(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示される電動機用ロータにおいては、ロータコアおよび回転シャフトの間に、結合材としてのモールド樹脂が設けられている。しかしながら、このような構成では、モールド樹脂が配置される空間がデッドスペースとなって、ロータを小型かつ簡易に構成することができない可能性が生じる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、小型かつ簡易に構成されるロータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の1つの局面に従ったロータは、所定軸を中心とする円筒形状または円柱形状を有する軸部材と、軸部材の外周上に設けられ、所定軸の半径方向において軸部材と隙間を設けて配置されるロータコアと、その隙間に設けられる樹脂部と、樹脂部に埋設されるインサート部材とを備える。
【0007】
このように構成されたロータによれば、樹脂部に各種用途をなすインサート部材を埋設することによって、樹脂部が配置された空間を有効に利用することができる。これにより、ロータを小型かつ簡易に構成することができる。
【0008】
また好ましくは、ロータは、所定軸の周方向に互いに間隔を設けて配置される複数のインサート部材を備える。樹脂部は、所定軸の軸方向を向く端面を有する。インサート部材は、端面に露出する先端部を有する。インサート部材には、先端部において開口し、バランス調整用の重り部材を受け入れ可能な開口部が設けられる。
【0009】
このように構成されたロータによれば、樹脂部にバランス調整用の重り部材を受け入れるためのインサート部材を埋設することによって、樹脂部が配置された空間を有効に利用することができる。
【0010】
また好ましくは、ロータコアには、所定軸の周方向に互いに間隔を設けて配置され、永久磁石が挿入される複数の磁石挿入部と、互いに隣り合う磁石挿入部の間に配置され、ロータコアの内周面において凹形状をなす凹部とが設けられる。インサート部材は、所定軸の半径方向において凹部と対向する位置に設けられる。
【0011】
このように構成されたロータによれば、インサート部材を設ける空間として、ロータコアの内周面に設けられた凹部の凹み空間が利用されるため、樹脂部が配置された空間をさらに有効に利用することができる。
【0012】
また好ましくは、インサート部材は、所定軸の軸方向に延びる円筒形状を有する。所定軸の周方向における凹部の幅は、所定軸の半径方向外側から半径方向内側に向かうほど大きくなる。
【0013】
このように構成されたロータによれば、インサート部材の形状と、凹部の形状とが対応するため、インサート部材が凹部の壁面と干渉することを容易に回避しつつ、凹部の凹み空間にインサート部材を設けることができる。
【0014】
また好ましくは、軸部材には、軸部材の外周面において凹形状をなし、所定軸の周方向に周回する第1溝部が設けられる。
【0015】
このように構成されたロータによれば、樹脂部が第1溝部と噛み合うように設けられるため、ロータの回転時、軸部材および樹脂部間の軸方向におけるずれを効果的に防ぐことができる。
【0016】
また好ましくは、軸部材には、軸部材の外周面において凹形状をなし、所定軸の軸方向に延びる第2溝部が設けられる。
【0017】
このように構成されたロータによれば、樹脂部が第2溝部と噛み合うように設けられるため、ロータの回転時、軸部材および樹脂部間の周方向におけるずれを効果的に防ぐことができる。
【0018】
この発明の別の局面に従ったロータは、所定軸を中心とする円筒形状または円柱形状を有する軸部材と、軸部材の外周上に設けられ、所定軸の半径方向において軸部材と隙間を設けて配置されるロータコアと、隙間に設けられる樹脂部とを備える。樹脂部は、所定軸の軸方向を向く端面を有する。樹脂部には、端面に開口する少なくとも1つの孔が設けられる。
【0019】
このように構成されたロータによれば、樹脂部に各種用途をなす少なくとも1つの孔を設けることによって、樹脂部が配置された空間を有効に利用することができる。これにより、ロータを小型かつ簡易に構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上に説明したように、この発明に従えば、小型かつ簡易に構成されるロータを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0023】
(実施の形態1)
図1および
図2は、この発明の実施の形態1におけるロータを示す斜視図である。
図3は、
図1中の矢印IIIに示す方向に見たロータを示す図である。
図4は、
図3中のIV−IV線上の矢視方向に見たロータを示す断面図である。
【0024】
図1から
図4を参照して、本実施の形態におけるロータ10は、ロータ10の外周上に隙間(ギャップ)を設けて配置されるステータ(不図示)と対をなしてモータを構成する。ロータ10は、工作機械用のモータに用いられる。一例として、ロータ10は、旋盤の刃物台(タレット)に内蔵され、刃物台に装着されたドリル等の回転工具を回転駆動させるためのモータに用いられる。ロータ10の最高回転速度は、たとえば、5000rpm以上である。
【0025】
ロータ10は、図中に示す仮想上の中心軸101を中心に回転可能なように支持されている。ロータ10は、モータの駆動時、中心軸101を回転中心として回転する。
【0026】
ロータ10は、軸部材21と、ロータコア31と、複数の永久磁石41と、樹脂部51とを有する。
【0027】
軸部材21は、ロータ10から外部に回転運動を取り出すための部材である。軸部材21は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。軸部材21は、内周面22と、外周面23とを有する。
図4に示されるように、内周面22は、嵌合部25および嵌合部26と、非嵌合部24とを有する。非嵌合部24は、中心軸101の軸方向において、嵌合部25および嵌合部26の間に位置している。嵌合部25および嵌合部26の各内径は、非嵌合部24の内径よりも小さい。
【0028】
軸部材21の内側には、中心軸101の軸方向に沿って回転シャフト(不図示)が挿入される。回転シャフトは、嵌合部25および嵌合部26に嵌め合わされる。回転シャフトは、焼嵌めによって、嵌合部25および嵌合部26に嵌め合わされる。なお、軸部材21は、上記の円筒形状に限られず、中実の円柱形状を有してもよい。
【0029】
ロータコア31は、磁性材料から構成されている。ロータコア31は、たとえば、複数枚の電磁鋼板が中心軸101の軸方向に積層されることによって構成されている。
【0030】
ロータコア31は、軸部材21の外周上に設けられている。ロータコア31は、中心軸101の半径方向において軸部材21と隙間を設けて配置されている。ロータコア31は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。ロータコア31は、内周面32を有する。内周面32は、中心軸101の半径方向において、軸部材21の外周面23と隙間を設けて対向している。
【0031】
軸部材21およびロータコア31の間の隙間は、中心軸101の周方向において連続して設けられている。軸部材21およびロータコア31の間の隙間は、中心軸101の軸方向において連続して設けられている。軸部材21およびロータコア31は、互いに直接的に接触していない。
【0032】
図3に示されるように、中心軸101の半径方向における軸部材21およびロータコア31の間の隙間の大きさCは、特に限定されないが、たとえば、ロータコア31の半径Rの1/15以上であってもよいし(C≧(1/15)×R)、ロータコア31の半径Rの1/10以上であってもよい(C≧(1/10)×R)。
【0033】
複数の永久磁石41は、ロータコア31に設けられている。複数の永久磁石41は、ロータコア31に埋設されている。複数の永久磁石41は、中心軸101の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数の永久磁石41は、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。
【0034】
ロータコア31には、複数の磁石挿入部36が設けられている。複数の磁石挿入部36は、中心軸101の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数の磁石挿入部36は、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。磁石挿入部36は、ロータコア31の内周面32において、中心軸101の半径方向外側に向けて凹む凹形状をなしている。磁石挿入部36は、中心軸101の軸方向に延びている。磁石挿入部36は、中心軸101の軸方向においてロータコア31を貫通している。
【0035】
複数の永久磁石41は、それぞれ、複数の磁石挿入部36に挿入されている。複数の永久磁石41は、たとえば、接着剤によって、磁石挿入部36の内壁に接合されている。
【0036】
樹脂部51は、樹脂材料から構成されている。樹脂部51は、熱硬化性樹脂から構成されてもよい。樹脂部51は、不飽和ポリエステル樹脂を主成分とするBMC(Bulk Molding Compound)樹脂から構成されてもよい。樹脂部51は、非磁性体である。
【0037】
樹脂部51は、軸部材21およびロータコア31の間の隙間に設けられている。樹脂部51は、軸部材21およびロータコア31の間の隙間を充填するように設けられている。樹脂部51は、軸部材21の外周面23と、ロータコア31の内周面32とに接触して設けられている。樹脂部51は、軸部材21およびロータコア31を一体化している。ロータコア31に生じた回転力(トルク)は、樹脂部51を介して、軸部材21に伝達される。
【0038】
樹脂部51は、端面52および端面53を有する。端面52および端面53は、中心軸101の軸方向における樹脂部51の一方端および他方端に設けられている。端面52および端面53は、中心軸101の軸方向を向いている。端面52および端面53は、中心軸101の軸方向において、ロータコア31の両端面と揃っている。軸部材21は、中心軸101の軸方向における両端において、端面52および端面53から突出するように設けられている。
【0039】
図5は、
図1中のV−V線上の矢視方向に見たロータを示す断面斜視図である。
図1から
図5を参照して、ロータ10は、複数のインサートナット61(61A,61B)をさらに有する。
【0040】
複数のインサートナット61は、樹脂部51に埋設されている。複数のインサートナット61は、軸部材21およびロータコア31の間の隙間に樹脂部51を設けるための樹脂成形時に、樹脂部51にインサート成形されている。
【0041】
インサートナット61は、金属から構成されている。インサートナット61は、中心軸102を中心とする円筒形状を有する。インサートナット61は、中心軸102を中心とする有底の円筒形状を有する。インサートナット61は、先端部65を有する。先端部65は、中心軸102の軸方向におけるインサートナット61の一方端部である。
【0042】
インサートナット61は、中心軸102の軸方向が中心軸101の軸方向と平行となるように樹脂部51に埋設されている。インサートナット61は、中心軸101の軸方向に円筒状に延びている。
【0043】
インサートナット61には、開口部62が設けられている。開口部62は、先端部65において開口している。開口部62は、中心軸102の軸方向に延びている。開口部62は、バランス調整用の重り部材66を受け入れ可能なように構成されている。本実施の形態では、開口部62が、雌ネジ孔からなる。重り部材66は、開口部62に螺合されるホロセットネジからなる。
【0044】
インサートナット61Aは、その先端部65が樹脂部51の端面52に露出するように設けられている。複数のインサートナット61Aは、中心軸101の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数のインサートナット61Aは、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。複数のインサートナット61Aは、中心軸101を中心とする同一円周上に設けられている。
【0045】
インサートナット61Bは、その先端部65が樹脂部51の端面53に露出するように設けられている。複数のインサートナット61Bは、中心軸101の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数のインサートナット61Bは、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。複数のインサートナット61Bは、中心軸101を中心とする同一円周上に設けられている。複数のインサートナット61Bは、中心軸101を中心とする周方向において、複数のインサートナット61Aとそれぞれ対応する位相位置に設けられている。
【0046】
インサートナット61は、中心軸101の周方向において、互いに隣り合う永久磁石41(磁石挿入部36)の間の位相位置に設けられている。本実施の形態では、互いに隣り合う永久磁石41間の複数の位相位置の各々に、インサートナット61が設けられている。これに限られず、互いに隣り合う永久磁石41間の複数の位相位置のうちの一部(たとえば、1つおきの位相位置)に、インサートナット61が設けられてもよい。
【0047】
図1から
図4中では図示が省略されているが、インサートナット61の開口部62には、重り部材66が螺合されている。重り部材66は、回転するロータ10において、アンバランスの発生が抑制されるように設けられている。重り部材66は、複数のインサートナット61のうちの一部のインサートナット61に設けられてもよい。1つのインサートナット61に対して、複数の重り部材66が設けられてもよい。インサートナット61には、互いに異なる重さ(たとえば、中心軸102の軸方向におけるホロセットネジの長さが異なる)の重り部材66が設けられてもよい。
【0048】
なお、開口部62が、ドリル孔からなり、重り部材66が、開口部62に圧入される構成であってもよい。
【0049】
高速で回転するロータにおいては、重りを設けてバランス調整を行なう必要がある。この場合に、仮にバランス調整用の重りを軸部材21の端面に設けようとすると、軸部材21の外径を大きくして端面の面積を一定以上に確保しなければならない。これにより、ロータの外形が大きくなる可能性がある。また、別の方策として、ロータに、バランス調整用の重りを設けるための別部品を取り付けるという方法も考えられる。しかしながら、この場合、ロータの部品点数が増えたり、ロータの外形が大きくなったりする可能性がある。
【0050】
これに対して、本実施の形態におけるロータ10においては、軸部材21およびロータコア31を一体化するための樹脂部51に、バランス調整用の重り部材66を設けるためのインサートナット61が埋設されている。このような構成により、重り部材66を設ける位置として樹脂部51が配置された空間が有効に利用されるため、ロータ10を小型かつ簡易に構成することができる。
【0051】
図6は、
図1中の2点鎖線VIで囲まれた範囲のロータを拡大して示す図である。
図1、
図2および
図6を参照して、ロータコア31には、複数の凹部33が設けられている。
【0052】
凹部33は、ロータコア31の内周面32において、中心軸101の半径方向外側に向けて凹む凹形状をなしている。凹部33は、中心軸101の周方向において、互いに隣り合う磁石挿入部36の間に設けられている。凹部33は、中心軸101の軸方向に延び、ロータコア31を貫通している。中心軸101の半径方向における樹脂部51の厚みは、凹部33が設けられた位相位置において局所的に大きくなる。
【0053】
ロータコア31(内周面32)は、底壁33jと、一対の側壁33kとを有する。底壁33jおよび一対の側壁33kは、凹部33を画定している。底壁33jは、凹部33の底部に設けられている。一対の側壁33kは、中心軸101の周方向において互いに対向して設けられている。一対の側壁33kは、それぞれ、中心軸101の周方向における底壁33jの両端から中心軸101の半径方向外側に向けて立ち上がるように設けられている。
【0054】
中心軸101の半径方向における凹部33の凹み長さは、中心軸101の半径方向における磁石挿入部36の凹み長さよりも小さい。中心軸101の周方向における凹部33の幅Bは、中心軸101の半径方向外側から半径方向内側に向かうほど大きくなる。中心軸101の周方向における一対の側壁33k間の距離は、中心軸101の半径方向において底壁33jから離れるほど大きくなる。
【0055】
インサートナット61は、中心軸101の半径方向において凹部33と対向する位置に設けられている。複数のインサートナット61は、それぞれ、複数の凹部33と対向する位置に設けられている。インサートナット61の一部は、凹部33の内側に配置されている。インサートナット61の一部は、中心軸101の周方向において一対の側壁33kの間に配置されている。中心軸101から見て中心軸102よりも半径方向外側に位置するインサートナット61の一部が、凹部33の内側に配置されている。
【0056】
このような構成によれば、インサートナット61を設ける空間として、ロータコア31の内周面32における凹部33の凹み空間が利用されるため、樹脂部51が配置された空間をさらに有効に利用することができる。
【0057】
また、インサートナット61が円筒形状を有する一方で、中心軸101の周方向における凹部33の幅Bが、中心軸101の半径方向外側から半径方向内側に向かうほど大きくなる。この場合、インサートナット61の形状と、凹部33の形状とが対応するため、インサートナット61が凹部33の壁面(特に、一対の側壁33k)と干渉することを容易に回避しつつ、凹部33の凹み空間にインサートナット61を設けることができる。
【0058】
図7は、軸部材を示す斜視図である。
図8は、
図4中のVIII−VIII線上の矢視方向に見たロータを示す断面図である。
図4、
図7および
図8を参照して、軸部材21には、第1溝部27が設けられている。
【0059】
第1溝部27は、軸部材21の外周面23において、中心軸101の半径方向内側に向けて凹む凹形状をなしている。第1溝部27は、中心軸101の周方向に周回している。
【0060】
第1溝部27は、中心軸101の軸方向において一定の幅を有しながら、中心軸101の周方向に周回している。第1溝部27は、中心軸101の軸方向において、後出の第2溝部28および第2溝部29の間に設けられている。第1溝部27の溝底は、第2溝部28および第2溝部29の各溝底よりも、中心軸101の半径方向内側に一段下がった位置に設けられている。樹脂部51は、第1溝部27がなす凹形状の内側を満たすように設けられている。
【0061】
このような構成によれば、樹脂部51が第1溝部27と噛み合うように設けられるため、ロータ10の回転時、軸部材21および樹脂部51間の中心軸101の軸方向におけるずれを効果的に防ぐことができる。
【0062】
軸部材21には、第2溝部28および第2溝部29が設けられている。第2溝部28および第2溝部29は、軸部材21の外周面23において、中心軸101の半径方向内側に向けて凹む凹形状をなしている。第2溝部28および第2溝部29は、中心軸101の軸方向に延びている。
【0063】
軸部材21には、複数の第2溝部28と、複数の凸部71とが設けられている。第2溝部28および凸部71は、中心軸101の周方向に沿って交互に並んでいる。第2溝部28は、中心軸101の周方向の両側に位置する2つの凸部71の間において凹形状をなしている。軸部材21には、複数の第2溝部29と、複数の凸部72とが設けられている。第2溝部29および凸部72は、中心軸101の周方向に沿って交互に並んでいる。第2溝部29は、中心軸101の周方向の両側に位置する2つの凸部72の間において凹形状をなしている。
【0064】
第2溝部28および第2溝部29は、第2溝部28および第2溝部29の間に第1溝部27を挟んで、中心軸101の軸方向に一直線に並んでいる。樹脂部51は、第2溝部28および第2溝部29がなす凹形状の内側を満たすように設けられている。
【0065】
このような構成によれば、樹脂部51が第2溝部28および第2溝部29と噛み合うように設けられるため、ロータ10の回転時、軸部材21および樹脂部51間の中心軸101の周方向におけるずれを効果的に防ぐことができる。
【0066】
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるロータ10の構成をまとめると、本実施の形態におけるロータ10は、所定軸としての中心軸101を中心とする円筒形状または円柱形状を有する軸部材21と、軸部材21の外周上に設けられ、中心軸101の半径方向において軸部材21と隙間を設けて配置されるロータコア31と、その隙間に設けられる樹脂部51と、樹脂部51に埋設されるインサート部材としてのインサートナット61とを備える。
【0067】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるロータ10によれば、軸部材21およびロータコア31を一体化するための樹脂部51にバランス調整用のインサートナット61を埋設することによって、ロータ10を小型かつ簡易に構成することができる。
【0068】
なお、インサートナット61は、樹脂部51の端面52および端面53のいずれか一方の端面にのみ設けられてもよい。
【0069】
図9は、実施の形態1におけるロータの第1変形例を示す断面斜視図である。
図9は、
図5に対応する図である。
【0070】
図9を参照して、本変形例におけるロータは、インサートナット61に替えて、インサートピン81を有する。インサートピン81は、インサートナット61の先端部65に対応して、先端部85を有する。インサートピン81は、インサートナット61と同様の態様により、樹脂部51に埋設されている。
【0071】
インサートピン81には、孔82が設けられている。孔82は、ドリル孔からなる。孔82は、中心軸101の軸方向に延びている。孔82は、インサートピン81の先端部85に開口している。
【0072】
本変形例では、インサートピン81に孔82がドリル加工されることによって、ロータのバランス調整が行なわれている。孔82は、複数のインサートピン81のうちの一部のインサートピン81に設けられてもよい。インサートピン81には、互いに異なる直径または深さの孔82が設けられてもよい。
【0073】
図10は、実施の形態1におけるロータの第2変形例を示す断面斜視図である。
図10は、
図5に対応する図である。
【0074】
図10を参照して、本変形例におけるロータは、インサートナット61に替えて、インサートナット86を有する。本変形例におけるロータは、配管90と、配管係止部材89と、ネジ88とをさらに有する。
【0075】
インサートナット86は、インサートナット61と同様の態様により、樹脂部51に埋設されている。インサートナット86には、開口部87が設けられている。開口部87は、雌ねじ孔からなる。
【0076】
配管90は、金属パイプまたは樹脂チューブ等の管部材から構成されている。配管90には、油またはエアー等の流体が流通されている。配管90は、樹脂部51の端面52上に配索されている。配管係止部材89は、配管90を係止可能な爪形状を有する。配管係止部材89は、樹脂部51の端面52上において配管90を係止している。配管係止部材89は、ネジ88が開口部87に螺合されることによって、インサートナット86に止め付けられている。
【0077】
図11は、実施の形態1におけるロータの第3変形例を示す断面図である。
図11は、
図4に対応する図である。
【0078】
図11を参照して、本変形例におけるロータは、インサートナット61に替えて、配管92を有する。
【0079】
配管92は、金属パイプまたは樹脂チューブ等の管部材から構成されている。配管92には、油またはエアー等の流体が流通されている。配管92は、樹脂部51に埋設されている。配管92は、中心軸101の軸方向に延びている。配管92は、中心軸101の軸方向における両端において、端面52および端面53にそれぞれ達している。
【0080】
上記の第2変形例および第3変形例に例示したように、本発明におけるインサート部材は、バランス調整の目的に限られず、様々な目的で設けられてもよい。本発明におけるインサート部材は、そのインサート部材が設けられる目的に応じて、樹脂部に1つだけ設けられる場合もある。
【0081】
(実施の形態2)
図12は、この発明の実施の形態2におけるロータを示す断面図である。
図12は、実施の形態1における
図4に対応する図である。本実施の形態におけるロータは、実施の形態1におけるロータ10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0082】
図12を参照して、本実施の形態におけるロータは、軸部材21と、ロータコア31と、複数の永久磁石41と、樹脂部51とを有する一方で、複数のインサートナット61を有しない。樹脂部51には、孔95(95A,95B)が設けられている。孔95は、ドリル孔からなる。孔95は、中心軸101の軸方向に延びている。孔95Aは、樹脂部51の端面52に開口している。孔95Bは、樹脂部51の端面53に開口している。
【0083】
本実施の形態では、樹脂部51に複数の孔95(95A,95B)がドリル加工されることによって、ロータのバランス調整が行なわれている。樹脂部51には、互いに異なる直径または深さの孔95が設けられてもよい。
【0084】
以上に説明した、この発明の実施の形態2におけるロータの構成をまとめると、本実施の形態におけるロータは、所定軸としての中心軸101を中心とする円筒形状または円柱形状を有する軸部材21と、軸部材21の外周上に設けられ、中心軸101の半径方向において軸部材21と隙間を設けて配置されるロータコア31と、その隙間に設けられる樹脂部51とを備える。樹脂部51は、中心軸101の軸方向を向く端面52,53を有する。樹脂部51には、端面52,53に開口する少なくとも1つの孔としての孔95が設けられる。
【0085】
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるロータによれば、軸部材21およびロータコア31を一体化するための樹脂部51にバランス調整用の孔95を設けることによって、ロータを小型かつ簡易に構成することができる。
【0086】
図13は、実施の形態2におけるロータの変形例を示す断面図である。
図13は、実施の形態1における
図4に対応する図である。
【0087】
図13を参照して、本変形例では、樹脂部51に、複数の孔97が設けられている。孔97には、油またはエアー等の流体が流通されている。孔97は、中心軸101の軸方向に延びている。孔97は、中心軸101の軸方向における両端において、端面52および端面53にそれぞれ開口している。複数の孔97は、中心軸101の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。
【0088】
上記の変形例に例示したように、本発明における孔は、バランス調整の目的に限られず、様々な目的に応じて設けられてもよい。本発明における孔は、その孔が設けられる目的に応じて、樹脂部に1つだけ設けられる場合もある。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】ロータは、中心軸101を中心とする円筒形状を有する軸部材21と、軸部材21の外周上に設けられ、中心軸101の半径方向において軸部材21と隙間を設けて配置されるロータコア31と、その隙間に設けられる樹脂部51と、樹脂部51に埋設されるインサートナット61とを備える。