【文献】
J. Biol. Chem.,1982年,257,1401−1406
【文献】
J. Biol. Chem.,1984年,259,15035−15039
【文献】
J. Biol. Chem.,1988年,263,16637−16644
【文献】
Antimicrob. Agents Chemother.,2000年,44,477−483
【文献】
Mol. Pharmacol.,2001年,60,521−527
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記HBV若しくはHDV薬はラミブジン(Epivir)、アデホビル(Hepsera)、テノホビル(Viread)、テルビブジン(Tyzeka)、エンテカビル(Baraclude)、ボセンタン、オキシステロール、エゼチミブ、レセルピン、ロスバスタチン、及びブロムスルフサレインからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の組成物。
HBV若しくはHDV感染を治療する、又はヒトナトリウムタウロコール酸共輸送ポリペプチド(hNTCP)を阻害するために用いられる、請求項3又は4のいずれかに記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】図 1は候補薬の効力及びメカニズムを研究するための測定法の概略図である。
【
図2】図 2はPBADがNTCP媒介HBV及びHDV感染を阻害したことを示す。(A-B)指定された異なる濃度のPBADの存在下で、HBV(A)及びコントロールウイルスVSV-HBeAg(B)で感染させたHepG2-NTCP。感染後5日目(dpi)、分泌されたHBeAgのレベルをELISAで検出した。(C)指定された異なる濃度のPBADの存在下で、HDVで感染させたHepG2-NTCP。感染後5日目、FITC共役4G5で細胞内デルタ抗原を染色し、DAPIで核染色を行った。
【
図3】
図3はPBADがエントリレベルにてHBV感染を阻害したことを示す。HBV感染前(A)又は後(B)に、HepG2-NTCP細胞と指定された異なる濃度のPBADをインキュベートした。前記処理を24時間継続した。5 dpiにて、分泌されたHBeAgのレベルをELISAで検出した。
【
図4】図 4は幾つかのPBADがNTCPに基質が取り込まれることを顕著に遮断したことを示す。(A)指定された化学品又はmyr47(L被膜タンパク質の最初の47個のアミノ酸に対応し、且つN-末端にミリストイル化修飾を有するペプチド)の存在下で、HepG2-NTCP細胞に対して[3H]タウロコール酸塩取り込み測定を行った。(B)[3H]タウロコール酸塩の取り込みは3UT(NQL-012)、3TPT(NQL-018)、DiU(NQL-009)及びmyr47の投薬量に依存して阻害された。指定された化学品を[3H]タウロコール酸塩と一緒にHepG2-NTCP細胞に添加し、10分間インキュベートし、それから[3H]タウロコール酸塩の取り込み効率を確定した。(C)NTCP媒介[3H]タウロコール酸塩の取り込みを阻害した3UT(NQL-012)、3TPT(NQL-018)及びmyr47のIC50。取り込み測定前に、HepG2-NTCP細胞を指定された濃度の3UT(NQL-012)、3TPT(NQL-018)又はMyr47で2時間前処理した。
【
図5】
図5はHepG2-NTCP細胞におけるHBV感染を阻害したPBADのIC50を示す。指定された異なる濃度のPBADの存在下で、HepG2-NTCP細胞をHBVで感染させる。5 dpiにて、培地中のHBeAgのレベルをELISAで調べた。
【
図6】
図6は3UT(NQL-012)、DiU(NQL-009)及び3TPT(NQL-018)の細胞培養中の毒性を示す。HepG2-NTCP 細胞と指定された濃度下での3UT(NQL-012)、 DiU(NQL-009)又は3TPT(NQL-018)を48時間インキュベートし、5 dpiにて細胞生存率を評価し、画像を得た。
【
図7】
図7はNTCPを標的とし、NTCPとHBV preS1ドメインとの間の相互作用を遮断することによりPBADがウイルス感染を阻害したことを示す。(A)FITC-preS1ペプチドとNTCPの結合はPBADにより遮断された。FITC-preS1結合測定は指定された濃度の化学品の存在下で行われた。(B)FITC-preS1 ペプチドとNTCPの間の結合を阻害した3TPT(NQL-018)及びmyr47の投薬量依存性測定。HepG2-NTCP細胞がプレインキュベートされた(上図)又は化学品と3時間共インキュベートされた(下図)ときに前記結合を評価した。
【
図8】
図8はPBAD活性に対する結合基の長さの影響を示す。3TPT(NQL-018)(中間に5 個の炭素原子を有するビス-エステル結合)及び3THT(中間に7個の炭素原子を有するビス-エステル結合)の活性を比較した。指定された濃度のPBADの存在下で、HepG2-NTCP 細胞をHBVで感染させた。5dpi にて、培地中の分泌されたHBeAgのレベルを調べ、これらのIC50値を図に示した。
【
図9】
図9はPBADがHDV 感染を投薬量依存性に阻害したことを示す。指定された異なる濃度のPBADの存在下で、HepG2-NTCP細胞をHDVで感染させた。感染後6日目、FITC共役モノクローナル抗体4G5で細胞内デルタ抗原を染色し、これによりHDV感染比率を計算した。
【
図10】
図10はPBADのin vitro安定性に対する結合基の影響を示す。ウイルス感染前にTUDCA、NQL018、NQL044、及びNQL055とHBV接種材料を異なる時間インキュベートし、それらを感染期間の接種材料に存在させた。5 dpiにて、分泌されたHBeAgのレベルをELISAで検出した。NQL018だけが長時間のインキュベーションの後に活性低下を示した。
【
図11】
図11は指定されたPBADの存在下で、HepaRG細胞をHBVで感染させた。5 dpiにて、 分泌されたHBsAg及びHBeAgのレベルをELISAで検出した。
【
図12】
図12は様々な単量体及び連結鎖における異なるPBADの構造活性の関係性分析を示す。指定された異なる濃度のPBADの存在下で、HepG2-NTCP細胞をHBVで感染させた。5〜6 dpiにて、分泌されたHBeAgのレベルをELISAで検出した。
【0034】
発明の特定の実施形態の説明
本出願は、慢性的なHBV及びHDV感染を治療することを含み、垂直伝播及び事故的被曝による新HBV感染を防ぎ、肝細胞が有毒な胆汁酸又は他のNTCP輸送物を取り込まないように肝臓移植後のHBVの再発及び指定されたNTCP阻害の病状を予防する。特定の実施形態と実施例の説明は例として提供されるものであり、限定することを目的とするものではない。本質的に類似の結果がもたらされるように、重要でない様々なパラメータは変更又は修正されてもよいと当業者は容易に理解できる。
【0035】
禁忌又は別段注記がない限り、これら説明及び本明細書の全体を通じて、具体的な数が限定されていない場合は1つ又は複数を意味し、「又は」とは及び/又はを意味し、且つ、ポリヌクレオチド配列は逆ストランド及び本明細書において説明される選択可能な骨格を包含すると理解される。この他、属はその属のメンバーの全てを詳述するための簡略表記法で詳述される。例えば、(C1-C3)アルキルの詳述は全てのC1-C3アルキル、即ち、異性体を含むメチル、エチル及びプロピルを詳述するための簡略表記法である。
【0036】
胆汁酸はステロイド酸であり、これはステラン核に4個の環を有し、C17炭素上に通常5個〜8個の炭素原子を有し、カルボキシル基を末端とする側鎖を含む。胆汁酸は天然物、例えば哺乳動物の胆汁に存在する胆汁酸、及びその合成誘導体、例えば本明細書に開示される誘導体を包含する。
【0037】
本明細書において使用される「ヘテロ原子」という用語は、通常、炭素又は水素以外のいずれかの原子を意味する。好ましくは、酸素(O)、リン(P)、硫黄(S)、窒素(N)、ケイ素(Si)及びハロゲンを含むヘテロ原子であり、好ましいヘテロ原子官能基はハロホルミル、ヒドロキシル、アルデヒド、アミン、第四級アンモニウム塩、アミンオキシド、アゾ、ジアゾ、アジド、アジリジン、ジアジリジン、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル、シアニル、チオシアニル、カルボニル、ハロゲン、ヒドロペルオキシル、エポキシド、過酸化物、オキシム、イミン、イミド、アミド、アルジミン、イソシアニド、イソシアネート、イソチオシアネート、硝酸エステル、ニトリル、亜硝酸エステル、ニトリド、ニトロ、ニトロソ、フォスフェート、チオホスホン酸エステル、ホスホノ、リン化物、第四ホスホニウム塩、シラン、アルキルシラン、シロキサン、ハロシラン、硫化物、亜硫酸エステル、スルホン酸エステル、チオ硫酸エステル、スルホニル、スルホキシド、スルフィミド、スルホン、スルホキシイミン、スルホニウム、及びスルフヒドリルである。
【0038】
別段定めがない限り、「アルキル」という用語は、それ自身又は他の置換基の一部として、直鎖又は分岐鎖、又は環状炭化水素遊離基、又はその組み合わせを意味し、完全飽和しており、指定された炭素原子数を有する(即ちC1-C8は1〜8個の炭素原子を意味する)。アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、及びn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等の相同体及び異性体などが含まれる。
【0039】
「アルケニル」という用語は、それ自身又は他の置換基の一部として、直鎖又は分岐鎖、又は環状炭化水素遊離基、又はその組み合わせを意味し、一価又は多価不飽和でもよく、指定された炭素原子数(即ちC2-C8は2〜8個の炭素原子を意味する)と、1個又は複数の二重結合を有する。アルケニル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2、4-ペンタジエニル、3-(1.4-ペンタジエニル)及びより長鎖の相同体及び異性体が含まれる。
【0040】
「アルキニル」という用語は、それ自身又は他の置換基の一部として、直鎖又は分岐鎖、炭化水素遊離基、又はその組み合わせを意味し、一価又は多価不飽和でもよく、指定された炭素原子数(即ちC2-C8は2〜8個の炭素原子を意味する)と、1個又は複数の三重結合を有する。アルキニル基の例には、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル及びより長鎖の相同体及び異性体が含まれる。
【0041】
「アルキレン」という用語は、それ自身又は他の置換基の一部として、アルキルに由来する二価の遊離基を意味し、例えば、-CH2-CH2-CH2-CH2-で示すものである。通常、アルキル(又はアルキレン)基は1〜24個の炭素原子を有し、本発明では10個又はそれ以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」とは鎖のより短いアルキル又はアルキレン基であり、通常、8個又はそれ以下の炭素原子を有する。
【0042】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)という用語は、慣用の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して分子の残りの部分に結合されたアルキル基を指す。
【0043】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自身又は他の用語と組み合わせて使用する場合、別段定めがない限り、記載した数の炭素原子及びO、N、P、Si及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子から成る、安定した直鎖又は分岐鎖、又は環状炭化水素遊離基、又はその組み合わせを意味し、前記窒素原子、硫黄原子、及びリン原子は任意に、酸化されていてもよく、前記窒素及びリンのヘテロ原子は任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、P及びSは前記ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置されてもよい。ヘテロ原子Siは、アルキル基が分子の残りの部分に結合した位置を含む前記ヘテロアルキル基の任意の位置に配置されてよい。例としては、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-Sn-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、及び-CH=CH-N(CH3)-CH3が含まれる。例えば、-CH2-NH-OCH3、-CH2-S-S-CH2-CH3、及び-CH2-O-Si(CH3)3のように、最大2個のヘテロ原子が連続してもよい。
【0044】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自身又は他の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する二価の遊離基を意味し、例えば-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-で示すものである。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子も鎖の端末の一方又は両方を占拠できる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。さらにまた、アルキレン及びヘテロアルキレン結合基については、前記結合基の向きは暗示されていない。
【0045】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自身又は他の用語と組み合わせて使用する場合、別段定めがない限り、それぞれ環状型の「アルキル」及び「ヘテロアルキル」を示す。そのため、シクロアルキル基は、指定された数の炭素原子を有し(即ち、C3-C8は3〜8個の炭素原子を意味する)、かつ1又は2個の二重結合も有してもよい。ヘテロシクロアルキル基は指定された数の炭素原子及びO、N、P、Si及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子から成り、前記窒素原子及び硫黄原子は任意に、酸化されていてもよく、前記窒素及びリンのヘテロ原子は任意に、四級化されていてもよい。さらに、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、前記ヘテロ環が分子の残りの部分に結合する位置を占拠できる。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル等が含まれる。ヘテロシクロアルキルの例には、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-イル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル等が含まれる。
【0046】
「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、それ自身又は他の置換基の一部として、別段定めがない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」のような用語は、数が1〜(2m'+1)の範囲内にあるハロゲン原子で置換されたアルキルを含むことを意味し、前記ハロゲン原子は同じ又は異なってもよく、中で、m'は前記アルキル基中の炭素原子の総数である。例えば、「ハロ(C1-C4)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピル等を含むことを意味する。また、「ハロアルキル」という用語は、モノハロアルキル(1個のハロゲン原子で置換されたアルキル)及びポリハロアルキル(数が2〜(2m'+1)の範囲内にあるハロゲン原子で置換されたアルキル、中で、m'はアルキル基中の炭素原子の総数である)を含む。「ペルハロアルキル」という用語は、別段定めがない限り、(2m'+1)個のハロゲン原子で置換されたアルキルを意味し、中で、m'はアルキル基中の炭素原子の総数である。例えば、「ペルハロ(C1-C4)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、ペンタクロロエチル、1、1、1-トリフルオロ-2-ブロモ-2-クロロエチル等を含むことを意味する。
【0047】
「アシル」という用語は、有機酸から前記酸のヒドロキシ部分を除くことにより得る基を指す。このため、アシルとは例えば、アセチル、
プロピオニル、ブチリル、デカノイル、ピバロイル、
ベンゾイル等を含むことを意味する。
【0048】
「アリール」という用語は、別段定めがない限り、多価不飽和であり、通常は芳香族の単環、又は縮合された又は共有結合された多環(最大5環)とすることができる炭化水素置換基を意味する。アリール基の非限定的な例には、フェニル、1-ナフチル、
2-ナフチル、
4-ビフェニル及び
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンが含まれる。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSより選択される0〜6個のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)を指し、前記窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化され、かつ前記窒素ヘテロ原子は任意に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して、分子の残りの部分に結合することができる。ヘテロアリール基の非限定的な例には、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル及び6-キノリルが含まれる。
【0049】
簡潔にするために、「アリール」という用語は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用する場合、上記に定義したアリール及びヘテロアリール環の両方を含む。このため、「アリールアルキル」という用語は、炭素原子(例えばメチレン基)が、例えば酸素原子で置換されたアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピル等)を含む、アルキル基にアリール基が結合した遊離基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)を含むことを意味する。上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)はそれぞれ、指定された遊離基の置換及び非置換の形式の両方を含むことを意味する。それぞれの遊離基の好ましい置換基は下記のとおり。
【0050】
アルキル及びヘテロアルキル遊離基(及びアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルと称される基)に用いる置換基は、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R"、-SR'、ハロゲン、-SiR'R"R'"、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R"、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR'-C(O)NR"R'"、-NR'-SO2NR'"、-NR"CO2R'、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-SO22R'、-SO2NR'R"、-NR"SO2R、-CN及び-NO2より選択される様々な基とすることができ、その数が0〜3の範囲であり、中で、0、1又は2個の置換基を有する基が特に好ましい。R'、R"及びR'"はそれぞれ独立して、ハロゲン、非置換の(C1-C8)アルキル基及びヘテロアルキル基、非置換のアリール基、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換のアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又はアリール-(C1-C4)アルキル基を指す。R'及びR"が同じ窒素原子に結合している場合、これらは前記窒素原子と組み合わさって、5員、6員又は7員の環を形成することができる。例えば、-NR'R"は1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味する。通常、アルキル又はヘテロアルキル基は0〜3個の置換基を有し、本発明では2個又はそれ以下の置換基を有する基が好ましい。更に好ましくは、アルキル又はヘテロアルキル遊離基が非置換又はモノ置換されたものであり、最も好ましくは、アルキル又はヘテロアルキル遊離基が非置換のものである。置換基に関する上記考察から、当業者は、「アルキル」という用語が、トリハロアルキルのような基(例えば、-CF3及び-CH2CF3)を含むことを意味すると理解できる。
【0051】
アルキル及びヘテロアルキル遊離基に用いる好ましい置換基は、-OR'、=O、-NR'R"、-SR'、ハロゲン、-SiR'R"R'"、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R"、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR"CO2R'、-NR'-SO2NR"R'"、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R"、-NR"SO2R、-CN及び-NO2より選択され、中でR'及びR"は上記に定義したとおりである。更に好ましい置換基は、-OR'、=O、-NR'R"、ハロゲン、-OC(O)R'、-CO2R'、-CONR'R"、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR"CO2R'、-NR'-SO2NR"R'"、-SO2R'、-SO2NR'R"、-NR"SO2R、-CN及び-NO2より選択される。
【0052】
同様に、アリール及びヘテロアリール基に用いる置換基は異なり、ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R"、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R"、-C(O)R'、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR"CO2R'、-NR'-C(O)NR"R'"、-NR'-SO2NR"R'"、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R"、-NR"SO2R、-N3、-CH(Ph)2、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシ-及びペルフルオロ(C1-C4)アルキルより選択され、その数が0から前記芳香環系上の空の原子価の総数までの範囲であり、かつ中でR'、R"及びR'"は独立して、ハロゲン、(C1-C8)アルキル及びヘテロアルキル、非置換のアリール及びヘテロアリール、(非置換のアリール)-(C1-C4)アルキル及び(非置換のアリール)オキシ-(C1-C4)アルキルより選択される。前記アリール基が1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンである場合、置換もしくは非置換の(C3-C7)スピロシクロアルキル基で置換されてもよい。前記(C3-C7)スピロシクロアルキル基は本明細書において「シクロアルキル」に定義されたのと同じ方法で置換されてもよい。
【0053】
通常、アリール又はヘテロアリール基は0〜3個の置換基を有し、本発明では2個又はそれ以下の置換基を有する基が好ましい。本発明の一つの実施形態では、アリール又はヘテロアリール基は非置換又はモノ置換されたものである。別の実施形態ではアリール又はヘテロアリール基は非置換のものである。
【0054】
アリール及びヘテロアリール基に用いる好ましい置換基は、ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R"、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R"、-C(O)R'、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R"、-NR"SO2R、-N3、-CH(Ph)2、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシ及びペルフルオロ(C1-C4)アルキルより選択され、中でR'及びR"は上記に定義したとおりである。更に好ましい置換基は、ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R"、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R"、-NR"C(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R"、-NR"SO2R、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシ及びペルフルオロ(C1-C4)アルキルより選択される。
【0055】
本明細書において使用する場合、置換基-CO2Hはその生物学的等価体を含む。例えば、「薬物化学実践」(The Practice of Medicinal Chemistry); Wermuth、 C. G.、 Ed.; Academic Press: New York、 1996; p. 203を参照されたい。
【0056】
アリール又はヘテロアリール環の隣接した原子上の2個の置換基は、任意に、式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基で代替されてもよい、中でT及びUは独立して、-NH-、-O-、-CH2-又は一重結合であり、かつqは0〜2の整数である。若しくは、アリール又はヘテロアリール環の隣接した原子上の2個の置換基は、任意に、式-A-(CH2)r-B-の置換基で代替されてもよい、中でA及びBは独立して、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-又は一重結合であり、かつrは1〜3の整数である。このように形成された新しい環の一重結合の一つは任意に二重結合に代替されてもよい。若しくは、アリール又はヘテロアリール環の隣接した原子上の2個の置換基は、任意に、式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基で代替されてもよい、中でs及びtは独立して、0〜3の整数であり、かつXは-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、又は-S(O)2NR'-である。-NR'-及び-S(O)2NR'-中の置換基R'は水素又は非置換の(C1-C6)アルキルより選択される。
【0057】
好ましい置換基は本明細書に開示され、かつ、表、構造、実施例、及び請求項において例示される。そして本発明を超えて異なる化合物を応用してもよく、即ちいずれかの与えられた化合物の置換基を他の化合物と組み合わせて使用してもよい。
【0058】
特定の実施形態において、適用される置換基は独立して、置換もしくは非置換のヘテロ原子、置換もしくは非置換の任意のヘテロ原子のC1-C6アルキル、置換もしくは非置換の任意のヘテロ原子のC2-C6アルケニル、置換もしくは非置換の任意のヘテロ原子のC2-C6アルキニル、又は置換もしくは非置換の任意のヘテロ原子のC6-C14アリールであり、中で、ヘテロ原子のそれぞれは独立して、酸素、リン、硫黄又は窒素である。
【0059】
更に具体的な実施形態では、適用される置換基は独立して、アルデヒド、アルジミン、アルカノイルオキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルオキシ、アルキル、アミン、第四級アンモニウム塩、アミンオキシド、アゾ、ジアゾ、アジド、アジリジン、ジアジリジン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ハロゲン、カルバモイル、カルボニル、カルボキシアミド、カルボキシル、シアニル、チオシアニル、エステル、ハロゲン、ハロホルミル、ヒドロペルオキシル、ヒドロキシル、エポキシド、過酸化物、オキシム、イミン、イミド、アミド、アルジミン、イソシアニド、イソシアネート、イソチオシアネート、N-tert-ブトキシカルボニル、硝酸エステル、ニトリル、亜硝酸エステル、ニトロ、ニトロソ、フォスフェート、チオホスホン酸エステル、リン化物、ホスホノ、第四ホスホニウム塩、シラン、アルキルシラン、シロキサン、ハロシラン、硫化物、亜硫酸エステル、スルホン酸エステル、チオ硫酸エステル、スルホニル、スルホ基、スルホキシド、スルフィミド、スルホン、スルホキシイミン、スルホニウム、スルフヒドリル、チオール、チオシアニル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメチルエーテル(OCF3)である。
【0060】
「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書において説明される化合物上に存在する特定の置換基に応じて、相対的に非毒性の酸又は塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、これらの化合物の中性型を十分な量の純粋な又は適切な不活性溶媒中での所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容される塩基付加塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又はマグネシウム塩、又は類似の塩が含まれる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、これらの化合物の中性型を十分な量の純粋な又は適切な不活性溶媒中での所望の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩の例には、無機酸例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭素酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又はリン酸等に由来する塩、及び相対的に非毒性の有機酸例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等に由来する塩である。また、アルギニン酸等のようなアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸等のような有機酸の塩が含まれる。本発明の幾つかの特定の化合物は、前記化合物が塩基付加塩又は酸付加塩に変換されることを許容する、塩基性及び酸性の官能基の両方を含む。
【0061】
これら化合物の中性型は、前記塩を塩基又は酸と接触させ、親化合物を従来の様式で単離することによって再生される。前記化合物の親型は、極性溶媒中の溶解性のような幾つかの物理的特性において様々な塩型とは違うが、他の面では、前記塩は本発明の目的にとって前記化合物の親型と等価である。
【0062】
塩型の他、本発明は、プロドラッグ型の化合物も提供する。本明細書において説明される化合物のプロドラッグは、生理的条件下で化学的変化を経て本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグはex vivo環境において化学的方法又は生物化学的方法により本発明の化合物に変換できる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバーに入れられた場合、ゆっくりと本発明の化合物に変換できる。プロドラッグは通常、有用である。それは、幾つかの場合において、これらは親薬物より投与しやすいためだと考えられる。例えば、これらは経口投与の生物学的利用能が親薬物よりも高い。また、プロドラッグは医薬組成物において親薬物よりも溶解性も高いためだと考えられる。当分野において様々なプロドラッグ誘導体、例えばプロドラッグの加水分解又は酸化的活性化に依存する誘導体が広く知られている。プロドラッグの非限定的な例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、カルボン酸という活性実体に代謝的に加水分解される本発明の化合物である。他の実施例では本発明の化合物のペプチジル誘導体が含まれる。
【0063】
本発明の幾つかの化合物は、非溶媒和型及び水和型を含む溶媒和型で存在できる。一般的に、溶媒和型は非溶媒和型と等価であり、本発明の範囲内に包含されると意図される。本発明の幾つかの化合物は、複数の結晶型又はアモルファス型で存在できる。一般的に、全ての物理的形態は本発明で企図される用途に対して等価であり、本発明の範囲内に包含されると意図される。
【0064】
幾つかの主題化合物は、不斉炭素原子(光学的中心)又は二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体及び具体的に指定された又は説明されたキラリティーが好ましい。また、多くの場合、最適活性が重要となる。しかしその全ての異性体は本発明の範囲内に包含されると意図される。
【0065】
本発明の化合物は、これら化合物を構成する一つ又は複数の原子において、非天然な比率の原子同位体を含んでもよい。例えば、前記化合物は放射性同位体、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、フッ素(18F、17F)又は炭素-14(14C、13C)で放射性標識されてもよい。本発明の化合物のすべての同位体変種は、放射性であるか否かを問わず、全て本発明の範囲内に包含されると意図される。
【0066】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医より求められる組織、系統、動物又ヒトの生物学的又は医学的な応答を一定の顕著な程度で起こせる主題化合物の量を指す。例えば、投与時に一定の程度において、治療される疾患又は障害の一つ又は複数の症状を防止又は緩和できるのに十分な量である。治療有効量は化合物、疾患、及びそれらの重症度、及び治療を受ける哺乳動物の年齢、体重等により異なる。
【0067】
本発明は主題化合物及び医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供する。特に、単位投薬量の主題化合物を含む組成物を含み、特に、前記組成物を使用して適用される疾患又は症状(本明細書中の)を治療することを説明する説明書と同時に包装された組成物を含む。
【0068】
投与される組成物はバルク液体溶液又はサスペンション又はバルク粉末の形式を用いることができる。しかし、より通常的には、前記組成物は投薬量を計算しやすくするように単位投薬量の形式で存在する。「単位投薬量」という用語は、ヒト被験者及び他の哺乳動物のための単位的な投薬量として適した物理的な個別の単位であり、各単位には、所望の治療効果を奏するように計算された所定量の活性材料が含まれ、かつ適切な医薬的賦形剤と組み合わせる。典型的な単位投薬量形式には、液体組成物の予め充填、計量されたアンプル又は注射器、又は固体組成物の場合、丸剤、タブレット、カプセル剤、錠剤等が含まれる。このような組成物において、これら化合物は通常、少量の成分(約0.1〜約50重量%又は好ましくは約1〜約40重量%)であり、その残りの部分は様々な媒体又は担体、及び所望の剤型を形成するのに寄与する加工助剤である。
【0069】
適切な賦形剤又は担体及び投与される組成物を調製するための方法は、当業者にとって既に公知又は自明であり、「Remington製薬学」(Remington's Pharmaceutical Science)、Mack Publishing Co、 NJ (1991)のような刊行物に詳細により説明されている。さらに有利なのは、前記化合物は本明細書において説明される又は当分野において公知の他の治療薬、特に、他の抗糖尿病薬又は抗肥満薬と一緒に使用してもよい。したがって、前記組成物は単一投薬量単位において別々に、一緒に又は組み合わせて投与してもよい。
【0070】
投与量は化合物の処方、投与経路等により確定され、通常は日常的な試験により経験的に確定され、標的、宿主、投与経路等により変わるのは必然である。通常、具体的な応用に基づき、製剤の単位薬剤における活性化合物の量は約1、3、10又は30〜約30、100、300又は1000mgで変動又は調整されてもよい。特定の実施形態において、単位投薬量形式は逐次使用に適するマルチパック、例えば少なくとも6、9又は12個の単位投薬量形式のシートを含むブリスターパックに包装される。使用される実際の投薬量は患者の需要と治療する症状の重症度に応じて変えてもよい。特別な状況における適切な投薬量は当分野の技術範囲内で確定できる。通常、治療は化合物の最適投薬量よりも少ない投薬量から始める。それから、その環境で最適な効果に達するまで投薬量を少しずつ増やす。便宜上、必要であれば、毎日の総投薬量は分割でき、日中に、分けて投与してもよい。
【0071】
前記化合物は様々な方法で投与でき、腸胃外、表面、経口、又は局部投与を非限定的に含み、例えばエアゾール又は経皮投与により、予防的及び/又は治療的な治療のために行うことができる。また、専門の臨床医の知識に応じて、治療プロトコル(例えば、投薬量及び投与回数)は患者に投与される治療薬の観察された効果に応じて、また、治療薬が投与される疾患の観察された応答に応じて変更できる。
【0072】
本発明の治療薬は治療に有効な1回分の投薬量と合計量により、患者の治療のための治療に有効なプロトコルのプロセスにおいて投与することができる。より強力な化合物の場合、患者の体重キログラムにつき、マイクログラム(ug)の量でおそらく充分である。例えば、最適な投薬量は化合物に特異的に、かつそれぞれの化合物が通常の経験的に確定されるとはいえ、例えば約1、10又は100ug/kg〜約0.01、0.1、1、10、又は100mg/kg患者の体重の範囲内である。
【0073】
一般的に、臨床試験における通常の実験により、最適な治療効果、各治療薬、各投与プロトコルの特定の範囲が決定され、患者の状態及び最初の投与への応答性に応じて、具体的な患者に対する投与が有効性及び安全な範囲内に調整される。しかしながら、最終的な投与プロトコルは臨床主治医の判断により、患者の年齢、状態、サイズ及び化合物の効力、治療する疾患の重症度等の要素を考慮して調整される。例えば、化合物の投薬量計画としては、10mg〜2000mg/日、好ましくは10〜1000mg/日、更に好ましくは50〜600mg/日、2〜4回(好ましくは2回)に分けて経口投与される。間欠的治療(例えば、3週間のうち1週間、又は4週間のうち3週間)でもよい。
【0074】
本明細書において説明される実施例及び実施形態は例示のためだけであり、本出願の精神と範囲及び附属の請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更を実施できると、当業者には理解される。本明細書において引用する刊行物、特許、及び特許出願は、その中の引用も含め、全て全体として参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0075】
PBADは、3UT(NQL-012)、7UT(NQL-015)、DIU(NQL-009)及び3TPT(NQL-018)を含み、HBV及びHDVウイルス感染の阻害剤として非常に高い効力を示した。我々のデータにより、これらがHepG2-NTCP細胞に対するHBV及びHDVの感染を阻害できることが明らかになり、そのIC50は50nM未満まで低下した。これは通常の前駆体であるタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)よりも100倍低い。PBADはNTCPの基質取り込みも顕著に遮断できたため、NTCP輸送阻害剤としても使用できる。
【0076】
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】
【表A-5】
【表A-6】
【表A-7】
【表A-8】
【表A-9】
【0077】
【表B-1】
【表B-2】
【表B-3】
【表B-4】
【表B-5】
【0078】
PBADは強力かつ特異的にHBV及びHDV感染を阻害した。幾つかの天然胆汁酸の阻害効果は既に我々(Yanら、J Virol、Mar 2014、88(6):3273-3284)及び他の人、Niら、Gastroenterol、Apr 2014、146(4):902-905; Konigら、J Hepatol、online 15 May 2014により説明されている。まず、胆汁酸誘導体修飾に注目した(スキーム1)。修飾される又は修飾されない第一級又は第二級の胆汁酸塩は、コール酸(CA)、タウロコール酸(TCA)、グリココール酸(GCA)、リトコール酸(LCA)、デオキシコール酸(DCA)、タウロリトコール酸(TLCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ヒオデオキシコール酸(HDCA)、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)及び他の挙げられた誘導体を含み、これらをHepG2-NTCP細胞とインキュベートし、その後、FITC標識pre-S1ペプチドとレセプターの結合を蛍光顕微鏡法で調べる。胆汁酸がpre-S1リポペプチドがNTCPに結合するのを遮断した結果と同じく、感染細胞の細胞内HDVデルタ抗原の染色に示されるように、これらNTCPの基質はHDV感染を低下させた。我々は更にこれら胆汁酸塩のHBV感染阻害における能力を評価した。指定された胆汁酸塩の存在下でHepG2-NTCPをHBVウイルスで接種したとき、分泌されたHBV e抗原(HBeAg)のレベルは低下し、そのうち、TUDCAは試験された全ての胆汁酸誘導体の中で最も効果が強い。我々が試験した幾つかの修飾された単量体の胆汁酸には7-Diz-TUDCA、Iso-TUDCA、CA-UDCA、Diz-UDCA、3-Diz-TUDCA、ビオチン-UDCA、3-OAc-TUDCAが含まれ、これらは天然単量体のTUDCAよりも顕著に向上した阻害効率を示していない(表 C)。
【0079】
【表C】
【0080】
活性不純物の定量分析を基に、幾つかの重合胆汁酸誘導体を調べた(表D)。まず、二量体の3-UT(NQL-012)及び7-UT(NQL-015)のような「頭-尾」重合体を合成した。「頭-頭」モチーフについては、エステル結合で直接的に連結されたDIU(NQL-009)を試した。他のタイプの連結については現在研究中である。「尾-尾」連結については、3-TPT(NQL-018)及び3-TPAT(NQL-044)が二重エステル又はアミド結合により一緒に結合され、中間に5個の炭素原子を有する。更に多い又は少ない結合の連結については現在可能な範囲で研究中である。 3-UT(NQL-012)、7-UT(NQL-015)、DIU(NQL-009)、3-TPT(NQL-018)及び3-TPAT(NQL-044)がHBV及びHDVの両方に対して高い抗ウイルス活性を有することを発見し、HBVに対する3-TPTのIC50が51nMまで低下した(
図5参照、
図2及び3も参照)。
【0081】
表D試験されたPBADの分子設計
【表D】
【0082】
これらのデータはUDCA及びTUDCモチーフに基づく二量体の胆汁酸がHBV及びHDV感染に対する活性を有することを示している。
【0083】
本発明は本明細書において開示される2つの同じ又は異なる単量体の胆汁酸誘導体(式I-IV)の全ての組み合わせを包含する。これには、選択可能なリンカー、これらの医薬的に許容される塩、共役酸形式、代謝誘導体、及びこれら誘導体と塩の合成、純化及び使用を含み、3-UT(NQL-012)、7-UT(NQL-015)、DIU(NQL-009)、3-TPT及び3-TPAT(NQL-044)に示される構造を含み、これらは2個のUDCA又はTUDCAを有し、1個のUDCA又はTUDCA上の酸基と他のUDCA又はTUDCA上のヒドロキシル基の1個との間のエステル結合で連結されており(スキーム2)、また、スキーム3中の式(II)、(III)、(IV)及び(V)の二量体の胆汁酸誘導体を含む。
【0084】
表Eにおいて、二量体の胆汁酸誘導体のU及びTは対称的(互いに一致する)又は非対称(UDCA及びTUDCAの組み合わせ)とすることができる。LはU及びTの異なる位置の間にある共役結合基である。「頭-頭」の式(V)U1-L-U2について、Lは共有結合により20〜24の位置で(炭素原子又はその上の置換基を通じて)U1及びU2の2つの側鎖を連結する。「頭-尾」の式(VI)3-U1-L-U2について、Lは共有結合によりU1の1つの側鎖上の20〜24の位置(炭素原子又はその上の置換基を通じて)及びU2の3-位置(炭素原子又は置換基X原子を通じて)に連結される。「頭-尾」の式(VII)7-U1-L-U2について、Lは共有結合によりU1の1つの側鎖上の20〜24の位置(炭素原子又はその上の置換基を通じて)及びU2の7-位置(炭素原子又は置換基X原子を通じて)に連結される。「尾-尾」の式(VIII)T1-L-T2について、Lは共有結合によりT1の3-又は7-位置(炭素原子又は置換基X又はY原子を通じて)及びT2の3-又は7-位置(炭素原子又は置換基X又はY原子を通じて)に連結される。数n及びmは任意のアラビア数字でよい。
【0085】
表 E UDCAに基づく二量体の胆汁酸誘導体のケミカルデザイン。
【表E】
【0086】
本発明はBの単量体の胆汁酸モチーフに基づく二量体の胆汁酸を包含し(表F)、表Eに示されるUDCA及びTUDCAの二量体の誘導体の他に、本発明は表Fにおける式(IX)、(X)及び(XI)の二量体の胆汁酸誘導体を全体的に含む。
【0087】
表 Fにおいて:二量体の胆汁酸誘導体におけるB1及びB2は対称的(互いに一致する)又は非対称(上述した単量体の胆汁酸誘導体の可能性の全ての組み合わせ)とすることができる。LはB1及びB2の異なる位置の間にある共役結合基である。「頭-頭」の式(IX)B1-L-B2にとって、Lは共有結合により20〜24の位置で(炭素原子又はその上の置換基を通じて)B1及びB2の2つの側鎖を連結する。「頭-尾」の式(X)B1-L-B2について、Lは共有結合によりB1の1つの側鎖上の20〜24の位置(炭素原子又はその上の置換基原子を通じて)及びB2の1〜19の任意の位置(環A、B、C及びD上の炭素原子又はその上の置換基原子を通じて)に連結される。「尾-尾」の式(XI)B1-L-B2について、Lは共有結合によりB1の1〜19の任意の1つの位置(環A、B、C及びD上の炭素原子又はその上の置換基原子を通じて)及びB2の1〜19の任意の位置(環A、B、C及びD上の炭素原子又はその上の置換基原子を通じて)に連結される。数n及びmは任意のアラビア数字でよい。
【0088】
表F 二量体の胆汁酸誘導体のケミカルデザイン
【表F】
【0089】
三量体の胆汁酸誘導体の抗HBV及び抗HDV活性も試験したが、線状三量体の胆汁酸3UUT(表D参照)の活性は二量体の対応物ほど高くなかった(
図5参照、
図2及び3も参照)。活性三量体は表Gの式(XII)に包含される。
【0090】
表G 三量体の胆汁酸誘導体のケミカルデザイン。
【表G】
【0091】
表Gの三量体の構造(XII)について:
【0092】
L はB1、B2及びB3の間の共役結合基である。そのうち、B1、B2及びB3は単量体の胆汁酸誘導体である。三量体の式(XII)について、Lは共有結合により単量体の胆汁酸誘導体の1〜24の任意の位置(炭素原子又はその上の置換基原子)に連結される。数n、m及びoは任意のアラビア数字でよい。
【0093】
エントリレベルにおけるPBADのHBV感染阻害。PBADの抗ウイルスメカニズムを解析するために、これらの作用時間窓を見つけられるよう経時的研究を行った。これらPBADは細胞にウイルス接種する前又は接種中に添加したときは活性を有したが、ウイルス接種後に添加したとき活性はなかった。これはおそらく早期のエントリプロセスにおいて作用することを示している(
図3)。
【0094】
PBADはNTCPの基質取り込みを顕著に遮断した。NTCP媒介[3H]標識タウロコール酸塩取り込みに対するPBAD処理の影響を更に分析した(
図4)。共インキュベーション測定において、3-UT(NQL-012)、7-UT(NQL-015)及び3TPT(NQL-018)のようなHBV及びHDV感染を有効的に阻害したほとんどのPBADが、NTCPの基質取り込みも阻害し、その効率はTUDCAよりも明らかに高かった(
図4A、B)。前処理測定においても3UT(NQL-012)及び3TPT(NQL-018)の取り込み阻害を評価した。その結果、3UT(NQL-012)のIC50は108.6nMであり、3TPT(NQL-018)のIC50は58.7nMであり、陽性対照薬(HBV L プロテインのpreS1 ペプチド)のIC50に近い(
図4C)。
【0095】
HepG2-NTCP細胞HBV感染に対するPBADのIC50。PBADのIC50をより定量的に確定するために、投薬量依存性阻害分析を実施した。
図5に示されるように3TPT(NQL-018)は最も良い抗HBV活性を示し、IC50は51.04nMであり、その単量体前駆体(TUDCA)より約100倍低い。3UT(NQL-012)及びDiU(NQL-009)の効力は3TPT(NQL-018)よりもわずかに低い。これらのIC50 値はそれぞれ100nM及び110nMであった。
【0096】
PBADのin vitro細胞毒性。三つのPBAD(3-UT(NQL-012)、DIU(NQL-009)、3TPT(NQL-018))のHepG2-NTCP細胞株に対するLD50を確定するための試験も実施した。異なる濃度のPBADで細胞を48時間処理し、さらにPMMで3日間培養した後に細胞の画像を得た。
図6に示されるように、3UT(NQL-012)で処理した場合、高い濃度で顕著に細胞が死亡し、LD50は25μMに近くであった。HBV感染に対する阻害濃度よりも2000-4000倍高い200μMに達したDIU(NQL-009)及び3TPT(NQL-018)の処理後、検出可能な細胞毒性は見られなかった。
【0097】
PBADはNTCPを標的とし、HBV preS1 ドメインとの相互作用を遮断することによってウイルス感染を阻害した。FITC-preS1 ペプチド結合測定により、PBADはFITC-preS1がNTCPに結合するのを遮断できるか否かを調べた。
図7Aに示されるように、幾つかのPBADは確実にpreS1とNTCPの間の相互作用を遮断し、その効率はそれらの抗HBV 活性と関係する。興味深いのは、高い濃度の3UUT(NQL-016)、DIU(NQL-009)及びCSAはFITC-preS1ペプチドの凝集を引き起こした。これはこれらの疎水性が起因していると考えられる。更に、異なる濃度の3TPT(NQL-018)の前処理と共インキュベーションの効果の比較を試験した。
図7Bに示されるように、3TPT(NQL-018) の前処理の効果は共インキュベーションほど強くなかった。
【0098】
PBADのin vitro 安定性は連結鎖の最適化により増強される。類似構造を有するが異なる連結鎖を有する幾つかのPBADの安定性分析を実施した。
図10に示されるように、エステル結合に基づく3TPT(NQL018、表 H)は接種物との長時間のインキュベーション後、安定しなかった。これに対し、NQL044及びNQL055は効力が顕著に低下したのが確認されないほど、かなり安定していた。これはin vitro及びin vivoの安定性が大部分において結合基の特徴により確定することを表している。
【0099】
表H異なる連結鎖を有するUDCAの二量体の胆汁酸誘導体の化学構造例。
【表H-1】
【表H-2】
【0100】
PBADの抗ウイルス効力は他のHBV 感染システム(HepaRG)においても再現でき、かつ類似した阻害プロファイルを有する。
図11に示されるように、内在性NTCP発現がDMSOにより誘導されるHepaRG細胞において、HBV感染測定を実施した。HBV 感染はNQL028、NQL018、NQL029、NQL019及びNQL021の存在下で行い、これらの全てが異なる連結鎖長さを有するビスエステルに基づくPBADである。これらは全てHBV感染を阻害し、阻害プロファイルはHepG2-NTCP細胞におけるHBV感染の結果に似ている。
【0101】
PBADの構造活性関係性分析。
図12に、異なる濃度を有する、様々な単量体及び連結鎖を有する指定されたPBADの存在下で、HepG2-NTCP 細胞をHBVで感染させた結果を示す。各図において類似構造を有する異なるPBADの性能を比較し(表H)、これらの構造の違いが抗ウイルス効力に与える影響を結果に基づき分析した。
【0102】
材料と方法。細胞培養。ヒト肝癌由来細胞株HepG2はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)のものを使用する。ヒト肝癌由来細胞株(Huh-7)は中国科学院典型培養物保蔵中心細胞庫(Cell Bank of Type Culture Collection、Chinese Academy
of Sciences)のものを使用する。これらを10%のウシ胎児血清(FBS、Gibco)が補充されたダルベッコ改良イーグル培地(DMEM;Invitrogen)を用いて 37℃で培養し、2日毎に継代する。HepG2NTCP安定細胞株はHepG2細胞から生成され、10%のFBS及び500μg/ml G418が補充されたDMEMにおいて維持される。HepG2-NTCP安定細胞株をコラーゲン(BD)がコートされたプレート又は皿において培養する。これらの細胞をPTH維持培地(PMM)において24 時間培養し、それからウイルス感染、ペプチド結合、基質取り込み、及び他のNTCPに関係する実験を行う。
【0103】
ペプチド、抗体及び 他の試薬。FITC-pre-S1ペプチドはHBV(C-type、GenBank
登録番号 EU554535.1)のpre-S1ドメイン由来であり、それは前59個の残基を含み、アミノ末端ミリストイル化修飾及びカルボキシル末端共役フルオレセインイソチオシアネート(FITC)を有する;myr(+)47ペプチドは、HBVのpre-S1ドメインの2〜47位の残基を含み、N-末端ミリストイル化を有する。これらペプチドは全てSunLight peptides Inc.(Beijing、China)より合成される。1C10はHBVコアタンパク質を識別するマウスモノクローナル抗体(mAb)である。4G5は特異的にHDVデルタ抗原を標的としたマウスmAbであり、#36抗体は特異的にNTCPを標的としたマウスmAbである。mAbは全て実験室で通常のハイブリドーマ技術で開発されたものである。ほとんどの天然胆汁酸はSigma Aldrichから購入した。活性が15.3 Ci/mmol(0.185 TBq/mmol)である[3H]標識タウロコール酸塩と、液体シンチレーションカクテル(Ultima GOLDTMXR)はPerkin Elmerから購入した。
【0104】
ウイルス産生。ウイルス粒子はウイルス産生プラスミドのトランスフェクションの後、Huh7細胞から産生される。トランスフェクションの後、細胞にPMMを再度補充し、トランスフェクション後3日目と6日目にウイルス含有培地を収集し、遠心分離し、-80℃で保管する。
【0105】
FITC-preS1 ペプチド結合測定。NTCP発現細胞をPTH維持培地(PMM)で24時間培養し、それからこの測定を実施する。免疫蛍光顕微鏡法について、細胞をWME又はPMMにて希釈した400nM FITC-pre-S1ペプチドと37℃で約2〜3 時間インキュベートする。その後、細胞をWMEで1回洗浄し、それから直接に蛍光顕微鏡を使用して観察する。HBV及びHDV感染測定。感染前にHepG2NTCP 細胞をPMMにて12〜24時間培養し、その後、200マルチゲノム当量(mge)のHBV、又は500mgeのHDVで接種し、5%のPEG8000のPMMの存在下で、37℃で約24時間培養する。具体的な測定法で指定されているように、前記細胞に試験される化学品を加える。感染後、接種物にPMMを再度補充する。感染後5日目(dpi)に、感染が検出された。
【0106】
[3H]基質取り込み測定。
[3H]タウロコール酸塩取り込み測定は前に説明されたプロトコルに照らして実行される(60)。概して言えば、HepG2-NTCP細胞をPMMにて12〜24時間培養し、取り込み測定の前に指定された化学品を使用し又は使用せずに処理する。基質取り込み測定について、通常、細胞と0.5μl (0.5μCi)のNa+ Ringer’s溶液に溶解した[3H]-タウロコール酸塩を、化学品の存在下又は非存在下で、37℃で10分間インキュベートする。その後、 細胞をPBSで1回洗浄し、1%のTritonX-100を含むH2O 100μlを用いて室温で5分間分解する。分解物を液体シンチレーション管に移し、液体シンチレーションカクテル(Ultima GOLDTM XR)(Perkin Elmer、USA)900μlと混合する。Perkin Elmer 1450 LSC液体シンチレーションカウンター及びルミネッセンスカウンターで液体シンチレーションカウントを行う。
【0107】
HBeAg及びHBsAgを検出するためのELISA測定。HBeAg及びHBsAgを検出するためのELISAキットはWantai Pharm Inc.(Beijing、China)のものを使う。感染後2〜5日目に感染したHepG2NTCP細胞から上清を収集する。Wantai Pharm Inc (Beijing、China)の商品キットを使用し、メーカーの説明書に照らして培地中の分泌されたHBeAg及びHBsAgを測定する。
【0108】
免疫染色測定。HBV感染について、感染した細胞をPBSで2回洗浄し、室温で3.7%のパラホルムアルデヒド(PFA)に10分間固定する。
その後、細胞を室温で0.5%のTrition X-100/PBSで10分間透過処理し、37℃で3%のBSAで1時間ブロックし、それから5μg/mlのHBcAgを識別するマウスmAb1C10とインキュベートし、それからFITC共役第二抗体で染色する。核はDAPIで青色に染色される。染色された細胞を蛍光顕微鏡(Nikon)で画像形成する。HDV感染について、5 dpiにて、HDV感染した細胞を室温で100%のメタノールで10分間固定し、それから5μg/mlのFITC共役4G5で細胞内デルタ抗原を染色し、DAPIで核を青色に染色する。Eclipse
Ti蛍光顕微鏡(Nikon)で画像を収集し、代表的な画像を示す。
【0109】
PBADの合成。既知の方法により、又はもし知らない場合は下記で詳細に説明される方法により、B1又はB2から、式(I)〜(VIII)の化合物を調製する。連結鎖LはB1又はB2のどちらかにおいて活性化された官能基から、特に、縮合又は求核置換反応の過程において発生する共有結合の構築により発生する。3-置換された又は3-結合された重合胆汁酸を合成することにより無保護対策が応用される。例えば、胆汁酸上の縮合及び置換は好ましくは位置3、次に位置7で起こる。活性化されたカルボン酸、例えば酸クロライド、酸無水物又はアミノエステルは有機又は無機ベース、例えばトリアルキルアミン、ピリジン、NaOH、KOH等の存在下で、遊離アルコール又はアミノ基と直接反応してエステル又はアミド結合を形成する。このタイプの反応に適した溶媒としては、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、エーテル、アセトニトリル、ジメトキシエタン及びジメチルホルムアミドが含まれる。適切な保護基、例えば、アセチルエステル、トリチル、アルキル(アリール)シリル、ベンジル、アリルカーボネート、カルボキシベンジル及びエーテルを用いて、7の位置及び他の位置における反応を選択的に実現できる。
【0110】
生体活性重合胆汁酸誘導体の調製は、ウルソデオキシコール酸 (UDCA)から3-UT(NQL-012)、3-TPT(NQL-018)及び3-TAPT(NQL-044)を合成することを例に、表 C及びDに示される。
【0111】
表 I 3-UT (NQL-012)の合成経路
【表I】
【0112】
10mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,8R,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸(UDCA)(23.5mg、0.06mmol、1.5当量)を室温で、DMF(1mL)に溶解する。
それから2-((4R)-4-((3R,7S,8R,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタンアミド)エタンスルホン酸(TUDCA)(20mg、0.04mmol、1.0当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(15.5mg、0.12mmol、3.0当量)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(5mg、0.04mmol、1.0当量)及びN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(16.5mg、0.08mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、分取HPLCにより純化し、白色固体としての目標物(5.0mg)を得る。
【0113】
表 J の実例は表 I に類推して得られる。
【表J】
【0114】
表 K NQL-018の合成経路
【表K】
【0115】
10mLの一口丸底フラスコの中で、2-((4R)-4-((3R,7S,8R,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタンアミド)エタンスルホン酸(UDCA)(50.0mg、0.1mmol、2.0当量)を室温で、DMF(1mL)に溶解する。それからグルタル酸(6.6mg、0.05mmol、1.0当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(25.8mg、0.2mmol、4.0当量)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(6.1mg、0.05mmol、1.0当量)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
(EDC)(23.0mg、0.12mmol、2.4当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、直接使用する。
【0116】
10mLの一口丸底フラスコの中で、上記5-(((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-((R)-5-オキソ-5-((2-スルホエチル)アミノ)ペンタン-2-イル)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-3-イル)オキシ)-5-オキソペンタン酸(30.6mg、0.05mmol、1.0当量)を室温で、DMF(1mL)に溶解する。それから2-((4R)-4-((3R,7S,8R,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタンアミド)エタンスルホン酸(25.0mg、0.05mmol、1.0当量)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸塩(HATU)(19.0mg、0.05mmol、1.0当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(25.8mg、0.2mmol、4.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、pre-HPLCにより純化し、白色固体としての目標物(9.3mg)を得る。これはNMR及びマススペクトルで確認される。
【0117】
表 L の実例は表 Kに類推して得られる。
【表L】
【0118】
表 M NQL-044の合成経路
【表M】
【0119】
100mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸(10.0g、25.5mmol、1.0当量)を室温で、MeOH(100mL)に溶解する。それからPTSA(触媒)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で14 時間撹拌する。混合物を濃縮し、濃いNaHCO3でpH>8に塩基化し、それからEAで抽出し、減圧下で濃縮し、目標物(9.3g)を得る。これはNMRで確認される。
【0120】
100mLの三口丸底フラスコの中で、-15℃で、PPh3(2.6g、10.0 mmol、2.0当量)を無水THF(100mL)に溶解し、それから、Ar下でDIAD(2.02g、10mmol、2.0当量)を滴下する。10分後、THF(10mL)に溶解した(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(2.0g、5.0mmol、1.0当量)を滴下する。混合物を室温で30分間撹拌する。それからメタンスルホン酸(960mg、10.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。pH>8になるまで濃いNaHCO3を添加して、混合物をクエンチし、EAで抽出し、減圧下で濃縮し、シリカカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で純化し、目標物(0.6g)を得る。これはNMRで確認される。
【0121】
25mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3S,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-3-((メチルスルホニル)オキシ)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(1.2g、2.5mmol、1.0当量)を室温で、DMF(10mL)に溶解する。それからNaN3(325mg、5.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で1.5時間撹拌する。混合物を水で洗浄し、EAで抽出し、濃縮し、直接使用する。
【0122】
前記粗生成物を室温でMeOH(10mL)に溶解する。それからPd/C(0.5g)を添加し、H2を充填したバルーンでバブリングする。添加完了後、混合物を室温でH2の下、14時間撹拌する。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=5:1)で純化し、黄色固体としての目標物(700mg)を得る。これはNMR及びUPLC/MSで確認される。10mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3-アミノ-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(120.0mg、0.3mmol、1.0当量)を室温で、DMF(2.0mL)に溶解する。
それから2-グルタル酸(39.6mg、0.3mmol、1.0当量)、DIEA(116.0mg、0.9mmol、3.0当量)、 DMAP(36mg、0.3mmol、1.0当量)及びEDC(173mg、0.9mmol、3.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で24 時間撹拌する。混合物をUPLCで確認し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で純化し、目標物(52mg)を得る。
【0123】
10mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3S,7R,10S,13R,17R)-7-ヒドロキシ-3-(5-(((3R,7S,10S,13R,17R)-7-ヒドロキシ-17-((R)-5-メトキシ-5-オキソペンタン-2-イル)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-3-イル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(52.0mg、0.057mmol、1.0当量)を室温で、THF(1.0mL)/MeOH(0.2mL)/H2O(1.0mL)に溶解する。それからLiOH(7.2mg、0.17mmol、3.0当量)を添加し、室温で4時間撹拌する。混合物を1N HClでpH<3まで酸性化し、EAで抽出し、濃縮し、直接使用する。
【0124】
前記粗生成物を室温で、DMF(1.5mL)に溶解する。それから2-アミノエタンスルホン酸(42.5mg、0.34mmol、6.0当量)、DIEA(58.8mg、0.46mmol、8.0当量)、DMAP(7mg、0.05mmol、1.0当量)及びEDC(32.6mg、0.17mmol、3.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、pre-HPLCで純化し、白色固体としての目標物(0.7mg)を得る。これはNMR及びマススペクトルで確認される。
【0125】
表 N の実例は表 Mに類推して得られる。
【表N】
【0126】
表 O NQL-055の合成経路
【表O】
【0127】
100mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸(406.0mg、1.0mmol、1.0当量)及び3-ブロモプロプ-1-イン(476.0mg、4.0mmol、4.0当量)を室温で、DMF(2mL)に溶解する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を水で洗浄し、EAで抽出し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で純化し、目標物(50mg)を得る。これはNMRで確認される。100mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル) ペンタン酸(10.0g、25.5mmol、1.0当量)を室温で、MeOH(100mL)に溶解する。それからPTSA(触媒)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、濃いNaHCO3でpH>8まで塩基化し、それからEAで抽出し、減圧下で濃縮し、目標物(9.3g)を得る。これはNMRで確認される。
【0128】
100mLの三口丸底フラスコの中で、PPh3(2.6g、10.0mmol、2.0当量)を-15℃で無水THF(100mL)に溶解し、それからArの下でDIAD(2.02g、10mmol、2.0当量)を滴下する。10分後、THF(10mL)に溶解した(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(2.0g、5.0mmol、1.0当量)を滴下する。混合物を室温で30分間撹拌する。それからメタンスルホン酸(960mg、10.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。pH>8になるまで濃いNaHCO3を添加して、混合物をクエンチし、EAで抽出し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で純化し、目標物(0.6g)を得る。これはNMRで確認される。25mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3S,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-3-((メチルスルホニル)オキシ)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(1.2g、2.5mmol、1.0当量)を室温で、DMF(10mL)に溶解する。それからNaN3(325mg、5.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で1.5時間撹拌する。混合物を水で洗浄し、EAで抽出し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)で純化し、黄色固体としての目標物(700mg)を得る。これはNMRで確認される。
【0129】
10mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3-アジド-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(35.5mg、0.084mmol、1.5当量)及び(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3-(エチニルオキシ)-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(25.0mg、0.056mmol、1.0当量)を室温で、DMF(2.0mL)に溶解する。それからH2O(2.0mL)中のCuSO
4・5H
2O(15.12mg、0.056mmol、1.0当量)及びL‐アスコルビン酸ナトリウム(22.0mg、0.112mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で24時間撹拌する。混合物を水で洗浄し、DCMで抽出し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で純化し、目標物(20mg)を得る。
【0130】
10mLの一口丸底フラスコの中で、(4S)-4-((3S,7R,9R,10R,13S,14R,17S)-7-ヒドロキシ-3-((1-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-7-ヒドロキシ-17-((R)-5-メトキシ-5-オキソペンタン-2-イル)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(20.0mg、0.023mmol、1.0当量)を室温で、THF(1.0mL)/MeOH(0.2mL)/H2O(1.0mL)に溶解する。それからLiOH(4.2mg、0.114mmol、5.0当量)を添加し、室温で4時間撹拌する。混合物を1N
HClでpH<3まで酸性化し、EAで抽出し、濃縮し、直接使用する。前記粗生成物を室温で、DMF(1.5mL)に溶解する。それから2-アミノエタンスルホン酸(17.8mg、0.142mmol、6.0当量)、DIEA(24.7mg、0.192mmol、8.0当量)、DMAP(3mg、0.024mmol、1.0当量)及びEDC(13.6mg、0.71mmol、3.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、pre-HPLCで純化し、白色固体としての目標物(4.4mg)を得る。これはNMRで確認される。表 Pの実例は表 Oに類推して得られる。
【0131】
【表P】
【0132】
表 Q NQL-052の合成経路
【表Q】
【0133】
100mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸(10.0g、25.5mmol、1.0当量)を室温で、MeOH(100mL)に溶解する。それからPTSA(触媒)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、濃いNaHCO3でpH>8まで塩基化し、それからEAで抽出し、減圧下で濃縮し、目標物(9.3g)を得る。これはNMR及びマススペクトルで確認される。
【0134】
25mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(203.0mg、0.5mmol、1.0当量)を室温で、DMF(10mL)に溶解する。それから1,5-ジブロモペンタン(111.5mg、0.5mmol、1.0当量)及びKOH(56.0mg、1.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で36時間撹拌する。混合物を水で洗浄し、EAで抽出し、濃縮し、粗生成物を得る。これを直接使用する。
【0135】
10mLの一口丸底フラスコの中で、4,4'-((3R,3'R,7S,7'S,10S,10'S,13R,13'R,17R,17'R)-(ペンタン-1,5-ジイルビス(オキシ))ビス(7-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジイル))(4R、4'R)-ジペンタン酸ジメチルエステル(粗製)を室温でTHF(1.0mL)/MeOH(0.2mL)/H2O(1.0mL)に溶解する。それからLiOH(7.2mg、0.17mmol、3.0当量)を添加し、室温で4時間撹拌する。混合物を1N
HClでpH<3まで酸性化し、EAで抽出し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で純化し、目標物(47mg)を得る。これはUPLC/MSで確認される。
【0136】
前記生成物を室温でDMF(1.5mL)に溶解する。それから2-アミノエタンスルホン酸(42.5mg、0.34mmol、6.0当量)、DIEA(58.8mg、0.46mmol、8.0当量)、DMAP(7mg、0.05mmol、1.0当量)及びEDC(32.6mg、0.17mmol、3.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、pre-HPLCで純化し、白色固体としての目標物(2.6mg)を得る。これはNMR及びUPLC/MSで確認される。
【0137】
表 R の実例は表 Qに類推して得られる。
【表R】
【0138】
表 S NQL-052の合成経路
【表S】
【0139】
100mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸(10.0g、25.5mmol、1.0当量)を室温で、MeOH(100mL)に溶解する。それからPTSA(触媒)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で14時間撹拌する。混合物を濃縮し、濃いNaHCO3でpH>8まで塩基化し、それから EAで抽出し、減圧下で濃縮し、目標物(9.3g)を得る。これはNMRで確認される。
【0140】
100mLの三口丸底フラスコの中で、PPh3(2.6g、10.0mmol、2.0当量)を-15℃で無水THF(100mL)に溶解する。それからArの下でDIAD(2.02g、10mmol、2.0当量)を滴下する。10分後、THF(10mL)に溶解した(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(2.0g、5.0mmol、1.0当量)を滴下する。混合物を室温で30分間撹拌する。それからメタンスルホン酸(960mg、10.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で14 時間撹拌する。pH>8になるまで濃いNaHCO3を添加して、混合物をクエンチし、EAで抽出し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で純化し、目標物(0.6g)を得る。これはNMRで確認される。
【0141】
25mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3S,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-3-((メチルスルホニル)オキシ)ヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(1.2g、2.5 mmol、1.0当量)を室温で、DMF(10mL)に溶解する。それからNaN3(325mg、5.0mmol、2.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を80℃で1.5時間撹拌する。混合物を水で洗浄し、EAで抽出し、濃縮し、直接使用する。
【0142】
前記粗生成物を室温で、MeOH(10mL)に溶解する。それからPd/C(0.5g)を添加し、H2.を充填したバルーンでバブリングする。添加完了後、混合物を室温でH2の下で、14時間撹拌する。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=5:1)で純化し、黄色固体としての目標物(700mg)を得る。これはNMRで確認される。
【0143】
10mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3R,7S,9S,10S,13R,14S,17R)-3-アミノ-7-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(120.0mg、0.3mmol、1.0当量)を室温でDMF (2.0 mL)に溶解する。それから2-グルタル酸(39.6mg、0.3mmol、1.0当量)、DIEA(116.0mg、0.9mmol、3.0当量)、DMAP(36mg、0.3mmol、1.0当量)及びEDC(173mg、0.9mmol、3.0当量)を添加する。添加完了後、混合物を室温で24時間撹拌する。混合物をUPLCで確認し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で純化し、目標物(52mg)を得る。
【0144】
10mLの一口丸底フラスコの中で、(4R)-4-((3S,7R,10S,13R,17R)-7-ヒドロキシ-3-(5-(((3R,7S,10S,13R,17R)-7-ヒドロキシ-17-((R)-5-メトキシ-5-オキソペンタン-2-イル)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-3-イル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[α]フェナントレン-17-イル)ペンタン酸メチルエステル(45.0mg、0.05mmol、1.0当量)を室温でTHF(1.0mL)/MeOH(0.2mL)/H2O(1.0mL)に溶解する。それからLiOH(7.2mg、0.17mmol、3.0当量)を添加し、室温で4 時間撹拌する。混合物を1N HClでpH<3まで酸性化し、EAで抽出し、濃縮し、直接使用する。
【0145】
前記粗生成物を室温で、DMF(1.5mL)に溶解する。それからエタン-1,2-ジオール(2.2mg、0.035mmol、0.7当量)、DIEA(25.8 mg、0.2mmol、4.0当量)、DMAP(6mg、0.05mmol、1.0当量)及びDCC(31.0mg、0.15mmol、3.0当量) を添加する。添加完了後、混合物を室温14 時間撹拌する。混合物を濃縮し、pre-HPLCで純化し、白色固体としての目標物(3.4mg)を得る。これはNMRで確認される。表 T の実例は表 Sに類推して得られる。
【0146】
【表T】