した後、一部は分岐して、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)、冷媒熱交換器(140)と第1減圧装置(150)を通過し、一部または全部が再液化される。
【0106】
第1減圧装置(150)は、蒸発ガスを膨張させて冷却できるすべての手段を備え、ジュール−トムソン(Joule−Thomson)バルブなどの膨張バルブまたは膨張機であり得る。
【0107】
本実施例の船舶は、第1減圧装置(150)の下流の復帰ライン(L3)上に設置され、第1減圧装置(150)から排出される気液混合物を気体成分と液体成分に分離する気液分離器(170)を備えることができる。
【0108】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合は、第1減圧装置(150)を通過した液体または気液混合状態の蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られる。
【0109】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合、第1減圧装置(150)を通過した蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られ、気体成分と液体成分に分離される。気液分離器(170)によって分離された液体成分は、復帰ライン(L3)に沿って貯蔵タンク(T)に復帰し、気液分離器(170)によって分離された気体成分は、気液分離器(170)から蒸発ガス熱交換器(110)の上流の第1供給ライン(L1)まで延長される気体排出ライン(L4)に沿って、蒸発ガス熱交換器(110)に供給される。
【0110】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合、気液分離器(170)によって分離されて貯蔵タンク(T)に送られる液体の流量を調節する第7バルブ(197);及び気液分離器(170)によって分離されて蒸発ガス熱交換器(110)に送られる気体の流量を調節する第8バルブ(198);をさらに備えることができる。
【0111】
本実施例の第1ないし第8のバルブ及び第11バルブは(191、192、193、194、195、196、197、198、203)は、システム運用状況を人が直接判断して手動で調整することと、事前に設定された値によって開閉されるように自動的に調整することができる。
【0112】
本発明の一実施例に係る蒸発ガス再液化装置の作用を容易に説明するため、蒸発ガスの主要な流れを定義する。貯蔵タンク(T)で発生する蒸発ガスと気液分離器(170)から排出される気体が蒸発ガス熱交換器(110)に供給される流れを第1流れ(100)、蒸発ガス熱交換器(110)から圧縮機(120)または予備圧縮機(122)に供給された後に圧縮機(120)または予備圧縮機(122)から排出されて燃料需要先(180)に供給される流れを第2流れ(102)、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)の下流で第2流れ(102)から分岐し冷媒熱交換器(140)に供給される流れを第3流れ(104)、圧縮機(120)と予備圧縮機(122)の下流で第2流れ(102)から分岐し蒸発ガス熱交換器(110)に供給される流れを第4流れ(106)、蒸発ガス熱交換器(110)から冷媒熱交換器(140)に供給される流れを第5流れ(108)と定義する。第1流れ(100)は、蒸発ガス熱交換器(110)を通過しながら第2流れ(102)になり、第4流れ(106)は蒸発ガス熱交換器(110)を通過しながら第5流れ(108)になる。
【0113】
以下、
図4を参照して、本発明の一実施例に係る蒸発ガス再液化のための装置の作用を説明する。(天然ガスに適すること、X−DFに適すること、X−DFと天然ガスである場合の温度と圧力、(ME−GI+天然ガス)、(DF+天然ガス)、(X−DF+エタン)である場合において重要ポイントにおける温度と圧力)
【0114】
液体状態の液化ガスを貯蔵する貯蔵タンク(T)で生成された気体状態の蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)に供給される。この時、貯蔵タンク(T)で生成された気体状態の蒸発ガスは、システムの動作後、一定時間が経過した後、気液分離器(170)から排出される気体状態の蒸発ガスと合流し第1流れ(100)を形成する。最終的に蒸発ガス熱交換器(110)に供給される蒸発ガスは第1流れ(100)である。
【0115】
蒸発ガス熱交換器(110)は、第1流れ(100)が持っている冷熱を回収し、他の蒸発ガスを冷却する役割を行う。すなわち、蒸発ガス熱交換器(110)は、第1流れ(100)が持っている冷熱を回収し、第2流れ(102)のうち蒸発ガス熱交換器(110)に再供給される流れ、すなわち、第4流れ(106)に回収した冷熱を伝達する。
【0116】
したがって、蒸発ガス熱交換器(110)では第1流れ(100)と第4流れ(106)との熱交換が行われ、第1流れ(100)は加熱され、第4流れ(106)は冷却される。加熱された第1流れ(100)は第2流れ(102)になり、冷却された第4流れ(106)は第5流れ(108)となる。
【0117】
蒸発ガス熱交換器(110)から排出される第2流れ(102)は、圧縮機(120)または予備圧縮機(122)に供給され、圧縮機(120)または予備圧縮機(122)によって圧縮される。
【0118】
圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)で圧縮された蒸発ガスが合流された第2流れ(102)は、一部は第3流れ(104)として冷媒熱交換器(140)に冷媒として供給され、他の一部は、第4流れ(106)として蒸発ガス熱交換器(110)に供給されて冷却され、残りの一部は燃料需要先(180)に供給される。
【0119】
冷媒熱交換器(140)に供給される第3流れ(104)は、冷媒熱交換器(140)から排出されて冷媒減圧装置(160)で膨張された後、再び冷媒熱交換器(140)に供給される。このとき、1次的に冷媒熱交換器(140)に供給された第3流れ(104)は、冷媒減圧装置(160)で膨張された後、再び冷媒熱交換器(140)に供給される第3流れ(104)と熱交換されて冷却される。冷媒減圧装置(160)と冷媒熱交換器(140)を通過した第3流れ(104)は、蒸発ガス熱交換器(110)から排出される第2流れ(102)と合流し、圧縮機(120)または予備圧縮機(122)に供給される。
【0120】
蒸発ガス熱交換器(110)で第1流れ(100)と熱交換して冷却された第4流れ(106)は、第5流れ(108)になって冷媒熱交換器(140)に供給される。冷媒熱交換器(140)に供給された第5流れ(108)は、冷媒減圧装置(160)を通過した第3流れ(104)と熱交換されて冷却された後、第1減圧装置(150)を通過しながら膨張される。第1減圧装置(150)を通過した第5流れ(108)は、気体と液体が混合された気液混合物の状態になる。
【0121】
気液混合物状態の第5流れ(108)は、直ちに貯蔵タンク(T)に送られるか、気液分離器(170)を通過しながら気体成分と液体成分に分離される。気液分離器(170)によって分離された液体成分は、貯蔵タンク(T)に供給され、気液分離器(170)によって分離された気体成分は、再び蒸発ガス熱交換器(110)に供給され、前記過程を繰り返すことになる。
【0122】
図5は、本発明の第4実施例に係る船舶の蒸発ガス処理システムを概略的に示した構成図である。
【0123】
図5に図示された第4実施例の船舶は、
図4に図示された第3実施例の船舶に比べて、第9バルブ(201)、第10バルブ(202)及び第1追加ライン(L6)をさらに備え、蒸発ガスが流れる一部ライン修正し、第1実施例及び第2実施例のように冷媒サイクルを閉ループで運用することと、第3実施例のように冷媒サイクルを開ループで運用することとができるように構成したことに相違点があり、以下では相違点を中心に説明する。前述した第3実施例の船舶と同じ部材については、詳細な説明を省略する。
【0124】
図5を参照すると、本実施例の船舶は、第3実施例と同様に、蒸発ガス熱交換器(110)、第1バルブ(191)、圧縮機(120)、冷却器(130)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第4バルブ(194)、冷媒熱交換器(140)、冷媒減圧装置(160)及び第1減圧装置(150)が備えられている。
【0125】
本実施例の貯蔵タンク(T)は、第3実施例と同様に、内部に液化天然ガス、液化エタンガスなどの液化ガスを貯蔵し、内部圧力が所定圧力以上になると蒸発ガスを外部に排出する。貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0126】
本実施例の蒸発ガス熱交換器(110)は、第3実施例と同様に、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを冷媒として使用し、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスを冷却する。すなわち、蒸発ガス熱交換器(110)は、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスの冷熱を回収して、回収した冷熱を復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスに供給する。復帰ライン(L3)上には蒸発ガスの流量と開閉を調節する第5バルブ(195)が設置され得る。
【0127】
本実施例の圧縮機(120)は、第3実施例と同様に、第1供給ライン(L1)上に設置されて貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを圧縮し、本実施例の予備圧縮機(122)は、第3実施例と同様に、第2供給ライン(L2)上に圧縮機(120)と並列に設置され、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを圧縮する。圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、同じ性能の圧縮機であること、または、それぞれ多段圧縮機であることができる。
【0128】
本実施例の圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、第3実施例と同様に、燃料需要先(180)から要求される圧力まで蒸発ガスを圧縮することができる。また、燃料需要先(180)が複数種類のエンジンを備えた場合には、より高い圧力を必要とするエンジン(以下、「高圧エンジン」という。)の要求圧力に合わせて蒸発ガスを圧縮した後、一部は高圧エンジンに供給し、他の一部は、より低い圧力を必要とするエンジン(以下、「低圧エンジン」という。)の上流に設置された減圧装置によって減圧させて低圧エンジンに供給することができる。そのほかにも、蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)における再液化効率と再液化量を高めるために、蒸発ガスを圧縮機(120)または予備圧縮機(122)によって燃料需要先(180)から要求される圧力以上の高圧で圧縮し、燃料需要先(180)の上流には、減圧装置を設置して、高圧で圧縮された蒸発ガスの圧力を燃料需要先(180)が必要とする圧力まで下げた後、燃料需要先(180)に供給することもできる。
【0129】
本実施例の船舶は、第3実施例と同様に、燃料需要先(180)の上流に設置されて、燃料需要先(180)に送られる蒸発ガスの流量と開閉を調節する第11バルブ(203)をさらに備えることができる。
【0130】
本実施例の船舶は、第3実施例と同様に、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)で蒸発ガスをさらに冷却する冷媒として使用するため、再液化効率と再液化量を高めることができる。
【0131】
本実施例の冷却器(130)は、第3実施例と同様に、圧縮機(120)の下流に設置され、圧縮機(120)を通過して圧力だけでなく温度も上がった蒸発ガスを冷却する。本実施例の予備冷却器(132)は、第3実施例と同様に、予備圧縮機(122)の下流に設置され、予備圧縮機(122)を通過して圧力だけでなく温度も上がった蒸発ガスを冷却する。
【0132】
本実施例の冷媒熱交換器(140)は、第3実施例と同様に、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に供給され、蒸発ガス熱交換器(110)によって冷却された蒸発ガスをさらに冷却する。
【0133】
本実施例によれば、第3実施例と同様に、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスが蒸発ガス熱交換器(110)だけでなく、冷媒熱交換器(140)でさらに冷却され、より低い温度の状態で第1減圧装置(150)に供給されることができるため、再液化効率と再液化量が高くなる。
【0134】
本実施例の冷媒減圧装置(160)は、第3実施例と同様に、冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスを膨張させた後、再び冷媒熱交換器(140)に送る。
【0135】
本実施例の第1減圧装置(150)は、第3実施例と同様に、復帰ライン(L3)上に設置され、蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)によって冷却された蒸発ガスを膨張させる。本実施例の第1減圧装置(150)は、蒸発ガスを膨張させて冷却することができるすべての手段を備え、ジュール−トムソン(Joule−Thomson)バルブなどの膨張バルブまたは膨張機であり得る。
【0136】
本実施例の船舶は、第3実施例と同様に、第1減圧装置(150)の下流の復帰ライン(L3)上に設置され、第1減圧装置(150)から排出される気液混合物を気体成分と液体成分に分離する気液分離器(170)を備えることができる。
【0137】
第3実施例と同様に、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、第1減圧装置(150)を通過した液体状態または気液混合状態の蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、第1減圧装置(150)を通過した蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られ、気体成分と液体成分に分離される。気液分離器(170)によって分離された液体成分は、復帰ライン(L3)に沿って貯蔵タンク(T)に復帰し、気液分離器(170)によって分離された気体成分は、気液分離器(170)から蒸発ガス熱交換器(110)の上流の第1供給ライン(L1)まで延長される気体排出ライン(L4)に沿って、蒸発ガス熱交換器(110)に供給される。
【0138】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合、第3実施例と同様に、気液分離器(170)によって分離されて貯蔵タンク(T)に送られる液体の流量を調節する第7バルブ(197);及び気液分離器(170)によって分離されて蒸発ガス熱交換器(110)に送られる気体の流量を調節する第8バルブ(198);をさらに備えることができる。
【0139】
ただし、本実施例の船舶は、第3実施例とは異なり、再循環ライン(L5)と第2供給ライン(L2)との間を連結する第1追加ライン(L6);再循環ライン(L5)上に設置される第9バルブ(201);及び第1追加ライン(L6)上に設置される第10バルブ(202);をさらに備える。また、本実施例の船舶は、第6バルブを選択的に備えている第3実施例と異なり、第1供給ライン(L1)から分岐された蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)に送られる再循環ライン(L5)上に設置されて蒸発ガスの流量と開閉を調節する第6バルブ(196)を必須的に備える。
【0140】
本実施例の第1追加ライン(L6)の一端は、冷媒減圧装置(160)によって膨張された後、冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスを第1供給ライン(L1)に送る再循環ライン(L5)上に連結され、他端は第3バルブ(193)と予備圧縮機(122)との間の第2の供給ライン(L2)上に連結される。
【0141】
本実施例の第9バルブ(201)は、再循環ライン(L5)が圧縮機(120)と予備圧縮機(122)の上流の第1供給ライン(L1)と接する地点と、再循環ライン(L5)が第1追加ライン(L6)と接する地点との間の再循環ライン(L5)上に設置される。
【0142】
また、本実施例の船舶は、第3実施例と異なり、予備圧縮機(122)の下流側の第2供給ライン(L2)が、第1供給ライン(L1)ではなく、再循環ライン(L5)と連結される。
【0143】
本実施例の第1ないし第11バルブ(191、192、193、194、195、196、197、198、201、202、203)は、システム運用状況を人が直接判断して、手動で調整することと、予め設定された値によって開閉されるように自動的に調整することとができる。
【0144】
本実施例の船舶における第3実施例と異なる特徴は、冷媒サイクルを開ループだけでなく、閉ループでも運用できるようにし、船舶の運航条件に応じて、再液化システムをより柔軟に使用することが可能であり、以下、バルブ制御を介して、冷媒サイクルを閉ループで運用する方法および開ループで運用する方法を説明する。
【0145】
本実施例における船舶の冷媒サイクルを閉ループで運用するために、まず、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、第4バルブ(194)及び第10バルブ(202)は開いて、第6バルブ(196)及び第9バルブ(201)は閉じた状態で、システムを駆動させる。
【0146】
貯蔵タンク(T)から排出されて予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスが再循環ライン(L5)に供給されると、第3バルブ(193)を閉じて、蒸発ガスが予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第4バルブ(194)、冷媒熱交換器(140)、冷媒減圧装置(160)、再び冷媒熱交換器(140)及び第10バルブ(202)を循環する閉ループの冷媒サイクルを形成する。
【0147】
冷媒サイクルを閉ループで構成する場合には、窒素ガスが閉ループを循環する冷媒として使用され得る。この場合、本実施例の貯蔵タンクは、窒素ガスを閉ループの冷媒サイクル内に導入させる配管をさらに備えることができる。
【0148】
冷媒サイクルが閉ループで運用される場合、閉ループを循環する蒸発ガスのみが冷媒熱交換器(140)における冷媒として使用され、圧縮機(120)を通過した蒸発ガスは、冷媒サイクルに導入されず、燃料需要先(180)に供給されるか、復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経ることになる。したがって、再液化量や燃料需要先(180)から要求される蒸発ガス量に関係なく一定流量の蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)の冷媒として循環する。
【0149】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが閉ループで運用される場合において、蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0150】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、圧縮機(120)によって圧縮され冷却器(130)によって冷却された後、一部は燃料需要先(180)に送られ、残りの一部は復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスと熱交換されて冷却された後、冷媒熱交換器(140)で熱交換されてさらに冷却される。
【0151】
蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)によって冷却された蒸発ガスは、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部が再液化された蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部が再液化された蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流し蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は、貯蔵タンク(T)に送られる。
【0152】
一方、冷媒サイクルを循環する蒸発ガスは、予備圧縮機(122)によって圧縮され、予備冷却器(132)によって冷却された後、再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に送られる。予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)を通過してから冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で1次的に熱交換されて冷却された後、冷媒減圧装置(160)に送られ、2次的に膨張されて冷却される。冷媒減圧装置(160)を通過した蒸発ガスは、再び冷媒熱交換器(140)に送られ、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;及び予備圧縮機(122)によって圧縮された後、再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;を冷却する冷媒として用いられる。冷媒減圧装置(160)を通過した後、冷媒熱交換器(140)における冷媒として使用された蒸発ガスは、再び予備圧縮機(122)に送られ、上述した一連の過程を繰り返す。
【0153】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが閉ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障すると、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)及び第10バルブ(202)は閉じ、第3バルブ(193)及び第6バルブ(196)は開いて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第4バルブ(194)及び第6バルブ(196)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを、冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用する必要がある場合には、第9バルブ(201)を開いてシステムを運用することもできる。
【0154】
本実施例における船舶の冷媒サイクルを開ループに運用するために、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、第4バルブ(194)、第6バルブ(196)と第9バルブ(201)は開いて、第10バルブ(202)は閉じる。
【0155】
冷媒サイクルを閉ループで運用すると、冷媒サイクルを循環する蒸発ガスと、燃料需要先(180)に送信されるか復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経る蒸発ガスとが分離される。一方、冷媒サイクルを開ループで運用すると、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスとが合流し、冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用されたり、燃料需要先(180)に送られたり、復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経ることになる。
【0156】
したがって、冷媒サイクルを開ループで運用すると、再液化量と燃料需要先(180)からの蒸発ガス要求量を考慮して、冷媒熱交換器(140)に送る冷媒の流量を流動的に調節することができる。特に、燃料需要先(180)からの蒸発ガス需要量が少ない場合、冷媒熱交換器(140)に送る冷媒の流量を増加させると、再液化効率と再液化量を高めることができる。
【0157】
すなわち、冷媒サイクルが閉ループで運用される場合には、予備圧縮機(122)の容量以上の蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)に供給することは不可能であるが、冷媒サイクルが開ループで運用される場合には、予備圧縮機(122)の容量を超える流量の蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)に供給することができる。
【0158】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが開ループで運用される場合において、蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0159】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、二つの流れに分岐して、一部は第1供給ライン(L1)に送られ、残りの一部は第2供給ライン(L2)に送られる。
【0160】
第1供給ライン(L1)に送られた蒸発ガスは、第1バルブ(191)、圧縮機(120)、冷却器(130)と第2バルブ(192)を通過した後、一部は第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られ、他の一部は再び二つの流れに分岐する。二つの流れに分岐した蒸発ガスの一方は燃料需要先(180)に送られ、他方は復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0161】
第2供給ライン(L2)に送られた蒸発ガスは、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)と第4バルブ(194)を通過した後、一部は冷媒熱交換器(140)に送られ、他の一部は第1供給ライン(L1)に送られた後、二つの流れに分岐する。二つの流れに分岐した蒸発ガスの一方は燃料需要先(180)に送られ、他方の流れは復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0162】
説明の便宜上、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを分けて説明したが、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスは、それぞれ分離されて流れるのではなく、合流して冷媒熱交換器(140)、燃料需要先(180)または蒸発ガス熱交換器(110)に供給される。すなわち、冷媒熱交換器(140)に蒸発ガスを送る再循環ライン(L5)、燃料需要先(180)に蒸発ガスを送る第1供給ライン(L1)、蒸発ガス熱交換器(110)に蒸発ガスを送る復帰ライン(L3)には、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスが混合されて流れる。
【0163】
再循環ライン(L5)に沿って、冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で1次的に熱交換されて冷却され、冷媒減圧装置(160)によって2次的に膨張されて冷却された後、再び冷媒熱交換器(140)に供給される。冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)を通過し復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガスと、再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給され圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスが合流された流れを、両方を冷却する冷媒として使用される。
【0164】
すなわち、冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用される蒸発ガスは、再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された後、冷媒熱交換器(140)で1次冷却され、冷媒減圧装置(160)によって2次冷却された蒸発ガスである。また、圧縮機(120)または予備圧縮機(122)から再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒減圧装置(160)を通過した蒸発ガスを冷媒として1次冷却される。
【0165】
冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された蒸発ガスは、第9バルブ(201)を通過して第1供給ライン(L1)に送られ、貯蔵タンク(T)から排出された後、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスと合流し、上述した一連の過程を繰り返す。
【0166】
復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)で1次冷却され、冷媒熱交換器(140)で2次冷却された後、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。
【0167】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流して蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は貯蔵タンク(T)に送られる。
【0168】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが開ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障すると、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)及び第9バルブ(201)を閉じて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第4バルブ(194)及び第6バルブ(196)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを、冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用する必要がある場合には、第9バルブ(201)を開いてシステムを運用することもできる。
【0169】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが開ループで運用されて、貯蔵タンク(T)に貯蔵された液化ガスが液化天然ガスであり、燃料需要先(180)がX−DFエンジンであり、気液分離器(170)を備えた場合、各地点における流体の温度と圧力を例に挙げて説明すると、次の通りである。
【0170】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスと気液分離器(170)によって分離された蒸発ガスが合流して蒸発ガス熱交換器(110)に供給されるA地点における蒸発ガスは、約−120℃、1.060baraであり、約−120℃、1.060baraの蒸発ガスが、約43℃、20baraの蒸発ガスと蒸発ガス熱交換器(110)で熱交換された後のB地点における蒸発ガスは、約3℃、0.96baraであり得る。
【0171】
また、約3℃、0.96baraの蒸発ガスが、冷媒減圧装置(160)を通過した後、冷媒熱交換器(140)を通過した約20℃、0.96baraの蒸発ガスと合流した後のC地点における蒸発ガスは、約15℃、0.96baraであり得る。
【0172】
約15℃、0.96baraの蒸発ガスは二つに分岐されて、一方の流れは圧縮機(120)によって圧縮された後、冷却器(130)によって冷却され、他方の流れは予備圧縮機(122)によって圧縮された後、予備冷却器(132)によって冷却され、圧縮機(120)及び冷却器(130)を通過した流れと予備圧縮機(122)及び予備冷却器(132)を通過した流れとが合流した流れであるD地点における蒸発ガスとH地点における蒸発ガスは、約43℃、20baraであり得る。
【0173】
約43℃、20baraの蒸発ガスが、約−120℃、1.060baraの蒸発ガスと蒸発ガス熱交換器(110)で熱交換された後のE地点における蒸発ガスは、約−110℃、20baraであり、約−110℃、20baraの蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)で冷却された後のF地点における蒸発ガスは、約−153℃、20baraであり、約−153℃、20baraの蒸発ガスが第1減圧装置(150)によって膨張された後のG地点における蒸発ガスは、−157℃、2.1baraであり得る。
【0174】
一方、約43℃、20baraの蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)によって1次冷却された後のI地点における蒸発ガスは、約−73℃、20baraであり、約−73℃、20baraの蒸発ガスが冷媒減圧装置(160)によって2次冷却された後のJ地点における蒸発ガスは、約−154℃、1.56baraであり、約−154℃、1.56baraの蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された後のK地点における蒸発ガスは、約20℃、0.96baraであり得る。
【0175】
本実施例の船舶は、冷媒サイクルを開ループで運用しながらも、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスは冷媒熱交換器(140)における冷媒でのみ使用し、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスは、燃料需要先(180)に送るか復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経ることで、冷媒熱交換器(140)の冷媒としては使用されないように、予備圧縮機(122)と圧縮機(120)を独立的に運用することもできる。以下、予備圧縮機(122)と圧縮機(120)を独立的に運用する開ループの冷媒サイクルを「独立開ループ」と称する。
【0176】
本実施例における船舶の冷媒サイクルを独立開ループで運用するために、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、第4バルブ(194)及び第9バルブ(201)は開いて、第6バルブ(196)及び第10バルブ(202)は閉じる。冷媒サイクルを独立開ループで運用すると、開ループで運用する際に比べてシステムの運転が容易になるという利点がある。
【0177】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが独立開ループで運用される場合において、蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0178】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、二つの流れに分岐して、一部は第1供給ライン(L1)に送られ、残りの一部は第2供給ライン(L2)に送られる。第1供給ライン(L1)に送られた蒸発ガスは、第1バルブ(191)、圧縮機(120)、冷却器(130)と第2バルブ(192)を通過した後、一部は燃料需要先(180)に送られ、他の一部は復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。第2供給ライン(L2)に送られた蒸発ガスは、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)と第4バルブ(194)を通過した後、再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に送られる。
【0179】
予備圧縮機(122)によって圧縮された後、再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)から1次的に熱交換されて冷却され、冷媒減圧装置(160)によって2次的に膨張して冷却された後、再び冷媒熱交換器(140)に供給され、蒸発ガス熱交換器(110)を通過して復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;及び予備圧縮機(122)によって圧縮され再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;を冷却する冷媒として使用される。
【0180】
冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された蒸発ガスは、第9バルブ(201)を通過して第1供給ライン(L1)に送られ、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスと合流し、上述した一連の過程を繰り返す。
【0181】
圧縮機(120)によって圧縮された後、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)で1次冷却され、冷媒熱交換器(140)で2次冷却された後、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。
【0182】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流して蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は貯蔵タンク(T)に送られる。
【0183】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが独立開ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障すると、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)及び第9バルブ(201)を閉じて、第6バルブ(196)を開いて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第4バルブ(194)及び第6バルブ(196)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用する必要がある場合には、第9バルブ(201)を開いてシステムを運用することもできる。
【0184】
図6は、本発明の第5実施例に係る船舶の蒸発ガス処理システムを概略的に示した構成図である。
【0185】
図6に示された第5実施例の船舶は、
図5に図示された第4実施例の船舶に比べて、第12バルブ(301)、第13バルブ(302)、第14バルブ(303)、第15バルブ(304)、第2追加ライン(L7)、第3追加ライン(L8)、第4追加ライン(L9)及び第5追加ライン(L10)を追加した点で相違点があり、以下において相違点を中心に説明する。前述した第4実施例の船舶と同一部材については、詳細な説明を省略する。
【0186】
図6を参照すれば、本実施例の船舶は、第4実施例と同様に、蒸発ガス熱交換器(110)、第1バルブ(191)、圧縮機(120)、冷却器(130)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第4バルブ(194)、冷媒熱交換器(140)、冷媒減圧装置(160)及び第1減圧装置(150)を備えている。
【0187】
本実施例の貯蔵タンク(T)は、第4実施例と同様に、内部に液化天然ガス、液化エタンガスなどの液化ガスを貯蔵し、内部の圧力が一定圧力以上になると蒸発ガスを外部に排出する。貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0188】
本実施例の蒸発ガス熱交換器(110)は、第4実施例と同様に、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを冷媒として使用して、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスを冷却する。
【0189】
本実施例の圧縮機(120)は、第4実施例と同様に、第1供給ライン(L1)上に設置されて貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを圧縮し、本実施例の予備圧縮機(122)は、第4実施例と同様に、第2供給ライン(L2)上に圧縮機(120)と並列に設置されて貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスを圧縮する。圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、同じ性能の圧縮機であること、またはそれぞれ多段圧縮機であることができる。
【0190】
本実施例の圧縮機(120)と予備圧縮機(122)は、第4実施例と同様に、燃料需要先(180)から要求される圧力まで蒸発ガスを圧縮することができる。また、燃料需要先(180)が複数の種類のエンジンを備える場合には、高圧エンジンの要求圧力に合わせて蒸発ガスを圧縮した後、一部は高圧エンジンに供給し、他の一部は低圧エンジンの上流に設置された減圧装置によって減圧させた後、低圧エンジンに供給することができる。そのほかにも、蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)における再液化効率と再液化量のために、蒸発ガスを圧縮機(120)または予備圧縮機(122)によって燃料需要先(180)が要求する圧力以上の高圧まで圧縮し、燃料需要先(180)の上流には、減圧装置を設置して、高圧で圧縮された蒸発ガスの圧力を燃料需要先(180)が必要とする圧力まで下げた後、燃料需要先(180)に供給することもできる。
【0191】
本実施例の船舶は、第4実施例と同様に、燃料需要先(180)の上流に設置されて、燃料需要先(180)に送られる蒸発ガスの流量と開閉を調節する第11バルブ(203)をさらに備えることができる。
【0192】
本実施例の船舶は、第4実施例と同様に、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを、冷媒熱交換器(140)で蒸発ガスをさらに冷却する冷媒として使用するため、再液化効率と再液化量を高めることができる。
【0193】
本実施例の冷却器(130)は、第4実施例と同様に、圧縮機(120)の下流に設置されて、圧縮機(120)を通過して圧力だけでなく温度も上がった蒸発ガスを冷却する。本実施例の予備冷却器(132)は、第4実施例と同様に、予備圧縮機(122)の下流に設置されて、予備圧縮機(122)を通過して圧力だけでなく温度も上がった蒸発ガスを冷却する。
【0194】
本実施例の冷媒熱交換器(140)は、第4実施例と同様に、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に供給され、蒸発ガス熱交換器(110)によって冷却された蒸発ガスをさらに冷却する。
【0195】
本実施例によれば、第4実施例と同様に、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスが、蒸発ガス熱交換器(110)だけでなく、冷媒熱交換器(140)でもさらに冷却されて、より低い温度の状態で第1減圧装置(150)に供給されることができるため、再液化効率と再液化量が高くなる。
【0196】
本実施例の冷媒減圧装置(160)は、第4実施例と同様に、冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスを膨張させた後、再び冷媒熱交換器(140)に送る。
【0197】
本実施例の第1減圧装置(150)は、第4実施例と同様に、復帰ライン(L3)上に設置されて、蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)によって冷却された蒸発ガスを膨張させる。本実施例の第1減圧装置(150)は、蒸発ガスを膨張させ、冷却させることができるすべての手段を備え、ジュール−トムソン(Joule−Thomson)バルブなどの膨張バルブまたは膨張機であり得る。
【0198】
本実施例の船舶は、第4実施例と同様に、第1減圧装置(150)の下流の復帰ライン(L3)上に設置され、第1減圧装置(150)から排出される気液混合物を気体成分と液体成分に分離する気液分離器(170)を備えることができる。
【0199】
第4実施例と同様に、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、第1減圧装置(150)を通過した液体状態または気液混合状態の蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、第1減圧装置(150)を通過した蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られ、気体成分と液体成分に分離される。気液分離器(170)によって分離された液体成分は復帰ライン(L3)に沿って貯蔵タンク(T)に復帰して、気液分離器(170)によって分離された気体成分は気液分離器(170)から蒸発ガス熱交換器(110)の上流の第1供給ライン(L1)まで延長される気体排出ライン(L4)に沿って、蒸発ガス熱交換器(110)に供給される。
【0200】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合、第4実施例と同様に、気液分離器(170)によって分離されて貯蔵タンク(T)に送られる液体の流量を調節する第7バルブ(197);及び気液分離器(170)によって分離されて蒸発ガス熱交換器(110)に送られる気体の流量を調節する第8バルブ(198);をさらに備えることができる。
【0201】
本実施例の船舶は、第4実施例と同様に、再循環ライン(L5)上に設置される第6バルブ(196)、再循環ライン(L5)と第2供給ライン(L2)との間を連結する第1追加ライン(L6);再循環ライン(L5)上に設置される第9バルブ(201);及び第1追加ライン(L6)上に設置される第10バルブ(202);をさらに備える。
【0202】
本実施例の第1追加ライン(L6)は、第4実施例と同様に、一端は、冷媒減圧装置(160)によって膨張されて冷媒熱交換器(140)を通過した蒸発ガスを第1供給ライン(L1)に送る再循環ライン(L5)上に連結され、他端は、第3バルブ(193)と予備圧縮機(122)との間の第2供給ライン(L2)上に連結される。
【0203】
本実施例の第9バルブ(201)は、第4実施例と同様に、再循環ライン(L5)が圧縮機(120)と予備圧縮機(122)の上流の第1供給ライン(L1)と接する地点と、再循環ライン(L5)が第1追加ライン(L6)と接する地点との間の再循環ライン(L5)上に設置される。
【0204】
ただし、本実施例の船舶は、第4実施例とは異なり、予備圧縮機(122)の下流側の第2の供給ライン(L2)が第1供給ライン(L1)と連結され、冷媒熱交換器(140)の上流側の再循環ライン(L5)が第2供給ライン(L2)に連結される。
【0205】
また、本実施例の船舶は、第4実施例とは異なり、第10バルブ(202)の上流の第1追加ライン(L6)と、第1バルブ(191)と圧縮機(120)との間の第1供給ライン(L1)を連結する第2追加ライン(L7);予備冷却器(132)と第4バルブ(194)との間の第2の供給ライン(L2)と、冷却器(130)と第2バルブ(192)との間の第1供給ライン(L1)を連結する第3追加ライン(L8);冷却器(130)と第2バルブ(192)との間の第1供給ライン(L1)と、第6バルブ(196)の下流の再循環ライン(L5)を連結する第4追加ライン(L9);及び予備冷却器(132)と第4バルブ(194)との間の第2の供給ライン(L2)と、復帰ライン(L3)の第5バルブ(195)の下流に連結する第5追加ライン(L10);をさらに備える。
【0206】
そのほかにも、本実施例の船舶は、復帰ライン(L3)上に設置される第5バルブ(195);第2追加ライン(L7)上に設置される第12バルブ(301)、第3追加ライン(L8)上に設置される第13バルブ(302)、第4追加ライン(L9)上に設置される第14バルブ(303)及び第5追加ライン(L10)上に設置される第15バルブ(304)をさらに備える。
【0207】
本実施例の第1ないし第15バルブ(191、192、193、194、195、196、197、198、201、202、203、301、302、303、304)は、システム運用状況を人が直接判断して手動で調整することと、事前に設定された値によって開閉されるように自動的に調整することもできる。
【0208】
本実施例における船舶の冷媒サイクルは、第4実施例と同様に、閉ループ、開ループまたは独立開ループで運用することができる。以下、バルブ制御を介して、冷媒サイクルを閉ループ、開ループまたは独立開ループで運用する方法を説明する。
【0209】
本実施例における船舶の冷媒サイクルを閉ループで運用するためには、まず、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)及び第10バルブ(202)は開いて、第4バルブ(194)、第9バルブ(201)、第12バルブ(301)、第13バルブ(302)、第14バルブ(303)及び第15バルブ(304)は閉じた状態でシステムを駆動させる。
【0210】
貯蔵タンク(T)から排出されて予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスが再循環ライン(L5)に供給されると、第3バルブ(193)を閉じて、蒸発ガスが予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第6バルブ(196)、冷媒熱交換器(140)、冷媒減圧装置(160)、再び冷媒熱交換器(140)及び第10バルブ(202)を循環する閉ループの冷媒サイクルを形成させる。
【0211】
冷媒サイクルを閉ループで構成する場合は、第4実施例と同様に、窒素ガスが閉ループを循環する冷媒として使用されることができ、窒素ガスを閉ループの冷媒サイクル内に導入させる配管をさらに備えることができる。
【0212】
冷媒サイクルが閉ループで運用される場合、第4実施例と同様に、再液化量や燃料需要先(180)で要求される蒸発ガス量に関係なく、一定流量の蒸発ガスが冷媒熱交換器(140)の冷媒として循環される。
【0213】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが閉ループで運用される場合の蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0214】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、圧縮機(120)によって圧縮され冷却器(130)によって冷却された後、一部は燃料需要先(180)に送られ、残りの一部は、復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスと熱交換されて冷却された後、冷媒熱交換器(140)で熱交換されてさらに冷却される。
【0215】
蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)によって冷却された蒸発ガスは、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流し蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は、貯蔵タンク(T)に送られる。
【0216】
一方、冷媒サイクルを循環する蒸発ガスは、予備圧縮機(122)によって圧縮され、予備冷却器(132)によって冷却された後、再循環ライン(L5)に沿って、冷媒熱交換器(140)に送られる。予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で1次的に主に熱交換されて冷却された後、冷媒減圧装置(160)に送られ、2次的に膨張されて冷却される。冷媒減圧装置(160)を通過した蒸発ガスは、再び冷媒熱交換器(140)に送られ、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;及び予備圧縮機(122)によって圧縮され再循環ライン(L5)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;を冷却させる冷媒として使用される。冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された蒸発ガスは、再び予備圧縮機(122)に送られ、上述した一連の過程を繰り返す。
【0217】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが閉ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障すると、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)及び第10バルブ(202)は閉じて、第3バルブ(193)及び第4バルブ(194)は開いて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)及び第4バルブ(194)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。
【0218】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが閉ループで運用される間に圧縮機(120)または冷却器(130)が故障した場合でも、蒸発ガスの一部を再液化する必要があれば、第15バルブ(304)を開いて、蒸発ガスの一部が復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経るように構成することができる。また、蒸発ガスの一部を再液化しながら、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用する必要がある場合には、第6バルブ(196)及び第9バルブ(201)を開いたり、第6バルブ(196)及び第10バルブ(202)を開いて、システムを運用することもできる。
【0219】
本実施例の船舶は、冷媒サイクルが閉ループで運用されながらも、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)における冷媒として使用し、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを燃料需要先(180)に供給したり、再液化過程を経るように構成することもできる(以下、「第2閉ループ」という。)。
【0220】
上述したように、圧縮機(120)と冷却器(130)、予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)は、説明の便宜上分けて説明しただけであり、同一の役割を行い、一つの船舶に同じ役割を行う圧縮機と冷却器を複数台備えた点で、冗長性(Redundancy)概念を満足させるものである。したがって、圧縮機(120)と冷却器(130)、予備圧縮機(122)と予備冷却器(132)は、役割を変えて運用することもできる。
【0221】
本実施例における船舶の冷媒サイクルを第2閉ループで運用するために、まず、第1バルブ(191)、第3バルブ(193)、第4バルブ(194)、第12バルブ(301)、第14バルブ(303)及び第15バルブ(304)は開いて、第2バルブ(192)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)、第9バルブ(201)、第10バルブ(202)及び第13バルブ(302)は閉じた状態でシステムを駆動させる。
【0222】
貯蔵タンク(T)から排出されて圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスが再循環ライン(L5)に供給されると、第1バルブ(191)を閉じて、蒸発ガスが圧縮機(120)、冷却器(130)、第14バルブ(303)、冷媒熱交換器(140)、冷媒減圧装置(160)、再び冷媒熱交換器(140)及び第12バルブ(301)を循環する閉ループの冷媒サイクルを形成する。
【0223】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが第2閉ループで運用される場合において、蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0224】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、第3バルブ(193)を通過し予備圧縮機(122)によって圧縮されて予備冷却器(132)によって冷却された後、一部は第4バルブ(194)を通過して燃料需要先(180)に送られ、残りの一部は、第15バルブ(304)を通過して復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスと熱交換されて冷却された後、冷媒熱交換器(140)でさらに冷却される。
【0225】
蒸発ガス熱交換器(110)と冷媒熱交換器(140)によって冷却された蒸発ガスは、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流し蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は貯蔵タンク(T)に送られる。
【0226】
一方、冷媒サイクルを循環する蒸発ガスは、圧縮機(120)によって圧縮され冷却器(130)によって冷却された後、第14バルブ(303)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られる。圧縮機(120)と冷却器(130)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で1次的に熱交換されて冷却された後、冷媒減圧装置(160)に送られ2次的に膨張されて冷却される。冷媒減圧装置(160)を通過した蒸発ガスは、再び冷媒熱交換器(140)に送られ、蒸発ガス熱交換器(110)を通過し復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;及び圧縮機(120)によって圧縮されて第14バルブ(303)を通過し冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;を冷却する冷媒として使用される。冷媒減圧装置(160)を通過し冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された蒸発ガスは、再循環ライン(L5)に沿って流れて第1追加ライン(L6)に分岐した後、再び第2追加ライン(L7)に分岐して、第12バルブ(301)を通過して第1供給ライン(L1)に送られる。第1供給ライン(L1)に送られた蒸発ガスは、再び圧縮機(120)に送られ、上述した一連の過程を繰り返す。
【0227】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが第2閉ループで運用される間に、予備圧縮機(122)または予備冷却器(132)が故障すると、第3バルブ(193)、第4バルブ(194)、第12バルブ(301)、第14バルブ(303)及び第15バルブ(304)は閉じ、第1バルブ(191)及び第2バルブ(192)は開いて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第1バルブ(191)、圧縮機(120)、冷却器(130)及び第2バルブ(192)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。
【0228】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが第2閉ループで運用される間に、予備圧縮機(122)または予備冷却器(132)が故障した場合でも、蒸発ガスの一部を再液化する必要があれば、第5バルブ(195)を開いて、蒸発ガスの一部が復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経るように構成することができる。また、蒸発ガスの一部を再液化しながら、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスを、冷媒熱交換器(140)における冷媒として使用する必要がある場合には、第9バルブ(201)及び第14バルブ(303)を開いたり、第12バルブ(301)及び第14バルブ(303)を開いて、システムを運用することもできる。
【0229】
一方、本実施例における船舶の冷媒サイクルを開ループに運用するためには、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)、第9バルブ(201)及び第13バルブ(302)は開いて、第4バルブ(194)、第10バルブ(202)、第12バルブ(301)、第14バルブ(303)及び第15バルブ(304)は閉じる。
【0230】
冷媒サイクルを開ループで運用すると、第4実施例と同様に、再液化量と燃料需要先(180)からの蒸発ガス要求量を考慮して、冷媒熱交換器(140)に送る冷媒の流量を流動的に調整することができる。特に、燃料需要先(180)からの蒸発ガス需要量が少ない場合、冷媒熱交換器(140)に送る冷媒の流量を増加させると、再液化効率と再液化量を高めることができる。すなわち、冷媒サイクルが開ループで運用される場合には、予備圧縮機(122)の容量を超える流量の蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)に供給することができる。
【0231】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが開ループで運用される場合において、蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0232】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、二つの流れに分岐して、一部は第1バルブ(191)を通過して圧縮機(120)に送られ、残りの一部は第3バルブ(193)を通過して予備圧縮機(122)に送られる。
【0233】
圧縮機(120)に送られた蒸発ガスは、圧縮機(120)によって圧縮され冷却器(130)によって冷却された後、一部は第13バルブ(302)及び第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られ、他の一部は第2バルブ(192)を通過して燃料需要先(180)に送られ、残りの一部は、第5バルブ(195)を通過して蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0234】
予備圧縮機(122)に送られた蒸発ガスは、予備圧縮機(122)によって圧縮され予備冷却器(132)によって冷却された後、一部は第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られ、残りの一部は第13バルブ(302)を通過して二つに分岐する。
【0235】
予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)及び第13バルブ(302)を通過して二つに分岐した流れの一方は、第2バルブ(192)を通過して燃料需要先(180)に供給され、他方の流れは、第5バルブ(195)を通過して蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0236】
第4実施例と同様に、説明の便宜上、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって分離された蒸発ガスを分けて説明したが、圧縮機(120)によって圧縮された蒸発ガスと予備圧縮機(122)によって分離された蒸発ガスは合流して、冷媒熱交換器(140)、燃料需要先(180)および蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。
【0237】
第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で1次的に熱交換されて冷却され、冷媒減圧装置(160)によって2次的に膨張して冷却された後、再び冷媒熱交換器(140)に供給される。冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;及び圧縮機(120)または予備圧縮機(122)から第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;を冷却する冷媒として使用される。
【0238】
冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された蒸発ガスは、第9バルブ(201)を通過して第1供給ライン(L1)に送られ、貯蔵タンク(T)から排出された後、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスと合流して、上述した一連の過程を繰り返す。
【0239】
復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)で1次冷却され、冷媒熱交換器(140)で2次冷却された後、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。
【0240】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流し蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は貯蔵タンク(T)に送られる。
【0241】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが開ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障すると、第1バルブ(191)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)及び第9バルブ(201)を閉じて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第13バルブ(302)及び第2バルブ(192)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。
【0242】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが開ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障した場合でも、蒸発ガスの一部を再液化する必要があれば、第5バルブ(195)を開いて、蒸発ガスの一部が復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経るように構成することができる。また、蒸発ガスの一部を再液化しながら、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを、冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用する必要がある場合には、第9バルブ(201)及び第14バルブ(303)を開いたり、第10バルブ(202)及び第14バルブ(303)を開いて、システムを運用することもできる。
【0243】
本実施例における船舶の冷媒サイクルを独立開ループで運用するために、第1バルブ(191)、第2バルブ(192)、第3バルブ(193)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)及び第9バルブ(201)は開いて、第4バルブ(194)、第10バルブ(202)、第12バルブ(301)、第13バルブ(302)、第14バルブ(303)及び第15バルブ(304)は閉じる。冷媒サイクルを独立開ループで運用すると、開ループで運用する際に比べてシステムの運転が容易になるという利点がある。
【0244】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが独立開ループで運用される場合においての蒸発ガスの流れを以下のように説明する。
【0245】
貯蔵タンク(T)から排出された蒸発ガスは蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、二つの流れに分岐して、一部は第1バルブ(191)を通過して圧縮機(120)に送られ、残りの一部は第3バルブ(193)を通過して予備圧縮機(122)に送られる。圧縮機(120)に送られた蒸発ガスは、圧縮機(120)によって圧縮され冷却器(130)によって冷却された後、一部は第2バルブ(192)を通過して燃料需要先(180)に送られ、他の一部は第5バルブ(195)を通過して蒸発ガス熱交換器(110)に送られる。予備圧縮機(122)に送られた蒸発ガスは、予備圧縮機(122)によって圧縮され予備冷却器(132)によって冷却された後、第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られる。
【0246】
予備圧縮機(122)によって圧縮されて第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に送られた蒸発ガスは、冷媒熱交換器(140)で1次的に熱交換されて冷却され、冷媒減圧装置(160)によって2次的に膨張して冷却された後、再び冷媒熱交換器(140)に供給され、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した後、復帰ライン(L3)に沿って冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;及び予備圧縮機(122)によって圧縮されて第6バルブ(196)を通過して冷媒熱交換器(140)に供給された蒸発ガス;を冷却する冷媒として使用される。
【0247】
冷媒減圧装置(160)を通過して冷媒熱交換器(140)で冷媒として使用された蒸発ガスは、第9バルブ(201)を通過して第1供給ライン(L1)に送られ、貯蔵タンク(T)から排出された後、蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスと合流し、上述した一連の過程を繰り返す。
【0248】
圧縮機(120)によって圧縮され復帰ライン(L3)に沿って蒸発ガス熱交換器(110)に送られた蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器(110)で1次冷却され、冷媒熱交換器(140)で2次冷却された後、第1減圧装置(150)によって膨張され、一部または全部が再液化される。
【0249】
本実施例の船舶が気液分離器(170)を備えない場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、直ちに貯蔵タンク(T)に送られ、本実施例の船舶が気液分離器(170)を備える場合には、一部または全部の再液化された蒸発ガスは、気液分離器(170)に送られる。気液分離器(170)によって分離された気体は、貯蔵タンク(T)から排出される蒸発ガスと合流し蒸発ガス熱交換器(110)に送られ、気液分離器(170)によって分離された液体は貯蔵タンク(T)に送られる。
【0250】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが独立開ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障すると、第1バルブ(191)、第5バルブ(195)、第6バルブ(196)及び第9バルブ(201)を閉じて、第13バルブ(302)を開いて、貯蔵タンク(T)から排出されて蒸発ガス熱交換器(110)を通過した蒸発ガスが、第3バルブ(193)、予備圧縮機(122)、予備冷却器(132)、第13バルブ(302)及び第2バルブ(192)を経て燃料需要先(180)に供給されるように構成する。
【0251】
本実施例における船舶の冷媒サイクルが独立開ループで運用される間に、圧縮機(120)または冷却器(130)が故障した場合でも、蒸発ガスの一部を再液化する必要があれば、第5バルブ(195)を開いて、蒸発ガスの一部が復帰ライン(L3)に沿って再液化過程を経るように構成することができる。また、蒸発ガスの一部を再液化しながら、予備圧縮機(122)によって圧縮された蒸発ガスを冷媒熱交換器(140)の冷媒として使用する必要がある場合には、第6バルブ(196)及び第9バルブ(201)を開いたり、第6バルブ(196)及び第10バルブ(202)を開いて、システムを運用することもできる。
【0252】
本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の技術的要旨を超えない範囲内で多様に変更または変形されて実施され得ることは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に自明なことである。