特許第6802825号(P6802825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802825
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ドア保持装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20201214BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20201214BHJP
   E05B 85/26 20140101ALI20201214BHJP
   E05B 85/04 20140101ALI20201214BHJP
   E05B 77/02 20140101ALI20201214BHJP
【FI】
   B60J5/04 X
   B60J5/00 M
   E05B85/26
   E05B85/04
   E05B77/02
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-151979(P2018-151979)
(22)【出願日】2018年8月10日
(65)【公開番号】特開2020-26213(P2020-26213A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高山 達也
(72)【発明者】
【氏名】堀田 与支彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知希
(72)【発明者】
【氏名】中里 大介
(72)【発明者】
【氏名】横川 純也
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−148877(JP,A)
【文献】 特開2001−277854(JP,A)
【文献】 特開2004−130962(JP,A)
【文献】 特開2014−015717(JP,A)
【文献】 米国特許第04307911(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60J 5/00
E05B 77/02
E05B 85/04
E05B 85/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体ドア枠の下側枠部に設けられるストライカと、前記ストライカと係合することによってドアを車体に対して閉扉状態に保持する本体部と、を備えるドア保持装置であって、
前記ストライカは、
前記下側枠部に取り付けられるベースと、
一対の軸部と、前記一対の軸部の先端部同士を連結している連結部とを有し、前記一対の軸部が前記ベースに立設されているループと、
フランジ部を先端部に有し、前記ベースに立設されているピンと、
を備え、
前記本体部は、
前記ドアのインナーパネルに取り付けられるブラケットと、
前記ブラケット上で回転可能であり、前記ループの内側を通って前記ループの一方の軸部と係合するラッチを含むロアロック装置と、
前記ブラケットに固定されており、前記ピンの前記フランジ部と係合する係合部材と、
を備え、
前記ループと前記ラッチとが係合し、且つ前記ピンと前記係合部材とが係合している状態で、前記ループの前記連結部の中心軸と、前記ラッチの回転面とは互いに平行であり、前記ピンの前記フランジ部の係合面と、前記係合部材の係合面とは互いに平行であり、
前記ブラケットの前記インナーパネルに対する取付面と、前記ラッチの前記回転面及び前記係合部材の前記係合面とは互いに傾斜している
ドア保持装置。
【請求項2】
請求項1記載のドア保持装置であって、
前記ベースの前記下側枠部に対する取付面と、前記ループの前記連結部の前記中心軸及び前記ピンの前記フランジ部の前記係合面とは互いに傾斜しているドア保持装置。
【請求項3】
車体ドア枠の下側枠部に設けられるストライカと、前記ストライカと係合することによってドアを車体に対して閉扉状態に保持する本体部と、を備えるドア保持装置であって、
前記ストライカは、
前記下側枠部に取り付けられるベースと、
一対の軸部と、前記一対の軸部の先端部同士を連結している連結部とをそれぞれ有し、前記一対の軸部が前記ベースに立設されている第1ループ及び第2ループと、
を備え、
前記本体部は、
前記ドアのインナーパネルに取り付けられるブラケットと、
前記ブラケット上で回転可能であり、前記第1ループの内側を通って前記第1ループの一方の軸部と係合する第1ラッチを含むロアロック装置と、
前記ブラケット上で回転可能であり、前記第2ループの内側を通って前記第2ループの一方の軸部と係合する第2ラッチと、
を備え、
前記第1ループと前記第1ラッチとが係合し、且つ前記第2ループと前記第2ラッチとが係合している状態で、前記第1ループの前記連結部の中心軸と、前記第1ラッチの回転面とは互いに平行であり、前記第2ループの前記連結部の中心軸と、前記第2ラッチの回転面とは互いに平行であり、
前記ブラケットの前記インナーパネルに対する取付面と、前記第1ラッチの前記回転面及び前記第2ラッチの前記回転面とは互いに傾斜している
ドア保持装置。
【請求項4】
請求項3記載のドア保持装置であって、
前記ベースの前記下側枠部に対する取付面と、前記第1ループの前記連結部の前記中心軸及び前記第2ループの前記連結部の前記中心軸とは互いに傾斜しているドア保持装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のドア保持装置であって、
前記本体部は、前記第2ラッチを回転付勢するトーションスプリングを備え、
前記ドアが閉じられる際に、前記第2ラッチは、前記第2ループに押圧されることによって第1方向に回転され、
前記トーションスプリングは、前記第1方向とは反対の第2方向に前記第2ラッチを回転付勢するドア保持装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項記載のドア保持装置であって、
前記ブラケットは、前記インナーパネルに係合することによって当該ブラケットを前記インナーパネルに対して位置決めするクリップを有するドア保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センターピラーレスの自動車が知られている。この種の自動車では、フロントドア及びリアドアが両開きに開閉可能に設けられる。各ドアはドア保持装置によって閉扉状態に保持され、ドア保持装置は、典型的には、車体ドア枠の下側枠部に設けられるループ状のストライカと、ドア下部に設けられ、ストライカと係合するラッチとを備える。
【0003】
特許文献1に記載されたドア保持装置は、車両側突時にドアが車室内側に侵入することを抑制するために、ドア下部に設けられたJ字状のメールフックと、車体ドア枠の下側枠部に設けられ、メールフックと係合するフィメールとをさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4557174号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のドア保持装置では、車両側突時の変形に伴ってドア下部が車体に対して上方に変位する場合に、ループ状のストライカとラッチとが局所的に係合する構成となっており、ストライカとラッチとの係合箇所に荷重が集中して破損する虞がある。メールフック及びフィメールの係合についても、メールフックがJ字状に形成されており、ドア下部が車体に対して上方に変位する場合に、メールフックが容易に変形してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ドア保持装置の耐荷重性を高め、ドアの車室内側への侵入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のドア保持装置は、車体ドア枠の下側枠部に設けられるストライカと、前記ストライカと係合することによってドアを車体に対して閉扉状態に保持する本体部と、を備えるドア保持装置であって、前記ストライカは、前記下側枠部に取り付けられるベースと、一対の軸部と、前記一対の軸部の先端部同士を連結している連結部とを有し、前記一対の軸部が前記ベースに立設されているループと、フランジ部を先端部に有し、前記ベースに立設されているピンと、を備え、前記本体部は、前記ドアのインナーパネルに取り付けられるブラケットと、前記ブラケット上で回転可能であり、前記ループの内側を通って前記ループの一方の軸部と係合するラッチを含むロアロック装置と、前記ブラケットに固定されており、前記ピンの前記フランジ部と係合する係合部材と、を備え、前記ループと前記ラッチとが係合し、且つ前記ピンと前記係合部材とが係合している状態で、前記ループの前記連結部の中心軸と、前記ラッチの回転面とは互いに平行であり、前記ピンの前記フランジ部の張り出し方向と、前記係合部材の係合面とは互いに平行であり、前記ブラケットの前記インナーパネルに対する取付面と、前記ラッチの前記回転面及び前記係合部材の前記係合面とは互いに傾斜している。
【0008】
また、本発明の一態様のドア保持装置は、車体ドア枠の下側枠部に設けられるストライカと、前記ストライカと係合することによってドアを車体に対して閉扉状態に保持する本体部と、を備えるドア保持装置であって、前記ストライカは、前記下側枠部に取り付けられるベースと、一対の軸部と、前記一対の軸部の先端部同士を連結している連結部とをそれぞれ有し、前記一対の軸部が前記ベースに立設されている第1ループ及び第2ループと、を備え、前記本体部は、前記ドアのインナーパネルに取り付けられるブラケットと、前記ブラケット上で回転可能であり、前記第1ループの内側を通って前記第1ループの一方の軸部と係合する第1ラッチを含むロアロック装置と、前記ブラケット上で回転可能であり、前記第2ループの内側を通って前記第2ループの一方の軸部と係合する第2ラッチと、を備え、前記第1ループと前記第1ラッチとが係合し、且つ前記第2ループと前記第2ラッチとが係合している状態で、前記第1ループの前記連結部の中心軸と、前記第1ラッチの回転面とは互いに平行であり、前記第2ループの前記連結部の中心軸と、前記第2ラッチの回転面とは互いに平行であり、前記ブラケットの前記インナーパネルに対する取付面と、前記第1ラッチの前記回転面及び前記第2ラッチの前記回転面とは互いに傾斜している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドア保持装置の耐荷重性を高め、ドアの車室内側への侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を説明するための、ドア保持装置が搭載される車両の一例を示す側面図である。
図2図1のドア保持装置とこのドア保持装置によって閉扉状態に保持されるドアの車室内側からみた側面図である。
図3図1のドア保持装置とこのドア保持装置によって閉扉状態に保持されるドアの平面図である。
図4図1のドア保持装置の斜視図である。
図5図1のドア保持装置のロアロック装置の内部構成を示す斜視図である。
図6図3のVI−VI線断面図である。
図7図3のVII−VII線断面図である。
図8図3のVIII−VIII線断面図である。
図9図1のドア保持装置とこのドア保持装置によって閉扉状態に保持されるドアの車室外側からみた側面図である。
図10】本発明の実施形態を説明するための、ドア保持装置の他の例の平面図である。
図11図10のドア保持装置の斜視図である。
図12図10のXII−XII線断面図である。
図13図10のXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において、車両の進行方向を車両前後方向とし、車両の走行面に平行な面内において車両前後方向に垂直な方向を車両幅方向(又は車両左右方向)とし、車両前後方向及び車両幅方向に垂直な方向を車両上下方向とする。
【0012】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、ドア保持装置が搭載される自動車の一例を示す。
【0013】
図1に示す自動車1は、センターピラーレスの自動車である。自動車1は、車体11の車両幅方向の少なくとも一方の側面部に車体ドア枠12を有する。車体ドア枠12は、センターピラーによって分割されることなく、車両前後方向に延びる1つの開口部である。
【0014】
車体ドア枠12内の車両前側にはフロントドア2が設けられており、車体ドア枠12内の車両後側にはリアドア3が設けられている。フロントドア2は、車体ドア枠12の前端部に設けられる一対のヒンジ14によって車体11に連結されており、この一対のヒンジ14を回転軸として図1の矢印A方向に開閉可能である。リアドア3は、車体ドア枠12の後端部に設けられる一対のヒンジ15によって車体11に連結されており、この一対のヒンジ15を回転軸として図1の矢印B方向に開閉可能である。
【0015】
ドア保持装置4Aは、車体ドア枠12の下側枠部13と、閉扉されたリアドア3のドア下部との間に配置されており、リアドア3はドア保持装置4Aによって閉扉状態に保持される。なお、ドア保持装置4Aは、例えばリアドア3の前端部又はリアドア3のインナーパネルに設けられるロック解除ノブ(不図示)に連結されており、このロック解除ノブに対する操作によってリアドア3の保持を解除可能である。
【0016】
フロントドア2は、フロントドア2の後端部と閉扉状態に保持されたリアドア3の前端部との間に配置されるロック装置(不図示)によって閉扉状態に保持される。なお、車体ドア枠12の下側枠部13と、閉扉されたフロントドア2のドア下部との間にドア保持装置が配置され、フロントドア2もまたドア保持装置によって閉扉状態に保持されてもよい。
【0017】
図2から図5は、ドア保持装置4Aの構成を示す。
【0018】
ドア保持装置4Aは、車体ドア枠12の下側枠部13(図1参照)に設けられるストライカ5Aと、リアドア3のドア下部に設けられ、ストライカ5Aと係合する本体部6Aとを備える。ストライカ5Aと本体部6Aとが係合することによって、リアドア3は閉扉状態に保持される。なお、説明の便宜上、図2において、車体ドア枠12の下側枠部13は省略されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、本体部6Aは、リアドア3のインナーパネル30に取り付けられている。インナーパネル30は、車室内側に配置される第1パネル31と、第1パネル31を補強する第2パネル32とを有する。第2パネル32は、第1パネル31とアウターパネル(不図示)との間に配置されており、第1パネル31との間に収容空間を形成している。
【0020】
第1パネル31には、第1パネル31と第2パネル32との間の収容空間に連通する開口部33が設けられている。本体部6Aは、開口部33を通して、第1パネル31と第2パネル32との間の収容空間に収容され、第1パネル31の下側壁部34に取り付けられている。第1パネル31には、下側壁部34に取り付けられた本体部6Aを部分的に露出させる切欠き部35,36が設けられており、ストライカ5Aは、切欠き部35,36を通して本体部6Aと係合可能である。
【0021】
図4及び図5に示すように、ストライカ5Aは、車体ドア枠12の下側枠部13に取り付けられるベース40と、ループ44と、ピン47とを有する。
【0022】
ベース40は金属製の板材からなり、車両前後方向に延びている。ベース40は、下側枠部13との間に隙間をあけるように凸状に折り曲げられてなる段部42,43を有し、段部42,43は、車両前後方向に間隔をあけて設けられている。前側の段部42にはループ44が設けられており、後側の段部43にはピン47が設けられている。段部42,43を除く取付部41には、ボルト(不図示)が挿通される複数の貫通孔49が設けられており、ベース40は、複数の貫通孔49に挿通されたボルトによって、車体ドア枠12の下側枠部13に締結固定される。
【0023】
ループ44は金属製の棒材からなり、U字状に形成されている。ループ44は、一対の軸部45と、一対の軸部45の先端部同士を連結している連結部46とを有する。一対の軸部45の基端部がベース40の段部42に加締め固定され、ループ44はベース40に立設されている。ピン47もまた金属製の棒材からなり、ピン47の基端部がベース40の段部43に加締め固定され、ピン47はベース40に立設されている。ピン47の先端部には、フランジ部48が設けられている。
【0024】
本体部6Aは、リアドア3のインナーパネル30(第1パネル31)の下側壁部34に取り付けられるブラケット60と、ブラケット60に設けられているロアロック装置61及び係合部材62とを有する。リアドア3を閉扉状態に保持する際に、ロアロック装置61はストライカ5Aのループ44と係合し、係合部材62はストライカ5Aのピン47と係合する。
【0025】
ブラケット60は金属製の板材からなり、車両前後方向に延びている。ブラケット60の車両前後方向の中央部には、ロアロック装置61及び係合部材62が設置される設置部63が設けられている。設置部63は、ブラケット60の車両幅方向の一方の縁から延びる切欠き部64,65を有し、切欠き部64,65は車両前後方向に間隔をあけて設けられている。リアドア3の閉扉に伴い、前側の切欠き部64には、ストライカ5Aのループ44が進入し、後側の切欠き部65には、ストライカ5Aのピン47が進入する。設置部63を除く取付部66には、ボルト(不図示)が挿通される複数の貫通孔67が設けられており、ブラケット60は、複数の貫通孔67に挿通されたボルトによって、インナーパネル30の下側壁部34に締結固定される。
【0026】
ロアロック装置61は、ボディ70と、カバープレート71と、バックプレート72と、ラッチ73と、ラチェット74と、レバーラッチ75と、レバー76とを有する。なお、図5では、ボディ70及びバックプレート72は省略されている。
【0027】
ボディ70は樹脂材料からなり、カバープレート71及びバックプレート72は、金属製の板材からなり、ボディ70を間に挟んでボディ70にそれぞれ組み付けられている。カバープレート71にはループ進入溝77が設けられており、カバープレート71がブラケット60の設置部63に接し且つループ進入溝77がブラケット60の切欠き部64に重なるように、ロアロック装置61は設置部63に設置されている。設置部63に設置されたロアロック装置61は、ボディ70、カバープレート71及びバックプレート72を貫くボルトによって、ブラケット60に締結固定されている。
【0028】
ラッチ73及びラチェット74は、ボディ70とカバープレート71との間に収容されている。ラッチ73は、カバープレート71に立設された回転軸78によって回転可能に支持されており、ラチェット74は、カバープレート71に立設された回転軸79によって回転可能に支持されている。ラッチ73は、ストライカ5Aのループ44と係合する係合溝80を有し、係合溝80の開口部がループ進入溝77に重なって配置されるアンラッチ位置と、係合溝80の開口部がループ進入溝77から逸れて配置されるラッチ位置との間で回転可能である。ラチェット74は、上記ラッチ位置に配置されたラッチ73の係合溝80の開口部と係合する係合部81を有し、係合部81が係合溝80の開口部と係合するロック位置と、係合部81が係合溝80の開口部から外れるアンロック位置との間で回転可能である。ラチェット74は、ばね(不図示)によって、アンロック位置からロック位置に向けて付勢されている。
【0029】
リアドア3の閉扉に伴い、ストライカ5Aのループ44が、ブラケット60の切欠き部64及びカバープレート71のループ進入溝77に進入し、ラッチ73の係合溝80に収容される。係合溝80に収容されたループ44は、一方の軸部45によってラッチ73を押圧し、押圧されたラッチ73は、上記アンラッチ位置から上記ラッチ位置に向けて図5の矢印C方向に回転する。これにより、ラッチ73は、ループ44の内側を通って一方の軸部45と係合する。
【0030】
ラッチ73が上記ラッチ位置に配置されることにより、ラチェット74が上記アンロック位置から上記ロック位置に向けて図5の矢印D方向に回転し、ラッチ73の係合溝80の開口部とラチェット74の係合部81とが係合する。係合溝80の開口部と係合部81とが係合した状態で、上記ラッチ位置から上記アンラッチ位置に向けたラッチ73の回転が阻止される。係合溝80の開口部がループ進入溝77から逸れて配置されているため、ループ44は、ループ進入溝77から脱出不能であり、ラッチ73によって係止される。これにより、リアドア3が閉扉状態に保持される。
【0031】
レバーラッチ75は、バックプレート72上でラチェット74と同軸に配置されており、回転軸79によって回転可能に支持されている。レバー76は、バックプレート72に立設された回転軸82によって回転可能に支持されている。レバー76の一方の端部83は、レバーラッチ75と係合可能であり、他方の端部84は、ケーブル85を介して、例えばリアドア3の前端部又はリアドア3のインナーパネル30に設けられる上記ロック解除ノブに連結されている。
【0032】
リアドア3が閉扉状態に保持されている際に、リアドア3の上記ロック解除ノブが操作された場合に、レバー76がケーブル85によって引っ張られて回転し、レバーラッチ75が、レバー76によって押圧されることにより図4の矢印E方向に回転する。レバーラッチ75の矢印E方向の回転はラチェット74に伝達され、ラチェット74が上記ロック位置から上記アンロック位置に向けて回転し、係合溝80の開口部と係合部81との係合が解除される。これにより、ラッチ73が上記ラッチ位置から上記アンラッチ位置に向けて回転可能となり、リアドア3は開扉可能となる。
【0033】
係合部材62は金属製の板材からなり、係合部材62にはピン進入溝86が設けられている。ピン進入溝86がブラケット60の切欠き部65に重なるように、係合部材62はブラケット60の設置部63に設置されている。設置部63に設置された係合部材62は、ブラケット60に溶接固定されている。
【0034】
リアドア3の閉扉に伴い、ストライカ5Aのピン47が、ブラケット60の切欠き部65及び係合部材62のピン進入溝86に進入する。ピン進入溝86の溝幅は、ストライカ5Aのピン47のフランジ部48の外径より小さく、ピン進入溝86に進入したピン47のフランジ部48は、係合部材62に重なって配置されている。
【0035】
図6は、ストライカ5Aのループ44と本体部6Aのラッチ73との係合を示し、図7は、ストライカ5Aのピン47と本体部6Aの係合部材62との係合を示す。
【0036】
ストライカ5Aのベース40が取り付けられる車体ドア枠12の下側枠部13は、例えば成形の都合により、車室内側から車室外側に向かうに従って下方に傾斜している。下側枠部13に対向するリアドア3のインナーパネル30の下側壁部34もまた、車室内側から車室外側に向かうに従って下方に傾斜している。一方、ラッチ73の回転面(回転軸78に垂直な平面)P1は、車室内側から車室外側に向かうに従って上方に傾斜している。
【0037】
ラッチ73の回転軸78(図5参照)とリアドア3の回転軸とは略平行とされるところ、ラッチ73の回転面P1が車室内側から車室外側に向かうに従って下方に傾斜していると、リアドア3の回転軸が車室外側に倒れ、例えば開扉可能となったリアドア3が自重によって自然と開いてしまう。これに対して、ラッチ73の回転面P1が車室内側から車室外側に向かうに従って上方に傾斜していれば、開扉可能となったリアドア3が自重によって自然と開いてしまうことを抑制できる。
【0038】
ラッチ73の回転面P1の傾きは、ラッチ73の回転軸78(図5参照)が立設されるブラケット60の設置部63の傾きによって設定され、設置部63は、インナーパネル30の下側壁部34に締結固定される取付部66に対して傾斜して形成されている。すなわち、ラッチ73の回転面P1と、取付部66の取付面S1とは互いに傾斜している。設置部63に溶接固定されている係合部材62の表面P3と、取付部66の取付面S1もまた互いに傾斜している。
【0039】
そして、図6に示すように、リアドア3が閉扉状態に保持されている際に、ラッチ73は、ループ44の内側を通って一方の軸部45と係合しており、ループ44の連結部46は、ラッチ73との間に僅かな隙間をあけてラッチ73の上方に配置されている。軸部45が適宜折り曲げられることにより、ベース40の取付部41の取付面S2に対して連結部46の中心軸P2は傾斜しており、連結部46の中心軸P2と、ラッチ73の回転面P1とは互いに平行となっている。
【0040】
また、図7に示すように、リアドア3が閉扉状態に保持されている際に、ピン47のフランジ部48は、係合部材62との間に僅かな隙間をあけて係合部材62の上方に配置されている。ピン47が立設されるベース40の段部43が取付部41に対して適宜傾斜して形成されることにより、取付部41の取付面S2に対してフランジ部48の表面(係合面)P4は傾斜しており、フランジ部48の表面(係合面)P4と、係合部材62の表面(係合面)P3とは互いに平行となっている。
【0041】
車両側突時の変形に伴ってリアドア3のドア下部が車体11に対して上方に変位する場合に、ループ44の連結部46とラッチ73とが当接し、また、ピン47のフランジ部48と係合部材62とが当接し、ドア下部の変位が阻止される。その際、ループ44の連結部46とラッチ73とは面状接触し、当接に伴ってループ44及びラッチ73に作用する荷重が分散される。同様に、ピン47のフランジ部48と係合部材62も面状接触し、当接に伴ってピン47のフランジ部48と係合部材62とに作用する荷重が分散される。これにより、ドア保持装置4Aの耐荷重性を高めることができ、ドア保持装置の破損に起因してリアドア3が車室内側への侵入することを防止できる。
【0042】
次に、図8及び図9を参照して、本体部6Aの取り付けについて説明する。
【0043】
上述したとおり、本体部6Aは、リアドア3のインナーパネル30を構成している第1パネル31と第2パネル32との間の収容空間に収容されており、本体部6Aのブラケット60は、インナーパネル30の下側壁部34に締結固定されている。ブラケット60には、上記収容空間においてブラケット60を位置決めするためのクリップ90が設けられている。クリップ90は樹脂材料からなり、基部91と、基部91から突設されている固定部92及びフック部93とを有する。
【0044】
図8に示すように、固定部92は、二又に分かれ且つテーパ状に形成された先端部94を有し、先端部94は、ブラケット60に形成された固定孔68に挿通される。固定孔68に挿通された先端部94と基部91との間でブラケット60を挟持することによって、クリップ90はブラケット60に固定されている。
【0045】
図9に示すように、第2パネル32には、第1パネル31と第2パネル32との間の収容空間に連通する開口部37が設けられており、開口部37の縁部には、フック部93が嵌合する凹部38が設けられている。フック部93が凹部38に嵌合することによって、ブラケット60は、第1パネル31と第2パネル32との間の収容空間において位置決めされる。
【0046】
ブラケット60が位置決めされることにより、ブラケット60の取付部66に設けられている複数の貫通孔67と、これらの貫通孔67に対応してインナーパネル30の下側壁部34に設けられている複数の締結孔39とが重なり合う。これにより、本体部6Aの視認性が制限される上記収容空間内であっても、ブラケット60を下側壁部34に締結する作業性が高まる。
【0047】
図10及び図11は、本発明の実施形態を説明するための、他のドア保持装置の構成を示す。
【0048】
図10及び図11に示すドア保持装置4Bのストライカ5Bは、上述したストライカ5Aのピン47に替えてループ100を有し、ドア保持装置4Bの本体部6Bは、上述した本体部6Aの係合部材62に替えてラッチ110を有する。ラッチ110は、ストライカ5Bのループ100と係合する。以下、ストライカ5Bのループ44を第1ループと言い、ループ100を第2ループと言う。また、本体部6Bのロアロック装置61に含むラッチ73(図5参照)を第1ラッチと言い、ラッチ110を第2ラッチと言う。
【0049】
第2ループ100は、第1ループ44と同様に、金属製の棒材からなり、U字状に形成されている。第2ループ100は、一対の軸部101と、一対の軸部101の先端部同士を連結している連結部102とを有する。一対の軸部101の基端部がベース40の段部43に加締め固定され、第2ループ100はベース40に立設されている。
【0050】
本体部6Bは、金属製の板材からなるベースプレート111を有し、ベースプレート111にはループ進入溝112が設けられている。ループ進入溝112がブラケット60の切欠き部65に重なるように、ベースプレート111はブラケット60の設置部63に設置されている。
【0051】
第2ラッチ110は、ベースプレート111に立設された回転軸113によって回転可能に支持されている。第2ラッチ110は、ストライカ5Bの第2ループ100と係合する係合溝114を有し、係合溝114の開口部がループ進入溝112に重なって配置されるアンラッチ位置と、係合溝114の開口部がループ進入溝112から逸れて配置されるラッチ位置との間で回転可能である。そして、第2ラッチ110は、ばね115によって、ラッチ位置からアンラッチ位置に向けて付勢されている。
【0052】
リアドア3の閉扉に伴い、ストライカ5Bの第2ループ100が、ブラケット60の切欠き部65及びベースプレート111のループ進入溝112に進入し、第2ラッチ110の係合溝114に収容される。係合溝114に収容された第2ループ100は、一方の軸部101によって第2ラッチ110を押圧し、押圧されたラッチ110は、上記アンラッチ位置から上記ラッチ位置に向けて図10の矢印F方向に回転する。これにより、第2ラッチ110は、第2ループ100の内側を通って一方の軸部101と係合する。
【0053】
図12は、ストライカ5Bの第1ループ44と本体部6Aの第1ラッチ73との係合を示し、図13は、ストライカ5Bの第2ループ100と本体部6Bの第2ラッチ110との係合を示す。
【0054】
第1ラッチ73の回転面(回転軸78に垂直な平面)P1及び第2ラッチ110の回転面(回転軸113に垂直な平面)P5は、車室内側から車室外側に向かうに従って上方に傾斜している。第1ラッチ73の回転面P1及び第2ラッチ110の回転面P5と、ブラケット6の取付部66の取付面S1とは互いに傾斜している。
【0055】
図12に示すように、リアドア3が閉扉状態に保持されている際に、第1ラッチ73は、第1ループ44の内側を通って一方の軸部45と係合しており、第1ループ44の連結部46は、第1ラッチ73との間に僅かな隙間をあけて第1ラッチ73の上方に配置されている。本例では、第1ループ44が立設されるベース40の段部42が取付部41に対して適宜傾斜して形成されることにより、取付部41の取付面S2に対して連結部46の中心軸P2は傾斜しており、連結部46の中心軸P2と、第1ラッチ73の回転面P1とは互いに平行となっている。
【0056】
また、図13に示すように、リアドア3が閉扉状態に保持されている際に、第2ラッチ110は、第2ループ100の内側を通って一方の軸部101と係合しており、第2ループ100の連結部102は、第2ラッチ110との間に僅かな隙間をあけて第2ラッチ110の上方に配置されている。第2ループ100が立設されるベース40の段部43が取付部41に対して適宜傾斜して形成されることにより、取付部41の取付面S2に対して連結部102の中心軸P6は傾斜しており、連結部102の中心軸P6と、第2ラッチ110の回転面P5とは互いに平行となっている。
【0057】
車両側突時の変形に伴ってリアドア3のドア下部が車体11に対して上方に変位する場合に、第1ループ44の連結部46と第1ラッチ73とが当接し、また、第2ループ100の連結部102と第2ラッチ110とが当接し、ドア下部の変位が阻止される。その際、第1ループ44の連結部46と第1ラッチ73とは面状接触し、当接に伴って第1ループ44及び第1ラッチ73に作用する荷重が分散される。同様に、第2ループ100の連結部102と第2ラッチ110も面状接触し、当接に伴って第2ループ100及び第2ラッチ110に作用する荷重が分散される。これにより、ドア保持装置4Bの耐荷重性を高めることができ、ドア保持装置の破損に起因してリアドア3が車室内側への侵入することを防止できる。
【符号の説明】
【0058】
1 自動車
2 フロントドア
3 リアドア
4A,4B ドア保持装置
5A,5B ストライカ
6A,6B 本体部
11 車体
12 車体ドア枠
13 下側枠部
14 ヒンジ
15 ヒンジ
30 インナーパネル
31 第1パネル
32 第2パネル
33 開口部
34 下側壁部
35 切欠き部
36 切欠き部
37 開口部
38 凹部
40 ベース
41 取付部
42 段部
43 段部
44 ループ(第1ループ)
45 軸部
46 連結部
47 ピン
48 フランジ部
49 貫通孔
60 ブラケット
61 ロアロック装置
62 係合部材
63 設置部
64 切欠き部
65 切欠き部
66 取付部
67 貫通孔
68 固定孔
70 ボディ
71 カバープレート
72 バックプレート
73 ラッチ(第1ラッチ)
74 ラチェット
75 レバーラッチ
76 レバー
77 ループ進入溝
78 回転軸
79 回転軸
80 係合溝
81 係合部
82 回転軸
85 ケーブル
86 ピン進入溝
90 クリップ
91 基部
92 固定部
93 フック部
94 先端部
100 第2ループ
101 軸部
102 連結部
110 第2ラッチ
111 ベースプレート
112 ループ進入溝
113 回転軸
114 係合溝
P1 回転面
P2 中心軸
P3 係合面
P4 係合面
P5 回転面
P6 中心軸
S1 取付面
S2 取付面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13