【実施例】
【0047】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【0048】
[実験例1]
「光触媒の作製」
10μmolのタングステン酸ナトリウムの二水和物(Na
2WO
4・2H
2O)を、45mLのイオン交換水に溶解し、室温にて3時間攪拌して、タングステン酸ナトリウムの水溶液を調製した。
また、20μmolの硝酸ビスマスの五水和物(Bi(NO
3)
3・5H
2O)を、15mLの1mol/Lの硝酸に溶解し、室温にて0.5時間攪拌して、硝酸ビスマスを含む硝酸溶液を調製した。
次いで、この硝酸ビスマスの硝酸溶液に、上記のタングステン酸ナトリウムの水溶液を添加して、室温にて3時間攪拌して、これら2つの混合溶液を調製した。
【0049】
次いで、この混合溶液を3時間撹拌しながら、この溶液に、pH調整剤としてアンモニア水(NH
3・H
2O)を添加して、この混合溶液のpHを7に調整した。
pHを調整した混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、160℃にて、18時間、反応させた(水熱合成した)。
【0050】
次いで、反応後の溶液を遠心分離した後、得られた固形分を水とエタノールで洗浄した。
これにより、タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)の粒子を得た。
【0051】
次いで、エタノール中にタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)の粒子を懸濁させて、45mLのタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)を含むエタノール懸濁液を調製した。
【0052】
次いで、1μmolの銀イオン(Ag
+)となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)を、5mLの1mol/Lの硝酸に溶解し、室温にて1時間攪拌して、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)を含む硝酸溶液を調製した。
次いで、上記のタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)を含むエタノール懸濁液に、このリン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)を含む硝酸溶液を添加した。さらに、そのエタノール懸濁液にリン酸水素二カリウム(K
2HPO
4)を加えて、エタノール懸濁液におけるリン酸イオン(PO
43−)の含有量を調整した。
【0053】
次いで、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、120℃にて、4時間、反応させた(水熱合成した)。
次いで、反応後の溶液を遠心分離した後、得られた固形分を水で洗浄した。
次いで、固形分を、80℃にて、16時間、乾燥した。
これにより、実験例1の銀(Ag)/酸化銀(Ag
2O)/リン酸ビスマス(BiPO
4)/タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子(粉末)が得られた。
なお、実験例1では、ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが20/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整した。
【0054】
[光触媒活性の評価]
オービタルシェイカー、マグネチックスターラーおよび人工太陽光照明灯を備えた光化学反応装置を用いて、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、光触媒活性を評価した。
上記の粉末と、ローダミンBの初期濃度が5ppmの50mLの水溶液(ローダミンB水溶液)とを容れたビーカーをマグネチックスターラーの上に設置した。
ビーカー内のローダミンB水溶液に含まれる上記の粉末の量を0.05gとした。
ローダミンB水溶液を含むビーカーに、照明灯を備えた光照射ユニット内で、600W/m
2の一定の強度で可視光(波長200nm〜1500nm)を照射した。照明灯とビーカーの距離を10cmとした。
ビーカーに可視光を照射している間、マグネチックスターラーでローダミンB水溶液の攪拌を継続した。
ローダミンB水溶液から、5分間隔でサンプルを採集し、分光光度計(商品名:UV−1600、島津製作所社製)を用いて、波長554nmに調整して光吸収を測定し、所定時間毎にローダミンBの分解率を調査した。
結果を表1、並びに、
図1および
図2に示す。
なお、表1におけるK
appはローダミンBの分解反応の反応速度定数を示す。また、
図1および
図2におけるCはローダミンB水溶液の濃度を示し、C
0はローダミンB水溶液の初期濃度を示す。
【0055】
[紫外可視分光分析]
紫外可視分光光度計(商品名:UV−3100PC、島津製作所社製)を用いて、0.5nm間隔で波長200nm〜800nmにおいて、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粉末を参照物として、紫外可視分光分析を行った。結果を
図3に示す。なお、
図3は紫外可視(波長200nm〜800nm)吸収スペクトルを測定した結果を示す図である。
【0056】
[実験例2]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整したこと以外は実験例1と同様にして、実験例2のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例2のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表1、並びに、
図1および
図2に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例2のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図3に示す。
【0057】
[実験例3]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが5/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整したこと以外は実験例1と同様にして、実験例3のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例3のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表1、並びに、
図1および
図2に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例2のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図3に示す。
【0058】
[実験例4]
実験例1で得られたタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例4のタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表1、並びに、
図1および
図2に示す。
また、得られたBi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例4のBi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図3に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1、並びに、
図1および
図2の結果から、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、Bi/Agが5/1〜10/1の範囲であれば、Bi
2WO
6粒子よりも光触媒活性に優れることが分かった。
また、
図3の結果から、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、Bi
2WO
6粒子よりも、波長400nm〜800nmにおいて、光の吸収強度が高いことが分かった。
【0061】
[実験例5]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、100℃にて、4時間、反応させたこと以外は実験例1と同様にして、実験例5のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例5のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表2、並びに、
図4および
図5に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例5のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図6に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、X線回折装置(商品名:Altima III Rint−2000 X−ray、Rigaku)を用いて同定した。
結果を
図7に示す。
【0062】
[実験例6]
実験例6のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子として、実験例2と同じAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例6のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表2、並びに、
図4および
図5に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例5のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図6に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、実験例5と同様にして同定した。
結果を
図7に示す。
【0063】
[実験例7]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、140℃にて、4時間、反応させたこと以外は実験例1と同様にして、実験例7のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例7のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表2、並びに、
図4および
図5に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例5のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図6に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、実験例5と同様にして同定した。
結果を
図7に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2、並びに、
図4および
図5の結果から、水熱合成の温度が120℃〜140℃の範囲であれば、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、光触媒活性に優れることが分かった。
また、
図6の結果から、水熱合成の温度が120℃〜140℃の範囲では、温度が上がるに従って、波長400nm〜800nmにおいて、光の吸収強度が高くなることが分かった。
また、
図7の結果から、実験例5〜実験例7では、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子が生成していることが分かった。
なお、
図7において、28.18°、46.75°、55.45°および58.26°はBi
2WO
6のピークである。また、32.77°もBi
2WO
6のピークであるが、このピークは、AgおよびAg
2Oのピークと重なっている。
【0066】
[実験例8]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、120℃にて、3時間、反応させたこと以外は実験例1と同様にして、実験例8のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例8のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表3、並びに、
図8および
図9に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例8のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図10に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、実験例5と同様にして同定した。
結果を
図11に示す。
【0067】
[実験例9]
実験例9のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子として、実験例2と同じAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例9のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表3、並びに、
図8および
図9に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例9のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図10に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、実験例5と同様にして同定した。
結果を
図11に示す。
【0068】
[実験例10]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、120℃にて、5時間、反応させたこと以外は実験例1と同様にして、実験例10のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例10のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表3、並びに、
図8および
図9に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例10のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図10に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、実験例5と同様にして同定した。
結果を
図11に示す。
【0069】
[実験例11]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、120℃にて、6時間、反応させたこと以外は実験例1と同様にして、実験例11のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例11のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表3、並びに、
図8および
図9に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例11のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図10に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を、実験例5と同様にして同定した。
結果を
図11に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表3、並びに、
図8および
図9の結果から、水熱合成の時間が4時間の場合に、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、光触媒活性に優れることが分かった。
また、
図10の結果から、水熱合成の時間が4時間の場合に、波長400nm〜800nmにおいて、光の吸収強度が高くなることが分かった。
また、
図11の結果から、実験例8〜実験例11では、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子が生成していることが分かった。
なお、
図11において、28.18°、46.75°、55.45°および58.26°はBi
2WO
6のピークである。また、32.77°もBi
2WO
6のピークであるが、このピークは、AgおよびAg
2Oのピークと重なっている。
【0072】
[実験例12]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、リン酸イオン(PO
43−)の含有量を0.5at%としたこと以外は実験例1と同様にして、実験例12のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例12のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表4、並びに、
図12および
図13に示す。
【0073】
[実験例13]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、リン酸イオン(PO
43−)の含有量を1.0at%としたこと以外は実験例1と同様にして、実験例13のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例13のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表4、並びに、
図12および
図13に示す。
【0074】
[実験例14]
ビスマス(Bi)と銀(Ag)とのモル比であるBi/Agが10/1となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)と硝酸銀(AgNO
3)の添加量を調整し、リン酸イオン(PO
43−)の含有量を1.5at%としたこと以外は実験例1と同様にして、実験例14のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例14のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表4、並びに、
図12および
図13に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
表4、並びに、
図12および
図13の結果から、リン酸イオン(PO
43−)の含有量が0.5at%〜1.5at%の範囲であれば、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、光触媒活性に優れることが分かった。
【0077】
[実験例15]
実験例1で得られたタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例15のタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表5、並びに、
図14および
図15に示す。
また、得られたBi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例15のBi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図16に示す。
透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名:JEM2100F、日本電子社製)を用いて、得られたBi
2WO
6粒子の透過型電子顕微鏡を得た。
結果を
図17に示す。
【0078】
[実験例16]
「光触媒の作製」
10μmolのタングステン酸ナトリウムの二水和物(Na
2WO
4・2H
2O)を、45mLのイオン交換水に溶解し、室温にて0.5時間攪拌して、タングステン酸ナトリウムの水溶液を調製した。
また、20μmolの硝酸ビスマスの五水和物(Bi(NO
3)
3・5H
2O)を、15mLの1mol/Lの硝酸に溶解し、室温にて0.5時間攪拌して、硝酸ビスマスを含む硝酸溶液を調製した。
次いで、この硝酸ビスマスの硝酸溶液に、上記のタングステン酸ナトリウムの水溶液を添加して、室温にて3時間攪拌して、これら2つの混合溶液を調製した。
【0079】
次いで、この混合溶液を3時間撹拌しながら、この溶液に、pH調整剤としてアンモニア水(NH
3・H
2O)を添加して、この混合溶液のpHを7に調整した。
pHを調整した混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、160℃にて、18時間、反応させた(水熱合成した)。
【0080】
次いで、反応後の溶液を遠心分離した後、得られた固形分を水とエタノールで洗浄した。
これにより、タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)の粒子を得た。
【0081】
次いで、エタノール中にタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)の粒子を懸濁させて、45mLのタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)を含むエタノール懸濁液を調製した。
【0082】
次いで、1μmolの銀イオン(Ag
+)となるように、リン酸銀(Ag
3PO
4)を、5mLの1mol/Lの硝酸に溶解し、室温にて1時間攪拌して、リン酸銀(Ag
3PO
4)を含む硝酸溶液を調製した。
次いで、上記のタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)を含むエタノール懸濁液に、このリン酸銀(Ag
3PO
4)を含む硝酸溶液を添加した。
【0083】
次いで、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、120℃にて、4時間、反応させた(水熱合成した)。
次いで、反応後の溶液を遠心分離した後、得られた固形分を水で洗浄した。
次いで、固形分を、80℃にて、16時間、乾燥した。
これにより、実験例16のリン酸ビスマス(BiPO
4)/タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子(粉末)が得られた。
【0084】
「評価」
得られたBiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例16のBiPO
4/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表5、並びに、
図14および
図15に示す。
また、得られたBiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例16のBiPO
4/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図16に示す。
実験例15と同様にして、得られたBiPO
4/Bi
2WO
6粒子の透過型電子顕微鏡を得た。
結果を
図18に示す。
【0085】
[実験例17]
「光触媒の作製」
10μmolのタングステン酸ナトリウムの二水和物(Na
2WO
4・2H
2O)を、45mLのイオン交換水に溶解し、室温にて0.5時間攪拌して、タングステン酸ナトリウムの水溶液を調製した。
また、20μmolの硝酸ビスマスの五水和物(Bi(NO
3)
3・5H
2O)を、15mLの1mol/Lの硝酸に溶解し、室温にて0.5時間攪拌して、硝酸ビスマスを含む硝酸溶液を調製した。
次いで、この硝酸ビスマスの硝酸溶液に、上記のタングステン酸ナトリウムの水溶液を添加して、室温にて3時間攪拌して、これら2つの混合溶液を調製した。
【0086】
次いで、この混合溶液を3時間撹拌しながら、この溶液に、pH調整剤としてアンモニア水(NH
3・H
2O)を添加して、この混合溶液のpHを7に調整した。
pHを調整した混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、160℃にて、18時間、反応させた(水熱合成した)。
【0087】
次いで、反応後の溶液を遠心分離した後、得られた固形分を水とエタノールで洗浄した。
これにより、タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)の粒子を得た。
【0088】
次いで、エタノール中にタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)の粒子を懸濁させて、45mLのタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)を含むエタノール懸濁液を調製した。
【0089】
次いで、1μmolの銀イオン(Ag
+)となるように、硝酸銀(AgNO
3)を、5mLの1mol/Lの硝酸に溶解し、室温にて1時間攪拌して、硝酸銀(AgNO
3)を含む硝酸溶液を調製した。
次いで、上記のタングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)を含むエタノール懸濁液に、この硝酸銀(AgNO
3)を含む硝酸溶液を添加した。
【0090】
次いで、上記の懸濁液と硝酸溶液の混合溶液を、ポリテトラフルオロエチレンを内張したオートクレーブに容れて、120℃にて、4時間、反応させた(水熱合成した)。
次いで、反応後の溶液を遠心分離した後、得られた固形分を水で洗浄した。
次いで、固形分を、80℃にて、16時間、乾燥した。
これにより、実験例16のリン酸ビスマス(BiPO
4)/タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子(粉末)が得られた。
なお、リン酸ビスマス(BiPO
4)/タングステン酸ビスマス(Bi
2WO
6)粒子におけるリン酸イオン(PO
43−)の含有量は0.5at%であった。
【0091】
「評価」
得られたAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例17のAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表5、並びに、
図14および
図15に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例17のAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図16に示す。
実験例15と同様にして、得られたAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の透過型電子顕微鏡を得た。
結果を
図19に示す。
【0092】
[実験例18]
実験例18のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子として、実験例12と同じAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例18のAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表5、並びに、
図14および
図15に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例18のAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図16に示す。
実験例15と同様にして、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子の透過型電子顕微鏡を得た。
結果を
図20に示す。
【0093】
[実験例19]
実験例19のAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子として、実験例13と同じAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を得た。
得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、実験例1と同様にして、実験例19のAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の光触媒活性を評価した。
結果を表5、並びに、
図14および
図15に示す。
また、得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子について、実験例1と同様にして、実験例19のAg/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子の紫外可視分光分析を行った。
結果を
図16に示す。
【0094】
【表5】
【0095】
表5、並びに、
図14および
図15の結果から、Ag/Ag
2O/Bi
2WO
6粒子も光触媒活性に優れるが、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、より光触媒活性に優れることが分かった。
また、
図16の結果から、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子は、波長400nm〜800nmにおいて、光の吸収強度が高くなることが分かった。
【0096】
[実験例20]
実験例19で得られたAg/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて、以下の方法に従って、水の分解を行い、ガスクロマトグラフ(商品名:GC−8A、島津製作所社製)により、30分毎に、酸素(O
2)と水素(H
2)の発生量(累積)を測定した。
メタノール30mLと水120mLの混合溶液に、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子0.0075gを溶解して、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を含むメタノール水溶液を調製した。
このメタノール水溶液を、300mLの透明ガラスリアクターに注入した。
メタノール水溶液を容れた透明ガラスリアクターを、照明灯を備えた太陽光照射ユニット内に配置して、その透明ガラスリアクターに、600W/m
2の一定の強度で可視光(波長200nm〜1500nm)を照射した。照明灯の発光部と透明ガラスリアクターの距離を5cmとした。
透明ガラスリアクターに可視光を照射している間、マグネチックスターラーでメタノール水溶液の攪拌を継続した。
メタノール水溶液から、30分毎に試料を採取し、ガスクロマトグラフにより、サンプル中の酸素(O
2)と水素(H
2)の濃度を測定した。
結果を
図21に示す。
図21の結果から、水の分解開始から3時間の酸素(O
2)の累積発生量は305μmol、水素(H
2)の累積発生量は11μmolであった。
【0097】
また、
図21の結果から、Ag/Ag
2O/BiPO
4/Bi
2WO
6粒子を用いて水を分解し、酸素と水素を発生できることが分かった。また、本実験例の光触媒は、少ない光触媒量と弱い光照射強度条件においても、従来の光触媒に比べて、酸素(O
2)の発生量が数倍から数十倍であり、水素(H
2)の発生量が数倍であることが分かった。