特許第6802855号(P6802855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802855
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】静電容量センサ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20201214BHJP
   H03K 17/955 20060101ALI20201214BHJP
   G01V 3/08 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   H01H36/00 V
   H03K17/955 A
   !G01V3/08 D
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-550095(P2018-550095)
(86)(22)【出願日】2017年10月17日
(86)【国際出願番号】JP2017037568
(87)【国際公開番号】WO2018088144
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-221224(P2016-221224)
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】和田 卓
(72)【発明者】
【氏名】山田 朋輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亨
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/041268(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/026845(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
H03K 17/955
G01V 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一円周上に配置され、操作体との距離に応じた静電容量を生じる複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極に生じた静電容量を検出する静電容量検出手段と、
前記複数の第1の電極について検出した前記静電容量の合計値が第1のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に前記操作体が位置する方向を判定する判定手段と
を有する静電容量センサ。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記複数の第1の電極のうち最大の前記静電容量が検出された前記第1の電極を特定し、
当該特定した前記第1の電極の前記静電容量が第2のしきい値以上の場合に、当該特定した第1の電極の方向に前記操作体が位置すると判定する
請求項1に記載の静電容量センサ。
【請求項3】
前記判定手段は、前記特定した前記第1の電極の前記静電容量が第2のしきい値未満の場合に、前記複数の第1の電極が配置された平面に対して垂直方向に前記操作体が位置すると判定する
請求項2に記載の静電容量センサ。
【請求項4】
前記円周の中心に、前記複数の第1の電極で囲まれた第2の電極が位置し、
前記複数の第1の電極を囲むようにリング状の第3の電極を有し、
前記判定手段は、前記複数の第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した前記静電容量の合計値が前記第1のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に、前記操作体が位置する方向を判定する
請求項1〜3のいずれかに記載の静電容量センサ。
【請求項5】
前記判定手段は、前記複数の第1の電極について検出した前記静電容量の合計値が前記第1のしきい値より大きい第3のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に近接した前記操作体の数を判定する
請求項1に記載の静電容量センサ。
【請求項6】
前記円周の中心に、前記複数の第1の電極で囲まれた第2の電極が位置し、
前記複数の第1の電極を囲むようにリング状の第3の電極を有し、
前記判定手段は、前記複数の第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した前記静電容量の合計値が前記第3のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に近接した前記操作体の数を判定する
請求項5に記載の静電容量センサ。
【請求項7】
前記判定手段は、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した静電容量を基に、前記操作体が前記第1の電極の上にのみ位置すると判定した場合に、前記操作体の数と位置を特定する処理を行う
請求項6に記載の静電容量センサ。
【請求項8】
前記判定手段は、前記複数の第1の電極のうち前記静電容量が第4のしきい値以上の第1の電極の数を特定し、当該特定した第1の電極の重心座標を計算する
請求項7に記載の静電容量センサ。
【請求項9】
前記判定手段は、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した静電容量を基に、前記操作体が前記第1の電極の他に前記第2の電極又は前記第3の電極の上に位置すると判定した場合に、前記操作体の数は1であると判定する
請求項6に記載の静電容量センサ。
【請求項10】
前記判定手段は、前記操作体が前記第1の電極の他に前記第2の電極又は前記第3の電極の上に位置すると判定した場合に、前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極のうち、前記静電容量が第5のしきい値以上の電極を特定し、当該特定した電極の位置を基に、重心座標を計算する
請求項9に記載の静電容量センサ。
【請求項11】
前記判定手段は、前記合計値が前記第3のしきい値未満である場合に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に前記操作体が位置する方向を判定する
請求項5に記載の静電容量センサ。
【請求項12】
前記複数の第1の電極は、同一形状で、周方向に等間隔で配置されている
請求項1〜11のいずれかに記載の静電容量センサ。
【請求項13】
前記判定手段は、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量の時間変化を基に前記操作体の動きを判定する
請求項1に記載の静電容量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量センサに関し、特に車両、携帯型電子機器等の入力手段として有用な静電容量センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
指等の人体の一部である操作体の近接を検出する近接センサとして、所定のパターンで配置された電極の静電容量変化を基に操作体の近接を検出する静電容量センサがある。
【0003】
特許文献1に開示された静電容量センサは、中心を同一にして複数の中空矩形状の電極を配置し、当該複数の電極の静電容量を基に、操作体の近接の有無を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−223794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の静電容量センサでは、操作体の近接の有無を検出できるが、操作体のいずれの方向に位置するかを検出できないという問題がある。
また、上述した従来の静電容量センサでは、複数の操作体の近接を高精度に検出できないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作体が位置する方向を高精度に検出できる静電容量センサを提供することにある。
また、本発明は、操作体の数を高精度に検出できる静電容量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の静電容量センサは、同一円周上に配置され、操作体との距離に応じた静電容量を生じる複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極に生じた静電容量を検出する静電容量検出手段と、前記複数の第1の電極について検出した前記静電容量の合計値が第1のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に前記操作体が位置する方向を判定する判定手段とを有する。
【0008】
この構成によれば、同一円周上に複数の第1の電極を配置しているため、操作体が近接等した場合には、それに対応した第1の電極の静電容量が所定の条件を満たすようにすることが可能になり、操作体が位置する方向を特定できる。
また、この構成によれば、複数の第1の電極について検出した静電容量の合計値が第1のしきい値以上であるという条件を満たさない場合、すなわち周囲のノイズ等の影響で正確な判定ができない可能性がある場合には、判定を行わない。そのため、信頼性が高い判定を行うことができる。
【0009】
好適には、前記判定手段は、前記複数の第1の電極のうち最大の前記静電容量が検出された前記第1の電極を特定し、当該特定した前記第1の電極の前記静電容量が第2のしきい値以上の場合に、当該特定した第1の電極の方向に前記操作体が位置すると判定する。
【0010】
この構成によれば、最大の静電容量が第2のしきい値以上の場合に、それに対応した第1の電極の方向に操作体が位置すると判定するので、静電容量が正確に検出された状態であることを条件に判定を行うことができ、信頼性の高い判定ができる。
【0011】
好適には、前記判定手段は、前記特定した前記第1の電極の前記静電容量が第2のしきい値未満の場合に、前記複数の第1の電極が配置された平面に対して垂直方向に前記操作体が位置すると判定する。
【0012】
この構成によれば、操作体が垂直方向に位置する場合も高精度に検出できる。
【0013】
好適には、前記円周の中心に、前記複数の第1の電極で囲まれた第2の電極が位置し、前記複数の第1の電極を囲むようにリング状の第3の電極を有し、前記判定手段は、前記複数の第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した前記静電容量の合計値が前記第1のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極について検出した個別の前記静電容量を基に、近接した前記操作体の数を判定する。
【0014】
この構成によれば、前記円周の中心に、前記複数の第1の電極で囲まれた第2の電極を設けると共に、当該複数の第1の電極を囲むようにリング状の第3の電極を設けることで、電極の総面積を大きくできるので、操作体が近接したことを高精度に検出でき、より信頼性が高い状態で操作体の数の判定を行うことができる。
【0015】
好適には、前記判定手段は、前記複数の第1の電極について検出した前記静電容量の合計値が前記第1のしきい値より大きい第3のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に近接した前記操作体の数を判定する。
【0016】
この構成によれば、同一円周上に複数の第1の電極を配置しているため、複数の操作体が近接等した場合には、第1の電極の静電容量が操作体の数に応じた所定の条件を満たすようにすることが可能になり、操作体の数を特定できる。
また、この構成によれば、複数の第1の電極について検出した静電容量の合計値が第3のしきい値以上であるという条件を満たさない場合、すなわち周囲のノイズ等の影響で正確な判定ができない可能性がある場合には、判定を行わない。そのため、信頼性が高い判定を行うことができる。
【0017】
好適には、前記判定手段は、前記複数の第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した前記静電容量の合計値が前記第3のしきい値以上であることを条件に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に近接した前記操作体の数を判定する。
【0018】
この構成によれば、前記円周の中心に、前記複数の第1の電極で囲まれた第2の電極を設けると共に、当該複数の第1の電極を囲むようにリング状の第3の電極を設けることで、電極の総面積を大きくできるので、操作体の数を高精度に検出でき、より信頼性が高い状態で操作体の数の判定を行うことができる。
【0019】
好適には、前記判定手段は、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した静電容量を基に、前記操作体が前記第1の電極の上にのみ位置すると判定した場合に、前記操作体の数と位置を特定する処理を行う。
【0020】
この構成によれば、第1の電極以外の第2の電極又は第3の電極の上にも操作体が位置する場合には、操作体の方向検出ではなく、操作体の数と位置を特定する検出を選択することができる。
【0021】
好適には、前記判定手段は、前記複数の第1の電極のうち前記静電容量が第4のしきい値以上の第1の電極の数を特定し、当該特定した第1の電極の重心座標を計算する。
【0022】
この構成によれば、複数の第1の電極に近接した複数の操作体の重心座標を高精度に計算できる。
【0023】
好適には、前記判定手段は、前記第2の電極及び前記第3の電極について検出した静電容量を基に、前記操作体が前記第1の電極の他に前記第2の電極又は前記第3の電極の上に位置すると判定した場合に、前記操作体の数は1であると判定する。
【0024】
この構成によれば、操作体が第1の電極の他に前記第2の電極及び前記第3の電極の上に位置する場合は、単数又は複数の操作体を単一の操作体としてみなすことができる。
【0025】
好適には、前記判定手段は、前記操作体が前記第1の電極の他に前記第2の電極又は前記第3の電極の上に位置すると判定した場合に、前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極のうち、前記静電容量が第5のしきい値以上の電極を特定し、当該特定した電極の位置を基に、重心座標を計算する。
【0026】
この構成によれば、一つの操作体の姿勢に応じた重心座標を計算できる。
【0027】
好適には、前記判定手段は、前記合計値が前記第3のしきい値未満である場合に、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量を基に前記操作体が位置する方向を判定する。
【0028】
この構成によれば、操作体の数を高精度に検出するのには遠いが、操作体の方向を検出するのには十分に近距離内に操作体が位置した場合に、操作体の方向を判定するため、操作体の方向を高精度に検出できると共に、操作体の数を誤判定する可能性を低くできる。
【0029】
好適には、前記複数の第1の電極は、同一形状で、周方向に等間隔で配置されている。
好適には、前記判定手段は、前記複数の第1の電極についてそれぞれ検出した前記静電容量の時間変化を基に前記操作体の動きを判定する。
この構成によれば、近接等した操作体の動きを判定できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、操作体が位置する方向を高精度に検出できる静電容量センサを提供することができる。
また、本発明は、操作体の数を高精度に検出できる静電容量センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る静電容量センサの平面構成図である。
図2図1に示す静電容量センサの断面構成である
図3図3は、図1において、一つの操作体が存在する場合を示す図である。
図4】2つの操作体が存在する場合の静電容量センサの断面構成図である。
図5図4の場合の平面構成図である。
図6】2つの操作体の動きを説明するための図である。
図7図1及び図2に示す静電容量センサの全体動作例を説明するためのフローチャートである。
図8図7に示すステップST4の接触判定時に行う処理を説明するためのフローチャートである。
図9図8に示すステップST41の操作体が第一電極上のみに存在するか否かを判定する方法を説明するためのフローチャートである。
図10図8に示すステップST43の操作体の第一電極上での数と座標を特定する方法を説明するためのフローチャートである。
図11図10のステップST436で計算される操作体の座標を説明するための図である。
図12図7のステップST5で計算される操作体の近接方向を説明するための図である。
図13図13A図1及び図2に示す静電容量センサに操作体が一つの第1の電極上部の遠方に位置しているイメージ図であり、図13Bはその場合の第1の電極、第2の電極及び第3の電極の静電容量値と、それらの和SUMの例である。
図14図14A図1及び図2に示す静電容量センサに操作体が3つ接触したときの第1の電極上部の遠方に位置しているイメージ図であり、図14Bはその場合の第1の電極、第2の電極及び第3の電極の静電容量値と、それらの和SUMの例である。
図15図14に示す静電容量値から図10のステップST436にて操作体の数と座標が計算されていく流れを示す図である。
図16図16A図1及び図2に示す静電容量センサに操作体が1つ広範囲に接触したときの第1の電極上部の遠方に位置しているイメージ図であり、図16Bはその場合の第1の電極、第2の電極及び第3の電極の静電容量値と、それらの和SUMの例である。
図17】第1の電極および第2の電極のみからなる、本発明の実施形態に係る静電容量センサの平面構成図である。
図18】第1の電極および第3の電極のみからなる、本発明の実施形態に係る静電容量センサの平面構成図である。
図19】第3の電極が完全なリング状でない、本発明の実施形態に係る静電容量センサの平面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係る静電容量センサについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る静電容量センサの平面構成図である。図2は、図1に示す静電容量センサのセンサ部1の断面構成である。
【0033】
図3は、図1において、一つの操作体2が存在する場合を示す図である。図4は、2つの操作体21,22が存在する場合の静電容量センサの断面構成図である。図5は、図4の場合の平面構成図である。図6は、2つの操作体21,22の動きを説明するための図である。
【0034】
図1に示すように、静電容量センサのセンサ部1は、人体の一部である指等の操作体2を検出する箇所に配置される第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13を有し、これらが例えば同一平面上に設けられている。
また、静電容量センサは、静電容量検出部3及び判定部4を有する。
【0035】
図1に示すように、第2の電極12は、円板形状をしている。第2の電極12の周囲には、第2の電極12を囲むように、同一形状及び同一サイズの扇型の第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118が等角度間隔で設けられている。
第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118の外側には、第2の電極12を囲むリング形状の第3の電極13が設けられている。
【0036】
図2に示すように、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13の操作面(図示せず)と反対側の裏面には、基板上にシールド電極14が形成されている。
【0037】
静電容量センサでは、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13にグランドされた操作体2が近づくと、当該電極と操作体2との間に被測定キャパシタが構成される。静電容量センサでは、当該被測定キャパシタの静電容量を検出することで、操作体2の近接を検出する。第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13と操作体2との間には、相互の距離に応じた静電容量が生じる。
【0038】
静電容量検出部3は、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13とグランド(操作体2)との間の静電容量をそれぞれ自己容量式で検出する。
静電容量検出部3は、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13のうち検出対象の電極に、予め決められた電圧のパルス電圧を印加し、上記検出対象の電極と操作体2との間に形成された被測定キャパシタに電荷を蓄積させる。そして、当該蓄積した電荷を測定用キャパシタに供給し、当該測定用キャパシタの電圧を測定することで、被測定キャパシタ、すなわち検出対象の電極の静電容量を検出する。
【0039】
静電容量検出部3は、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13について検出した静電容量を判定部4に出力する。
【0040】
本実施形態では、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13の静電容量を、それぞれCA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13とする。
【0041】
判定部4は、静電容量検出部3から入力した静電容量を基に、操作体2等の数、操作体2等が位置する方向等を判定する。
【0042】
判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の合計値SUMを算出する。
判定部4は、合計値SUMが第3のしきい値TH3(>TH1)以上であることを条件に、静電容量センサに近接(あるいは接触)している操作体2の数および座標の判定処理を行う。
【0043】
判定部4は、上記操作体2が第1の電極の上のみに存在するか否かの判定処理により、操作体2が第1の電極の上のみに存在すると判定した場合に、第1の電極の上に存在する当該操作体の数および座標の特定処理を行う。
当該数および座標特定処理は、例えば、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118のうち第6のしきい値を越える静電容量値が検出された連続する第1の電極群を特定し、当該特定した第1の電極群の数を前記操作体の数、および当該特定した第1の電極群の静電容量値の重心から、前記操作体の座標を計算する。
【0044】
判定部4は、上記操作体2が第1の電極の上のみに存在するか否かの判定処理により、操作体2が第1の電極の上以外にも存在すると判定される場合に、単数又は複数の操作体2を単一の操作体とみなし、当該操作体2等の重心を特定する。
例えば、判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13と、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13のとの位置とを基に、重心点を特定する。具体的には、各位置に、それに対応した静電容量を重みづけとして与えて重心を求める。
【0045】
判定部4は、第2の電極12の静電容量CA12が第6のしきい値TH6以上である場合は、操作体2が第1の電極の上以外にも存在すると判定する。
判定部4は、第2の電極13の静電容量CA13が第7のしきい値TH7以上である場合は、操作体2が第1の電極の上以外にも存在すると判定する。
【0046】
判定部4は、第2の電極12の静電容量CA12が第6のしきい値TH6未満であり、第3の電極13の静電容量CA13が第7のしきい値TH7未満の場合、操作体2が第1の電極の上のみに存在すると判定する
【0047】
判定部4は、図7に示すように、合計値SUMが、第1のしきい値TH1(<TH3)以上であることを条件に、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118を基に操作体2が位置する方向を判定する。
【0048】
判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118のうち最大の静電容量を持つ第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118を特定する。
そして、図12に示すように、判定部4は、当該特定した第1の電極の静電容量が第2のしきい値TH2以上の場合に、当該特定した第1の電極の方向に操作体2が位置すると判定する。
【0049】
判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118の時間変化を基に操作体2の動きを判定する。例えば、2つの操作体21、22が検出された場合に、これらの図5に示す位置から図6に示す位置への動きを判定する。
【0050】
以下、図1及び図2に示す静電容量センサの動作例を説明する。
図7は、図1及び図2に示す静電容量センサの全体動作例を説明するためのフローチャートである。
静電容量センサは、一定の周期で図7に示す処理を行う。
【0051】
ステップST1:
静電容量検出部3は、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13のそれぞれについて静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13を検出する。
静電容量検出部3は、検出した静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13を判定部4に出力する。
【0052】
ステップST2:
判定部4は、ステップST1で入力した静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の合計値SUMを算出する。
判定部4は、合計値SUMが第1のしきい値TH1以上であるか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST3に進み、否定判定の場合は処理を終了する。ここで、第1のしきい値TH1は、ステップST5の近接方向の判定処理を所定の信頼性で行うことができる値に設定されている。
【0053】
ステップST3:
判定部4は、合計値SUMが第3のしきい値TH3以上であるか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST4に進み、否定判定の場合はステップST5に進む。
【0054】
ステップST4:
判定部4は、操作体2の数および座標を判定する。当該数および座標判定処理は、図8を用いて詳細に説明する。
【0055】
ステップST5:
判定部4は、操作体2の方向を判定する。当該方向判定処理は、図12を用いて詳細に説明する。
【0056】
以下、図8に示すステップST4の操作体2等の数および座標を判定する方法を説明する。
図8は、図7に示すステップST4の数および座標判定方法を説明するためのフローチャートである。
ステップST41:
判定部4は、操作体2等が第1の電極の上のみに存在するのか否かを判定する。当該判定処理は、図9を用いて詳細に説明する。
【0057】
ステップST42:
判定部4は、ステップST41にて操作体2等が第1の電極の上のみに存在すると判定した場合にステップST43に進み、そうでない場合ステップST44に進む。
【0058】
ステップST43:
判定部4は、第1の電極の上に存在する操作体2の数と座標を判定する。当該判定処理は、図10を用いて詳細に説明する。
【0059】
ステップST44:
判定部4は、操作体2の数を1つと判定する。
【0060】
ステップST45:
判定部4は、単数又は複数の操作体2等の重心を特定する。
例えば、判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13と、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118、第2の電極12及び第3の電極13のとの位置とを基に、重心点を特定する。
具体的には、判定部4は、第1の電極111〜118、第2の電極12及び第3の電極13のうち、その静電容量が第5のしきい値TH5以上の電極を特定し、当該特定した電極の位置を基に、重心座標を計算する。
【0061】
ステップST46:
判定部4は、判定した操作体2の数および座標を出力する。
【0062】
以下、図9に示すステップST41の操作体2等が第1の電極の上のみに存在するのか否かを判定する方法を説明する。
図9は、図8に示すステップST41の第1の電極上検出判定方法を説明するためのフローチャートである。
ステップST411:
判定部4は、第2の電極12の静電容量値CA12が第6のしきい値TH6未満であるか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST412に進み、否定判定の場合はステップST414に進む。
【0063】
ステップST412:
判定部4は、第3の電極13の静電容量値CA13が第7のしきい値TH7未満であるか否かを判定し、肯定判定の場合にステップST413に進み、否定判定の場合はステップST414に進む。
【0064】
ステップST413:
判定部4は、操作体2等が第1の電極の上のみに存在すると判定する。
【0065】
ステップST414:
判定部4は、操作体2等が第1の電極の上以外にも存在すると判定する。
【0066】
以下、図10に示すステップST43の第1の電極上に存在する操作体2の数と座標を判定する方法を説明する。
図10は、図8に示すステップST43の操作体の数と座標判定方法を説明するためのフローチャートである。
ステップST431:
判定部4は、操作体の数を0に初期化する。
【0067】
ステップST432:
判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118が第4のしきい値TH4未満である第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118を既にチェック済であると判定する。
【0068】
ステップST433:
判定部4は、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118を走査し、全ての電極がチェック済みであるか否かを判定し、肯定判定の場合は処理を終了し、否定判定の場合はステップST434に進む。
【0069】
ステップST434:
判定部4は、操作体の数を1増加させる。
【0070】
ステップST435:
判定部4は、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118のうち、チェック済みの電極で囲まれた、連続する1つ以上の未チェックの第1の電極を選択する。
【0071】
ステップST436:
判定部4は、ステップST435にて選択した第1の電極の静電容量値から、ステップST434にて増加させた第1の電極の重心座標を操作体の重心座標として計算する。
【0072】
ステップST437:
判定部4は、ステップST435にて選択した第1の電極をチェック済みにする。
【0073】
以下、図12に示すステップST5の操作体2の近接方向を判定する方法を説明する。
図12は、図7に示すステップST5の近接方向判定方法を説明するためのフローチャートである。
ステップST51:
判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13のうち、最大の値を示す電極をEmaxとして記憶する。
【0074】
ステップST52:
判定部4は、Emaxが第1の電極であり、かつEmaxの静電容量値が第2のしきい値TH2以上か否かを判定し、肯定判定の場合はステップST53に進み、否定判定の場合はステップST54に進む。
【0075】
ステップST53:
判定部4は、操作体2がEmaxとなる第1の電極の方向に存在すると判定する。
【0076】
ステップST54:
判定部4は、操作体2が静電容量センサ1の垂直方向に存在すると判定する。
以上説明したように、静電容量センサによれば、図1に示すように、同一円周上に複数の第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118を配置しているため、複数の操作体21,22が第1の電極上に近接等した場合には、それに対応した第1の電極の静電容量が所定の条件を満たすようにすることが可能になり、操作体2の数と座標を特定できる。
【0077】
また、この構成によれば、図7に示すステップST2に示すように、静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の合計値が第1のしきい値TH1以上であるという条件を満たさない場合、すなわち周囲のノイズ等の影響で正確な判定ができない可能性がある場合には、判定を行わない。そのため、信頼性が高い判定を行うことができる。
【0078】
また、静電容量センサによれば、図12のステップST52,ST53に示すように、最大電極Emaxの静電容量が第2のしきい値TH2以上の場合に、それに対応した第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118の方向に操作体が位置すると判定するので、静電容量が正確に検出された状態であることを条件に判定を行うことができ、信頼性の高い判定ができる。
【0079】
また、静電容量センサでは、図7に示すステップST3,ST4に示すように、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の合計値SUMが第3のしきい値TH3以上であることを条件に、操作体の数の特定処理を行う。すなわち、周囲のノイズ等の影響で正確な判定ができない可能性がある場合には、判定を行わない。そのため、信頼性が高い判定を行うことができる。
【0080】
また、静電容量センサによれば、図7のステップST4に示すように、操作体2の数および座標の判定が可能になる。
【0081】
また、静電容量センサによれば、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118を囲むようにリング状の第3の電極13を設けることで、電極の総面積を大きくできるので、操作体2の近接を高精度に検出でき、より信頼性が高い状態で操作体の数の判定を行うことができる。
【0082】
また、静電容量センサによれば、図8のステップST41に示すように、第1の電極上にのみ操作体2が存在するか否かを判定することで、操作体が第1の電極のみに触れようとしているのか、そうでないのかを高精度に判定できる。
【0083】
また、静電容量センサによれば、図8のステップST43に示すように、第1の電極上に存在する操作体2の数と座標を判定することで、第1の電極上に存在する操作体2の数および座標から、複雑な判定を実現できる。
【0084】
以下、上述した静電容量センサの具体的な動作例を説明する。
図13Aに示すように操作体2が第1の電極116上部の遠方に位置し、図13Bに示すような静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13が得られた場合、図7に示すフローチャートがどのように処理されるかを説明する。
図13Aは、操作体2が116上部の遠方に位置しているイメージ図であり、図13Bは、その場合の静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13およびその和SUMの例である。
【0085】
図7のフローチャートのステップST1により、静電容量検出部3から、図13Bに示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13を得る。ステップST2に進む。
【0086】
図7のフローチャートのステップST2により、図13Bに示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の和SUM(=52)を計算し、TH1と比較する。
TH1=50としたとき、ステップST2の判定は肯定となり、ステップST3に進む。
【0087】
図7のフローチャートのステップST3により、図13Bに示す静電容量値SUM(=52)とTH3を比較する。
TH3=200としたとき、ステップST2の判定は否定となり、ステップST5および、図12のステップST51に進む。
【0088】
図12のフローチャートのステップST51により、図13Bに示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13から、最大の値を示す電極Emaxを探索する。
CA116が最大(10)なので、Emaxを電極116とし、ステップST52に進む。
【0089】
図12のフローチャートのステップST52により、Emaxが第1の電極か否か、第2のしきい値TH2以上か否かを判定する。
TH2=5としたとき、電極116は第1の電極であり、かつCA116>TH2なので、ステップST53に進む。
【0090】
図12のフローチャートのステップST53により、操作体2がEmaxの方向にあると判定する。
Emaxは電極116なので、操作体2が電極116方向に存在すと判定する。全フローを終了する。
【0091】
以下、図14Aに示すように操作体21,22,23が第1の電極上部に接触し、図14Bに示すような静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13が得られた場合、図7に示すフローチャートがどのように処理されるかを説明する。
図14Aは、操作体21,22,23が第1の電極上部に接触しているイメージ図であり、図14Bは、その場合の静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13およびその和SUMの例である。
【0092】
図7のフローチャートのステップST1により、静電容量検出部3から、図14Bに示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13を得る。ステップST2に進む。
【0093】
図7のフローチャートのステップST2により、図14Bに示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の和SUM(=400)を計算し、TH1と比較する。
TH1=50としたとき、ステップST2の判定は肯定となり、ステップST3に進む。
【0094】
図7のフローチャートのステップST3により、図13Bに示す静電容量値SUM(=400)とTH3を比較する。
TH3=200としたとき、ステップST2の判定は肯定となり、ステップST4および、図8のステップST41および、図9のステップ411に進む。
【0095】
図9のフローチャートのステップST411により、図13Bに示す静電容量値CA12(=20)とTH6を比較する。
TH6=50としたとき、ステップST411の判定は肯定となり、ステップST412に進む。
【0096】
図9のフローチャートのステップST412により、図13Bに示す静電容量値CA13(=30)とTH7を比較する。
TH7=50としたとき、ステップST412の判定は肯定となり、ステップST413に進む。
【0097】
図9のフローチャートのステップST413により、操作体2は第1の電極上にのみ存在すると判定し、図8のステップST42に進む。
【0098】
図8のフローチャートのステップST42により、操作体2は第1の電極上にのみ存在するか否かを判定する。
ステップ413により操作体2は第1の電極上にのみ存在すると判定されているので、ステップST42の判定は肯定となり、ステップST43および、図10のステップ431に進む。
【0099】
図10のフローチャートのステップST431により、操作体2の数を0に初期化する。ステップST432に進む。
【0100】
図10のフローチャートのステップST432により、静電容量値が第4のしきい値TH4未満の第1の電極をチェック済みにする。
TH4=50とした場合、第1の電極112,113,115,117をチェック済みにしてステップST433に進む。
図15Aは、このときの判定部4のデータ状態である。
【0101】
図1ローチャートのステップST433により、第1の電極のチェック状態を確認する。図15Aに示すように、全ての第1の電極はチェックされていないのでステップST433の判定は否定となり、ステップ434に進む。
【0102】
図10のフローチャートのステップST434により、操作体の数は+1され、0から1となる。ステップ435に進む。
【0103】
図10のフローチャートのステップST435により、第1の電極のうち、未チェックかつ連続する電極を選択する。今回の場合、第1の電極111および、その隣り合う第1の電極118が未チェックであるので、第1の電極111,118を選択する。第1の電極114よび第1の電極116も未チェックであるが、第1の電極111,118と連続していないため、選択されない。ステップST436に進む。
【0104】
図10のフローチャートのステップST436により、選択された第1の電極111,118の静電容量値から、第1の操作体21の重心座標を計算する。ここでの重心座標は、図11に示すように、第1の電極111と118の間の座標を0、第1の電極111を0.5、第1の電極111と112の間の座標を1、…とした、中心からの角座標に相当する座標である。選択された第1の電極111,118の静電容量値CA111、CA118の重心は第1の電極111と118のちょうど中心なので、座標は0と計算される。ステップ437に進む。
【0105】
図10のフローチャートのステップST437により、選択された第1の電極111,118がチェック済みとなり、ステップST433に進む。
図15Bは、このときの判定部4のデータ状態である。
図10のフローチャートのステップST433〜437により、未チェックの第1の電極114が選択され、操作体の数が追加され、座標が3.5と計算され、第1の電極114がチェック済みとなり、ステップST433に進む。
図15Cは、このときの判定部4のデータ状態である。
【0106】
図10のフローチャートのステップST433〜437により、未チェックの第1の電極116が選択され、操作体の数が追加され、座標が5.5と計算され、第1の電極116がチェック済みとなり、ステップST433に進む。
図15Dは、このときの判定部4のデータ状態である。
【0107】
図10のフローチャートのステップST433により、第1の電極のチェック状態を確認する。図15Dに示すように、全ての第1の電極がチェックされているのでステップST433の判定は肯定となり、ステップST43を終了し、図8のフローチャートのステップST46に進む。
【0108】
図10のフローチャートのステップST46により、計算された操作体21,22,23の数(=3)および座標(0,3.5,5.5)が出力される。図7のフローチャートのステップST4および全体フローを終了する。
【0109】
以下、図16Aに示すように操作体24が第1、第2、第3の電極上部にまたがるように接触し、図16Bに示すような静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13が得られた場合、図7に示すフローチャートがどのように処理されるかを説明する。
図16Aは、操作体24が第1、第2、第3の電極上部に接触しているイメージ図であり、図16Bは、その場合の静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13およびその和SUMの例である。
【0110】
図7のフローチャートのステップST1により、静電容量検出部3から、図14に示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13を得る。ステップST2に進む。
【0111】
図7のフローチャートのステップST2により、図14に示す静電容量値CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の和SUM(=850)を計算し、TH1と比較する。
TH1=50としたとき、ステップST2の判定は肯定となり、ステップST3に進む。
【0112】
図7のフローチャートのステップST3により、図13Bに示す静電容量値SUM(=850)とTH3を比較する。
TH3=200としたとき、ステップST2の判定は肯定となり、ステップST4および、図8のステップST41および、図9のステップST411に進む。
【0113】
図9のフローチャートのステップST411により、図13Bに示す静電容量値CA12(=300)とTH6を比較する。
TH6=50としたとき、ステップST411の判定は否定となり、ステップST414に進む。
【0114】
図9のフローチャートのステップST414により、操作体24は第1の電極上以外にも存在すると判定する。ステップST41を終了し、図8のステップST42に進む
【0115】
図8のフローチャートのステップST42により、操作体24は第1の電極上にのみ存在するか否かを判定する。
ステップST414により操作体24は第1の電極上以外にも存在すると判定されているので、ステップST42の判定は否定となり、ステップST44に進む。
【0116】
図8のフローチャートのステップST44により、操作体24は1つであると判定する。ステップST45に進む
【0117】
図8のフローチャートのステップST45により、操作体24の重心座標計算を行う。ここでの重心座標結果は、ステップST46にて出力される。
【0118】
図17は、第1の電極および第2の電極のみからなるセンサの例である。本発明は第1の電極、第2の電極および第3の電極を全て備える必要はなく、図17のようなセンサでも成立する。すなわち、図17に示すセンサでは、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118及び第2の電極12を有し、図1に示す第3の電極13を有していない。
【0119】
図18は、第1の電極および第3の電極のみからなるセンサの例である。本発明は第1の電極、第2の電極および第3の電極を全て備える必要はなく、図18のようなセンサでも成立する。すなわち、図18に示すセンサでは、第1の電極1111,1121,1131,1141、1151、1161、1171、1181及び第3の電極13を有し、図1に示す第2の電極12を有していない。
【0120】
図19は、第3の電極が完全なリング形状でないセンサの例である。本発明の各電極は必ずしも完全な円形や完全なリング形状である必要はなく、図19の例では、第3の電極131が部分的に欠けていることで、第1の電極111〜118及び第2の電極12からの配線を外側に引き出すことができ、単層でのセンサ構成が可能になる。
【0121】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0122】
上述した実施形態では、図7に示すステップST2,ST3において判定部4は、静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118,CA12,CA13の合計値SUMを第1のしきい値TH1及び第2のしきい値TH3と比較したが、静電容量静電容量CA111,CA112,CA113,CA114,CA115,CA116,CA117,CA118の合計値、あるいは、当該合計値とCA21,CA31の少なくとも一つの合計値を合計値SUMとして用いてもよい。
【0123】
また、上述した実施形態では、図7に示すステップST4の操作体の数および座標の特定処理と、ステップST5の操作体が位置する方向の特定処理との双方を行う場合を例示したが、操作体が位置する方向の特定処理のみを行う場合にも本発明は適用可能である。
【0124】
また、上述した実施形態では、第2の電極12及び第3の電極13を設けた場合を例示したが、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118のみを用いてもよい。
【0125】
また、第1の電極111,112,113,114、115、116、117、118の形状は扇型以外であってもよいし、数は複数であれば8つ以外でもよい。
【0126】
本発明の数および座標の判定方法は図8に示す例に限定されない。また、本発明の第1の電極上の操作体の数と座標の判定方法は図9に示す例に限定されない。さらに、本発明の操作体の近接方法の特定方法は、図12に示す例に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は静電容量センサに適用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1…静電容量センサ
111,112,113,114、115、116、117、118、1111,1121,1131,1141、1151、1161、1171、1181…第1の電極
12…第2の電極
13…第3の電極
14…シールド電極
2,21,22,23,24…操作体
3…静電容量検出部
4…判定部
TH1…第1のしきい値
TH2…第2のしきい値
TH3…第3のしきい値
TH4…第4のしきい値
TH5…第5のしきい値
TH6…第6のしきい値
TH7…第7のしきい値
図1
図2
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