(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802834
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】照明装置固定部材
(51)【国際特許分類】
F21V 21/03 20060101AFI20201214BHJP
F21V 21/00 20060101ALI20201214BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20201214BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20201214BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20201214BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20201214BHJP
【FI】
F21V21/03
F21V21/00 140
F21V17/10 201
F21S8/04 110
F21S2/00 430
F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-503391(P2018-503391)
(86)(22)【出願日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】JP2017008216
(87)【国際公開番号】WO2017150647
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年1月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-41510(P2016-41510)
(32)【優先日】2016年3月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100075292
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 滋
【審査官】
安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−089882(JP,A)
【文献】
特開2013−096457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/03
F21S 2/00
F21S 8/04
F21V 17/10
F21V 21/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物躯体から鉛直下方向に延設された複数のアンカーボルトを用いて照明装置を室内天井面に取り付けるために、前記室内天井面に設けられた開口部近傍に二つ一組で設置される照明装置固定部材であって、
前記複数のアンカーボルトのうちの一本のアンカーボルトが挿通されるアンカーボルト取付孔が設けられた平板状の基部と、該基部の両側辺部に設けられた二つの当接部とを備え、
前記照明装置に設けられたV字ばねを掛止する左右一対のV字ばね取付孔が前記基部の前記両側辺部に沿って対称に設けられており、
前記アンカーボルト取付孔に前記一本のアンカーボルトを挿通して前記照明装置固定部材を前記一本のアンカーボルトに固定したときに、前記二つの当接部が前記開口部の対向する二つの端縁部にそれぞれ当接することを特徴とする照明装置固定部材。
【請求項2】
前記アンカーボルト取付孔から前記左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれまでの距離が等しく、かつ前記アンカーボルト取付孔が前記左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれの中心を結んだ仮想線と重ならずオフセットしていることを特徴とする、請求項1に記載の照明装置固定部材。
【請求項3】
前記アンカーボルト取付孔から前記左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれの中心を結んだ仮想線までの垂線距離が50mmであることを特徴とする、請求項2に記載の照明装置固定部材。
【請求項4】
前記当接部が、前記基部において前記アンカーボルト取付孔が位置している側に突出するように延伸されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置固定部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置固定部材を二つ用いて一つの照明装置を天井面に取り付けた照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置を建造物躯体から鉛直下方向に延設されたアンカーボルトに取り付けるための照明装置固定部材及びそれを用いた照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)等の発光素子を光源として用いる照明装置が普及している。そのような照明装置として、例えば板状の導光板の側端面に対向して線状に配列されたLED光源を配置して導光板内に光を入射し、光源の配置された側端面に隣接する二面の平板面のいずれかから光を外部に射出して面状に発光させる、平板形状の照明装置が知られている。
【0003】
このような照明装置を天井に設置する場合、例えば特許文献1に開示されているように、天井に開口部を設け、電源等の収納される照明装置固定部材を開口部内のアンカーボルトに取り付け、その照明装置固定部材に設けられた取付金具に、照明装置(発光部ユニット)のフレーム部材上に配置されているV字ばねを引っ掛けて照明装置を照明装置固定部材に固定する構造が知られている。このような構造の場合、まずV字ばねの先端部をV字が閉じるように握って先端部のみを取付金具に引っ掛けて仮固定状態とし、この状態で照明装置と天井面との間から手を伸ばして照明装置と電源とを繋ぐ配線作業等を行い、作業完了後に照明装置を押し上げるとV字ばねの付勢力によって照明装置が天井面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−096457
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天井面に照明装置を設ける際には、照明装置が容易に落下することがないだけの十分な剛性や安定性といった取付性能を持った照明装置固定部材が求められる。そのため、従来の照明装置固定部材は天井面に設けられた開口部とほぼ同じくらいの大きさを有しているのが通常であるが、その一方で、照明装置固定部材の軽量化やコストダウンを図りたいという要求がある。
【0006】
また、アンカーボルトは一般的にアンカーボルト間の間隔(アンカーボルトピッチ)が800mm又は600mmとなるように建造物躯体から鉛直下方向に延設されていることが多い。例えばアンカーボルトピッチが800mmである建造物の天井面に照明装置を設置する場合、使用する照明装置固定部材にはアンカーボルトを挿通させるための取付孔が二つ設けられており、この二つの取付孔間の距離が800mmとなっていることになる。このような800mm間隔で設けられた二つの取付孔を、アンカーボルトピッチが600mmである建造物の天井面に照明装置を設置するときに使用することは当然できず、アンカーボルトピッチが600mmである建造物の天井面に照明装置を設置する場合には、別途600mmのアンカーボルトピッチ対応の照明装置固定部材を用意しておくか、あるいはアンカーボルトピッチが800mmであっても600mmであっても対応できるように全部で四つの取付孔を設けておかなければならないという問題もある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、軽量化及びコストダウンにつながる構造を有する照明装置固定部材を提供することを目的とする。また、軽量化及びコストダウンにつながる構造でありながら、異なる二つのアンカーボルトピッチに対応することが可能な構造を有する照明装置固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第一に本発明は、建造物躯体から鉛直下方向に延設された複数のアンカーボルトを用いて照明装置を室内天井面に取り付けるために、前記室内天井面に設けられた開口部近傍に二つ一組で設置される照明装置固定部材であって、前記複数のアンカーボルトのうちの一本のアンカーボルトが挿通されるアンカーボルト取付孔が設けられた平板状の基部と、該基部の両側辺部に設けられた二つの当接部とを備え、前記照明装置に設けられたV字ばねを掛止する左右一対のV字ばね取付孔が前記基部の前記両側辺部に沿って対称に設けられており、前記アンカーボルト取付孔に前記一本のアンカーボルトを挿通して前記照明装置固定部材を前記一本のアンカーボルトに固定したときに、前記二つの当接部が前記開口部の対向する二つの端縁部にそれぞれ当接することを特徴とする照明装置固定部材を提供する(発明1)。
【0009】
照明装置が容易に落下することがないだけの十分な剛性や安定性といった取付性能を維持できるのであれば、必ずしも従来のように照明装置固定部材を天井面に設けられた開口部とほぼ同じくらいの大きさとする必要はない。そこで本発明者らは、照明装置固定部材を二つ一組で用いて照明装置を吊持することで、それぞれの照明装置固定部材の大きさを小さくすることにより軽量化を図り、製造コストを低減することに想到した。上記発明(発明1)によれば、左右一対のV字ばね取付孔を有する一つの照明装置固定部材が一本のアンカーボルトに取り付けられ、これを二つ一組で用いて照明装置の合計四つのV字ばねを掛止して照明装置を室内天井面に設置する際に、照明装置固定部材の両側の当接部が室内天井面に設けられた開口部の端縁部に当接し、この状態で当接部を開口部の端縁部に固定することができるため、照明装置の重さをアンカーボルトのみならず室内天井面の開口部の端縁部を含む合計三箇所で安定的に支えることができる。そのため、従来同様の取付性能を維持したまま、それぞれの照明装置固定部材の大きさを小さくすることにより軽量化を図り、製造コストを低減することができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記アンカーボルト取付孔から前記左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれまでの距離が等しく、かつ前記アンカーボルト取付孔が前記左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれの中心を結んだ仮想線と重ならずオフセットしていることが好ましい(発明2)。
【0011】
左右一対のV字ばね取付孔が基部の両側辺部に沿って対称に設けられている場合に、アンカーボルト取付孔から左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれまでの距離が等しいということは、アンカーボルト取付孔が基部の両側辺の中間線上にあるということを意味する。上記発明(発明2)によれば、照明装置固定部材を天井面に対して水平に半回転(180度回転)させても用いることができ、このように半回転させて用いることによりオフセット幅の分だけ異なる二つのアンカーボルトピッチに容易に対応することができる。
【0012】
上記発明(発明2)においては、前記アンカーボルト取付孔の中心から前記左右一対のV字ばね取付孔のそれぞれの中心を結んだ仮想線までの垂線距離が50mmであることが好ましい(発明3)。
【0013】
上記発明(発明3)によれば、二つの照明装置固定部材を正対させて用いる場合と、二つの照明装置固定部材をそれぞれ天井面に対して水平に半回転させて用いる場合とを比較すると、左右一対のV字ばね取付孔の位置を固定して考えると二つの照明装置固定部材のアンカーボルト取付孔間の距離を最大200mm変動させることができるため、アンカーボルトピッチが800mmの建造物にも600mmの建造物にも用いることができる。
【0014】
上記発明(発明1〜3)においては、前記当接部が、前記基部において前記アンカーボルト取付孔が位置している側に突出するように延伸されていることが好ましい(発明4)。
【0015】
上記発明(発明4)によれば、照明装置のV字ばねを照明装置固定部材のV字ばね取付孔に掛止し、照明装置固定部材に鉛直下方向の荷重がかかった場合に、突出した当接部がアンカーボルト取付孔を中心にしてV字ばね取付孔の反対側にあるため、その突出した当接部が開口部端縁部に押し付けられるため、照明装置の取付状態を安定したものとすることができる。
【0016】
第二に本発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置固定部材を二つ用いて一つの照明装置を天井面に取り付けた照明システムを提供する(発明5)。
【発明の効果】
【0017】
本発明の照明装置取付部材は、従来同様の取付性能を維持しつつも部材全体の軽量化を実現し、かつ製造コストを下げることができるものとなっている。また、軽量化及びコストダウンにつながる構造でありながら、異なる二つのアンカーボルトピッチに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る照明装置固定部材の構造を示す斜視図である。
【
図2】同照明装置固定部材の構造を示す平面図である。
【
図3】同照明装置固定部材をアンカーボルトに取り付けた状態を示す説明図である。
【
図4】同照明装置固定部材に取り付けられる発光部ユニットの構造を示す説明図である。
【
図5】発光部ユニットの発光部の構造を示す説明図である。
【
図6】発光部ユニットに設けられたV字ばねの構造を示す説明図である。
【
図7】同照明装置固定部材を二つ用いることにより異なるアンカーボルトピッチに対応する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る照明装置固定部材1の構造を示す斜視図であり、
図2は平面図である。照明装置固定部材1は、平板状の基部2と、基部2の対向する両側辺21a、21bに設けられた当接部3a、3bとから構成されている。照明装置固定部材1は、例えば鋼板のベンダー加工やロール鋼板のロールフォーミングによって製造されるが、これに限られるものではなく、例えば押し出し成形によって製造されるアルミニウム合金製であってもよい。基部2と当接部3a、3bとは一体的に成形されていることが好ましいが、別々に製造された後に溶接等の手段で一体化されたものであってもよい。
【0020】
基部2は平面視略矩形の平板形状を有しており、発光部ユニット100(照明装置)に設けられたV字ばね40を掛止する左右一対のV字ばね取付孔4a、4bと、建造物躯体から鉛直下方向に延設されたアンカーボルトBが挿通されるアンカーボルト取付孔5とが穿設されている。
【0021】
V字ばね取付孔4a、4bはやや細長い長孔形状を有しており、
図2に示すように、基部2の対向する両側辺21a、21bに沿って対称に設けられている。また、アンカーボルト取付孔5は楕円に近い長孔形状を有しており(長軸の長さ20mm)、基部2の両側辺21a、21bに挟まれた二つの辺(上辺21c及び下辺21d)のうちの下辺21dの近傍に、両側辺21a、21bの中間線上に位置するように設けられている。
【0022】
上述のようにV字ばね取付孔4a、4b及びアンカーボルト取付孔5が設けられていることにより、アンカーボルト取付孔5からV字ばね取付孔4aまでの距離と、アンカーボルト取付孔5からV字ばね取付孔4bまでの距離が等しくなっており、かつアンカーボルト取付孔5が左右一対のV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hと重ならずオフセットしているという位置関係になっている。また、本実施形態においては、アンカーボルト取付孔5から左右一対のV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hまでの垂線距離L(すなわちオフセット幅)が50mmになっている。
【0023】
当接部3a、3bは、断面L字形状の長尺部材であり、基部2の対向する両側辺21a、21bに対称かつ同一形状で延設されている。具体的には当接部3a、3bは、基部2に対して垂直に立ち上げられた側壁部31a、31bと、側壁部31a、31bの基部2とは逆側の端部を外側に向かって直角に折り曲げて延設されたフランジ部32a、32bとから構成されている。また、当接部3a、3bは、基部2においてアンカーボルト取付孔5が位置している側(すなわち、基部2の下辺21d側)に突出するように延伸されている。
【0024】
照明装置固定部材1は、
図3に示すように、アンカーボルトBに取り付けられる。アンカーボルトBは建造物躯体から鉛直下方向に延設されており、本実施形態では、天井面Cにおいて、アンカーボルトBが二本覗くような位置に開口部Wが設けられている。アンカーボルトBをアンカーボルト取付孔5に挿通し、当接部3a、3bが開口部Wの対向する二つの端縁部にそれぞれ当接した状態で、照明装置固定部材1がナット6でアンカーボルトBに固定される。このとき当接部3a、3bの側壁部31a、31bは開口部Wの側壁に、当接部3a、3bのフランジ部32a、32bは開口部Wの周りの天井面Cに当接している。この状態で側壁部31a、31bを開口部Wの側壁にネジ止め等の固定手段で固定することもでき、またフランジ部32a、32bを開口部Wの周りの天井面Cにネジ止め等の固定手段で固定することもできる。
【0025】
本実施形態においては、照明装置固定部材1を二つ用いて発光部ユニット100が天井面Cに設置される。発光部ユニット100はいわゆる平板照明装置であり、
図4に示すように、発光部10と、外枠部材20と、補強部材30と、V字ばね40と、電源ユニット50とから構成されている。
【0026】
発光部10は、
図5に示すように、導光板11と反射シート12との積層構造を有し、導光板11の側端部に光源13が配置されてなるものである。発光部10を構成する導光板11は平面視矩形の平板状であり、
図5における下側の平板面に出射光面111を有する。導光板11は、例えばアクリル樹脂等の公知の透明樹脂から形成され、光源13から側端面に入射された光を出射光面111から面状に出射するように反射加工されている。
【0027】
導光板11の出射光面111とは反対側の平板面、すなわち出射光面111の裏側には反射シート12が積層されている。反射シート12は、例えば厚さ0.5mm程度の薄いアルミ板又は樹脂のシートから形成され、導光板11の平板面全体を覆うように積層されている。
【0028】
光源13は長尺状のLED基板(不図示)に複数のLED(不図示)を所定の間隔で配列してなるものであり、導光板11の一つの側端面に対向するように配置されている。
【0029】
外枠部材20は、反射シート12を積層した導光板11の側端面を四辺が取り囲むように発光部10が嵌め込まれる平面視矩形のフレーム部材であり、光源13は当該外枠部材20内部に収容される。外枠部材20は例えば鋼板のベンダー加工やロール鋼板のロールフォーミングによって製造されるが、これに限られるものではなく、例えば押し出し成形によって製造されるアルミニウム合金製であってもよい。
【0030】
補強部材30は細長い平板形状を有する長尺状の部材であり、外枠部材20の対向する二つの長辺をわたすように配置され、両端部が外枠部材20の対向する二つの長辺に固定されている。補強部材30も外枠部材20同様に、例えば鋼板のベンダー加工やロール鋼板のロールフォーミングによって製造されるが、これに限られるものではなく、例えば押し出し成形によって製造されるアルミニウム合金製であってもよい。
【0031】
外枠部材20には、発光部ユニット100を、天井面Cに設けられた開口部Wに取り付けられた二つの照明装置固定部材1に脱着自在に取り付けるためのV字ばね40が合計四つ設けられている。具体的には、外枠部材20の対向する二つの長辺上にそれぞれ二つずつのV字ばね40が対称に設けられており、各長辺上の二つのV字ばね40は700mm離して配置されている。
【0032】
V字ばね40は一本の金属線を曲げてV字形状に形成されるものであり、
図6に示すように、金属線が複数回コイル巻きされた巻き部41と、巻き部41の両端から延設された一対のアーム部42と、アーム部42のそれぞれの先端部を鉤状に曲げて形成されたアーム端43とからなる。アーム端43は一対のアーム部42のV字形状の外側方向に突出するように設けられている。V字ばね40は、巻き部41に外枠部材20に設けられた取付爪201を通すようにして、外枠部材20に取り付けられている。
【0033】
電源ユニット50は、開口部W内の電源ケーブル(図示しない)に繋がれ、LEDをDC(直流)電圧で駆動するためにAC(交流)電圧をDC電圧に変換して発光部10へと電源送給するためのものである。
【0034】
照明装置固定部材1を二つ用いて一つの発光部ユニット100を天井面Cに設置する様子を、
図7を参照しながら説明する。本実施形態に係る照明装置固定部材1を用いることにより、アンカーボルトピッチが800mmである建造物の天井面に発光部ユニット100を設置する場合にも、アンカーボルトピッチが600mmである建造物の天井面に発光部ユニット100を設置する場合にも対応可能である。
【0035】
図7(a)に示すように、従来の照明装置固定部材は天井面Cに設けられた開口部Wとほぼ同じくらいの大きさを有しており、アンカーボルトピッチが800mmの建造物の場合に使用するアンカーボルト取付孔二つと、アンカーボルトピッチが600mmの建造物の場合に使用するアンカーボルト取付孔二つの合計四つのアンカーボルト取付孔が設けられたものであるか、あるいはアンカーボルトピッチが800mmの建造物用固定部材とアンカーボルトピッチが600mmの建造物用固定部材という二つの固定部材を使い分けるかしていた。
【0036】
アンカーボルトピッチが800mmの建造物の場合は、
図7(b)に示すように、本実施形態に係る照明装置固定部材1二つ(以下、左側を1L、右側を1Rと表記する。)を当接部3a、3bがそれぞれ外側に向かって突出するように二本のアンカーボルトBにそれぞれ取り付ける。照明装置固定部材1のアンカーボルト取付孔5から左右一対のV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hまでの垂線距離Lは50mmであるから、このように二つの照明装置固定部材1L、1RをアンカーボルトBに取り付ければ、左側の照明装置固定部材1LのV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hから、右側の照明装置固定部材1RのV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hまでの距離は700mmとなる。発光部ユニット100の各長辺上の二つのV字ばね40は700mm離して配置されているため、発光部ユニット100の四つのV字ばね40を二つの照明装置固定部材1L、1RそれぞれのV字ばね取付孔4a、4bに掛止することができる。
【0037】
次に、アンカーボルトピッチが600mmの建造物の場合は、
図7(c)に示すように、二つの照明装置固定部材1L、1Rを当接部3a、3bがそれぞれ内側に向かって突出するように二本のアンカーボルトBにそれぞれ取り付ける。このように二つの照明装置固定部材1L、1RをアンカーボルトBに取り付ければ、左側の照明装置固定部材1LのV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hから、右側の照明装置固定部材1RのV字ばね取付孔4a、4bのそれぞれの中心を結んだ仮想線Hまでの距離は、
図7(b)と同様にやはり700mmとなる。発光部ユニット100の各長辺上の二つのV字ばね40は700mm離して配置されているため、発光部ユニット100の四つのV字ばね40を二つの照明装置固定部材1L、1RそれぞれのV字ばね取付孔4a、4bに掛止することができる。
【0038】
本実施形態に係る照明装置固定部材1は、アンカーボルト取付孔5が基部2の両側辺21a、21bの中間線上にあるため、上述のように照明装置固定部材1を天井面Cに対して水平に半回転(180度回転)させても用いることができる。このように半回転させて用いることにより一つの照明装置固定部材1においてオフセット幅の2倍(
図7(b)(c)の本実施形態においては垂線距離L×2=100mm)の分だけ異なる二つのアンカーボルトピッチに容易に対応することができる。すなわち、二つの照明装置固定部材1L、1Rを正対させて用いる場合と、二つの照明装置固定部材1L、1Rをそれぞれ天井面Cに対して水平に半回転させて用いる場合とを比較すると、左右一対のV字ばね取付孔4a、4bの位置を固定して考えると二つの照明装置固定部材1L、1Rのアンカーボルト取付孔5間の距離を最大200mm変動させることができるため、アンカーボルトピッチが800mmの建造物にも600mmの建造物にも用いることができる。なお、二つの照明装置固定部材1L、1Rのうち片方だけを半回転させて用いれば、アンカーボルトピッチが700mmの建造物にも用いることができる。またアンカーボルト取付孔5は長孔であるので(長軸の長さ20mm)、アンカーボルトピッチが施工時に多少ずれたとしても対応できるようになっている。
【0039】
本実施形態に係る照明装置固定部材1によれば、照明装置固定部材1の両側の当接部3a、3bが室内天井面Cに設けられた開口部Wの端縁部に当接し、この状態で当接部3a、3bを開口部Wの端縁部に固定することができるため、発光部ユニット100の重さをアンカーボルトBのみならず室内天井面Cの開口部Wの端縁部を含む合計三箇所で安定的に支えることができる。そのため、従来同様の取付性能を維持したまま、それぞれの照明装置固定部材1の大きさを小さくすることにより軽量化を図り、製造コストを低減することができる。
【0040】
また、当接部3a、3bが基部2のアンカーボルト取付孔5が位置している側に突出するように延伸されており、突出した当接部3a、3bがアンカーボルト取付孔5を中心にしてV字ばね取付孔4a、4bの反対側にあることにより、発光部ユニット100のV字ばね40を照明装置固定部材1のV字ばね取付孔4a、4bに掛止し、照明装置固定部材1に鉛直下方向の荷重がかかった場合に、突出した当接部3a、3bが開口部Wの端縁部に押し付けられるため、照明装置の取付状態を安定したものとすることができる。
【0041】
以上、本発明に係る照明装置について図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 照明装置固定部材
2 基部
3a、3b 当接部
4a、4b V字ばね取付孔
5 アンカーボルト取付孔
6 ナット
100 発光部ユニット
10 発光部
11 導光板
111 出射光面
12 反射シート
13 光源
20 外枠部材
201 取付爪
30 補強部材
40 V字ばね
50 電源ユニット
C 天井面
W 開口部
B アンカーボルト