特許第6802786号(P6802786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802786パーソナルケア機器のための識別を有するアタッチメント及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802786
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】パーソナルケア機器のための識別を有するアタッチメント及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20201214BHJP
   A61C 17/32 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A61C17/22 B
   A61C17/32 A
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-512973(P2017-512973)
(86)(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公表番号】特表2017-530752(P2017-530752A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】IB2015056073
(87)【国際公開番号】WO2016042427
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年6月14日
(31)【優先権主張番号】62/050,788
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】バックス ピーテル ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デール カムプ ヘルトルド リエッテ
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0237720(US,A1)
【文献】 特開2009−219756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22−17/40
B26B 19/00−19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ及び駆動シャフトを含むハンドルと、
アタッチメントの近位端と遠位端との間に延在する主軸を具備する本体部を持つアタッチメントであって、前記近位端は、前記駆動シャフトに結合し、前記アタッチメントは、所与の励振に応答する少なくとも1つの識別可能な共振周波数を持つ質量ばね識別可能アセンブリを含み、前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する、前記アタッチメントと、
前記所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘って前記アクチュエータを介して前記アタッチメントを制御するコントローラであって、前記コントローラは、少なくとも検出モードにおいて、前記所与の励振に応答する前記質量ばね識別可能アセンブリの前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出することにより、前記アタッチメントを一意に認識する前記コントローラと、
を有し、
前記質量ばね識別可能アセンブリは、前記主軸に中心を持つとともにリーフスプリングを介して前記本体部に機械的に結合されたリング部を持つ別個の質量ばねコンポーネントを含むリング質量ばねコンポーネントを有する、パーソナルケア機器。
【請求項2】
前記アクチュエータが、主コイルを持つ永久磁石共振アクチュエータを有し、前記主コイルを持つ永久磁石共振アクチュエータが、センサ装置として動作可能である、請求項1記載のパーソナルケア機器。
【請求項3】
前記コントローラが、前記質量ばね識別可能アセンブリの識別可能な共振周波数の存在の検出において、前記センサ装置として、前記主コイルを持つ永久磁石共振アクチュエータを使用する、請求項2記載のパーソナルケア機器。
【請求項4】
前記リーフスプリングが、(i)前記リング部の外周面から放射状に外側に延在するリーフスプリングと、(ii)前記主軸に沿った方向において前記リング部の少なくとも1つの表面から延在するリーフスプリングと、からなるグループから選択される1つを有する、請求項記載のパーソナルケア機器。
【請求項5】
前記質量ばね識別可能アセンブリが、前記質量ばね識別可能アセンブリの前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応する前記本体部の共振モードを示す三次元構成の特徴部を有する、請求項1記載のパーソナルケア機器。
【請求項6】
前記ハンドル内で前記駆動シャフトに隣接して配置されるセンサコイルを更に有し、前記コントローラが、前記質量ばね識別可能アセンブリの識別可能な共振周波数の存在の検出において前記センサコイルを使用する、請求項1記載のパーソナルケア機器。
【請求項7】
前記コントローラが、ユーザモードにおいて、前記質量ばね識別可能アセンブリの前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出する前記検出モードにより前記アタッチメントを一意に認識することに応答して、(i)パーソナライズされたユーザ設定の自動選択、(ii)ユーザ挙動のモニタリング、(iii)履歴データの収集、及び、(iv)それらの任意の組み合わせ、からなるグループから選択される前記パーソナルケア機器の少なくとも1つの動作を実行する、請求項1記載のパーソナルケア機器。
【請求項8】
前記コントローラが前記アタッチメントを制御する前記所定の周波数範囲が、(i)第1の周波数と、(ii)前記第1の周波数よりも高い第2の周波数との間で生じる主機能周波数を更に含み、前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数が、(i)前記第1の周波数よりも小さい共振周波数、(ii)前記第2の周波数よりも大きい共振周波数、及び、(iii)前記パーソナルケア機器の前記主機能周波数によって検出が妨害されない共振周波数、からなるグループから選択される少なくとも1つの共振周波数を有する、請求項1記載のパーソナルケア機器。
【請求項9】
アクチュエータ及び駆動シャフトを含むハンドルと、所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘って前記アクチュエータを介してアタッチメントを制御するコントローラであって、前記コントローラは、少なくとも検出モードにおいて、前記所与の励振に応答する前記アタッチメントの少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出することにより、前記アタッチメントを一意に認識する前記コントローラと、を有するパーソナルケア機器のための前記アタッチメントであって、
前記アタッチメントの近位端と遠位端との間に延在する主軸を具備する本体部であって、前記近位端は、前記パーソナルケア機器の前記アクチュエータの前記駆動シャフトに結合する、前記本体部
記所与の励振に応答する少なくとも1つの識別可能な共振周波数を持つ質量ばね識別可能アセンブリであって、前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する、前記質量ばね識別可能アセンブリと、を有し
前記質量ばね識別可能アセンブリは、前記主軸に中心を持つとともにリーフスプリングを介して前記本体部に機械的に結合されたリング部を持つ別個の質量ばねコンポーネントを含むリング質量ばねコンポーネントを有する、アタッチメント。
【請求項10】
前記リーフスプリングが、(i)前記リング部の外周面から放射状に外側に延在するリーフスプリングと、(ii)前記主軸に沿った方向において前記リング部の少なくとも1つの表面から延在するリーフスプリングと、からなるグループから選択される1つを有する、請求項記載のアタッチメント。
【請求項11】
前記質量ばね識別可能アセンブリが、前記質量ばね識別可能アセンブリの前記少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応する前記本体部の共振モードを示す三次元構成の特徴部を有する、請求項記載のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、一般的に、パーソナルケア機器に関し、より具体的には、パーソナルケア機器の質量ばね識別可能アタッチメント及びその実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気又は電動歯ブラシでは、ブラシヘッドなどのアタッチメントを駆動するために共振駆動がしばしば適用される。電動歯ブラシにおいて共振駆動を使用することにより、200Hz乃至400Hzの動作周波数に達することが可能になる。電動歯ブラシの共振システムは、アクチュエータによって駆動される機械的質量ばねを有する。電動歯ブラシの電子駆動回路は、その共振に近い共振システムを動作させ、これにより、ストローク安定性及びブラシヘッドの効率が、可能な限り高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電動歯ブラシは、一般に、使い捨てブラシヘッドを利用する。使い捨てブラシヘッドは、1人の人間が使用するためのものである。しかしながら、電動歯ブラシのハンドルは、所与の家庭において複数の人によって使用され得る。後者の場合、各人は、自分の使い捨てブラシヘッドを認識しなければならない。ユーザを補助するために、使い捨てブラシヘッドには、異なる色のリングなどの特定の識別マークが付されることがある。
【0004】
電動歯ブラシのブラシヘッドとハンドルとの間の情報をどのように伝達することができるかについて、様々な方法が規定されている。或る方法では、導電性接続、又は、無線リンクが使用され得る。他の方法では、データ転送のために光学システムが使用され、又は、結合(即ち、磁気)フィールドで動作するシステムが使用され得る。かかる方法の主な欠点は、電動歯ブラシなどのパーソナルケア機器としては高価であり、及び/又は、多くのスペースを必要とすることである。
【0005】
従って、当該技術における上記問題を克服するための改善された方法及び装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
或る態様によれば、ハンドル、アタッチメント、及び、コントローラを有するパーソナルケア機器が開示される。ハンドルは、アクチュエータと、駆動シャフトと、を含む。アタッチメントは、その近位端と遠位端との間に延在している主軸を具備する本体部を持ち、前記近位端は、駆動シャフトに結合する。アタッチメントは、所与の励振に応答する少なくとも1つの識別可能な共振周波数を持つ質量ばね識別可能アセンブリを含み、少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する。コントローラは、所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘ってアクチュエータを介してアタッチメントを制御するように構成される。コントローラは、少なくとも検出モードにおいて、所与の励振に応答するアタッチメントの質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出することにより、アタッチメントを一意に認識するように構成される。
【0007】
他の態様によれば、アクチュエータは、主コイルを持つ永久磁石共振アクチュエータを有し、主コイルを持つ永久磁石共振アクチュエータは、センサ装置として動作可能である。さらに、コントローラは、質量ばね識別可能アセンブリの識別可能な共振周波数の存在の検出において、センサ装置として、主コイルを持つ永久磁石共振アクチュエータを使用するように更に構成される。
【0008】
他の態様によれば、質量ばね識別可能アセンブリは、(i)別個の質量ばねコンポーネント、及び、(ii)三次元構成(即ち、三次元形状)の本体部からなるグループから選択される少なくとも1つを有する。別個の質量ばねコンポーネントを有する質量ばね識別可能アセンブリの或る実施形態に関して、別個の質量ばねコンポーネントは、主軸に中心を持つとともにリーフスプリングを介して本体部に機械的に結合されたリング部を含むことができる。更なる実施形態では、リーフスプリングが、(i)リング部の外周面から放射状に外側に延在するリーフスプリングと、(ii)主軸に沿った方向においてリング部の少なくとも1つの表面から延在するリーフスプリングと、からなるグループから選択される1つを有する。
【0009】
更に他の実施形態では、三次元構成の本体部を有する質量ばね識別可能アセンブリに関して、三次元構成の本体部が、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応する本体部の共振モードを示すように構成された少なくとも1つの特徴を含む。
【0010】
他の実施形態によれば、パーソナルケア機器は、ハンドル内で駆動シャフトに隣接して配置されるセンサコイルを更に有する。この実施形態に関して、コントローラは、質量ばね識別可能アセンブリの識別可能な共振周波数の存在を検出する際にセンサコイルを用いるように更に構成される。
【0011】
更に他の実施形態によれば、パーソナルケア機器のコントローラが、ユーザモードにおいて、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出する検出モードによりアタッチメントを一意に認識することに応答して、パーソナルケア機器の少なくとも1つの動作又は機能を実行するように更に構成される。或る実施形態では、ユーザモードは、(i)パーソナライズされたユーザ設定の自動選択、(ii)ユーザ挙動のモニタリング、(iii)履歴データの収集、及び、(iv)それらの任意の組み合わせ、からなるグループから選択される少なくとも1つを有する。
【0012】
更なる実施形態によれば、コントローラが、少なくとも検出モードにおいて、少なくとも2つの別個の使い捨てユニットのうちの1つを有するアタッチメントを認識するように構成されている、パーソナルケア機器である。
【0013】
他の実施形態では、コントローラがアタッチメントを制御する所定の周波数範囲が、主機能周波数を更に有し、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数が、主機能周波数によって阻害されないように選択される共振周波数を有する。(i)第1の周波数と、(ii)第1の周波数よりも高い第2の周波数(例えば、200Hz乃至300Hz)との間で生じる主機能周波数のため、少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、(i)第1の周波数よりも小さい共振周波数(例えば、<200Hz)、(ii)第2の周波数よりも大きい共振周波数(例えば、>300Hz)、及び、(iii)主機能周波数においてパーソナルケア機器の動作と関連付けられた電力伝達からその検出が影響を受けない共振周波数、からなるグループから選択される少なくとも1つの共振周波数を有する。
【0014】
パーソナルケア機器の文脈では、本開示の実施形態は、ユーザだけでなく、パーソナルケア機器ハンドルが使い捨てアタッチメントを認識することを有利に可能にする。そうすることで、幾つかの可能性が開かれる。或る可能性では、ハンドルは、使い捨てアタッチメントの状態(例えば、寿命、累積動作時間、又は、アタッチメント挙動)に関してユーザにフィードバックを与えることができる。別の可能性では、ハンドルは、使い捨てアタッチメントがハンドルに接続されるとすぐに、特別な個人設定(例えば、専用の動き、動きの振幅又は周波数)を自動的に選択することができる。更に他の可能性では、ハンドルは、使用挙動を監視することもできる(例えば、親が、子供がどのくらい頻繁に、及び/又は、どれくらいの期間、歯磨きしているかを知ることができる)。
【0015】
他の態様によれば、その近位端と遠位端との間に延在している主軸を具備する本体部を有し、近位端が、パーソナルケア機器のアクチュエータの駆動シャフトに結合する、パーソナルケア機器のためのアタッチメントが開示される。アタッチメントは、本体部に結合された、又は、本体部に結合された、質量ばね識別可能アセンブリを更に有し、質量ばね識別可能アセンブリは、所与の励振に応答する少なくとも1つの識別可能な共振周波数を持ち、少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する。アタッチメントは、好ましくは、機器と相互作用するように配置され、パーソナルケア機器のコントローラは、所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘って、アクチュエータを介して本体部及び質量ばね識別可能アセンブリを制御するように構成される。コントローラは、少なくとも検出モードにおいて、所与の励振に応答するアタッチメントの質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出することによってアタッチメントを一意に認識するように更に構成される。
【0016】
アタッチメントに関する他の実施形態では、質量ばね識別可能アセンブリが、(i)別個の質量ばねコンポーネント、及び、(ii)三次元構成の本体部からなるグループから選択される少なくとも1つを有する。質量ばね識別可能アセンブリが別個の質量ばねコンポーネントを有する実施形態では、別個の質量ばねコンポーネントが、主軸に中心を持つとともにリーフスプリングを介して本体部に機械的に結合されるリング部を含むことができる。更なる実施形態では、リーフスプリングが、(i)リング部の外周面から放射状に外側に延在するリーフスプリングと、(ii)主軸に沿った方向においてリング部の少なくとも1つの表面から延在するリーフスプリングと、からなるグループから選択される1つを有する。更に他の実施形態では、質量ばね識別可能アセンブリが、三次元構成の本体部を有し、三次元構成の本体部が、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応する本体部の共振モードを示す少なくとも1つの特徴を含む。
【0017】
アタッチメントに関する更なる実施形態では、アクチュエータを介してコントローラがアタッチメントの本体部及び質量ばね識別可能アセンブリを制御する所定の周波数範囲が、主機能周波数を更に有し、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数が、主機能周波数によって阻害されないように選択される共振周波数を有する。(i)第1の周波数と、(ii)第1の周波数よりも高い第2の周波数との間の主機能周波数のため、少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、(i)第1の周波数よりも小さい共振周波数、(ii)第2の周波数よりも大きい共振周波数、及び、(iii)主機能周波数においてパーソナルケア機器の動作と関連付けられた電力伝達からその検出が影響を受けない共振周波数、からなるグループから選択される少なくとも1つの共振周波数を有する。
【0018】
更に他の実施形態によれば、パーソナルケア機器において質量ばね識別を実装する方法が開示される。当該方法は、アクチュエータ及び駆動シャフトを含むハンドルを供給するステップを有する。さらに、当該方法は、その近位端と遠位端との間に延在している主軸を具備する本体部を持つアタッチメントを供給するステップを有し、前記近位端は、駆動シャフトに結合し、アタッチメントは、所与の励振に応答する少なくとも1つの識別可能な共振周波数を持つ質量ばね識別可能アセンブリを更に含み、少なくとも1つの識別可能な共振周波数が、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する。上記方法は、アクチュエータ及びコントローラを介して、所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘ってアタッチメントを制御するとともに、少なくとも検出モードにおいて、所定の励振に応答するアタッチメントの質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出することによりアタッチメントを一意に認識するように制御するステップを更に有する。
【0019】
上記方法の更に他の実施形態によれば、質量ばね識別可能アセンブリが、(i)別個の質量ばねコンポーネント、(ii)リング部、及び、(iii)三次元構成の本体部からなるグループから選択される少なくとも1つを有する。リング部を有する質量ばね識別可能アセンブリに関して、リング部は、主軸に中心を持つとともにリーフスプリングを介して本体部に機械的に結合される。リーフスプリングは、(i)リング部の外周面から放射状に外側に延在するリーフスプリングと、(ii)主軸に沿った方向においてリング部の少なくとも1つの表面から延在するリーフスプリングと、からなるグループから選択される1つを有する。三次元構成の本体部を有する質量ばね識別可能アセンブリに関して、三次元構成の本体部は、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応する本体部の共振モードを示すように構成される少なくとも1つの特徴を含む。さらに、コントローラがアタッチメントを制御する所定の周波数範囲が、主機能周波数を更に有し、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数が、主機能周波数によって阻害されないように選択された共振周波数を有する。(i)第1の周波数と、(ii)第1の周波数よりも高い第2の周波数との間の主機能周波数のため、少なくとも1つの識別可能な共振周波数が、(i)第1の周波数よりも小さい共振周波数、(ii)第2の周波数よりも大きい共振周波数、及び、(iii)主機能周波数においてパーソナルケア機器の動作と関連付けられた電力伝達からその検出が影響を受けない共振周波数、からなるグループから選択される少なくとも1つの共振周波数を有する。
【0020】
本開示の実施形態は、使い捨てアタッチメントを認識するための安価な解決策を提供するという問題を有利に解決し、当該解決策は多くの余分なスペースを必要としない。
【0021】
以下の詳細な説明を読み理解することにより、更なる利点及び利益が当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の実施形態は、様々な構成要素及び構成要素の配置において、並びに、様々なステップ及びステップの配置における形態をとることができる。従って、図面は、様々な実施形態を説明するためのものであり、実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。図面において、同様の参照符号は同様の要素を指す。さらに、図面は一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
図1図1は、本開示の一実施形態に係る、ハンドル部分と、ハンドル部に取り付け可能な質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメントと、を有するパーソナルケア機器の概略的な長手方向断面図である。
図2図2は、電気パーソナルケア機器の等価回路の概略図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメントを具備する電気パーソナルケア機器の等価回路の概略図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリ及びアタッチメントの斜視図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る、互いに結合された図4のアタッチメント及び質量ばね識別可能アセンブリの斜視図である。
図6図6は、本開示の他の実施形態に係る、結合されたアタッチメント及び質量ばね識別可能アセンブリの斜視図である。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る、図6のアタッチメント及び質量ばね識別可能アセンブリの断面斜視図である。
図8A図8Aは、本開示の実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメントの長手方向断面図である。
図8B図8Bは、本開示の実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメントの長手方向断面図である。
図9図9は、本開示の一実施形態に係る、質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメント及びセンサコイルを具備する電気パーソナルケア機器の等価回路の概略図である。
図10図10(A)は、グラフ表示であり、図10(B)は、質量ばね識別可能アセンブリを有さないアタッチメントの斜視図である。
図11図11(A)は、グラフ表示であり、図11(B)は、本開示の一実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメントの斜視図である。
図12図12は、本開示の一実施形態に係る方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態、並びに、その様々な特徴及びその有利な詳細が、図面及び以下の説明において詳細に説明及び/又は図示される非限定的な実施例を参照して、より完全に説明される。図面に図示された特徴は必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、或る実施形態の特徴は、本明細書に明示的に述べられていなくても、当業者が認識するであろう他の実施形態と共に使用され得ることに留意されたい。本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知の構成要素及び処理技術の説明が省略され得る。本明細書で使用される例は、本発明の実施形態が実施され得る方法の理解を容易にし、さらに当業者が同じことを実施することを可能にすることを意図したものである。従って、本明細書の実施例は、添付の特許請求の範囲及び適用法によってのみ定義される本開示の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0024】
本開示の実施形態は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、デバイス、装置、材料、用途などに限定されず、これらは変更され得ることが理解される。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するために使用され、特許請求される実施形態の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。
【0025】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示の実施形態が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及び材料と類似又は同等の任意の方法及び材料が、実施形態の実施又は試験において使用され得るが、好ましい方法、デバイス及び材料が記載される。
【0026】
本開示の一実施形態によれば、所定の質量ばね共振特性が、使い捨てブラシヘッドと共に用いられ、これは、電動歯ブラシハンドルの主アクチュエータを介して電動歯ブラシハンドルにおける制御電子機器によって認識され得る。この解決策の利点は、多くの余分なスペースを必要としない、異なる使い捨てブラシヘッドを認識するための非常に安価な方法を提供することである。他の実施形態によれば、所定の変更が毛側で、即ち、使い捨てブラシヘッドに対して行なわれる。使い捨てブラシヘッドは、その設計において、予め規定された質量ばね機構を備えており、これが、対応するブラシヘッドに特別な共鳴特性を与える。これと連動して、ハンドル側にも変更が実装される。ハンドル側の当該変更は、ソフトウェア及び電子機器(例えば、プリント回路基板(PCB)上のコイル)における変更を含む。
【0027】
ここで図1を参照すると、本開示の一実施形態に係る、ハンドル12とアタッチメント14とを有するパーソナルケア機器10の概略的な長手方向断面図が示されている。ハンドル12は、コントローラ16、アクチュエータ20、及び、駆動シャフト22を含む。駆動シャフト22は、その遠位端において、ハンドル12の外側に延在している。アタッチメント14は、その近位端と遠位端との間に延在する主軸32を具備する本体部30を持ち、アタッチメント14の近位端は、圧入又は他の適切な結合機構により、ハンドル12の遠位端から延在している駆動シャフト22に結合する。或る実施形態では、アタッチメント14は、その遠位端に配置される複数の毛38を含む。アタッチメント14は、所与の励振に応答する少なくとも1つの識別可能な共振周波数を持つ質量ばね識別可能アセンブリ40を更に含み、識別可能な少なくとも1つの共振周波数は、本明細書において更に議論されるように、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する。コントローラ16(例えば、バッテリ及び制御電子機器)は、アクチュエータ20を介してアタッチメント14を制御して、1又は複数の様々な機械的刺激(例えば、所与の共振周波数を持つ回転掃引運動)を生成するように構成される。コントローラ16は、さらに、少なくとも検出モードにおいて、所与の励振に応答してアタッチメント14の質量ばね識別可能アセンブリ40の少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出することによってアタッチメント14を一意に認識するように構成される。所与の励振は、複数の共振周波数のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
或る実施形態では、アクチュエータ20は、電気的領域から機械的領域にエネルギーを伝達する手段として機能する永久磁石共振アクチュエータを有する。さらに、永久磁石共振アクチュエータは、ジェネレータとしても機能することができ、機械的な速度及びトルクは、電気的領域における電圧及び電流として認識され得る。従って、永久磁石共振アクチュエータは、パーソナルケア機器10、即ち、アタッチメント14に接続される負荷の機械的特性を感知する測定装置として使用され得る。より具体的には、アクチュエータ20は、主コイル(図示省略)を持つ永久磁石共振アクチュエータを有し、主コイルを有する永久磁石共振アクチュエータは、検出装置として動作可能である。加えて、コントローラ16は、以下更に議論されるように、例えば、駆動シャフト22に結合されるアタッチメント14の質量ばね特性に対応している、質量ばね識別可能アセンブリ40の識別可能な共振周波数の存在を検出する際に、主コイルを有する永久磁石共振アクチュエータを検出装置として使用するように更に構成される。換言すれば、コントローラ16は、主コイルを有する永久磁石共振アクチュエータを、アタッチメント14の識別可能な共振周波数を決定するためのセンサ装置として使用する。
【0029】
図1によれば、一実施形態では、アタッチメント14は、所与の有用な寿命又は使用期間の後に交換されることになる交換可能なアタッチメントを有する。パーソナルケア機器10は、例えば、電動歯ブラシを有することができる。
【0030】
さらに、パーソナルケア機器10は、(i)オフ状態と、(ii)少なくとも1つの作動オン状態と、の間で動作可能な起動機構26(例えば、ボタン、スイッチなど)を更に有する。少なくとも1つの作動オン状態は、ケアルーチン及び/又は操作と関連して所与のアタッチメントを一意的に認識することに関して適切な手順及び/又は制御ルーチンを含む。勿論、この機能を実行するために、起動機構26とは別個のアクチュエータ(図示省略)を採用することもできる。
【0031】
一実施形態では、コントローラ16は、所与のパーソナルケア機器ユーザルーチンの要求に従って、所望の機械的刺激を生成するために、アクチュエータ20の1又は複数の動作を制御するためのモータコントローラを更に有する。他の実施形態では、コントローラは、オフ状態と、(i)第1のパーソナルケア機器ユーザルーチン及び(ii)第2のパーソナルケア機器ユーザルーチンのうちの少なくとも1つと、の間でアクチュエータの動作を制御するように構成される。
【0032】
図2は、典型的な共振アクチュエータ20の単純な等価回路表現44を図示している。機械的な効果は、同等の電気的構成要素として(例えば、電気記号R、L、C、Load(負荷)を使用して)与えられる。さらに、アクチュエータ20の入力インピーダンスは、電気的構成要素に依存するだけでなく、機械的構成要素にも依存する。従って、アクチュエータ入力における電気インピーダンスは、その出力に取り付けられた機械部品の関数でもある。等価回路表現44は、電気ドライバ46、アクチュエータ抵抗RACT、アクチュエータインダクタンスLACT、変圧器(K:1)、ばね、ロータ容量CROTOR、アタッチメント容量CATTACH、及び、プロセス負荷(PROCESS LOAD)を含む。この等価回路表現を用いて、アクチュエータの出力における機械的な質量ばねシステムの共振周波数が、アクチュエータ入力インピーダンスにおいて検出可能である。
【0033】
アクチュエータの電気的、磁気的、及び、機械的特性が周知であれば、インピーダンスからアタッチメント(例えば、ブラシヘッド)の質量慣性モーメントを導出することが可能になる。このようにして、アクチュエータは、アクチュエータ20の出力に結合されたアタッチメントの特性を決定するために、一種のセンサとして使用される。
【0034】
本開示の実施形態によれば、本発明の発明者は、この方法によって十分に測定することができるパーソナルケア機器のブラシヘッドに特定の機械的特性を加える方法を発見した。様々なアタッチメントが異なる共振周波数の質量ばねを有する場合、アタッチメントは、当該測定方法によって互いに区別されることができる。或る実施形態では、コントローラがアタッチメントを制御する所定の周波数範囲は、(i)第1の周波数と、(ii)第1の周波数よりも高い第2の周波数(例えば、200Hz乃至300Hz)と、の間の範囲にある主機能周波数と、(i)第1の周波数よりも低い共振周波数(例えば、<200Hz)、及び、(ii)第2の周波数よりも大きな共振周波数(例えば、>300Hz)からなるグループから選択される範囲内の識別可能な共振周波数と、を有する。パーソナルケア機器の特定の実施例によれば、他の周波数及び他の範囲が可能である。さらに、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、主機能周波数によって妨害されないように選択された共振周波数を有することができる。換言すれば、質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、その検出が主機能周波数でのパーソナルケア機器の動作に関連する電力伝達から免れる共振周波数を有することができる。
【0035】
図3では、本開示の一実施形態に係るシリーズLC40によって表される質量ばね識別可能アセンブリを含むアタッチメントを具備するパーソナルケア機器の概略的な等価回路表現に質量ばねシステムが追加されている。
【0036】
以下に説明されるように、質量ばね識別可能アセンブリ40は、(i)リング質量ばね構成要素、及び、(ii)三次元構成(即ち、形状)の本体部30(30A,30B)、からなるグループから選択される少なくとも1つを有する。リング部51を含むばねコンポーネント50を有する質量ばね識別可能アセンブリ40に関して、リング部51は、主軸32を中心としてセンタリングされ、リーフスプリング52を介して本体部30に機械的に結合される。更なる実施形態では、リーフスプリング52は、(i)リング部51の外周面から半径方向外側に延びるリーフスプリング52、及び、(ii)主軸に沿った方向においてリング部51の少なくとも1つの表面から延在するリーフスプリング52からなるグループから選択される1つを有する。他の実施形態では、質量ばね識別可能アセンブリ40は、(質量ばねのように作用する)クリックにより認識可能な物体を有することができる。かかるクリックにより認識可能な物体の形状は、必ずしもリング状である必要はなく、その共振周波数が認識可能である限り、任意の形状であってもよい。任意の固形物は、固有の共振周波数(モード)を持つ。本開示の実施形態は、認識されるこれらの周波数を利用する。特に、アタッチメント(例えば、電動歯ブラシのためのブラシヘッド)は、アタッチメントの共振モードが所望の周波数で生じるように設計される。
【0037】
図4及び図5は、本発明のアタッチメント14及び質量ばね識別可能システム40の実施形態の斜視図である。質量ばね識別可能システム40は、リーフスプリング52を介してアタッチメント14に接続されるリング部51を含むばねコンポーネント50を有する。ばねコンポーネント50の当該設計は、慣性リング部51を保持する3つのリーフスプリング52を含む。図5は、本開示の一実施形態に従って結合されたアタッチメント14および質量ばね識別可能アセンブリ40の斜視図である。
【0038】
ここで図6を参照すると、本開示の別の実施形態に係る、結合されたアタッチメント14及び質量ばね識別可能アセンブリ40の斜視図が示されている。さらに、図7は、本開示の一実施形態に係る、図6のアタッチメント14及び質量ばね識別可能アセンブリ40の断面斜視図を示している。換言すれば、図6及び図7に示される構成では、図5に示された構成とは対照的に、質量ばねは、ブラシヘッドの内側部分内に配置され、カラーリング54のみが、ユーザ又は消費者に見えるようになる。図6及び図7の実施形態の利点は、アタッチメントの主要部分が同じままであり得て、(例えば、質量ばね「クリックオン」の形態で)質量ばね識別可能アセンブリ40のみが、ユーザ固有であることである。
【0039】
他の実施形態では、質量ばね識別可能アセンブリ40は、(図8A及び図8Bにおいて、一般的に、参照符号40A,40Bで示される)アタッチメント本体30の三次元構成の一部である。本体部の共振モードは、質量ばね識別可能アセンブリ40の少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応している(即ち、類似している)。質量ばね識別可能アセンブリ40は、本体部の三次元構成30A,30Bを有し、本体部の三次元構成は、質量ばね識別可能アセンブリ40の少なくとも1つの識別可能な共振周波数に対応する本体部の共振モードを示すように構成された少なくとも1つの特徴部40A,40Bを含む。
【0040】
ここで図8A及び図8Bを参照すると、本開示の他の実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリ40A,40Bを含むアタッチメント14A,14Bの長手方向断面図が示されている。様々な本体設計を導入することによって、本開示の実施形態は、本体設計30A,30Bを介して提供される特定の共振についても検出することができる。さらに、この実施形態は、消費者にとってより視覚的であろう。
【0041】
本明細書で前述した実施形態に関して、それらの実施形態は、インピーダンス測定に依存する。しかしながら、共振アクチュエータによって誘導される回路インピーダンスは、アクチュエータ抵抗及び自己インダクタンスによって支配され得る。結果として、追加された質量ばねシステムの共鳴ピークを区別することが困難になることがある。他の実施形態では、より可動部分に近い測定が実施される。特に、図9に関連して以下に説明されるように、機械的運動によって生じる時間変化する磁束を受け取るセンサコイルをアクチュエータ内に配置することによって、改良がなされ得る。アクチュエータは、質量ばね識別可能アセンブリ40の共振を検出するためのセンサコイル58を備えることができる。
【0042】
図9を参照すると、本開示の一実施形態に係る、質量ばね識別可能アセンブリ40及びセンサコイル58を含むパーソナルケア機器の等価回路図56が示されている。特に、センサコイルは、ハンドル内の駆動シャフトに隣接して配置され、コントローラは、質量ばね識別可能アセンブリの識別可能な共振周波数の存在を検出する際にセンサコイルを使用するように更に構成される。センサコイルは、質量ばね識別可能アセンブリ40の少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出するためにコントローラによって利用される。
【0043】
センサコイル58は、磁気システムに結合されており、これにより、可動部品から時変磁束を最適に受け取る。このセンサコイルにおける電流がゼロであるため、センサコイルの抵抗(R)及び自己インダクタンス(L)は信号に影響しない。しかしながら、センサコイルは、主コイルに結合される。それにもかかわらず、追加された質量ばね識別可能アセンブリ40の共鳴ピークは、今よりよく見え、即ち、識別可能である。
【0044】
掃引発生器62は、共振が予想される範囲に亘って周波数掃引を実行する。これらの共振周波数は、好ましくは、システムの主共振より高いか又は低いように選択される。このようにして、パーソナルケア機器の動作共振は、周波数掃引測定を妨害しない。換言すれば、本開示の実施形態の追加された質量ばね識別可能アセンブリ40の識別可能な共振周波数は、パーソナルケア機器の主機能共振が識別可能な共振周波数の検出を妨害しないように選択される。従って、識別可能な共振周波数は、その検出が主機能周波数におけるパーソナルケア機器の動作に関連する電力伝達から免れる共振周波数として選択される。
【0045】
図10は、質量ばね識別可能アセンブリを備えていないアタッチメントのグラフ表示図(即ち、周波数掃引測定)(図10A)及び斜視図(図10B)である。図11は、本開示の一実施形態に係る質量ばね識別可能アセンブリ40を含むアタッチメントのグラフ表示図(即ち、周波数掃引測定)(図11A)及び斜視図(図11B)である。図10Aは、図10Bの質量ばね識別可能アセンブリのないアタッチメントの100Hz乃至1000Hzの周波数範囲に亘る電圧利得(dB)曲線64を示す。図11Aは、図11Bの質量ばね識別可能アセンブリ40を用いたアタッチメントの100Hz乃至1000Hzの周波数範囲に亘る電圧利得(dB)曲線66を示す。両方の図において、通常の動作は、200Hz乃至300Hzの間、より具体的には、約260Hz乃至約290Hzの間の、図10A及び図11Aに示される大きい共振ピーク65の近傍の主機能周波数において行なわれる。
【0046】
図11Aでは、質量ばね識別可能アセンブリの追加により、センサコイルによって検知される電圧利得66に共振ピーク68が追加されることが明確に分かる。消費者は、短時間しか使用せず、例えば、ブラシヘッドが既にユーザの口の中にある前又は途中のいずれかで行なうことができるので、この「測定スイープ」にほとんど気付かない。図11Aの図は、1つの例に過ぎない。他の共振ピークが可能であり、即ち、少なくとも2つの異なる共振ピークが、少なくとも2つのアタッチメントを区別するために実装される。さらに、パーソナルケア機器のコントローラによる検出モードの特定の実施は、特定のパーソナルケア機器アプリケーションの要件に従って決定される。例えば、検出モードの周波数掃引の実行は、ユーザによるパーソナルケア機器の使用に先立って、即ち、パーソナルケア機器がユーザによってピックアップされたことに応答して実施することができる。ピックアップされるハンドルの動きを感知するために、動き検出器をハンドル内に含めることができる。別の可能性は、モーショントリガを感知するモーションセンサ及び未だオンにされていないパーソナルケア機器に応答して毎秒検出掃引を実行することである。さらに別の可能性は、ユーザが別のブラシヘッドを装着したことに応答して、即ち、通常の軸力よりも高い軸力を検出したことに応答して検出掃引を行なうことである。検出モードの他の実装も可能である。
【0047】
再び図10及び図11を参照すると、パーソナルケア機器アクチュエータの周波数掃引測定値が示されている。測定された伝達は、主コイル電圧からセンサコイル電圧までである。図10Aのグラフは、(質量ばね識別可能アセンブリのない)通常のアタッチメントを具備するアクチュエータの結果を示し、図11Aのグラフは、質量ばねシステムを備えたアタッチメントを具備するアクチュエータに対応している。実際の用途では、或る実施形態では、コントローラは、パーソナルケア機器のオンボタンの検出された作動に応答して直接的に検出掃引を実行するようにアクチュエータを駆動する。検出掃引が終了し、コントローラがアタッチメント検出を完了した後、コントローラは再び通常のブラッシング周波数でパーソナルケア機器の主アクチュエータをスイッチオンし、通常動作が開始する。
【0048】
また、本開示の実施形態の特定の動作周波数範囲の一実施形態が、図10A及び図11Aに示されている。参照番号65で示される約260Hzの大きな共振周波数ピークは、装置の通常使用動作周波数に近い(即ち、主機能周波数に近い)。図11Aは、質量ばね識別可能アセンブリ40を具備するアタッチメント14を識別する約850Hzの別の共振ピーク68を更に示している。
【0049】
更に他の実施形態によれば、パーソナルケア機器10のコントローラ16は、ユーザモードにおいて、質量ばね識別可能アセンブリ40の少なくとも1つの識別可能な共振周波数の存在を検出する検出モードによりアタッチメントを一意に認識することに応答してパーソナルケア機器の少なくとも1つの動作又は機能を実行するように更に構成され、少なくとも1つの識別可能な共振周波数は、少なくとも2つの異なる共振周波数から選択される共振周波数を有する。換言すれば、アタッチメント14の認識に応答して、コントローラ16は、認識されたアタッチメントの機能としてパーソナルケア機器の特定のユーザモードで動作する。或る実施形態では、ユーザモードは、(i)パーソナライズされたユーザ設定を自動的に選択すること、(ii)ユーザ行動を監視すること、(iii)履歴データを収集すること、及び、(iv)それらの任意の組み合わせ、からなるグループから選択される少なくとも1つを含む。過去のデータには、例えば、デバイスの摩耗データ、有効寿命などが含まれ得る。
【0050】
本明細書で上述した例では、システムは、少なくとも検出モードにおいて、少なくとも2つの別個の使い捨てブラシヘッドから選択されたブラシヘッドを含むアタッチメントを認識するように構成された電動歯ブラシに使用されている。しかしながら、このシステムは、共鳴アクチュエータ又はポンプを備えた他のパーソナルケア機器にも使用することができる。例えば、パーソナルケア用品は、「ユニット認識」を有するシェーバを含むことができる。電動シェーバに関して、コントローラは、少なくとも検出モードにおいて、少なくとも2つの別個の使い捨てシェーバユニットから選択されるシェーバユニットを含むアタッチメントを認識するように構成される。一実施形態では、使い捨てシェーバユニットは、切断要素を含む複数のシェーバヘッドの構成を備える。例えば、シェーバユニットは、3つのヘッドを含むことができる。他の構成も可能である。
【0051】
他の実施形態によれば、近位端と遠位端との間に延びる主軸32を有する本体部30を含むパーソナルケア機器10のためのアタッチメント14が開示されており、近位端は、パーソナルケア機器10のアクチュエータ20の駆動シャフト22に接続される。アタッチメント14は、本体部30に結合された、又は、本体部30と結合された、所与の励振に応答して少なくとも2つの識別可能な共振周波数のうちの1つを有する質量ばね識別可能アセンブリを有し、パーソナルケア機器10のコントローラ16は、アクチュエータ20を介して、所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘って本体部30及び質量ばね識別可能アセンブリ40を制御するように構成され、コントローラ16は、少なくとも検出モードにおいて、所与の励振に応答してアタッチメントの質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも2つの識別可能な共振周波数のうちの1つの存在を検出することによって、アタッチメント14を一意に認識するように更に構成される。
【0052】
アタッチメント14に関する更なる実施形態では、アクチュエータ20を介してコントローラ16が本体部30及び質量ばね識別可能アセンブリ40を制御する所定の周波数範囲が主機能周波数を更に有する。主機能周波数は、(i)第1の周波数と、(ii)第1の周波数よりも高い第2の周波数との間で生じ、少なくとも1つの識別可能な共振周波数の識別可能な共振周波数は、(i)第1の周波数よりも小さい共振周波数、(ii)第2の周波数よりも大きい共振周波数、及び、(iii)主機能周波数においてパーソナルケア機器の動作と関連付けられた動力伝達からその検出を妨げられない共振周波数、からなるグループから選択される少なくとも1つの共振周波数を有する。
【0053】
ここで図12を参照して、更に他の実施形態によれば、パーソナルケア機器に質量ばね識別を実装する方法70は、アクチュエータ及び駆動シャフトを含むハンドルを供給する動作を含む(ステップ72)。この方法は、質量ばね識別可能アセンブリを持つアタッチメントを駆動シャフトを介してハンドルに連結するステップ(ステップ74)を更に有する。アタッチメントは、所与の励振に応答して少なくとも2つの識別可能な共振周波数のうちの1つを持つ質量ばね識別可能アセンブリを更に含む。この方法は、アクチュエータ及びコントローラを介して、所与の励振を含む所定の周波数範囲に亘ってアタッチメントを制御し(ステップ76)、さらに、少なくとも検出モードにおいて、所与の励振に応答してアタッチメントの質量ばね識別可能アセンブリの少なくとも2つの識別可能な共振周波数の1つの存在を検出することによりアタッチメントを一意に認識するように更に制御する(ステップ78)。
【0054】
以上、幾つかの例示的な実施形態について詳細に説明したが、当業者は、本開示の実施形態の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解する。例えば、本開示の実施形態は、電動歯ブラシアプリケーションにおいて有利に使用することができる。従って、そのような変更の全ては、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の実施形態の範囲内に含まれることが意図される。特許請求の範囲において、means-plus-function節は、構造的均等物だけでなく、列挙された機能を実行するものとして本明細書に記載された構造をカバーすることを意図している。
【0055】
さらに、1又は複数の請求項の括弧内の参照符号は、請求項を限定するものと解釈されてはならない。「有する(comprising、comprises)」などの単語は、請求項又は明細書全体に列挙された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の単数の参照は、そのような要素の複数の参照を排除するものではなく、逆も同様である。1又は複数の実施形態は、幾つかの異なる要素を含むハードウェアによって、及び/又は、適切にプログラムされたコンピュータによって実装されてもよい。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12