(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.一実施形態
<A−1.構成>
[A−1−1.概要]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成を簡略的に示すブロック図である。車両10(以下「自車10」ともいう。)は、外界センサ20と、ナビゲーション装置22と、マップ・ポジショニング・ユニット24(以下「MPU24」という。)と、車体挙動センサ26と、運転操作センサ28と、通信装置30と、ヒューマン・マシン・インタフェース32(以下「HMI32」という。)と、駆動力出力装置34と、制動装置36と、操舵装置38と、ADユニット40とを有する。ADユニット40の「AD」は、自動運転(Autonomous Driving)の略である。ナビゲーション装置22、MPU24及びADユニット40は、走行制御装置12を構成する。
【0024】
[A−1−2.外界センサ20]
外界センサ20は、車両10の外界に関する情報(以下「外界情報Ie」ともいう。)を検出する。外界センサ20は、車両10の周辺走行環境を検出する。ここにいう周辺走行環境には、先行車(他車)330(
図4)、交通事故、道路工事、渋滞等が含まれる。また、外界センサ20は、車両10の走行路上に存在するラウンドアバウト300(
図4)を検出する。
【0025】
図1に示すように、外界センサ20には、複数の車外カメラ60と、複数のレーダ62と、LIDAR64(Light Detection And Ranging)とが含まれる。
【0026】
複数の車外カメラ60は、車両10の周辺(前方、側方及び後方)を撮像した周辺画像Fsに関する画像情報Iimageを出力する。複数のレーダ62は、車両10の周辺(前方、側方及び後方)に送信した電磁波に対する反射波を示すレーダ情報Iradarを出力する。LIDAR64は、車両10の全方位にレーザを連続的に発射し、その反射波に基づいて反射点の三次元位置を測定して三次元情報Ilidarとして出力する。
【0027】
[A−1−3.ナビゲーション装置22]
ナビゲーション装置22は、現在位置Pcurから目的地Ptarまでの目標経路Rtarを算出し、乗員に案内すると共に、MPU24に出力する。
図1に示すように、ナビゲーション装置22は、グローバル・ポジショニング・システム・センサ70(以下「GPSセンサ70」という。)と、入出力装置72と、演算装置74と、記憶装置76とを有する。
【0028】
GPSセンサ70は、車両10の現在位置Pcurを検出する。入出力装置72は、ナビゲーション装置22以外の機器(MPU24、ADユニット40等)との入出力を行う。演算装置74は、現在位置Pcurから目的地Ptarまでの目標経路Rtarを算出する目標経路算出制御を実行する。目的地Ptarは、HMI32(特にタッチパネル104又はマイクロフォン106)を介してユーザから入力される。
【0029】
また、演算装置74は、GPSセンサ70が検出した現在位置Pcurに対応する地図情報Imapを、記憶装置76の第1地図データベース78(以下「第1地
図DB78」という。)から読み出して目標経路Rtarの算出に用いる。
【0030】
図2は、第1実施形態の走行制御装置12の各部を示す図である。
図2に示すように、演算装置74は、現在位置Pcurから目的地Ptarまでの目標経路Rtarを生成する経路生成部80を有する。自動運転制御が実行中の場合、経路生成部80は、目標経路RtarをMPU24に送信する。経路生成部80は、目標出口設定部82と、周回数カウント部84とを有する。目標出口設定部82は、ラウンドアバウト300(
図4)における自車10の目標出口Etarを設定する。周回数カウント部84は、自車10によるラウンドアバウト300の周回数Nをカウントする。
【0031】
記憶装置76は、演算装置74が利用するプログラム及びデータ並びに第1地
図DB78を記憶する。記憶装置76は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)を備える。RAMとしては、レジスタ等の揮発性メモリと、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを用いることができる。また、記憶装置76は、RAMに加え、リード・オンリー・メモリ(以下「ROM」という。)及び/又はソリッド・ステート・ドライブ(以下「SSD」という。)を有してもよい。
【0032】
[A−1−4.MPU24]
MPU24は、第2地図データベース86(以下「第2地
図DB86」という。)を管理する。第2地
図DB86に記憶されている地図情報Imapは、第1地
図DB78に含まれる地図情報Imapよりも高精度であり、位置精度がセンチメートル単位以下である。また、第1地
図DB78は道路のレーンの詳細情報を有さないが、第2地
図DB86は道路のレーンの詳細情報を有する。MPU24は、ナビゲーション装置22から受信した目標経路Rtarに対応する地図情報Imap(高精度地図)を第2地
図DB86から読み出してADユニット40に送信する。目標経路Rtarに対応する地図情報Imap(高精度地図)は、自動運転制御で用いられる。
【0033】
[A−1−5.車体挙動センサ26]
車体挙動センサ26は、車両10(特に車体)の挙動に関する情報(以下「車体挙動情報Ib」ともいう。)を検出する。車体挙動センサ26には、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサ(いずれも図示せず)が含まれる。車速センサは、車両10の車速V[km/h]及び進行方向を検出する。加速度センサは、車両10の加速度G[m/s/s]を検出する。加速度Gは、前後加速度α、横加速度Glat及び上下加速度Gvを含む(一部の方向のみの加速度Gとしてもよい。)。ヨーレートセンサは、車両10のヨーレートY[rad/s]を検出する。
【0034】
[A−1−6.運転操作センサ28]
運転操作センサ28は、運転者による運転操作に関する情報(以下「運転操作情報Ido」ともいう。)を検出する。運転操作センサ28には、アクセルペダルセンサ及びブレーキペダルセンサ(いずれも図示せず)が含まれる。アクセルペダルセンサは、図示しないアクセルペダルの操作量[%]を検出する。ブレーキペダルセンサは、図示しないブレーキペダルの操作量[%]を検出する。運転操作センサ28には、舵角センサ及び操舵トルクセンサ(いずれも図示せず)等が含まれてもよい。
【0035】
[A−1−7.通信装置30]
通信装置30は、外部機器との無線通信を行う。ここでの外部機器には、例えば、経路案内サーバ50が含まれる。なお、本実施形態の通信装置30は、車両10に搭載(又は常時固定)されているものを想定しているが、例えば、携帯電話機又はスマートフォンのように車両10の外部へ持ち運び可能なものであってもよい。
【0036】
[A−1−8.HMI32]
HMI32(目的地設定装置)は、乗員からの操作入力を受け付けると共に、乗員に対して各種情報の提示を、視覚的、聴覚的及び触覚的に行う。HMI32は、車両10の目的地Ptarの設定にも用いられる。HMI32には、自動運転スイッチ100(以下「自動運転SW100」ともいう。)と、スピーカ102と、タッチパネル104と、マイクロフォン106とが含まれる。
【0037】
自動運転SW100は、乗員の操作により自動運転制御の開始及び終了を指令するためのスイッチである。自動運転SW100に加えて又はこれに代えて、その他の方法(マイクロフォン106を介しての音声入力等)により自動運転制御の開始又は終了を指令することも可能である。タッチパネル104は、例えば、液晶パネル又は有機ELパネルを含む。
【0038】
[A−1−9.駆動力出力装置34]
駆動力出力装置34は、図示しない走行駆動源(エンジン、走行モータ等)及び駆動電子制御装置(以下「駆動ECU」という。)を有し、車両10の走行駆動力を生成する。駆動ECUは、アクセルペダルの操作量又はADユニット40からの指令に基づいて走行駆動源を制御して車両10の走行駆動力を調整する。
【0039】
[A−1−10.制動装置36]
制動装置36は、図示しないブレーキモータ(又は油圧機構)、ブレーキ部材及び制動電子制御装置(以下「制動ECU」という。)を有し、車両10の制動力を生成する。制動装置36は、エンジンによるエンジンブレーキ及び/又は走行モータによる回生ブレーキを制御するものであってもよい。制動ECUは、ブレーキペダルの操作量又はADユニット40からの指令に基づいてブレーキモータ等を作動させて車両10の制動力を制御する。
【0040】
[A−1−11.操舵装置38]
操舵装置38は、図示しない電動パワーステアリング(EPS)モータ、及びEPS電子制御装置(以下「EPS ECU」という。)を有し、車両10の舵角を変化させる。EPS ECUは、運転者によるステアリングホイールの操作又はADユニット40からの指令に応じてEPSモータを制御して、車両10の舵角を制御する。
【0041】
[A−1−12.ADユニット40]
(A−1−12−1.ADユニット40の概要)
ADユニット40は、運転者による運転操作(加速、減速及び操舵)を要さずに目的地Ptarまで車両10を運転する自動運転制御を実行する。換言すると、ADユニット40は、車両10が目標軌道Ltarを走行するように、駆動力出力装置34、制動装置36及び操舵装置38を制御する。ADユニット40は、入出力装置120、演算装置122及び記憶装置124を有する。演算装置122は、例えば中央処理装置(CPU)を含む。
【0042】
入出力装置120は、ADユニット40以外の機器(センサ20、26、28等)との入出力を行う。演算装置122は、各センサ20、26、28、ナビゲーション装置22、MPU24、通信装置30、HMI32等からの信号に基づいて演算を行う。そして、演算装置122は、演算結果に基づき、通信装置30、HMI32、駆動力出力装置34、制動装置36及び操舵装置38に対する信号を生成する。演算装置122の詳細については
図2を参照して後述する。
【0043】
記憶装置124は、演算装置122が利用するプログラム及びデータを記憶する。記憶装置124は、例えば、RAMを備える。また、記憶装置124は、RAMに加え、ROM及び/又はSSDを有してもよい。
【0044】
(A−1−12−2.演算装置122)
図2に示すように、ADユニット40の演算装置122は、外界認識部200と、自車位置認識部202と、通信制御部204と、行動計画部206と、走行制御部208とを有する。これらの各部は、例えば、ADユニット40の記憶装置124に記憶されたプログラムを演算装置122(CPU等)が実行することにより実現される。前記プログラムは、通信装置30を介して経路案内サーバ50から供給されてもよい。前記プログラムの一部をハードウェア(回路部品)で構成することもできる。
【0045】
外界認識部200は、外界センサ20(
図1)からの外界情報Ieに基づいて、自車10の周囲の状況及び物体を認識する。外界認識部200は、車外カメラ60の画像情報Iimageに基づいて、道路環境全般、例えば、道路形状、道路幅、レーンマークの位置、車線数、車線幅、交通信号機の点灯状態等を認識する。
【0046】
外界認識部200は、他車検出部210と、ラウンドアバウト検出部212と、事故現場検出部214と、工事現場検出部216と、渋滞検出部218とを有する。他車検出部210は、自車10の周辺に存在する他車330(
図4)を検出する。他車330の検出には、車外カメラ60の画像情報Iimageを用いる。或いは、通信装置30を介して他車330又はサーバ(経路案内サーバ50等)と通信することにより他車330を検出してもよい。
【0047】
ラウンドアバウト検出部212は、ナビゲーション装置22が生成した目標経路Rtar上に存在するラウンドアバウト300(
図4)を検出する。ラウンドアバウト300の検出は、例えば、自車10の現在位置PcurとMPU24からの地図情報Imapとを用いて行う。或いは、画像情報Iimageを用いて当該
検出を行うことも可能である。具体的には、自車10の目標経路Rtar上にラウンドアバウト300の標識がある場合、当該標識を画像認識することでラウンドアバウト300の存在を検出する。或いは、ラウンドアバウト300自体の画像を取得し、これをパターンマッチングすることで、ラウンドアバウト300を検出してもよい。
【0048】
事故現場検出部214は、自車10の周辺で発生した事故現場(図示せず)を検出する。事故現場の検出には、車外カメラ60の画像情報Iimageを用いる。或いは、通信装置30を介して路側ビーコン(図示せず)又はサーバ(経路案内サーバ50等)と通信することにより事故現場を検出してもよい。
【0049】
工事現場検出部216は、自車10の周辺に存在する工事現場(図示せず)を検出する。工事現場の検出には、車外カメラ60の画像情報Iimageを用いる。或いは、通信装置30を介して路側ビーコン(図示せず)又はサーバ(経路案内サーバ50等)と通信することにより工事現場を検出してもよい。
【0050】
渋滞検出部218は、自車10の目標経路Rtar上で発生した渋滞を検出する。渋滞の検出は、例えば、他車330との車々間通信により渋滞情報を取得してもよい。或いは、通信装置30を介して路側ビーコン(図示せず)又はサーバ(経路案内サーバ50等)と通信することにより渋滞を検出してもよい。
【0051】
自車位置認識部202は、外界認識部200の認識結果、MPU24からの地図情報Imap、ナビゲーション装置22からの現在位置Pcurに基づいて、自車10の現在位置Pcurを高精度に認識する。通信制御部204は、ADユニット40と車外機器(例えば経路案内サーバ50)との通信を制御する。
【0052】
行動計画部206は、MPU24からの地図情報Imap(高精度地図)と、外界認識部200及び自車位置認識部202の認識結果と、車体挙動センサ26の検出結果とに基づいて、自車10の走行状況を判断し、自車10の各種行動を策定する。具体的には、行動計画部206は、目標軌道Ltar、目標車速Vtar等を算出する。
【0053】
図2に示すように、行動計画部206は、軌道生成部230を有する。軌道生成部230は、目的地Ptarまでの目標軌道Ltarを生成して、車両10を目的地Ptarまで自動的に走行させる。
【0054】
ナビゲーション装置22が算出する目標経路Rtarは、運転者に対して進むべき道路を伝えるためのものであり、比較的大まかなもののみである。これに対し、行動計画部206が算出する目標軌道Ltarは、ナビゲーション装置22が算出するような大まかなものに加えて、車両10の加速、減速及び操舵を制御するための比較的細かい内容を含む。
【0055】
走行制御部208は、行動計画部206の決定結果(目標軌道Ltar、目標車速Vtar等)に基づいて駆動力出力装置34、制動装置36及び操舵装置38に対する制御指令を算出及び送信する。換言すると、走行制御部208は、車体挙動を制御する各アクチュエータの出力を制御する。ここにいうアクチュエータには、エンジン、ブレーキモータ及びEPSモータ等が含まれる。走行制御部208は、アクチュエータの出力を制御することで、車両10(特に車体)の挙動量(以下「車体挙動量Qb」という。)を制御することとなる。ここにいう車体挙動量Qbには、例えば、車速V、前後加速度α、舵角θst、横加速度Glat及びヨーレートYが含まれる。
【0056】
[A−1−13.経路案内サーバ50]
経路案内サーバ50は、通信装置30から受信した車両10の現在位置Pcur及び目的地Ptarに基づいて、目的地Ptarまでの目標経路Rtarを車両10に代わって生成又は算出する。経路案内サーバ50は、図示しない入出力装置、通信装置、演算装置及び記憶装置を有する。記憶装置は、演算装置が利用するプログラム及びデータを記憶する。
【0057】
<A−2.第1実施形態の制御>
[A−2−1.概要]
第1実施形態の車両10は、目的地Ptarまで車両10を自動的に走行させる自動運転制御を実行可能である。自動運転制御は、ナビゲーション装置22、MPU24及びADユニット40(すなわち、走行制御装置12)が実行する。
【0058】
第1実施形態では、車両10がラウンドアバウト300(
図4)内に存在する際、走行制御装置12(特にナビゲーション装置22)は、ラウンドアバウト関連処理を実行する。ラウンドアバウト関連処理は、ラウンドアバウト300の目標出口Etarにおいて発生している走行制限事象Plim(例えば、先行車330等で詰まっていること)に応じて目標経路Rtarの変更又は維持を行う処理である。
【0059】
[A−2−2.自動運転制御]
図3は、第1実施形態の自動運転制御のフローチャートである。ステップS11において、ナビゲーション装置22は、HMI32(タッチパネル104、マイクロフォン106等)を介してユーザから目的地Ptarの入力を受け付ける。ステップS12において、ナビゲーション装置22は、現在位置Pcurから目的地Ptarまでの目標経路Rtarを生成する。また、ナビゲーション装置22は、生成した目標経路RtarをMPU24に通知する。
【0060】
MPU24は、目標経路Rtarに対応する地図情報Imap(高精度地図)を第2地
図DB86から読み出してADユニット40に送信する。ADユニット40は、MPU24からの地図情報Imap(高精度地図)と、外界認識部200及び自車位置認識部202の認識結果とに基づいて目標軌道Ltarを生成する。そして、ADユニット40は、目標軌道Ltarに基づいて駆動力出力装置34、制動装置36、操舵装置38等を制御する。
【0061】
なお、第1実施形態において、目標経路Rtarは、現在位置Pcurから車両目的地Pvtarまでの比較的長い軌道を示すのに対し、目標軌道Ltarは、車両10を自動運転させるために要する比較的短い軌道を示す。但し、目標経路Rtarと目標軌道Ltarをまとめて利用してもよい。
【0062】
ステップS13において、ナビゲーション装置22は、自車10が目的地Ptarに到着したか否かを判定する。目的地Ptarに到着していない場合(S13:FALSE)、ステップS14において、ナビゲーション装置22は、自車10がラウンドアバウト300内にいるか否かを判定する。当該判定は、例えば、自車10の現在位置Pcurと第1地
図DB78の地図情報Imapを用いて行う。或いは、ラウンドアバウト検出部212の検出結果を用いて当該判定を行うことも可能である。具体的には、自車10の目標経路Rtar上にラウンドアバウト300の標識がある場合、当該標識を画像認識することでラウンドアバウト300の存在を検出する。或いは、ラウンドアバウト300自体の画像を取得し、これをパターンマッチングすることで、ラウンドアバウト300を検出してもよい。
【0063】
ラウンドアバウト300内である場合(S14:TRUE)、ステップS15において、ナビゲーション装置22は、ラウンドアバウト関連処理を実行する。ラウンドアバウト関連処理の詳細は、
図4、
図5等を参照して後述する。ラウンドアバウト300内でない場合(S14:FALSE)、ステップS16において、ナビゲーション装置22は、目標経路Rtarを通常更新し、ステップS13に戻る。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。ここにいう通常更新は、車両10の移動に伴って目標経路Rtarを更新する処理である。ステップS15又はS16の後、ステップS13に戻る。目的地Ptarに到着した場合(S13:TRUE)、ステップS17において、ADユニット40は、乗員に対する目的地Ptarへの到着の通知等を行う到着時処理を実行する。
【0064】
[A−2−3.ラウンドアバウト関連処理]
(A−2−3−1.概要)
図4は、第1実施形態においてラウンドアバウト関連処理を実行する場面の一例を示す図である。すなわち、自車10がラウンドアバウト300内を走行する例である。第1実施形態は左側通行の例である。従って、
図4において、自車10は、時計回りにラウンドアバウト300(環状路310)内を走行する。すなわち、
図4では、3つの自車10が示されているが、いずれも同一の車両である。換言すると、
図4では、地点P1、P2、P3の順に自車10が移動していく様子が示されている。
【0065】
ラウンドアバウト300は、環状路310と、6本の分岐路312a〜312f(以下「道路312a〜312f」ともいう。)を有する。
図4では、各道路312a〜312fは、入り口I1〜I6(又は進入レーン320a〜320f)と、出口E1〜E6(又は退出レーン322a〜322f)とを有する。
【0066】
図4の例において、ラウンドアバウト300に入る前における目標経路Rtarは、入り口I1からラウンドアバウト300内に進入し、出口E4から退出する経路である。すなわち、目標経路Rtarでは、入り口I1が目標入り口Itarであり、出口E4が目標出口Etarである。しかしながら、出口E4は、複数の先行車330(330a〜330e)によって詰まっている。出口E4が先行車330で詰まっている理由は、渋滞、事故、工事等があり得るが、自車10は当該理由を認識できない。自車10は、ラウンドアバウト300内(例えば地点P2)又はその手前(例えば地点P1)の走行中に、出口E4が先行車330で詰まっていること(走行制限事象Plim)を画像情報Iimage等に基づいて検出する。
【0067】
第1実施形態では、走行制限事象Plimを検出した自車10は、目標出口Etarである出口E4から退出することを中止する。そして、自車10は、新たな出口Enewを探索し、新たな出口Enewを新たな目標出口Etarとする。
【0068】
(A−2−3−2.具体的なフロー)
図5は、第1実施形態のラウンドアバウト関連処理のフローチャート(
図3のS15の詳細)である。ステップS21において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etar(
図4の出口E4)の走行環境情報IdeをADユニット40から取得する。走行環境情報Ideは、例えば、先行車情報、事故情報、工事情報及び渋滞情報を含む。
【0069】
先行車情報は、例えば、先行車330の位置、ナンバープレートの番号、移動方向及び移動速度を含む。先行車情報は、例えば、外界情報Ie(画像情報Iimage、レーダ情報Iradar等)から取得することができる。或いは、先行車330(周辺車両)との車々間通信により取得してもよい。
【0070】
事故情報は、例えば、事故の位置、内容、通行可能状態等を含む。事故情報は、例えば、外界情報Ie(画像情報Iimage、レーダ情報Iradar等)から取得することができる。或いは、先行車330(周辺車両)との車々間通信により取得してもよい。
【0071】
工事情報は、例えば、工事の位置、内容、通行可能状態等を含む。工事情報は、例えば、外界情報Ie(画像情報Iimage、レーダ情報Iradar等)から取得することができる。或いは、先行車330(周辺車両)との車々間通信により取得してもよい。
【0072】
渋滞情報は、渋滞の位置(長さを含む)、予想通過時間等を含む。渋滞情報は、例えば、先行車330(周辺車両)との車々間通信により取得してもよい。
【0073】
ステップS22において、ナビゲーション装置22は、走行制限事象Plimの有無を判定する。第1実施形態の走行制限事象Plimは、自車10が目標出口Etarの通過を回避した方がよい事象である。走行制限事象Plimには、例えば、事故、工事、渋滞等が含まれ得る。走行制限事象Plimがある場合(S23:TRUE)、ステップS24に進む。走行制限事象Plimがない場合(S23:FALSE)、ステップS27に進む。
【0074】
ステップS24において、ナビゲーション装置22は、ラウンドアバウト300を1周周回する周回経路Rrndを目標経路Rtarに追加する。次いで、ステップS25において、ナビゲーション装置22は、現時点の目標出口Etar以外の新たな出口Enewを探索する。新たな出口Enewが複数ある場合、それぞれの新たな出口Enewについて、目的地Ptarに到達するまでの迂回想定時間Tbpsを算出し、迂回想定時間Tbpsが最も短いものを新たな出口Enewとして選択する。
【0075】
なお、例えば、それぞれの新たな出口Enewについての迂回想定時間Tbpsを比較する関連からすれば、目的地Ptarよりも手前においていずれの新たな出口Enewを出ても通過する基準地点(交差点等)を用いて迂回想定時間Tbpsを算出してもよい。
【0076】
ステップS26において、ナビゲーション装置22は、新たな出口Enewを目標出口Etarに設定する。ステップS27において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarを通過する目標経路Rtarを更新する。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。これにより、自車10は、当初の目標出口Etar(例えば出口E4)とは別の目標出口Etar(例えば出口E5)を通過してラウンドアバウト300を出て目的地Ptarに向かう。
【0077】
<A−3.第1実施形態の効果>
以上説明したように、第1実施形態によれば、目標経路Rtar上に存在するラウンドアバウト300の目標出口Etarにおいて、目標出口Etarの通過を制限する走行制限事象Plimが生じていると判定した場合(
図5のS23:TRUE)、ラウンドアバウト300の1周の周回を目標経路Rtarに含める(S24)。これにより、ラウンドアバウト300を周回している間に、例えば、目標経路Rtarの再探索(又は再設定)を行うことが可能となる。従って、ラウンドアバウト300を好適に走行することが可能となる。
【0078】
第1実施形態において、経路生成部80(経路算出装置)は、走行制限事象Plimが生じていると判定した場合(
図5のS23:TRUE)、ラウンドアバウト300の複数の別出口E1〜E3、E5、E6のうち、目標経路Rtar上の基準地点Prefに到達するまでの迂回想定時間Tbpsが最も短いものを新たな目標出口Etarとして設定する(S25、S26)。これにより、新たな目標出口Etarを適切に設定することが可能となる。
【0079】
B.第2実施形態
<B−1.構成>
第2実施形態の構成は、第1実施形態と同様であり、
図1及び
図2に示すようなものである。以下では、第1実施形態と同様の構成要素に同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。第2実施形態では、ラウンドアバウト関連処理が第1実施形態と相違する。
【0080】
<B−2.ラウンドアバウト関連処理>
[B−2−1.概要]
第1実施形態のラウンドアバウト関連処理(
図5)では、走行制限事象Plimの有無により処理を変化させた。換言すると、第1実施形態では、走行制限事象Plimがある場合とない場合(又は当初の目標出口Etarを通過するか若しくは新たな目標出口Etarを通過するか)の2段階に分けた。
【0081】
これに対し、第2実施形態のラウンドアバウト関連処理では、走行制限事象Plimに関して3段階を設ける。すなわち、第2実施形態では、当初の目標出口Etar(例えば出口E4)の通過を選択するレベル(第1レベル)若しくは新たな目標出口Etar(例えば出口E5)の通過を選択するレベル(第2レベル)又は判定を保留してラウンドアバウト300の周回を選択するレベル(第3レベル)に走行制限事象Plimを区分する。
【0082】
第1レベルの走行制限事象Plimは、目標出口Etarに先行車330が存在せず又はその数が少なく、目標出口Etarの通過が問題ないと考えられる事象である。換言すると、第1レベルは、走行制限事象Plimがないとも言うことができる。また、第2レベルの走行制限事象Plimは、目標出口Etarにおける事故、工事又は渋滞であり、目標出口Etarに向かう先行車330がほとんど進まない事象である。
【0083】
第3レベルの走行制限事象Plimは、目標出口Etar又はその付近の信号機(図示せず)が赤になっていること等である。第3レベルの走行制限事象Plimの場合、目標出口Etarが複数の先行車330(330a〜330e等)により詰まっているものの、自車10がラウンドアバウト300を周回している間に、先行車330(330a〜330e等)がかなりの距離を進む。
【0084】
[B−2−2.具体的フロー]
図6及び
図7は、第2実施形態のラウンドアバウト関連処理の第1・第2フローチャート(
図3のS15の詳細)である。上記のように、ラウンドアバウト関連処理は、自車10がラウンドアバウト300内にあるとき(
図3のS14:TRUE)に実行される(S15)。
【0085】
ステップS51において、ナビゲーション装置22は、ラウンドアバウト300の周回数Nに「0」を設定する(N←0)。ステップS52において、ナビゲーション装置22は、自車10が目標出口Etarに接近しているか否かを判定する。当該判定は、例えば、自車10から目標出口Etarまでの距離Leが距離閾値THle以下であるか否かにより判定する。自車10が目標出口Etarに接近していない場合(S52:FALSE)、目標出口Etarの変更は行わない。その場合、ステップS53において、ナビゲーション装置22は、自車10が進んだ分を反映させるために目標経路Rtarを更新し、ステップS52に戻る。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0086】
自車10が目標出口Etarに接近している場合(S52:TRUE)、ステップS54において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarの走行環境情報IdeをADユニット40から取得する。続くステップS55において、ナビゲーション装置22は、周回数Nが「0」であるか否かを判定する。周回数Nが「0」である場合(S55:TRUE)、ステップS56に進む。
【0087】
ステップS56において、ナビゲーション装置22は、走行制限事象Plimを判定する。上記のように、第2実施形態では、走行制限事象Plimを3段階に分ける。すなわち、当初の目標出口Etarを通過するか若しくは新たな目標出口Etarを通過するか又は判定を保留してラウンドアバウト300を周回するかである。
【0088】
ステップS57において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarの通過実行が未確定であるか否かを判定する。換言すると、ナビゲーション装置22は、走行制限事象Plimが「当初の目標出口Etarを通過する」レベル(第1レベル)でないことを判定する。目標出口Etarの通過実行が未確定でない場合(
図6のS57:FALSE)、第1レベルの判定を確定する。その場合、ステップS58において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarを維持する。目標出口Etarの通過実行が未確定である場合(
図6のS57:TRUE)、ステップS59に進む。
【0089】
ステップS59において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarの通過回避が未確定であるか否かを判定する。換言すると、ナビゲーション装置22は、走行制限事象Plimが「新たな目標出口Etarを通過する」レベル(第2レベル)でないことを判定する。目標出口Etarの通過回避が未確定でない場合(
図6のS59:FALSE)、第2レベルの判定を確定する。その場合、ステップS60において、ナビゲーション装置22は、新たな出口Enewを探索する。ステップS61において、ナビゲーション装置22は、新たな出口Enewを新たな目標経路Rtarに設定する。これにより、実質的に、目標経路Rtarには、新たな周回経路Rrndが追加されたこととなる。
【0090】
ステップS58又はS61の後、ステップS62において、ナビゲーション装置22は、目標経路Rtarを更新する。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0091】
ステップS59に戻り、目標出口Etarの通過回避が未確定である場合(
図6のS59:TRUE)、走行制限事象Plimは、「判定を保留してラウンドアバウト300を周回する」レベル(第3レベル)である。その場合、ステップS63において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarの基準情報Ierefを、ステップS54の走行環境情報Ideに基づいて算出し、記憶装置124に記憶する。
【0092】
基準情報Ierefは、先行車330(
図4の先行車330a〜330e等)の位置情報及び特性情報を含む。自車10の位置によっては、例えば先行車330a、330b、330cの位置情報及び特性情報を取得できず、先行車330d、330eの位置情報及び特性情報のみを取得できるような場合もあり得る。そのような場合、取得可能な先行車330d、330eのみについて位置情報及び特性情報を算出及び記憶する。基準情報Ierefは、後述する比較情報Iecomとの比較(
図7のS68)に用いられる。例えば、基準情報Ierefと比較情報Iecomを比較することで、自車10がラウンドアバウト300を1回周回する間に、先行車330の進み度合いD(進んだ距離L)を算出することができる。
【0093】
ステップS64において、ナビゲーション装置22は、ラウンドアバウト300を1周する周回経路Rrndを目標経路Rtarに追加する。続くステップS65において、ラウンドアバウト300の周回数Nに1を加算する。ステップS66において、ナビゲーション装置22は、周回経路Rrndを含む目標経路Rtarを更新した状態で、ステップS52に戻る。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0094】
周回数Nが「0」でない場合(S55:FALSE)、
図7のステップS67に進む。ステップS67において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarの比較情報Iecomを、走行環境情報Ideに基づいて算出する。比較情報Iecomは、先行車330(
図4)の位置情報及び特性情報を含む。比較情報Iecomは、基準情報Ieref(
図6のS63)との比較に用いられる。
【0095】
ステップS68において、ナビゲーション装置22は、基準情報Ierefと比較情報Iecomを比較することで、自車10がラウンドアバウト300を1回周回する間に、先行車330の進み度合いD(進んだ距離L)を算出する。
【0096】
周回数Nが2以上である場合、ステップS68において、ナビゲーション装置22は、進み度合いDを更新する。その場合、前回の比較情報Iecomを今回の基準情報Ierefとして用いる。例えば、周回数Nが2であるときの比較情報Iecom(=周回数Nが2であるときの基準情報Ieref)と、周回数Nが3であるときの比較情報Iecomを比較して進み度合いDを算出する。その場合、周回数Nが1〜3であるときの進み度合いDの平均値を用いてもよい。
【0097】
ステップS69において、ナビゲーション装置22は、進み度合いDが進み度合い閾値THd以下であるか否かを判定する。進み度合い閾値THdは、目標出口Etarを通過することが現実的であるか否かを判定するための閾値である。進み度合いDが進み度合い閾値THd以下でない場合(S69:FALSE)、進み度合いDが比較的大きいため、当初の目標出口Etarを通過することが現実的である(通過が比較的容易である)。その場合、ステップS70において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarを維持し、ステップS75に進む。進み度合いDが進み度合い閾値THd以下である場合(S69:TRUE)、ステップS71に進む。
【0098】
ステップS71において、ナビゲーション装置22は、周回数Nが周回数閾値THn以下であるか否かを判定する。周回数閾値THnは、ラウンドアバウト300を周回して当初の目標出口Etarの状況を判定するために十分となる周回数Nとして設定される閾値である。周回数Nが周回数閾値THn以下である場合(S71:TRUE)、ステップS72において、ナビゲーション装置22は、ステップS54で取得した走行環境情報Ideに基づいて走行制限事象Plimを更新し、
図6のステップS57に進む。周回数Nが周回数閾値THn以下でない場合(S71:FALSE)、ステップS73に進む。
【0099】
ステップS73において、ナビゲーション装置22は、新たな出口Enewを探索する。新たな出口Enewが複数ある場合、それぞれの新たな出口Enewについて、基準地点Pref(例えば目的地Ptar)までの迂回想定時間Tbpsを算出し、迂回想定時間Tbpsが最も短いものを新たな出口Enewとして選択する。
【0100】
ステップS74において、ナビゲーション装置22は、新たな出口Enewを目標出口Etarに設定する。ステップS75において、ナビゲーション装置22は、目標経路Rtarを更新する。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0101】
<B−3.第2実施形態の効果>
以上のような第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて又はこれに代えて、以下の効果を奏することができる。
【0102】
すなわち、第2実施形態において、経路生成部80(経路算出装置)は、車両10がラウンドアバウト300を周回する毎に進み度合いDの更新を繰り返す(
図7のS68)。これにより、ラウンドアバウト300の目標出口Etarに止まっている先行車330の進み度合いDが大きく、目標出口Etarの通過に比較的時間がかからないと考えられる場合、目標出口Etarを維持することが可能となる。
【0103】
第2実施形態において、車外カメラ60等の周辺環境検出部は、車両10の先行車330を検出する。また、経路生成部80(経路算出装置)は、目標出口Etarに止まっている先行車330の基準情報Ierefを取得する(
図6のS54)。さらに、経路生成部80は、ラウンドアバウト300の1周周回後に目標出口Etarに止まっている先行車330の比較情報Iecomを取得する(S67)。さらにまた、経路生成部80は、基準情報Ierefと比較情報Iecomとを比較して、先行車330の進み度合いDを判定する(S68)。加えて、経路生成部80は、先行車330の進み度合いDが進み度合い閾値THdを超える場合(S69:FALSE)、目標出口Etarを通過する目標経路Rtarを維持する(S70、S75)。これにより、目標出口Etarの通過が容易であることが見込まれる場合には、当初の目標経路Rtarを維持することが可能となる。
【0104】
C.第3実施形態
<C−1.構成>
第3実施形態の構成は、第1・第2実施形態と同様であり、
図1及び
図2に示すようなものである。以下では、第1・第2実施形態と同様の構成要素に同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。第3実施形態では、ラウンドアバウト関連処理が第1・第2実施形態と相違する。
【0105】
<C−2.ラウンドアバウト関連処理>
[C−2−1.概要]
第2実施形態のラウンドアバウト関連処理(
図6及び
図7)では、走行制限事象Plimに関して3段階を設けた。すなわち、第2実施形態では、当初の目標出口Etarの通過を選択するレベル(第1レベル)若しくは新たな目標出口Etarの通過を選択するレベル(第2レベル)又は判定を保留してラウンドアバウト300の周回を選択するレベル(第3レベル)に走行制限事象Plimを区分した。
【0106】
これに対し、第3実施形態のラウンドアバウト関連処理では、目標出口Etarを通過した場合の当初想定時間Torg又は更新想定時間Tupと、別出口Eoそれぞれを通過した場合の迂回想定時間Tbpsとを比較して目標経路Rtarを設定する。当初想定時間Torgは、当初の目標出口Etarが複数の先行車330で詰まっている(走行制限事象Plimが生じている)との判定を行う前の条件又は走行制限事象Plimを反映した条件における目標出口Etarから基準地点Pref(例えば目的地Ptar)までにかかると想定される時間である。更新想定時間Tupは、先行車330の進み度合いDに応じて、当初想定時間Torg又は前回の更新想定時間Tupを補正(又は更新)した時間である。
【0107】
また、理解の容易化のため、第3実施形態では、走行制限事象Plimとして「目標出口Etarが先行車330で詰まっていること」(
図8のS86)に限定している。但し、第3実施形態において、その他の走行制限事象Plimを用いてもよい。
【0108】
[C−2−2.具体的フロー]
図8及び
図9は、第3実施形態のラウンドアバウト関連処理の第1・第2フローチャート(
図3のS15の詳細)である。上記のように、ラウンドアバウト関連処理は、自車10がラウンドアバウト300内にあるとき(
図3のS14:TRUE)に実行される(S15)。
【0109】
図8のステップS81、S82、S83、S84、S85は、
図6のステップS51、S52、S53、S54、S55と同様である。ラウンドアバウト300の周回数Nが「0」である場合(S85:TRUE)、ステップS86に進む。
【0110】
ステップS86において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarが複数(所定数以上)の先行車330で詰まっているか否かを判定する。目標出口Etarが複数の先行車330で詰まっていない場合(S86:FALSE)、ステップS94に進む。目標出口Etarが複数の先行車330で詰まっている場合(S86:TRUE)、ステップS87に進む。
【0111】
ステップS87、S88は、
図6のステップS63、S64と同様である。
【0112】
ステップS89において、ナビゲーション装置22は、当初想定時間Torgを算出する。当初想定時間Torgは、当初の目標出口Etarが複数の先行車330で詰まっている(走行制限事象Plimが生じている)との判定を行う前の条件又は走行制限事象Plimを反映した条件における目標出口Etarから目的地Ptarまでにかかると想定される時間である。なお、例えば、当初想定時間Torgと後述する迂回想定時間Tbpsとを比較する関連からすれば、目的地Ptarよりも手前において車両10が通過する基準地点(交差点等)を用いて当初想定時間Torg及び迂回想定時間Tbpsを算出してもよい。
【0113】
ステップS90において、ナビゲーション装置22は、周回想定時間Trndを算出する。周回想定時間Trndは、ラウンドアバウト300を1周するのにかかると想定される時間である。
【0114】
ステップS91において、ナビゲーション装置22は、別出口Eoの迂回想定時間Tbpsを算出する。迂回想定時間Tbpsは、別出口Eoを通過して目的地Ptarに到達するのにかかると想定される時間である。新たな出口Enewが複数ある場合、それぞれの新たな出口Enewについて迂回想定時間Tbpsを算出し、迂回想定時間Tbpsが最も短いものを選択する。
【0115】
ステップS92において、ナビゲーション装置22は、迂回想定時間Tbpsが、当初想定時間Torgと周回想定時間Trndの和以下であるか否かを判定する。迂回想定時間Tbpsが、当初想定時間Torgと周回想定時間Trndの和以下である場合(S92:TRUE)、ステップS93において、ナビゲーション装置22は、迂回想定時間Tbpsに対応する新たな出口Enewに目標出口Etarを変更する。ステップS86が「偽」(FALSE)である場合又はステップS93の後、ステップS94において、ナビゲーション装置22は、目標経路Rtarを更新する。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0116】
なお、ステップS92は、目標出口Etarを変更するか否かを判定するためのものである。そのため、迂回想定時間Tbps、又は当初想定時間Torgと周回想定時間Trndの和の一方又は両方に所定の係数を加算又は乗算してもよい。
【0117】
迂回想定時間Tbpsが、当初想定時間Torgと周回想定時間Trndの和以下でない場合(S92:FALSE)、ステップS95に進む。ステップS95において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarを維持して目標経路Rtarを更新する。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。ステップS96において、ナビゲーション装置22は、周回数Nを「1」にしてステップS82に戻る。ステップS96は、自車10がラウンドアバウト300を1周したことを判定した後に行う。
【0118】
ラウンドアバウト300の周回数Nが「0」でない場合(S85:FALSE)、
図9のステップS97に進む。ステップS97、S98は、
図7のステップS67、S68と同様である。
【0119】
ステップS99において、ナビゲーション装置22は、当初想定時間Torgを更新した更新想定時間Tupを算出する。具体的には、ステップS98で算出した先行車330の進み度合いDに応じて、当初想定時間Torg又は前回の更新想定時間Tupを補正して今回の更新想定時間Tupとする。
【0120】
ステップS100において、ナビゲーション装置22は、周回想定時間Trndを更新する。具体的には、ナビゲーション装置22は、ラウンドアバウト300を1周周回するのにかかった時間(平均値)を周回想定時間Trndとする。
【0121】
ステップS101において、ナビゲーション装置22は、迂回想定時間Tbpsを更新する。具体的には、ナビゲーション装置22は、各別出口Eoについて目標出口Etarと同様に走行環境情報IdeをADユニット40から取得し、各別出口Eoについて先行車330の進み度合いDを算出又は更新する。そして、ナビゲーション装置22は、この進み度合いDを別出口Eoの迂回想定時間Tbpsに反映する。
【0122】
ステップS102において、ナビゲーション装置22は、周回数Nに1を加算する。ステップS103において、ナビゲーション装置22は、周回数Nが周回数閾値THn以下であるか否かを判定する。周回数Nが周回数閾値THn以下である場合(S103:TRUE)、ステップS104に進む。
【0123】
ステップS104において、ナビゲーション装置22は、迂回想定時間Tbpsが、更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和以下であるか否かを判定する。ステップS92と同様、ステップS104は、目標出口Etarを変更するか否かを判定するためのものである。そのため、迂回想定時間Tbps、又は更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和の一方又は両方に所定の係数を加算又は乗算してもよい。迂回想定時間Tbpsが、更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和以下でない場合(S104:FALSE)、ステップS105において、ナビゲーション装置22は、ラウンドアバウト300を1周する周回経路Rrndを追加する。
【0124】
続くステップS106において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarを維持して目標経路Rtarを更新し、
図8のステップS82に戻る。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0125】
迂回想定時間Tbpsが、更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和以下である場合(S104:TRUE)、ステップS108に進む。
【0126】
ステップS103に戻り、周回数Nが周回数閾値THn以下でない場合(S103:FALSE)、周回数Nが周回数閾値THnを上回り、車両10は、ラウンドアバウト300を十分な回数周回したと考えられる。その場合、ステップS107において、ナビゲーション装置22は、更新想定時間Tupが迂回想定時間Tbps以上であるか否かを判定する。換言すると、更新想定時間Tupと迂回想定時間Tbpsのどちらが長いかを比較する。更新想定時間Tupが迂回想定時間Tbps
以上の場合(S107:TRUE)、迂回想定時間Tbpsの方が更新想定時間Tupよりも短い。その場合、ステップS108において、ナビゲーション装置22は、迂回想定時間Tbpsに対応する新たな出口Enewに目標出口Etarを変更する。
【0127】
更新想定時間Tupが迂回想定時間Tbps以上でない場合(S107:FALSE)、更新想定時間Tupの方が迂回想定時間Tbpsよりも短い。その場合、ステップS109において、ナビゲーション装置22は、目標出口Etarを維持する。ステップS108又はS109の後、ステップS110において、ナビゲーション装置22は、目標経路Rtarを更新する。ADユニット40は、更新された目標経路Rtarに基づく目標軌道Ltarを生成する。
【0128】
<C−3.第3実施形態の効果>
以上のような第3実施形態によれば、第1・第2実施形態の効果に加えて又はこれに代えて、以下の効果を奏することができる。
【0129】
すなわち、第3実施形態において、目標出口Etarが複数の先行車330で詰まっている(走行制限事象Plimが生じている)と判定した場合(
図8のS86:TRUE)、経路生成部80(経路算出装置)は、当初想定時間Torgと、迂回想定時間Tbpsと、周回想定時間Trndとを算出する(S89〜S91)。また、経路生成部80は、当初想定時間Torgと周回想定時間Trndの和よりも、迂回想定時間Tbpsが短い場合(S92:TRUE)、別出口Eoの通過を含めるように目標経路Rtarを再設定する(S93、S94)。
【0130】
これにより、ラウンドアバウト300を1周周回して目標出口Etarの変化を考慮するよりも、別出口Eoを通過した方が早く基準地点Prefに到達することが見込まれる場合、後者を選択することで、早期に基準地点Prefに到達することが可能となる。
【0131】
第3実施形態において、車外カメラ60等の周辺環境検出部は、車両10の先行車330を検出する。また、経路生成部80(経路算出装置)は、目標出口Etarに止まっている先行車330の基準情報Ierefを取得する(
図8のS87)。さらに、経路生成部80は、ラウンドアバウト300の1周周回後に目標出口Etarに止まっている先行車330の比較情報Iecomを取得する(
図9のS97)。さらにまた、経路生成部80は、基準情報Ierefと比較情報Iecomとを比較して、先行車330の進み度合いDを判定する(S98)。加えて、経路生成部80は、目標出口Etarを通過して、目標経路Rtar上の基準地点Prefに到達する更新想定時間Tupを進み度合いDに基づいて算出する(S99)。また、経路生成部80は、ラウンドアバウト300の別出口Eoを通過して基準地点Prefに到達する迂回想定時間Tbpsを算出する(S101)。更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和よりも迂回想定時間Tbpsが長い場合(
図9のS104:FALSE)、経路生成部80は、目標経路Rtarを維持する。さらに、更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和よりも迂回想定時間Tbpsが短い場合(S104:TRUE)、経路生成部80は、別出口Eoを含めるように目標経路Rtarを再設定する(S108、S110)。
【0132】
これにより、ラウンドアバウト300の周回に伴う目標出口Etarの変化を考慮して、目標経路Rtarを維持又は再設定することが可能となる。
【0133】
第3実施形態において、経路生成部80(経路算出装置)は、迂回想定時間Tbpsが、更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和以下でない場合(S104:FALSE)(換言すると、更新想定時間Tupと迂回想定時間Tbpsの差が時間閾値THtを下回る場合)、ラウンドアバウト300を再度周回する(S105)。これにより、ラウンドアバウト300を再度周回することで、更新想定時間Tupの算出精度を向上することが可能となる。
【0134】
第3実施形態において、経路生成部80(経路算出装置)は、迂回想定時間Tbpsが、更新想定時間Tupと周回想定時間Trndの和以下でない状態(
図9のS104:FALSE)でのラウンドアバウト300の周回数Nが周回数閾値THnを上回った場合(S103:FALSE)、更新想定時間Tupと迂回想定時間Tbpsのうち短い方を含む目標経路Rtarを用いる(S107〜S110)。これにより、更新想定時間Tupについてある程度の算出精度が確保された状態では、より短いと思われる想定時間(更新想定時間Tup又は迂回想定時間Tbps)を用いて目標経路Rtarを選択可能となる。
【0135】
D.変形例
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0136】
<D−1.車両10>
[D−1−1.自動運転制御]
第1実施形態では、車両10が左側通行の場合を示した(
図4)。しかしながら、例えば、ラウンドアバウト関連処理に着目すれば、車両10が右側通行の場合にも適用可能である。第2・第3実施形態も同様である。
【0137】
[D−1−2.ラウンドアバウト関連処理]
第2実施形態では、目標出口Etarの通過実行及び通過回避のいずれも未確定の場合(
図6のS57:TRUE及びS59:TRUE)、ラウンドアバウト300を1周する分の周回経路Rrndを追加した(S64)。しかしながら、例えば、目標出口Etarにおいて走行制限事象Plimが生じていると判定した場合に、別出口Eoの迂回想定時間Tbpsを算出して用いる観点からすれば、これに限らない。
【0138】
例えば、ラウンドアバウト300の周回方向(
図4では時計回り)に向かって目標出口Etar(例えば出口E4)の隣りにある別出口Eo(例えばE5)までの周回経路Rrndを追加すると共に、別出口Eoの迂回想定時間Tbpsを算出して当初想定時間Torgと比較してもよい。その結果、別出口Eoを新たな目標出口Etarとしない場合、さらに隣の別出口Eo(例えば出口E6)までの周回経路Rrndを追加すると共に、別出口Eoの迂回想定時間Tbpsを算出して当初想定時間Torgと比較してもよい。そのような処理を繰り返してもよい。第3実施形態も同様である。
【0139】
第3実施形態(
図8のS92)では、迂回想定時間Tbpsと、当初想定時間Torg及び周回想定時間Trndの和とを比較した。しかしながら、当初想定時間Torgと迂回想定時間Tbpsに対して、周回想定時間Trndが比較的短い場合、周回想定時間Trndを省略することも可能である。すなわち、当初想定時間Torgと迂回想定時間Tbpsとを比較してもよい。
図9のステップS104も同様である。
【0140】
<D−2.その他>
上記各実施形態では、
図3、
図5〜
図9に示すフローを用いた。しかしながら、例えば、本発明の効果を得られる場合、フローの内容(各ステップの順番)は、これに限らない。例えば、
図6のステップS64とステップS65の順番を入れ替えることが可能である。
【0141】
第2実施形態では、数値の比較において等号を含む場合と含まない場合とが存在した(
図7のS69等)。しかしながら、例えば、等号を含む又は等号を外す特別な意味がなければ(換言すると、本発明の効果を得られる場合)、数値の比較において等号を含ませるか或いは含ませないかは任意に設定可能である。
【0142】
その意味において、例えば、
図7のステップS69における進み度合いDが進み度合い閾値THd以下であるか否かの判定(D≦THd)を、進み度合いDが進み度合い閾値THdより小さいか否かの判定(D<THd)に置き換えることができる。