【文献】
TABASSUM et al.,Synthesis of new heterometallic macromolecules: Their DNA binding, cleavage activity and in vitro model electrochemotherapy study,Spectrochimica Acta Part A,NL,Elsevier,2009年,Vol. 74,pp. 1152-1159
【文献】
ERK,Oligomeric cyclic esters from oxaalkanedicarboxylic acids and oxaalkanediols, 3,Makromol. Chem., Rapid Commun.,米国,Wiley,1984年,Vol. 5,pp.275-279
【文献】
SANGEETHA,Template Synthesis of Transition Metal Complex with Octaamide Macrocyclic Ligand,Asian Journal of Chemistry,IN,Asian Publication Corporation,2008年,Vol. 20,pp. 2673-2678
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記M1〜M4のそれぞれは、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)およびジルコニウム(Zr)のうちのいずれかである、
請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用負極(円筒型)
1−1.構成
1−2.動作
1−3.製造方法
1−4.作用および効果
2.リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用負極(ラミネートフィルム型)
2−1.構成
2−2.動作
2−3.製造方法
2−4.作用および効果
3.リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用負極の用途
【0015】
<1.リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用負極(円筒型)>
本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池に関して説明する。なお、本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池用負極は、以下で説明するリチウムイオン二次電池の一部(一構成要素)であるため、そのリチウムイオン二次電池用負極に関しては、以下で併せて説明する。
【0016】
以下では、本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池を単に「リチウムイオン二次電池」と呼称すると共に、本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池用負極を単に「負極」と呼称する。
【0017】
ここで説明するリチウムイオン二次電池は、例えば、リチウムの吸蔵放出現象を利用して電池容量(後述する負極22の容量)が得られる二次電池である。
【0018】
なお、以下で適宜説明される一連の具体例、すなわち材料および形成方法などの複数の候補に関しては、任意の1種類だけが用いられてもよいし、任意の2種類以上が互いに組み合わされてもよい。
【0019】
<1−1.構成>
図1は、リチウムイオン二次電池の断面構成を表していると共に、
図2は、
図1に示したリチウムイオン二次電池の主要部(巻回電極体20)の断面構成を拡大している。ただし、
図2では、巻回電極体20の一部だけを示している。
【0020】
このリチウムイオン二次電池は、例えば、
図1に示したように、円筒状の電池缶11の内部に電池素子(巻回電極体20)が収納された円筒型のリチウムイオン二次電池である。
【0021】
具体的には、リチウムイオン二次電池は、例えば、電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13と、巻回電極体20とを備えている。この巻回電極体20は、例えば、セパレータ23を介して正極21および負極22が互いに積層されたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23が巻回されることにより形成された構造体である。巻回電極体20には、液状の電解質である電解液が含浸されている。
【0022】
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空の円筒構造を有しており、例えば、鉄などの金属材料を含んでいる。ただし、電池缶11の表面には、例えば、ニッケルなどの金属材料が鍍金されていてもよい。絶縁板12,13のそれぞれは、例えば、巻回電極体20の巻回周面に対して交差する方向に延在していると共に、互いに巻回電極体20を挟むように配置されている。
【0023】
電池缶11の開放端部には、例えば、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられているため、その電池缶11の開放端部は、密閉されている。電池蓋14の形成材料は、例えば、電池缶11の形成材料と同様である。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、例えば、内部短絡および外部加熱などに起因して電池缶11の内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転するため、電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続が切断される。熱感抵抗素子16の電気抵抗は、大電流に起因する異常な発熱を防止するために、温度の上昇に応じて増加する。ガスケット17は、例えば、絶縁性材料を含んでいる。ただし、ガスケット17の表面には、例えば、アスファルトなどが塗布されていてもよい。
【0024】
巻回電極体20の巻回中心に設けられた空間20Cには、例えば、センターピン24が挿入されている。ただし、センターピン24は省略されてもよい。正極21には、正極リード25が接続されており、その正極リード25は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料を含んでいる。この正極リード25は、例えば、安全弁機構15を介して電池蓋14と電気的に接続されている。負極22には、負極リード26が接続されており、その負極リード26は、例えば、ニッケルなどの導電性材料を含んでいる。この負極リード26は、例えば、電池缶11と電気的に接続されている。
【0025】
[正極]
正極21は、例えば、
図2に示したように、正極集電体21Aと、その正極集電体21Aに設けられた正極活物質層21Bとを含んでいる。この正極活物質層21Bは、例えば、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよいし、正極集電体21Aの両面に設けられていてもよい。
図2では、例えば、正極活物質層21Bが正極集電体21Aの両面に設けられている場合を示している。
【0026】
(正極集電体)
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウムなどの導電性材料を含んでいる。
【0027】
(正極活物質層)
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である正極材料を含んでいる。ただし、正極活物質層21Bは、例えば、さらに、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0028】
(正極材料)
正極材料は、例えば、リチウム化合物を含んでおり、そのリチウム化合物は、リチウムを構成元素として含む化合物の総称である。高いエネルギー密度が得られるからである。リチウム化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム複合酸化物およびリチウムリン酸化合物などである。
【0029】
リチウム複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含む酸化物の総称であり、例えば、層状岩塩型およびスピネル型などの結晶構造を有している。リチウムリン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称であり、例えば、オリビン型などの結晶構造を有している。
【0030】
他元素は、リチウム以外の元素である。他元素の種類は、特に限定されないが、中でも、長周期型周期表のうちの2族〜15族に属する元素であることが好ましい。高い電圧が得られるからである。具体的には、他元素は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガンおよび鉄などである。
【0031】
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム複合酸化物は、例えば、LiNiO
2 、LiCoO
2 、LiCo
0.98Al
0.01Mg
0.01O
2 、LiNi
0.5 Co
0.2 Mn
0.3 O
2 、LiNi
0.8 Co
0.15Al
0.05O
2 、LiNi
0.33Co
0.33Mn
0.33O
2 、Li
1.2 Mn
0.52Co
0.175 Ni
0.1 O
2 およびLi
1.15(Mn
0.65Ni
0.22Co
0.13)O
2 などである。スピネル型の結晶構造を有するリチウム複合酸化物は、例えば、LiMn
2 O
4 などである。オリビン型の結晶構造を有するリチウムリン酸化合物は、例えば、LiFePO
4 、LiMnPO
4 、LiFe
0.5 Mn
0.5 PO
4 およびLiFe
0.3 Mn
0.7 PO
4 などである。
【0032】
(正極結着剤および正極導電剤)
正極結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子化合物などを含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴムなどである。高分子化合物は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。
【0033】
正極導電剤は、例えば、炭素材料などの導電性材料を含んでいる。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、正極導電剤は、金属材料および導電性高分子などでもよい。
【0034】
[負極]
負極22は、例えば、
図2に示したように、負極集電体22Aと、その負極集電体22Aに設けられた負極活物質層22Bとを含んでいる。この負極活物質層22Bは、例えば、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよいし、負極集電体22Aの両面に設けられていてもよい。
図2では、例えば、負極活物質層22Bが負極集電体22Aの両面に設けられている場合を示している。
【0035】
(負極集電体)
負極集電体22Aは、例えば、銅などの導電性材料を含んでいる。負極集電体22Aの表面は、電解法などを用いて粗面化されていることが好ましい。アンカー効果を利用して、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。
【0036】
(負極活物質層)
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である負極材料を含んでいる。ただし、負極活物質層22Bは、例えば、さらに、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0037】
充電途中において負極22の表面にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、充電可能である負極材料の容量は、正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、負極材料の電気化学当量は、正極21の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。
【0038】
(負極材料:環状化合物)
負極材料は、特定の環状構造を有する環状化合物を含んでいる。具体的には、環状化合物は、下記の式(1)で表される第1環状化合物、下記の式(2)で表される第2環状化合物および下記の式(3)で表される第3環状化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。第1環状化合物の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。このことは、第2環状化合物および第3環状化合物のそれぞれに関しても同様である。
【0039】
【化2】
(X1〜X8のそれぞれは、オキソ基およびイミノ基のうちのいずれかである。R1〜R6のそれぞれは、エチレン基およびジカルボニル基のうちのいずれかである。M1〜M4のそれぞれは、金属元素である。Y1〜Y4のそれぞれは、ハロゲン元素である。n1〜n4のそれぞれは、整数である。)
【0040】
この環状化合物は、2個以上のジカルボニル基が含まれた環状構造を有しており、より具体的には、式(1)〜式(3)のそれぞれに示した環状構造を有している。特に、式(1)に示した環状骨格には、金属原子が導入されていないのに対して、式(2)および式(3)のそれぞれに示した環状骨格には、配位結合および共有結合のうちの一方または双方を利用して金属原子(M1〜M4)が導入されている。なお、第1環状化合物、第2環状化合物および第3環状化合物のそれぞれの詳細な構成に関しては、後述する。
【0041】
負極22が環状化合物を含んでいるのは、その負極22が環状化合物を含んでいない場合と比較して、その環状化合物が後述する炭素材料などと同様に負極材料として機能しながら、その環状化合物により充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮が抑制されるからである。
【0042】
詳細には、環状化合物は、環状骨格の内部空間(配位場)を利用して、リチウムを吸蔵放出可能である。これにより、環状化合物は、炭素材料などと同様に、負極材料として機能することができる。しかも、環状化合物は、環状骨格の伸縮性を利用してバネのように伸縮可能である。これにより、充放電時において、環状化合物の伸縮性を利用して負極活物質層22Bの膨張収縮現象が緩和されるため、その負極活物質層22Bが膨張収縮しにくくなる。
【0043】
(第1環状化合物)
第1環状化合物は、式(1)に示したように、2個以上のジカルボニル基が含まれた環状骨格を有していると共に、その環状骨格に金属原子が導入されていない化合物である。すなわち、第1環状化合物は、有機部(環状骨格)に無機部(金属化合物)が導入されていない有機化合物である。
【0044】
X1〜X8のそれぞれは、上記したように、オキソ基よびイミノ基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。すなわち、X1〜X8の全てがオキソ基でもよいし、X1〜X8の全てがイミノ基でもよいし、X1〜X8の一部がオキソ基であると共に残りがイミノ基でもよい。
【0045】
中でも、X1〜X8の全ては、オキソ基またはイミノ基であることが好ましい。第1環状化合物が充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮を抑制しやすくなるからである。
【0046】
R1およびR2のそれぞれは、上記したように、エチレン基およびジカルボニル基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。すなわち、R1およびR2の双方がエチレン基でもよいし、R1およびR2の双方がジカルボニル基でもよいし、R1およびR2のうちの一方がエチレン基であると共に他方がジカルボニル基でもよい。これにより、第1環状化合物は、2個〜4個のジカルボニル基を有している。
【0047】
(第2環状化合物)
第2環状化合物は、式(2)に示したように、2個以上のジカルボニル基が含まれた環状酸素骨格を有していると共に、その環状酸素骨格に配位結合を利用して金属原子(M1およびM2)が導入されている化合物である。すなわち、第2環状化合物は、有機部(環状酸素骨格)に無機部(金属化合物)が導入されている有機無機ハイブリッド化合物である。
【0048】
第2環状化合物では、R3の両側に位置する2個の酸素原子に対して金属原子(M1)が配位結合されていると共に、R4の両側に位置する2個の酸素原子に対して金属原子(M2)が配位結合されている。ただし、金属原子(M1)には、n1個のハロゲン原子(Y1)が共有結合されていると共に、金属原子(M2)には、n2個のハロゲン原子(Y2)が共有結合されている。
【0049】
この第2環状化合物では、上記したように、環状酸素骨格に配位結合を利用して金属原子(M1,M2)が導入されているため、環状骨格に金属原子が導入されていない第1環状化合物と比較して、利点が得られる。具体的には、金属原子の電気化学容量を利用して、負極22がリチウムを吸蔵放出しやすくなると共に、その金属原子(金属種)の配位電位を利用して、負極22の電位が高くなる。
【0050】
R3およびR4のそれぞれに関する詳細は、R1およびR2のそれぞれに関する詳細と同様である。すなわち、R3およびR4のそれぞれは、エチレン基およびジカルボニル基のうちのいずれかであれば、特に限定されないため、第2環状化合物は、2個〜4個のジカルボニル基を有している。
【0051】
M1およびM2のそれぞれは、上記したように、金属元素であれば、特に限定されない。より具体的には、M1およびM2のそれぞれは、上記したように、2個の酸素原子に配位可能な金属原子(金属元素)であれば、特に限定されない。M1の種類およびM2の種類は、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0052】
具体的には、金属元素は、例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)およびジルコニウム(Zr)などである。環状酸素骨格に金属原子(M1,M2)が配位しやすくなるからである。これにより、第1環状化合物が充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮を抑制しやすくなると共に、負極22の電位が十分に高くなる。
【0053】
Y1およびY2のそれぞれは、上記したように、ハロゲン元素であれば、特に限定されない。Y1の種類およびY2の種類は、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。また、n1個のY1の種類は、例えば、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。このことは、n2個のY2の種類に関しても同様である。
【0054】
具体的には、Y1およびY2のそれぞれは、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)などである。環状酸素骨格に金属原子(M1,M2)が配位しやすくなるからである。これにより、第1環状化合物が充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮を抑制しやすくなると共に、負極22の電位が十分に高くなる。
【0055】
n1は、M1に結合されているY1の数であり、そのn1の値は、M1の種類に応じて決定される。n2は、M2に結合されているY2の数であり、そのn2の値は、Y2の種類に応じて決定される。n1の値およびn2の値は、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0056】
n1の値は、上記したように、M1の種類に応じて決定される整数であれば、特に限定されないが、例えば、2または4である。n2の値は、上記したように、M2の種類に応じて決定される整数であれば、特に限定されないが、例えば、2または4である。
【0057】
(第3環状化合物)
第3環状化合物は、式(3)に示したように、2個以上のジカルボニル基が含まれた環状窒素骨格を有していると共に、その環状窒素骨格に配位結合および共有結合を利用して金属原子(M3およびM4)が導入されている化合物である。すなわち、第3環状化合物は、第2環状化合物と同様に、有機部(環状窒素骨格)に無機部(金属化合物)が導入されている有機無機ハイブリッド化合物である。
【0058】
第3環状化合物では、R5の両側に位置する2個の窒素原子に対して金属原子(M3)が共有結合されていると共に、R6の両側に位置する2個の窒素原子に対して金属原子(M4)が共有結合されている。この場合には、R5の両側に位置する2個の窒素原子のうちの一方の窒素原子の隣りに位置する窒素原子に対して金属原子(M3)が配位結合されていると共に、他方の窒素原子の隣りに位置する窒素原子に対して金属原子(M3)が配位結合されている。また、R6の両側に位置する2個の窒素原子のうちの一方の窒素原子の隣りに位置する窒素原子に対して金属原子(M4)が配位結合されていると共に、他方の窒素原子の隣りに位置する窒素原子に対して金属原子(M4)が配位結合されている。ただし、金属原子(M3)には、n3個のハロゲン原子(Y3)が結合されていると共に、金属原子(M4)には、n4個のハロゲン原子(Y4)が結合されている。
【0059】
この第3環状化合物では、上記したように、環状窒素骨格に配位結合および共有結合を利用して金属原子(M3,M4)が導入されているため、環状窒素骨格に配位結合を利用して金属原子(M1,M2)が導入されている第2環状化合物と同様の利点が得られる。
【0060】
R5およびR6のそれぞれに関する詳細は、R1およびR2のそれぞれに関する詳細と同様である。すなわち、R5およびR6のそれぞれは、エチレン基およびジカルボニル基のうちのいずれかであれば、特に限定されないため、第3環状化合物は、2個〜4個のジカルボニル基を有している。
【0061】
M3およびM4のそれぞれに関する詳細は、M1およびM2のそれぞれに関する詳細と同様である。すなわち、M3およびM4のそれぞれは、上記したように、2個の窒素原子に対して共有結合されることが可能であると共に他の2個の窒素原子に対して配位結合されることが可能である金属原子(金属元素)であれば、特に限定されない。M3の種類およびM4の種類は、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0062】
Y3およびY4のそれぞれに関する詳細は、Y1およびY2のそれぞれに関する詳細と同様である。Y1の種類およびY2の種類は、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。また、n1個のY1の種類およびn2個のY2の種類のそれぞれは、例えば、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
【0063】
n3およびn4のそれぞれに関する詳細は、n1およびn2のそれぞれに関する詳細と同様である。n3は、M3に結合されているY3の数であり、そのn3の値は、M3の種類に応じて決定されると共に、n4は、M4に結合されているY4の数であり、そのn4の値は、M4の種類に応じて決定される。
【0064】
(環状化合物の具体例)
中でも、第1環状化合物は、下記の式(4)で表される化合物であることが好ましい。第2環状化合物は、下記の式(5)で表される化合物であることが好ましい。第3環状化合物は、下記の式(6)で表される化合物であることが好ましい。環状化合物がより伸縮しやすくなるため、充放電時において負極活物質層22Bがより膨張収縮しにくくなるからである。
【0065】
【化3】
(X9〜X16のそれぞれは、オキソ基およびイミノ基のうちのいずれかである。M5〜M8のそれぞれは、金属元素である。Y5〜Y8のそれぞれは、ハロゲン元素である。n5〜n8のそれぞれは、整数である。)
【0066】
式(4)に示した化合物は、式(1)に示した第1環状化合物のうち、R1およびR2のそれぞれがエチレン基である環状非金属配位化合物である。
【0067】
具体的には、環状非金属配位化合物は、例えば、下記の式(4−1)および式(4−2)のそれぞれで表される化合物などである。
【0069】
式(5)に示した化合物は、式(2)に示した第2環状化合物のうち、R3およびR4のそれぞれがエチレン基であるクラウンエーテル型金属配位化合物である。M5、M6、Y5、Y6、n5およびn6のそれぞれに関する詳細は、例えば、M1、M2、Y1、Y2、n1およびn2のそれぞれに関する詳細と同様である。
【0070】
クラウンエーテル型金属配位化合物は、例えば、下記の式(5−1)〜式(5−12)のそれぞれで表される化合物などである。なお、式(5−1)〜式(5−11)のそれぞれでは、例えば、式(5)に示したY5およびY6のそれぞれが塩素である場合を示している。しかしながら、Y5およびY6のそれぞれは、例えば、上記したように、フッ素でもよいし、臭素でもよいし、ヨウ素でもよい。具体的には、例えば、式(5−12)に示したように、Y5およびY6のそれぞれがフッ素でもよい。
【0073】
式(6)に示した化合物は、式(3)に示した第3環状化合物のうち、R5およびR6のそれぞれがエチレン基であるアザクラウンエーテル型金属配位化合物である。M7、M8、Y7、Y8、n7およびn8のそれぞれに関する詳細は、例えば、M1、M2、Y1、Y2、n1およびn2のそれぞれに関する詳細と同様である。
【0074】
アザクラウンエーテル型金属配位化合物は、例えば、例えば、下記の式(6−1)〜式(6−12)のそれぞれで表される化合物などである。なお、式(6−1)〜式(6−11)のそれぞれでは、例えば、式(6)に示したY7およびY8のそれぞれが塩素である場合を示している。しかしながら、Y7およびY8のそれぞれは、例えば、上記したように、フッ素でもよいし、臭素でもよいし、ヨウ素でもよい。具体的には、例えば、式(6−12)に示したように、Y7およびY8のそれぞれがフッ素でもよい。
【0077】
(他の負極材料)
なお、負極材料は、例えば、上記した環状化合物と共に、他の負極材料を含んでいてもよい。他の材料の種類は、特に限定されないが、例えば、炭素材料および金属系材料などである。
【0078】
炭素材料は、炭素を構成元素として含む材料の総称である。リチウムの吸蔵放出時において炭素材料の結晶構造がほとんど変化しないため、高いエネルギー密度が安定に得られるからである。また、炭素材料が負極導電剤としても機能するため、負極活物質層22Bの導電性が向上するからである。
【0079】
この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素における(002)面の面間隔は、0.37nm以上であることが好ましいと共に、黒鉛における(002)面の面間隔は、0.34nm以下であることが好ましい。
【0080】
より具体的には、炭素材料は、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類は、例えば、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)された焼成物である。この他、炭素材料は、例えば、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。炭素材料の形状は、例えば、繊維状、球状、粒状および鱗片状などである。
【0081】
金属系材料は、金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称である。高いエネルギー密度が得られるからである。
【0082】
この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を含む材料でもよい。ただし、合金には、2種類以上の金属元素からなる化合物だけでなく、1種類または2種類以上の金属元素と1種類または2種類以上の半金属元素とを含む化合物も含まれる。また、合金は、1種類または2種類以上の非金属元素を含んでいてもよい。金属系材料の組織は、例えば、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物およびそれらの2種類以上の共存物などである。
【0083】
金属元素および半金属元素のそれぞれは、リチウムと合金を形成可能である。具体的には、金属元素および半金属元素は、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、銀、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、パラジウムおよび白金などである。
【0084】
中でも、ケイ素およびスズが好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムの吸蔵放出能力が優れているため、著しく高いエネルギー密度が得られるからである。
【0085】
具体的には、金属系材料は、ケイ素の単体でもよいし、ケイ素の合金でもよいし、ケイ素の化合物でもよいし、スズの単体でもよいし、スズの合金でもよいし、スズの化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を含む材料でもよい。ここで説明する単体は、あくまで一般的な単体を意味しているため、その単体は、微量の不純物を含んでいてもよい。すなわち、単体の純度は、必ずしも100%に限られない。
【0086】
ケイ素の合金は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどを含んでいる。ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、炭素および酸素などを含んでいる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金に関して説明した構成元素を含んでいてもよい。
【0087】
ケイ素の合金およびケイ素の化合物は、例えば、SiB
4 、SiB
6 、Mg
2 Si、Ni
2 Si、TiSi
2 、MoSi
2 、CoSi
2 、NiSi
2 、CaSi
2 、CrSi
2 、Cu
5 Si、FeSi
2 、MnSi
2 、NbSi
2 、TaSi
2 、VSi
2 、WSi
2 、ZnSi
2 、SiC、Si
3 N
4 、Si
2 N
2 OおよびSiO
v (0<v≦2)などである。ただし、vの範囲は、例えば、0.2<v<1.4でもよい。
【0088】
スズの合金は、例えば、スズ以外の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどを含んでいる。スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、炭素および酸素などを含んでいる。なお、スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、スズの合金に関して説明した構成元素を含んでいてもよい。
【0089】
スズの合金およびスズの化合物は、例えば、SnO
w (0<w≦2)、SnSiO
3 およびMg
2 Snなどである。
【0090】
中でも、負極材料は、環状化合物と共に、炭素材料および金属系材料うちの一方または双方を含んでいることが好ましい。この場合には、負極材料は、環状化合物と共に炭素材料を含んでいてもよいし、環状化合物と共に金属系材料を含んでいてもよいし、環状化合物と共に炭素材料および金属系材料を含んでいてもよい。高い理論容量(電池容量)が得られると共に、充放電時において負極活物質層22Bが十分に膨張収縮しにくくなるからである。
【0091】
環状化合物と炭素材料および金属系材料との混合比は、特に限定されない。中でも、環状化合物、炭素材料および金属系材料に対する環状化合物の重量比(=環状化合物の重量/(環状化合物の重量+炭素材料の重量+金属系材料の重量))は、0.01〜0.99であることが好ましく、0.05〜0.90であることがより好ましい。充放電時における負極活物質層22Bの膨張収縮が十分に抑制されながら、高い電池容量が得られるからである。
【0092】
(負極結着剤および負極導電剤)
負極結着剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤に関する詳細と同様である。負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極導電剤に関する詳細と同様である。
【0093】
(負極活物質層の形成方法)
負極活物質層22Bの形成方法は、特に限定されないが、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などである。塗布法は、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質と負極結着剤などとの混合物が有機溶剤などにより溶解または分散された溶液を負極集電体22Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などであり、より具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長法(CVD)およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。溶射法は、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体22Aに噴き付ける方法である。焼成法は、例えば、塗布法を用いて負極集電体22Aに溶液を塗布したのち、その溶液(塗膜)を負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法であり、より具体的には、雰囲気焼成法、反応焼成法およびホットプレス焼成法などである。
【0094】
[セパレータ]
セパレータ23は、例えば、
図2に示したように、正極21と負極22との間に介在しており、両極の接触に起因する短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させる。このセパレータ23は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどの多孔質膜を含んでおり、2種類以上の多孔質膜が互いに積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリエチレンなどである。
【0095】
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)と、その基材層に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。高分子化合物層は、基材層の片面だけに設けられていてもよいし、基材層の両面に設けられていてもよい。正極21および負極22のそれぞれに対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20が歪みにくくなるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制される。よって、充放電を繰り返しても、リチウムイオン二次電池の電気抵抗が上昇しにくくなると共に、そのリチウムイオン二次電池が膨れにくくなる。
【0096】
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。なお、高分子化合物層は、例えば、無機粒子などの絶縁性粒子を含んでいてもよい。安全性が向上するからである。無機粒子の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムなどである。
【0097】
[電解液]
電解液は、上記したように、巻回電極体20に含浸されている。このため、電解液は、例えば、セパレータ23に含浸されていると共に、正極21および負極22のそれぞれに含浸されている。
【0098】
この電解液は、溶媒および電解質塩を含んでいる。ただし、電解液は、例えば、さらに、各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0099】
(溶媒)
溶媒は、例えば、非水溶媒(有機溶剤)を含んでおり、その非水溶媒を含む電解液は、いわゆる非水電解液である。この非水溶媒は、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、ラクトンおよびニトリル(モノニトリル)化合物などである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
【0100】
環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよび炭酸ブチレンなどである。鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸メチルプロピルなどである。鎖状カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。ラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどである。ニトリル化合物は、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリルおよび3−メトキシプロピオニトリルなどである。
【0101】
また、非水溶媒は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルおよびジメチルスルホキシドなどである。同様の利点が得られるからである。
【0102】
この他、非水溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、酸無水物、多価ニトリル化合物、ジイソシアネート化合物およびリン酸エステルなどでもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。
【0103】
不飽和環状炭酸エステルは、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)および炭酸メチレンエチレン(4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン)などである。ハロゲン化炭酸エステルは、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)および炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。スルホン酸エステルは、例えば、1,3−プロパンスルトンおよび1,3−プロペンスルトンなどである。酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水エタンジスルホン酸および無水スルホ安息香酸などである。多価ニトリル化合物は、例えば、スクシノニトリルなどである。ジイソシアネート化合物は、例えば、OCN−C
6 H
12−NCOなどである。リン酸エステルは、例えば、リン酸トリメチルなどである。
【0104】
(電解質塩)
電解質塩は、例えば、リチウム塩である。ただし、電解質塩は、例えば、さらに、リチウム塩以外の他の塩を含んでいてもよい。他の塩は、例えば、リチウム以外の軽金属の塩などである。
【0105】
リチウム塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF
4 )、ビス(フルオロスルホニル)アミドリチウム(LiN(SO
2 F)
2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドリチウム(LiN(CF
3 SO
2 )
2 )、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF
2 O
2 )およびフルオロリン酸リチウム(Li
2 PFO
3 )などである。
【0106】
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、例えば、溶媒に対して0.3mol/kg〜3.0mol/kgである。
【0107】
<1−2.動作>
このリチウムイオン二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極21からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵される。放電時には、負極22からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
【0108】
<1−3.製造方法>
このリチウムイオン二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
【0109】
[正極の作製]
最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合することにより、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散または溶解させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーを得る。最後に、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層21Bを形成する。こののち、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層21Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
【0110】
[負極の作製]
上記した正極21の作製手順と同様の手順により、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成する。具体的には、環状化合物を含む負極活物質と、必要に応じて負正極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーを得る。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させる。これにより、負極活物質層22Bが形成されるため、負極22が作製される。こののち、負極活物質層22Bを圧縮成型してもよい。
【0111】
[電解液の調製]
溶媒に電解質塩を加えたのち、その溶媒を撹拌する。これにより、電解質塩が溶解されるため、電解液が調製される。
【0112】
[リチウムイオン二次電池の組み立て]
最初に、溶接法などを用いて正極集電体21Aに正極リード25を接続させると共に、溶接法などを用いて負極集電体22Aに負極リード26を接続させる。続いて、セパレータ23を介して正極21および負極22を互いに積層させたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23を巻回させることにより、巻回体を形成する。続いて、巻回体の巻回中心に設けられた空間20Cにセンターピン24を挿入する。
【0113】
続いて、一対の絶縁板12,13により巻回体が挟まれた状態において、その巻回体を絶縁板12,13と共に電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて正極リード25を安全弁機構15に接続させると共に、溶接法などを用いて負極リード26を電池缶11に接続させる。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入することにより、その電解液を巻回体に含浸させる。これにより、正極21、負極22およびセパレータ23のそれぞれに電解液が含浸されるため、巻回電極体20が形成される。
【0114】
最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開放端部をかしめることにより、その電池缶11の開放端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を取り付ける。これにより、電池缶11の内部に巻回電極体20が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0115】
<1−4.作用および効果>
この円筒型のリチウムイオン二次電池によれば、負極22が環状化合物、すなわち第1環状化合物、第2環状化合物および第3環状化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この場合には、上記したように、負極22が環状化合物を含んでいない場合と比較して、その環状化合物が負極活物質(負極材料)として機能しながら、その環状化合物により充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮が抑制される。よって、優れた電池特性を得ることができる。
【0116】
上記した負極22が環状化合物を含んでいない場合とは、負極22が第1環状化合物、第2環状化合物および第3環状化合物のうちのいずれも含んでいない場合だけでなく、その負極22が環状化合物に類似する他の環状化合物を含んでいる場合も意味している。他の環状化合物は、例えば、酸素含有環状化合物、窒素含有環状化合物および酸素窒素含有環状化合物などである。酸素含有環状化合物は、例えば、クラウンエーテルおよびクリプタンドなどである。窒素含有環状化合物は、例えば、サイクレンなどである。酸素窒素含有環状化合物は、例えば、4,10−ジアザ−12−クラウン4−エーテルなどである。
【0117】
特に、M1〜M4のそれぞれがスズなどであれば、環状骨格(環状酸素骨格および環状窒素骨格)に金属原子(M1〜M4)が配位しやすくなる。よって、充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮が抑制されやすくなると共に、負極22の電位が十分に高くなるため、より高い効果を得ることができる。
【0118】
また、Y1〜Y4のそれぞれがフッ素などであれば、M1〜M4のそれぞれがスズなどである場合と同様に、環状骨格(環状酸素骨格および環状窒素骨格)に金属原子(M1〜M4)が配位しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0119】
また、X1〜X8の全てがオキソ基またはイミノ基であれば、充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮が抑制されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0120】
また、第1環状化合物が環状非金属配位化合物であり、第2環状化合物がクラウンエーテル型金属配位化合物であり、第3環状化合物がアザクラウンエーテル型金属配位化合物であれば、環状化合物がより伸縮しやすくなる。よって、充放電時において負極活物質層22Bがより膨張収縮しにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0121】
また、負極22が環状化合物と共に炭素材料および金属系材料のうちの一方または双方を含んでおり、それらの重量比が0.01〜0.99であれば、充放電時における負極活物質層22Bの膨張収縮が十分に抑制されながら、高い電池容量が得られるため、より高い効果を得ることができる。
からである。
【0122】
この他、円筒型のリチウムイオン二次電池に用いられる負極22によれば、その負極22が上記した環状化合物を含んでいる。よって、リチウムイオン二次電池に関して説明した場合と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。
【0123】
<2.リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用負極(ラミネートフィルム型)>
次に、本技術の一実施形態の他のリチウムイオン二次電池および本技術の一実施形態の他のリチウムイオン二次電池用負極に関して説明する。以下の説明では、随時、既に説明した円筒型のリチウムイオン二次電池の構成要素(
図1および
図2参照)を引用する。
【0124】
図3は、他のリチウムイオン二次電池の斜視構成を表していると共に、
図4は、
図3に示したIV−IV線に沿ったリチウムイオン二次電池の主要部(巻回電極体30)の断面構成を拡大している。ただし、
図4では、巻回電極体30と外装部材40とが互いに離間された状態を示している。
【0125】
<2−1.構成>
このリチウムイオン二次電池は、例えば、
図4に示したように、柔軟性(または可撓性)を有するフィルム状の外装部材40の内部に電池素子(巻回電極体30)が収納されたラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池である。
【0126】
巻回電極体30は、例えば、セパレータ35および電解質層36を介して正極33および負極34が互いに積層されたのち、その正極33、負極34、セパレータ35および電解質層36が巻回されることにより形成された構造体である。この巻回電極体30の表面は、例えば、保護テープ37により保護されている。電解質層36は、例えば、正極33とセパレータ35との間に介在していると共に、負極34とセパレータ35との間に介在している。
【0127】
正極33には、正極リード31が接続されており、その正極リード31は、外装部材40の内部から外部に向かって導出されている。正極リード31の形成材料は、例えば、正極リード25の形成材料と同様であり、その正極リード31の形状は、例えば、薄板状および網目状などである。
【0128】
負極34には、負極リード32が接続されており、その負極リード32は、外装部材40の内部から外部に向かって導出されている。負極リード32の導出方向は、例えば、正極リード31の導出方向と同じである。負極リード32の形成材料は、例えば、負極リード26の形成材料と同様であり、その負極リード32の形状は、例えば、正極リード31の形状と同様である。
【0129】
[外装部材]
外装部材40は、例えば、
図3に示した矢印Rの方向に折り畳み可能な1枚のフィルムである。外装部材40の一部には、例えば、巻回電極体30を収納するための窪み40Uが設けられている。
【0130】
この外装部材40は、例えば、内側から外側に向かって融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層された積層体(ラミネートフィルム)である。リチウムイオン二次電池の製造工程では、例えば、融着層同士が巻回電極体30を介して互いに対向するように外装部材40が折り畳まれたのち、その融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着される。融着層は、例えば、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含むフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウムなどの金属材料を含む金属箔である。表面保護層は、例えば、ナイロンなどの高分子化合物を含むフィルムである。ただし、外装部材40は、例えば、2枚のラミネートフィルムを含んでおり、その2枚のラミネートフィルムは、例えば、接着剤を介して互いに貼り合わされていてもよい。
【0131】
外装部材40と正極リード31との間には、例えば、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31に対して密着性を有する材料を含んでおり、その材料は、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
【0132】
外装部材40と負極リード32との間には、例えば、密着フィルム41と同様の機能を有する密着フィルム42が挿入されている。密着フィルム42の形成材料は、正極リード31の代わりに負極リード32に対する密着性を有することを除いて、密着フィルム41の形成材料と同様である。
【0133】
[正極、負極およびセパレータ]
正極33は、例えば、正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bを含んでいると共に、負極34は、例えば、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bを含んでいる。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bのそれぞれの構成は、例えば、正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bのそれぞれの構成と同様である。すなわち、負極34は、環状化合物を含んでおり、より具体的には、第1環状化合物、第2環状化合物および第3環状化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。また、セパレータ35の構成は、例えば、セパレータ23の構成と同様である。
【0134】
[電解質層]
電解質層36は、電解液と共に高分子化合物を含んでいる。ここで説明する電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質であるため、その電解質層36中では、高分子化合物により電解液が保持されている。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。ただし、電解質層36は、例えば、さらに、各種の添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0135】
(電解液および高分子化合物)
電解液の構成は、円筒型の二次電池に用いられる電解液の構成と同様である。高分子化合物は、例えば、単独重合体および共重合体のうちの一方または双方を含んでいる。単独重合体は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどである。共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。
【0136】
ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液に含まれる溶媒は、液状の材料だけでなく、電解質塩を解離可能であるイオン伝導性を有する材料も含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
【0137】
[電解液の使用]
なお、電解質層36の代わりに電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液が巻回電極体30(正極33、負極34およびセパレータ35)に含浸される。
【0138】
<2−2.動作>
このリチウムイオン二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極33からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵される。放電時には、負極34からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
【0139】
<2−3.製造方法>
電解質層36を備えたリチウムイオン二次電池は、例えば、以下で説明する3種類の手順により製造される。
【0140】
[第1手順]
最初に、正極21の作製手順と同様の手順により、正極33を作製すると共に、負極22の作製手順と同様の手順により、負極34を作製する。すなわち、正極33を作製する場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成すると共に、負極34を作製する場合には、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成する。
【0141】
続いて、円筒型の二次電池に用いられた電解液の調製方法と同様の手順により、電解液を調製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などとを混合することにより、前駆溶液を調製する。続いて、正極33に前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させることにより、電解質層36を形成すると共に、負極34に前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させることにより、電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて正極集電体33Aに正極リード31を接続させると共に、溶接法などを用いて負極集電体34Aに負極リード32を接続させる。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を互いに積層させたのち、その正極33、負極34およびセパレータ35を巻回させることにより、巻回電極体30を形成する。続いて、巻回電極体30の表面に保護テープ37を貼り付ける。
【0142】
最後に、巻回電極体30を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を互いに接着させる。この場合には、正極リード31と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入すると共に、負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム42を挿入する。これにより、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0143】
[第2手順]
最初に、正極33および負極34を作製したのち、正極33に正極リード31を接続させると共に、負極34に負極リード32を接続させる。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を互いに積層させたのち、その正極33、負極34およびセパレータ35を巻回させることにより、巻回体を形成する。続いて、巻回体の表面に保護テープ37を貼り付ける。続いて、巻回体を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40のうちの一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部同士を互いに接着させることにより、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。
【0144】
続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを混合したのち、その混合物を撹拌することにより、電解質用組成物を調製する。続いて、袋状の外装部材40の内部に電解質用組成物を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。最後に、モノマーを熱重合させることにより、高分子化合物を形成する。これにより、電解液が高分子化合物により保持されるため、電解質層36が形成される。よって、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0145】
[第3手順]
最初に、基材層に高分子化合物層が形成されたセパレータ35を用いることを除いて、上記した第2手順と同様の手順により、巻回体を作製したのち、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、外装部材40の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら、その外装部材40を加熱することにより、高分子化合物層を介してセパレータ35を正極33および負極34のそれぞれに密着させる。これにより、電解液が含浸された高分子化合物層はゲル化するため、電解質層36が形成される。よって、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0146】
この第3手順では、第1手順と比較して、リチウムイオン二次電池が膨れにくくなる。また、第3手順では、第2手順と比較して、溶媒およびモノマー(高分子化合物の原料)が電解質層36中に残存しにくくなるため、正極33、負極34およびセパレータ35のそれぞれと電解質層36とが十分に密着される。
【0147】
<2−4.作用および効果>
このラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池によれば、負極34が環状化合物、すなわち第1環状化合物、第2環状化合物および第3環状化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。よって、円筒型のリチウムイオン二次電池に関して説明した場合と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。
【0148】
なお、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池に関する他の作用および効果は、円筒型のリチウムイオン二次電池に関する他の作用および効果と同様である。
【0149】
<3.リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用負極の用途>
本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池の用途は、例えば、以下で説明する通りである。ただし、本技術のリチウムイオン二次電池用負極の用途は、リチウムイオン二次電池の用途と同様であるため、そのリチウムイオン二次電池用負極の用途に関しては、以下で併せて説明する。
【0150】
リチウムイオン二次電池の用途は、そのリチウムイオン二次電池を駆動用の電源および電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能である機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられるリチウムイオン二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、例えば、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。リチウムイオン二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類はリチウムイオン二次電池に限られない。
【0151】
リチウムイオン二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時に備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、リチウムイオン二次電池の用途は、上記した用途以外の他の用途でもよい。
【実施例】
【0152】
以下では、本技術の実施例に関して説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.リチウムイオン二次電池の作製
2.リチウムイオン二次電池の評価
3.考察
4.まとめ
【0153】
以下で説明するように、試験用のリチウムイオン二次電池を作製したのち、そのリチウムイオン二次電池の電池特性を評価した。
【0154】
<1.リチウムイオン二次電池の作製>
図5は、試験用の二次電池の断面構成を表している。この二次電池は、試験極51および対極52がセパレータ53を介して互いに積層されていると共に、試験極51が収容された外装缶54と対極52が収容された外装カップ55とがガスケット56を介して互いにかしめられたコイン型のリチウムイオン二次電池である。
【0155】
[試験極の作製]
試験極51を作製する場合には、最初に、負極活物質95質量部と、負極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)5質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを得た。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体(銅箔,厚さ=8μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層を形成した。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層を圧縮成型した。
【0156】
負極活物質としては、環状化合物、炭素材料、金属系材料および他の環状化合物を用いた。負極活物質の種類および組成(重量比)は、表1および表2に示した通りである。
【0157】
環状化合物としては、第1環状化合物(環状非金属配位化合物)と、第2環状化合物(クラウンエーテル型金属配位化合物)と、第3環状化合物(アザクラウンエーテル型金属配位化合物)とを用いた。環状非金属配位化合物、クラウンエーテル型金属配位化合物およびアザクラウンエーテル型金属配位化合物のそれぞれの種類は、表1に示した通りである。
【0158】
炭素材料としては、黒鉛(Gr)を用いると共に、金属系材料としては、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)を用いた。
【0159】
他の環状化合物としては、酸素含有環状化合物(クラウンエーテル(CE)およびクリプタンド(CRP))と、窒素含有環状化合物(サイクレン(CYC))と、酸素窒素含有環状化合物(4,10−ジアザ−12−クラウン4−エーテル(DACE))とを用いた。
【0160】
この場合には、必要に応じて、2種類の負極活物質を混合した。環状化合物と炭素材料とを用いた場合の重量比は、環状化合物および炭素材料に対する環状化合物の重量比である。環状化合物と金属系材料とを用いた場合の重量比は、環状化合物および金属系材料に対する環状化合物の重量比である。炭素材料および金属系材料を用いた場合の重量比は、炭素材料および金属系材料に対する金属系材料の重量比である。炭素材料と他の環状化合物とを用いた場合の重量比は、炭素材料および他の環状化合物に対する他の環状化合物の重量比である。
【0161】
[電解液の調製]
電解液を調製する場合には、溶媒(炭酸エチレンおよび炭酸ジエチル)に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム)を加えたのち、その溶媒を撹拌することにより、その電解質塩を溶解させた。この場合には、溶媒の混合比(重量比)を炭酸エチレン:炭酸ジエチル=30:70、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
【0162】
[二次電池の組み立て]
二次電池を組み立てる場合には、試験極51をペレット状に打ち抜いたのち、その正極51を外装缶54の内部に収容した。続いて、対極52(リチウム金属板,厚さ=100μm)をペレット状に打ち抜いたのち、その対極52を外装カップ55の内部に収容した。続いて、セパレータ53(多孔性ポリオレフィンフィルム,厚さ=23μm)を介して、外装缶54の内部に収容された試験極51と外装カップ55の内部に収容された対極52とを互いに積層させたのち、ガスケット56を介して外装缶54および外装カップ55を互いにかしめた。これにより、コイン型のリチウムイオン二次電池(電池容量=2.5mAh)が完成した。
【0163】
<2.リチウムイオン二次電池の評価>
リチウムイオン二次電池の電池特性(充放電特性および電気抵抗特性)を評価したところ、表1および表2に示した結果が得られた。
【0164】
[充放電特性]
充放電特性を調べる場合には、最初に、常温環境中(温度=25℃)においてリチウムイオン二次電池を充電させることにより、1サイクル目の充電容量(初回充電容量:mAh/g)を測定したのち、同環境中においてリチウムイオン二次電池を放電させることにより、1サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定した。
【0165】
続いて、同環境中においてリチウムイオン二次電池を充電させることにより、2サイクル目の充電容量(mAh/g)を測定したのち、同環境中においてリチウムイオン二次電池を放電させることにより、2サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定した。最後に、1サイクル目の放電容量の測定結果および2サイクル目の放電容量の測定結果に基づいて、放電効率(%)を算出した。この放電効率は、放電効率(%)=(2サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100により算出される。
【0166】
充電時には、0.2ItAの電流で電圧が0.05Vに到達するまで定電流充電したのち、0.05Vの電圧で電流が0.01ItAに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.2ItAの電流で電圧が1.5Vに到達するまで定電流放電した。0.2ItAとは、上記した電池容量を5時間で放電しきる電流値であると共に、0.01ItAとは、上記した電池容量を100時間で放電しきる電流値である。
【0167】
[電気抵抗特性]
電気抵抗特性を調べる場合には、常温環境中(温度=25℃)において充電率(SOC)が50%に到達するまでリチウムイオン二次電池を充電させたのち、電気化学測定装置(Bio−Logic社のマルチチャンネル電気化学測定システム VPM3)を用いてリチウムイオン二次電池のインピーダンス(Ω)を測定した。
【0168】
充電条件は、上記した充放電特性を調べた場合の充電条件と同様にした。インピーダンスの測定条件は、周波数範囲=1MHz〜10mHzおよび交流振幅(AC Amplitude)=10mVとした。これにより、周波数=10Hzにおけるインピーダンスを測定した。
【0169】
【表1】
【0170】
【表2】
【0171】
<3.考察>
以下では、表1および表2を参照しながら、負極活物質の構成と電池特性(充放電特性および電気抵抗特性)との関係に関して説明する。
【0172】
負極活物質として環状化合物を用いた場合(実験例3,5)には、インピーダンスが20%台に抑えられながら、約300mAh/gに至る高い初回充電容量が得られたと共に、80%以上に至る高い放電効率も得られた。
【0173】
このような傾向は、負極活物質として環状化合物と共に炭素材料および金属系材料を用いた場合(実験例1,2,4,6〜12)においても同様に得られた。より具体的には、負極活物質として環状化合物と共に炭素材料および金属系材料を用いた場合(1,2,4,6〜12)には、負極活物質として炭素材料および金属系材料だけを用いた場合(実験例13〜16)と比較して、ほぼ同等の初回充電容量、放電効率およびインピーダンスが得られた。
【0174】
なお、負極活物質として環状化合物を用いた場合(実験例1,2,4,6〜12)には、負極活物質として他の環状化合物を用いた場合(実験例18〜21)と比較して、初回充電容量、放電効率およびインピーダンスのうちのいずれか1つ以上が改善された。
【0175】
<4.まとめ>
これらのことから、負極が環状化合物を含んでいると、電気抵抗特性が担保されながら充放電特性が改善された。この理由は、負極活物質として機能する環状化合物により充放電時においてリチウムイオンが円滑かつ十分に吸蔵放出されたと共に、その充放電時において環状化合物により試験極51の膨張収縮が十分に抑制されたためであると考えられる。よって、リチウムイオン二次電において優れた電池特性が得られた。
【0176】
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の態様は、一実施形態および実施例において説明された態様に限定されないため、種々に変形可能である。
【0177】
具体的には、円筒型のリチウムイオン二次電池、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池およびコイン型のリチウムイオン二次電池に関して説明したが、これらに限られない。例えば、角型のリチウムイオン二次電池などの他のリチウムイオン二次電池でもよい。
【0178】
また、リチウムイオン二次電池に用いられる電池素子が巻回構造を有する場合に関して説明したが、これに限られない。例えば、電池素子が積層構造などの他の構造を有していてもよい。
【0179】
なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して他の効果が得られてもよい。
【0180】
また、当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲の趣旨およびその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。