(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802823
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】コンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20201214BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20201214BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20201214BHJP
H02K 9/04 20060101ALI20201214BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
F04D29/58 P
F04D29/58 S
H02K7/14 B
H02K11/30
H02K9/04 Z
H02K9/06 Z
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-116288(P2018-116288)
(22)【出願日】2018年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-7485(P2019-7485A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年6月19日
(31)【優先権主張番号】1709862.5
(32)【優先日】2017年6月20日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】カスラ ダネシュカー
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー ジョンソン
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第98/030790(WO,A2)
【文献】
特開2014−219006(JP,A)
【文献】
西独国特許出願公開第03710622(DE,A)
【文献】
国際公開第2016/174790(WO,A1)
【文献】
特開2013−046569(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02581009(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0298648(US,A1)
【文献】
特表2011−509375(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02733326(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
H02K 7/14
H02K 9/06
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサであって、
複数のステータ要素を含むステータ組立体と、
シャフトを含むロータ組立体と、
支持体と、
空気入口を含む外ケースと、を有し、
少なくとも1つのベアリング、永久磁石、及びインペラが前記シャフトに取付けられ、 前記支持体は、中空の細長い中央部を含み、前記少なくとも1つのベアリングは、前記細長い中央部に取付けられ、前記永久磁石は、前記細長い中央部の内側に位置決めされ、前記細長い中央部は、複数の開口を有し、前記外ケースの空気入口は、軸線方向に沿っており、前記細長い中央部の複数の開口と少なくとも部分的に整列する、コンプレッサ。
【請求項2】
前記空気入口は、軸線方向成分と半径方向成分の両方を有する方向の空気が前記コンプレッサに入る大きさを有する少なくとも1つの開口を含む、請求項1に記載のコンプレッサ。
【請求項3】
前記外ケースは、環状の空気流通路を形成するように、前記支持体から半径方向に離間する、請求項1又は2に記載のコンプレッサ。
【請求項4】
前記複数のステータ要素は、前記複数の開口の中を部分的に延び且つ前記環状の空気流通路の中に延びるように、前記支持体に固定される、請求項3に記載のコンプレッサ。
【請求項5】
プリント回路基板が、前記外ケースの端部に且つ前記空気入口の近くに取付けられる、請求項1〜4の何れか1項に記載のコンプレッサ。
【請求項6】
前記プリント回路基板に取付けられた比較的大きい電子構成要素が、前記空気入口を通って前記コンプレッサに入る空気のための空気通路の中に、前記プリント回路基板から延びる、請求項5に記載のコンプレッサ。
【請求項7】
使用の際、空気が、前記支持体の内側と外側の両方において、前記コンプレッサの中を軸線方向に流れる、請求項1〜6の何れか1項に記載のコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータが直面する最大の挑戦の1つは、使用中、電気モータの構成要素を低温に保つことである。コンプレッサの場合、コンプレッサによって発生した空気流は、電気モータのいくつかの構成要素を冷却するのに使用される。しかしながら、しばしば、コンプレッサの中を流れる空気流は、制限されることがあり、すべての構成要素を通り過ぎるように効果的に流れることはできない。したがって、コンプレッサの効率及び性能は、少数の構成要素にしか利用できない限定された冷却によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンプレッサ、例えば、真空掃除機内に見られるモータを、様々な仕方で改良する一般的な要望がある。特に、寸法、重量、製造コスト、性能、効率、信頼性、及びノイズに関する改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、コンプレッサを提供し、かかるコンプレッサは、複数のステータ要素を含むステータ組立体と、シャフトを含むロータ組立体と、支持体と、空気入口を含む外ケースを有し、少なくとも1つのベアリング、永久磁石、及びインペラがシャフトに取付けられる。支持体は、中空の細長い中央部を含み、少なくとも1つのベアリングは、細長い中央部に取付けられ、磁石は、細長い中央部の内側に位置決めされ、細長い中央部は、複数の開口を有し、外ケースの空気入口は、軸線方向に沿って、細長い中央部の複数の開口と少なくとも部分的に整列する。
【0005】
結果として、使用中にコンプレッサによって生じた空気流は、外ケースの空気入口から支持体の細長い中央部の開口を通って、コンプレッサに流入することが可能であり、使用中、磁石を冷却する。したがって、コンプレッサの構成要素の多くが、効果的に冷却され、コンプレッサの性能及び効率を向上させることができる。
【0006】
空気入口は、軸線方向成分と半径方向成分の両方を有する方向の空気がコンプレッサに入る大きさを有する少なくとも1つの開口を含む。その場合、冷却空気流は、支持体の細長い中央部の内側及び外側の両方においてコンプレッサのすべての内部構成要素の冷却を行うように、コンプレッサに入ることが可能である。
【0007】
外ケースは、環状の空気流通路を形成するように、支持体から半径方向に離間するのがよい。結果として、冷却空気流は、環状の通路の中を流れ、支持体の細長い中央部の中を流れる空気流に加えて、環状の空気流通路内に位置決めされた構成要素を冷却する。
【0008】
ステータ要素は、複数の開口の中を部分的に延び且つ環状の空気流通路の中に延びるように、支持体に固定される。結果として、ステータ要素は、支持体の細長い中央部の内側の空気流と、支持体と外ケースの間の通路を流れる環状の空気流の両方によって冷却される。これにより、ステータ要素に巻かれた巻線の全体的な冷却を行う。結果として、巻線は、比較的低温に保たれ、コンプレッサの性能及び効率を向上させる。
【0009】
プリント回路基板が、外ケースの端部に且つ空気入口の近くに取付けられるのがよい。プリント回路基板に取付けられた比較的大きい電子構成要素が、空気入口を通ってコンプレッサに入る空気のための空気通路の中に、プリント回路基板から延びるのがよい。結果として、プリント回路基板上の電気構成要素、特に比較的大きい構成要素は、使用中にコンプレッサに流入する空気流によって冷却される。これにより、コンプレッサの性能及び効率を更に向上させる。
【0010】
使用の際、空気が、支持体の内側と外側の両方において、コンプレッサの中を軸線方向に流れるのがよい。
【0011】
本発明をより容易に理解することができるように、添付図面を参照して、本発明の実施形態を例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図1に示した部分を含む組立られたコンプレッサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、コンプレッサ10の分解斜視図である。制御電子部品及び外ケース等のいくつかの構成要素は、明瞭のために図示していない。コンプレッサ10は、ロータ組立体12と、支持体14と、4つのステータ要素16、18、20、22を含むステータ組立体を有する。コンプレッサ10を組立てると、ロータ組立体12は、支持体14内に位置決めされ且つそれに取付けられ、ステータ要素はそれぞれ、支持体14の開口(スロット)内に位置決めされる。例えば、ステータ要素20は、支持体14の開口24内に位置決めされる。支持体14は、1部品構成であるのがよく、例えば、単一物として成形され、インペラを覆うインペラシュラウド26を含む。コンプレッサ10はまた、ディフューザ28を有する。
【0014】
ロータ組立体12は、シャフト30を有し、磁石32と、第1のバランスリング34と、第2のバランスリング36がシャフト30に取付けられる。ロータ組立体12を組立てると、1対のベアリングが、コア32及びバランスリング34、36の両側で、シャフト30に取付けられる。
図1では、1対のベアリングのうちの一方のベアリング38だけが見られる。インペラ42が、シャフト30の一方の端部に取付けられる。
【0015】
ステータ要素16、18、20、22を支持体14のそれぞれの開口内に位置決めするとき、開口の少なくとも一部分は、開いたままであり、ステータ要素によって邪魔されない。これにより、空気流が、開口から支持体14の中に流れ、ステータ要素を通過することを可能にする。コンプレッサを使用しているとき、この空気流は、支持体14の内側に位置決めされたロータ組立体12、特に磁石32、を冷却するのに使用されるのがよい。
【0016】
図2は、コンプレッサ100の断面図である。コンプレッサ100は、複数のステータ要素102、104を含むステータ組立体を有する。また、シャフト106を含むロータ組立体が設けられ、磁石108と、第1のベアリング110及び第2のベアリング112と、インペラ114が、シャフト106に取付けられ、第1のベアリング110及び第2のベアリング112は、磁石108の両端部のところでシャフト106に取付けられる。支持体116は、中空の細長い中央部を有する。複数の開口118が、中空の細長い本体に設けられ、ステータ要素102、104が開口118の中を部分的に延びる。ロータ組立体は、支持体116内に収容され、ベアリング110、112は、開口118の両端部のところで支持体116の一部分として形成されたベアリングシート120、122に取付けられる。したがって、ベアリング110とベアリング112の間にある磁石108は、支持体116の細長い中央部の中に位置決めされ、ステータ要素102、104と整列する。
【0017】
外ケース130が、コンプレッサ100の外側の周りに位置決めされる。外ケース130は、ハブ132を介してベアリングシート120の外面に取付けられることによって、支持体116に支持される。使用中に空気をコンプレッサ100によってコンプレッサ100の中に引くことを可能にする空気入口134が、外ケース130に設けられる。シュラウド136が、他方のベアリングシート122の外面に取付けられ、インペラ114を包囲する。外ケース130も、シュラウド136に取付けられる。空気通路138が、シュラウド136の周りに又はその中に設けられ、空気がインペラ114によってコンプレッサ100の中を通して引かれることを可能にする。ハブ132は、巻線端子ブロックとしても作用し、ステータ要素102、104の巻線が、電流を受入れるために、ハブ132に接続される。
【0018】
図2から分るように、外ケース130の空気入口134は、軸線方向に沿って、支持体116の開口118と整列する。これにより、空気がコンプレッサ100に流入し、支持体116の中に流れることを促進させ、使用中、支持体116の中に位置決めされた磁石108を冷却するのを助ける。実際、空気入口134は、かなり大きく、軸線方向成分と半径方向成分の両方を有する方向の空気がコンプレッサに流入することを促進させる。これにより、矢印A、Bで示すように、冷却空気流がコンプレッサ100の中を通して流れることを可能にする。冷却空気流Aは、支持体116と外ケース130の間の環状チャネルの中を通る。冷却空気流Bは、支持体の中に流れ、磁石108と支持体116の間を通る。ステータ要素102、104が開口118の中を部分的に延びているので、ステータ要素の巻線は、支持体116の内側と外側の両方の空気流によって冷却される。
【0019】
冷却空気流Bは、ステータ要素102、104を通過した後、支持体116の外に出て戻り、冷却空気流Aと合流する。次いで、合流した冷却空気流は、インペラ114によってシュラウド136を通り過ぎるように引かれ、空気流Cとしてコンプレッサ100の外に出る。
【0020】
図3は、組立てられたコンプレッサ200を示し、コンプレッサ200は、
図1に示す構成要素を含む。コンプレッサ200は、外ケース202を有し、外ケース202は、複数の大きい空気入口204を有し、コンプレッサ200は、使用中、空気を空気入口204から引く。プリント回路基板(PCB)210が、外ケース202の端部に且つ空気入口204の近くに取付けられる。コンプレッサ200の中に引かれる冷却空気流にプリント回路基板210が近いことは、プリント回路基板210及びそれに取付けられた電子構成要素を低温に保つことを助ける。
【0021】
図3から分るように、比較的大きい複数の電子構成要素、例えば、電子構成要素212、214は、空気入口204からコンプレッサ200に入る空気のための空気通路の中にプリント回路基板から実際に延びる程度に十分大きく、かくして、更に良好な冷却を電気構成要素に行う。比較的大きいこれらの電子構成要素は、改良された冷却が特に有効である電子構成要素であるのがよく、例えば、大きいコンデンサ、又は、電子スイッチのためのヒートシンクである。
【0022】
特定の実施形態を説明したけれども、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の変更を行ってもよいことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0023】
10、100、200 コンプレッサ
12 ロータ組立体
14、116 支持体
16、18、20、22、102、104 ステータ要素
24、118 開口
30、106 シャフト
32、108 磁石
38、110、112 ベアリング
42 インペラ
130、202 外ケース
134、204 空気入口