特許第6803137号(P6803137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803137
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】裏面入射型固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   H01L27/146 A
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-192975(P2015-192975)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-69374(P2017-69374A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】村松 雅治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 久則
(72)【発明者】
【氏名】米田 康人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 慎也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘孝
【審査官】 田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0264481(US,A1)
【文献】 特開2004−031452(JP,A)
【文献】 特開2000−138365(JP,A)
【文献】 特開2000−133802(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0200216(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0291493(US,A1)
【文献】 特開2005−045073(JP,A)
【文献】 特開2009−117454(JP,A)
【文献】 特開2004−319791(JP,A)
【文献】 特開平10−223873(JP,A)
【文献】 特開平07−245386(JP,A)
【文献】 特開2000−196063(JP,A)
【文献】 特開平06−045574(JP,A)
【文献】 特開2002−231913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面、及び凹部が設けられた裏面を有し、前記凹部の底部分である薄化部分を撮像領域とする半導体基板と、
前記半導体基板の前記表面に形成された信号読出回路と、
少なくとも前記半導体基板の前記裏面上及び前記凹部の側面上に形成されたボロン層と、
前記ボロン層上に形成され、前記凹部の底面に対向する開口が設けられた金属層と、
前記凹部の前記底面に形成された反射防止層と、を備え、
前記金属層は、めっき層であり、
前記金属層は、ニッケルからなる、裏面入射型固体撮像素子。
【請求項2】
前記凹部は、前記半導体基板の前記表面側とは反対側に向かって広がる錐台状の形状を有する、請求項1記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項3】
前記ボロン層は、前記凹部の前記底面上に更に形成されており、
前記反射防止層は、前記ボロン層を介して前記凹部の前記底面に形成されている、請求項1又は2記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項4】
前記半導体基板のうち少なくとも前記凹部を包囲する領域は、P型の半導体材料からなる、請求項1〜3のいずれか一項記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項5】
表面、及び凹部が設けられた裏面を有し、前記凹部の底部分である薄化部分を撮像領域とする半導体基板と、
前記半導体基板の前記表面に形成された信号読出回路と、
少なくとも前記半導体基板の前記裏面上及び前記凹部の側面上に形成されたボロン層と、
前記ボロン層上に形成され、前記凹部の底面に対向する開口が設けられた金属層と、
前記凹部の前記底面に形成された反射防止層と、を備え、
前記金属層は、めっき層であり、
前記ボロン層は、エピタキシャル成長層である、裏面入射型固体撮像素子。
【請求項6】
前記凹部は、前記半導体基板の前記表面側とは反対側に向かって広がる錐台状の形状を有する、請求項5記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項7】
前記ボロン層は、前記凹部の前記底面上に更に形成されており、
前記反射防止層は、前記ボロン層を介して前記凹部の前記底面に形成されている、請求項5又は6記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項8】
前記半導体基板のうち少なくとも前記凹部を包囲する領域は、P型の半導体材料からなる、請求項5〜7のいずれか一項記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項9】
表面、及び凹部が設けられた裏面を有し、前記凹部の底部分である薄化部分を撮像領域とする半導体基板と、
前記半導体基板の前記表面に形成された信号読出回路と、
少なくとも前記半導体基板の前記裏面上及び前記凹部の側面上に形成されたボロン層と、
前記ボロン層上に形成され、前記凹部の底面に対向する開口が設けられた金属層と、
前記凹部の前記底面に形成された反射防止層と、を備え、
前記金属層は、ニッケルからなる、裏面入射型固体撮像素子。
【請求項10】
前記凹部は、前記半導体基板の前記表面側とは反対側に向かって広がる錐台状の形状を有する、請求項9記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項11】
前記ボロン層は、前記凹部の前記底面上に更に形成されており、
前記反射防止層は、前記ボロン層を介して前記凹部の前記底面に形成されている、請求項9又は10記載の裏面入射型固体撮像素子。
【請求項12】
前記半導体基板のうち少なくとも前記凹部を包囲する領域は、P型の半導体材料からなる、請求項9〜11のいずれか一項記載の裏面入射型固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面入射型固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面入射型固体撮像素子には、表面に信号読出回路が形成された半導体基板の裏面に凹部が設けられ、凹部の底部分である薄化部分が撮像領域として用いられるものがある。このような裏面入射型固体撮像素子では、解像度の劣化防止等の観点から、薄化部分を包囲する枠部分への光の入射が防止される場合がある。例えば、特許文献1記載の半導体装置では、ベベル部分(薄化部分と枠部分との間の部分)へのエネルギー線の入射を防止するために、ベベル部分を画定する傾斜面(凹部の側面)に、黒樹脂からなる遮蔽層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002―231913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の半導体装置では、遮蔽層が黒樹脂からなるため、比較的短期間で遮蔽層が劣化するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、半導体基板のうち薄化部分を包囲する枠部分への光の入射を長期間に渡って防止することができる裏面入射型固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の裏面入射型固体撮像素子は、表面、及び凹部が設けられた裏面を有し、凹部の底部分である薄化部分を撮像領域とする半導体基板と、半導体基板の表面に形成された信号読出回路と、少なくとも半導体基板の裏面及び凹部の側面に形成されたボロン層と、ボロン層上に形成され、凹部の底面に対向する開口が設けられた金属層と、凹部の底面に形成された反射防止層と、を備える。
【0007】
この裏面入射型固体撮像素子では、ボロン層を介して半導体基板の裏面及び凹部の側面に金属層が形成されている。この構成は、ボロン層上には金属層が安定して形成されるとの、本発明者らが見出した知見に基づくものである。したがって、半導体基板のうち薄化部分を包囲する枠部分への光の入射が、安定して形成された金属層によって防止される。よって、この裏面入射型固体撮像素子によれば、半導体基板のうち薄化部分を包囲する枠部分への光の入射を長期間に渡って防止することができる。
【0008】
本発明の裏面入射型固体撮像素子では、凹部は、半導体基板の表面側とは反対側に向かって広がる錐台状の形状を有してもよい。この構成によれば、ボロン層を介して凹部の側面に形成された金属層の安定性をより向上させることができる。
【0009】
本発明の裏面入射型固体撮像素子では、ボロン層は、凹部の底面に更に形成されており、反射防止層は、ボロン層を介して凹部の底面に形成されていてもよい。この構成によれば、極端紫外線に対する耐性を向上させることができると共に、ボロン層をアキュムレーション層として機能させることができる。
【0010】
本発明の裏面入射型固体撮像素子では、半導体基板のうち少なくとも凹部を包囲する領域は、P型の半導体材料からなってもよい。この構成によれば、ボロン層を介して金属層がP型の領域と電気的に接続されるため、当該領域の低抵抗化を図ることができる。
【0011】
本発明の裏面入射型固体撮像素子では、金属層は、めっき層であってもよい。この構成は、めっきによってボロン層上には金属層が選択的に且つ等方的に形成されるとの、本発明者らが見出した知見に基づくものである。これにより、凹部の側面にボロン層を形成しておくことで、凹部の形状等に左右されず、ボロン層を介して凹部の側面に金属層を確実に形成することができる。よって、ボロン層を介して凹部の側面に形成された金属層の安定性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体基板のうち薄化部分を包囲する枠部分への光の入射を長期間に渡って防止することができる裏面入射型固体撮像素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態の裏面入射型固体撮像素子の断面図である。
図2図1の裏面入射型固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
図3図1の裏面入射型固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
図4図1の裏面入射型固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
図5】本発明の第2実施形態の裏面入射型固体撮像素子の断面図である。
図6図5の裏面入射型固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
図7図5の裏面入射型固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
図8図5の裏面入射型固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0015】
図1に示される裏面入射型固体撮像素子1Aは、裏面入射型CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。同図に示されるように、裏面入射型固体撮像素子1Aは、半導体基板10を備えている。半導体基板10は、P型半導体基板2の表面にP型半導体層3をエピタキシャル成長させることで構成されている。P型半導体基板2及びP型半導体層3は、例えばシリコン結晶からなる。なお、「P型」とは、P型不純物の濃度が例えば1×1017cm−3程度以上というように高いことを意味し、「P型」とは、P型不純物の濃度が例えば1×1015cm−3程度以下というように低いことを意味する。
【0016】
半導体基板10の表面10aには、ゲート絶縁膜4,5,6が形成されている。ゲート絶縁膜4,6は、例えばシリコン酸化膜であり、ゲート絶縁膜5は、例えばシリコン窒化膜である。すなわち、ゲート絶縁膜4,5,6は、ONO(酸化膜―窒化膜―酸化膜)構造を有している。ゲート絶縁膜4,5,6上には、信号読出回路7が形成されている。つまり、信号読出回路7は、ゲート絶縁膜4,5,6を介して半導体基板10の表面10aに形成されている。信号読出回路7は、複数の電荷転送電極を含んでいる。信号読出回路7上には、信号読出回路7に対する信号入出力用の金属配線8が形成されている。金属配線8は、例えばアルミニウムからなる。金属配線8上には、はんだバンプを設けるためのUBM(Under Bump Metal)9が形成されている。
【0017】
半導体基板10の裏面10bには、凹部20が設けられている。凹部20は、半導体基板10の表面10a側とは反対側に向かって広がる錐台状(例えば四角錘台状)の形状を有している。凹部20の底面20aは、P型半導体基板2とP型半導体層3との界面に至っている。半導体基板10では、凹部20の底部分である薄化部分10cが撮像領域とされ、半導体基板10の厚さ方向から見た場合に薄化部分10cを包囲する部分が枠部分10dとされている。半導体基板10では、半導体基板10の厚さ方向から見た場合に少なくとも凹部20を包囲する領域がP型半導体基板2の材料(P型の半導体材料)からなる。なお、薄化部分10cとは、枠部分10dに比べ、半導体基板10の厚さ方向において薄化された部分との意味である。
【0018】
型半導体層3のうち凹部20の底面20aに対応する部分には、バックサイドウェルをなくすためのアキュムレーション層11が形成されている。アキュムレーション層11は、P型半導体層3のうち凹部20の底面20aに対応する部分にP型不純物をイオン注入又は拡散させることにより形成される。半導体基板10では、P型半導体層3のうちアキュムレーション層11から半導体基板10の表面10aに至る領域が光電変換領域として機能する。なお、図示は省略されているが、光電変換領域における表面10a側の部分には、信号読出回路7の各電荷転送電極と対向するN型の埋め込みチャネル、光電変換領域で発生した電子を蓄積するためのn型の蓄積部等が形成されている。
【0019】
半導体基板10の裏面10b、凹部20の側面20b及び凹部20の底面20aには、ボロン層12が一続きで形成されている。ボロン層12は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)エピタキシャル成長によって、数nm〜数十nmの厚さで等方的に形成される。ボロン層12上には、金属層13が形成されている。金属層13には、凹部20の底面20aに対向する開口13aが設けられている。つまり、金属層13は、ボロン層12を介して半導体基板10の裏面10b及び凹部20の側面20bに形成されている。金属層13は、光hνに対する遮光層として機能する。半導体基板10の厚さ方向から見た場合に、開口13aの形状は、凹部20の底面20aの形状と一致している。
【0020】
金属層13は、例えば、めっきによって、ボロン層12上に数μm〜数十μmの厚さで等方的に形成される。めっきの一例は、無電解金属めっきである。この場合、金属層13は、めっき層である。めっき層は、例えば、無電解Ni/Auめっきによって、ニッケルからなる厚さ10μm程度の下地層上に、金からなる厚さ0.05μm程度の表層が形成されることで、構成されている。なお、ボロン層12上には金属層13が安定して形成されること、及びめっきによってボロン層12上には金属層13が選択的に且つ等方的に形成されることは、本発明者らが見出した知見である。
【0021】
凹部20の底面20aには、ボロン層12を介して反射防止層14が形成されている。反射防止層14は、金属層13の開口13aの内側に配置されている。反射防止層14は、例えば酸化アルミニウムからなる。
【0022】
次に、裏面入射型固体撮像素子1Aの製造方法について、図2図4を参照して説明する。まず、図2の(a)に示されるように、P型半導体基板2の表面にP型半導体層3をエピタキシャル成長させることにより、半導体基板10を得る。続いて、図2の(b)に示されるように、半導体基板10の表面10aにゲート絶縁膜4,5,6を形成し、更に、ゲート絶縁膜4,5,6上に信号読出回路7を形成する。続いて、図2の(c)に示されるように、アルカリエッチング等の異方性エッチングによって半導体基板10の裏面10bに凹部20を形成し、更に、P型半導体層3のうち凹部20の底面20aに対応する部分にP型不純物をイオン注入又は拡散させることにより、アキュムレーション層11を形成する。そして、信号読出回路7上に保護膜30を形成する。
【0023】
続いて、図3の(a)に示されるように、自然酸化膜を除去した後、CVDエピタキシャル成長によって、半導体基板10の裏面10b、凹部20の側面20b及び凹部20の底面20aに、ボロン層12を等方的に形成する。続いて、図3の(b)に示されるように、保護膜30を除去した後、信号読出回路7上に金属配線8を形成する。続いて、図4の(a)に示されるように、原子層堆積法(ALD)、エッチングによるパターニングを順次実施することにより、ボロン層12を介して凹部20の底面20aに反射防止層14を形成する。続いて、図4の(b)に示されるように、めっきによってボロン層12上に金属層13を選択的に且つ等方的に形成する。最後に、金属配線8上にUBM9を形成し、裏面入射型固体撮像素子1Aを得る。
【0024】
例えば気相成長法によると、凹部20の側面20bに金属層を所望の厚さで均一に形成することは困難であった。そのために、遮光層として樹脂層が形成される場合があった。しかし、樹脂層では、比較的短期間での劣化、アウトガスの発生といった問題が生じる。上述した裏面入射型固体撮像素子1Aの製造方法によれば、凹部20の形状等に左右されず、凹部20の側面20bに金属層13を所望の厚さで均一に形成することができる。
【0025】
以上説明したように、裏面入射型固体撮像素子1Aでは、ボロン層12を介して半導体基板10の裏面10b及び凹部20の側面20bに金属層13が形成されている。この構成は、ボロン層12上には金属層13が安定して形成されるとの、本発明者らが見出した知見に基づくものである。したがって、半導体基板10の裏面10b側から凹部20内に進行した光hνは、反射防止層14を透過して半導体基板10の薄化部分10cに効率良く入射し、その一方で、半導体基板10の枠部分10dへの光hνの入射は、安定して形成された金属層13によって防止される。よって、裏面入射型固体撮像素子1Aによれば、半導体基板10の枠部分10dへの光hνの入射を長期間に渡って防止することができる。
【0026】
また、裏面入射型固体撮像素子1Aでは、遮光層として金属層13が形成されているため、遮光層として樹脂層が形成されている場合に生じるアウトガスの発生という問題を防止することができる。
【0027】
また、裏面入射型固体撮像素子1Aでは、凹部20が、半導体基板10の表面10a側とは反対側に向かって広がる錐台状の形状を有している。この構成により、ボロン層12を介して凹部20の側面20bに形成された金属層13の安定性をより向上させることができる。
【0028】
また、裏面入射型固体撮像素子1Aでは、ボロン層12が、凹部20の底面20aに形成されており、反射防止層14が、ボロン層12を介して凹部20の底面20aに形成されている。この構成により、極端紫外線に対する耐性を向上させることができると共に、ボロン層12をアキュムレーション層として機能させることができる。
【0029】
また、裏面入射型固体撮像素子1Aでは、半導体基板10のうち凹部20を包囲する領域が、P型の半導体材料からなっている。この構成により、ボロン層12を介して金属層13がP型の領域と電気的に接続されるため、当該領域の低抵抗化を図ることができる。したがって、例えば金属層13を接地することで、光電変換によって半導体基板10の薄化部分10cで発生したホールを、半導体基板10の枠部分10dを介して金属層13に速やかに移動させて、グランドに安定的に掃き出すことが可能となる。
【0030】
また、裏面入射型固体撮像素子1Aでは、金属層13がめっき層である。この構成は、めっきによってボロン層12上には金属層13が選択的に且つ等方的に形成されるとの、本発明者らが見出した知見に基づくものである。これにより、凹部20の側面20bにボロン層12を形成しておくことで、凹部20の形状等に左右されず、ボロン層12を介して凹部20の側面20bに金属層13を確実に形成することができる。よって、ボロン層12を介して凹部20の側面20bに形成された金属層13の安定性をより向上させることができる。
[第2実施形態]
【0031】
図5に示されるように、裏面入射型固体撮像素子1Bは、ボロン層12及び反射防止層14の構成において、上述した裏面入射型固体撮像素子1Aと主に相違している。裏面入射型固体撮像素子1Bでは、ボロン層12は、半導体基板10の裏面10b及び凹部20の側面20bに一続きで形成されているが、凹部20の底面20aには形成されていない。ボロン層12には、凹部20の底面20aに対向する開口12aが設けられている。金属層13がボロン層12を介して半導体基板10の裏面10b及び凹部20の側面20bに形成されている点は、上述した裏面入射型固体撮像素子1Aと同様である。半導体基板10の厚さ方向から見た場合に、各開口12a,13aの形状は、凹部20の底面20aの形状と一致している。反射防止層14は、凹部20の底面20a及び金属層13に一続きで形成されている。反射防止層14の一部は、開口12a,13aの内側に配置されている。
【0032】
次に、裏面入射型固体撮像素子1Bの製造方法について、図6図8を参照して説明する。信号読出回路7上に保護膜30を形成するまでの工程は、上述した裏面入射型固体撮像素子1Aの製造方法と同様である(図2参照)。続いて、図6の(a)に示されるように、レジストの塗布、エッチングによるパターニングを順次実施することにより、凹部20の底面20aにリフトオフ用レジスト膜40を形成する。続いて、図6の(b)に示されるように、自然酸化膜を除去した後、CVDエピタキシャル成長によって、半導体基板10の裏面10b、凹部20の側面20b及びリフトオフ用レジスト膜40上に、ボロン層12を等方的に形成する。
【0033】
続いて、図7の(a)に示されるように、リフトオフ用レジスト膜40上に形成されたボロン層12をリフトオフ用レジスト膜40と共に除去する。続いて、図7の(b)に示されるように、保護膜30を除去した後、信号読出回路7上に金属配線8を形成する。続いて、図8の(a)に示されるように、めっきによってボロン層12上に金属層13を選択的に且つ等方的に形成する。更に、金属配線8上にUBM9を形成する。最後に、図8の(b)に示されるように、原子層堆積法によって、凹部20の底面20a及び金属層13上に反射防止層14を形成し、裏面入射型固体撮像素子1Bを得る。
【0034】
以上説明したように、裏面入射型固体撮像素子1Bでは、ボロン層12を介して半導体基板10の裏面10b及び凹部20の側面20bに金属層13が形成されている。よって、裏面入射型固体撮像素子1Bによれば、上述した裏面入射型固体撮像素子1Aと同様に、半導体基板10の枠部分10dへの光hνの入射を長期間に渡って防止することができる。
【0035】
また、裏面入射型固体撮像素子1Bでは、遮光層として金属層13が形成されているため、遮光層として樹脂層が形成されている場合に生じるアウトガスの発生という問題を防止することができる。
【0036】
また、裏面入射型固体撮像素子1Bでは、凹部20が、半導体基板10の表面10a側とは反対側に向かって広がる錐台状の形状を有している。この構成により、ボロン層12を介して凹部20の側面20bに形成された金属層13の安定性をより向上させることができる。
【0037】
また、裏面入射型固体撮像素子1Bでは、半導体基板10のうち凹部20を包囲する領域が、P型の半導体材料からなっている。この構成により、ボロン層12を介して金属層13がP型の領域と電気的に接続されるため、当該領域の低抵抗化を図ることができる。したがって、例えば金属層13を接地することで、光電変換によって半導体基板10の薄化部分10cで発生したホールを、半導体基板10の枠部分10dを介して金属層13に速やかに移動させて、グランドに安定的に掃き出すことが可能となる。
【0038】
また、裏面入射型固体撮像素子1Bでは、金属層13がめっき層である。よって、上述した裏面入射型固体撮像素子1Aと同様に、ボロン層12を介して凹部20の側面20bに形成された金属層13の安定性をより向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態において、P型及びN型の各導電型を逆となるように入れ替えてもよい。また、金属層13はボロン層12上に直接形成されている必要があるが、他の構成については、形成対象の構成上に直接形成されていてもよいし、何らかの層等を介して形成対象の構成上に間接的に形成されていてもよい。また、上記各実施形態は、裏面入射型固体撮像素子1A,1Bが裏面入射型CCDイメージセンサである場合であったが、本発明は、裏面入射型CMOSイメージセンサ等、他の裏面入射型固体撮像素子にも適用することが可能である。裏面入射型固体撮像素子が裏面入射型CMOSイメージセンサである場合には、トランジスタ回路、配線層等を含む信号読出回路が半導体基板の表面に形成される。
【符号の説明】
【0040】
1A,1B…裏面入射型固体撮像素子、7…信号読出回路、10…半導体基板、10a…表面、10b…裏面、10c…薄化部分、12…ボロン層、13…金属層、13a…開口、14…反射防止層、20…凹部、20a…底面、20b…側面。
図1
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図7
図8