(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等の表示装置において、画像を構成する最小単位である画素は、例えば、赤、緑、青の3個の副画素で1個の画素が構成されており、カラーフィルタの赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層が、それぞれ、対応する副画素領域に配置される。なお、カラーフィルタが表示装置に配置される際には、その透明基板側が観察者側になるように配置される。
【0003】
図6は、カラーフィルタの着色層の配置例を示す図である。
図6に示すように、配置例として、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型が知られている。なお、
図6において、R、G、Bは、それぞれ、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層に相当する。
【0004】
そして、カラーフィルタの各着色層の間には、主に不要な光の漏れを防ぐ目的で、副画素領域に応じた開口領域を有し、カラーフィルタの各着色層間を遮光するブラックマトリックス層が設けられる。
【0005】
図7は、従来のカラーフィルタの一例を示す図である。ここで、
図7(a)は、要部の概略平面図を示し、
図7(b)は、
図7(a)におけるC−C線断面図を示し、
図7(c)は、
図7(a)におけるD−D線断面図を示す。
また、
図8は、従来のカラーフィルタの製造方法の工程例を示す図である。
【0006】
従来、表示装置用のカラーフィルタとしては、例えば、
図7に示すカラーフィルタ101のように、ガラス等の透明基板111の上にブラックマトリックス層112を有し、透明基板111及びブラックマトリックス層112の上に複数色の着色層113を有し、その上にオーバーコート層115を有する構成のカラーフィルタが用いられてきた。複数色の着色層113は、例えば、赤色の着色層113R、緑色の着色層113G、青色の着色層113Bを含むものである。
なお、
図7においては省略しているが、オーバーコート層115の上には、柱状スペーサが設けられていてもよい。
【0007】
そして、
図7に示すカラーフィルタ101を製造する方法としては、例えば、
図8(a)に示すように、まず、透明基板111の上にブラックマトリックス層112を形成し、その後、
図8(b)に示すように、ブラックマトリックス層112の各開口領域116に応じて、赤色の着色層113R、緑色の着色層113G、青色の着色層113Bをそれぞれ形成する方法が用いられてきた。
【0008】
ここで、ブラックマトリックス層112の形成方法としては、例えば、透明基板111の上に、感光性樹脂中に黒色色材を分散させたものを塗布し、フォトリソグラフィ法により、所望の開口領域を含むブラックマトリックス層を形成する方法を用いることができる。
【0009】
なお、
図8においては省略しているが、通常、着色層113を形成した後には、オーバーコート層が形成される。また、通常、オーバーコート層の上には、柱状スペーサが設けられる。
【0010】
また、
図8(a)に示すように、通常、ブラックマトリックス層112を形成する工程で、アライメントマーク117や外周遮光部118も形成する。このアライメントマーク117を用いて、各着色層を形成する際の位置合わせを行う。
【0011】
また、近年開発が進む有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置のように、視野角が大きい表示装置においては、表示画像の色ずれ(視差混色)を防止することが可能なカラーフィルタとして、透明基板と着色層の間ではなく、着色層の上に、上記のような、ブラックマトリックス層を設けた構成のカラーフィルタも提案されている(例えば、特許文献1)。
【0012】
ここで、上記の視差混色とは、ある副画素領域の光が、隣接する副画素領域の着色層に直接入射する、あるいは、その副画素領域の着色層を透過して隣接する副画素領域の着色層に入射するというような、隣接する副画素領域への光漏れに起因して、見る方向によって表示画像の色ずれ(視差混色)が発生するという現象である。
【0013】
図9は、従来のカラーフィルタを用いた表示装置の一例を示す概略断面図である。
例えば、
図9に示すように、
図7に示す従来のカラーフィルタ101を用いた表示装置102において、有機EL素子基板120の発光層123Rからの光の大半は、光線L101のように赤色の着色層113Rを透過して観察者側に出射されるが、発光層123Rから斜め方向に放射される一部の光は、光線L102のように、赤色の着色層113Rに隣接する緑色の着色層113Gに入射し、緑色の着色層113Gを透過して観察者側に出射してしまう。特に、このような光線L102が原因で、斜め方向から見たときに表示画像の色ずれ(視差混色)が発生していた。
【0014】
そこで、上記のような光漏れによる色ずれ(視差混色)を防止することが可能なカラーフィルタとして、特許文献1のように、透明基板の上に、先に複数色の着色層を形成し、その上に、隣接する着色層の間を埋めて、断面略T字状となるブラックマトリックス層を形成した構成を有するカラーフィルタが提案されている。
【0015】
図10は、従来のカラーフィルタを用いた表示装置の他の例を示す概略断面図である。すなわち、
図10は、上記のような、着色層の上にブラックマトリックス層を形成した構成を有するカラーフィルタを用いた表示装置の例を示す概略断面図である。
例えば、
図10に示すように、上記のように、着色層の上にブラックマトリックス層を形成した構成を有するカラーフィルタ201を用いた表示装置202においては、有機EL素子基板220の発光層223Rから斜め方向に放射される光線L202は、赤色の着色層213Rと緑色の着色層213Gの間を埋めて断面略T字状(
図10においては逆T字状)となるブラックマトリックス層212で吸収される。それゆえ、光線L202が緑色の着色層213Gを透過して観察者側に出射するということを防止でき、斜め方向から見たときの表示画像の色ずれ(視差混色)を抑制することができる。
なお、
図10における光線L201、L202は、
図9に示す光線L101、L102に相当するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来のように、副画素領域に応じた開口領域を有するブラックマトリックス層が形成されたカラーフィルタ、換言すれば、同一層として、開口領域のコーナー部を有するブラックマトリックス層が形成された従来のカラーフィルタにおいては、コーナー部の形状が設計よりも丸みを帯びたものになってしまい、開口率が低下してしまうという問題がある。
これは、着色層の上に、上記のような、ブラックマトリックス層を設けた構成のカラーフィルタにおいても同様に生じる問題である。
なお、上記の開口率とは、表示装置の副画素の面積に対して、カラーフィルタにおける光の通る領域(開口領域)の割合をいう。
【0018】
図11は、従来のカラーフィルタの開口領域のコーナー部の一例を示す図である。ここで、
図11(a)は、要部の概略平面図を示し、
図11(b)は、
図11(a)に示す開口領域のコーナー部の拡大図を示す。なお、
図11においては、説明を容易とするために、要部となるブラックマトリックス層112の形態を主に示し、その他の構成、例えば、着色層等は省略している。
【0019】
例えば、
図11に示す例において、ブラックマトリックス層112の開口領域116のコーナー部は、図中X方向でW
Xの範囲、図中Y方向でW
Yの範囲において、丸みを帯びたものになっている。
これは、従来のカラーフィルタにおけるブラックマトリックス層の形成方法が、フォトリソグラフィ法により、感光性樹脂パターンとして、所望の開口領域を含むパターン状のブラックマトリックス層を形成する方法を用いているためである。
つまり、液体を用いて感光性樹脂パターンを形成する方法、より具体的には、現像液等を用いて露光により硬化した感光性樹脂パターンを残し、未硬化の感光性樹脂を除去する方法では、略矩形状の開口パターンである開口領域のコーナー部の丸みを、完全に無くすことが困難であり、開口領域の微細化が進むに伴って、この丸みが、品質上、無視できなくなってきている。
例えば、
図11に示すW
X、W
Yの値が共に4μm程度の場合に、開口率が2%〜5%程度低下してしまう場合がある。
【0020】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、開口領域のコーナー部に丸みが生じることを解消し、開口率の低下を防止することができるカラーフィルタ、該カラーフィルタを用いた表示装置、および、該カラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、表示装置に用いられるカラーフィルタであって、透明基板の上に、第1の遮光パターン、着色層、及び、第2の遮光パターンがこの順で設けられており、平面視において、前記第1の遮光パターンと前記第2の遮光パターンにより、前記カラーフィルタの開口領域が画定されており、前記第1の遮光パターンと前記第2の遮光パターンが交差することにより、前記カラーフィルタの開口領域のコーナー部が構成されていることを特徴とする、カラーフィルタである。
【0022】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記第1の遮光パターンの線幅が、前記第2の遮光パターンの線幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0023】
また、本発明の請求項3に係る発明は、平面視において、前記透明基板の一方向に同じ色の前記着色層が設けられており、該同じ色の着色層が配設されている方向に沿って、前記第2の遮光パターンが設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタである。
【0024】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記表示装置が、有機EL表示装置であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタである。
【0025】
また、本発明の請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタを用いて、表示部が形成されていることを特徴とする、表示装置である。
【0026】
また、本発明の請求項6に係る発明は、表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法であって、透明基板の上に、第1の遮光パターンを形成する工程と、着色層を形成する工程と、第2の遮光パターンを形成する工程と、を順に備えており、平面視において、前記第1の遮光パターンと前記第2の遮光パターンにより、前記カラーフィルタの開口領域を画定し、前記第1の遮光パターンと前記第2の遮光パターンを交差させることにより、前記カラーフィルタの開口領域のコーナー部を構成することを特徴とする、カラーフィルタの製造方法である。
【0027】
また、本発明の請求項7に係る発明は、前記第1の遮光パターンの線幅を、前記第2の遮光パターンの線幅よりも大きく形成することを特徴とする、請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0028】
また、本発明の請求項8に係る発明は、前記着色層を形成する工程が、平面視において、前記透明基板の一方向に同じ色の前記着色層を形成する工程を備えており、前記第2の遮光パターンを形成する工程が、前記同じ色の着色層が形成した方向に沿って、前記第2の遮光パターンを形成する工程を備えていることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0029】
また、本発明の請求項9に係る発明は、前記第1の遮光パターンを形成する工程が、アライメントマークを形成する工程を含んでいることを特徴とする、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るカラーフィルタによれば、開口領域のコーナー部に丸みが生じることを解消し、開口率の低下を防止することができる。
【0031】
また、本発明に係る表示装置によれば、カラーフィルタの開口領域のコーナー部に丸みが生じることに起因する開口率の低下を防止することができ、高精細化が進んで画素サイズが微細化しても、高輝度な表示装置とすることができる。
【0032】
また、本発明に係るカラーフィルタの製造方法によれば、カラーフィルタの開口領域のコーナー部に丸みが生じることを解消することができ、開口率の低下を防止したカラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<カラーフィルタ、及び、カラーフィルタの製造方法>
(カラーフィルタ)
まず、本発明に係るカラーフィルタについて説明する。
図1は、本発明に係るカラーフィルタの一例を示す図である。ここで、
図1(a)は、要部の概略平面図を示し、
図1(b)は、
図1(a)におけるA−A線断面図を示し、
図1(c)は、
図1(a)におけるB−B線断面図を示す。
【0035】
図1に示すように、カラーフィルタ1においては、透明基板11の上に、第1の遮光パターン12、複数色の着色層13、及び、第2の遮光パターン14がこの順で設けられている。
【0036】
より詳しくは、カラーフィルタ1においては、
図1(a)、(c)に示すように、透明基板11の上に、まず、第1の遮光パターン12が設けられており、次いで、透明基板11及び第1の遮光パターン12の上に、複数色の着色層13が設けられている。さらに、
図1(a)、(b)に示すように、着色層13の上に、隣接する着色層13の間を埋めて、断面略T字状となる第2の遮光パターン14が設けられている。
【0037】
図1(a)に示す例において、第1の遮光パターン12は、図中X方向に伸びるラインアンドスペース状のパターンであり、第2の遮光パターン14は、図中Y方向に伸びるラインアンドスペース状のパターンである。
【0038】
複数色の着色層13は、赤色の着色層13R、緑色の着色層13G、青色の着色層13Bを含んでいる。
【0039】
また、カラーフィルタ1においては、着色層13や第2の遮光パターン14の保護等の目的で、着色層13及び第2の遮光パターン14の上に、オーバーコート層15が設けられている。
【0040】
なお、
図1においては省略しているが、オーバーコート層15の上には、柱状スペーサが設けられていてもよい。
【0041】
そして、
図1(a)〜(c)に示すように、第1の遮光パターン12と第2の遮光パターン14により、カラーフィルタ1の開口領域16が画定されており、第1の遮光パターン12と第2の遮光パターン14が交差することにより、カラーフィルタ1の開口領域16のコーナー部が構成されている。
【0042】
(カラーフィルタの製造方法)
次に、本発明に係るカラーフィルタの製造方法について説明する。
図1に示すカラーフィルタ1を製造する方法としては、例えば、透明基板11の上に、第1の遮光パターン12を形成する工程と、複数色の着色層13を形成する工程と、第2の遮光パターン14を形成する工程と、を順に備えており、平面視において、第1の遮光パターン12と第2の遮光パターン14により、カラーフィルタ1の開口領域16を画定し、第1の遮光パターン12と第2の遮光パターン14を交差させることにより、カラーフィルタ1の開口領域16のコーナー部を構成する方法を用いることができる。
【0043】
図2は、本発明に係るカラーフィルタの製造方法の工程例を示す図である。
図1に示すカラーフィルタ1を製造するには、例えば、
図2(a)に示すように、まず、透明基板11の上に第1の遮光パターン12を形成し、次に、
図2(b)に示すように、透明基板11及び第1の遮光パターン12の上に、赤色の着色層13R、緑色の着色層13G、青色の着色層13Bをそれぞれ形成し、その後、
図2(c)に示すように、平面視上、第1の遮光パターン12と交差する形態を有する第2の遮光パターン14を形成する。
【0044】
第1の遮光パターン12及び第2の遮光パターン14の形成方法としては、例えば、従来のブラックマトリックス層の形成方法と同様に、感光性樹脂中に黒色色材を分散させたものを塗布し、フォトリソグラフィ法により、所望のパターン形状の第1の遮光パターン12及び第2の遮光パターン14を形成する方法を用いることができる。
【0045】
なお、
図2においては省略しているが、通常、第2の遮光パターン14を形成した後には、オーバーコート層が形成される。また、通常、オーバーコート層の上には、柱状スペーサが設けられる。
【0046】
また、
図2(a)に示すように、第1の遮光パターン12を形成する工程で、アライメントマーク17や外周遮光部18も形成することが好ましい。
工程を増やすことなく、アライメントマーク17等を形成することができ、このアライメントマーク17を用いて、複数色の着色層13を形成する際の位置合わせや、第2の遮光パターン14を形成する際の位置合わせを行うことができるからである。
【0047】
なお上記限らず、本発明においては、第1の遮光パターン12を形成する工程とは別に、着色層13を形成する工程の前に、透明基板11の上に、アライメントマーク17や外周遮光部18を形成する工程を備えていても良い。また、アライメントマーク17や外周遮光部18を形成した透明基板を、透明基板11として準備しても良い。
【0048】
(コーナー部について)
次に、本発明に係るカラーフィルタの開口領域のコーナー部について説明する。
図3は、本発明に係るカラーフィルタの開口領域のコーナー部の一例を示す図である。ここで、
図3(a)は、要部の概略平面図を示し、
図3(b)は、
図3(a)に示す開口領域のコーナー部の拡大図を示す。なお、
図3においては、説明を容易とするために、要部となる第1の遮光パターン12及び第2の遮光パターン14の形態を主に示し、その他の構成、例えば、着色層等は図示を省略している。
【0049】
図3に示すように、カラーフィルタ1においては、第1の遮光パターン12と第2の遮光パターン14により、開口領域16が画定されており、第1の遮光パターン12と第2の遮光パターン14が交差することにより、開口領域16のコーナー部が構成されている。
そして、第1の遮光パターン12、第2の遮光パターン14のそれぞれは、コーナー部を有していない。
それゆえ、第1の遮光パターン12及び第2の遮光パターン14の形成方法に係わらず、コーナー部に丸みを生じるということは、生じ得ない。
【0050】
例えば、第1の遮光パターン12及び第2の遮光パターン14の形成方法として、従来のカラーフィルタにおけるブラックマトリックス層の形成方法と同様のフォトリソグラフィ法、より具体的には、現像液等を用いて露光により硬化した感光性樹脂パターンを残し、未硬化の感光性樹脂を除去する方法を用いても、開口領域16のコーナー部に丸みを生じることはない。
【0051】
したがって、本発明に係るカラーフィルタによれば、開口領域のコーナー部に丸みが生じることを解消し、開口率の低下を防止することができる。
また、本発明に係るカラーフィルタの製造方法によれば、カラーフィルタの開口領域のコーナー部に丸みが生じることを解消することができ、開口率の低下を防止したカラーフィルタを製造することができる。
【0052】
(他の形態について)
なお、
図1に示すカラーフィルタ1においては、本発明に係るカラーフィルタの一例として、
図6(a)に示すストライプ型のように、平面視において、透明基板11の一方向に同じ色の着色層13が設けられており、同じ色の着色層13が配設されている方向に沿って、第2の遮光パターン14が設けられている形態を例示し、開口領域16の平面形状も矩形状の形態を例示したが、本発明は、この形態に限定されない。
本発明は、カラーフィルタの開口領域が、第1の遮光パターンと第2の遮光パターンにより画定されており、第1の遮光パターンと第2の遮光パターンが交差することにより、開口領域のコーナー部が構成されている形態であれば適応可能であり、各種の配置形態、各種の開口領域形状に適用できる。
【0053】
また、
図1に示すカラーフィルタ1においては、本発明に係るカラーフィルタの一例として、第1の遮光パターン12の線幅が、第2の遮光パターン14の線幅よりも大きい形態を例示したが、本発明は、この形態に限定されず、第1の遮光パターン12の線幅が、第2の遮光パターン14の線幅よりも小さい形態であってもよく、また、第1の遮光パターン12の線幅が、第2の遮光パターン14の線幅と同じ形態であってもよい。
【0054】
ただし、液晶表示装置等においては、通常、TFTのゲート線部の形成領域の方が、TFTのソース線部の形成領域よりも大きい幅の領域となるため、開口率を高くするには、このゲート線部の形成領域に応じる遮光パターンの線幅を大きくし、ソース線部の形成領域に応じる遮光パターンの線幅を小さくすることが好ましい。
【0055】
(従来との比較)
図4は、本発明に係るカラーフィルタと従来のカラーフィルタとの比較を示す図である。
ここで、図中上段は、本発明に係るカラーフィルタに係るものであり、(a−1)は開口領域の設計形態、(a−2)は本発明の開口領域の全体写真、(a−3)は(a−2)に示す開口領域のコーナー部拡大写真をそれぞれ示す。
また、図中下段は、従来のカラーフィルタに係るものであり、(b−1)は開口領域の設計形態、(b−2)は従来の開口領域の全体写真、(b−3)は(b−2)に示す開口領域のコーナー部拡大写真をそれぞれ示す。
【0056】
なお、
図4(a−1)と
図4(b−1)は同じものである。また、上記従来のカラーフィルタは、
図7に示すカラーフィルタ101のように、透明基板の上に、同一層として、開口領域のコーナー部を有するブラックマトリックス層が形成されたカラーフィルタである。
【0057】
図4(b−2)、(b−3)に示すように、従来のカラーフィルタにおいては、コーナー部の形状が設計よりも丸みを帯びたものになってしまい、設計よりも開口率が5%低下したものであった。
【0058】
一方、
図4(a−2)、(a−3)に示すように、本発明に係るカラーフィルタにおいては、コーナー部に丸みが生じることを解消しており、設計通りの開口率を達成できるものであった。
【0059】
以下、本発明に係るカラーフィルタにおける各構成について、詳しく説明する。
【0060】
(透明基板)
透明基板は、上記の第1の遮光パターン、複数色の着色層、第2の遮光パターン、オーバーコート層等を支持するものである。
【0061】
透明基板の材料としては、一般的にカラーフィルタに用いられているものであれば用いることができ、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する樹脂基板等を挙げることができる。
【0062】
例えば、無機基板の場合、無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、表示装置用のカラーフィルタの透明基板として好適に用いることができるからである。
【0063】
(第1の遮光パターン及び第2の遮光パターン)
第1の遮光パターン及び第2の遮光パターンは、不要な光の漏れを防ぐものであり、その材料としては、従来のカラーフィルタに用いられるブラックマトリックス層と同様とすることができ、例えば、バインダ樹脂中に黒色色材を分散させたものを用いることができる。
【0064】
黒色色材としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。バインダ樹脂は、第1の遮光パターン及び第2の遮光パターンの形成方法に応じて適宜選択される。
【0065】
フォトリソグラフィ法の場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
【0066】
また、印刷法やインクジェット法の場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0067】
第1の遮光パターン及び第2の遮光パターンには、必要に応じて光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
【0068】
第1の遮光パターン及び第2の遮光パターンの膜厚は、カラーフィルタにおける一般的なブラックマトリックス層の膜厚と同様とすることができ、例えば0.5μm以上2.5μm以下の範囲内で設定することができる。
【0069】
第1の遮光パターン及び第2の遮光パターンにより画定される開口領域の形状は特に限定されるものではなく、例えばストライプ形状、くの字形状、デルタ配列等のように着色層の配列を変えたものも挙げられる。
【0070】
(着色層)
着色層は、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層を含むものであるが、この赤、緑、青の3色を少なくとも含むものであればよく、例えば、赤、緑、青の3色、赤、緑、青、黄の4色、または、赤、緑、青、黄、シアンの5色等とすることもできる。
【0071】
着色層の配列は特に限定されるものではなく、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができる。
【0072】
着色層は、例えば色材をバインダ樹脂中に分散させたものである。色材としては、各色の顔料や染料等を挙げることができる。
【0073】
赤色の着色層に用いられる色材としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。
【0074】
緑色の着色層に用いられる色材としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。
【0075】
青色の着色層に用いられる色材としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。
【0076】
これらの顔料や染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
【0077】
着色層には、光重合開始剤や、必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有させてもよい。
【0078】
着色層の膜厚は、カラーフィルタにおける一般的な着色層の膜厚と同様とすることができ、例えば1μm以上5μm以下の範囲内で設定することができる。
【0079】
着色層13の形成方法としては、複数色の着色層を同一平面上に配列可能な方法であればよく、例えばフォトリソグラフィ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。
【0080】
また、着色層が形成されている同一平面上には、上記色材を含有せず、上記バインダ樹脂を含有し、光を透過する白色層が形成されていてもよい。この白色層も赤、緑、青の着色層と同様に、対応する副画素領域に配置される。白色層の膜厚および形成方法は、着色層と同様とすることができる。
【0081】
(オーバーコート層)
オーバーコート層の材料としては、一般にカラーフィルタに用いられるオーバーコート層と同様とすることができ、有機材料および無機材料のいずれも用いることができる。
有機材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。
【0082】
光硬化性樹脂としては、カラーフィルタにおける着色層に用いられるバインダ樹脂と同様のもの、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。感光性樹脂には、光重合開始剤や、必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等が添加されていてもよい。
【0083】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ化合物を用いたもの、熱ラジカル発生剤を用いたものが挙げられる。エポキシ化合物としては、カルボン酸やアミン系化合物等により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができる。熱ラジカル発生剤としては過硫酸塩、ヨウ素等のハロゲン、アゾ化合物、および有機過酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であり、より好ましくはアゾ化合物または有機過酸化物である。アゾ化合物としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス−[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、および2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などが挙げられ、有機過酸化物としては、ジ(4−メチルゼンゾイル)ペーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルエキサネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタネート、およびジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0084】
オーバーコート層の膜厚としては、例えば、0.5μm以上3.5μm以下とすることができる。
オーバーコート層の形成方法としては、一般にカラーフィルタに用いられるオーバーコート層の形成方法と同様とすることができる。例えば、感光性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布し、乾燥し、焼成することによって、オーバーコート層を形成することができる。
【0085】
<表示装置>
次に、本発明に係る表示装置について説明する。
図5は、本発明に係る表示装置の一例を示す概略断面図である。
図5に示すように、表示装置2は、上記のカラーフィルタ1を用いて表示部が形成されているものであり、カラーフィルタ1と有機EL素子基板20を有している。図示はしないが、カラーフィルタ1と有機EL素子基板20の間には、通常、封止樹脂が充填されている。
【0086】
なお、
図5におけるカラーフィルタ1は、
図1に示す上下(天地)が反転した状態で配置されている。すなわち、カラーフィルタ1のオーバーコート層15側が、有機EL素子基板20の透明電極24側と向き合うように配置されている。
【0087】
有機EL素子基板20は、支持基板21と、支持基板21の上に設けられた背面電極22と、背面電極22の上に設けられた複数の発光層23と、発光層23の上に設けられ、発光層23からの光を透過する透明電極24と、を有している。
複数の発光層23は、赤色の発光層23R、緑色の発光層23G、青色の発光層23Bを含み、それぞれ、カラーフィルタ1の赤色の着色層13R、緑色の着色層13G、青色の着色層13Bと対向するように配置されている。
【0088】
背面電極22は、陽極または陰極のいずれかであるが、一般的には陽極として支持基板21の上に設けられる。形成材料としては、金、銀、クロム等の金属等を挙げることができる。従って背面電極22は、光を反射可能になっている。
【0089】
)
透明電極24は、背面電極22の対極として機能するものである。透明電極24は、陰極または陽極のいずれかであるが、一般的には陰極として設けられる。透明電極24の形成材料としては、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO
2、ZnO等の透明導電材料が用いられる。
【0090】
なお、
図5に示す表示装置2においては、有機EL素子基板20の発光層23として、赤色の発光層23R、緑色の発光層23G、青色の発光層23Bが平面的に配列されたタイプを例示したが、発光層23は全て白色の発光層であってもよい。
【0091】
上記のように、表示装置2は、カラーフィルタ1を用いて表示部が形成されている。それゆえ、表示装置2においては、カラーフィルタの開口領域のコーナー部に丸みが生じることに起因する開口率の低下を防止することができ、高精細化が進んで画素サイズが微細化しても、高輝度な表示装置とすることができる。
【0092】
なお、
図5に示す表示装置2においては、
図1に示すカラーフィルタ1を有機EL表示装置に用いた例を示したが、本発明に係るカラーフィルタは、液晶表示装置に用いた場合であっても、同様の効果が得られる。
【0093】
(視差混色の防止効果について)
本発明に係るカラーフィルタは、上記のような、開口領域のコーナー部に丸みが生じることを解消し、開口率の低下を防止することができるという効果に加えて、視差混色を防止する効果も奏することが可能である。
以下、本発明に係るカラーフィルタが奏することができる、視差混色を防止する作用効果について説明する。
【0094】
(ストライプ型について)
まず、表示装置に用いるカラーフィルタが、
図1に示すカラーフィルタ1のように、平面視において、透明基板11の一方向に同じ色の着色層13が設けられており、同じ色の着色層13が配設されている方向に沿って、第2の遮光パターン14が設けられている形態、すなわち、いわゆるストライプ型の形態の場合について説明する。
【0095】
まず、
図1(a)に示すX方向における作用効果について説明する。
図5に示すように、表示装置2において、カラーフィルタ1の第2の遮光パターン14は、着色層13よりも有機EL素子基板20に近い位置になる。
それゆえ、
図1(a)に示すX方向に関しては、
図5に示すように、有機EL素子基板20の発光層23Rから斜め方向に放射される光線L2は、第2の遮光パターン14で吸収され、光線L2が緑色の着色層13Gを透過して観察者側に出射するということを防止でき、斜め方向から見たときの表示画像の色ずれ(視差混色)を抑制することができる。
なお、
図5における光線L1、L2は、
図9に示す光線L101、L102に、および、
図10に示す光線L201、L202に相当する。
【0096】
次に、
図1(a)に示すY方向における作用効果について説明する。
カラーフィルタ1の第1の遮光パターン12は、
図1に示すように、透明基板11と着色層13の間に設けられているため、原則、
図9に示す従来のカラーフィルタ101のブラックマトリックス層112と同様に、斜め方向に放射される光線が隣接する着色層を透過して観察者側に出射するということを防止できないことになる。
【0097】
しかしながら、
図1に示すように、カラーフィルタ1においては、平面視において、透明基板11の一方向に同じ色の着色層13が設けられている。
より具体的には、カラーフィルタ1において、第1の遮光パターン12を介して隣接する着色層(
図1(a)に示すY方向の着色層)は、互いに同じ色である。
それゆえ、たとえ斜め方向に放射される光線が、第1の遮光パターン12を介して隣接する着色層(
図1(a)に示すY方向の着色層)を透過して観察者側に出射したとしても、混色は生じない。
【0098】
上記のように、本発明に係るカラーフィルタがストライプ型の形態を有している場合は、X方向、Y方向のいずれにおいても、視差混色が生じてしまうことを防止することができる。
【0099】
(他の配置について)
一方、
図6に示すモザイク型、トライアングル型、4画素配置型の形態では、X方向、Y方向とも、異なる色の着色層が隣り合うことになるため、上記のようなストライプ型の形態に比べて、視差混色を防止することは困難になる。
【0100】
しかしながら、第1の遮光パターンが、透明基板11と着色層13の間に設けられている構成であっても、第1の遮光パターンの線幅が大きい形態であれば、たとえ斜め方向に放射される光線が、第1の遮光パターンを介して隣接する着色層に入射しても、その後、第1の遮光パターンに吸収させることができ、観察者側に出射してしまうことを抑制することが可能である。
【0101】
ここで、上記のように、液晶表示装置等においては、通常、TFTのゲート線部の形成領域の方が、TFTのソース線部の形成領域よりも大きい幅の領域となるため、開口率を高くするには、このゲート線部の形成領域に応じる遮光パターンの線幅を大きくし、ソース線部の形成領域に応じる遮光パターンの線幅を小さくすることが好ましい。
【0102】
それゆえ、本発明に係るカラーフィルタにおいては、第1の遮光パターンの線幅を、前記第2の遮光パターンの線幅よりも大きく形成し、この線幅が大きい第1の遮光パターンを上記ゲート線部の形成領域に応じる遮光パターンとし、線幅が小さい第2の遮光パターンを上記ソース線部の形成領域に応じる遮光パターンとすることで、ストライプ型以外の形態においても、開口率の低下を防止しつつ、視差混色を効果的に抑制することが可能になる。
【0103】
以上、本発明に係るカラーフィルタ、表示装置、および、カラーフィルタの製造方法について、それぞれの実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。