(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802901
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】複合材料絶縁システム
(51)【国際特許分類】
F16L 59/14 20060101AFI20201214BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20201214BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20201214BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
F16L59/14
F16L59/02
F16L57/00
B32B5/28 A
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-505340(P2019-505340)
(86)(22)【出願日】2017年4月17日
(65)【公表番号】特表2019-513962(P2019-513962A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】US2017027994
(87)【国際公開番号】WO2017181197
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年12月12日
(31)【優先権主張番号】62/323,494
(32)【優先日】2016年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518362960
【氏名又は名称】サプレックス,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】グレット,ロバート・ジャック
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−289392(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0149268(US,A1)
【文献】
特表2000−504094(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0116214(US,A1)
【文献】
特表2006−525885(JP,A)
【文献】
特開平05−164293(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0306186(US,A1)
【文献】
特表2013−538993(JP,A)
【文献】
米国特許第05000228(US,A)
【文献】
国際公開第2010/095569(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101119042(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/14
B32B 5/28
F16L 57/00
F16L 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部品に適合するように構造化される、カスタマイズ可能な自己成形性、繊維強化複合材料絶縁システムであって、
少なくとも部分的に前記対象部品に配置され、前記対象部品に構造的支持、絶縁、または保護を提供するように構造化された少なくとも1つの構造補強層と、
前記少なくとも1つの構造補強層を包み、前記少なくとも1つの構造補強層の周り、かつ少なくとも部分的には前記対象部品の周りに、外力の付加なしに圧迫を与えるように構造化された自己成形性繊維カバーと、
前記少なくとも1つの構造補強層および前記自己成形性繊維カバーに塗布されて硬化されるように構造化された液体ポリマーマトリクス溶液と、を備え、
前記少なくとも1つの構造補強層および前記自己成形性繊維カバーは、それらの内部に、前記自己成形性繊維カバーの外側から前記少なくとも1つの構造補強層の内側まで、前記液体ポリマーマトリクス溶液が浸透するように構造化され、前記液体ポリマーマトリクス溶液が硬化されることによって、前記自己成形性繊維カバーの外側から前記少なくとも1つの構造補強層の内側まで連続したマトリックスを形成するように構造化されている、複合材料絶縁システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構造補強層が、構造繊維、樹脂繊維、および/または、弾性繊維を含み、
前記構造繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、および/または、天然繊維を含み、
前記樹脂繊維が、ポリエチレンテレフタラート(PET);ポリアミド(PA);ポリフェニレンスルファイド(PPS);ポリフェニレンオキサイドエーテル(PPE);ポリエチレンイミン(PEI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素ポリマー;および/またはエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)をベースとした繊維を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構造補強層が、編組した繊維材料、編成した繊維材料、織成した繊維材料、および/または、不織繊維材料を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構造補強層が、ポリマー膜、金属膜、金属被覆ポリマー膜、箔、繊維強化膜、および/または繊維強化箔を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項5】
前記自己成形性繊維カバーが、編組した繊維材料、編成した繊維材料、織成した繊維材料、および/または、不織繊維材料を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項6】
前記自己成形性繊維カバーが、構造繊維、樹脂繊維および/または弾性繊維を含み、
構造繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、および/または、天然繊維を含み、
樹脂繊維が、ポリエチレンテレフタラート(PET);ポリアミド(PA);ポリフェニレンスルファイド(PPS);ポリフェニレンオキサイドエーテル(PPE);ポリエチレンイミン(PEI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素ポリマー;および/またはエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)をベースとした繊維を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項7】
前記液体ポリマーマトリクス溶液が、有機溶剤または無機溶剤中に、粉末熱可塑性ポリマーの分散物を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項8】
前記液体ポリマーマトリクス溶液が、界面活性剤、乳化剤、分散剤、レオロジー改質剤、および機能性添加剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項9】
前記液体ポリマーマトリクス溶液が、熱硬化性ポリマーを含み、前記熱硬化性ポリマーが、アルキドポリマー、アミノポリマー、エポキシポリマー、フェノールポリマー、ポリイミドポリマー、ポリウレタンポリマー、またはシランポリマーを含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項10】
前記液体ポリマーマトリクス溶液が、前記自己成形性繊維カバーの中に流れ込み、少なくとも部分的に前記自己成形性繊維カバーに浸出して、繊維強化複合材料を作り出すように構造化される、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項11】
前記液体ポリマーマトリクス溶液が、前記少なくとも1つの構造補強層の中に流れ込み、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの構造補強層に浸出して、多層の繊維強化複合材料を形成するように構造化される、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項12】
アルミニウム、繊維ガラス強化アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、およびスズからなる群から選択される、1つまたは複数の金属箔層または繊維強化金属箔層をさらに備える、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項13】
前記自己成形性繊維カバーに塗布され、硬化されるように構成されたカスタマイズ可能トップコートをさらに備え、前記カスタマイズ可能トップコートが、溶剤および乳化剤に溶かされる1つまたは複数の乾燥粉末ポリマーを含む、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【請求項14】
前記液体ポリマーマトリクス溶液が、硬化中に前記少なくとも1つの構造補強層と前記自己成形性繊維カバーの間に流れ込み、前記複合材料システムの層同士の間に機械的化学的結合を作り出す、請求項1に記載の複合材料絶縁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常、一般に、パイプおよびダクトを介した流体の運搬に関係する、産業用車両、自動車両、およびレクリエーション車両用途向けのカスタマイズ可能なパイプ絶縁(断熱)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業セクターおよび輸送セクターにおける絶縁パイプは、しばしば特定用途に特有のものであり、年間必要量が1年当たり1000ユニットを下回る、数量の少ないパーツであることが多い。多くの用途において、絶縁材(断熱材)は、特に所望のパイプ形状、およびその用途の特定の絶縁要件に向けて製造されるように要求される。通常、絶縁材は可撓性ではないか、または異なる形状に適合可能ではない。しばしば、絶縁材は、熱を絶縁し、パイプを保護し、審美的に許容可能であり、長期にわたって耐久性があることを要求される。現在の方法は、通常はパーツに特有の治工具、または手作業が集約的に用いられる組付け方法を必要とし、通常、1つまたは複数の区域において所望のレベルで機能しない。パイプ絶縁材は、適用の複雑さを抑えるためにパーツ全体にわたって均一であることが多いが、システム全体を通して示される熱損失は均一ではない。
【0003】
さらに、自動車配管および産業用配管は、通常、適切な出口点へと向けられるために、複雑な形状、減径部などを備え、任意の単一パーツは、固有のパーツであることが多い。現在は、配管形状の周りに絶縁材を形成するために、ブランケット、巻き付けられるかまたは成形されるパーツ、が利用されている。ブランケットは、通常、特定のパーツ向けにカスタムカットされ、スナップ、ジッパ、またはひもによって取り付けられる。巻き付けられた絶縁材は、しばしば巻き付けられた材料の複数の層を含み、これは極端に労働集約的である。成形されるパーツは、パーツに特有の治工具を必要とする、従来の複合材料、または金属箔で覆われたシステムである。
【0004】
繊維強化複合材料の製作は、マトリクスで繊維を湿らせ、混ぜ合わせ、または浸し、複合材料を固め、形成し、硬化するものである。繊維は、バルク形態で投入されても、布またはテープなど、束ねられて投入されてもよい。繊維は、繊維強化複合材料の不連続相である。マトリクスは連続相であり、しばしばポリマー材料をベースとしている。マトリクスで繊維を湿らせ、混ぜ合わせ、または浸すことは、固める前、または固めるかもしくは形成する間に材料を加えることを含めた、多数の方法によってなされ得る。繊維強化複合材料システムは、通常、外型を使用して、形状に合わせて形成され、固められ、外型は、再利用可能である場合もありそうでない場合もある。これらの用途では、所望の形状の金型が事前に作られる。繊維および樹脂が成形システムへと投入され、化学反応、熱、および/または圧力によって、繊維強化複合材料パーツが形成される。通常、これは真空バッグ成形、オートクレーブ成形、レジントランスファ成形、または圧縮成形によってなされる。
【0005】
繊維強化複合材料の成形では、金型の2つのパーツを、下型、他方を上型、と呼ぶのが都合がよいことが多い。いくつかの用途では、内型および外型と呼ぶことが都合がよい。下および上、ならびに内および外は、金型の構成を必ずしも説明しないが、互いに異なる面を指すために使用される。管状のパーツを成形する際、下型としての円筒形のマンドレル、および剛性の上型を有して、繊維強化複合材料をマンドレルの形状に形成することができる。
【0006】
形成されるパーツの真空バッグ成形は、通常は剛性の下型を必要とし、可撓性で空気を通さないフィルムシステムを上型として使用する。システムは気密封止され、硬化中に真空が引かれて、硬化中に複合材料を固める圧力を作り出す。
【0007】
オートクレーブ成形は、両方とも剛性の上型と下型を使用し、各パーツが、成形されるパーツの片側の面を作り出す。プロセスでは、繊維補強材およびマトリクスが金型プレート同士の間に入れられ、真空が引かれる。通常、熱および圧力を使用して、パーツを硬化させる。
【0008】
レジントランスファ成形(RTF)は、両方とも剛性の上型と下型を使用する。RTF成形では、繊維補強材が金型に入れられ、金型が閉じられる。閉じた金型にマトリクスが注入され、パーツが硬化される。
【0009】
圧縮成形は、加熱された金属金型にプラスチック材料が直接入れられて熱によって柔らかくされ、金型が閉じたとき、金型の形状に合わせられる形成プロセスである。圧縮成形は、割り当てられた量のプラスチックまたはゼラチン状物質が、金型にかぶせられるかまたは挿入された状態で始まる。その後、材料は、金型の中で、金型によって、柔軟な状態になるまで加熱される。その後すぐに、油圧プレスが、柔軟なプラスチックを金型に対して圧縮し、その結果、金型の内側表面の形状を保持して、成形された部品が得られる。圧縮成形は、複雑で高強度の繊維ガラス補強材を成形するのに適した、大容積で高圧の方法である。
【0010】
成形中の強い度合いの圧縮は、強度を最大化するためにボイドを最小限にして、強く固められた複合材料を作り出すことができるが、これは、必ずしも必要であるかまたは望ましいとは限らない。場合によっては、許容可能なレベルの性能が、強い度合いで固めることなしに達成され、コスト、製造の複雑さ、および時間などの他の特質が最適化される場合がある。熱または音の絶縁が望まれる用途では、実際、より大きい量のボイド体積が好ましい場合がある。
【0011】
これまで、繊維強化複合材料は、量が多い、かつ/または価格が高い用途に限定されてきた。成形機器のコストは、大量のパーツによって、または少量のパーツについては高い価格によって回収されなければならない。
【0012】
従来の繊維強化複合材料において要求される技術的知識および機器の結果として、繊維強化複合材料は、ほとんどの場合、非常に商売に長けた者によって利用されている。繊維強化複合材料がより使用しやすければ、繊維強化複合材料はより広範に適用されると想定され得る。
【0013】
最近では、多数の、巻き付けられる複合材料テープが開発されている。これらは、二つ割り金型の必要性を克服しているが、巻き付けられるテープは、不統一な圧縮、不均一な厚み、全長に沿った不連続な到達範囲、テープ縁部の弱さ、および外観不良を含めた、多数の問題の影響を受ける。
【0014】
繊維強化複合材料は、配管、ならびに従来のプラスチック配管および金属配管の補強材の両方として使用される。繊維強化複合材料パイプは、従来の成形技法および引抜成形によって生産され得る。従来のパイプは、最も一般的には、巻き付けることができる繊維強化複合材料で補強される。
【0015】
引抜成形は、強化繊維が液体ポリマー樹脂に浸されて成形され、加熱したダイを通って引っぱられてパイプなどの連続的なパーツを形成する、連続成形プロセスである。
【0016】
金属打抜き加工は、平坦な、またはロールにされた金属のシートが打抜き加工のプレス機に入れられ、ツールおよびダイの表面が互いに押圧されて、シート金属を所望の形状に形成するプロセスである。金属打抜き加工は、通常、パイプおよびダクトを絶縁する際に使用される金属箔カバーを形成するために使用される。
【0017】
これらの各成形作業は、金型、圧縮機器、または真空機器などの、特別な機器および製造能力を必要とし、通常は生産される製品ごとの特有のパーツを必要とする。このように、それぞれの様々な排出パイプ形状は、特有の金型のセットを必要とし、それぞれに相当な治工具コストを伴う。さらに、形状が変更されるごとに、新しい成形プレートのセットが作られなければならない。
【0018】
さらに、排出システムにおいて現在使用されている方法には、種々の制限がある。たとえば、絶縁カバーは、引っかけられた場合、容易に破れるかまたはほつれる傾向にある。樹脂繊維の加工により、顔料などの添加剤を含めることが不可能になる。樹脂繊維レオロジーは、樹脂繊維生産プロセスのレオロジーに限定される。さらに、システムを安定化し、補強するために使用され得る樹脂の量は、樹脂繊維によって限定される。
【0019】
したがって、種々のパイプ形状に簡単に適用し、かつ提供される絶縁のタイプおよびレベルに応じて簡単にカスタマイズすることができ、パイプに沿った可変絶縁の可能性を容易に提供し、マトリクスタイプの容易な修正、および絶縁システム内での分散を可能にし、トップコートを簡単に加えることを可能にし、パイプに固定するのが簡単で外型を使用することなしに硬化可能な、カスタマイズ可能、パイプ絶縁システムを提供することが望ましいはずである。
【発明の概要】
【0020】
本発明の実施形態は、対象部品に適合するように構造化される、カスタマイズ可能、自己成形性、繊維強化複合材料絶縁(断熱)システムであって、対象部品に構造的支持、絶縁(断熱)、または保護を提供するように構造化される、少なくとも1つの構造補強層と、少なくとも1つの構造補強層を包み、少なくとも1つの構造補強層の周り、かつ少なくとも部分的には対象部品の周りに、外力を加えることなしに圧迫を与えるように構造化される、自己成形性繊維カバーと、少なくとも部分的には対象部品上に位置決めされる、少なくとも1つの構造補強層および自己成形性繊維カバーに塗布されて硬化され、それによって繊維強化複合材料絶縁システムを形成するように構成された、液体ポリマーマトリクス溶液と、を備える、複合材料絶縁システムのための機器および方法を提供することにより、上記のニーズに応え、かつ/または他の利点を実現する。通常、いくつかの実施形態では、カスタマイズ可能、自己成形性、繊維強化複合材料絶縁システムは、個々のパイプに容易に適合することができ、または多数のパーツ形状において効率的に動作することができる。システムは、非常に可撓性である自己成形性カバーと、少なくとも1つの構造補強層または繊維性基層と、1つまたは複数の高度にカスタマイズ可能なマトリクスシステムと、任意選択のトップコートと、クランピング機構とを含み、これらすべては、外型を利用することなしに、単一のステップでパイプ上に形成され、パイプ上で硬化される。
【0021】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、少なくとも1つの構造補強層は、構造繊維(structural fiber)、樹脂繊維、および/または弾性繊維を含み、構造繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、および/または天然繊維を含み、樹脂繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET);ポリアミド(PA);ポリフェニレンスルファイド(PPS);ポリフェニレンオキサイドエーテル(PPE);ポリエチレンイミン(PEI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素ポリマー;および/またはエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)をベースとした繊維を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、少なくとも1つの構造補強層は、編組した繊維材料、編成した繊維材料、織成した繊維材料、および/または不織繊維材料を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、少なくとも1つの構造補強層は、ポリマー膜、金属膜、金属被覆ポリマー膜、箔、繊維強化膜、および/または繊維強化箔を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、自己成形性繊維カバーは、編組した繊維材料、編成した繊維材料、織成した繊維材料、および/または不織繊維材料を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、自己成形性繊維カバーは、構造繊維、樹脂繊維および/または弾性繊維を含み、構造繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、および/または天然繊維を含み、樹脂繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET);ポリアミド(PA);ポリフェニレンスルファイド(PPS);ポリフェニレンオキサイドエーテル(PPE);ポリエチレンイミン(PEI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素ポリマー;および/またはエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)をベースとした繊維を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクス溶液は、有機溶剤または無機溶剤中に、粉末熱可塑性ポリマーの分散物を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクス溶液は、界面活性剤、乳化剤、分散剤、レオロジー改質剤、および機能性添加剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクス溶液は、熱硬化性ポリマーを含み、熱硬化性ポリマーは、アルキドポリマー、アミノポリマー、エポキシポリマー、フェノールポリマー、ポリイミドポリマー、ポリウレタンポリマー、またはシランポリマーを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクス溶液は、自己成形性繊維カバーの中に流れ込み、少なくとも部分的に自己成形性繊維カバーに浸出して、繊維強化複合材料を作り出すように構造化される。
【0030】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクス溶液は、少なくとも1つの構造補強層の中に流れ込み、少なくとも部分的に少なくとも1つの構造補強層に浸出して、多層の繊維強化複合材料を形成するように構造化される。
【0031】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料絶縁システムは、アルミニウム、繊維ガラス強化アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、およびスズからなる群から選択される、1つまたは複数の金属箔層または繊維強化金属箔層をさらに備える。
【0032】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料絶縁システムは、自己成形性繊維カバーに塗布され、硬化されるように構造化されるカスタマイズ可能トップコートをさらに備え、カスタマイズ可能トップコートは、溶剤および乳化剤に溶かされる1つまたは複数の乾燥粉末ポリマーを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクス溶液は、硬化中に少なくとも1つの構造補強層と自己成形性繊維カバーの間に流れ込み、複合材料システムの層同士の間に機械的化学的結合を作り出す。
【0034】
いくつかの実施形態では、複合材料システムは、レクリエーション用自動車両、ならびに産業用のパイプおよび排出システムを断熱するために使用される。したがって、システムは、パイプの内容物の内部の熱を保つ助けになり得る。さらに、システムは、パイプもさび、腐食、および損傷から保護しながら、周囲の部品をパイプの極端な温度から保護することができる。断熱用途には、排出断熱カバー、パイプ断熱カバー、(タービンカバーなどの)機械またはエンジンのカバー、銃身カバーなどが含まれ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、複合材料絶縁システムは、構造的用途でも使用される場合があり、この場合、複合材料システムは、システムの構造荷重を増す、または支えるために使用される。これらの用途では、加工後、内型は残されてもよく、取り外されてもよい。この用途の例には、管路系統、HVAC管路、流体移送パイプ、および冷却管などの、低強度パイプのパイプ補強が含まれる。
【0036】
いくつかの実施形態では、複合材料システムは、高温流体または低温流体を運ぶ産業用のパイプおよびダクトを断熱して熱を保持し、熱から絶縁し、作業員および環境を保護するために使用される。流体には、液体、気体、そのいずれかの混合物、およびそのいずれかまたは両方と固体との混合物が含まれ得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、複合材料システムは、被覆作業で使用され得る。このように、自己成形性複合材料システムにより、天候、摩耗、鈍力などの外からの損傷から、内部部品をしっかりと保護することが可能になる。
【0038】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料システムは、断熱材料、構造補強材料、および/またはカバー材料の管状層を備えることができる。管状部材には、縫い目があってもよく、縫い目がなくてもよい。他の実施形態では、層は、材料の裁断および縫製によって、または他のボンディング方法によって製作されて、自己成形性システムを作り出すことができる。さらに他の実施形態では、材料は、形状に合わせて製作され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料システムは、絶縁されるかまたは覆われるものと互いに隣り合うようにあてがわれる、少なくとも1つの繊維性基層または構造補強層も含んでもよい。基層または構造補強層は、編組した繊維、編成した繊維、織成した繊維もしくは不織繊維、またはその他の方法で形成された繊維をベースとした基材でもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の基層または構造補強層が追加されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、局所的な絶縁特性を向上させるために、局所的な絶縁層が組み付けられてもよい。局所的な絶縁材は、パイプまたはダクトに隣接してもよく、他の構造補強層/基層同士の間にあってもよく、構造補強層/基層とカバーの間にあってもよい。局所的な絶縁層は、不織繊維性材料でも、織成した繊維性材料でも、編成した繊維性材料でも、編組した繊維性材料でも、他の繊維性材料でもよく、パイプまたはダクトの全体的な到達範囲より小さい任意のサイズでもよい。局所的な絶縁材は、接着および/または組付けの助けになる材料を含んでもよい。局所的な絶縁材は、マトリクス、または他の添加剤を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料システムは、編成したカバーなどの自己成形性繊維カバーを含んでもよい。自己成形性繊維カバーは、構造繊維、弾性繊維、および/または樹脂繊維を含んでもよい。自己成形性繊維カバーは、所望の用途に応じて、0%から75%の間の樹脂繊維を含んでもよい。自己成形性繊維カバーは、0%から10%の間の弾性繊維を含んでもよい。自己成形性繊維カバーの布の内部層は、硬化中に変形して、1つまたは複数の下にある層にはめ込まれる「フック」を作り出すように設計され得る。通常、自己成形性繊維カバーは、弾性でばねのようであり、その元の形状に向かって付勢されて、外力を加えることなしに、少なくとも1つの構造補強層の周り、および少なくとも部分的には対象部品の周りに圧迫を与える。具体的には、自己成形性繊維カバーは、その元の形状から広げられて、対象部品、および対象部品上の構造補強層の寸法に嵌合するかまたはそれを包むことができるが、その元の形状に向かって付勢されることになり、したがって、包まれている少なくとも1つの構造層および対象部品の周りに圧縮力が提供される。自己成形性繊維カバーは、種々の組合せで、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、天然繊維、金属繊維、鉱物繊維、および/またはポリマーをベースとした繊維を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、カバーは、編組した材料、織成した材料、もしくは不織材料、または2つ以上のこれらの材料の任意の組合せを含んでもよい。カバー材料は、形状に合わせて形成され、硬化中、その構造的一体性を保つ。カバーは、構造繊維、弾性繊維、および/または樹脂繊維を含んでもよい。カバーは、種々の組合せで、ガラス繊維、セラミック繊維、天然繊維、金属繊維、鉱物繊維、および/またはポリマーをベースとした繊維を含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、自己成形性、繊維強化複合材料システムは、化学的かつ/または物理的に互いに結合され得る、カバーと、繊維材料の1つまたは複数の基層または構造補強層とを備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、覆われている構造的要素に隣接して、箔または繊維強化箔の、もう1つの層が存在してもよい。腐食性の環境に露出される高温用途では、これによってパイプまたはダクトの腐食が軽減される可能性がある。この層は、加熱および冷却の間、最小限の膨張および収縮を示す非常に小さいボイド空間を有することになり、これは、熱サイクル中の流体の移送を最小限にし得る。箔層は、物体とマトリクスの間の防壁も形成することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、絶縁を改善するために、他の層同士の間に箔の層が存在してもよい。箔層は、システムの振動による摩耗から絶縁材を保護することもできる。
【0046】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、熱絶縁特性または保護特性を改善するために、外側層は、箔層でもよい。これらの用途では、カバーおよび箔層は、自己成形性であることになる。
【0047】
いくつかの実施形態では、複合材料システムの1つまたは複数の層には、マトリクスが浸出してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、少なくとも1つの構造補強層または基層には、マトリクスが浸出してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクスは、複数の層において同じ組成を有してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクスは、異なる層では異なる組成を有してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクスは、溶液、分散物、エマルジョンとして塗布されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクスは、粉末熱可塑性ポリマーおよび1つまたは複数の界面活性剤または添加剤からなる、熱可塑性溶剤型ポリマー溶液として塗布されることになる。粉末熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタラート(PET);ポリアミド(PA);ポリフェニレンスルファイド(PPS);ポリフェニレンオキサイドエーテル(PPE);ポリエチレンイミン(PEI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素ポリマーのうちの1つまたは複数を含んでもよいが、これらに限定はされない。溶剤は、有機溶剤でも無機溶剤でもよい。熱可塑性溶液は、1つまたは複数の機能性添加剤を含んでもよい。さらに、熱可塑性溶剤型ポリマー溶液は、材料の1つまたは複数の層の中に流れ込む。通常、ポリマー繊維は、ポリマーを引き込んで繊維を紡ぐのを可能にするために、特定の粘度をもつポリマーを含む。しかし、繊維を使用するのとは異なって、このシステムでは粉末ポリマーを使用することにより、ポリマーメルトフローインデックス(「MFI」)を操作することが可能になり、繊維において可能なMFI範囲よりも、MFI範囲を広くすることが可能になる。いくつかの実施形態では、複合材料システムの層同士の間を溶融ポリマーが簡単に流れるようにするために、MFIの高い粉末ポリマーが使用される。さらに他の実施形態では、機械的強度を高めるために、MFIの低い粉末ポリマーが使用される。
【0053】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、安定した溶液を形成するのを助けるために、種々の乳化剤が溶剤型ポリマー溶液に加えられてもよい。例示的な乳化剤には、アニオン系界面活性剤(たとえば硫酸塩、スルホン酸塩、およびサクロサイド(sacrocide))、非イオン系界面活性剤(たとえばポリエチレングリコール(Triton X−100)、エトキシル化直鎖アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、脂肪酸エステル、アミンおよびアミド誘導体など)、カチオン系界面活性剤(たとえば直鎖アルキルアミンおよびアルキルアンモニウム、エステルアミド、エーテルアミン、オキシアミンなど)、両性界面活性剤(たとえばプロピオン酸、四級化化合物)、フッ素系界面活性剤(たとえばペルフルオロ化カルボン酸塩およびスルホン酸塩)などが含まれる。
【0054】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、液体ポリマーマトリクスは、熱硬化性ポリマー溶液として塗布されてもよい。熱硬化性ポリマーは、アルキド、アミノ、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ケイ酸塩、またはシランのうちの1つまたは複数を含んでもよい。熱硬化性ポリマー溶液は、1つまたは複数の有機溶剤または無機溶剤を含んでもよい。熱硬化性ポリマー溶液は、1つまたは複数の機能性添加剤を含んでもよい。さらに、熱可塑性溶剤型ポリマー溶液は、材料の1つまたは複数の層の中に流れ込む。
【0055】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクス溶液は、組付け後、複合材料システムの層のうちの1つまたは複数に、噴霧されてもよく、ブラシで塗られてもよく、コーティングされてもよく、ローラーで塗布されてもよく、浸漬されてもよく、その他の方法で塗布されてもよい。マトリクスは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー材料、熱硬化性ポリマー材料、または他のポリマー材料を含んでもよい。溶剤は、有機溶剤でもよく、無機溶剤でもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクス溶液は、組付けの前に、層のうちの1つまたは複数に組み込まれてもよい。マトリクスは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー材料、熱硬化性ポリマー材料、または他のポリマー材料を含んでもよい。溶剤は、有機溶剤でもよく、無機溶剤でもよい。
【0057】
他の実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクス溶液は、浸漬、ブラシ、スプレー、またはこれらに類する方法で、完成したパーツに塗布される。浸透率は、化学的組成、表面張力、機械的力、振動、乱流および/または槽に導入される超音波によって制御される。
【0058】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、マトリクスは、2つ以上の層を通って流れ、複合材料の界面区域を作り出すことになる。界面区域は、界面区域へと延在するかまたは界面区域を横切る片方または両方の層からの繊維を有してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料の表面は、カスタマイズ可能トップコートを含んでもよい。カスタマイズ可能トップコートは、熱可塑性ポリマーもしくは熱硬化性ポリマーをベースとしたシステムでもよく、他の適した材料でもよい。カスタマイズ可能トップコートは、1つまたは複数の機能性添加剤も含んでよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の機能性添加剤が、マトリクスまたはトップコートに加えられてもよい。機能性添加剤には、着色剤、耐摩耗性を改善する添加剤、難燃性添加剤、表面張力改質剤、フィラー、強度添加剤、ベントナイトクレイなどのガラス転移点改質剤、赤外反射セラミックスなどの熱的保護のための添加剤、および/または二酸化チタンなどの、複合材料システムに種々のテクスチャ、または目に見える外観を作り出すための添加剤が含まれ得るが、これらに限定はされない。他の添加剤には、潤滑剤、UV安定剤、抗菌剤、酸化防止剤などが含まれ得る。着色剤には、高温セラミック顔料、金属顔料、クレイアース顔料、炭素顔料、合成顔料、ならびにポリマーシステムに色および/または様々なレベルの不透明度を与える他の顔料が含まれるが、これらに限定はされない。摩耗からの保護を改善する添加剤には、酸化鉄、セラミックス、ケイ酸塩、および金属が含まれ得るが、これらに限定はされない。難燃性添加剤には、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、塩素化化合物、酸化アンチモンおよび有機リン化合物が含まれ得るが、これらに限定はされない。フィラーには、ガラスビーズ、フュームドシリカ、パルプ、クレイ、シリカ、タルク、珪藻土、石灰、および他の不活性材料が含まれ得るが、これらに限定はされない。表面張力改質剤には、フルオロカーボン、湿潤剤、およびシリコーンが含まれ得るが、これらに限定はされない。強度添加剤には、粉砕した炭素繊維、ガラス、金属、およびアラミド繊維が含まれ得るが、これらに限定はされない。
【0061】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、組付けが完了した後で、システムを硬化させるために、パーツに熱が加えられる。熱により、複合材料システムの硬化が容易になる、かつ/または早まる場合がある。また、熱により、層の中、また層同士の間を、ポリマーが流れやすくなる場合がある。
【0062】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、完成したパーツは、硬化を促進するために、炉に入れられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、最終用途での必要に応じて硬化前にあてがわれる成形プレートによって、外面の成形フィーチャがシステムに成形されてもよい。外面の成形フィーチャは、隙間のための平らな区域、ポート用の穴、および他のフィーチャを含んでもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、外面の成形フィーチャは、硬化後に、完成したパーツに成形されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、または上記の実施形態のいずれかとの組合せにおいて、複合材料絶縁システムは修繕可能である。したがって、システムがすり減る、裂けるなどした場合、システムは、複合材料絶縁材を取り替えることなく、容易に修繕可能であり得る。さらに、自己成形性複合材料システムは、任意のタイプの絶縁材または被覆システムの損傷の修繕箇所として働き得る。このように、修繕箇所を仕上げるために、修繕用混合剤が、組付け者またはエンドユーザに提供されてもよい。混合剤は、熱可塑性ポリマー溶液でもよく、熱硬化性ポリマー溶液でもよい。熱可塑性システムは、無機溶剤または有機溶剤に溶かされるかまたは分散される、結晶形または半結晶形の1つまたは複数の乾燥粉末ポリマーを含んでもよい。物理的に、かつ審美的に許容可能な修繕箇所を生み出すために、添加剤が修繕用混合剤に含められてもよい。添加剤は、マトリクス添加剤のいずれかを含んでもよい。このように、組付け者またはエンドユーザは、修繕用混合剤がシステムの損傷した区域を埋めて覆うように、ブラシ、ローラー、こて、スプレーなどによって修繕用混合剤を塗布することができる場合がある。修繕用混合剤が塗布されると、修繕用混合剤を硬化させるために熱が加えられ得る。熱は、ヒートガン、炉などによって加えることができる。硬化中、修繕用混合剤は絶縁体の種々の層に流れ込み、それらを互いに融着させて、絶縁体に作り出された損傷を修復することができる。
【0066】
当業者には理解されるように、実施される絶縁および/または被覆作業に基づいて所望される、熱特性、通気性、摩耗特性、外観などの用途要件に基づいて、複合材料システムの1つまたは複数の層の任意の組合せが利用されてもよい。
【0067】
本発明の実施形態は、樹脂をベースとした繊維を含む場合もあり含まない場合もある、繊維補強材の任意選択の構造補強層または基層と、材料に事前に塗布されてもよく、組付けの間または後に塗布されてもよい、ポリマーをベースとしたマトリクスと、外力を加えることなしに固まるのを可能にする、樹脂繊維を含む場合もあり含まない場合もあるカバーとを備える複合材料システムを提供するための機器および方法に関する。
【0068】
論じられてきた特徴、機能、および利点は、本発明の種々の実施形態において単独で実現されても、さらに他の実施形態と組み合わせられてもよく、それらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解され得る。
【0069】
このように、一般的な用語で本発明の実施形態を記載してきたが、ここで、添付図面が参照されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システムの斜視図である。
【
図2】本発明の種々の実施形態による、界面層およびトップコートを備えた複合材料絶縁システムの切欠き斜視図である。
【
図3】本発明の種々の実施形態による、減径パイプの周りの複合材料絶縁システムの斜視図である。
【
図4】本発明の種々の実施形態による、編組したカバーを有する複合材料絶縁システムの斜視図である。
【
図5】本発明の種々の実施形態による、クランプを有する複合材料絶縁システムの端面図である。
【
図6a】本発明の種々の実施形態による、複合材料システムの断面図である。
【
図6b】本発明の種々の実施形態による、複合材料システムの断面図である。
【
図6c】本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システムの断面図である。
【
図6d】本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システムの断面図である。
【
図7】本発明の種々の実施形態による、複合材料システムの硬化プロセスの断面図である。
【
図8a】本発明の種々の実施形態による、自己成形性、繊維強化複合材料システムの斜視図である。
【
図8b】
図8aの自己成形性、繊維強化複合材料システムの断面図である。
【
図9a】本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システムの切欠き図である。
【
図9b】本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システムの切欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
ここで、本発明の、すべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明の実施形態が、これ以降より詳細に記述されることになる。実際、本発明は多くの様々な形態で具体化することができ、本明細書に述べられる実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満足させることになるように提供されている。可能な場合には、そうでないことが明確に述べられていなければ、本明細書において単数形で表されている任意の用語は、複数形の語も含むことが意図されており、逆も同様である。また、「1つまたは複数の」という語句も本明細書で使用されるが、本明細書において使用される「a」および/または「an」という用語は、「1つまたは複数の」を意味するものとする。さらに、本明細書において、何かが何か別のものに「基づく」と言われるとき、それは1つまたは複数の他のものにも基づいていてもよい。言い換えれば、そうでないことが明確に述べられていなければ、本明細書において使用される「基づく」は、「少なくとも一部では基づく」、または「少なくとも部分的に基づく」を意味する。全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0072】
本明細書に提示される実施形態は、1つまたは複数の対象部品のための絶縁材、構造的支持体、被覆および/または保護手段として使用するために構造化される複合材料絶縁システムを対象とする。本明細書において使用される「対象部品」は、絶縁材(断熱材)、構造的支持体/補強材、被覆を要する、またはその他の方法で保護されることを必要とする、機械部品、構造部材、機械的システム/部品を指すことができる。いくつかの実施形態では、対象部品は、適した断面および直線軸/曲線軸を有する中空管状部材、パイプ、ダクト、ホース、円筒形/管状部分、中空部材;配管組立体に使用される継手部材;配管組立体に利用されるバルブなどである。いくつかの実施形態では、対象部品は、流体(液体、気体)、流動化された固体、スラリーなどの流れを運搬し、運び、輸送し、送り出し、制御し、かつ/または調整するように構成される。いくつかの実施形態では、対象部品は、産業用途および適した加熱/冷却システムで使用するように構成される、移送パイプおよび移送ダクト、加熱冷却ライン、流体供給ラインおよび蒸気ラインを指す場合がある。いくつかの実施形態では、対象部品は、排出システム、エンジン冷却管、空気取入れシステム、および他の自動車用途において利用されるように構成される。たとえば、対象部品は、ある場所から別の場所に排出ガス(または他の流体)を運ぶように構成される中空管状部材またはパイプを備える排出部品でもよい。別の例として、対象部品は、産業用途で、または建物内で、流体を運搬するように構成される、パイプまたはパイプ組立体/継手部品でもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書において使用される複合材料絶縁システムは、1つまたは複数の対象部品、あるいは1つまたは複数の対象部品の外表面の少なくとも一部に提供されるように構造化される複合材料絶縁材またはカバーを指すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書において使用される、複合材料絶縁システムは、絶縁される対象部品の少なくとも一部に提供される複合材料絶縁材またはカバーを備える、絶縁された対象部品を指すことができる。この点に関連して、複合材料絶縁システムは、組立ての前、間、もしくは後、かつ/または対象部品に提供される、絶縁される複合材料を処理/加工/硬化する前、間、もしくは後の、絶縁される対象部品を指す場合がある。本明細書において使用される絶縁材は、対象部品の熱絶縁材、対象部品の構造的支持体/補強材、対象部品を周囲環境/動作条件から保護するための対象部品の1つもしくは複数の表面の被覆、エネルギー消費量最適化のための被覆、音響絶縁材、および/または電気絶縁材を指す場合がある。通常、複合材料絶縁システムは、熱伝導、熱放射、または対象部品と対象部品によって運搬または輸送される流体との間の熱伝達全般を調整するための熱絶縁材に用途を見いだす。しかし、複合材料絶縁システムは、対象部品と周囲のものとの間の熱伝達も調整し得る。
【0074】
本明細書に述べられる複合材料絶縁システムは、種々の用途で使用されてもよく、また排出絶縁カバー、パイプ絶縁カバー、(タービンカバーなどの)機械またはエンジンのカバー、剛性の防火壁パネル、銃身カバー、熱硬化性複合材料布帛の布、上記のものに関連付けられるパッチなどを含めた種々の対象部品に使用されてもよい。複合材料絶縁システムは、自動車両、産業用車両、居住用車両、レクリエーション車両の配管および管路を絶縁するように構成されてもよい。複合材料絶縁システムの自動車用途には、排出システム、エンジン冷却管、および空気取入れシステムが含まれる。ここでは、絶縁材は、排出ガスの高温を保って燃焼を効率的にするため、熱を保って内部排出システムの動作を効率的にするため、周囲の/隣り合う部品を保護するため、かつ/またはパイプに接触する可能性のある人々を保護するために、排出システムに使用されてもよい。本発明の産業用途には、排出ガス、ならびに高温流体または低温流体の絶縁が含まれ得る。
【0075】
具体的には、本発明の複合材料絶縁システムは、排出システムおよび高温流体に関係する他の用途のように、高温で動作する、かつ/または大幅な温度の変動を伴って動作する対象部品/用途と共に使用されるときに、持ちこたえて構造的一体性を保つように構造化される。複合材料絶縁システムは、極端な環境条件に耐えるようにも構造化され、さびおよび腐食、変形、摩耗および疲労、表面の劣化、割れ、ならびに/または他の損傷から対象部品を守る、またはこれらを最小限にするようにも構造化され得る。さらに、複合材料絶縁システムは、対象部品自体の高温から、また対象部品から放射される高温流体から、周囲の装置/部材を保護するように構造化され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、複合材料絶縁システム、具体的には複合材料絶縁材またはカバーは、マスカスタマイズ可能で、可撓性で適合可能であり、形状、外形、サイズ/寸法、動作条件および絶縁要件の異なる種々の対象部品を絶縁するように構成され得る。通常、このカスタマイゼーションは、複合材料絶縁材および対象部品の組立ての前、間、および/または後に実現され得る。さらに、いくつかの実施形態では、複合材料絶縁システムは、自己成形性、繊維強化複合材料絶縁材である。通常は、複合材料絶縁材は、少なくとも1つの構造補強層(いくつかの場合には1つまたは複数の構造補強層とも称される)を備える。いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材は、マトリクス層をさらに含んで、剛性および強度を与え、かつ/または1つまたは複数の構造補強層の接着、結合または連結を実現する。さらに、いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材は、圧縮強度を与えるように構造化される外側カバー層または外側構造補強層を含み、その結果、対象部品上で複合材料絶縁材構造体を固めるために外型は必要でない。このような実施形態では、複合材料絶縁システムが処理されるかまたは硬化されるとき、複合材料絶縁材および複合材料マトリクスの層は、接着性の複合材料になり得る。
【0077】
このような一実施形態では、本発明の複合材料絶縁システムは、個々の対象部品に容易に適合され得る、または多数のパーツ形状において効率的に展開できる、カスタマイズ可能、自己成形性、繊維強化複合材料絶縁システムである。この点に関連して、複合材料絶縁システムは、対象部品(たとえばパイプまたはダクト)に提供され、外型を必要とすることなく対象部品上で処理/硬化される、高度に可撓性の自己成形性カバー、少なくとも1つの構造補強層、1つまたは複数の高度にカスタマイズ可能なマトリクス層または液体ポリマーマトリクス溶液、トップコート、および/またはクランピング機構を備えることができる。この革新的なシステムでは、複合材料絶縁材の2つ以上の層は、界面マトリクス層を介して互いに融着されて、対象部品の周りに剛性の層/カバーを提供することができる。
【0078】
ここで、複合材料絶縁システムおよびその実施形態が、
図1〜
図8に関連して詳細に述べられることになる。
図1は、本発明の種々の実施形態による複合材料絶縁システム10の斜視図を示す。
図1に示される実施形態では、複合材料絶縁材は、対象部品30の外側に適合される。いくつかの実施形態では、対象部品30は、排出パイプなどのパイプ30でもよい。ここでは、パイプ30は内型として働くことができる。断面が円形のパイプとして示されているが、対象部品30は、任意の適した多角形断面、または曲線断面を備えてもよい。したがって、対象部品30またはパイプは、直線軸または湾曲軸に沿って延在する、適した長さの中空管状部材であり得る。さらに、対象部品の軸に対して垂直に画定される対象部品30の断面は、その長さの全体にわたって一定でもよく、断面の寸法および/または形状が、対象部品30の長さに沿って可変であってもよい。通常、パイプ30などの対象部品30は、厚みTだけ隔てられる、外表面30aと内表面30bとを備えることができる。外表面30aは、対象部品30の周囲に向かって、外側に位置付けられ得る。一方、反対側の内表面30bは、流体用の導管を形成することができる。対象部品30と呼ばれているが、対象部品30は、1つまたは複数のパイプ、パイルフィリング(pile filling)などの、1つまたは複数の対象部品30を指してもよいことが理解される。
【0079】
複合材料絶縁システム10は、対象部品30の外表面30aに隣り合って位置決めされる複合材料絶縁材20をさらに備える。しかし、所望の用途に基づいて、複合材料絶縁材20は、外表面30aの少なくとも一部、内表面30bの少なくとも一部、ならびに/または対象部品30の外表面および内表面を終端させる側面の少なくとも一部に位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材20は、1つまたは複数の対象部品30の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0080】
最後に、
図1によって示されるように、複合材料絶縁システム10は、対象部品30の一部分/一部の上に複合材料システムをしっかりと保持するように構成され得る、クランプ40や他の固定手段などの締結部材をさらに備えることができる。クランプ40は、ねじもしくはラチェットで締め付けられるクランプ、バンドクランプ、クリップ、ロープ、または他の締結手段でもよい。さらに他の実施形態では、クランプ40は、複合材料絶縁材20をクランプ40と対象部品30の間に挟んだ状態で、対象部品30の周りにワイヤが撚り掛けられ、あるいは、締め付けられてもよい。要件に基づいて、任意の数のクランプ40が利用されてもよい。クランプ40は、たとえば、対象部品30に位置決めされる複合材料絶縁材20の外層に、複合材料絶縁材20の処理/硬化の前、間、または後で位置決めされ得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材20の目に見える外層は、編成したカバーや編組したカバーなどの自己成形性繊維カバーと、その上で硬化される任意選択のカスタマイズ可能トップコートとを含むことができる。自己成形性繊維カバーは、少なくとも1つの構造補強層を包むように構造化され、外力を加えることなしに、少なくとも1つの構造補強層の周り、および少なくとも部分的には対象部品の周りに圧迫を与える。通常、自己成形性繊維カバーは、弾性を有し、バネのように、その元の形状に向かって付勢されて、外力を加えることなしに、少なくとも1つの構造補強層の周り、および少なくとも部分的には対象部品の周りに圧迫を与える。具体的には、自己成形性繊維カバーは、その元の形状から広げられて、対象部品、および対象部品上の構造補強層の寸法に嵌合するかまたはそれを包むことができるが、その元の形状に向かって付勢されることになり、したがって、包まれている少なくとも1つの構造層および対象部品の周りに圧縮力が与えられる。編成したカバーや編組したカバーなどの自己成形性繊維カバーは、丸編成または経編成によって形成され得る。自己成形性繊維カバーは、必要とされるサイズに編成されてもよく、より大きいサイズに編成され、必要とされる寸法に裁断され縫製されてもよい。いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材20の目に見える外層は、編組したカバーを備える自己成形性繊維カバーと、その上で硬化される任意選択のカスタマイズ可能トップコートとを含む。編組したカバーは、必要なサイズに編組されてもよく、より大きいサイズに編組され、必要とされる寸法に裁断および縫製されてもよい。いくつかの実施形態では、目に見える外層は、織成した材料でもよい。いくつかの実施形態では、目に見える外層は、不織材料でもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材20の目に見える外層は、繊維パルプ、フュームドシリカ、酸化鉄などの、追加的な摩耗保護のための1つまたは複数の添加剤、パーライトやバーミキュライトなどの、熱的保護のための添加剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの、ほこりが蓄積するのを防止するためのノンスティック添加剤、ガラス球などの、種々のテクスチャを作り出すための添加剤、高温セラミック着色顔料などの、目に見える外観のための添加剤、および/または金属、粉砕した繊維、炭素繊維などの、追加的な強度のための添加剤を含む、カスタマイズ可能トップコートを備えてもよい。
【0083】
図1に示される実施形態は、(カスタマイズ可能トップコートと編成したカバーとを含み得る)複合材料絶縁材20を示すが、複合材料システムは、任意の構成を含んでもよく、種々の異なる用途に使用されてもよいことが理解されよう。
【0084】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、複合材料絶縁システム50の切欠き斜視図を示す。複合材料絶縁システム50の対象部品30、クランプ40、および複合材料絶縁材20は、
図1に示される複合材料絶縁システム10に関して述べられるものと実質的に同様であり得るが、この描写は、本発明の多くの実施形態のうちの1つを詳細に説明する。
図2は、複合材料絶縁材20の切欠き図もさらに含む。先に述べられたように、複合材料絶縁材は、少なくとも1つの構造補強層、1つまたは複数の界面マトリクス層(たとえば、少なくとも部分的には対象部品上に位置決めされ、その上で硬化される、少なくとも1つの構造補強層および自己成形性繊維カバーに液体ポリマーマトリクス溶液を塗布することによって形成される)、カバー、および/またはトップコートを備えることができる。
図2は、基層60または基部構造補強層60と、編成したカバー80または第2の構造補強層と、基層60と編成したカバー80の間の界面マトリクス領域70と、編成したカバー80の上に提供されるトップコート90とを有する複合材料絶縁材20を示す。基層60は、単一の編組した基層60でもよく、編成した層60でもよい。編成したカバー80が言及されているが、カバー80は、編組したカバーを備えてもよいことが理解される。
【0085】
いくつかの実施形態では、基層60は、絶縁の目的で、eガラス、sガラス、バサルト、シリカ、酸化ポリアクリロニトリル、炭素繊維、鉱物、および/またはセラミック材料を含むがこれらに限定はされない、高温耐熱材料から作られてもよい。これらの各耐熱材料は、複合材料絶縁システムの用途要件に応じて使用され得る。具体的には、各材料は、用途に応じて、より高い連続動作温度、および/またはより低い連続動作温度での使用について評価され得る。
【0086】
編組した構造体は、通常は編成した材料または織成した材料よりも厚みのある形を出すことができるので、いくつかの実施形態では、(単一の編組した層または複数の編組した層などの)編組した構造体が、基層60に使用されてもよい。さらに、編組した構造体により、パイプ湾曲部などの対象部品30の周りでの容易な作業が可能になる。たとえば、組付けの際、編組した層を排出パイプ30の長さに沿って伸ばすことにより、編組した層が、直線部分および曲線部分に沿って、パイプ30、または任意の下にある層の周りに締め付けられる傾向にある。
【0087】
いくつかの実施形態では、基層60または構造補強層60には、カバー80と同じ界面マトリクス溶液が浸出し、界面マトリクス領域70が、処理/硬化の間、かつ/またはその後に、それらの間に形成される。液体ポリマーマトリクス溶液は、少なくとも部分的には対象部品上に位置決めされる少なくとも1つの構造補強層および自己成形性繊維カバーに塗布され、硬化されて、それによって界面マトリクス領域70を有する繊維強化複合材料絶縁システムを形成するように構造化される。界面マトリクス領域70は、マトリクスが浸出した層60と層80の間に、連続的なマトリクスを形成することができる。界面マトリクス溶液を塗布した後は、マトリクスが浸出した基層60およびマトリクスが浸出した編成したカバーも、繊維性層と呼ばれる。層60と層80の間のこの界面マトリクス領域70により、連続的なマトリクスを全体にわたって有する、浸出した繊維性層を備える2つの構造補強層(60、80)と、2つの繊維性層(60、80)の間の界面マトリクス領域とを含む、多層複合材料絶縁材20が作り出される。このように、界面マトリクス領域70は、たとえば対象部品30の外表面30aと基層/繊維性層60との間、基層60と繊維性層80の外表面の編成したカバー/繊維性層80との間など、補強層/繊維性層と界面マトリクスとの任意の界面において形成され得る。
図2に示される、浸出した基層60と編成したカバー80との間の界面マトリクス領域70は、繊維性層60と繊維性層80を接合する機能を果たす。
【0088】
いくつかの実施形態では、基層60には、カバー80とは異なるマトリクスが浸出してもよい。異なるマトリクスシステムが、最終使用目的に応じて使用され得る。高温用途では、基層60がパイプまたはダクトに最も近いところにあるので、基層60には、高温耐熱マトリクスが浸出してもよい。低温用途では、基層60には、低温可撓性マトリクスが浸出してもよい。様々なマトリクスシステムの組成に応じて、界面層70は存在しても存在しなくてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、界面マトリクス溶液は、基層60および/または編成したカバー80に、噴霧される、ブラシで塗られる、コーティングされる、ローラーで塗布される、浸漬される、またはその他の方法で塗布される。さらに他の実施形態では、マトリクス溶液は、基層60および編成したカバー80の組付けの前に、基層60および/または編成したカバー80に一体化される。さらに他の実施形態では、界面マトリクス層70は、ブラシで塗る、噴霧する、または浸漬することによって層90から外側に塗布されたマトリクス溶液を拡散することによって実現される。
【0090】
いくつかの実施形態では、複合材料絶縁材50に使用される液体界面マトリクス溶液は、熱可塑性でもよく、他の実施形態では、熱硬化性ポリマー溶液でもよい。いくつかの実施形態では、液体界面マトリクス溶液は、熱可塑性溶液と熱硬化性溶液の両方を含んでもよい。液体界面マトリクス溶液は、多数の機能性添加剤も含んでもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、編成したカバー80などの自己成形性繊維カバーは、基層60にかぶさって基層60を包む編成した布からなり、また圧迫を与えるように構造化され、硬化/処理中、また対象部品の動作中、その構造的一体性を保つように構成される。加えて、
図2にさらに示されるように、複合材料絶縁システムは、カスタマイズ可能トップコート90をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、カスタマイズ可能トップコート90は、ポリマーをベースとしたシステムでもよい。ポリマーをベースとしたトップコートは、熱可塑性ベースのシステムでもよく、熱硬化性ベースのシステムでもよい。
【0092】
処理/硬化されるとき、カスタマイズ可能トップコート90の一部は、場合によっては、複合材料システムの、下にある層へと流れ、それによって機械的かつ化学的に互いに結合された層を提供し、剛性の層をなした複合材料を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、カスタマイズ可能トップコート90の少なくとも一部は、硬化後も、依然として編成したカバー80上に見ることができる。したがって、所望の用途に基づいて、追加的な摩耗保護、強度、ノンスティック機能、および他のテクスチャを有する、カスタマイズ可能な外観または外側層が実現され得る。ワイヤツイストバンドなどの他の取付け手段が使用されてもよいが、いくつかの実施形態では、処理/硬化の前、間、または後で複合材料システムをパイプ10に付けるために、ステンレス鋼のバンドクランプなどのクランプ40が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、クランプは必要でない。
【0093】
図3は、本発明の種々の実施形態による、減径パイプ110または対象部品110の周りの複合材料絶縁システム100の斜視図を示す。図示されるように、90度に曲がった減径パイプ110が提供される。曲がった減径パイプ110は、そこに取り付けられる複合材料絶縁材120を含む。図示されるように、自己成形性複合材料絶縁材120の層は、曲がった減径パイプ110にはめられ、湾曲部の内側に材料が盛り上がることがないように、かつ減径箇所に材料が盛り上がることがないように締め付けられ得る。
図3に示される実施形態では、たとえば、パイプ110の大きい方の開口140は、6インチ直径の開口でもよい。この例で続けると、パイプ110の小さい方の開口150は、4インチ直径の開口でもよい。複合材料システムは、この減径部および90度の湾曲部があっても、パイプ上に位置決めされ、材料が盛り上がることなしにきつく引き付けられるように構成され、かつ/またはきれいで均一な絶縁材を生産するための特別な成形機器を必要としない。
【0094】
図4は、本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システム200の斜視図を示す。
図4に示される実施形態では、複合材料絶縁材220は、編組したカバー230および2つのクランプ240を用いてパイプ210に組み付けられる。編組したカバー230には、熱可塑性マトリクス溶液または熱硬化性マトリクス溶液が浸出してもよい。
【0095】
図5は、本発明の種々の実施形態による、複合材料絶縁システム250の端面図を示す。排出パイプ260(たとえば4インチの排出パイプ)の端部が、パイプのその部分に適合される自己成形性複合材料絶縁材280と共に示されている。図示されるように、自己成形性複合材料システム280は、複合材料絶縁材280の一方の端部にクランプ270を有する。上記のように、複合材料絶縁システム280は、1つまたは複数の層を備えることができる。通常の層をなした装置では、層は、システムの端部からはっきり見えるはずである。しかし、
図5に示されるように、マトリクス溶液および1つまたは複数の添加剤が加工によってシステムの端部に存在するかまたはシステムの端部に加えられて、複合材料絶縁システム280のきれいな端部部分290を作り出すことができる。このように、ポリマーマトリクス溶液は、硬化されると端部部分290に見えるようになり、このように、端部部分290を封入して、複合材料システムの層を保護し、隠す。
【0096】
図6a〜
図6dは、種々の実施形態の断面を通して、繊維をベースとした構造補強層、および間隙マトリクス分散の断面図を示す。マトリクス溶液の浸透は、種々のマトリクス塗布技法によって実現することができ、マトリクス溶液は、少なくとも1つの構造補強層に浸出することができる。この一連の図は、このカスタマイズ可能、自己成形性、繊維強化複合材料絶縁システムを用いて容易に実現することができる多くの構成のうちの、少数の選択肢を示そうと試みている。
【0097】
図6aは、本発明の一実施形態の断面図を示す。この実施形態では、繊維性層は、パイプ310の上の320、330および350である。編組した層320は、パイプ310または対象部品の外表面に位置決めされる。第2の編組した層330は、第1の編組した層320を覆って位置決めされる。界面マトリクス層340は、第2の編組した層330と編成したカバー350との間に認められる。トップコート360は、最外層として編成したカバー350を覆って提供され得る。この場合には、間隙マトリクスは、通常、トップコート360から第2の編組した層330および/または第1の編組した層320まで連続的である。この実施形態は、耐久性の優れた、強力な多層複合材料絶縁システムを生み出す。3つの繊維性層と1つの間隙マトリクス領域を伴って図示されているが、(同じマトリクス溶液であれ異なるマトリクス溶液であれ)1つまたは複数の間隙マトリクス領域を伴う、(同じ繊維性層であれ異なる繊維性層であれ)より多いかまたはより少ない繊維性層が利用されてもよいことが理解される。たとえば、複合材料絶縁材の一実施形態は、少なくとも1つの構造補強層/繊維性層、少なくとも1つの間隙マトリクス領域、および/または少なくとも1つのトップコートを備えてもよい。
【0098】
図6aに示される実施形態の一例では、第1の編組した層320および第2の編組した層330は、eガラスの編組した層でもよく、編成したカバー350は、編組したカバー350で代用されてもよい。さらに、間隙マトリクス基材340は熱可塑性基材でもよく、同様に、トップコート360も熱可塑性トップコートでもよい。したがって、この場合の複合材料絶縁システムは、2層のeガラス編組部と、編組したカバーと、熱可塑性マトリクスと、熱可塑性トップコートとを含む。組立てまたは組付けにおいては、2層のeガラス編組部(320、330)がパイプ310に位置決めされ、順次トリミングされ得る。次いで、編組したカバー350が、編組した層(320、330)を覆ってはめられるかまたは位置決めされ、きつく引き付けられ得る。編組したカバー350は、通常、システム全体に圧迫を与え、いかなる隆起箇所またはしわもない、平滑な表面を生み出すように構造化される。次いで、クランプが複合材料絶縁材のそれぞれの端部に組み付けられてもよく、クランプの外側の材料はトリミングされ得る。次いで、パイプ310の開いた端部に蓋がかぶせられてもよく、次いで、組立体全体または複合材料絶縁システムが、浸漬するのに最適化された熱可塑性マトリクス溶液に沈められ得る。マトリクス溶液が、少なくとも編組したカバー350、少なくともeガラス編組部の層330および/または層320に浸透することを確実にするために、複合材料絶縁システムは、ある時間の間沈められ得る。次いで、硬化された絶縁システムは、取り出され、洗浄され得る。熱可塑性トップコート360もカバー材料350にブラシで塗られて、防水性の高い表面に仕上げてもよい。組立体は、さらに洗浄され、その後、炉に入れられて所望の温度で所定の時間さらに硬化されてもよい。硬化されると、組立体は取り出され、硬化した複合材料絶縁システム/組立体を機械/システムに動作するように取り付ける前に冷却されてもよい。この実施形態では、複合材料絶縁システムは、しわなく、パイプの周りできつく、しっかりと硬化するように構造化される。マトリクスは、トップコートおよび編組したeガラスの第2の層330の中、またそれらの間に流れ込み、間隙領域340を備える、2層の繊維強化複合材料を形成することができる。編組した材料の第2の層330は、通常、トップコート360から第2の層330にかけて連続的なマトリクスを示す。
【0099】
さらに別の例では、複合材料絶縁システムは、上述のものと実質的に類似し得るが、4層のeガラス編組部と、編成したカバーと、熱可塑性マトリクスとを含んでもよい。組立てにおいては、3層のeガラス編組部が組み付けられ、順次トリミングされ得る。次いで、編成したカバー材料が、編組した層を覆ってはめられ、きつく引き付けられ得る。次いで、同様に、クランプが、複合材料絶縁材のそれぞれの端部に組み付けられてもよく、材料は、クランプの外側でトリミングされ得る。次いで、パイプの開いた端部に蓋がかぶせられてもよく、組立体全体が、浸漬するのに最適化された熱可塑性マトリクス溶液に所定の一定の時間沈められて、マトリクス溶液が、第3の、eガラス編組部の最外層に浸透するのを確実にすることができる。次いで、組立体は炉に入れられ、硬化され得る。硬化されると、このパーツは取り出され、冷却され得る。ここでは、マトリクスは通常、カバーおよび編組したeガラスの第3の層の中、またそれらの間に流れ込み、2層の繊維強化複合材料を形成する。
【0100】
図6bは、本発明の別の実施形態による複合材料絶縁システムの断面図を示す。この実施形態では、繊維性層は、パイプ310の上の320、330および350である。編組した層320は、パイプ310または対象部品の外表面に位置決めされる。第2の編組した層330は、第1の編組した層320を覆って位置決めされる。界面マトリクス層340は、第2の編組した層330と編成したカバー350との間に認められる。この実施形態では、トップコートは存在しなくてもよい。この実施形態では、通常、特に、先行する実施形態と比較して、良質の多層複合材料絶縁システムがより低コストで生産される。
【0101】
図6bに示される実施形態の一例では、第1の編組した層320および第2の編組した層330は、eガラスの編組した層でもよい。さらに、間隙マトリクス基材340は、熱可塑性基材でもよい。したがって、この場合の複合材料絶縁システムは、2層のeガラス編組部(320、330)と、編成したカバー350と、間隙熱可塑性マトリクス340とを含む。組付け/組立てにおいては、eガラス編組部の第1の層320が、パイプ310に組み付けられ、トリミングされ得る。次いで、eガラス編組部の第2の層330が、第1の層320を覆って組み付けられ、トリミングされ得る。熱可塑性マトリクス溶液は、eガラス編組部330の表面に噴霧され得る。次いで、編成したカバー材料350が、編組した層(320、330)を覆ってはめられ、きつく引き付けられ得る。次いで、クランプが複合材料絶縁材のそれぞれの端部に組み付けられてもよく、材料は、クランプの外側でトリミングされ得る。次いで、熱可塑性マトリクスが、カバー350の表面に噴霧され得る。組立体が炉で硬化される前に、パイプおよびクランプは、洗浄されてもよい。組立体は、取り出され、冷却され得る。この実施形態では、複合材料絶縁システムは、しわなく、パイプの周りできつく硬化するように構造化される。熱可塑性マトリクスは、カバー350および編組したeガラスの第2の層330の中、またそれらの間に流れ込み、間隙マトリクス層340を有する、2層の繊維強化複合材料を形成することができる。編組した材料の第2の層330は、通常、カバー350から第2の層330にかけて連続的なマトリクスを示す。
【0102】
図6cは、本発明の別の実施形態による複合材料絶縁システムの断面図を示す。この実施形態は、少なくとも2つの繊維性層380および350を備えることができる。この実施形態では、パイプ310は、不織材料絶縁材380の単一の層で覆われる。不織材料絶縁材380のすぐ外側は、カバー350である。カバー350は、編まれても、編組されても、不織でも、これらの組合せでもよい。カバー350は、硬化/処理されると不織材料絶縁材層380とカバー350を結合させるように働く、間隙マトリクス溶液または間隙マトリクス基材をさらに含んでもよい。さらに、トップコート360が、カバー350を覆って提供され得る。この実施形態では、具体的には所定の厚みの上記の層を提供することにより、通常、パイプ310のための優れた絶縁材が生み出される。
【0103】
図6cに示される実施形態の一例では、第1の編組した層380は、eガラスの編組した層でもよく、カバー350は、編組したカバー350でもよい。したがって、この場合の複合材料絶縁システムは、1層のeガラス編組部380と、編組したカバー350と、熱硬化性ポリマーマトリクスとを含む。組付け/組立ての間、eガラス編組部が、パイプ310に組み付けられ、トリミングされ得る。次いで、編組したカバー350が、層380を覆って組み付けられ得る。編組したカバー350は自然に縮み、パイプ310の周りにきつく絶縁材を形成する。次いで、クランプが複合材料絶縁材のそれぞれの端部に組み付けられてもよく、材料は、クランプの外側でトリミングされ得る。次いで、組立体を炉に入れる前に、熱硬化性マトリクスが、カバーにブラシで塗られてもよい。ここでは、複合材料絶縁システムは、しわなく、パイプ310を覆ってきつく硬化し得る。熱硬化性マトリクスは、通常、編組したカバー350の全体にわたって均一に分散されるが、場合によっては編組した層380に浸透しなくてもよい。通常、少なくとも編組したカバー350の断面全体にわたる、熱硬化性マトリクスの均一な分散は、炉で硬化された後に実現される。
【0104】
図6dは、本発明の別の実施形態による複合材料絶縁システムの断面図を示す。この実施形態では、パイプ310は、金属箔層320で覆われ得る。この実施形態は、3つの繊維性層330、340および360を備えることができる。第1の編組した層330は、金属箔層320に位置決めされる。第2の編組した層340は、第1の編組した層330を覆って位置決めされる。界面マトリクス層350は、第2の編組した層340と編成したカバー360との間に認めることができる。用途の要件に基づいて、トップコート(図示せず)も、編成したカバー360の上に提供されてもよい。この場合には、間隙マトリクスは、通常、編成したカバー360から第2の編組した層340および/または第1の編組した層330まで連続する。この実施形態は、パイプ310に隣接した非常に保護的な層を有する、優れた絶縁システムを提供する。
【0105】
図6dに示される実施形態の一例では、第1の編組した層330は、事前にカットされた不織eガラス絶縁層でもよく、編成したカバー360は、編組したeガラスカバー360で代用されてもよい。さらに、間隙マトリクス基材350は、熱可塑性マトリクス溶液でもよい。したがって、この場合の複合材料絶縁システムは、アルミニウム箔の層320と、事前にカットされた不織eガラス絶縁層330と、編組したeガラスカバー360と、熱可塑性マトリクス溶液とを含み、第2の編組した層は存在しなくてもよい。組付け中、アルミニウム箔層は、箔をパイプ310の周りに巻き付け、いかなる縁部も包むことにより、パイプ310の周りにきつく組み付けられ得る。箔は、接着性を高める、かつ/または環境への露出から箔を保護するために、片面または両面をコーティングされないかまたはコーティングされてもよい。次いで、eガラス編組部の第1の層330が、箔320を覆って組み付けられ、トリミングされ得る。eガラス編組部の第2の層340は、任意選択で第1の層330を覆って組み付けられ、トリミングされ得る。次いで、通常は、編組したカバー360が、絶縁層を覆って組み付けられる。通常、編組したカバー360は自然に縮み、パイプ310の周りにきつく絶縁材を形成する。次いで、クランプが組み付けられてもよく、材料端部はトリミングされ得る。パイプ310の端部に蓋がかぶせられてもよく、組立体全体が、浸漬するのに最適化された熱可塑性マトリクス溶液に沈められ得る。組立体は取り出され、炉に入れて所定の温度である一定の時間硬化される前に洗浄されてもよい。ここでは、複合材料絶縁システムは、しわなく、パイプを覆ってきつく硬化するように構造化される。熱可塑性マトリクスは、カバー360を通り、eガラス編組部の両方の層(330、340)に流れ込むように構造化される。通常、熱可塑性マトリクスは、絶縁システムのすべての層を通って、カバー360から最後には箔320まで連続しており、また、少なくとも1つの間隙層350を形成する。このように、いくつかの実施形態では、複合材料システム全体、すなわち絶縁層を備える対象部品は、好ましくは約560°Fなどの所定の温度で、1時間などの所定の時間の間、硬化/熱処理のために炉に入れられ得る。他の実施形態では、炉、ヒートガンなどを使用して、1度につき複合材料システムの一部のみが熱硬化されてもよい。他の実施形態では、熱硬化性マトリクスの硬化は、場合によっては、ポリマーの個々の鎖を架橋させるために、所定の温度(たとえば約400°F、または700〜800°Fなどの範囲の温度)まで組立体を加熱することによって実現され得る。
【0106】
図7は、別の実施形態の、硬化/処理前および後の断面図を示す。この実施形態では、左側の
図402は、基部絶縁材/構造補強層420と、界面層430と、カバー440と、トップコート460とを有する絶縁システム402を示す。右側には、たとえば、間隙マトリクス基材および繊維性層の硬化に影響を及ぼすように、パイプ410を複合材料絶縁材と一緒に所定の温度まで加熱することによって硬化/処理した後の、同じ構成の間隙マトリクス分散が示されている。ここでは、マトリクスは、通常、複合材料絶縁システムの外側から内側まで連続している。たとえば、熱硬化性マトリクスの硬化は、場合によっては、ポリマーの個々の鎖を架橋させるために、所定の温度(たとえば約400°F、または700〜800°Fなどの範囲の温度)まで組立体を加熱することによって実現され得る。
【0107】
図8aは、成形されたフィーチャを有する複合材料絶縁システム10の一実施形態を示す。パイプ800または対象部品800が、複合材料絶縁材810を伴って示されている。複合材料絶縁材810の側部において、複合材料絶縁材810の外表面の一部分または少なくとも一部が、平坦部820に成形されてもよい。たとえば、平坦な成形プレート(図示せず)が硬化前にあてがわれてもよく、次いで、それが硬化後に後で取り外されてもよい。平坦に図示されているが、相補的表面/外形を有する装置を利用して、任意の所望の曲線外形が、複合材料絶縁材810の少なくとも一部に沿って、成形部820として成形されてもよい。成形部、たとえば平らにされた区域820は、動作中、要求される外側の隙間を提供するように構造化される。
図8bは、複合材料絶縁システム10の断面図を示し、具体的には、
図8aの部分AAに沿った、成形されたフィーチャ820を示す。
【0108】
図9a〜
図9bは、局所的な絶縁部を有する、本発明の実施形態を示す。局所的な絶縁材を使用して、特定用途での必要に応じて、局所的区域での複合材料絶縁システムの働きを調節することができる。
図9aは、複合材料絶縁システム950aの一実施形態の切欠き図を示す。複合材料絶縁システム950aは、適した場所、たとえばパイプ900の外側湾曲部に位置決めされる局所的な絶縁マット910aを有するパイプ900に、複合材料絶縁材920を備えることができる。
図9aは、複合材料絶縁材920の一部分が取り除かれた状態のシステムを図示して、パイプ900と複合材料絶縁材920との間に局所的な絶縁マット910aが位置決めされることを示す。
【0109】
図9aに示される実施形態の一例では、複合材料絶縁材920は、eガラス編組部の第1の編組した層と、編成したeガラスカバーと、熱可塑性基材とを含む。組付け中、局所的な不織材料絶縁材マット910aは、粘着性接着剤を用いてパイプに固定され得る。次いで、eガラス編組部が、パイプおよび局所的なマットを覆って適合され得る。eガラス編組部は非常にコンフォーマブルであるので、通常はパイプ900および局所的なマット910aをぴったりと覆う。編成したカバーは、その次に組み付けられ得る。編成したカバーは、通常、局所的なマット910aを有する部分を含めたシステム全体に圧迫を与え、いかなる隆起箇所またはしわもない、平滑な表面を生み出すように構造化される。次いで、クランプがその次に組み付けられてもよく、クランプの外側の材料はトリミングされ得る。パイプの開いた端部に蓋がかぶせられてもよく、組立体全体が、浸漬するのに最適化された熱可塑性マトリクス溶液に所定の時間の間沈められて、マトリクス溶液がeガラス編組部には浸透するが局所的な絶縁マットには浸透しないことを確実にすることができる。次いで、このパーツは取り出され、炉で硬化される前に洗浄されてもよい。この実施形態では、複合材料絶縁システムは、通常、パイプ900の周りにきつく、しっかりと硬化する。マトリクスは、カバーを通ってeガラス編組部へと流れ込むように構成され得る。通常、カバーおよびeガラス編組部は、層同士の間のはっきりとした界面によって互いに結合されるように構成される。熱可塑性マトリクスは、通常、カバーからeガラス編組部まで連続している。この実施形態では、ある特定の用途での必要に応じて、マットに熱可塑性マトリクスが浸出してもよい。
【0110】
図9bは、複合材料絶縁システム950bの別の実施形態の切欠き図を示す。複合材料絶縁システム950bは、適した場所、たとえばパイプ900の外側湾曲部に位置決めされる局所的な絶縁スリーブ910bを有するパイプ900に、複合材料絶縁材920を備えることができる。
図9bは、複合材料絶縁材920の一部分が取り除かれた状態のシステム950bを図示して、パイプ900と複合材料絶縁材920との間に局所的な絶縁スリーブ910bが位置決めされることを示す。局所的な絶縁スリーブは、編組したシリカスリーブを備えてもよい。いくつかの実施形態では、局所的な絶縁スリーブは、湾曲部に沿ってパイプ900に隣接して組み付けられ、スリーブ910bがその上の層の端部より先に終端するような寸法にされてもよい。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態が説明され、添付図面に示されてきたが、このような実施形態は、広範な本発明を単に説明するものであってそれを限定するものではなく、また、上記パラグラフに説明されるものに加えて、種々の他の変更、組合せ、省略、修正および置換が考えられるので、本発明は、示され、説明されている特定の構造体および構成に限定されないことを理解されたい。当業者は、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない限り、ちょうど説明した実施形態の種々の改変および修正が構成され得るということを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内において、本発明は、本明細書において具体的に記述されたものとは異なる方法で実施されてもよいことを理解されたい。