(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柔軟性を有する材料からなる袋体2を備え、前記袋体2が、平面視で方形状をなす底面部分3及び頂面部分4と、底面部分3及び頂面部分4のそれぞれの周縁部に連続して、四隅の角部6a〜6dで区画される四面の側面部分7a〜7dとを有し、側面部分7a〜7dに液体の注入排出口19が設けられてなる液体輸送用容器1を使用する方法であって、
前記液体輸送用容器1の収縮状態で、該液体輸送用容器1を折り畳む容器折畳み過程を有し、前記容器折畳み過程が、それぞれの側面部分7a〜7dの頂面側半部と底面側半部とを、それらの半部が相互に重なり合うように、頂面部分4と底面部分3との間に挟み込んで前記袋体2の内部側に折り込み、前記袋体2を、平面視で方形状をなす側面折込み姿勢とすることを含み、
前記袋体2が、前記四面の側面部分7a〜7dとして、後側面部分7b、前側面部分7d、右側面部分7a及び左側面部分7cを有し、前記液体輸送用容器1が、前記後側面部分7bに、液体の前記注入排出口19を備え、
前記容器折畳み過程の後、液体輸送用容器1の配置スペースで液体輸送用容器1を配置する容器配置過程をさらに有し、
前記容器配置過程が、容器折畳み過程で折り畳まれた袋体2を、前記頂面部分4が鉛直方向上側に位置する向きで前記配置スペース上に置いて、前記袋体2を前記側面折込み姿勢とすること、ならびに、その後、前記側面折込み姿勢の袋体2で、前記四面の側面部分7a〜7dのうち、少なくとも、前記前側面部分7d、右側面部分7a及び左側面部分7cのそれぞれの頂面側半部を内側に折り返して、各頂面側半部を頂面部分4上に位置させた注入直前姿勢とすることを含む、液体輸送用容器の使用方法。
前記液体輸送用容器1が袋体2の頂面部分4に、頂面側スライドファスナー9により開閉可能な頂面開口部8を備え、前記頂面側スライドファスナー9により開閉可能な頂面開口部8が、前記頂面部分4の横方向の中央部に位置し、
前記容器折畳み過程が、前記側面折込み姿勢とした袋体2で、その横方向に三等分になる中央部及び両側部のうち、一方の側部を頂面部分4側で中央部上に折り重ねるとともに、その折り重ねた部分上に他方の側部を折り重ねて、三つ折りにすることをさらに含む、請求項1に記載の液体輸送用容器の使用方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような液体輸送用容器は、たとえば、使用前は、コンパクトに折り畳まれて、所定の梱包等がなされており、そして使用する際には、貨物自動車の荷台等における所定の配置スペースにセットされて、液体が注入される。
このとき、使用前の折畳みの態様や配置スペースでのセットの態様によっては、液体の注入に伴い、袋体の表面に意図しない皺が発生する等して、内部への液体の注入による袋体の膨張が良好に行われず、その結果として、所定量の液体を確実に充填し得ないことがあった。
【0006】
他方、液体輸送用容器としては、特許文献3等に記載されているように、底面部分と頂面部分と四面の側面部分とを有する袋体で構成し、その袋体の頂面部分に、洗浄等の際に用いられ得るスライドファスナー付きの頂面開口部を設けたものがあるが、このような液体輸送用容器では、上述したような出荷時の折畳みで当該スライドファスナーが折れ曲がり、このことがスライドファスナーの破損の原因となる場合がある。
【0007】
この発明は、従来の液体輸送用容器が抱えるこのような問題に解決することを課題とするものであり、その主たる目的は、内部への液体の注入時の袋体の良好な膨張を可能にして、内部に所期した量の液体を充填することのできる液体輸送用容器の使用方法を提供することにある。また、この発明の他の目的は、袋体の頂面部分に設けた頂面開口部のスライドファスナーへの損傷の発生を有効に抑制することのできる液体輸送用容器の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の液体輸送用容器の使用方法は、柔軟性を有する材料からなる袋体を備え、前記袋体が、平面視で方形状をなす底面部分及び頂面部分と、底面部分及び頂面部分のそれぞれの周縁部に連続して、四隅の角部で区画される四つの側面部分とを有し
、側面部分に液体の注入排出
口が設けられてなる液体輸送用容器を使用する方法であって、前記液体輸送用容器の収縮状態で、該液体輸送用容器を折り畳む容器折畳み過程を有し、前記容器折畳み過程が、それぞれの側面部分の頂面側半部と底面側半部とを、それらの半部が相互に重なり合うように、頂面部分と底面部分との間に挟み込んで前記袋体の内部側に折り込み、前記袋体を、平面視で方形状をなす側面折込み姿勢とすることを含
み、前記袋体が、前記四面の側面部分として、後側面部分、前側面部分、右側面部分及び左側面部分を有し、前記液体輸送用容器が、前記後側面部分に、液体の前記注入排出口を備え、前記容器折畳み過程の後、液体輸送用容器の配置スペースで液体輸送用容器を配置する容器配置過程をさらに有し、前記容器配置過程が、容器折畳み過程で折り畳まれた袋体を、前記頂面部分が鉛直方向上側に位置する向きで前記配置スペース上に置いて、前記袋体を前記側面折込み姿勢とすること、ならびに、その後、前記側面折込み姿勢の袋体で、前記四面の側面部分のうち、少なくとも、前記前側面部分、右側面部分及び左側面部分のそれぞれの頂面側半部を内側に折り返して、各頂面側半部を頂面部分上に位置させた注入直前姿勢とすることを含むものである。ここでいう「収縮状態」とは、袋体の内部に液体及び気体がほぼ存在せず、袋体が圧縮された状態を意味する。
【0009】
ここで、前記液体輸送用容器が袋体の頂面部分に、頂面側スライドファスナーにより開閉可能な頂面開口部を備え、前記頂面側スライドファスナーにより開閉可能な頂面開口部が、前記頂面部分の横方向の中央部に位置するものである場合、前記容器折畳み過程が、前記側面折込み姿勢とした袋体で、その横方向に三等分になる中央部及び両側部のうち、一方の側部を頂面部分側で中央部上に折り重ねるとともに、その折り重ねた部分上に他方の側部を折り重ねて、三つ折りにすることをさらに含むことが好ましい。
【0010】
またここで、前記液体輸送用容器の前記頂面側スライドファスナーにより開閉可能な頂面開口部が、前記頂面部分の縦方向の一端部側に片寄って位置するものである場合、前記容器折畳み過程が、三つ折りにした袋体の縦方向の他端部を、前記一端部側に向けて複数回にわたって、当該他端部が内側に巻き込まれるように折り重ねることをさらに含むことが好ましい。
ここでは、前記液体輸送用容器は、前記袋体の前記一端部側の側面部分
としての前記後側面部分に、液体の注入排出口を備えるものとすることが好適である。
【0012】
この場合においては、前記容器配置過程の後、液体輸送用容器に液体を注入する液体注入過程をさらに有し、前記液体注入過程が、前記注入直前姿勢で、注入排出口から袋体の内部に液体を注入することを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この発明の液体輸送用容器の使用方法によれば、液体輸送用容器の収縮状態で、袋体を上述した側面折込み姿勢とすることにより、後述するような液体注入過程で袋体をセットして袋体内部に液体を注入すると、袋体の底面部分側から貯留する液体により、袋体の側面部分が次第に外側に押し広げられて、袋体を良好に膨張させることができるので、液体輸送用容器の内部へ所期した量の液体を有効に充填することができる。
【0014】
ここで、側面折込み姿勢とした袋体を、上述したように三つ折りとしたときは、頂面部分の中央部に設けた頂面開口部の頂面側スライドファスナーが折れ曲がり難くなるので、液体輸送用容器を小さく折り畳みつつ、スライドファスナーへの損傷の発生を有効に抑制することができる。
【0015】
またここで、三つ折りにした袋体の他端部から一端部側に向けて複数回にわたって折り重ねるときは、一端部側に片寄せて設けた頂面開口部の頂面側スライドファスナーが折れ曲がり難くなって、スライドファスナーへの損傷の発生を有効に抑制しながら、さらに小さく液体輸送用容器を折り畳むことができる。
【0016】
この場合において、液体輸送用容器が、袋体の一端部側の側面部分に、液体の注入排出口を備えるものとしたときは、三つ折りにした袋体の他端部から一端部側に向けて複数回にわたって折り重ねた際に、一端部側の側面部分の注入排出口が内側に巻き込まれないので、袋体の内部に残存することのあるエアの排出その他の、注入排出口を用いた折畳み後の作業を容易に行うことができる。
【0017】
このような液体輸送用容器の使用方法で、上記の容器配置過程及び液体注入過程を経るときは、たとえば、容器折畳み過程で折り畳まれた液体輸送用容器を広げて、配置スペースに側面折込み姿勢で容易にセットすることができて、液体の注入時に、袋体をより良好に膨張させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に例示する液体輸送用容器1は、飲料水、牛乳もしくはジュース等の液体が内部に充填された状態で、たとえば、車両、船舶もしくは航空機、なかでもトラック等の貨物自動車に積載されて当該液体を輸送するためのものであって、柔軟性を有する材料からなる袋体2を備えてなる。なお
図1では、袋体2の内部に液体を充填した膨張状態の液体輸送用容器1を示す。
ここでは、まず図示の液体輸送用容器1の具体的な構造を説明し、その後、この液体輸送用容器1の使用方法の実施形態について説明する。
【0020】
液体輸送用容器1の要部を構成する袋体2は、
図1に示すように、
図1の下方側を向く袋体2の底部を構成する底面部分3と、
図1の上方側を向く袋体2の頂部を構成する頂面部分4と、それらの底面部分3及び頂面部分4のそれぞれに各周縁部Eで連続し、
図1の側方側を向く袋体2の周囲を構成する周面部分5とを有するものである。
特にこの実施形態では、袋体2は、その周囲の四隅に四つの湾曲面状等の角部6a〜6dが存在し、袋体2の周面部分5がそれらの各角部6a〜6dにより四面の側面部分7a〜7dに区画されており、膨張状態で全体として略直方体状をなす。
【0021】
袋体2は、織布を樹脂材料により被覆した弾性シート材で構成することができる。この樹脂材料としては、たとえば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンやポリプロピレンを含むポリオレフィン等を挙げることができる。
【0022】
ここで、この液体輸送用容器1では、袋体2の頂面部分4に、液体輸送用容器1の内面を洗浄する際に図示しない洗浄ノズルを袋体2の内部に挿入するために用いることのできる頂面開口部8を設けている。
頂面開口部8は、図示の実施形態では、頂面部分4の一部で頂面部分4から外部に向けて膨出する形状を有する。より詳細には、平面視が長方形状のこの頂面開口部8は、最も膨出する先端面に、その長手方向と平行に直線状に延びる頂面側スライドファスナー9を設けたものであって、頂面部分4に連結される基部から当該先端面に向かうに従い、その幅を漸減させる傾斜面を有し、全体として略船体状をなす。
【0023】
なおこの場合、液体輸送用容器1の内面の洗浄は、たとえば、上記の頂面開口部8の頂面側スライドファスナー9を開いて、頂面開口部8から洗浄ノズルを挿入した後、当該洗浄ノズルの挿入部分を残して頂面側スライドファスナー9を閉じた状態で、袋体2の内部にて、洗浄ノズルの先端部分から洗浄液を噴射することにより行うことができる。このとき、頂面開口部8を船体状としたことにより、頂面開口部8の内面にも、洗浄ノズルから噴射される洗浄液が十分接触することになり、頂面開口部8をも確実に洗浄することができる。
【0024】
但し、頂面開口部は、これ以外にも様々な形状とすることができる。たとえば、図示の形状の頂面開口部8に代えて、図示は省略するが、軸線方向の一端側で袋体に連結されるとともに他端側の開口を密閉する蓋付きの円筒その他の筒状等の頂面開口部を設けた場合、筒状の周方向に延びて当該蓋を開閉可能にするスライドファスナーを設けることができる。
【0025】
かかる頂面開口部8は、
図1に示すように、頂面部分4の横方向(平面視で長方形状をなす袋体2では、その短辺と平行な幅方向)の中央部で、頂面部分4の縦方向(平面視で長方形状をなす袋体2では、その長辺と平行な長手方向)の一端部側(
図1では手前側)に片寄った位置に設けることが好ましい。これにより、後述の使用方法の容器折畳み過程で頂面側スライドファスナー9の折れ曲がりをより有効に抑制することができる。
【0026】
またここで、このような液体輸送用容器1では、袋体2の側面部分7a〜7dの少なくとも一部に延びる側面側スライドファスナー10を設けることができる。
側面側スライドファスナー10は、
図2に平面図で模式的に示すように、四面の側面部分7a、7b、7c、7dのうちの互いに隣接する三面の側面部分7b、7c、7dにわたって延び、それらの三面の側面部分7b、7c、7dと残りの側面部分7aとを区画する各角部6a、6dに至る手前で終端するように、袋体2の側面部分7b〜7dに取り付けられることが好適である。つまり、
図2に示すところでは、側面側スライドファスナー10は、袋体2の側面部分7a〜7dのうち、側面部分7bの面内から、それに隣接する側面部分7cを通って、さらにそれに隣接する側面部分7dの面内まで延びて、その各端部を構成する後述の上止具16aおよび下止具16bがそれぞれ、側面部分7bおよび側面部分7dのそれぞれの面内に配置されており、角部6a及び6dならびに側面部分7aには側面側スライドファスナー10は存在しない。
【0027】
このように側面側スライドファスナー10が袋体2の角部6a、6dに到達しないように、側面側スライドファスナー10を袋体2に取り付けることにより、側面側スライドファスナー10が角部6a〜6dで折れ曲がる箇所を少なくすることができ、その折れ曲がる箇所への応力集中による側面側スライドファスナー10の破損その他の不具合が発生する確率を下げることができる。また、角部6a、6dに側面側スライドファスナー10の上止具16aおよび下止具16bを配置した場合に比して、側面側スライドファスナー10の開き始め及び閉じ終りの操作が行やすくなるという利点もある。
なお、この袋体2では、側面部分7b、7c、7dの、頂面部分4側の周縁部Eに隣接する位置に、該周縁部Eと平行に延びる側面側スライドファスナー10を設けている。
【0028】
このような頂面側スライドファスナー9及び側面側スライドファスナー10は、種々のタイプのスライドファスナーとすることができるが、なかでも、防水性スライドファスナーとすることが好ましく、特に気密防水性スライドファスナーとすることがより一層好適である。それにより、袋体2の内部に充填した液体の漏出を有効に防止することができる。加えて、気密防水性スライドファスナーは、他のタイプのスライドファスナーに比して高い強度を有することから、内部への液体の充填により大きな力が作用する袋体2の頂面側スライドファスナー9及び側面側スライドファスナー10として用いることが好ましい。
なお、公知の気密防水性スライドファスナーとしては、国際公開第2015/063927号、特許第4610516号公報、実開昭62−181206号公報に記載されたもの等がある。
【0029】
側面側スライドファスナー10を気密防水性スライドファスナーとした場合、この気密防水性スライドファスナー10について詳説すれば以下のとおりである。
この気密防水性スライドファスナー10は、先述したように袋体2の側面部分7a〜7dのうちの所定の領域にわたって、
図3に拡大図で示すように、スライドファスナー10の幅方向(
図3では上下方向)に互いに並列してスライドファスナー10の長手方向(
図3では左右方向)に延びる一対のファスナーストリンガー11と、使用者に保持される引手12aを有し、ファスナーストリンガー11に沿ってスライドファスナー10の長手方向に移動して、一対のファスナーストリンガー11の開閉をもたらすスライダー12とを備えてなる。なおここでは、スライドファスナー10の長手方向のうち、一対のファスナーストリンガー11を閉じるスライダー12の移動の向きを前方側(
図3では右側)といい、また、一対のファスナーストリンガー11を開くスライダー12の移動の向きを後方側(
図3では左側)という。
【0030】
ファスナーストリンガー11は、たとえば織布の表面を樹脂材料によりコーティングしてなる防水性の一対のファスナーテープ13と、それらのファスナーテープ13の互いに隣接する側縁部のそれぞれに、該側縁部に沿って並べて取り付けた複数のエレメント14からなる一対のエレメント列15と、エレメント列15の、スライダー12の最も前方側の一端部および最も後方側の他端部のそれぞれに設けた上止具16aおよび下止具16bとで構成されている。
【0031】
このファスナーストリンガー11では、
図4に横断面図で示すところから解かるように、一対のファスナーテープ13は、袋体2に取り付けられるテープ本体部13aおよび、テープ本体部13aに連続して、ファスナーテープ13の互いに隣接する各側縁部を、袋体2の外部側(
図4では右側)に向けて折り曲げて立設したテープ屈曲部13bを有する。
そして、エレメント列15の各エレメント14は、一対のエレメント列15のエレメント14の相互で噛み合う噛合部材17と、噛合部材17を幅方向外側から取り囲む断面C字状の固定部材18とで構成されており、これらの噛合部材17と固定部材18との間に、上記のテープ屈曲部13bの一部が巻き込まれて挟まれることにより、各エレメント14がファスナーテープ13に取り付けられている。
【0032】
より詳細には、エレメント14の噛合部材17は、
図5に拡大して示すように、幅方向内側に位置する頭部17a、幅方向外側に位置する拡大部17bならびに、それらの噛合頭部17aおよび拡大部17bの相互を連結する頸部17cからなるものであり、頸部17cから拡大部17bにわたってその周囲をテープ屈曲部13bにより包まれており、その外側から覆い被さるC字状の固定部材18との間で、テープ屈曲部13bを挟み込んでいる。このようにテープ屈曲部13bに固定されるエレメント14では、
図5に示すように、噛合部材17の頭部17aがテープ屈曲部13bの幅方向内側に突出して位置し、当該頭部17aは、スライダー12の移動により一対のファスナーストリンガー11を閉じた際に、一対のエレメント列15の互いに対向するエレメント14のものどうしで係合することになる。
【0033】
このスライドファスナー10では、
図6に示すように、スライダー12を最も前方側まで移動させて、スライドファスナー10を閉めきった状態で、平面外輪郭形状が略四角形状の上止具16aの側面に、それに対向するスライダー12の側面が整合し、また、上止具16aの周囲に、その平面外輪郭形状に対応する形状を有する引手12aを引っ掛けて係合させることにより、スライドファスナー10の、意図しない開き防止のためにロックすることができる。
また引手12aには、ここでは図示しないテープ状把持部を取り付けることができ、当該テープ状把持部は、使用者の把持に供されて、スライドファスナー10の容易な開閉をもたらすことができる。
【0034】
ところで、液体輸送用容器1では、袋体2の外部と内部との間での液体の出し入れを可能にするため、図示の実施形態のように、袋体2の側面部分7a〜7dのうちの一つ、好ましくは袋体2の頂面部分4の頂面開口部8を設けた一端部側に位置する側面部分7bに、袋体2の内部と外部とを連通させる液体の注入排出口19を設けることができる。この注入排出口19より、たとえば頂面側スライドファスナー9及び側面側スライドファスナー10を閉めきった状態で、袋体2の内部への液体の注入及び、袋体2の内部からの液体の排出を容易に行うことが可能になる。
この実施形態では、注入排出口19は、液体輸送用容器1の幅方向で側面部分7bの中央であって、液体輸送用容器1の高さ方向で底面部分3の先端部に接するように位置させている。
なお図示は省略するが、注入排出口は、袋体2の側面部分7bではなく底面部分3に設けることもできる。
【0035】
なお、図示の液体輸送用容器1では、袋体2の頂面部分4の四隅の近傍に、洗浄時やその後の乾燥時等に袋体2を吊るすための引掛けリング20を取り付けて設けている。このような引掛けリングは、必要に応じて、袋体2の所定の箇所に適宜設けることができる。
【0036】
以上に述べたような液体輸送用容器1は、次に述べる実施形態のように使用することができる。
この実施形態の使用方法では、たとえば、液体輸送用容器1を出荷する前に収縮状態の液体輸送用容器1を小さく折り畳む容器折畳み過程を行い、さらに、この容器折畳み過程の後、車両の荷台等における液体輸送用容器1の所定の配置スペースで液体輸送用容器1を配置するための容器配置過程及び、液体輸送用容器1を当該配置スペースに配置した後に液体輸送用容器1の内部に液体を注入する液体注入過程を行うことができる。
【0037】
なおここでは、内部に液体や気体がほぼ含まれない収縮状態で、
図7に示すように平面視で長方形状をなす袋体2の短辺側の側面部分7b及び7dのうち、注入排出口19が存在する側を後側面部分7b、注入排出口19が存在しない側を前側面部分7dといい、また長辺側の側面部分7a及び7cをそれぞれ、右側面部分7a及び左側面部分7cという。
【0038】
容器折畳み過程では、頂面側スライドファスナー9及び側面側スライドファスナー10を閉じた状態で、
図7(b)に矢印で示すように、右側面部分7aの頂面部分4側の頂面側半部を、同図の一点鎖線の位置で、右側面部分7aの底面部分3側の底面側半部に向けて折って、当該底面側半部上に頂面側半部を重ね合せることにより、頂面側半部と底面側半部とを折り重ねた右側面部分7aを、頂面部分4と底面部分3との間に挟み込んで袋体2の内部側に折り込む。同様に、左側面部分7cについても、頂面側半部を、同図の一点鎖線の位置で、底面側半部に向けて折って、当該底面側半部上に頂面側半部を重ね合せることにより、頂面側半部と底面側半部とを折り重ねた左側面部分7cを、頂面部分4と底面部分3との間に挟み込んで袋体2の内部側に折り込む。
【0039】
次いで、
図7(c)に示すように、後側面部分7b及び前側面部分7dについても同様にそれぞれ、頂面側半部を、同図の一点鎖線の位置で、底面側半部に向けて折って、当該底面側半部上に頂面側半部を重ね合せることで、頂面側半部と底面側半部とを折り重ねた後側面部分7b及び前側面部分7dをそれぞれ、頂面部分4と底面部分3との間に挟み込んで袋体2の内部側に折り込む。これにより、右側面部分7a、左側面部分7c、後側面部分7b及び前側面部分7dのそれぞれは、
図8に破線で示すように、また
図9に断面図で示すように、袋体2の内部側に向けて凸となる谷折りで、頂面部分4と底面部分3との間に挟み込まれて配置される。
図8及び
図9に示す袋体2のこの姿勢を、側面折込み姿勢という。
【0040】
袋体2を側面折込み姿勢とすることにより、後述するような液体注入過程で所定の注入直前姿勢に容易にセットすることができ、この姿勢で袋体2の内部に液体を注入すると、袋体2の底面部分3側から貯留する液体が、袋体2の各側面部分9a〜9dを外側に押し広げながら袋体2を膨張させるので、袋体2に皺が発生することなく、袋体2が良好に膨張することになる。
【0041】
また、容器折畳み過程では、上記の側面折込み姿勢から、
図10(a)に一点鎖線で示すように、袋体2の幅方向(
図10では上下方向)で三等分となる位置で、右側面部分7a及び左側面部分7cのうちの一方の側面部分側、たとえば右側面部分7a側の右側部を、
図10(b)に示すように頂面部分4側で中央部上に折り重ねるとともに、他方の側面部分側、たとえば左側面部分9c側の左側部を、
図11(a)に示すように、中央部上に折り返した右側部上に折り重ねることができる。
それにより、液体輸送用容器1は、袋体2の中央部、右側部及び左側部がこの順序で積層された三つ折りの状態となる。
【0042】
この場合、袋体2の頂面部分4の横方向(幅方向)の中央部に、頂面側スライドファスナー9により開閉可能な頂面開口部8を設けた図示の液体輸送用容器1では、中央部に存在する頂面側スライドファスナー9は、上記の三つ折りの状態では、その折り目から外れて位置することになるので、頂面側スライドファスナー9の折れ曲がりを防止することができる。それにより、液体輸送用容器1を小さく折り畳んでコンパクトにしつつ、頂面側スライドファスナー9への損傷等の不具合の発生を有効に抑制することができる。
【0043】
さらに、容器折畳み過程では、上記の三つ折りにより細長い長方形の平面形状となった袋体2の長手方向(
図11では左右方向)の一端部及び他端部のうち、注入排出口19が存在しない側の他端部を、
図11(a)に矢印で示すように、注入排出口19が存在する側の一端部側に向けて複数回、たとえば五回にわたって、当該他端部が内側に巻き込まれるように、側方から見て渦巻き状ないしロール状に折り重ねることができる。それにより、
図11(b)に示す形状となる。
【0044】
このことは、袋体2の頂面部分4の縦方向(長手方向)の一端部側に片寄った位置に、頂面側スライドファスナー9により開閉可能な頂面開口部8を設けた図示の液体輸送用容器1では、上記のように複数回折り重ねる際の複数の折り目上ではなく当該折り目の間に、頂面側スライドファスナー9が含まれるように折り重ねることができるので、頂面側スライドファスナー9の折れ曲がり防止の観点から有利である。しかも、液体輸送用容器1を小さく折り畳むことができて、取扱い性がより一層向上する。
【0045】
最後に、上記のように複数回折り重ねた部分上に、
図11(b)に矢印で示すように、一端部を折り重ねて、
図11(c)に示すように折り畳むことができる。
ここで、袋体2の一端部側の側面部分に液体の注入排出口19を設けたこの液体輸送用容器1では、
図11(a)〜(c)に示す折畳みにより、袋体2の内部に残存していた気体は、注入排出口19の近傍に集められるので、残存気体があれば、これを
図11(c)の最終折畳み姿勢で注入排出口19から排出させることができる。
このようにコンパクトに折り畳んだ液体輸送用容器1は、梱包等をして搬送することができる。
【0046】
上述した容器折畳み過程の後の容器配置過程では、容器折畳み過程で折り畳まれた液体輸送用容器1を、トラックの荷台等の所定の配置スペースにセットして配置する。
具体的には、液体輸送用容器1を、頂面部分4が鉛直方向上側に位置する向きで配置スペース上に置き、先述したところと逆の手順にて、
図8及び
図9に示す袋体2の側面折込み姿勢まで広げた後、
図12(a)に矢印で示すように、右側面部分7a及び左側面部分7cがそれぞれ上方側に向くように、右側面部分7a及び左側面部分7cをそれぞれ折り返して、右側面部分7a及び左側面部分7cのそれぞれの頂面側半部を、頂面部分4上に配置する。
次いで、
図12(b)に矢印で示すように、前側面部分7dが上方側に向くように前側面部分7dを折り返して、前側面部分7dの頂面側半部を頂面部分4上に配置する。このように袋体2を、右側面部分7a、左側面部分7c及び前側面部分7dがそれぞれ上方側に向く注入直前姿勢として、容器配置過程は完了する。なおここで、注入排出口19を設けた後側面部分9bをも折り返して、これを注入直前姿勢としてもよいが、後側面部分9bは、後述するように液体注入過程で折り返されるので、ここでの後側面部分9bの折り返しは必ずしも必要ではない。
【0047】
容器配置過程の後の液体注入過程では、容器配置過程を経ることにより右側面部分7a、左側面部分7c及び前側面部分7dが上方側に向いた状態で、注入排出口19から袋体2の内部に液体を注入する。それにより、液体注入に伴い、側面折込み姿勢から右側面部分7a、左側面部分7c及び前側面部分7dを上方側に向けた注入直前姿勢の袋体2では、底面部分3側から貯留する液体により、各側面部分7a〜7dが外側に、また頂面部分が上方側に徐々に押し広げられて、袋体2が円滑に膨張することになる。その結果、袋体2内へ所期した量の液体を有効に充填することが可能になる。
【0048】
なお、液体をある程度注入すると、通常は、
図12(c)に矢印で示すように、後側面部分9bが自然と、上方側に向くように折り返されるが、膨張態様等によっては、この折返し作業を人手により行ってもよい。