(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、基板を搬送しつつ塗布膜を形成する塗布装置が開発されている。すなわち、
図12に示すように、一方向に延びるステージ101に基板Wを浮上させつつ搬送し、塗布器102直下を通過する基板Wに対し塗布液を吐出することにより基板W上に塗布膜が形成される。このような搬送型の塗布装置も原点調節作業が必要になるが、上述の原点調節作業では調節しきれないという問題があった。
【0006】
すなわち、従来の枚葉型の塗布装置では、ステージ101に石材が使用されているため、温度変化によるステージ101の熱延びの影響は皆無であり、生産前に原点調節作業を行えば、連続運転が可能である。ところが、
図12に示す搬送型の塗布装置では、ステージ101(浮上プレート)に金属板が使用されており、また、浮上プレート及び搬送駆動部103等が複数のユニットで構成されているため、温度変化による熱延びの影響が無視できず、生産前の原点高さが変動してしまうという問題があった。これに対応するため、所定時間毎に原点調節作業を行うには、頻繁な原点調節作業が煩わしいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、原点調節作業を装置化することにより、生産を停止することなく頻繁な原点調節作業を自動化できる原点検出器、及び、それを備えた塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の原点検出器は、ステージ上の基板に塗布器から塗布液を塗布する塗布装置において、前記ステージと前記塗布器との高さ方向における原点位置を検出する原点検出器であって、高さ位置を検出する高さセンサ部と、前記高さセンサ部に前記ステージの高さ位置を供給する面出しユニットと、を備え、前記面出しユニットは、基板と対向する前記ステージのステージ面に沿わせる基準ブロック部と、前記基準ブロック部を昇降動作させる昇降駆動部と、前記基準ブロック部が前記ステージ面に沿う状態でこの基準ブロック部を前記ステージ面に押し付けて固定する押当て部と、を有しており、前記基準ブロック部が前記押当て部に押し付けられた状態で、前記基準ブロック部に前記高さセンサ部が接触することにより、前記ステージと前記塗布器との高さ方向における原点位置が検出され
、前記面出しユニットは、前記基準ブロック部を保持するブロックホルダ部を有しており、このブロックホルダ部は、前記基準ブロック部が前記ステージに当接すると、前記押当て部で固定される前に、前記基準ブロック部を姿勢変化が許容される状態で保持することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、面出しユニットの基準ブロック部が昇降駆動部により下降されて基準ブロック部がステージ面に押し付けられると、押当て部により基準ブロック部が押し付けられた状態で固定される。すなわち、基準ブロック部がステージ面に倣った状態で固定されるため、基準ブロック部の高さ位置がステージ面の高さ位置と一致する。この基準ブロック部に高さセンサ部を接触させることにより、高さセンサ部がステージ面の高さ位置を検
出し、原点位置を検出することができる。これにより、原点調節作業が装置化されるため、生産を停止することなく、煩わしい原点調節作業を自動化することができる。
また、基準ブロック部が、ステージに当接し押当て部で固定される前に姿勢変化が許容されるため、基準ブロック部をステージ面に確実に倣わせることがことができる。すなわち、基準ブロック部が保持された状態からステージ面に当接させると、保持状態の姿勢の影響等によりステージ面に沿わない状態で押当て部で固定される虞があるが、押当て部で固定される前に姿勢変化が許容される姿勢、すなわち、非接触状態で保持されることにより、基準ブロック部とステージ面とが当接し、基準ブロック部の姿勢の乱れが修正される。これにより、基準ブロック部がステージ面に確実に倣うことができ、この状態で押当て部で固定されることにより、基準ブロック部の高さ位置を確実にステージ面の高さ位置に一致させることができる。
【0010】
また、前記高さセンサ部と、前記面出しユニットとは、相対的に移動可能に形成されており、原点位置が検出される際に、それぞれが検出位置に配置される構成にしてもよい。
【0011】
この構成によれば、高さセンサ部と面出しユニットとが相対的に移動できるため、原点出し作業が必要な位置、すなわち、塗布器直下の原点位置を検出することができる。
【0014】
また、前記ブロックホルダ部は、前記基準ブロック部の傾斜部に応じた傾斜溝を有しており、基準ブロック部がブロックホルダ部に付勢されることにより前記傾斜部と傾斜溝とが当接し、前記基準ブロック部が前記ステージに当接する前まで、前記基準ブロック部が所定の姿勢に維持される構成にしてもよい。
【0015】
この構成によれば、基準ブロック部の傾斜部がブロックホルダ部の傾斜溝に当接することにより、基準ブロック部が、押当て部で固定されるまで、高さセンサ部に当接する姿勢に維持することができる。これにより、基準ブロック部を高さセンサ部に確実に当接させることができる。
【0016】
また、前記基準ブロック部は、前記ステージに当接する部分が平坦形状に形成される平坦部と、前記高さセンサ部に当接する部分が先鋭形状に形成される稜線部と、を有する構成にしてもよい。
【0017】
この構成によれば、基準ブロック部がステージに当接すると、平坦に形成された基準ブロック部の平坦部がステージ面に当接し、面接触することにより、基準ブロック部を確実にステージ面に倣わせることができる。また、基準ブロック部の稜線部が高さセンサ部の線状に形成された先端部に互いに交差しつつ線接触で当接させることができるため、基準ブロック部と高さセンサ部との接触状態を確実にすることができる。
【0018】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、上記いずれかに記載の原点検出器と、基板が浮上搬送されるステージと、前記ステージ上の基板に塗布液を吐出する塗布器と、を備
えることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、吐出位置のステージが原点検出器により人手によらず原点調節されるため、原点出し作業の煩わしい作業から解放され、塗布器とステージ表面との距離を一定に保って精度のよい塗布膜を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、原点調節作業を装置化することにより、生産を停止することなく頻繁な原点調節作業を自動化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の原点検出器を備えた塗布装置に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の原点検出器と組み合わされる塗布装置を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1における塗布装置の正面図である。
【0024】
図1、
図2において、塗布装置は、基板Wを搬送する基板搬送装置1と、塗布液を吐出する塗布ユニット21とを有しており、搬送される基板Wに塗布液を吐出することにより、基板W上に塗布膜を形成するものである。具体的には、基板搬送装置1は、一方向に延びる浮上ステージ部10(本発明のステージ)を有しており、この浮上ステージ部10の延びる方向に沿って基板Wが搬送される。
図1の例では、浮上ステージ部10は、X軸方向に延びて形成されており、基板WがX軸方向に上流側(前工程側)から下流側(後工程側)に搬送されるようになっている。そして、基板Wが浮上ステージ部10に浮上された状態でX軸方向に搬送されつつ、塗布ユニット21から塗布液が吐出されることにより、基板W上に均一厚さの塗布膜が形成されるようになっている。
【0025】
以下の説明では、基板Wが搬送される方向をX軸方向とし、X軸方向が搬送方向に相当する。また、X軸方向と水平面上で直交する方向をY軸方向とし、特にY軸方向を川幅方向ともいう。そして、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する高さ方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0026】
塗布ユニット21は、基板Wに塗布液を塗布するものであり、ガントリ部22と塗布器23とを有している。ガントリ部22は、浮上ステージ部10のY軸方向両側にそれぞれ配置される支柱22aを有しており、この支柱22aに塗布器23が設けられている。具体的には、支柱22aは、Y軸方向(川幅方向)両側に固定して設けられており、後述する基板保持ユニット30の走行を妨げることのないように、基板保持ユニット30の走行経路よりも外側に配置されている。そして、これらの支柱22aには一方向に延びる塗布器23が架け渡されており、塗布器23が浮上ステージ部10を横切る状態で取り付けられている。また、支柱22aには昇降機構が設けられており、昇降機構を作動させることにより塗布器23がZ方向に移動できるようになっている。すなわち、昇降機構により塗布器23が浮上ステージ部10に対して接離動作できるようになっている。
【0027】
塗布器23は、塗布液を吐出するものであり、一方向に延びて形成されている。この塗布器23は、一方向に延び、スリット状に開口するスリットノズル23a(
図2参照)が形成されており、塗布器23内に貯留された塗布液をスリットノズル23aから吐出できるようになっている。具体的には、スリットノズル23aは、浮上ステージ部10と対向する面に形成されており、塗布器23はスリットノズル23aが川幅方向に延びる状態で設置されている。そして、搬送される基板Wに対して塗布器23を昇降させて基板Wとスリットノズル23aとの距離を所定の距離に合わせた状態で、スリットノズル23aから塗布液を吐出することにより、川幅方向に一様な塗布膜が搬送方向に連続的に形成されるようになっている。すなわち、スリットノズル23aは、後述の高さセンサ部61で高さ位置が調節された後、昇降機構により塗布膜を形成するのに必要な高さ位置(設定高さ位置)に制御され保持される。そして、スリットノズル23aが設定高さ位置に保持された状態で吐出動作が行われる。本実施形態では、スリットノズル23aから塗布液が吐出される吐出位置を含む浮上ステージ部10の表面(ステージ面ともいう)を原点としてスリットノズル23aの高さ位置が調節されるようになっている。そして、スリットノズル23aと浮上ステージ部10との高さ位置を精度よく制御しながら、スリットノズル23aから塗布液を吐出させつつ、基板Wを移動させることにより、基板W上には、均一厚さの塗布膜が形成されるようになっている。
【0028】
また、基板搬送装置1は、基板Wを浮上させつつ、一方向(本実施形態ではX軸方向)に搬送させるものである。基板搬送装置1は、基板Wを浮上させる浮上ステージ部10と、浮上ステージ部10に浮上させた基板Wを保持し搬送させる基板搬送ユニット3とを有している。
【0029】
浮上ステージ部10は、基板Wを浮上させるものであり、本実施形態ではエア浮上機構を有している。浮上ステージ部10は、基台11上に平板部12が設けられて形成されており、複数枚の平板部12がX軸方向に沿って配列されて形成されている。すなわち、平板部12は、平滑な基板浮上面12a(ステージ面ともいう。
図1、
図3参照)を有しており、それぞれの基板浮上面12aが均一高さになるように配列されている。そして、基板浮上面12aには、搬送させる基板Wとの間に空気層が形成されることにより基板Wを所定高さ位置に浮上させることができるようになっている。具体的には、平板部12には、基板浮上面12aに開口する微小な噴出口(不図示)と吸引口(不図示)とが形成されており、噴出口とコンプレッサとが配管で接続され、吸引口と真空ポンプとが配管で接続されている。そして、噴出口から噴出されるエアと吸引口に発生する吸引力とをバランスさせることにより、基板Wが基板浮上面12aから所定高さに水平の姿勢で浮上させることができるようになっている。これにより、基板Wの平面姿勢(平面度という)を高精度に維持した状態で搬送できるようになっている。
【0030】
また、浮上ステージ部10の平板部12は、そのY軸方向寸法が搬送される基板WのY軸方向寸法よりも小さく形成されており、基板浮上面12a上に基板Wを載置すると、基板浮上面12aから基板WのY軸方向端部がはみ出した状態となる。このはみ出した部分(はみ出し領域T)を後述の基板搬送ユニット3で保持することにより、基板Wを搬送できるようになっている。この平板部12のY軸方向寸法は、はみ出し領域Tが基板保持部30で保持できる必要最小限の寸法になるように設定されている。すなわち、はみ出し領域Tのはみ出し量は、基板保持部30で基板Wのはみ出し領域Tを保持した場合に、基板保持部30と平板部12との間に互いに接触することのない僅かな隙間が形成される程度に設定されている。
【0031】
また、基板搬送ユニット3は、浮上状態の基板Wを搬送させるものであり、基板Wを保持する基板保持ユニット30と、基板保持ユニット30を走行させる搬送駆動部31とを有している。
【0032】
搬送駆動部31は、基板保持ユニット30を搬送方向に移動させるように構成されており、浮上ステージ部10に沿って搬送方向に延びる搬送レール部31aと、この搬送レール部31a上を走行するベース部31bとで形成されている。具体的には、搬送方向に延びるように設けられた基台31c(
図2参照)が浮上ステージ部10の川幅方向両側に配置されており、それぞれの基台31c上に搬送レール部31aが設けられている。すなわち、搬送レール部31aが浮上ステージ部10に沿って途切れることなく連続して設けられている。また、ベース部31bは、凹形状に形成された板状部材であり、例えば
図2、
図4に示すように、搬送レール部31aの上面を覆うように設けられている。具体的には、ベース部31bは、エアパッド32を介して搬送レール部31aに覆うように設けられており、リニアモータ(不図示)を駆動させることにより、ベース部31bが搬送レール部31a上を走行するようになっている。すなわち、リニアモータを駆動制御することにより、ベース部31bが搬送レール部31a上を接触することなく走行し、所定の位置で停止できるようになっている。
【0033】
また、基板保持ユニット30は、基板Wを保持するものであり、ベース部31bに取り付けられている。具体的には、
図4,
図5に示すように、基板保持ユニット30は、搬送方向に延びる保持フレーム部40と、この保持フレーム部40に取り付けられた吸着部41とを有しており、この保持フレーム部40がベース部31b上に昇降部42を介して連結されている。そして、昇降部42を駆動させることにより保持フレーム部40が昇降動作し、吸着部41が基板Wの裏面に対して接離できるようになっている。
【0034】
保持フレーム部40は、吸着部41を取り付けるためのものであり、長尺の平板形状を有している。この保持フレーム部40は、それぞれのベース部31b上に配置されており、ベース部31b上に昇降部42を介して配置されている。この保持フレーム部40は、浮上ステージ部10を川幅方向に挟むように配置され、その長手方向が搬送方向に沿うように配置されている。そして、搬送駆動部31を駆動させると、2つの保持フレーム部40が同調し浮上ステージ部10に沿って走行するようになっている。
【0035】
また、保持フレーム部40の長手方向の長さは、搬送される基板Wの搬送方向長さに応じて形成されており、保持フレーム部40の上端部分には、複数の吸着部41が配置されている。すなわち、昇降部42を駆動させて保持フレーム部40が上昇するとすべての吸着部41が一度に上昇し、保持フレーム部40が下降するとすべての吸着部41が一度に下降する。すなわち、基板Wが浮上ステージに浮上している状態で、保持フレーム部40を上昇させると、すべての吸着部41が基板Wの裏面に当接し、保持フレーム部40を下降させると、すべての吸着部41が基板Wから離れるようになっている。
【0036】
また、吸着部41は、基板Wを吸着保持するものであり、ほぼ直方体のブロック状に形成されている。基板保持ユニット30は、その吸着部41の上面が浮上させた基板Wの下面の高さ位置と面位置になるように設定されている。そして、基板浮上面12aに基板Wが載置されると基板浮上面12aから川幅方向にはみ出した部分が吸着部41の上面に当接する。この状態で吸着部41に吸引力を発生させると、基板Wの下面が吸着部41の上面で吸引され基板Wが保持されるようになっている。これにより、浮上ステージ部10で浮上された基板Wが、川幅方向に亘って同じ浮上高さ位置を維持した状態で保持される。
【0037】
また、塗布装置2には、メンテナンス装置4が設けられており、塗布器23を適切な状態に保つことができるようになっている。メンテナンス装置4は、
図2に示すように、浮上ステージ部10上に設けられており、塗布器23の清掃作業が行われる。すなわち、メンテナンス装置4は、一方向に延びる形状を有しており、浮上ステージ部10をY軸方向に横切るように配置されている。そして、メンテナンス作業時には、メンテナンス装置4が塗布器23直下に移動し、塗布器23の廃液処理、清掃作業が行われるようになっている。
【0038】
メンテナンス装置4には、走行装置5が設けられており、メンテナンス装置4が基板Wの搬送方向に移動できるようになっている。本実施形態では、
図2に示すように、浮上ステージ部10に沿って搬送方向に延びる走行レール部51と、この走行レール部51上を走行する走行ベース部52とで形成されている。具体的には、走行レール部51が基台31c上の搬送レール部31aの外側に配置され、この走行レール部51が浮上ステージ部10に沿って連続して設けられている。そして、走行レール部51上には、走行ベース部52が走行レール部51の上面を覆うようにエアパッドを介して設けられ、リニアモータ(不図示)により走行ベース部52が走行レール部51上を走行するように形成されている。すなわち、リニアモータを駆動制御することにより、走行ベース部52が走行レール部51上を走行し、所定の位置で停止できるようになっている。本実施形態では、走行ベース部52は、メンテナンス位置と待機位置とに停止できるように設定されている。すなわち、メンテナンス位置では、メンテナンス装置4の廃液トレイ42が塗布器23直下に位置するようにメンテナンス装置4が移動し、待機位置では、メンテナンス装置4がメンテナンス位置から離れた所定の場所に移動するように設定されている。
【0039】
また、塗布装置2には、
図2,
図6に示すように、原点検出器6が設けられている。この原点検出器6は、浮上ステージ部10と塗布器23との高さ方向における原点位置を検出するものであり、スリットノズル23aの高さ位置(原点位置)を設定(再設定含む)するものである。
【0040】
原点検出器6は、高さ位置(この場合は原点位置)を検出する高さセンサ部61と、この高さセンサ部61に浮上ステージ部10の高さ位置を供給する面出しユニット7とを備えており、面出しユニット7が形成する高さ位置を高さセンサ部61で計測することにより原点位置を設定することができる。
【0041】
高さセンサ部61は、塗布器23の高さ位置を検出するものである。本実施形態では、この高さセンサ部61が川幅方向両端部に配置されており、それぞれの高さ位置データに基づいて、塗布器23の高さ位置(基版との隙間)が調節されるとともに、塗布器23自体の傾きが検出される。なお、この説明では、1つの高さセンサ部61について説明するが、実際には、川幅方向両端部に配置され、その高さセンサ部61に対応する面出しユニット7が設けられている。
【0042】
高さセンサ部61は、基板保持ユニット30に設けられており、
図4に示すように、ベース部31b上の保持フレーム部40の内側に配置されている。この高さセンサ部61は、接触式の高さセンサが用いられており、伸縮して接触した対象物の高さ位置を検出することができる。すなわち、通常時は、収縮した姿勢で配置されており、検出時は延伸して対象物に接触することにより高さ位置を検出する。本実施形態では、面出しユニット7の高さ位置を検出するようになっており、高さセンサ部61は、ベース部31bが搬送レール部31a上を移動するに従って面出しユニット7の位置まで移動し、その位置で延伸して面出しユニット7に接触した位置を高さ位置として検出するようになっている。
【0043】
また、面出しユニット7は、メンテナンス装置4に取り付けられており、この面出しユニット7により、塗布器23直下に位置する浮上ステージ部10の高さ位置を形成することができる。すなわち、面出しユニット7は、基板Wの搬送方向(X軸方向)に移動可能に形成されており、具体的には、走行ベース部52が走行レール部51上を走行することにより、塗布器23直下に位置する浮上ステージ部10まで移動し、この位置における浮上ステージ部10の高さ位置を形成するように構成されている。
【0044】
この面出しユニット7は、
図6に示すように、浮上ステージ部10の高さ位置を形成する基準ブロック部8と、この基準ブロック部8を保持するホルダユニット71とを有している。
【0045】
ホルダユニット71は、基準ブロック部8を保持し、この基準ブロック部8に浮上ステージ部10の高さ位置を形成させるものである。ホルダユニット71は、基準ブロック部8を保持するブロックホルダ部72と、このブロックホルダ部72を支持する支持枠体部73とを有している。支持枠体部73は、平板材で形成されたフレーム枠体であり、ブロックホルダ部72と支持枠体部73とは、連結部74で連結支持されることにより一体的に形成されている。また、支持枠体部73には、昇降駆動部75が連結されている。本実施形態では、方向駆動部には直動型のエアシリンダが用いられており、支持枠体部73の内側に配置されている。そして、昇降駆動部75の軸部と支持枠体部73の上部とが連結されており、昇降駆動部75を駆動させると、支持枠体部73及びブロックホルダ部72が一体となって昇降動作できるようになっている。すなわち、昇降駆動部75を駆動させることにより、基準ブロック部8を浮上ステージ部10に対して接離動作できるようになっている。
【0046】
ブロックホルダ部72は、基準ブロック部8を所定の姿勢に保持するものである。ブロックホルダ部72は、平板部材に開口部72aが形成されており、この開口部72aに基準ブロック部8が挿入されることにより基準ブロック部8が保持されるようになっている。具体的には、
図7に示すように、ブロックホルダ部72の開口部72aは、一定の角度で傾斜する傾斜溝72a1で形成されている。本実施形態では、開口部72aは、上部側が大きく開口し、下部側になるほど開口が狭くなるように形成されている。一方、基準ブロック部8は、一方向に延びる柱状部材に形成されており、その側面には傾斜部81が形成されている。この傾斜部81は、傾斜溝72a1と同じ角度に形成され、傾斜溝72a1に倣うように形成されている。そして、ブロックホルダ部72の開口部72aは、下部側の開口寸法が基準ブロック部8の底部82よりも大きく形成され、基準ブロック部8の上部よりも小さく形成されている。したがって、ブロックホルダ部72の開口部72aに基準ブロック部8が挿入されると、基準ブロック部8は、
図7(a)に示すように、ブロックホルダ部72の底面72bから開口部72aを通じて基準ブロック部8の底部82の一部が突出した状態で保持されるようになっている。
【0047】
また、基準ブロック部8は、支持枠体部73とバネ部材76で連結されており、バネ部材76の付勢力が作用してブロックホルダ部72の底面72b側に押し付けられている。これにより、基準ブロック部8は、その傾斜部81が開口部72aの傾斜溝72a1に押し付けられることにより、ブロックホルダ部72の傾斜溝72a1に沿う姿勢で保持される。本実施形態では、開口部72aの傾斜溝72a1は、基準ブロック部8が傾斜溝72a1に押し付けられると高さセンサ部61が延伸したときに接触する姿勢になるように形成されている。したがって、基準ブロック部8が開口部72aに挿入されると、基準ブロック部8がバネ部材76の付勢力で傾斜溝72a1に押圧されることにより、延伸した高さセンサ部61が基準ブロック部8に当接できる姿勢に基準ブロックが保持されるようになっている。
【0048】
また、基準ブロック部8は、浮上ステージ部10の高さ位置を形成するものであり、一方向に延びる直線状の柱形状に形成されている。この基準ブロック部8は、ブロックホルダ部72によって、川幅方向(Y軸方向)に沿う姿勢で保持されており、一部が浮上ステージ部10からはみ出るように保持されている(
図6参照)。すなわち、基準ブロック部8を浮上ステージ部10に当接させると、このはみ出た部分により浮上ステージ部10の高さ位置が形成され、このはみ出た部分を高さセンサ部61で計測することにより浮上ステージ部10の高さ位置を計測できるようになっている。
【0049】
基準ブロック部8は、
図8に示すように、その側面に傾斜部81が形成されており、上述したように、ブロックホルダ部72の傾斜溝72a1に沿う角度に形成されている。また、基準ブロック部8の底部82には、一方端側に平面底部83が形成され、他方端側に先鋭底部84が形成されており、これら平面底部83と先鋭底部84は、直線的に連続して形成されている。この平面底部83は、平面状に形成されており、浮上ステージ部10に当接させるものである。すなわち、この平面底部83を浮上ステージ部10に押し付けることにより、平面底部83の平面が浮上ステージ部10の表面に沿わせられ、先鋭底部84が浮上ステージ部10の高さ位置に形成される。
【0050】
また、先鋭底部84は、傾斜部81からさらに急な角度で形成されることにより、基準ブロック部8に稜線部85が形成されている。この稜線部85は、直線的に形成されており、基準ブロックの中心位置に中心線に沿って延びて形成されている。この先鋭底部84は、どの位置においても、その稜線部85が平面底部83の平面と同じ高さ位置に形成されている。すなわち、平面底部83が浮上ステージ部10に押し付けられると、先鋭底部84は、どの位置においても浮上ステージ部10の高さ位置に形成される。この状態で、高さセンサ部61を上昇させると、高さセンサ部61は、先鋭底部84に接触することにより、浮上ステージ部10の高さ位置を検出することができる。なお、高さセンサ部61は、
図8に示すように、その先端が先鋭状に形成されており、その幅方向が基準ブロック部8と直交する方向に配置されている。したがって、先鋭底部84が浮上ステージ部10の高さ位置に形成された状態で高さセンサ部61を上昇させると、先鋭底部84と高さセンサ部61とが稜線同士の接触となり確実に接触させることができる。これにより、浮上ステージ部10の高さ位置が先鋭底部84と高さセンサ部61との接触ずれによる検出誤差の発生を抑えることができるようになっている。
【0051】
また、ホルダユニット71には、押当て部77が設けられている。この押当て部77は、基準ブロック部8を浮上ステージ部10の表面に沿う状態で押し付けて固定するためのものである。本実施形態では、押当て部77は、支持枠体部73の下面から突出する棒状部材であり、保持された基準ブロック部8の平面底部83上に配置されている。そして、昇降駆動部75を動作させてホルダユニット71を下降させることにより、押当て部77が基準ブロック部8を浮上ステージ部10に押し付けることができる。具体的には、
図9(b)に示すように、ホルダユニット71を下降させると基準ブロック部8の平面底部83が浮上ステージ部10の表面に当接する。そして、さらにホルダユニット71を下降させると、基準ブロック部8のみが停止しつつ、ホルダユニット71が下降することにより、ホルダユニット71下面に設けられた押当て部77が基準ブロック部8に当接する(
図10(a))。これにより、押当て部77は、基準ブロック部8を浮上ステージ10の表面に押し付けて基準ブロック部8を固定することができるようになっている。
【0052】
次に、原点検出器6を有する塗布装置の動作について説明する。
【0053】
塗布工程前の段取り工程、又は、塗布工程後のメンテナンス工程では、塗布器23の清掃作業の後、原点出し作業が行われる。すなわち、スリットノズル23aの高さ位置の基準となる原点位置(本実施形態では、ステージ面の高さ位置)が設定(再設定含む)される。
【0054】
まず、基板保持ユニット30のベース部31bが移動することにより、高さセンサ部61が塗布器23のスリットノズル23a直下に移動する。次いで、メンテナンス装置4がスリットノズル23a直下に移動することにより、メンテナンス装置4に設けられた面出しユニット7が高さセンサ部61上に位置するように停止させる(
図9(a))。
【0055】
次に、面出しユニット7のホルダユニット71を下降させることにより、基準ブロック部8を下降させる。
図9(b)に示すように、昇降駆動部75を作動させてホルダユニット71を下降させると、基準ブロック部8の平面底部83が浮上ステージ部10の表面に当接する。そして、さらにホルダユニット71を下降させると、
図7(b)に示すように、基準ブロック部8がブロックホルダ部72から浮き上がる。具体的には、基準ブロック部8が浮上ステージ部10に当接した状態からさらにホルダユニット71を下降させると、バネ部材76が収縮しつつ基準ブロック部8がブロックホルダ部72の開口部72aから浮上し、非接触状態になる。すなわち、この非接触状態により基準ブロック部8の姿勢変化が許容される状態になるが、浮上ステージ部10と接する基準ブロック部8の平面底部83が平面状に形成されているため、基準ブロック部8は、浮上ステージ部10に倣う姿勢が維持される。その後、ブロックホルダ部72の下降により、押当て部77が基準ブロック部8に当接する。すなわち、基準ブロック部8は、浮上ステージ部10に倣う姿勢を維持した状態で、押当て部77と浮上ステージ部10とによって挟持保持される(
図10(a))。ここで、仮に基準ブロック部8がブロックホルダ部72に保持された状態の姿勢が、浮上ステージ部10に沿わない姿勢で保持されていても、押当て部77で固定される前に、基準ブロック部8が僅かな時間、浮上状態になることにより、基準ブロック部8の姿勢変化が許容され、平面底部83が浮上ステージ部10の表面に接することにより、基準ブロック部8全体の姿勢が浮上ステージ部10に倣う姿勢に矯正される。これにより、基準ブロック部8の高さ位置が浮上ステージ部10表面の高さ位置に一致する。
【0056】
次に、高さセンサ部61が上昇し、基準ブロック部8の先鋭底部84に接触することにより、浮上ステージ部10の高さ位置が検出され、浮上ステージ部10と塗布器23との高さ方向における原点位置が設定(再設定含む)される(
図10(b))。
【0057】
このように、上記実施形態によれば、面出しユニット7の基準ブロック部8が昇降駆動部75により下降されて基準ブロック部8がステージ面に押し付けられると、押当て部77により基準ブロック部8が押し付けられた状態で固定される。すなわち、基準ブロック部8がステージ面に倣った状態で固定されるため、基準ブロック部8の高さ位置がステージ面の高さ位置と一致する。この基準ブロック部8に高さセンサ部61を接触させることにより、高さセンサ部61がステージ面の高さ位置を検出し、原点位置を検出することができる。これにより、原点調節作業が装置化されるため、生産を停止することなく、煩わしい原点調節作業を自動化することができる。
【0058】
なお、この検出された高さ位置(原点位置)データに基づいて、塗布器23の傾きが検出され、塗布器23の姿勢を適切な姿勢に調整することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、基準ブロック部8をブロックホルダ部72で保持し、押当て部77で固定する例について説明したが、基準ブロック部8が固定される前に基準ブロック部8の姿勢変化が許容される状態で保持する構成であれば他の形態であってもよい。具体的には、例えば、
図11(a)に示すように、基準ブロック部8が球面軸受け9で保持される構成であってもよい。この構成では、ホルダユニット71に球面軸受け9が取り付けられており、球面軸受け9に基準ブロック部8が保持されている。この球面軸受け9は、軸受け本体91と支持部92とを有しており、支持部92に基準ブロック部8が取り付けられている。そして、支持部92が浮上ステージ部10に対向するように配置される。この支持部92は、軸受け本体91に対して360°回動可能になっており、基準ブロック部8の姿勢変化が許容される。具体的には、軸受け本体91の支持部92の対向面91aは、凹状の半球面に形成されており、支持部92の凸状の半球面と対向するように構成されている。そして、軸受け本体91の対向面91aは多孔質で形成されており、軸受け本体91のエア供給部91bからエアが供給されると、対向面91aからエアが噴出されるようになっている。すなわち、軸受け本体91にエアが供給されていない状態では、軸受け本体91と支持部92とが静止しており、軸受け本体91にエアが供給されると、対向面91aからエアが噴出し軸受け本体91と支持部92との界面にエア層93が形成される。その結果、支持部92が軸受け本体91に対して360°回動するようになっている。したがって、原点出し作業の際、ホルダユニット71を下降させて基準ブロック部8が浮上ステージ部10に当接する直前に軸受け本体91にエアを供給する。すなわち、支持部92が軸受け本体91に対して回動可能になるため、基準ブロック部8は姿勢変化が許容される状態になる。この状態で基準ブロック部8を浮上ステージ部10に当接させると、基準ブロック部8の平面底部83が浮上ステージ部10の表面に倣うことにより基準ブロック部8全体の姿勢が浮上ステージ部10に倣う姿勢に矯正される。これにより、基準ブロック部8の高さ位置が浮上ステージ部10表面の高さ位置に一致する。このような構成であっても、基準ブロック部8が固定される前に姿勢変化が許容される姿勢、すなわち、非接触状態で保持されることにより、基準ブロック部8の姿勢の乱れが修正され、基準ブロック部8が浮上ステージ部に確実に倣うことができる。
【0060】
また、上記実施形態では、高さセンサ部61が川幅方向両端部に設ける例について説明したが、両端部に配置される高さセンサ部61の間にさらに配置する構成であってもよい。すなわち、浮上ステージ部10に高さセンサ部61を配置し、その高さセンサ部61に対応する面出しユニット7を設けることにより、塗布器23の中間位置における高さ位置を検出することができるため、塗布器23の撓みを検出させることができる。なお、塗布器23の中間位置に複数の高さセンサ部61を配置し、それに対応する面出しユニット7を配置することにより、撓みの検出精度を向上させる構成にしてもよい。また、上記実施形態では、高さセンサ部61が両端部に設ける例について説明したが、1つのみ配置して塗布器23の原点位置を調節する構成であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、面出しユニット7及び高さセンサ部61が相対的に移動する例について説明したが、原点位置を検出すべき位置にこれらを取り付けるスペースが存在する場合には、これらが固定されていてもよいし、いずれか一方のみが移動する構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ステージがエアが噴出される浮上ステージ部10である場合について説明したが、超音波を使用した浮上ステージ部でもよく、浮上型のステージ部でなくても、石材製のステージでも適用できる。すなわち、ステージの表面から塗布器23までの高さ位置の原点設定(再設定含む)作業があるものであれば、あらゆるステージに適用することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、高さセンサ部61が基板保持ユニット30に設けられる例について説明したが、ステージ内に収容される構成であってもよい。すなわち、ステージの所定箇所に穴を設け、その穴に高さセンサ部61を収容する。そして、原点出し作業において、基準ブロック部8をステージ上に押し当てて固定する際に、基準ブロック部8の先鋭底部84が穴に跨ぐように配置する。そして、高さセンサ61を延伸させて基準ブロック部8に当接させ、ステージの表面高さを検出する構成であってもよい。このように配置すれば、川幅方向両端部の高さセンサ部61の間に1つ又は複数の高さセンサ部61を配置することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、塗布器23にスリットノズル23aを有する例について説明したが、塗布器23にインクジェット、又は、スプレーノズルを備えるものであってもよい。