(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、この発明の第1の実施の形態による電気治療装置の概略的構成を示す模式図である。
【0038】
同図を参照して、電気治療装置1は、操作員(多くの場合は施術者である)による操作によってEMSの電気信号を出力することで、利用者(多くの場合は患者である)の人体に対して電気的刺激を与えるための装置である。
【0039】
電気治療装置1は、頸椎刺激端子21、尾骨部刺激端子22、手指刺激端子30及び足指刺激端子40を備える電気治療器10と、頸椎刺激端子21、尾骨部刺激端子22、手指刺激端子30及び足指刺激端子40に対応付けられ、頸椎刺激端子21、尾骨部刺激端子22、手指刺激端子30及び足指刺激端子40に対する電気信号の出力状態を報知する表示部(報知部)51を備える表示器(報知器)50と、電気治療器10にケーブルを介して接続され、電気治療器10に対する操作を行うための有線コントローラー19から構成される。
【0040】
電気治療器10は、人体に対し電気的刺激による治療を行うものであり、ケーブルを介して接続された頸椎刺激端子21、尾骨部刺激端子22、手指刺激端子30及び足指刺激端子40にEMS電気信号を出力することによって、手指−頸椎間、足指−尾骨部間、頸椎−尾骨部間において刺激を与えることができ、各種設定によって刺激の強度、刺激位置を変更することが可能である。
【0041】
頸椎刺激端子21は、パッド状に形成されており、パッド状の装着側の面は、絶縁体によって3分割されている。
【0042】
尾骨部刺激端子22は、パッド状に形成されている。尚、以下において尾骨部とは尾骨・仙骨・腰椎付近の人体の腰下の部位を指す。
【0043】
手指刺激端子30は、右手の各指用又は左手の各指用に5個ずつ、計10個設けられており、それぞれ、指を挟み込めるようなクリップを備え、クリップで指を挟み込んだときに指に接触する位置に電極が設けられている。右手の各指用の右手刺激端子31は、右手親指用刺激端子31a、右手人差指用刺激端子31b、右手中指用刺激端子31c、右手薬指用刺激端子31d及び右手小指用刺激端子31eを含む。又、左手の各指用の左手刺激端子32は、左手親指用刺激端子32a、左手人差指用刺激端子32b、左手中指用刺激端子32c、左手薬指用刺激端子32d及び左手小指用刺激端子32eを含む。
【0044】
足指刺激端子40は、右足の各指用又は左足の各指用に5個ずつ、計10個設けられており、それぞれ、指を挟み込めるようなクリップを備え、クリップで指を挟み込んだときに指に接触する位置に電極が設けられている。右足の各指用の右足刺激端子41は、右足親指用刺激端子41a、右足人差指用刺激端子41b、右足中指用刺激端子41c、右足薬指用刺激端子41d及び右足小指用刺激端子41eを含む。又、左足の各指用の左足刺激端子42は、左足親指用刺激端子42a、左足人差指用刺激端子42b、左足中指用刺激端子42c、左足薬指用刺激端子42d及び左足小指用刺激端子42eを含む。
【0045】
尚、手指用及び足指用の各刺激端子のケーブルは、指の種類によって色分けされている。即ち、親指は黄色、人差指は白、中指は青、薬指は緑、小指は赤に色分けされている。
【0046】
表示器50は、電気治療器10の制御部(後述)が出力する出力状態信号及び出力予告信号に基づき電気治療器10による刺激位置及び刺激予定位置を表示部51において表示するものである。
【0047】
図2は、
図1に示した電気治療装置が備える電気治療器の概略的構成を示す模式図であり、
図3は、
図2に示した電気治療器の機能的構成を示すブロック図である。
【0048】
これらの図を参照して、電気治療器10は、人体の頸椎部に脱着自在に装着され、頸椎部を電気的に刺激するため頸椎刺激端子21と、人体の尾骨部に脱着自在に装着され、尾骨部を電気的に刺激するため尾骨部刺激端子22と、人体の手の指に脱着自在に装着され、手の指を電気的に刺激するための手指刺激端子30と、人体の足の指に脱着自在に装着され、足の指を電気的に刺激するための足指刺激端子40と、頸椎刺激端子21、尾骨部刺激端子22、手指刺激端子30及び足指刺激端子40のうちの一対の刺激端子に電気信号を出力する制御部11と、電気治療器10に外部からの電力を供給する電源供給部12とを備える。
【0049】
制御部11は、プログラムを記憶する主記憶装置及びプログラムを処理する処理装置から構成され、記憶装置に記憶されたプログラムを処理装置が読み取り実行することで各種機能・制御を実現するものである。より具体的には、制御部11は、各種設定に応じて、電気治療器10における各種制御や頸椎刺激端子21、尾骨部刺激端子22、手指刺激端子30及び足指刺激端子40に対するEMS電気信号の出力の制御を行う。例えば、一対の刺激端子としての頸椎刺激端子21及び手指刺激端子30に対して電気信号を出力する第1制御、一対の刺激端子としての尾骨部刺激端子22及び足指刺激端子40に対して電気信号を出力する第2制御、及び、一対の刺激端子としての頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御のいずれかの制御を切り替え可能に構成される。又、制御部11は、表示器50に対し、現在いずれの刺激端子に電気信号を出力しているか(出力停止状態も含む)を示す出力状態信号及び次に電気信号を出力する予定の刺激端子を示す出力予告信号を出力する。
【0050】
又、電気治療器10の筐体の表面には、電源スイッチ13、動作ボタン14、設定ダイヤル部15、設定スイッチ部16、操作ボタン17及び表示部18が設けられており、これらを操作することにより電気治療器10における刺激の強度、刺激位置等の各種設定を行うことができる。
【0051】
電源スイッチ13は、電源のオン/オフを切り替えるためのものであり、オン状態において、電源供給部12を介して外部から電力が供給され、電気治療器10が動作可能な状態になる。
【0052】
動作ボタン14は、刺激端子に電気信号を出力する動作状態と、電気信号の出力を停止する停止状態とを切り替えるためのものである。
【0053】
設定ダイヤル部15は、EMS波形の各種設定を行うための電圧設定ダイヤル15a、周波数設定ダイヤル15b及びパルス幅設定ダイヤル15cと、EMSによる刺激位置の変更時間を設定するための指刺激時間設定ダイヤル15d及び脊椎刺激時間設定ダイヤル15eとを備える。
【0054】
電圧設定ダイヤル15aにより、電気信号の出力電圧値を、例えば10V〜から120V範囲で設定することができる。この電圧設定ダイヤル15aにより設定する電圧を「V」とする(以下「設定電圧V」)。設定電圧Vは、全波周期設定時の場合のものであり、半波周期設定時の場合は、電圧はV/2となる。全波周期設定及び半波周期設定については後述する。
【0055】
周波数設定ダイヤル15bにより、電気信号の出力頻度を周波数で、例えば低周波域1Hz〜高周波域3000Hzの範囲で設定することができる。即ち、この周波数の設定では、1秒間に出力されるパルス数を設定することになる。
【0056】
パルス幅設定ダイヤル15cにより、電気信号の出力している時間を、例えば10μsec〜500μsecの範囲で設定することができる。このパルス幅設定ダイヤル15cにより設定するパルス幅(即ち設定時間)を「W」とする。設定時間Wは、半波終期設定の場合のものであり、全波終期設定時の場合は、この設定の倍の時間になる。全波周期設定及び半波周期設定については後述する。
【0057】
指刺激時間設定ダイヤル15d及び脊椎刺激時間設定ダイヤル15eにより、それぞれの位置で電気信号を出力する時間を、例えば1sec〜30secの範囲で設定することができる。オート動作時の場合、この設定時間を経過すると刺激位置が切り替わる。尚、オート動作については後述する。
【0058】
設定スイッチ部16は、EMS波形の設定やEMSによる刺激位置の切り替え動作に関する設定を行うものであり、第1パルス設定スイッチ16a、第2パルス設定スイッチ16b、第3パルス設定スイッチ16c、自動モード切替スイッチ16d及び動作モード切替スイッチ16eを備える。各種設定スイッチによる設定の詳細については後述する。
【0059】
操作ボタン17は、EMSによる刺激位置をマニュアル動作によって切り替える場合、位置を切り替える指示を行うためのものである。
【0060】
図4は、第1パルス設定スイッチの設定パターンについて示す表であり、
図5は、
図2等に示した電気治療器の指刺激端子の出力及び頸椎刺激端子の出力のパターンを示す図であり、
図6は、
図5に示した出力のパターンにおいて、頸椎刺激端子側から、指刺激端子側を見たときの波形を示す図である。
【0061】
これらの図を参照して、第1パルス設定スイッチ16a、第2パルス設定スイッチ16b及び第3パルス設定スイッチ16cにおける設定について説明する。
【0062】
第1パルス設定スイッチ16a、第2パルス設定スイッチ16b及び第3パルス設定スイッチ16cは、それぞれ3極のディップスイッチにより構成されている。
【0063】
第1パルス設定スイッチ16aは、手指刺激端子30−頸椎刺激端子21間、即ち手指−頸椎間の波形設定をするものであり、第2パルス設定スイッチ16bは、足指刺激端子40−尾骨部刺激端子22間、即ち足指−尾骨部間の波形設定をするものであり、第3パルス設定スイッチ16cは、頸椎刺激端子21−尾骨部刺激端子22間、即ち頸椎−尾骨部間の波形設定をするものである。
【0064】
以下、
図4を参照して、例示的に、第1パルス設定スイッチ16aについて詳細に説明する。第1パルス設定スイッチ16aに含まれる3つのディップスイッチをそれぞれ「スイッチ1」、「スイッチ2」及び「スイッチ3」とすると以下の通り設定することができる。
【0065】
設定(A)…スイッチ1「OFF」、スイッチ2「OFF」、スイッチ3「OFF」:全波周期設定による出力。手指刺激端子30側、頸椎刺激端子21側の順で電気信号を出力する。
【0066】
設定(B)…スイッチ1「ON」、スイッチ2「OFF」、スイッチ3「OFF」:全波周期設定による出力。頸椎刺激端子21側、手指刺激端子30側の順で電気信号を出力する。
【0067】
設定(C)…スイッチ1「OFF」、スイッチ2「ON」、スイッチ3「OFF」:半波周期設定による出力。手指刺激端子30側からのみ電気信号を出力する。
【0068】
設定(D)…スイッチ1「ON」、スイッチ2「ON」、スイッチ3「OFF」:半波周期設定による出力。頸椎刺激端子21側からのみ電気信号を出力する。
【0069】
設定(E)…スイッチ3「ON」:出力をオフする。電気信号は出力せず時間待ちとなる。
【0070】
図5及び
図6を参照し、設定(A)〜設定(D)の波形について詳細に説明すると以下の通りである。
【0071】
図5を参照して、まず、設定(A)では、最初に手指刺激端子30側から頸椎刺激端子21側に設定時間Wの間電気信号を出力する。その後、頸椎刺激端子21側から手指刺激端子30側に設定時間Wの間電気信号を出力する。
【0072】
次に、設定(B)では、最初に頸椎刺激端子21側から手指刺激端子30側に設定時間Wの間電気信号を出力する。その後、手指刺激端子30側から頸椎刺激端子21側に設定時間Wの間電気信号を出力する。
【0073】
次に、設定(C)では、手指刺激端子30側から頸椎刺激端子21側に設定時間Wの間電気信号を出力する一方で、頸椎刺激端子21側では出力を行わない。
【0074】
次に、設定(D)では、頸椎刺激端子21側から手指刺激端子30側に設定時間Wの間電気信号を出力する一方で、手指刺激端子30側では出力を行わない。
【0075】
従って、設定(A)〜設定(D)では、頸椎刺激端子21側から手指刺激端子30側を見た場合、
図6に示すような波形が観測される。
【0076】
即ち、設定(A)及び設定(B)は全幅Vの全波周期設定となり、設定(C)及び設定(D)は全幅V/2の半波周期設定となる。
【0077】
尚、第2パルス設定スイッチ16bに関しては、以上の説明において、“手指刺激端子30”を“足指刺激端子40”と読み替え、“頸椎刺激端子21”を“尾骨部刺激端子22”と読み替える。
【0078】
第3パルス設定スイッチ16cに関しては、以上の説明において、“手指刺激端子30”を“頸椎刺激端子21”と読み替え、“頸椎刺激端子21”を“尾骨部刺激端子22”と読み替える。
【0079】
以上のように、第1パルス設定スイッチ16a、第2パルス設定スイッチ16b及び第3パルス設定スイッチ16cによる設定に応じて、制御部11は、頸椎刺激端子21及び手指刺激端子30に対して電気信号を出力する第1制御、尾骨部刺激端子22及び足指刺激端子40に対して電気信号を出力する第2制御、及び、頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御において、一対の刺激端子に関し、いずれか一方の刺激端子から他方の刺激端子の順で電気信号を出力する出力制御、他方の刺激端子から一方の刺激端子の順で電気信号を出力する出力制御、及び、一方の刺激端子又は他方の刺激端子のみに電気信号を出力する出力制御のいずれかの出力制御を行う。
【0080】
このように構成すると、一対の刺激端子の間で刺激を与える順序や強さのバリエーションが広がるので、症状に応じた効果的な治療が行える。
【0081】
次に、自動モード切替スイッチ16dの詳細について説明する。自動モード切替スイッチ16dは、EMSによる刺激位置を、時間の経過により自動的に切り替える「オート動作」と、ボタンの入力により切り替える「マニュアル動作」とを切り替えるためのものである。
【0082】
次に、動作モード切替スイッチ16eの詳細について説明する。動作モード切替スイッチ16eは、3ポジションのスライドスイッチからなり、次の3つの動作モードを設定することができる。即ち「手のみ繰り返し」、「足のみ繰り返し」及び「手及び足の繰り返し」の3つの動作モードである。
【0083】
図7は、
図3に示した電気治療器の制御部の制御の一例を示すフローチャートである。
【0084】
同図を参照して、上述の「手のみ繰り返し」の動作モードについて説明すると次の通りである。
【0085】
尚、同図では、標記の便宜上、右手親指、右手人差指、右手中指、右手薬指、右手小指を、それぞれ“右手指1”、“右手指2”、“右手指3”、“右手指4”及び“右手指5”と表記している。又、同様に、左手親指、左手人差指、左手中指、左手薬指、左手小指を、それぞれ“左手指1”、“左手指2”、“左手指3”、“左手指4”及び“左手指5”と表記している。
【0086】
動作を開始すると(S100)、制御部11は、頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御を行う(S101)。次に、制御部11は、頸椎刺激端子21及び手指刺激端子30に対して電気信号を出力する第1制御を行う(S102)。S102では、右手親指用刺激端子31aを、電気信号を出力する対象とする。
【0087】
続いて、制御部11は再び頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御を行った(S103)後、今度は右手人差指用刺激端子31bを電気信号を出力する対象とする(S104)。
【0088】
以下、制御部11は、頸椎刺激端子21及び手指刺激端子30に対して電気信号を出力する第1制御において、各指用の手指刺激端子を順に電気信号を出力する対象とする。このようにして右手親指用刺激端子31aから右手小指用刺激端子31eにかけて、そして左手親指用刺激端子32aから左手小指用刺激端子32eにかけて、第3制御を挟みつつ、順に電気信号を出力する対象とする(S102〜S120)。その後、S101に戻って処理を繰り返す。
【0089】
図8は、
図3に示した電気治療器の制御部の制御の他の例を示すフローチャートである。
【0090】
同図を参照して、上述の「足のみ繰り返し」の動作モードについて説明すると次の通りである。
【0091】
尚、同図では、標記の便宜上、右足親指、右足人差指、右足中指、右足薬指、右足小指を、それぞれ“右足指1”、“右足指2”、“右足指3”、“右足指4”及び“右足指5”と表記している。又、同様に、左足親指、左足人差指、左足中指、左足薬指、左足小指を、それぞれ“左足指1”、“左足指2”、“左足指3”、“左足指4”及び“左足指5”と表記している。
【0092】
動作を開始すると(S200)、制御部11は、頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御を行った(S201)後、以後、尾骨部刺激端子22及び足指刺激端子40に対して電気信号を出力する第2制御において、各指用の足指刺激端子を順に電気信号を出力する対象とし、第2制御と第3制御とを交互に繰り返す。このようにして右足親指用刺激端子41aから右足小指用刺激端子41eにかけて、そして左足親指用刺激端子42aから左足小指用刺激端子42eにかけて、第3制御を挟みつつ、順に電気信号を出力する対象とする(S202〜S220)。その後、S201に戻って処理を繰り返す。
【0093】
最後に上述の「手及び足の繰り返し」の動作モードについては、上述の「手のみ繰り返し」の動作モードによる動作を行った後、上述の「足のみ繰り返し」の動作モードによる動作を行い、以後「手のみ繰り返し」、「足のみ繰り返し」を繰り返すものである。
【0094】
尚、
図7に示すS101〜S120及び
図8に示すS201〜S220の各ステップは、オート動作の場合、指刺激時間設定ダイヤル15d及び脊椎刺激時間設定ダイヤル15eにより設定された設定時間が経過するまで、対象となる刺激端子に対する電気信号の出力が継続される。一方、マニュアル動作の場合、操作ボタン17又は有線コントローラー19のボタンが押下されるまで、継続して対象となる刺激端子に電気信号が出力される。
【0095】
尚、表示部18は、LCDにより構成され、上述の各種設定ダイヤル、設定スイッチ等による設定内容や電気治療器10の動作状態等を表示するものである。
【0096】
図9は、
図1に示した電気治療装置が備える表示器の概略的な外観を示す概略図である。
【0097】
同図を参照して、表示器(報知器)50が備える表示部51は、各刺激端子に対応付けられたLEDランプを備える。表示部51は、具体的には、頸椎ランプ71、尾骨部ランプ72、右手親指用ランプ81a、右手人差指用ランプ81b、右手中指用ランプ81c、右手薬指用ランプ81d、右手小指用ランプ81e、左手親指用ランプ82a、左手人差指用ランプ82b、左手中指用ランプ82c、左手薬指用ランプ82d、左手小指用ランプ82e、右足親指用ランプ91a、右足人差指用ランプ91b、右足中指用ランプ91c、右足薬指用ランプ91d、右足小指用ランプ91e、左足親指用ランプ92a、左足人差指用ランプ92b、左足中指用ランプ92c、左足薬指用ランプ92d、左足小指用ランプ92eを備えている。
【0098】
表示部51は、制御部11が出力する出力状態信号及び出力予告信号に従って、制御部11が第1制御、第2制御及び第3制御において刺激端子に電気信号が出力されている間、対応するランプを点灯させる一方で、次に電気信号が出力される刺激端子に対応するランプを点滅させる。
【0099】
第3制御における表示部51の動作について説明すると次の通りである。
【0100】
図10は、
図9に示した表示器の動作の一例を示す概略図である。
【0101】
同図及び
図7を参照して、S101において、表示部51は、制御部11が頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御を行っている間、頸椎ランプ71及び尾骨部ランプ72の両方を点灯させる。又、表示部51は、次のS102において電気信号が出力される右手親指用刺激端子31aに対応する右手親指用ランプ81aを点滅させる。
【0102】
又、第1制御及び第2制御における表示部51の動作について説明すると次の通りである。
【0103】
表示部51は、頸椎刺激端子21及び手指刺激端子30に対して電気信号を出力する第1制御、及び、尾骨部刺激端子22及び足指刺激端子40に対して電気信号を出力する第2制御では、それぞれ、手指刺激端子30の対応するランプ及び足指刺激端子40の対応するランプを点灯させる。
【0104】
図11は、
図9に示した表示器の動作の他の例を示す概略図である。
【0105】
同図及び
図7を参照して、上述のS101に続くS102において、制御部11が頸椎刺激端子21及び右手親指用刺激端子31aに電気信号を出力し始めると、表示部51は、頸椎ランプ71及び尾骨部ランプ72の両方を消灯する一方で、右手親指用ランプ81aを点灯させる。
【0106】
尚、第1パルス設定スイッチ16a、第2パルス設定スイッチ16b及び第3パルス設定スイッチ16cにおいて、設定(E)の出力をオフが設定されている場合、その部位の刺激端子に対応するランプは点灯及び点滅しない。
【0107】
以上に示したように、電気治療器10において、制御部11は、頸椎刺激端子21及び手指刺激端子30に対して電気信号を出力する第1制御、尾骨部刺激端子22及び足指刺激端子40に対して電気信号を出力する第2制御、及び、頸椎刺激端子21及び尾骨部刺激端子22に対して電気信号を出力する第3制御のいずれかの制御を切り替え可能に構成される。
【0108】
このように構成すると、頸椎及び手、尾骨部及び足、頸椎及び尾骨部の間において刺激を与えることができる。
【0109】
よって、単独部位のみ刺激した場合よりも効率の良い治療が行える。
【0110】
又、制御部11は、第1制御において、各指用の手指刺激端子30を順に電気信号を出力する対象とし、第1制御と前記第3制御とを交互に繰り返す構成である。
【0111】
このように構成すると、脊椎への刺激と、手の指への刺激とを交互に繰り返すことができるので、刺激を交互に繰り返すことによる効率の良い治療が行える。
【0112】
又、制御部11は、第2制御において、各指用の足指刺激端子40を順に電気信号を出力する対象とし、第2制御と前記第3制御とを交互に繰り返す構成である。
【0113】
このように構成すると、脊椎への刺激と、足の指への刺激とを交互に繰り返すことができる。よって、刺激を交互に繰り返すことによる効率の良い治療が行える。
【0114】
又、電気治療装置1は、出力状態又は出力予告を表示する表示部を備える表示器を備える構成である。
【0115】
このように構成すると、刺激端子に対する出力に関する情報を報知することができる。即ち、刺激端子に対する電気信号の出力予告又は出力状態を報知することができるので、利用者に対して刺激部位の感知を促し、治療効果の向上を図ることができる。
【0116】
更に、頸椎刺激端子21は、パッド状に形成されており、このパッド状の装着側の面は、絶縁体によって3分割されている。この3つに分割された各区画には同一の電気信号が入力される。又、使用に際しては、この3つに分割された各区画を第3頸椎〜第5頸椎にそれぞれ宛がうようにして利用者に装着して刺激を与える。
【0117】
尚、操作員は、表示器による表示に合わせて、電気治療装置の出力状態、出力予告を利用者に案内してもよい。これにより、より一層、利用者に対して刺激部位の感知を促し、治療効果の向上を図ることができる。
【0118】
図12は、この発明の第2の実施の形態による電気治療装置の概略的構成を示す模式図である。
【0119】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0120】
同図を参照して、第2の実施の形態による電気治療装置1Aは、第1の実施の形態の電気治療装置1において更にマイク60がケーブルを介して電気治療器10に接続された構成である。
【0121】
又、電気治療器10は、自動モード切替スイッチ16dにより、利用者との対話によりEMSによる刺激位置を切り替える「対話動作」を設定可能である。
【0122】
又、制御部11は、「対話動作」において、利用者の発声を、マイク60を介して認識する。例えば、制御部11が、利用者の右手親指に刺激を与えたとき、それを感知した利用者が「右手親指」等と発声すると、マイク60によって利用者の発声が集音され、制御部11に送信される。制御部11では利用者の発声を解析し、その発声内容を認識する。又、制御部11は、発生内容(右手親指)と、刺激位置が合致していればEMSによる刺激位置を切り替える。又、制御部11が、利用者の発声を認識したのに応じて、表示器50において右手親指ランプの点灯を行ってもよい。
【0123】
このように構成すると、利用者自身の発声が更に利用者の聴覚への刺激のフィードバックとなる。操作員等の自分以外の人の案内による聴覚的な働きかけや、電気治療装置による電気的刺激・ランプ点灯による触覚・視覚による刺激だけにとどまらない、利用者自身のフィードバック効果が得られる。
【0124】
図13は、この発明の第3の実施の形態による電気治療装置の手指刺激端子の概略的構成を示す模式図である。
【0125】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0126】
同図を参照して、手指刺激端子は、手袋型に構成される。即ち、手指刺激端子は、手袋61の各指において利用者の手指の当たる位置に配置される。
【0127】
このように構成すると、手袋61を手に嵌めただけで手刺激端子30を配置することができるため、使用勝手が向上する。
【0128】
図14は、この発明の第4の実施の形態による電気治療装置の足指刺激端子の概略的構成を示す模式図であり、(A)は足指パッドの外観を示し、(B)は(A)に示す足指パッドを足に装着した様子を示す。
【0129】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0130】
同図の(A)を参照して、右足刺激端子41は、足指パッド型に構成される。即ち、右足刺激端子41は、足指パッド62の各指の挿入位置において利用者の足指の当たる位置に配置される。尚、同図では、右足刺激端子41についてのみ例示しているが、左足刺激端子についても同様に足指パッド型に構成することができる。
【0131】
このように構成すると、同図の(B)に示すように、足指パッド62に足の各指を挿入するだけで足指刺激端子40を配置することができるため、使用勝手が向上する。
【0132】
尚、上記第1の実施の形態では、表示器は、LEDランプを備える表示部51を備える構成だったが、これに限られない。
【0133】
表示器に替えて電気信号の出力に関する情報を報知する報知部を備える報知器を設けてもよい。報知の手段は音声であっても構わない。又、報知の手段は、音声及びLEDランプの両方であってもよい。このように構成することで、視覚だけでなく聴覚により利用者に刺激部位の感知を促し、治療効果の向上を図ることができる。
【0134】
又、上記各実施の形態では、頸椎刺激端子、尾骨部刺激端子、手指刺激端子及び足指刺激端子は特定の形状・形態により構成することを説明したが、これに限られない。
【0135】
更に、上記各実施の形態では、手指刺激端子は、右手の各指用又は左手の各指用に5個ずつ、計10個設けられていたが、これに限られない。手指刺激端子は、少なくとも、右手の各指用又は左手の各指用に5個設けられている構成であってもよい。又、手指刺激端子は、1個だけ設けられる構成であってもよい。
【0136】
更に、上記各実施の形態では、足指刺激端子は、右足の各指用又は左足の各指用に5個ずつ、計10個設けられていたが、これに限られない。足指刺激端子は、少なくとも、右足の各指用又は左足の各指用に5個設けられている構成であってもよい。又、足指刺激端子は、1個だけ設けられる構成であってもよい。
【0137】
更に、上記各実施の形態では、特に説明しなかったが、電気治療器に接続される各刺激端子と、表示器のLEDランプとの対応付けは、例えばケーブルを付け替えること等により変更することができる。
【0138】
更に、上記各実施の形態では、特に説明しなかったが、電気治療装置は、多機能携帯電話機、タブレット型PC等の情報端末と有線又は無線により通信接続可能なように構成されていてもよい。
【0139】
そして、情報端末において電気治療装置における各種設定が保存できるように構成されていてもよい。又、情報端末が電気治療装置と接続した状態において、情報端末が電気治療装置におけるEMSによる刺激位置をマニュアル動作によって切り替えることができるように構成されていてもよい。又、情報端末において、上述した表示器における表示を行えるように構成されていてもよい。このような情報端末の機能は、情報端末上で実行可能なアプリケーションによって実現されていてもよい。
【0140】
更に、上記各実施の形態では、頸椎刺激端子及び尾骨部刺激端子の両方を備える構成であったが、これに限られない。又、手指刺激端子及び足指刺激端子の両方を備える構成であったが、これに限られない。即ち、人体に対し電気的刺激による治療を行う電気治療器において、人体の脊椎の一部に脱着自在に装着され、脊椎の一部を電気的に刺激するため脊椎刺激端子と、人体の手又は足の指に脱着自在に装着され、手又は足の指を電気的に刺激するための指刺激端子と、脊椎刺激端子及び指刺激端子に対して出力する電気信号を制御する制御部とを備えるものであってもよい。このような構成によれば、脊椎と手又は足の指の間において刺激を与えることができるので、単独部位のみ刺激した場合よりも効率の良い治療が行える。又、電気治療装置は、このような電気治療器と、脊椎刺激端子及び指刺激端子に対応付けられ、脊椎刺激端子及び指刺激端子に対する電気信号の出力に関する情報を報知する報知部を備える報知器とから構成されていてもよい。このような構成によれば、患者に対して刺激部位の感知を促し、治療効果の向上を図ることができる。
【0141】
更に、電気治療装置は、以下のように構成することもできる。即ち、人体に対し電気的刺激による治療を行う電気治療装置において、生体の複数の部位に脱着自在に装着し、その部位を電気的に刺激するための複数の刺激端子と、刺激端子に対して、出力する電気信号を制御する出力制御手段と、視覚的又は聴覚的な報知を行う報知手段とを備え、報知手段は、(i)出力制御手段が刺激端子に電気信号を出力する前に報知を行う、(ii)出力制御手段が刺激端子への電気信号の出力を停止した後に報知を行う、又は、(iii)刺激端子に電気信号を出力する前、刺激端子に電気信号を出力するのと同時、刺激端子への電気信号の出力を停止した後の間で報知のタイミングを切り替え可能のいずれかに構成されているものであってもよい。
【0142】
このように構成すると、端子に対する電気信号の出力状態を多様なタイミングで報知することができるので、患者に対して刺激部位の感知を促し、治療効果の向上を図ることができる。
【0143】
更に、上記第1の実施の形態では、頸椎刺激端子が絶縁体により3分割され、3分割された各区画に同じ電気信号が入力されることを説明したが、これに限られず、各区画に個別の電気信号を入力してもよい。
【0144】
更に、上記第1の実施の形態では、有線コントローラーを備える構成であったが、有線コントローラーを省略してもよい。
【0145】
更に、上記第1の実施の形態では、第1制御及び第2制御において、頸椎ランプ及び尾骨部ランプを点灯させない構成であったが、点灯・点滅させても構わない。
【0146】
図15は、この発明の第5の実施の形態による電気治療装置の手指刺激端子の概略的構成を示す模式図であり、
図16は、
図15に示した手指刺激端子を指に装着した状態の一例を示す図であり、
図17は、指の刺激箇所を説明する模式図であり、
図18は、
図15に示した手指刺激端子を指に装着した状態の他の例を示す図である。
【0147】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0148】
図15を参照して、第5の実施の形態における手指刺激端子30は、カバー部65と、電極部66とを備えるクリップタイプのものとして構成している。即ち、第5の実施の形態における手指刺激端子30は、手の指を、一方の挟み込み部材と他方の挟み込み部材とで挟持可能なクリップタイプにより構成され、一方の挟み込み部材側に電極部66を設け、他方の挟み込み部材側にカバー部65を設けたものと言うこともできる。以下、説明の便宜上、代表として、左手人差指用刺激端子32bの詳細について説明するが、その他の指用の刺激端子についても同様である。
【0149】
先ず、
図16を参照して、左手人差指用刺激端子32bの装着の一例を説明すると、カバー部65により左手人差指Fの爪から指先の側面を覆うようにして、左手人差指用刺激端子32bを左手人差指Fに装着する。このため、クリップで左手人差指Fを挟み込んだ際に、電極部66は、左手人差指Fの腹側に接することになる。
【0150】
次に、
図17及び
図18を参照して、左手人差指用刺激端子32bの装着の他の例を説明する。
【0151】
指の爪と第1関節との間にはツボがあるといわれている。
図17に示す左手人差指Fを例にすると、爪F11と第1関節F1との間であって、手の甲側の部位F12や、指先の一方側面の部位F13及び他方側面の部位F14付近にツボがあるとされる。このツボ付近の位置に電気的な刺激を与えると、リラックス効果や心地よい感触を得ることができる。
【0152】
そこで、
図18に示すように、カバー部65により左手人差指Fの指の腹から指先の側面を覆うようにして、左手人差指用刺激端子32bを左手人差指Fに装着する。これにより、クリップで左手人差指Fを挟み込んだ際に、電極部66は、左手人差指Fの爪と第1関節F1との間の部位に接することになる。
【0153】
このような装着方法によれば、電極が指のツボを刺激できるような位置に配置されるため、利用者が、上述したようなリラックス効果や心地よい感触を得ることができる。
【0154】
尚、上記第5の実施の形態では、手指刺激端子について説明したが、足指刺激端子についても同様の構成を採用することができる。
【0155】
又、上記第5の実施の形態では、手指刺激端子は、特定の形状・構成を備えるものであったが、これに限られない。例えば、手指刺激端子において、電極は、手指刺激端子が手の指に装着された際に、指先と第1関節との間であって、手の甲側の部位又は指先の側面の部位に電気的刺激を与えられるような形状又は構造により構成されていればよい。例えば、クリップタイプのものであれば、他方の挟み込み部材側が指の腹に配置されたとき、電極が設けられた一方の挟み込み部材側が、指先と第1関節との間であって、爪の部分を除いた手の甲側の部位に位置するように構成されていればよい。又、手指刺激端子は、カバー部を備えるものであったが、このカバー部は省略しても構わない。
【0156】
更に、上記第5の実施の形態では、特に説明しなかったが、カバー部にも電極を設ける構成でも構わない。この構成を採用する場合、電極の形状を指の周囲を覆うようなものとしてもよい。