(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802972
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】温風暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24D 19/10 20060101AFI20201214BHJP
F24D 19/00 20060101ALI20201214BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20201214BHJP
【FI】
F24D19/10 A
F24D19/00 D
F24F1/0007 331
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-187253(P2016-187253)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-54157(P2018-54157A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】西田 和弘
【審査官】
吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭48−005299(JP,B1)
【文献】
特開平04−113165(JP,A)
【文献】
実開昭63−087427(JP,U)
【文献】
実開昭63−049442(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0206541(US,A1)
【文献】
実開昭55−163611(JP,U)
【文献】
特開昭53−032946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 19/10
F24D 19/00
F24F 1/0007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込み口から吹出し口に到る空気流路を内部に形成している筐体と、
この筐体内に配され、かつ室内空気を前記吸込み口から前記空気流路に吸い込むとともに、前記筐体内に別途設けられた加熱部によって加熱された空気を前記吹出し口から吹き出す温風吹き出し動作を可能とするファンと、
前記筐体内のうち、前記加熱部および前記空気流路とは離間し、かつ前記筐体の外部とは通気孔を介して連通する箇所に配置された室温検出用の温度センサと、
この温度センサの設置箇所が前記ファンによる負圧領域となるように、前記温度センサの設置箇所またはその近傍領域を前記空気流路の吸引負圧発生領域と連通させる負圧連通部と、
を備えている、温風暖房装置であって、
前記筐体内には、前記筐体の横幅方向において、前記空気流路とこれに隣接する他の領域との間を仕切る仕切り壁部が設けられ、
前記温度センサは、前記横幅方向において、前記仕切り壁部を介して前記空気流路とは反対側の位置に設けられ、
前記負圧連通部は、前記仕切り壁部に貫通して設けられた開口部と、この開口部に一端が接続され、かつ他端が前記温度センサの設置箇所またはその近傍領域に位置するダクトと、を備え、
前記筐体は、前面部が開口した筐体本体と、この筐体本体の前面開口部を塞ぐ前面パネルとを組み合わせて構成されており、
前記温度センサの設置箇所またはその近傍領域から前記仕切り壁部まで延び、かつ前記前面パネルに対向するように前記筐体本体に設けられた起立壁部と、
この起立壁部に対向して開口し、かつ前記起立壁部と同方向に延びるように前記前面パネルの内面側に設けられた凹状部と、
をさらに備えており、
前記ダクトは、前記凹状部の開口部分が前記起立壁部によって塞がれるように前記前面パネルと前記起立壁部とが組み合わされて構成されていることを特徴とする、温風暖房装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温風暖房装置であって、
前記室温検出用の温度センサを利用して検出される温度が所定の目標温度以上であることにより、暖房運転を休止している期間中は、前記ファンが暖房運転時よりも低い回転数で間欠的または連続的に駆動するように構成されている、温風暖房装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温風暖房装置であって、
前記室温検出用の温度センサは、室内空気が前記通気孔から前記筐体内に流入してから前記負圧連通部に到るまでの空気流れ経路の途中、または前記空気流れ経路に面する箇所に位置するように設けられている、温風暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンコンベクタなどの温風暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ファンコンベクタの一例として、特許文献1に記載のものを先に提案している。
同文献に記載のファンコンベクタは、空気の吸込み口から吹出し口に到る空気流路を内部に形成している筐体、この筐体内に配されたファン、空気加熱用の熱交換器、および室温検出用の温度センサを備えている。ファンが駆動されることにより、室内空気が吸込み口から空気流路内に吸い込まれて熱交換器により加熱され、かつこれが温風として吹出し口から吹き出される。このようなファンコンベクタの運転時には、室温検出用の温度センサを利用して検出される温度が、所定の目標温度となるように制御される。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、ファンコンベクタの運転を適切に行なうには、暖房対象の部屋の室温が、温度センサを利用して正確に検出される必要がある。これに対し、特許文献1においては、温度センサが熱交換器の温水配管などから熱を受けることを防止したり、温度センサの設置箇所の上方に熱を逃がすための開口部を設けるなどの対策は採られているものの、筐体の外部の室内空気を温度センサに積極的に作用させるための手段は講じられていない。
具体的には、温度センサは、筐体の前面パネルに設けられた通気孔の正面に位置するように筐体内に配置されている。ところが、このような構成のみでは、筐体外部の室内空気が通気孔を通過して温度センサの設置箇所に積極的に流れ込む作用は得られない。したがって、温度センサを利用して検出される温度が実際の室温と正確に一致せず、暖房運転の最適化が困難となる場合がある。
たとえば、ファンコンベクタが部屋の隅に設置されている場合や、温風の吹出し口の前方に障害物がある場合には、筐体内の温度センサの設置箇所に温風の熱が籠り易くなる。この場合、部屋全体の室温は低いにも拘わらず、温度センサによる検出温度は高めの温度となる。これでは温風送風が不当に停止されてしまう。また、籠もった熱が温度センサの設置箇所に停滞し続けるために、温風送風開始時期が遅れる事態も生じ得る。とくに、熱交換器に温水を供給するための熱源機が他の温水暖房装置と共用され、熱交換器への温水供給のオン・オフ切り替えに熱動弁が用いられている場合には、熱動弁の閉動作に数分程度かかるため、その期間中は熱交換器への温水供給は継続する。このため、熱交換器からの放熱により、温度センサの設置箇所には熱が一層籠り易くなり、前記したような不具合はより顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−95069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、簡易な手段により、室温の検出精度を高め、適切な暖房運転を行なうことが可能なファンコンベクタなどの温風暖房装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される温風暖房装置は、空気の吸込み口から吹出し口に到る空気流路を内部に形成している筐体と、この筐体内に配され、かつ室内空気を前記吸込み口から前記空気流路に吸い込むとともに、前記筐体内に別途設けられた加熱部によって加熱された空気を前記吹出し口から吹き出す温風吹き出し動作を可能とするファンと、前記筐体内のうち、前記加熱部および前記空気流路とは離間し、かつ前記筐体の外部とは通気孔を介して連通する箇所に配置された室温検出用の温度センサと、
この温度センサの設置箇所が前記ファンによる負圧領域となるように、前記温度センサの設置箇所またはその近傍領域を前記空気流路の吸引負圧発生領域と連通させる負圧連通部
と、を備えている、温風暖房装置であって、前記筐体内には、前記筐体の横幅方向において、前記空気流路とこれに隣接する他の領域との間を仕切る仕切り壁部が設けられ、前記温度センサは、前記横幅方向において、前記仕切り壁部を介して前記空気流路とは反対側の位置に設けられ、前記負圧連通部は、前記仕切り壁部に貫通して設けられた開口部と、この開口部に一端が接続され、かつ他端が前記温度センサの設置箇所またはその近傍領域に位置するダクトと、を備え、前記筐体は、前面部が開口した筐体本体と、この筐体本体の前面開口部を塞ぐ前面パネルとを組み合わせて構成されており、前記温度センサの設置箇所またはその近傍領域から前記仕切り壁部まで延び、かつ前記前面パネルに対向するように前記筐体本体に設けられた起立壁部と、この起立壁部に対向して開口し、かつ前記起立壁部と同方向に延びるように前記前面パネルの内面側に設けられた凹状部と、をさらに備えており、前記ダクトは、前記凹状部の開口部分が前記起立壁部によって塞がれるように前記前面パネルと前記起立壁部とが組み合わされて構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ファンの駆動時においては、温度センサの設置箇所の空気が空気流路の吸引負圧発生領域に吸気されることとなり、温度センサの設置箇所に熱が籠らないようにすることができる。また、室内空気を通気孔から筐体内の温度センサの設置箇所に積極的に流入させることもできる。その結果、温度センサを利用して検出される温度が、実際の室温よりも高くなるようなことを抑制し、室温の検出精度を高くすることができる。したがって、温風暖房装置の運転の最適化、またはこれに近い適切な運転状態を実現することができる。
またこのような構成によれば、簡易な構成により、温度センサの設置箇所を負圧領域とし、製造コストの上昇などを抑制することができる。
さらにこのような構成によれば、温度センサの設置箇所を負圧領域とするためのダクトを、前面パネルを利用して合理的に構成することができ、製造コストの上昇を抑制する上で一層好ましい。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記室温検出用の温度センサを利用して検出される温度が所定の目標温度以上であることにより、暖房運転を休止している期間中は、前記ファンが暖房運転時よりも低い回転数で間欠的または連続的に駆動するように構成されている。
【0011】
このような構成によれば、暖房運転の休止期間中(温風吹き出し動作の停止期間中)であっても、温度センサの設置箇所を負圧とし、温度センサの設置箇所への熱の籠り防止、および温度センサの設置箇所への室内空気の流入促進を図ることができる。したがって、室温の検出誤差に起因して、暖房運転の再スタート時期が遅くなるといった不具合を生じないようにすることが可能である。また、ファンの回転数は、暖房運転時よりも低い回転数とされるため、省エネを図ることができる他、次のように、ユーザに違和感を与えないようにすることもできる。すなわち、前記構成とは異なり、暖房運転の休止中であるにも拘わらず、ファンを高い回転数で駆動させたのでは、吹出し口からのエア送風量が多く、その際の送風音なども大きくなるため、ユーザは未だに暖房運転が行なわれていると勘違いする可能性が高い。これに対し、前記構成によれば、そのようなことを適切に回避することが可能である。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記室温検出用の温度センサは、室内空気が前記通気孔から前記筐体内に流入してから前記負圧連通部に到るまでの空気流れ経路の途中、または前記空気流れ経路に面する箇所に位置するように設けられている。
【0013】
このような構成によれば、室温検出の精度を高める上で一層好ましいものとなる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る温風暖房装置の一例であるファンコンベクタの斜視図である。
【
図3】
図1に示すファンコンベクタの前面パネルを取り外した状態の要部斜視図である。
【
図4】(a)は、
図3に示した構造において前面パネルを組み付けた状態での要部正面断面図であり、(b)は、(a)のIVb−IVb断面図であり、(c)は、(a)のIVc−IVc断面図である。
【
図5】
図1に示すファンコンベクタにおいて実行される動作制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
ファンコンベクタの他の例を示し、(a)は、前面パネルを取り外した状態での要部斜視図であり、(b)は、前面パネルを取り付けた状態での要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1および
図2に示すファンコンベクタAは、本発明に係る温風暖房装置の一例に相当し、筐体1、この筐体1内に配されたファン2、および熱交換器3を備えている。さらには、
図3および
図4に示す室温検出用の温度センサ4、および
図4に示す負圧連通部Bも備えている。
【0022】
ファンコンベクタAの全体の基本的な構成は、特許文献1と同様であり、この点については簡単に説明する。すなわち、筐体1は、前面開口状の筐体本体部1aと、この筐体本体部1aの前面開口部を閉塞する前面パネル1bとを組み合わせて構成されており、前面パネル1bは筐体本体部1aに着脱可能である。筐体1の前面部には、室内空気の吸込み口50、複数のルーバ52が設けられた温風の吹出し口51、および室温検出用の通気孔10が設けられており、
図2に示すように、筐体1内には、吸込み口50から吹出し口51に到る空気流路5が形成されている。
【0023】
熱交換器3およびファン2は、空気流路5の途中位置に配されている。熱交換器3は、本発明でいう「加熱部」の一例に相当し、フィンチューブタイプのものが用いられている
。図示説明は省略するが、熱交換器3には、熱源機を利用して加熱された温水が供給され、この熱交換器3の発熱のオン・オフは、前記熱源機の運転のオン・オフ、あるいは熱交換器3に接続された温水供給用配管に取り付けられた熱動弁などの弁の開閉により行なわれる。ファン2は、
図3に示すモータMにより駆動回転され、このファン2の駆動回転により、吸込み口50から空気流路5内に吸い込まれた空気は、熱交換器3を通過して加熱され、かつこの空気が吹出し口51から温風として吹き出される。
【0024】
図3および
図4において、室温検出用の温度センサ4は、たとえばサーミスタであり、その配線コード40は、ファンコンベクタAの各部の動作制御を実行するコントローラ(不図示)に接続されている。温度センサ4は、熱交換器3および空気流路5から離間した位置であって、筐体1内のうち、通気孔10の奥部に設けられている。より具体的には、筐体本体部1aのうち、通気孔10に対向する箇所には、たとえば上下高さ方向に起立したプレート状のセンサブラケット部6が設けられており、その前面側に温度センサ4が取り付けられている。センサブラケット部6は、温度センサ4を固定するための固定具60、および複数の貫通孔61を有している。また、センサブラケット部6は、たとえばモータMが載設された上側支持板部12と、その下方に位置する下側支持板部13との双方または一方に繋がって設けられている。温度センサ4の設置箇所は、その前方に通気孔10が設けられている点、および上側支持板部12に切欠き状または非切欠き状の開口部12aが設けられている点を除き、ある程度の気密性をもつ空間領域とされている。なお、上側支持板部12に設けられた開口部12aは、温度センサ4の設置箇所およびその周辺の熱(温度が高い空気)を上側支持板部12の上方に逃がすことが可能な部位であり、ファン2の駆動停止時において、温度センサ4の設置箇所に熱が籠もることを抑制する役割を果たす。
【0025】
図4に示す負圧連通部Bは、ファン2の駆動時に、温度センサ4の設置箇所が負圧領域となるように、温度センサ4の設置箇所またはその近傍領域を空気流路5の吸引負圧発生領域5aと連通させるための部分である。吸引負圧発生領域5aは、空気流路5のうち、ファン2よりも空気流れ方向上流側の領域である。
【0026】
負圧連通部Bは、仕切り壁部14に設けられた開口部14aと、ダクト7とを組み合わせて構成されている。より具体的には、ファン2の設置領域(空気流路5)とモータMの設置領域との間には、これらの間を仕切る仕切り壁部14が設けられているが、この仕切り壁部14には、筐体1の左右横幅方向に貫通した開口部14aが設けられている。ダクト7は、一端が開口部14aに接続され、かつ他端が温度センサ4の上部または上方に位置して開口するように設けられたものである。したがって、ファン2が駆動回転した際には、ファン2の吸引負圧作用が、温度センサ4の設置箇所およびその周辺領域にも及ぶこととなる。
【0027】
ダクト7は、上側支持板部12の上面上に起立して設けられた起立壁部70と、前面パネル1bとの組み合わせにより構成されている。起立壁部70は、温度センサ4の取り付け箇所の上部または上方の位置から仕切り壁部14まで延び、かつ前面パネル1bに対向するように設けられた部分である。これに対し、前面パネル1bの内面側には、上下2つの突起部71a,71bが突設され、これらの突起部71a,71bの相互間領域は、起立壁部70に対向して開口し、かつ起立壁部70と同方向に延びる凹状部72とされている。前面パネル1bが筐体本体部1aに取り付けられた状態においては、凹状部72の開口部分が、起立壁部70によって塞がれ、この凹状部72を内部空洞部とするダクト7が構成されている。
【0028】
次に、前記したファンコンベクタAの作用について説明する。
【0029】
まず、ファン2を駆動させた際には、温度センサ4の設置箇所およびその付近の空気が、負圧連通部Bを介して空気流路5の吸引負圧発生領域5aに吸気される。このため、温度センサ4の設置箇所およびその周辺領域に、熱が籠らないようにすることができる。また、室内空気が通気孔10を通過して温度センサ4の設置箇所に積極的に流入する。その結果、温度センサ4を利用した検出温度が、実際の室温よりも高くなるようなことを抑制し、室温の検出精度を高くすることができる。したがって、ファンコンベクタAの運転制御を適切に行なうことが可能である。本実施形態では、
図4(b)に示すように、温度センサ4は、室内空気が通気孔10を通過して筐体1内に流入して負圧連通部Bに到る空気流れ経路に面するように設けられている。このため、室内空気が温度センサ4に直接触れる度合いが高くなり、室温の検出をより高精度に、かつ反応性よく行なうことが可能である。
【0030】
ファンコンベクタAは、
図5のフローチャートに示すような動作制御を実行するように構成されており、以下この点について説明する。
【0031】
まず、ファンコンベクタAが運転オン(電源オン)状態に設定されると、室温検出用の温度センサ4を利用した室温の検出がなされ、この検出温度が予め設定された目標温度未満であれば、暖房運転が開始される(S1:YES,S2:YES,S3)。この暖房運転は、熱交換器3がオン状態(熱交換器3への温水供給状態)、ファン2が駆動状態であり、ファン2の回転速度は、暖房運転用に設定された通常の回転速度である。
【0032】
前記とは異なり、運転オンの設定時において、温度センサ4を利用した検出温度が元々目標温度以上である場合、あるいは前記した暖房運転が行なわれた結果、検出温度が目標温度以上に達した場合には、暖房運転は休止状態とされる(S2:NO,S4)。この暖房運転の休止状態は、熱交換器3がオフ、ファン2が駆動停止の状態である。この暖房運転の休止時において、検出温度が目標温度未満に低下した場合には、暖房運転の再開が行なわれる(S5:YES,S3)。
【0033】
これに対し、所定の第1の時間T1(たとえば、90秒)内に、検出温度が目標温度未満に低下しない場合には、ファン2が低速で駆動される(S5:NO,S6:YES,S7)。このファン2の駆動により、検出温度が目標温度未満に低下すると、暖房運転が再開されるが(S8:YES,S3)、これとは異なり、所定の第2の時間T2(たとえば、60秒)内に、検出温度が目標温度未満に低下しない場合には、ファン2が停止される(S8:NO,S9:YES,S4)。このようなことから、暖房運転の休止中において、検出温度が目標温度未満に低下しない場合には、第2の時間T2のファン2の低速駆動期間と、第1の時間T1のファン2の停止期間とが繰り返されることとなり、この期間中に検出温度が目標温度未満になれば、暖房運転が再開される。
【0034】
前記したように、暖房運転の休止中であるにも拘わらず、ファン2が回転されれば、この期間中においても、温度センサ4の設置箇所への熱の籠りなどを防止し、室温の検出を正確に行なうことが可能である。したがって、実際には、室温が目標温度未満まで低下しているにも拘わらず、熱の籠りに起因して、暖房運転の再開が遅れるといった不具合を防止することが可能である。暖房運転の休止中におけるファン2の回転速度は、低速とされているため、このファン2の回転が、暖房運転時の回転であるとユーザが勘違いするような虞を少なくすることが可能である。また、ファン2が低速かつ間欠的に駆動されれば、省エネ効果も高いものとすることができる。
なお、暖房運転停止中において、ファン2は、前記したような間欠的な駆動に代えて、連続的な駆動とすることも可能である。
【0035】
図6は、
ファンコンベクタの他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0036】
図6に示す実施形態においては、センサブラケット部6に、温度センサ4に対向する開口部66が設けられ、かつこの開口部66と仕切り壁部14の開口部14aとが、ホース7Aを介して接続されている。本実施形態では、負圧連通部Bがホース7Aを用いて構成されている。このような構成であっても、前記実施形態と同様な作用を得ることが可能である。なお、本実施形態では、温度センサ4は、室内空気が通気孔10を通過してホース7Aに到る空気流れ経路の途中に設けられているため、やはり温度センサ4に室内空気が直接触れ易く、室温の検出を高精度に、かつ反応性よく行なうことが可能である。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温風暖房装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0038】
本発明に係る温風暖房装置は、ファンコンベクタに限定されない。本発明でいう「加熱部」としては、熱交換器に代えて、たとえばバーナや電熱ヒータなどを用いることが可能である。したがって、ガス温風暖房装置、石油温風暖房装置、あるいは電熱ヒータ式温風暖房装置として構成することもできる。
【符号の説明】
【0039】
A ファンコンベクタ(温度センサ)
B 負圧連通部
1 筐体
14 仕切り壁部
14a 開口部
2 ファン
3 熱交換器(加熱部)
4 温度センサ(室温検出用の)
5 空気流路
5a 吸引負圧発生領域(空気流路の)
50 吸込み口
51 吹出し口
7 ダクト
7A ホース