(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シール部は、前記カバーの前記ベース部材への取り付けに伴って前記機能ユニットの外側面と前記カバーの内側面との近接方向に圧縮されることでシール機能を発揮したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用外装装置。
前記第1シール部は、前記ホルダに固定され、前記カバーの前記ベース部材への取り付けに伴って前記内側面と前記開口端との近接方向に圧縮されることでシール機能を発揮したものであることを特徴とする請求項5に記載の車両用外装装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0012】
各実施形態では、車両用外装装置としてアンテナ装置を例示する。このアンテナ装置は、複数のアンテナエレメントと機能部品を搭載するために一重カバー構造を採用して省スペースを実現する。カバーの側面には、機能部品の一部を露出させるための開口部が設けられる。その開口部を介した水分の浸入を簡易かつ効果的に防止できるよう防水構造が工夫されている。以下、その詳細について説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置の外観を表す図である。
図1(A)は斜視図であり、
図1(B)は背面図である。なお、以下の説明では便宜上、アンテナ装置における位置関係について、車両搭載状態を基準に前後、上下、幅方向を表現することがある。
【0014】
アンテナ装置1は、いわゆるシャークフィンアンテナと呼ばれる低背型アンテナ装置であり、図示しない車両のルーフパネルに取り付けられる。アンテナ装置1は、その底部を構成するベース部材10と、ベース部材10に水密に取り付けられたカバー12を備える。カバー12は、電波透過性の樹脂(例えばABS、PET、PC等)からなる。ベース部材10とカバー12との間に収容空間が形成され、後述のアンテナエレメントやその回路基板が収容される。
【0015】
ベース部材10は、後方から前方に向けて徐々に小幅となる平面視長円形状又は三角形状を有する。ベース部材10の下面中央には、アンテナ装置1をルーフパネルに固定するためのルーフ固定部14が突設されている。ルーフ固定部14は、ルーフパネルに設けられた取付孔に挿通される。ルーフ固定部14にグランドワッシャを介してナットを締結することにより、ベース部材10がルーフパネルに固定される。
【0016】
カバー12は、正面視三角形状であって後方から前方に向けて徐々に高さが低くなり、徐々に小幅となる流線形状(シャークフィン形状)を有する。カバー12の下端開口部がベース部材10の周縁部に沿って取り付けられている。カバー12の背面に開口部16が設けられ、カメラ20(機能部品)の先端部を露出させている。
【0017】
図2は、アンテナ装置1の分解斜視図である。
アンテナ装置1は、ベース部材10に回路基板22、支持部材24、アンテナエレメント26およびカメラユニット28等を取り付け、これらをカバー12で覆うようにして構成される。支持部材24は、アンテナエレメント26を支持する部材である。アンテナエレメント26は、AM/FM放送の電波を受信するものであり、図示略のアンテナコイルを介して回路基板22に接続されている。カメラユニット28はカメラ20を含み、「機能ユニット」として機能する。
【0018】
ベース部材10は、アンテナベース30およびシールパッド32を含む。アンテナベース30は、アルミダイカストからなる導電ベースであるが、ステンレスその他の導電性金属からなるものとしてもよい。ルーフ固定部14は、アンテナベース30と一体に形成されている。上述のようにルーフ固定部14にナットを締結することにより、グランドワッシャがルーフパネルの塗装膜を破り、アンテナベース30の下面中央部がルーフパネルに導通する。それにより、アンテナ装置1について、車体によるボディアースをとることができる。
【0019】
シールパッド32は、可撓性樹脂(例えばゴム)からなる絶縁体であり、アンテナベース30とルーフパネルとの間をシールする。シールパッド32は、アンテナベース30よりもやや大きい。シールパッド32の周縁部が内側に折り返される態様で凹状嵌合部33が形成されている。アンテナベース30の周縁部を凹状嵌合部33に嵌合させつつシールパッド32をアンテナベース30に被せることで、ベース部材10が構成される。カバー12は、アンテナベース30との間にシールパッド32を挟むことで、ベース部材10に水密に取り付けられる。
【0020】
アンテナベース30の上面には、部品をねじ止めするための複数のボスが立設されている。アンテナベース30の中央には、ケーブルを挿通するための挿通孔34が設けられている。シールパッド32の中央には、アンテナベース30の中央部下面を露出させ、ケーブルを挿通するための挿通孔36が設けられている。ルーフ固定部14は挿通孔36を貫通する。
【0021】
回路基板22には、アンテナエレメント26にて受信された信号を増幅するアンプなどの回路が実装されるほか、パッチアンテナ38およびその回路等が設けられている。パッチアンテナ38は、例えばGPS用のアンテナエレメントを含む。回路基板22は、アンテナベース30の前側領域に固定される。
【0022】
アンテナベース30の中央領域にガイド部材40が固定され、ガイド部材40を跨ぐように支持部材24が固定される。ガイド部材40は、カメラ20のケーブル58をガイドする部材である。ガイド部材40および支持部材24は絶縁部材(樹脂)からなる。支持部材24は、アンテナベース30の上方に延在し、その上面が前後に延びる支持面44となっている。
【0023】
アンテナエレメント26は、導電性の金属板を曲げ成形して得られ、二股形状を有する。アンテナエレメント26は、支持面44と平行に延びる本体46と、本体46の両サイドから斜め下方に延びる延在部48を有する。本実施形態ではアンテナエレメント26を断面V字状に構成したが、断面U字状その他の形状を採用してもよい。
【0024】
アンテナエレメント26は、本体46が支持面44に載置される態様で支持部材24に固定される。このようにしてアンテナエレメント26を高位置に保持し、また平面視にて回路基板22と重ならないように配置することで受信性能を向上させている。
【0025】
カメラユニット28は、ホルダ50にカメラ20を取り付けて構成される。ホルダ50がアンテナベース30に固定され、カメラ20はホルダ50に支持される。カメラ20とホルダ50との間にはシールリング54が介装される。シールリング54は、本実施形態ではOリングであり、「第2シール部」として機能する。
【0026】
ホルダ50の先端面(カバー12の開口部16側)にはシールリング56が装着される。シールリング56は、本実施形態ではウレタンフォームからなり、「第1シール部」として機能する。ウレタンフォームとしては、例えばマイクロセルポリマーシートであるポロン(登録商標)等を採用できる。シールリング56は適度な弾性を有し、シールリング54よりも柔らかい。シールリング56の圧縮率(約30%)は、シールリング54の圧縮率(約20%)よりも大きい。これらのシール部材の詳細については後述する。
【0027】
カメラ20からはケーブル58が延びている。ケーブル58は同軸ケーブルであり、ガイド部材40にガイドされ、挿通孔34,36を介してアンテナ装置1の外部に引き出される。回路基板22に接続されたケーブルも同様に引き出される。それらのケーブルは、ルーフパネルに設けられたケーブル引込口から車体内に引き込まれる。
【0028】
図3は、
図1(B)のA−A矢視断面図である。
図4は、
図3のB部拡大図である。
図3に示すように、カバー12の下端開口部には、その周縁近傍に沿って環状突起60が設けられている。カバー12は、環状突起60の先端がシールパッド32の上面に食い込むように取り付けられることでベース部材10との間の水密を確保する。カバー12とアンテナベース30とが、複数のねじ62(図中一つのみ表示)により固定されている。
【0029】
カバー12とベース部材10との間に収容空間Sが形成される。収容空間Sにアンテナエレメント26、回路基板22、カメラユニット28等の各部品が配置されている。本実施形態では、アンテナ装置1として一重カバータイプを採用するため、図示のように、回路基板22等の防水を必要とする内部部品が収容空間Sに露出している。
【0030】
ホルダ50は、アンテナベース30の後側領域に固定されている。ホルダ50を前後に貫通するように挿通孔64が設けられている。挿通孔64は、カバー12の開口部16と同軸状に連通している。カメラ20は、挿通孔64に挿通されつつホルダ50に支持されている。カメラ20の外周面に複数の固定部66が突設され、各固定部66がねじ(図示せず)によりホルダ50に固定されている。カメラ20の先端部(レンズ部)が、開口部16に露出している。
【0031】
カメラ20の背面にケーブル58のコネクタ70が接続されている。アンテナベース30の中央に支持部72が突設されている。ケーブル58は、支持部72およびガイド部材40にガイドされつつ挿通孔34の下方に引き出されている。
【0032】
図4に示すように、ホルダ50の内周面には、後方(開口部16側)に向けて小径化するテーパ面55が設けられている。一方、カメラ20の外周面には、後方に向けて小径化する段部57が設けられている。シールリング54は、その段部57に嵌着されている。カメラ20は、ホルダ50に対して前方(図中左側)から挿入されるが、固定部66がホルダ50の前端面に接触する。それにより、ホルダ50に対するカメラ20の挿入位置(つまり相対位置)が定まる。
【0033】
シールリング54は、ホルダ50の内周面とカメラ20の外周面との間に介装され、ホルダ50とカメラ20との間隙を介した収容空間Sへの水分の浸入を防止する。より詳細には、シールリング54が、カメラ20の段部57とホルダ50のテーパ面55との間で軸線方向および径方向に圧縮され、シール機能を発揮する。
【0034】
シールリング56は、ホルダ50の開口端とカバー12の内側面との間に介装され、開口部16の周囲を取り囲むように配置される。それにより、ホルダ50とカバー12との間隙を介した収容空間Sへの水分の浸入を防止する。より詳細には、シールリング56が、ホルダ50の後端(開口端)とカバー12の後部内側面との間で軸線方向に圧縮され、シール機能を発揮する。
【0035】
開口部16への水分の浸入は許容されるものの、2つのシールリング54,56によりカメラユニット28よりも内側の防水は確保される。カメラ20の先端部(レンズ部)は、外部の撮像のために開口部16に露出しているが、カメラ単体(機能部品)としての防水が確保されているため問題はない。
【0036】
カバー12の後部側壁には、開口部16から下方に延びる連通孔78が設けられている。また、シールパッド32の後端部には、上下方向のスリット80(切欠部)が設けられている。これら連通孔78とスリット80とが連通する。それにより、連通孔78がカバー12の外部(大気)に開放されている。
【0037】
ホルダ50の内周面には、テーパ面55の後方に傾斜面82が設けられている。傾斜面82は、ホルダ50の開口端に向けて大径化するテーパ面とされている。開口部16の下部には、連通孔78と連通する段差17が設けられている。図示のとおり、シールリング56の内径は、ホルダ50の開口端の内径とほぼ同一であるがやや大きい。段差17の底部は、シールリング56の内周よりもやや低い位置にある。このような構成において、シールリング54の外側でホルダ50とカメラ20に囲まれる露出空間S2と、連通孔78とが、開口部16を介して連通している。このため、仮に露出空間S2に水分が溜まったとしても、傾斜面82を伝って連通孔78に導かれ、外部に排出されやすい。
【0038】
図5および
図6は、シール部の取付方法を表す図である。
図5(A)〜(D)は第2シール部の取付過程を示し、
図6(A)〜(C)は第1シール部の取付過程を示す。
図5に示すように、第2シール部を取り付ける際には、まず、カメラ20にシールリング54を外挿させる(
図5(A))。シールリング54は、段部57に嵌着される。
【0039】
続いて、カメラ20をホルダ50の挿通孔64に挿通する(
図5(B))。このとき、シールリング54が挿通孔64に挿入される過程で径方向への圧縮力を受ける(
図5(C))。シールリング54は、テーパ面55に差し掛かることで軸線方向にも圧縮され、径方向により強く圧縮される(
図5(D))。それにより十分なシール機能を発揮できる。この状態で図示しないねじを締結することで、カメラ20がホルダ50に固定され支持される。
【0040】
図6に示すように、第1シール部を取り付ける際には、ホルダ50の先端面に予めシールリング56が設けられる。具体的には、両面テープによりシールリング56をホルダ50に貼付する。ベース部材10には、アンテナエレメント26やカメラユニット28などの搭載すべき部品が全て取り付けられている。ベース部材10の上方からカバー12を被せていく(
図6(A))。このとき、カバー12がシールリング56に干渉しないよう、ベース部材10に対してカバー12をやや後方にずらしておく。
【0041】
続いて、カバー12の後部内側面とシールリング56とが対向した状態で、カバー12を前方にずらし、ベース部材10との取付位置に合わせる(
図6(B))。この過程でシールリング56が軸線方向に圧縮され、十分なシール機能を発揮できるようになる。この状態でねじ62を締結することにより、カバー12とベース部材10とが固定される(
図6(C))。以上により、第1シール部および第2シール部によるシールが実現される。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態では、アンテナ装置1の取付工程において、カメラ20のホルダ50への挿入に伴ってシールリング54が径方向に圧縮されることで、シールリング54のシール機能が発揮される。さらに、カバー12のベース部材10への取り付けに伴ってシールリング56が軸線方向に圧縮されることで、シールリング56のシール機能が発揮される。すなわち、部品間の隙間寸法や取付方向を考慮してシール部材の寸法が設定されており、取付工程をそのまま利用するだけで十分なシール効果が得られる。このため、2つのシール部のシール機能を簡易かつ確実に発揮できる。
【0043】
また、カバー12のみの一重カバーを採用することで、収容空間Sのスペースに余裕ができる。このため、内部部品が増加したとしても、アンテナ装置1をコンパクトに維持できる。すなわち、本実施形態によれば、アンテナ装置1の省スペースを実現しつつ防水性を確保できる。
【0044】
特に、本実施形態では第1シール部として、防水機能を有しつつ厚さと柔らかさを確保しやすいウレタンフォームを採用した。ウレタンフォームは、圧縮率が比較的大きい弾性体として機能する。このため、内部部品の増加等に起因して寸法公差の重畳により取付誤差が大きくなったとしても、第1シール部にてこれを吸収できる。
【0045】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係るアンテナ装置を表す分解斜視図である。
本実施形態のアンテナ装置201は、第1シール部と第2シール部とが単一のシール部材として一体に形成されている点で第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態との相異点を中心に説明する。
【0046】
アンテナ装置201は、ベース部材10に回路基板22、支持部材24、アンテナエレメント26およびカメラユニット228等を取り付け、これらをカバー12で覆うようにして構成される。カメラユニット228は「機能ユニット」として機能する。カメラユニット228を構成するホルダ250は、第1実施形態のホルダ50とは異なる形状を有する。そのホルダ250にシール部材252が取り付けられる。
【0047】
図8は、ホルダ250の構成を表す図である。
図8(A)は正面側からみた斜視図、
図8(B)は正面図、
図8(C)は側面図、
図8(D)は背面図である。
図8(E)は
図8(D)のC−C矢視断面図である。
【0048】
ホルダ250は、ベース部材10に固定されるベース部260、ベース部260に立設された支持部262、および支持部262に連設された挿通嵌合部264を有する。挿通嵌合部264は、段付円筒状をなし、カメラ20の外周面と概ね相補形状の内周面を有する。支持部262は、挿通嵌合部264の前端に設けられた壁部であり、カメラ20を固定するためのねじが螺合する複数のねじ孔268が設けられている。
【0049】
図9は、シール部材252の構成を表す図である。
図9(A)は正面側からみた斜視図である。
図9(B)は正面図、
図9(C)は側面図、
図9(D)は背面図である。
図9(E)は
図9(D)のD−D矢視断面図である。
【0050】
シール部材252は、ウレタンフォームからなり、角筒部273と円筒部275を含む段付筒状の筒状嵌合部274を有する。筒状嵌合部274は、カメラ20の外周面と相補形状の内周面と、ホルダ250の内周面と相補形状の外周面を有する。円筒部275の先端部には、断面L字状に折り返された形状の嵌合装着部276が設けられている。円筒部275の内周面には、リブ280が周設されている。嵌合装着部276の先端面には、環状のリブ282,284が同心状に設けられている。リブ282,284が「第1シール部」として機能し、リブ280が「第2シール部」として機能する。
【0051】
図10は、カメラユニット228およびその周辺を表す部分拡大断面図である。
シール部材252は、嵌合装着部276を挿通嵌合部264に嵌合させつつ、ホルダ250の内面に装着される。カメラ20が挿通孔64に挿入されることで、カメラ20の外周面とホルダ250の内周面との間にシール部材252が介装される。すなわち、カメラ20の外周面とホルダ250の挿通嵌合部264との間に、シール部材252の筒状嵌合部274が挟まれる。このとき、挿通嵌合部264に設けられたリブ280がシール部材252の径方向に圧縮され、シール機能を発揮する。
【0052】
また、カバー12がベース部材10に取り付けられることで、シール部材252の嵌合装着部276が、ホルダ250の挿通嵌合部264とカバー12の内側面との間に介装される。このとき、リブ282,284は、開口部16の周囲を取り囲むように配置され、シール部材252の軸線方向に圧縮される。それによりシール機能を発揮する。
【0053】
本実施形態においても、取付工程をそのまま利用するだけで十分なシール効果が得られ、2つのシール部のシール機能を簡易かつ確実に発揮できる。また、アンテナ装置201の省スペースを実現しつつ防水性を確保できる。2つのシール部が単一のシール部材として一体に形成されるため、取付工数を削減でき製造コストの低減を図ることもできる。
【0054】
なお、本実施形態においても、リブ280の外側の露出空間S2と連通孔78とが、開口部16を介して連通している。このため、仮に露出空間S2に水分が溜まったとしても、連通孔78を介して外部に排出できる。
【0055】
[変形例]
図11は、変形例に係るアンテナ装置の要部を表す部分拡大断面図である。
本変形例では、シール部材292がウレタンフォームからなり、ホルダ270の挿通嵌合部264に嵌合する嵌合装着部277を有する。シール部材292は、リブの配置が第2実施形態のシール部材252とは異なる。
【0056】
すなわち、嵌合装着部277の外周面に環状のリブ294,296が同軸状に設けられている。リブ294,296はが「第1シール部」として機能する。カバー212の内側には、開口部16と同軸状に環状の内側面213が設けられている。リブ294,296は、内側面213に挿通されることで径方向に圧縮され、シール機能を発揮する。
【0057】
本変形例の第1シール部は、カバー212における内側面213の内径と、嵌合装着部277の外径との寸法差により径方向に圧縮される。このため、第2実施形態のように軸線方向に圧縮するタイプと比較して圧縮率は小さくなる傾向がある。言い換えれば、第2実施形態のように軸線方向に圧縮できる構成のほうがシール性能は確保しやすい。
【0058】
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態に係るアンテナ装置を表す分解斜視図である。
本実施形態のアンテナ装置301は、第1シール部および第2シール部がいずれもカメラとカバーとの間に介装される点で第1,第2実施形態とは異なる。以下、第1,第2実施形態との相異点を中心に説明する。
【0059】
アンテナ装置301は、ベース部材10に回路基板22、支持部材24、アンテナエレメント26およびカメラユニット328等を取り付け、これらをカバー312で覆うようにして構成される。カメラユニット328は「機能ユニット」として機能する。カメラユニット328は、ホルダ350およびカメラ20を含む。ホルダ350にシール部材352が取り付けられる。
【0060】
図13は、シール部材352の構成を表す図である。
図13(A)は正面側からみた斜視図である。
図13(B)は正面図、
図13(C)は側面図、
図13(D)は背面図である。
図13(E)は
図13(E)のE−E矢視断面図である。
【0061】
シール部材352は、ウレタンフォームからなり、円筒状の本体374を有する。本体374の後半部は、後方に向かって小径化するテーパ部376を有する。テーパ部376の内側には軸線に垂直な平面が設けられており、その平面に環状のリブ380が突設されている。テーパ部376の外周面には、環状のリブ382,384が同心状に突設されている。リブ382,384が「第1シール部」として機能し、リブ380が「第2シール部」として機能する。
【0062】
図14は、カメラユニット328およびその周辺を表す部分拡大断面図である。
カメラ20は、ホルダ350に対して後方から取り付けられ、複数のねじ(図示せず)によって固定される。ホルダ350には、後方に向けて大きく開口する挿通孔364が設けられ、カメラ20を部分的に収容している。また、ホルダ350の前端中央に小径の挿通孔365が設けられている。その挿通孔365にコネクタ70が挿通され、カメラ20と接続されている。
【0063】
シール部材352の内周面は、カメラ20の後部外周面と相補形状を有する。一方、カバー312の内側には、開口部16と同軸状に環状の内側面313が設けられている。内側面313は、テーパ部376の外周面と相補形状となる逆テーパ形状を有する。リブ382,384がカバー312の内側面に向けて突出し、リブ380がカメラ20の外周面に向けて突出する。カバー312がベース部材10に取り付けられることで、内側面313とカメラ20との間にテーパ部376が挟まれる。それにより、リブ380,382,384がシール部材352の軸線方向に圧縮され、シール機能を発揮する。
【0064】
本実施形態においても、取付工程をそのまま利用するだけで十分なシール効果が得られ、2つのシール部のシール機能を簡易かつ確実に発揮できる。また、アンテナ装置の省スペースを実現しつつ防水性を確保できる。2つのシール部が単一のシール部材として一体に形成されるため取付工数を削減でき、製造コストの低減を図ることもできる。
【0065】
なお、本実施形態においても、リブ380の外側の露出空間S2と連通孔78とが、開口部16を介して連通している。このため、仮に露出空間S2に水分が溜まったとしても、連通孔78を介して外部に排出できる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0067】
上記実施形態では、機能ユニットを構成する機能部品としてカメラを例示した。変形例においては、導光体(発光モジュール)その他の機能部品としてもよい。例えば、LEDユニットをホルダにより支持し、そのLEDユニットの先端部を開口部に露出させてもよい。また、複数の機能部品を設け、カバーに設けた複数の開口部にそれぞれの先端部を露出させてもよい。それぞれの機能ユニットについて、開口部近傍に上記実施形態や変形例の防水構造を適用することができる。
【0068】
上記実施形態では、アンテナベースとシールパッドとを別部材として用意し、両者を取り付けてベース部材とする例を示した。変形例においては、金型を用いたモールド成形によりアンテナベースとシールパッドを一体に形成してもよい。シールパッドは、可撓性のモールド樹脂からなるものでよい。
【0069】
上記実施形態では、ベース部材を複数の部品(アンテナベースとシールパッド)で構成した。変形例においては、ベース部材を単一部材で構成してもよい。具体的には、樹脂製のアンテナベースのみでベース部材を構成し、カバーとアンテナベースとの接合部を溶着や接着等により水密にシールしてもよい。前者の場合、カバーとアンテナベースとを取り付けた状態でその周縁部に沿ってレーザ照射を行うことで両者を接合できる。
【0070】
上記実施形態では、アンテナベースを単一部材にて構成した。変形例においては、アンテナベースを複数の部材で構成してもよい。例えば、金属製の第1ベース(以下「金属ベース」という)と、樹脂製の第2ベース(以下「樹脂ベース」という)とを取り付けてアンテナベースを構成してもよい。樹脂ベースの中央部に開口を設け、その開口を塞ぐように金属ベースを取り付けてもよい。金属ベースの中央にケーブルを挿通するための挿通孔を設けてもよい。金属ベースと一体にルーフ固定部を設けてもよい。金属ベースの下面がルーフパネルに導通する。樹脂ベースにシールパッドを被せてもよい。あるいは、シールパッドを設けることなく、カバーと樹脂ベースとを溶着等により水密に接合してもよい。
【0071】
上記実施形態では、アンテナエレメントを支持する支持部材と、機能部品を支持するホルダとを別部材にて構成した。変形例においては、支持部材とホルダとを一体に形成してもよい。支持部材に対応する部分を「ホルダ」の一部として構成してもよい。
【0072】
上記実施形態では、ホルダとアンテナベースとを別部材にて構成し、ホルダをアンテナベース(ベース部材)に固定する例を示した。変形例においては、アンテナベースとホルダとを一体に形成してもよい。例えば樹脂材の射出成形によりアンテナベース(樹脂ベース)に突起などを一体成形し、その突起をホルダとして機能させてもよい。ホルダをアンテナベースの一部として構成してもよい。すなわち、ホルダは、「ベース部材」に配置されていればよい。
【0073】
上記実施形態では、カバーとベース部材とに囲まれる収容空間にアンテナエレメントを配置する構成を例示した。変形例においては、カバーの一部をアンテナエレメントで構成してもよい。モールド成形によりアンテナエレメントをカバーと一体に形成してもよい。その場合、アンテナエレメントをカバーに埋設してもよいし、その一部を外部に露出させてもよい。なお、ここでいう「アンテナエレメント」は、アンテナを構成するエレメントであればよく、その形態(板状、コイル状その他の形状)は問わない。
【0074】
上記実施形態では、第1シール部として、防水性能に優れ、かつ圧縮率が比較的大きいウレタンフォームを採用した。変形例においては、シール機能を有するエラストマーやゴムその他の弾性体を採用してもよい。例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などは、防水性に優れた弾性体として好適である。
【0075】
第1実施形態では、第1シール部について第2シール部とは異なる材質を採用した。具体的には、第1シール部として、第2シール部よりも圧縮率が大きく柔らかい材質を採用した。変形例においては、両シール部に同じ材質を採用してもよい。両シール部材をウレタンフォーム等の弾性体としてもよい。あるいは、Oリングとしてもよい。
【0076】
第2実施形態では、シール部材252の先端面に2つのリブ282,284を設け、内周面に1つのリブ280を設ける構成を例示した。第3実施形態では、シール部材352の外周面に2つのリブ382,384を設け、内周面に1つのリブ380を設ける構成を例示した。すなわち、第1シール部を2つのリブで構成し、第2シール部を1つのリブで構成した。変形例においては、第1シール部を3つ以上のリブで構成してもよいし、単一のリブで構成してもよい。第2シール部を複数のリブで構成してもよい。第1シール部を構成するリブと、第2シール部を構成するリブの高さを異ならせてもよい。第1シール部と第2シール部の形状や大きさ等の構造を異ならせることにより、第1シール部の圧縮率が第2シール部の圧縮率よりも大きくなるようにしてもよい。
【0077】
第1,第2実施形態では、ホルダとカバーの間に第1シール部を、ホルダと機能部品(カメラ)の間に第2シール部を、それぞれ設ける例を示した。第3実施形態では、ホルダと機能部品(カメラ)との間に第1シール部および第2シール部を設ける例を示した。ここでいう「シール部」は、部品の取り付けに伴ってシール機能を発揮するものである。変形例においては、機能部品の一部がホルダの機能を有するものであってもよい(機能部品の筐体がホルダとして機能してもよい)。そして、機能ユニットの外側面とカバーの内側面との間に「シール部」として機能する単一のシール部材を介装してもよい。
【0078】
上記実施形態では、アンテナエレメント26を金属からなるものとしたが、導電樹脂その他の導電性材料からなるものとしてもよい。
【0079】
上記実施形態では、アンテナ装置の収容空間にAM、FM、GPSに適用可能なアンテナエレメントを収容する構成を例示した。変形例においては、このほかにもXM、GNSS、DAB、V2X、TEL等その他に適用可能なアンテナエレメントを収容してよい。複数の周波数帯に対応するよう複数のアンテナエレメントを搭載した複合アンテナ装置としてもよい。
【0080】
上記実施形態では、シャークフィンアンテナを例示したが、低背型アンテナ装置であれば上記シール構造による省スペースの効果が顕著に発揮される。なお、上記シール構造は低背型アンテナ装置に限らず、カバーとベース部材との間に収容空間を形成するアンテナ装置であれば適用可能であることは言うまでもない。
【0081】
上記実施形態では、アンテナ装置をルーフパネルに設置するものとして説明したが、スポイラーやトランクパネルなど車体のその他の位置に設置してもよい。
【0082】
上記実施形態ではアンテナ装置を例示したが、アンテナエレメントを含まない車両用外装装置に対して上記シール構造を適用してもよい。発光モジュールを含む発光装置や電飾装置、カメラを含む撮像装置等の車両用外装装置に対して上記シール構造を適用してもよい。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【解決手段】車両用外装装置1は、ベース部材10と、ベース部材10に水密に取り付けられてベース部材10との間に収容空間Sを形成し、少なくとも一つの開口部16を有するカバー12と、収容空間Sにてベース部材10に配置されたホルダ50と、先端部が開口部16に露出するようにホルダ50に支持された機能部品20と、を含む機能ユニット28と、開口部16の周囲において、機能ユニット28の外側面とカバー12の内側面との間に介装されるシール部56と、を備える。