(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一係合部材と、エレベータのドアに取り付けられ且つ該ドアに沿った方向に引かれることで前記第一係合部材と係合状態となる係合位置から該第一係合部材との係合状態が解除される解除位置に変位する第二係合部材と、を有し、これら第一係合部材と第二係合部材との係合によって前記ドアを施錠する錠装置を解錠可能なエレベータ用のドアの解錠装置であって、
前記ドアの裏面側に配置される線状部材であって、一端が前記第二係合部材に接続されると共に他端が前記ドアの裏面に接続される線状部材と、
前記線状部材の延びる方向を変更する方向変更部と、
前記ドアを貫通する鍵穴と、を備え、
前記方向変更部は、前記ドアの裏面から離れる方向に該裏面と間隔をあけた位置において該ドアに対して位置決めされ、
前記線状部材における前記一端から前記方向変更部までの部位は、前記裏面に沿って延び、且つ、前記線状部材における前記方向変更部から前記他端までの部位は、前記方向変更部から前記ドアの裏面側に延び、
前記鍵穴は、前記ドアにおける前記線状部材の前記他端の接続位置と隣接する領域に配置されている、エレベータ用のドアの解錠装置。
前記鍵穴は、先端側部位が該鍵穴への挿入方向に対して交差する方向に延びる鍵が挿入方向周りに回転したときに前記先端側部位が前記線状部材における前記方向変更部から前記他端までの部位に当接する位置に配置されている、請求項1又は2に記載のエレベータ用のドアの解錠装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータ用のドアを施錠する錠装置を解除する解錠装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、錠装置は、
図13に示すように、乗場のドア930の上縁に取付けられたドアハンガー931に設けられた掛け金921と、この掛け金921に係止するラッチ922とを有している。
【0004】
また、解錠装置900は、解錠体901と、この解錠体901と錠装置920とを引き金910を介して連結した連結線であるワイヤー911とを備えている。
【0005】
解錠体901は、多数の部材によって構成されている。詳しくは、解錠体901は、
図14にも示すように、挿入された鍵を回転することで回転する回転軸902を有する鍵穴口金903と、この回転軸902の先端部にベース904、六角リング905、ナット906及び座金907を用いて取付けられた作動片908と、この作動片908の端部に設けられワイヤー911の端部が接続されたワイヤー支持金具909とを有している。
【0006】
この解錠装置900では、点検時または非常時等にドア930を開けようとする場合、乗場側から専用の鍵を鍵穴口金903の穴に挿入し、解錠方向に回転させると、鍵穴口金903の回転軸902が回転し、この回転軸902と一体の作動片908が時計方向にシーソ回動し、ワイヤー911が下方向に引っ張られる。これにより、ラッチ922が作動片908と同方向(時計方向)に回動して掛け金921との係止が解除され、ドア930の施錠状態が解除され、ドア930を開けることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の解錠装置900では、多数の部材902〜909、911によって構成されるため、ドア930への取り付けやメンテナンスが煩雑となる。
【0009】
そこで、本発明は、簡素な構成のエレベータ用のドアの解錠装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエレベータ用のドアの解錠装置は、
第一係合部材と、エレベータのドアに取り付けられ且つ該ドアに沿った方向に引かれることで前記第一係合部材と係合状態となる係合位置から該第一係合部材との係合状態が解除される解除位置に変位する第二係合部材と、を有し、これら第一係合部材と第二係合部材との係合によって前記ドアを施錠する錠装置を解錠可能なエレベータ用のドアの解錠装置であって、
前記ドアの裏面側に配置される線状部材であって、一端が前記第二係合部材に接続されると共に他端が前記ドアの裏面に接続される線状部材と、
前記線状部材の延びる方向を変更する方向変更部と、
前記ドアを貫通する鍵穴と、を備え、
前記方向変更部は、前記ドアの裏面から離れる方向に該裏面と間隔をあけた位置において該ドアに対して位置決めされ、
前記線状部材における前記一端から前記方向変更部までの部位は、前記裏面に沿って延び、且つ、前記線状部材における前記方向変更部から前記他端までの部位は、前記方向変更部から前記ドアの裏面側に延び、
前記鍵穴は、前記ドアにおける前記線状部材の前記他端の接続位置と隣接する領域に配置されている。
【0011】
かかる構成によれば、鍵穴に挿入した鍵によって線状部材における方向変更部から他端までの部位が該部位の延びる方向と交差する方向に押されることで、線状部材における第二係合部から方向変更部までの部位が方向変更部(他端側)に引き込まれ、これにより、第二係合部材がドアに沿った方向に引かれ、その結果、第一係合部材と第二係合部材との係合状態が解除される(錠装置が解錠される)。しかも、線状部材と方向変更部といった簡素な構成によって錠装置を解錠可能な構成を実現できる。
【0012】
前記エレベータ用のドアの解錠装置では、
前記鍵穴は、前記ドアの全高の半分以下の位置に配置されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、ドアの上部に鍵穴が配置される場合に比べ、鍵穴が低い位置に配置されるため、点検等でドアを開ける際に作業員等によるドアの解錠作業が容易になる。即ち、背伸びして鍵穴に鍵を差し込む等の無理な姿勢になることなく、ドアの解錠作業が可能となる。
【0014】
また、前記エレベータ用のドアの解錠装置において、例えば、前記鍵穴は、先端側部位が該鍵穴への挿入方向に対して交差する方向に延びる鍵が挿入方向周りに回転したときに前記先端側部位が前記線状部材における前記方向変更部から前記他端までの部位に当接する位置に配置されている。このため、鍵を回転させることで、線状部材における方向変更部から他端までの部位が鍵の先端側部位によって押され(詳しくは、線状部材の延びる方向と交差する方向に押され:例えば、
図12参照)、これにより、第二係合部材が線状部材によって引かれて解錠位置に変位し、その結果、錠装置が解錠される。
【0015】
また、前記エレベータ用のドアの解錠装置では、
前記ドアは、出入り方向と直交する方向に広がる矩形状のドアパネル本体と、前記ドアパネル本体の戸開側の端縁から延びる折り返し部と、を有し、
前記折り返し部は、前記ドアパネル本体の戸開側の端縁から裏面側に延びる第一部位と、前記第一部位の先端から前記ドアパネル本体に沿って戸閉側に延びる第二部位と、を有し、
前記方向変更部は、前記第二部位に配置されてもよい。
【0016】
このように、ドアの折り返し部を利用して方向変更部の位置決め(ドアの裏面から離れる方向の位置決め)を行うこうとで、ドアに他の部材(専用の部材等)を配置して該部材に方向変更部を取り付ける等しなくてもよいため、構成のさらなる簡素化を図ることができる。
【0017】
この場合、
前記方向変更部は、前記第二部位を出入り方向に貫通する穴によって構成されてもよい。このように、折り返し部の第二部位に設けた穴を利用して線状部材の方向を変更する構成とすることで、構成をより簡素化することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、簡素な構成のエレベータ用のドアの解錠装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図12を参照しつつ説明する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、エレベータ用のドア装置1は、出入口11を開閉するドア2と、ドア2を開閉方向に案内するガイドレール3と、ドア2をロック(施錠)する錠装置4と、錠装置4によるロックを解錠可能な解錠装置5と、を備える。本実施形態のドア装置1は、乗場に配置され、二つのドア2を備えた、いわゆるセンターオープン式(両開き式)のドア装置である。
【0022】
ガイドレール3は、乗場の出入口11の上方位置において、出入口11の幅方向(
図1における左右方向)に延びている。本実施形態のガイドレール3は、二つのドア2のそれぞれを案内する。
【0023】
本実施形態の二つのドア2は、連動しており、一方のドア2を開閉するとこの開閉に伴って他方のドア2も開閉する。また、本実施形態のドア装置1では、乗場でかごドアが開閉するときに、このかごドアの開閉方向の駆動力が一方のドア2に伝達される。このため、本実施形態のドア装置1では、かごドアの開閉と同期して乗場の二つのドア2がそれぞれ開閉する。
【0024】
具体的に、各ドア2は、出入口11の出入り方向(開口方向)と直交する面方向に広がるドアパネル21と、ドアパネル21を吊り下げた状態でガイドレール3に沿って開閉方向に往復動可能なドアハンガー22と、を有する。また、各ドア2は、出入口11の下端において幅方向に延びる乗場敷居12に設けられた溝に嵌まり込むドアシュー23を有する。
【0025】
ドアハンガー22は、出入り方向と直交する面方向に広がるハンガー本体221と、ハンガー本体221に取り付けられてガイドレール3に案内される被ガイド部222と、を有する。
【0026】
ドアパネル21は、板状の部材によって構成される。このドアパネル21は、出入り方向と直交する面方向に広がるドアパネル本体210と、ドアパネル本体210の戸開側の端縁から延びる第一折り返し部(折り返し部)211と、ドアパネル本体210の戸閉側の端縁から延びる第二折り返し部212と、を有する。
【0027】
ドアパネル本体210は、上下方向に長尺な矩形板状の部位である。
【0028】
第一折り返し部211は、ドアパネル本体210の戸開側の端縁からドアパネル本体210の裏面側(昇降路側)に延びる第一部位2111と、第一部位2111の先端からドアパネル本体210に沿って戸閉側に延びる第二部位2112と、を有する。第一部位2111及び第二部位2112のそれぞれは、上下方向に長尺な矩形板状(帯板状)の部位である。
【0029】
第二折り返し部212は、ドアパネル本体210の戸閉側の端縁からドアパネル本体210の裏面側に延びる第三部位2121と、第三部位2121の先端からドアパネル本体210に沿って戸開側に延びる第四部位2122と、を有する。第三部位2121及び第四部位2122のそれぞれは、上下方向に長尺な矩形板状(帯板状)の部位である。
【0030】
ドアシュー23は、ドアパネル21の下端部に配置され、ドア2が開閉するときに乗場敷居12の溝内を移動することで、ドアパネル21の下端部を開閉方向に案内する。
【0031】
錠装置4は、
図3にも示すように、ガイドレール3に取り付けられる第一係合部材41と、一方のドア2に取り付けられる第二係合部材42と、を有し、第一係合部材41と第二係合部材42との係合によって、ドア2を施錠して開かなくする、即ち、二つのドア2を離間方向に移動できなくする。
【0032】
第一係合部材41は、ガイドレール3に取り付けられ、上方に延びる係合片411を有する(
図3参照)。
【0033】
第二係合部材42は、ドア2(詳しくは、ドアパネル21)に沿った方向に引かれる(引っ張られる)ことで第一係合部材41と係合状態となる係合位置から該第一係合部材41との係合状態が解除される解除位置に変位する。本実施形態の第二係合部材42は、回動することによって係合位置(
図3参照)と解除位置(
図4参照)との間で位置(姿勢)を変更する。
【0034】
具体的に、第二係合部材42は、ドアハンガー22に固定され且つ出入り方向に延びる軸420aを有する基部420と、軸420a周りに回動可能に該軸420aに接続される本体421と、本体421から延びる延設部422と、延設部422の先端部に設けられるフック部423と、第二係合部材42が係合位置となるように本体421を付勢する付勢部424と、を有する。本実施形態の基部420は、出入り方向に延びると共に上下方向に延びる板状部4201も有する。
【0035】
付勢部424は、本体421から延び且つ基部420の板状部4201を貫通する軸部4241と、本体421と板状部4201との間に配置される付勢部材4242と、を有する。
【0036】
軸部4241は、戸開側の端部に拡径部4241aを有し、板状部4201に対して貫通方向に相対移動可能である。この拡径部4241aは、第二係合部材42が係合位置のときに板状部4201の戸開方向を向いた面4201aと当接する(
図3参照)一方、第二係合部材42が解除位置のときに板状部4201に対して戸開方向側に離間する(
図4参照)。
【0037】
付勢部材4242では、第二係合部材42が係合位置から解除位置に位置を変更するのに伴って板状部4201から本体421(軸部4241の基部が接続されている部位)に向けた付勢力が大きくなる。
【0038】
解錠装置5は、
図5〜
図7にも示すように、ドア2の裏面(昇降路側の面:
図2における下側の面)側に配置される線状部材51と、線状部材51の延びる方向を変更する方向変更部53と、ドア2を貫通する鍵穴54と、を備える。また、本実施形態の解錠装置5は、線状部材51をガイドするガイド部52も備える。本実施形態の解錠装置5は、一方のドア2に配置されている。
【0039】
線状部材51は、可撓性を有する長尺な部材であり、一端が第二係合部材42、詳しくは、第二係合部材42の軸部4241の先端部に接続される(
図3及び
図4参照)と共に、他端がドア2、詳しくは、ドアパネル本体210の裏面(昇降路側の面)に接続される(
図6参照)。この線状部材51における第二係合部材42から方向変更部53までの部位は、ドアパネル本体210の裏面に沿って延び(配置され)、且つ、線状部材51における方向変更部53から他端までの部位は、方向変更部53からドアパネル本体210の裏面に向けて延びる。本実施形態の線状部材51は、ワイヤーである。
【0040】
具体的に、ワイヤー51の他端は、ドアパネル21の全高の半分以下の位置(本実施形態の例では、ドアパネル21の下端から約100cm〜約150cmの位置)で且つ出入り方向から見て第一折り返し部211の第二部位2112と重なる位置に接続されている。本実施形態のワイヤー51の他端は、ブラケットBを介してドアパネル本体210に接続されている。
【0041】
本実施形態のワイヤー51は、第二係合部材42(軸部4241)からガイド部52まで真っ直ぐに延び、ガイド部52から方向変更部53まで真っ直ぐに延び、方向変更部53から他端(ドアパネル21の裏面)まで真っ直ぐに延びる長さである。即ち、ワイヤー51は、各区間(第二係合部材42(軸部4241)からガイド部52までの区間、ガイド部52から方向変更部53までの区間、及び、方向変更部53から他端(ドアパネル21の裏面)までの区間)においてそれぞれ弛まない長さに調整されている。
【0042】
ガイド部52は、ドアパネル本体210の裏面に沿った面内でのワイヤー51の延びる方向を変更する。本実施形態のガイド部52は、上下方向における第二係合部材42(軸部4241)と方向変更部53との略中間位置に配置されている。このガイド部52は、第一折り返し部211の第二部位2112に取り付けられている。本実施形態のガイド部52は、第二部位2112に固定された環状(無端状の閉じた形状)の部材によって構成されている。
【0043】
方向変更部53は、ドア2(詳しくは、ドアパネル本体210)の裏面から離れる方向における該裏面と間隔をあけた位置においてドア2に対して位置決めされている。本実施形態の方向変更部53は、第二部位2112に配置されている。詳しくは、方向変更部53は、第二部位2112を出入り方向に貫通する穴によって構成されている。より詳しくは、方向変更部53は、第二部位2112において出入り方向から見てワイヤー51の他端と重なる位置に設けられた穴によって構成されている。
【0044】
鍵穴54は、一方のドア2を貫通し、鍵7(
図10参照)を挿入できる。この鍵穴54は、ドア2(ドアパネル本体210)におけるワイヤー51の他端の接続位置と隣接する領域に配置されている。詳しくは、鍵穴54は、上下方向において、ドア2の全高の半分以下の位置に配置されている。本実施形態の鍵穴54は、上下方向において、ドアパネル本体210の全高の半分以下の位置、詳しくは、上下方向において、ワイヤー51の他端が接続されている位置に配置されている。また、鍵穴54は、ドア2の開閉方向において、鍵穴54に挿入された鍵7の先端側部位712がワイヤー51における方向変更部53から該ワイヤー51の他端までの部位に当接する位置に配置されている(
図11参照)。また、鍵穴54は、出入り方向から見て、第一折り返し部211の第二部位2112と重ならない位置に配置されている。
【0045】
具体的に、鍵穴54は、ドアパネル21、詳しくは、ドアパネル本体210を出入り方向に貫通する貫通孔541と、中空部542aを有し且つドアパネル本体210の裏面における貫通孔541から出入り方向に突出する(延びる)ガイド筒542と、を有する。
【0046】
本実施形態の貫通孔541は、円形の孔であり、ガイド筒542は、円筒形状である。本実施形態の鍵穴54では、貫通孔541にガイド筒542が嵌め込まれている。また、ガイド筒542は、出入り方向において、ドアパネル本体210の位置と第一折り返し部211の第二部位2112の位置との中間位置又はその近傍まで延びている(
図7参照)。
【0047】
ここで、解錠装置5に用いられる鍵7について説明する。この鍵7は、
図8及び
図9に示すように、鍵穴54に挿入される軸部71と、錠装置4を解錠する際に作業員等が把持する把持部72と、を有する。
【0048】
軸部71は、把持部72から延びる基部側部位711と、基部側部位711の先端から延びる先端側部位712と、を有する。これら基部側部位711と先端側部位712との端部同士が、基部側部位711の延びる方向と直交する方向に延びる連結ピン713によって接続されている。即ち、軸部71は、連結ピン713も有する。
【0049】
基部側部位711は、鍵穴54に挿入可能な大きさの軸状の部位であり、本実施形態の基部側部位711は、円柱状である。この基部側部位711は、把持部72との境界位置まで軸部71が鍵穴54に挿入されたときに、ガイド筒542から先端部(先端側部位712との連結部)が突出する長さ寸法を有する(
図10参照)。
【0050】
先端側部位712は、鍵穴54に挿入可能な大きさの軸状の部位であり、本実施形態の先端側部位712は、基部側部位711と同じ径の円柱状である。この先端側部位712は、基部側部位711に対して回動自在(
図9の矢印α参照)に連結ピン713によって連結されている。
【0051】
把持部72は、基部側部位711から同方向に延びる把持部第一部位721と、把持部第一部位721と交差する方向に延びる把持部第二部位722と、を有する。把持部第一部位721は、柱状であり、把持部第一部位721の径は、基部側部位711の径より大きい。このため、把持部72は、鍵穴54に挿入できない。
【0052】
以上のエレベータ用のドア2の解錠装置5では、以下のようにして錠装置4を解錠する。
【0053】
鍵7の軸部71が鍵穴54に挿入される。このとき、連結ピン713が略水平方向となるように、軸部71が挿入される。
【0054】
軸部71と把持部72との境界位置まで軸部71が鍵穴54に挿入される、換言すると、把持部72の先端がドアパネル本体210における鍵穴54の周縁部に当接すると、軸部71の先端側部位712の全体がガイド筒542から突出した状態となる。この状態では、先端側部位712が基部側部位711に対して回動自在であるため、先端側部位712の自重によって連結ピン713周りに回動して先端を下方に向けた状態(基部側部位711に対して交差(直交又は略直交)する方向に延びた状態)となる(
図10における矢印α参照)。
【0055】
この基部側部位711に対して先端側部位712が折れ曲がった状態で軸部71の基部側部位711の軸心(鍵穴54への軸部71の挿入方向)周りに鍵7が回転することで、先端側部位712がワイヤー51における方向変更部53から該ワイヤー51の他端までの部位に当接し(
図11及び
図12参照)、さらに、鍵7が回転すると、ワイヤー51の前記部位が押され(
図12の矢印β及び二点鎖線で示す構成参照)、方向変更部53より前記他端側に、ワイヤー51における第二係合部材42から方向変更部53までの部位が引き込まれる(
図12の矢印γ参照)。
【0056】
これにより、第二係合部材42の軸部4241がワイヤー51によってドア2(詳しくは、ドアパネル本体210)に沿ってガイド部52に向かう方向に引かれ、第二係合部材42が軸420a周りに回動して係合位置(
図3参照)から解除位置(
図4参照)に変位する。これにより、第一係合部材41と第二係合部材42との係合状態が解除される(錠装置4が解錠される)。
【0057】
以上のエレベータ用のドア2の解錠装置5では、線状部材(本実施形態の例では、ワイヤー)51と方向変更部(本実施形態の例では、穴)53といった簡素な構成によって錠装置4を解錠可能な構成が実現されている。
【0058】
また、本実施形態のエレベータ用のドア2の解錠装置5では、鍵穴54が、ドア2の全高の半分以下の位置(本実施形態の例では、ドアパネル21の下端から約100cm〜約150cmの位置)に配置されている。このように、鍵穴54が低い位置に配置されることで、ドア2の上部に鍵穴が配置される場合に比べ、点検等でドア2を開ける際に作業員等によるドア2の解錠作業が容易になる。即ち、背伸びして鍵穴54に鍵7を差し込む等の無理な姿勢になることなく、ドア2の解錠作業が可能となる。尚、本実施形態のドア装置1では、保守等を行う作業者が解錠する際に容易に解錠できる高さとして、成人健常者の人体構造に基づいて、鍵穴54をドアパネル21の下端から約100cm〜約150cmの位置に配置している。
【0059】
また、本実施形態のエレベータ用のドア2の解錠装置5では、先端側部位712が鍵穴54への挿入方向に対して交差する方向に延びる鍵7が挿入方向(基部側部位711の軸心)周りに回転したときに先端側部位712がワイヤー51における方向変更部53から該ワイヤー51の他端までの部位に当接する位置に鍵穴54が配置されている。このため、鍵7を基部側部位711の軸心周りに回転させることで、ワイヤー51における方向変更部53から該ワイヤー51の他端までの部位が鍵7の先端側部位712によって押される(具体的には、ワイヤー51の延びる方向と交差する方向に押される:
図12の矢印β参照)。
【0060】
また、本実施形態のエレベータ用のドア2の解錠装置5では、方向変更部53が、ドアパネル21における第一折り返し部211の第二部位2112に配置されている。このように、ドアパネル21の第一折り返し部211を利用して方向変更部53の位置決め(ドアパネル本体210の裏面から離れる方向の位置決め)を行うこうとで、ドアパネル21に他の部材(専用の部材等)を配置して該部材に方向変更部53を取り付ける等しなくてもよいため、構成のさらなる簡素化を図ることができる。
【0061】
しかも、方向変更部53が、第二部位2112を出入り方向に貫通する穴によって構成されている、即ち、第一折り返し部211の第二部位2112に設けた穴を利用してワイヤー51の方向を変更する構成とすることで、構成をより簡素化することができる。
【0062】
尚、本発明のエレベータ用のドアの解錠装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0063】
上記実施形態のエレベータ用のドア2の解錠装置5(以下、単に「解錠装置5」と称する。)は、乗場のドア2に配置されているが、この構成に限定されない。解錠装置5は、かごドアに配置されていてもよい。この場合、錠装置4もかごドアに配置される。
【0064】
また、上記実施形態の解錠装置5は、両開き式のドア2に配置されているが、片開き式のドアに配置されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態の解錠装置5は、一つのガイド部52を有しているが、この構成に限定されない。解錠装置5は、複数のガイド部52を有する構成でもよく、ガイド部52の無い構成でもよい。また、上記実施形態のガイド部52は、第一折り返し部211に取り付けられているが、他の部位や部材等に取り付けられてもよい。
【0066】
また、解錠装置5において、鍵穴54の位置は限定されない。鍵7が鍵穴54に挿入された状態で該鍵7を基部側部位711の軸心周りに回転させたときに、先端側部位712がワイヤー51における方向変更部53から該ワイヤー51の他端までの部位に当接する位置であればよい。
【0067】
また、上記実施形態の解錠装置5では、方向変更部53は、第一折り返し部211の第二部位2112に設けられた穴によって構成されているが、この構成に限定されない。方向変更部53は、滑車やローラ等、ワイヤー等の可撓性を有する線状部材51の延びる方向を変更でき且つ線状部材51が方向変更部53に対して相対移動可能な構成であればよい。
【0068】
また、方向変更部53は、板状の部位(上記実施形態の例では第二部位2112)に設けられた穴であるが、線状部材51が相対移動しやすいように穴周縁部に滑り部材(いわゆるブッシュ)等が配置されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態の解錠装置5では、方向変更部53は、第一折り返し部211に配置されているが、この構成に限定されない。方向変更部は、他の部位や部材に配置又は取り付けられてもよい。
【0070】
また、上記実施形態の錠装置4において、第一係合部材41は、ガイドレール3に取り付けられているが、この構成に限定されない。第一係合部材41は、他方のドア2や乗場の出入口を確定する三方枠等に取り付けられていてもよい。
【解決手段】本発明は、エレベータ用のドアの錠装置を解錠可能なエレベータ用のドアの解錠装置であって、ドアの裏面側に配置される線状部材であって、一端が錠装置に接続されると共に他端がドアの裏面に接続される線状部材と、線状部材の延びる方向を変更する方向変更部と、ドアを貫通する鍵穴と、を備え、方向変更部は、ドアの裏面から離れる方向に該裏面と間隔をあけた位置において該ドアに対して位置決めされ、線状部材における一端から方向変更部までの部位は、裏面に沿って延び、且つ、線状部材における方向変更部から他端までの部位は、方向変更部からドアの裏面側に延び、鍵穴は、ドアにおける線状部材の他端の接続位置と隣接する領域に配置されている、ことを特徴とする。