(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803007
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】可変的な透過窓
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20201214BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
G02B5/30
E06B9/24 C
E06B9/24 E
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-20752(P2018-20752)
(22)【出願日】2018年2月8日
(62)【分割の表示】特願2013-547664(P2013-547664)の分割
【原出願日】2011年12月29日
(65)【公開番号】特開2018-109772(P2018-109772A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】61/428,307
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】タッツェル ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マクラウド ウィリアム
【審査官】
池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0053751(US,A1)
【文献】
特開平10−186248(JP,A)
【文献】
特開2010−276713(JP,A)
【文献】
特表2003−521074(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0007591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変的な透過装置であって、
第1の偏光子と、
第2の偏光子と、
前記第1及び第2の偏光子の間に位置し、且つ、隣接する第1の領域と光軸の方向が異なるように構成された複数の第1の領域を含む、第1の波長リターダと、
前記第1及び第2の偏光子の間に位置し、且つ、隣接する第2の領域と光軸の方向が異なるように構成された複数の第2の領域を含む、第2の波長リターダと、を含み、
各第1の領域において光軸は一定の方向を向き、各第2の領域において光軸は一定の方向を向き、
前記第1又は第2の波長リターダは、第1の領域が第2の領域と重なり合った状態を維持しながら第1又は第2の波長リターダの他方に対して直線的に移動するように構成され、
前記第1の波長リターダに含まれる複数の第1の領域は、前記第1又は第2の波長リターダが第1又は第2の波長リターダの他方に対して直線的に移動する方向に沿って、隙間無く配列され、
前記第2の波長リターダに含まれる複数の第2の領域は、前記第1又は第2の波長リターダが第1又は第2の波長リターダの他方に対して直線的に移動する前記方向に沿って、隙間無く配列されている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可変的な透過装置において、
一つの第1の領域および一つの第2の領域を通過して装置を透過する光量は、前記一つの第1の領域および前記一つの第2の領域とは光軸の方向が異なる他の一つの第2の領域を通過して装置を透過する光量と、異なる、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の偏光子、一つの第1の領域、及び一つの第2の領域を通過した光の偏光状態は、前記第1の偏光子、前記一つの第1の領域、及び前記一つの第2の領域とは光軸の方向が異なる他の一つの第2の領域を通過した光の偏光状態と異なる、装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダおよび前記第2の波長リターダが第1の相対位置にあるとき、一つの第1の領域および当該一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過して装置を透過する光量は、前記一つ第1の領域とは光軸の方向が異なる他の一つの第1の領域および当該他の一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過して装置を透過する光量と同一である、装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダおよび前記第2の波長リターダが第1の相対位置にあるとき、前記第1の偏光子、一つの第1の領域、及び当該一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過した光の偏光状態は、前記第1の偏光子、前記一つ第1の領域とは光軸の方向が異なる他の一つの第1の領域、及び当該他の一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過した光の偏光状態と同一である、装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダおよび前記第2の波長リターダが第1の相対位置にあるときに一つの第1の領域および当該一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過して装置を透過する光量は、前記第1の波長リターダおよび前記第2の波長リターダが前記第1の相対位置とは異なる第2の相対位置にあるときに前記一つの第1の領域および当該一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過して装置を透過する光量と、異なる、装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダおよび前記第2の波長リターダが第1の相対位置にあるときに前記第1の偏光子、前記一つの第1の領域、及び当該一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過した光の偏光状態は、前記第1の波長リターダおよび前記第2の波長リターダが前記第1の相対位置とは異なる第2の相対位置にあるときに前記第1の偏光子、前記一つの第1の領域、及び当該一つの第1の領域に対面する第2の領域を通過した光の偏光状態と異なる、装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の領域は4分の1波長板を含み、前記第2の領域は4分の1波長板を含む、装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の領域は半波長板を含み、前記第2の領域は半波長板を含む、装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1及び第2の波長リターダは、
必要に応じて厚さを変化させるように構成された液晶ポリマー、
厚さを変化させるように構成された成形型で作られた液晶ポリマー、
延伸ポリマーフィルム、
プリントされた自己集合液晶、
熱処理される液晶ポリマー、
らせん状の液晶ポリマー、
捩れた液晶ポリマー、又は、
コレステリック液晶
を含む、装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の偏光子の第1の偏光軸及び前記第2の偏光子の第2の偏光軸が並行である装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の偏光子の第1の偏光軸及び前記第2の偏光子の第2の偏光軸が並行でない装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1及び第2の偏光子は、ヨウ素添加偏光子、ワイヤーグリッド偏光子、塗布可能な偏光子、又は、反射偏光子のいずれか1つである装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダは、第1のパネルにある前記第1の偏光子に物理的に連結され、且つ、
前記第2の波長リターダは、前記第1のパネルの前記第1の波長リターダ及び前記第1の偏光子に対して直線的に移動するように構成された、装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダは、第1のパネルにある前記第1の偏光子に物理的に連結され、
前記第2の波長リターダは、第2のパネルにある前記第2の偏光子に物理的に連結され、且つ、
前記第1のパネルの前記第1の波長リターダ及び前記第1の偏光子は、前記第2のパネルの前記第2の波長リターダ及び前記第2の偏光子に対して直線的に移動するように構成された、装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の可変的な透過装置において、
前記第1の波長リターダは、回転支持に接続された装置。
【請求項17】
壁に固定された第1及び第2のウィンドウプレートと
前記第1及び第2のウィンドウプレートの間に配置された請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置と、を備える、窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願との相互参照>
本願は2010年12月30日出願の米国仮出願61/428,307号の優先権の利益を主張し、この仮特許出願における全開示内容が本願明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
偏光子は、非偏光な或いは混合された偏光電磁波を偏光波に変換する装置である。偏光子は、例えば、写真フィルタ、顕微鏡、光電子光学、レーザー及び液晶ディスプレイ等において、多様な実際的応用を見いだしてきた。波長板(wave plate)又はリターダ(retarder)は、電磁波の偏光を変更する光学装置である。波長板は、しばしば波の偏光を制御するために用いられ、それ故、多数の、偏光子と同じ応用に関係している。多くの先行技術に係る装置は、偏光又は光軸の間の角度を変化させるため、互いに関連する偏光子又は波長板を回転させる。例えば、写真撮影のための偏光フィルタは、フィルタを通過する光透過の強さを変化させるため、偏光子を回転させることに関連する。
【発明の概要】
【0003】
種々の実施形態は、第1の偏光軸を有する第1の均一偏光子と、第2の偏光軸を有する第2の均一偏光子と、前記第1及び第2の偏光子の間に位置し、且つ、光軸、厚さ又は複屈折率の少なくとも1つを変化させるように構成された第1の複数の領域を含む、第1の模様付けされた(patterned)波長リターダ(wave retarder)と、前記第1及び第2の偏光子の間に位置し、且つ、光軸、厚さ又は複屈折率の少なくとも1つを変化させるように構成された第2の複数の領域を含む、第2の模様付けされた波長リターダと、を含み、前記第1又は第2波長リターダが、他方の波長リターダに対して直線的に移動できるように構成されている、可変的な光学透過機器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付図面は、組み込まれ且つ本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態の例を図示し、且つ、上記の概要及び下記の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明する。
【
図1A】種々の実施形態にて利用され得る模様付けされた直線偏光子における偏光軸の図である。
【
図1B】種々の実施形態にて利用され得る模様付けされた円偏光子における偏光軸の図である。
【
図2A】光が透過することを許容するために整列した2つの模様付けされた直線偏光子を含む可変的な透過窓のための実施形態に係る装置の図である。
【
図2B】光が透過することを許容しないために整列した2つの模様付けされた直線偏光子を含む可変的な透過窓のための実施形態に係る装置の図である。
【
図2C】多少の光のみが透過することを許容するために整列した2つの模様付けされた直線偏光子を含む可変的な透過窓のための実施形態に係る装置の図である。
【
図3】直交する偏光軸を有する2つの均一偏光子、及び、2つの偏光子の間の光を再配向させるための波長板の図である。
【
図4A】2つの均一偏光子及び光が通過するように整列した波長板を備えた2つの模様付けされた波長板を含む可変的な透過窓のための実施形態に係る装置の図である。
【
図4B】2つの均一偏光子及び光が通過しないように整列した波長板を備えた2つの模様付けされた波長板を含む可変的な透過窓のための実施形態に係る装置の図である。
【
図4C】2つの均一偏光子及び多少の光のみが通過するように整列した波長板を備えた2つの模様付けされた波長板を含む可変的な透過窓のための実施形態に係る装置の図である。
【
図5】種々の実施形態における使用に適した模様付けされた波長板の図である。
【
図6】種々の実施形態における使用に適した模様付けされた波長板の図である。
【
図7A】模様付けされた波長板を別の模様付けされた波長板に対して直線的に移動させるための種々の仕組みを有する、種々の可変的な透過窓の概略図である。
【
図7B】模様付けされた波長板を別の模様付けされた波長板に対して直線的に移動させるための種々の仕組みを有する、種々の可変的な透過窓の概略図である。
【
図7C】模様付けされた波長板を別の模様付けされた波長板に対して直線的に移動させるための種々の仕組みを有する、種々の可変的な透過窓の概略図である。
【
図7D】透過光の量を変更するための模様付けされた波長リターダにおける直線的な移動を図示する図である。
【
図7E】透過光の量を変更するための模様付けされた波長リターダにおける直線的な移動を図示する図である。
【
図8B】紫外線放射に対して全面的に曝される配光層の光軸の変化を前提とした液晶ポリマー層を図示している。
【
図8C】模様付けされたフォトマスクの下の配光層の曝露を図示している。
【
図9】種々の実施形態に適した、可変的な厚さの波長板の製造に使用されるノコギリ歯基板の概略図である。
【
図10】典型的な実施形態における透過率の種々の程度を示す一連の写真である。
【0005】
添付図面を参照しながら種々の実施形態が詳細に記述される。同じ或いは類似の部分を参照するため、可能な限り同じ参照番号が図面の至る所で使用される。特定の例及び実装に対して作られた参照は、説明の目的のためであり、本発明又は請求の範囲を限定するためのものでは無い。
【0006】
「複数」の語がここでは2つ又はそれ以上の意で用いられる。例えば、複数が3又はそれ以上又は種々の範囲、例として2−200、4−200又は70−80、として参照しても良い。
【0007】
種々の実施形態は、光の連続的な又はほぼ連続的な変化をもたらすために設定された可変的な光透過装置を含む。或いは、装置は、目立たない状態、例えば、「オン」の透過可能状態、及び、光透過が5%、例として1%又はそれ以下の、「オフ」のより低い透過の又は暗い状態、の間を切り替えても良い。これらの装置は、多くの異なる応用に用いられても良く、例えば、建物、乗り物又は他の、光、グレア若しくは熱を調節するあらゆる場所の窓又はシェードは便利である。種々の実施形態は、偏光及び波長リターダ理論の利点を活かしている。例えば、実施形態は、互いに直線的に移動させられるように構成された2つ又はそれ以上の均一な或いは模様付けされた光偏光子又は波長リターダを含んでも良い。追加的な実施形態は、ここに開示された種々の方法のいずれかによって製造された均一な或いは模様付けされた偏光子又は波長リターダを含んでも良い。ここに用いられるように、「光」の語は、可視光(例えば、太陽スペクトルの可視部分)も赤外線及び/又は紫外線の放射(例えば、太陽スペクトルのIR及びUV部分)も含む。
【0008】
<偏光理論>
電磁波は、互いに且つ波伝播の方向に直角に、振動する電界及び磁界の要素を含む。光のビームは、その伝播の方向、周波数及びベクトル振幅(例えば、電場ベクトル)によって説明され得る。ベクトル振幅はビームの強さに関連し、波の移動する方向と直交する。波伝播の方向を仮定すると(例えば、z軸)、電界ベクトル振幅の、2つの独立した互いに直交する横軸要素、正常光線及び異常光線(例えば、Ex及びEy)が存在する。
【0009】
電界ベクトル及び伝播の方向を含む面は、偏光面と呼ばれる。偏光は、それらの振動の方向を説明する波の性質である。
【0010】
非偏光の光において、電界ベクトルは伝播の方向について不規則に方向付けられている。反対に、電界ベクトルが全ての波について同じ方向を向いていれば、その光は平面偏光であるとみなされる。偏光子は、非偏光の光のビームから偏光した光のビームを作り出す、光学的な配列である。伝播の方向を仮定すると(例えば、z軸)、偏光子は、非偏光の光のビームの電界ベクトルを2つの独立した互いに直交する横軸要素、正常光線及び異常光線(例えば、Ex及びEy)、に分解し、そして、優先的に1つを選択して他方を排除する。偏光子の型に応じて、この選択が吸収、反射、屈折又は分散によって成し遂げられる。
【0011】
マリュスの法則は、入射ビームの前に偏光子が置かれたときに生じる強度(I)を与える。
I=I
0cos
2θ
i
【0012】
ここで、I
0が入射強度であり、θ
iが入射光偏光方向と偏光子の軸との間の角度である。
【0013】
非偏光の光のビームは、全ての可能な角度の直線偏光の均一な混合であると考えられる。cos
2θの全周期にわたる積分は1/2であるから、単一偏光子を通過した透過光の強度は入射強度の50%である。実際、一般的に偏光子において失われる光もあり、非偏光の光の実際の透過は、これよりは幾分少ないかもしれない。
【0014】
2つの直線偏光子が並んで配置されるとき、これらの偏光軸の間の相互の角度がマリュスの法則のθの値を与える。第2の偏光子は、一般に分析器といわれる。それ故、偏光子及び分析器の偏光軸が並行であるとき、光の透過率の量は最大となり、そして、2つの軸が直交する場合、偏光子は交差し、理論的には透過する光は無い。その上、1つの偏光子の他方に対する回転は、マリュスの法則に従って、最小と最大との間の透過率の範囲にわたる部分的な光の遮断をもたらす。
【0015】
<波長リターダ理論>
光の偏光を操作する他の有用な手段が波長リターダであり、波長板としても知られている。波長板又はリターダは、その中を移動する波の偏光状態を変化させる複屈折材料である(即ち、波の偏光軸を再配向させる)。
【0016】
複屈折又は二重屈折は、非偏光の光のビームを2つの光線に分割することである。殆どの光学材料は等方性であり、即ち、材料を通過する伝播の方向にかかわらず同じ光学的性質(そしてそれ故に1つの屈折率)を有する。異方性の材料では、隣接する原子構造ユニットの間の間隔が方向によって異なる、或いは、そのようなユニットを束ねる結合が方向によって異なる特徴を有する、のいずれかである。その結果、波の速度は、方向の転換の関数である。そのような材料を通過する偏光した光は、異なる伝播方向及び偏光方向に対する異なる屈折率を経る。この現象は複屈折として知られる。材料内では、特有の光学的性質を有する光軸が存在し、それに沿って伝播する光がその偏光方向にかかわらずただ1つの屈折率に直面する。複屈折材料は、1つの光軸を有するか又は2つであるかどうかに応じて、1軸性か2軸性かのいずれかである。1軸性材料は、単純化の目的で、下記の実施形態の例にて説明されるが、種々の実施形態は、2つ又はそれ以上の光軸を有する複屈折材料を含む。
【0017】
直線的に偏光した電磁波の個々の伝播方向に対して、2つの主要な、それによって速度が異なる、方向の転換が存在する。これらの偏光方向は直角である。光のビームの偏光面が2つの主要な方向の転換のうちの1つと一致しないとき、光のベクトルがその2つの方向に対応する2つの要素に分解される。正常光線は、常に光軸と直交するその電界ベクトルで偏光され、正常屈折率(n
o)に直面し、スネルの反射の法則に従って全ての方向に同じ速度で移動する。異常波は、常に配光軸(alignment axis)と平行なその電界ベクトルで偏光され、異常屈折率(n
e)に直面し、その波面に対して垂直には伝播せず、そして、一般にスネルの法則に従わない。その2つの光線の距離は、光が結晶を通過して移動する、その結晶の光軸と比較した、方向に依存する。定量的には、材料の複屈折値は(n
e−n
o)として定義される。
【0018】
もしn
e>n
oであれば、異常波の伝播の速度は正常波のそれよりも大きく、複屈折材料は正であるといわれる。その逆が正であるとき、複屈折材料は負であるといわれる。しばしば、最大指標値を伴って伝播する軸は遅軸と呼ばれる。
【0019】
端的にいえば、複屈折材料は光を、1つの路を移動する1つのタイプの振動と他の路を異なる速度で移動する別のタイプとをもたらすことによって、2つの要素に分解する。従って、その要素が位相の異なる複屈折材料から現れ、そして、入射光の偏光状態が変更される。
【0020】
結果として生じる異常及び正常光線の位相の違い又は位相差(Γ)は次の方程式によって与えられる。
Γ=2πd(n
e−n
o)/λ
【0021】
ここで、それぞれ、dは材料の厚さ、λは波長、n
e及びn
oは異常及び正常光線の屈折率である。
【0022】
上述したように、偏光子の偏光軸と分析器の偏光軸とが直交するとき、光は透過しない。しかしながら、偏光子と分析器との間の波長板を挿入することは、偏光した光の状態を変え、光を透過させ得る。波長板の光軸が入力偏光子の軸と角度θで交差する偏光子の間に位置するとき、注入された光の強さは以下に表される。
I=I
0sin
22θsin
2(Γ/2)
【0023】
それ故、透過する光の量は、(1)流入偏光子の光軸と波長板の光軸との間の角度、及び、(2)位相差の両方によって決定される。更に、位相差は、複屈折材料の厚さ及び波長板の複屈折率(n
e−n
o)によって決定される。
【0024】
もし位相差がπラジアン(又は180°)であれば、それは半波長板(half−wave plate)と呼ばれる。Γ=πの位相差は、入力偏光面とともに半波長板の速軸の角度の2倍回転させる偏光をもたらす。透過する光の量は、流入偏光子の光軸と半波長板との間の角度によって決定される。流入偏光子に対して半波長板の光軸を45°に据えることは最大の透過を達成する。半波長板の光軸を入力又は出力のいずれかの偏光子の光軸と一直線にすることは最小の透過を与える。その上、半波長板の光軸の回転は、マリュスの法則に従って、その最小と最大の間の透過率の範囲にわたる部分的な光の遮断をもたらす。
【0025】
種々の実施形態は4分の1波長板(quarter−wave plate)を含み得る。4分の1波長板は、π/2ラジアン(又は90°)の位相差、又は、4分の1波長の位相シフトを有し、そして、直線偏向された光を円偏光に変えたり、再び戻したりできる。
【0026】
位相差を調節することによって、光透過を変化させることもできる。可変リターダの速軸を所定の角度、例えば45°又は入力偏光子に関連した他の適切な角度、に配置することによって、且つ、半波長と全波長との間の位相差を調整することによって、透過率は最大と最小との間で変化する。この位相差における変化は、複屈折材料の厚さ又はフィルムの複屈折率(n
e−n
o)を変えることによって達成され得る。
【0027】
<可変的な透過窓>
種々の実施形態は、模様付けされた偏光子又は模様付けされた波長板の直線的な移動を通じて調節可能な可変的な透過窓を含む。模様付けされた偏光子又は波長板は、別の模様付けされた偏光子又は波長板に対して移動しても良い。いくつかの実施形態では、偏光子及び波長板は、他の偏光子又は波長板に対して一緒に移動するため、パネルに結合されても良い。例えば、いくつかの実施形態は、第2の波長板と物理的に連結された第2の均一直線的な偏光子を備える第2のパネルに対して直線的に移動し得る、物理的に連結された第1の均一直線的な偏光子及び第1の波長板を備える第1のパネルを含んでも良い。或いは、1つ又は両方の波長板は、パネル又は偏光子に接続されていなくても良い。
【0028】
実施形態は種々のタイプの偏光子を含んでも良い。いくつかの実施形態は、単一の均一偏光軸を備える均一偏光子を包含する。これらの偏光子は、ヨウ素染色偏光子、ワイヤーグリッド偏光子、塗布可能な偏光子、反射偏光子、又は、種々の吸収性偏光子を含んでも良い。代わりの実施形態は、多数の偏向軸を有する模様付けされた偏光子を含んでも良い。模様付けされた偏光子を有するこれらの実施形態について、波長リターダは必要でない。
【0029】
図1Aは、種々の実施形態にて利用される模様付けされた偏光子を図示している。模様付けされた偏光子102は、異なる偏光軸を有するいくつかの領域104に分割されても良い。
図1Aにおける領域104の軸は、矢印によって示されている。偏光軸は、個々の領域の中では均一で良く、しかし、隣接するドメイン間で変わっても良い。これらの偏光軸は、
図1Aに示されるように、隣接する領域104を横断して徐々に変化するように選択されても良い。これらの領域104は、模様付けされた偏光子102の上側及び下側の点線によって示されているように、必要なだけ継続し且つ繰り返しても良い。模様付けされた偏光子102は大きさが変わっても良い。個々の領域104は帯型形状で且つ1−10mm、例えばいくつかの実施形態において約2mm幅、であっても良く、しかし、この幅は変わっても良い。
【0030】
図1Aは模様付けされた直線偏光子を図示している。或いは、模様付けされた円偏光子106は、
図1Bに示されるように、円偏光領域108を含んでも良い。模様付けされた直線偏光子102と同様に、模様付けされた円偏光子106は、大きさが変わっても良く、隣接する領域108を横断して徐々に変化する偏光軸を含んでも良い。以下の例は、単純化の目的で、直線偏光子を伴って示されるが、しかし、追加的な実施形態は、模様付けされた円偏光子106を含んでも良い。
【0031】
種々の実施形態において、2つの直線偏光子の偏光軸は、1つの偏光子の他方に対する直線変位が、2つの均一直線的な偏光子がお互いに対して回転させられたときに発生するのと同様の光透過の連続的な変化を引き起こすような方法で模様付けされても良い。1つの模様付けされた偏光子の他方に対する移動は、マリュスの法則におけるθの値を与え、それ故、光透過を決定する、これらの偏光軸の間の互いの角度を変化させる。光透過は、模様付けされた偏光子の領域がどのように整列するか基づいて変化しても良く、同様に、偏光子がお互いに対してどれだけ直線的に移動させられるかに基づいて変化しても良い。
【0032】
図2Aは、2つの模様付けされた直線偏光子102a及び102bの配置の実施形態を図示している(第2の偏光子102bは、上述した通り分析器と呼ばれ得る。)。2つの模様付けされた直線偏光子102a及び102bは、異なる偏光軸を有する領域104a−hを含んでいる。光は、z軸方向に伝播し、下に示されるようにz軸に沿って左から右に偏光子を通過し得る。光202は、当初は非偏光であって、x及びy軸方向の要素を含み得る。
図2Aにおける当初の光202のプラス記号は、x及びy要素を図示するためだけの記号であり、しかし、光は実際z軸方向に移動していて、これらの要素は、この視点からこの方向には見えない。偏光子の間の光204及び両方の偏光子を経た光206もまた、それらのx及びyの偏光方向の記号によって、
図2Aに表され、しかし、また、z軸方向に移動し得る。
【0033】
第1の模様付けされた偏光子102aは、
図1Aにおける偏光子102に類似する偏光軸を含み得る。これらの軸は、
図1Aにおいてx及びy軸方向に表されているが、しかし、光がz軸にそって移動できるよう、偏光子102Aは90度回転してz軸と直交する面となっている。第2の偏光子102bも同様に配置されている。領域104a−hは何回でも繰り返して良いが、しかし、1つの連続のみが、単純化のため、示されている。この示された連続は、
図2B及び2Cで偏光子が上又は下に移っているように、変わっても良い。
【0034】
光202が第1の偏光子102aを通過するとき、光202の要素が、その光が通過するいずれかの領域の偏光軸に応じて遮断され、光が偏光され得る。その結果が可変的に偏光された光204であり得る。例えば、偏光子102aに示された最上の領域(即ち、領域104a)はy軸方向の偏光方向を有し、それ故、x軸方向の要素を遮断する。その結果、偏光子の領域104aによって生じる可変的に偏光された光204は、x要素が取り除かれている。他の領域104b−hも同様に、個々の偏光軸に応じて流入する光202のx及びy要素を遮断し得る。それ故、可変的に偏光された光204は、偏光子102aの領域に従って変化し得る。可変的に偏光された光204全体の強さは、マリュスの法則及び偏光に関して上述した通り、元の光の約半分又はより少なくなり得る。
【0035】
可変的に偏光された光204は第2の偏光子102bを通過し得る。
図2Aにおいて、第2の偏光子102bは、個々の領域が対応する第1の偏光子102aの領域と同じ偏光軸を有するように、配置されている(例えば、第1の偏光子102aの領域104aが第2の偏光子102bの領域104aと揃っていて、第1の偏光子102aの領域104bが第2の偏光子102bの領域104bと揃っている等)。可変的に偏光された光204の個々のレベルは、第1の偏光子102aを通過したのと同じ偏光軸を有する領域を通過し得る。並行する偏光軸を有する第2の偏光子を通過することで、マリュスの法則に従って、更なる光の遮断はない。最終的な光206は、それ故、可変的に偏光された光204と同じ(又は、殆ど同じ)になり得る。これは、可変的な光伝送装置の透明な状態に相当する。
【0036】
図2Bは、直交する偏光軸を有する領域が並ぶように、第2の偏光子102bが第1の偏光子102aに対して直線的に移動していることを除いて、
図2Aと類似する実施形態を図示している。例えば、第2の偏光子はいくつかの領域の幅だけ上又は下に移っている(例として、第1の偏光子102aの領域104aが第2の偏光子102bの領域104eと揃っていて、第1の偏光子102aの領域104bが第2の偏光子102bの領域104fと揃っている等)。可変的に偏光された光204の個々のレベルは、第1の偏光子102aにおいて既に通過した領域の偏光軸に直交する偏光軸を有する領域にぶつかる。その結果は、第2の偏光子を通過する光206は無い(又は、殆ど無い)ということになり得る。これは、可変的な光伝送装置の暗い状態に相当する。
【0037】
図2Cは、第1及び第2の偏光子の対応する領域が並行でも直交でもないように、第2の偏光子102bが直線的に移動していることを除いて、類似する別の実施形態を図示している。その結果は、いくらかの光206が第2の偏光子102bを通過するということになる。それ故、偏光子を直線的に移動していること(即ち、1つの偏光子が上又は下に動くこと)によって、実施形態は、偏光子を透過した光の強さを変更することができるようになっている。そのうえ、透過する光は、移動する量に基づいて連続的に変化させられる。偏光子は、透過する光の強さを連続的に変化させるため、お互いに対して種々の他の中間的な位置に移動しても良い。これは、可変的な光伝送装置の中間的な状態に相当する。
【0038】
代わりの実施形態は波長リターダを伴っても良い。
図3は、第1の偏光子302と第2の偏光子304の間の波長リターダ306を図示している。これまでの図と異なり、第1及び第2の偏光子は、異なる偏光軸の領域を備える模様付けであるよりはむしろ、その偏光子のあらゆる所で単一の偏光軸(両端が矢印の実線で示されている)を有する均一なものであって良い。もし第1の偏光子の偏光軸が第2の偏光子の偏光軸と直交していれば、通常はマリュスの法則に従って、通過する光は無い。しかしながら、
図3は、波長リターダ306が異なる結果をもたらすことを図示している。
【0039】
光202と類似の記号で示される、非偏光の光312は、第1の均一偏光子302を通って伝播し得る。その結果は、y軸方向に偏光した光314であり得る。偏光した光314は波長リターダ306を通過し得る。波長リターダ306は、複屈折材料で作られ、それ故、1つ又は複数の光軸の方向に応じて光をリタードする(両端が矢印の破線で示されている)。その結果、偏光した光314は、異なる方向に偏光した光316に再配向され得る。例えば、もし波長リターダ306が半波長板(即ち、πの位相差)であり、且つ、偏光した光314が光軸(即ち、破線)に対して45度の角度(即ち、θ)の偏光軸を有していれば、再配向された光316は光314の元の偏光軸に対して90度(即ち、2θ)の新しい偏光軸を有する。再配向された光316は、第2の偏光子304を通過し得る。もし再配向された光316が第2の均一偏光子304の偏光軸と平行であれば、光318は通過できる。
【0040】
透過する光の量を連続的に変化させるため、種々の実施形態は、光透過の変化を制御するため、2つの均一直線的な偏光子の間にある2つの模様付けされた波長リターダに依存しても良い。模様付けされた波長リターダは、量を変化させることによって光を再配向させる、いくつかの領域を有し得る。1つの模様付けされたリターダの他方に対する移動は、光の偏光状態を変え、どれだけの光が第2の偏光子を通過するのかを制御する。
【0041】
波長リターダの種々の異なるタイプが、実施形態に用いられる。波長リターダは、異なる性質を有するいくつかの領域を含むように模様付けされ得る。波長リターダが2つの交差する均一直線的な偏光子の間に位置するとき(例えば、
図3に示されるように)、光透過の量は、(1)第1の偏光子の偏光軸と波長リターダの光軸との間の角度、及び、(2)位相差、によって決定される。更に、位相差は、複屈折材料の厚さ及び材料の複屈折率(異常及び正常光線の屈折率の間の差分、n
e−n
o)によって決定される。その結果、模様付けされたリターダは、これら3つのパラメータの内の1つ又はそれ以上を調節することによって構成され得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、波長リターダは、波長リターダの異なる領域の光軸の方向を変えることによって模様付けされる。規定の数の別々の透過レベルをもたらすリターダのため、2つの模様付けされたリターダは、規定の数のリタード範囲又は領域を含み得る。これらのリタード範囲は、個々のリターダで等しい幅であっても良い。波長リターダの光軸の方向は、隣接する範囲の光軸の方法と、標準角度差分(例えば0.1から30度、例として2−10度)だけ異なっていても良い。代わりに、波長リターダは、1つのリターダ又はリターダを備えるパネルが第2のリターダ又はパネルに対して直線的に移動するとき、滑らかで、連続的な光透過の変化をもたらすように構成されても良い。1つのパネルが、他方が静止しているあいだに動いても良く、或いは、両方のパネルが、移動のあいだ、動いても良い。
【0043】
図4Aは、2つの均一交差偏光子302及び304の間の2つの模様付けされた波長リターダ402a及び402bを備える実施形態の例を図示している。交差しない偏光子は、代わりの実施形態において利用されても良く、しかし、暗い及び明るい状態が逆になる。本実施形態にて示される2つの模様付けされた波長リターダ402a及び402bは、光軸方向を変化させる(領域404a−hにおける点線の方向の変化によって示されるように)、領域404a−hを含む。しかしながら、代わりの実施形態は、厚さ又は領域の復屈折率の変化によって位相差を変化させる。
【0044】
非偏光の光412は、第1の均一偏光子302を透過して、y方向に偏光した光414になる。偏光した光414は、第1の模様付けされた波長リターダ402aを通過し、可変的に再配向された光416として現れる。可変的に再配向された光416は、第2の模様付けされた波長リターダ402bを通過し、均一に再配向された光418aになる。均一に再配向された光418aは、再配向された光418aが第2の均一偏光子304を通過するように、第2の均一偏光子304の偏光軸と平行な共通の偏光を有する。第2の偏光子304を通過する光420aは、偏光した光414とほぼ同じ強さ又はそれより弱くなり得る。これは、可変的な光伝送装置の透明な状態に相当する。
【0045】
図4Bは、第2の模様付けされた波長リターダ402bが、第1の模様付けされた波長リターダ402aに対して、直線的に移動(即ち、上又は下に移る)している実施形態の例を図示している。
図4Aに類似して、非偏光の光412は、第1の均一偏光子302を通過し、偏光した光414になる。偏光した光414は、第1の模様付けされた波長リターダ402aを通過し、可変的に再配向された光416が現れる。可変的に再配向された光416は、第2の模様付けされた波長リターダ402bを通過し、再配向された光418bになる。しかしながら、
図4Aにおける再配光された光418aと異なり、直線的に移動した模様付けされた波長リターダ402bを経た再配光された光418bは、第2の偏光子304の偏光軸に対して直角に偏光され、それ故、本実施形態において光420bは無い。これは、可変的な光伝送装置の暗い状態に相当する。
【0046】
図4Cは、第2の模様付けされた波長リターダ402bが、第1の模様付けされた波長リターダ402aに対して、直線的に移動(即ち、上又は下に移る)したときの別の実施形態の例を示している。第2の模様付けされた波長リターダ402bは、
図4Bにおける第2の波長リターダの半分だけ移動している。少ない移動の結果、第2の偏光子を通過して、いくらかの光が輝く。非偏光の光412は、第1の均一偏光子302を通過し、偏光した光414になる。偏光した光414は、第1の模様付けされた波長リターダ402aを通過し、可変的に再配光された光416が現れる。可変的に再配光された光416は、第2の模様付けされた波長リターダ402dを通過し、再配光された光418cになる。再配光された光418cの偏光は、第2の均一偏光子304偏光軸に対して平行でも直角でもなく、それ故、いくらかの、しかし、全てではない、光が420cを通過する
これは、可変的な光伝送装置の中間的な状態に相当する。
【0047】
模様付けされた偏光子の移動に類似して、透過する光は、波長リターダ間の相対的な移動量に基づいて、連続的に変化し得る。模様付けされた波長リターダは、透過する光の強さを連続的に変えるため、お互いに対して種々の中間的な位置に移動し得る。模様付けされた波長リターダの相対的な直線移動は、領域404a−hの配置を変化させ、光418の偏光を変化させ、且つ、第2の偏光子304を通過する光の量を変化させる。
【0048】
追加の実施形態に係る模様付けされた波長板は、
図4A−4Cに示されるよりも多くの領域を含み得る。例えば、
図5は、1−32の番号が付された32の領域を有する模様付けされた波長板502の例を図示している。
図5の模様付けされた半波長板502は、リターダの光軸の方向が隣接する領域間で5.625°の刻みで変化する(例えば、線で示されるように、合計180°)、32の等しい幅の領域で構成される。代わりの実施形態は、種々の異なる領域数及び角度のステップサイズを有する波長板を含み得る。
【0049】
図4A−4C及び
図5の模様付けされた波長リターダは、光軸の方向が次第に変化することが領域を横断する円弧又はU字型模様をもたらし得ることを図示している。この模様は、領域が繰り返すように、繰り返しても良い。
図6は、いくつかの領域を横断するU字型模様の集合604を有する、模様付けされた波長板602の例を図示している。個々の集合604は、
図5に示された32の領域を含む。
【0050】
上述した模様付けされた偏光子又は波長リターダの直線移動は、種々の方法にて実現され得る。相対位置が透過率を決定するので、1つ又は両方の模様付けされた偏光子又は波長板が動き得る。代わりの実施形態では、模様付けされた偏光子又は波長板は、例えば模様付けされた偏光子又は波長リターダをお互いに対して導くためにレール沿う等の、スライディング機構に添えられる。種々の他の機構装置が、模様付けされた偏光子又は波長板を移動させるために用いられても良い。
【0051】
いくつかの実施形態において、模様付けされた偏光子又は波長板の移動は電子的に制御され、例えば、ユーザーからの指示(例として、ユーザーが減光スイッチをオンにする)によりコンピュータ又は種々の論理回路又は手動によって、どちらかが自動的に制御される。
図7Aは、そのような機構装置を備える可変的な光透過窓の実施形態を図示している。ガラスのプレート706又は別の透明材料が、壁又は他の表面の、フレーム708内に固定され得る。ウィンドウプレート706の間、2つの偏光子704が、フレーム内に固定され得る。2つの波長板702a及び702bが偏光子704の間に固定され得る。
図7Aにおいて、1つの波長板702bがフレーム708に固定され、一方、第2の波長板702aが機構710に一端で連結されている。第2の波長板702aの他端は、フレーム708によって移動可能に支持され得る。機構710は、波長板702aを他方の波長板702bに対して直線的に移すための種々の機器を含み得る。例えば、機構710は、電気信号を直線的移動に変換できる、電動の、電気機械式の、磁気的な或いは圧電式の機器又は他のあらゆる機器を含んでも良い。
【0052】
代わりの実施形態において、模様付けされた偏光子又は波長リターダを上又は下に動かすため、模様付けされた偏光子又は波長リターダは、その端部が回転可能な支持の周りに巻き付けられても良い。これらの偏光子又は波長板は、直線的な移動のため、巻き上げられ或いは下げられ得る。
図7Bは、そのような回転可能な支持を有する、可変的な光透過窓の実施形態を図示している。ガラスのプレート706又は別の透明材料が、壁又は他の表面の、フレーム708内に固定され得る。ウィンドウプレート706の間、2つの偏光子704が、フレーム内に固定され得る。2つの波長板702b及び702cが偏光子704の間に固定され得る。1つの波長板702がフレーム708に固定され、一方、第2の波長板702bがそれぞれの端で回転支持712に連結されている。これらの回転支持712は、柔らかい波長板702cを他方の波長板に対して上又は下に巻きつけ得る。回転支持712は、手動で回転させられても良く(例えば、ユーザーがノブを回転させる)、或いは、
図7Aに関して説明したように自動的であっても良い。
【0053】
図7Cは、両方の波長板702d及び702eが回転装置714によって同時に動く、代わりの実施形態を図示している。波長板702d及び702eは、回転スプール又はリール714の周りに据え付けられた、1つの連続的な波長板フィルム又は繊維の一部であっても良い。これらの回転装置714はまた、上述のように、手動で或いは自動的に回転させられても良い。
【0054】
図7D及び7Eは、第1の模様付けされた波長リターダ702aの、第2の模様付けされた波長リターダ702bに対する、直線的な移動を図示している。波長リターダ702a及び702bは、2つの交差する均一偏光子704の間にあっても良い。
図7Dは、光が透過することを許容する、移動したリターダ702aを図示している。示されたように、波長リターダ702aは、他方の波長リターダ702bに対して、領域の大きさに応じて、(例えば、
図7Dに示されるように垂直に)必要な量だけ直線的に移動させられても良い。例えば、移動距離は5から50mm、例として図に示されるように13mm、であって良く、しかし、この距離は領域の幅及び数に応じて変化して良い。
図7Eは、リターダ702aが直線的に移動して戻り(例えば、垂直に下へ)、そして、光が機器を透過することを妨げていることを示している。垂直で直線的な移動が示されている一方、述べておくべきは、直線的な移動は、機器の要素の位置に基づく地面に対して、水平方向、或いは、垂直と水平の間の他のあらゆる方向、であっても良いということである。
【0055】
図に示された実施形態は、偏光子と波長リターダとの間の隙間を含んでいるが、しかし、これは、いくつかの実施形態では回避され得る。例えば、波長リターダは、偏光子に層状に貼り合わされ或いは貼り付けられても良い。いくつかの実施形態は、偏光子及び/又は波長板を含むパネルを含み得る。これらのパネルはお互いに対して移動し得る。追加の実施形態において、偏光子又はパネルの間の、1つ又はそれ以上の波長リターダが直線的に移動する一方で、偏光子又はパネルは動かなくても良い。
【0056】
種々の実施形態は、あらゆる、いくつかの異なる方法によって製造された、模様付けされた波長リターダ又は偏光子を含んでも良い。1つの製造方法において、延伸ポリマー位相差フィルムが、模様付けされた位相差フィルムを作り出すために基板(又は偏光子)に層状に貼り合わされ得る、回転軸位相差フィルタの帯を多数作り出すため、異なる方向の種々の大きさの帯に切り取られても良い。
【0057】
別の製造方法において、リターダの光軸の方向の変化が、配光層(Alignment layer)の機械的摩擦を使って達成され得る。
図8Aに示されるように、従来型の配光層804が基板802上に置かれ得る。マスク805が、配光層上に置かれ、そして、層804の、マスク805の開口部806を通じて露出する部分の、特定の配光を引き起こすためにバフホイール810で擦られる。このサンプルは、そして、異なるマスクを使用して、異なる方向に擦られる。この方法は、マスクを使用しなくても実行され得る。
図8に示されるように、マスク805が取り除かれたあと、液晶ポリマー806が、層804の表面上に置かれ、そして、層804における研磨パターンに続く、模様付けされたリターダを層806に作り出すため、放射808(例えば、紫外線放射)に全面的に曝される。液晶ポリマー806は、配光層806に擦り込む方向に適応し、そして、模様付けされた波長板(即ち、リターダ)になる。
【0058】
別の製造方法において、リターダの光軸の方向の変化は、液晶ポリマーの表面配光のフォトパターン(photopattern)を使って達成され得る。配光層は、配光表面に接触して、液晶(LC)分子の明確に定義された方向をもたらす。写真配光(photoaligned)層は、単に、光に接することによって、方向付けられ、即ち、機械的な接触が一切無く、それ故、任意の方向付けをLC分子に移すことが可能となる。特別な光反応性ポリマー(アゾ染料、Rolic Research 直線フォトポリマー)でコーティングされた基盤を直線的に偏向したUV光(LPUV)に曝すことは、偏向の方向に対する優先的な配光方向および光反応性配光層に接触するLC分子の後続の配光を含む。配光方向の空間的変化は、配光層を、異なる調整(即ち、変化する強度、入射角度又は偏光方向)をされたLPUV光に、範囲を選択して、曝すことによってもたらされ得る。第2段階において、異方性のLPP層は、光開始剤も含む液晶ポリマー(LCP)の配合処方によってコーティングされる。下部のLPP層によってLCPが配列されたあと、フィルムは、非偏向のUV光で交差結合され、恒久的に方向が模様付けられたリターダをもたらす。
【0059】
LPP層に配光模様を生成する別の方法がある。それらでは、フォトマスク、配光マスタ、レーザースキャン及び同期ローテーション及び/又はUV曝露中のUV偏向子及び基板の移動が使用される。単一の曝露段階にて必要とされる複雑な配光模様を作り出すための1つのオプションは、配光マスタを用いることである。配光マスタの機能は、配光面の空間的変化を伴うLPUV光をもたらすことであり、それがLPP層に当たったときに配光模様を直接生成する。
【0060】
フォトマスクを通したUV光によりもたらされる配光層の例が、
図8Cに示される。配光層804は、基板802上に置かれ得る。UV放射808は、偏光されたUV放射になるため、偏光子817を通過し得る。結果として生じた偏光されたUV放射はそして、配光層804の一部が選択的に曝されるよう、模様付けされたフォトマスク815を通過し得る。これは、曝された配光層804に模様を作り出す。この過程は、配光層804全体に模様付けするため、配光層804に対してフォトマスク815を移動させること、及び/又は、複数のフォトマスク815を介して配光層804を曝すことによって繰り返され得る。液晶ポリマー層はそして、液晶ポリマー層を偏光するため、模様付けられた配光層804上に置かれ、全面的に曝される。液晶ポリマー層は、配光層806に模様付けられた方向を取り入れ、そして、模様づけられた波長板(即ち、リターダ)となる(
図8Bに示された過程と同様に)。
【0061】
製造の別の方法において、リターダの光軸の方法の変化は、格子構造上に模様付ける、液晶ポリマーを介して得られる。模様付けられたリターダはまた、基板上に模様付けられたノコギリ歯表面のように、格子を用いて作り出される。これらの格子構造は、平面基板上にフォトレジストを置くこと及び振幅(amplitude)フォトマスクを介して曝すことによって作り出される。通常の影(shadow)フォトマスクよりもむしろ振幅フォトマスクが、別の領域と対照的な滑らかな特徴をもたらす。振幅マスクを介してフォトレジストを曝すこと及び発達させることは、基板上にノコギリ歯模様を作り出す。この基板上に液晶ポリマーをコーティングすることは、代わりの液晶ポリマー配光、及び、それ故、ノコギリ歯上の位置に対応する代わりの位相差の値を作り出す。
【0062】
製造の他の方法において、リターダの光軸の方向の変化は、有機性/離液性の液晶のプリント可能な自己集合(self−assembling)を介して得られる。自己集合性の振る舞いを示す有機性分子は、リターダに必要な複屈折特性を示す。これらの自己集合性の液体は、延伸ポリマー位相差フィルムよりも安価な位相差フィルタを形成するため、基板上にコーティングされる或いはプリントされ得る。楕円形の(異方性の)分子の長軸の配置は、スロットダイ(slot−die)プリント過程を経て誘導される圧力によって決定される。リターダの光軸の異なる方向は、せん断力の方向を変化させることによって得られる。
【0063】
種々の実施形態において、波長板は、複屈折材料の厚さを変化させることによって模様付けされても良い。個別の透過レベルが特定の数になるフィルムのため、2つの模様付けされたリターダが、特定の数の等しい幅のリタード範囲を含み得る。波長版の厚さは、個別の標準的な量だけ、隣接する範囲の厚さと異なる。1つのパネルが第2のパネルに対して直線的に移動するとき、光透過の滑らかで連続的な変化をもたらすフィルムを製造することも可能である。複屈折材料の厚さを変化させることによって模様付けられる可変的なリターダは、以下の方法又は類似の方法によって製造され得る。
【0064】
1つの製造方法において、位相差の変化は、液晶ポリマー位相差層の厚さの模様付けを介して得られる。液晶ポリマーは、基板上にコーティングされた均一な配光層を備える基板上に液状コーティングされる。UVフォトマスク露出は、特定領域を平面配光に光重合するために用いられる。基板は、そして、交差結合及び偏光されていない液晶ポリマーを分解するため、テトラヒドロフラン(又は、他の現像液化学物質)で処理される。これは、液晶ポリマー複屈折率及び層の厚さに応じて、位相差を有さない領域及び位相差を有する領域をもたらす。
【0065】
別の製造方法において、波長リターダは、複製(成形)型(mold)で作られた液晶ポリマープリントを経る、複屈折材料の厚さを変化させることによって模様付けられる。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)ポリマー成形型スタンプは、フォトリソグラフィーで作られた原版(master)ポリマー成形型を使用して作り出され、その後、重合体液晶に模様をスタンプするために使用される。液晶ポリマーは、模様付けされた液晶リターダの残余を取り除いた物質に押されるスタンプで処理される。配光は、追加の配光層が必要とならないよう、PDMS表面に押される処理を伴う液晶ポリマーの相互作用を経て生成される。
【0066】
別の製造方法において、波長リターダは、表面の高さが変わる基板上の物質でコーティングすることを経て、複屈折材料の厚さを変化させることによって、模様付けされる。表面の高さを変えるため、微細エンボス加工法が提案されている。この方法は、微細に模様付けされたスタンプ、及び、例えば、ポリエチレン(PET)ポリビニールアルコール(PVA)又はポリイミドのような、型成形可能な非複屈折透過基板、を含む。この模様付けされた基板はそして、成形型からはがされ、プリント可能なポリマー液晶又は複屈折材料でコーティングされる。
【0067】
上記の方法の成形型の例が、
図9に示される。スタンプ又は基板902は、種々の形で高さが変化し得る。
図9の基板902は、ノコギリ歯形状の例を図示している。液晶ポリマー904は、厚さ及び位相差の変化をもたらすため、成形型902の上面上に置かれ得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、波長リターダは、複屈折材料を変えることによって模様付けられる。個々の透過レベルが特定の数になるフィルムのため、2つの模様付けされたリターダが、特定の数の等しい幅のリタード範囲を含み得る。波長リターダの複屈折率は、隣接する範囲の複屈折率と個別の標準的な量だけ、異なる。1つのパネルを第2のパネルに対して直線的に移動させるとき、光透過の滑らかで連続的な変化をもたらすフィルムを製造することも可能である。複屈折率を変化させることによって模様付けられる可変的なリターダは、以下の方法又は類似の方法によって製造され得る。
【0069】
1つの製造方法において、波長リターダは、液晶ポリマーの熱による模様付けを経て、複屈折率を変化させることによって模様付けされる。模様付けされたリターダは、液晶ポリマー及び標準的な均一配光層でコーティングされた基板を用いて作り出され得る。液晶アクリレートは、基板上に液状コーティングされ、配光層に沿った平面構造において方向付けをする。フォトマスクが作り出され、そして、選択された領域における平面配光を相互結合し及び固定するため、液晶ポリマーがUV光に曝される。フォトマスクは取り除かれ、そして、そのサンプルが(等方性の或いは無秩序な配光状態を作り出す)液晶ポリマー透明点上で熱せられる。そのサンプルはそして、その前に直線的な状態で重合されなかった領域において、無秩序な配光を固定するため、全面的に曝される。両方の露出は、UV露出のない重合及びフォトマスク境界の外側の交差重合を最小限にするため、窒素環境にて行われる。
【0070】
別の製造方法において、波長リターダは、液晶ポリマーのフォトパターン(photopatterning)及び光反応性の異性体を経て、複屈折率を変化させることによって模様付けられる。上述の方法にあるような、等方性の温度を上昇させることによって液晶配光を取り除くよりもむしろ、液晶ポリマー混合物及び光反応性の異方体が、露出を介して等方性温度を修正するために用いられ得る。その構成は、既に置かれた直線的な配光層を有する基板上にコーティングされた液晶ポリマーにおけるものと類似している。液晶ポリマー混合物はそして、フォトマスクを介して曝されるが、しかし、その領域の液晶ポリマーを重合する代わりに、液晶ポリマー混合物の1つの要素の異性化を経て等方性温度が変化する。本システムは、UV露出のもと、等方性転移温度が室温よりも低くなるように、設計される。その結果、最初の露出段階において露出された領域は等方性配光を有する一方、露出されなかった領域は直線的構成のままでいる。そして、第2の全面的な露出が、フィルムを固めるために行われる。
【0071】
別の製造方法において、波長リターダは、光反応性の配光層(例えば、Rolic LPP)を液晶ポリマー混合物に直接混ぜる(液晶ポリマーを適用するよりも前に基板をコーティングすること及び模様付けすることとは対照的に)ことを経て、復屈折率を変更させることによって模様付けされる。この技術において、液晶ポリマーの配光は、表面のみならず、液晶ポリマー混合物の量を介して制御される。この混合物は、均一平面配光層を有する基板に適用される。そのサンプルは、1つのUV偏光を有する1つの領域に且つ異なる偏光を有する別の領域に曝されるUVフォトマスクである。異なる偏光の露出は、異なるキラリティー(左回り、右回り)を有する、そして、順番に異なる位相差の量をもたらす、らせん状の或いは捩れた液晶ポリマー構造を作り出す。
【0072】
別の製造方法において、波長リターダは、光配光コレステリック液晶を経て、複屈折率を変化させることによって模様付けられる。コレステリック液晶(CLC)は、DNAに似て、らせん状の或いは捩れた構造を有する。あるCLCは、キラリティーの量(又はらせん状の捩れ強さ)が1回分のUV光露出を介して変調されるように設計され、例えば、UVへの長い露出は捩れ、及び、それ故、CLCの位相差を変調し得る。模様付けされた位相差層は、多数のフォトマスクを介したUV光の異なる曝露量へのCLCの異なる領域の露出を経て形成され得る。
【0073】
別の製造方法において、波長板は、レーザープリントポリマー延伸リターダを経て、複屈折率を変化させることによって模様付けられる。複屈折率は、形状異方性、及び、それ故、複屈折率/位相差をもたらすポリマーの延伸を介して、ポリマーフィルムに取り入れられる。これらのポリマーフィルムの熱すること又は化学的処理は、圧力を加えられたポリマー結合を破壊することができ、局所のモノマーの無秩序な配置を作り出す。これは、レーザーが適した量を配分するように適切に制御されるような、レーザープリンティングプロセスを介して、模様付けされた位相差フィルムを作り出すために用いられる。レーザーは、サンプル全体をスキャンして、局所加熱を経てプリントされた帯の位相差を取り除く。
【0074】
別の製造方法において、波長板は、変化する複屈折率を有する異なる液晶材料の帯のコーティングを経て、複屈折率を変化させることによって模様付けられる。この方法において、スロット打ち抜き型塗工機(slot die coater)が、基板全体のうちの異なる範囲に異なる液晶材料を置く。
【0075】
上記の特定の方法又は類似の方法のいかなる組み合わせも、模様付けされたリターダを作り出すために使用されることが可能である。
【0076】
図10は、本発明の実施形態に係る可変的な透過装置を通過する光の典型的な実施形態を例示する一連のデジタル画像である。画像(a)−(h)は、波長リターダが互いに直線的に移動するときの光透過率の変化を示している。個々の画像は、可変的な透過装置が位置する中央部分を含んでいる。画像(a)は、中央部分を通して背景物がはっきり見える、38%の透過率を示している。個々の画像の中央部分は次第に暗くなり(即ち、それぞれ画像(b)から(g)の、35%、30%、20%、13%、7%、4%の中央部分の透過率)、画像(h)が、中央部分の1%の透過率を示している。
【0077】
上述の開示された態様に係る記述は、当業者が本発明に係る物を製造し或いは本発明を利用することを可能にする。これらの態様に対する種々の修正が、当業者によって容易になされ得るし、ここで定義された一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様に適用され得る。それ故、本発明は、ここに示された態様に限定されることを意図しておらず、しかし、ここに開示された原則及び新規な特徴と矛盾のない最も広い範囲と合致する。