【実施例】
【0053】
試験1[乳化成分や難消化性デキストリンが炭酸飲料の炭酸感へ与える影響]
乳化成分や難消化性デキストリンが炭酸飲料の炭酸感へ与える影響を、以下の実験により調べた。
【0054】
(1)炭酸飲料の調製
以下の表1〜3の処方に従い、いわゆるポストミックス法で各区の炭酸飲料を調製した。ポストミックス法とは、糖液、酸味料、香料、着色料等を混合して調合したシロップを
容器に注入し、次いで、炭酸水を容器に注入し、容器を密封した後でシロップと炭酸水を混合させる方法である。本実施例において具体的には、炭酸水以外の原材料を混合して調合したシロップを容器に注入し、次いで、別途カーボーション(炭酸ガス圧入溶解)して作製した炭酸水(炭酸ガス濃度が10.1g/L)を容器に注入し、容器を密封した後で前述のシロップと炭酸水を混合して各区の炭酸飲料を調製した。前述の炭酸水の炭酸ガス濃度は、飲料分析用測定装置であるHAZE QC(アントンパール・ジャパン社製)を用いて測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
表1〜3から分かるように、対照区1〜4の炭酸飲料は、炭酸飲料に濁度を付与する成分、難消化性デキストリンのいずれも含んでおらず、比較例1〜5の炭酸飲料は、炭酸飲料に濁度を付与する成分の一種である乳化香料、又は乳成分を含んでいるものの難消化性デキストリンは含んでおらず、実施例1〜5の炭酸飲料は、炭酸飲料に濁度を付与する成分の一種である乳化香料、又は乳成分、及び難消化性デキストリンのいずれも含んでいる。特に、比較例2及び実施例2の炭酸飲料は、比較例1及び実施例1で用いた乳化香料とは異なる乳化香料を用いて調製を行った。また、対照区1、対照区4、比較例1、比較例2、比較例5、実施例1、実施例2、及び実施例5の炭酸飲料は、調製に果糖ブドウ糖液糖やグラニュー糖を用いたのに対し、対照区2、対照区3、比較例3、比較例4、実施例3、及び実施例4の炭酸飲料は、高甘味度甘味料であるアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースを用いて調製を行った。対照区3、比較例4、及び実施例4の炭酸飲料は、上記のほかに着色料であるカラメルを含んでおり、外観がコーラ様であった。また、比較例5及び実施例5の炭酸飲料は、炭酸飲料に濁度を付与する成分として乳成分を含んでいる。
【0059】
(2)濁度の測定
炭酸飲料の濁度は、ヘイズ値(Haze Value)(EBC)を指標とした。調製した各区の炭酸飲料のヘイズ値は、HAZE QC(アントンパール・ジャパン社製)を用いて液温20℃で測定した。なお、炭酸飲料の濁りが強く、ヘイズ値が得られない場合は、炭酸飲料を十分に脱気した後、イオン交換水を用いて適切な濃度に希釈してからヘイズ値の測定を行った。炭酸飲料を希釈して濁度の測定を行った場合は、その炭酸飲料(希釈前の炭酸飲料)の濁度を下記の式を用いて算出した。
[炭酸飲料の濁度] = [希釈後炭酸飲料のヘイズ値(EBC)]×[希釈倍率]
表1〜3の各区の炭酸飲料においてヘイズ値を測定した結果を、後述の表4の「濁度」の項目に示す。
【0060】
(3)官能評価
調製した各区の炭酸飲料の官能評価は、訓練されたパネリスト6名によって以下の方法及び基準で行った。
【0061】
官能評価は、飲用時の炭酸感の評価を目的として行った。具体的には、炭酸感を構成する要素として特に重要な「刺激感」と「炭酸の泡の大きさ」を評価した。「刺激感」として、飲用時に口腔内からのどで感じるピリピリとした刺激を評価し、「炭酸の泡の大きさ」として、飲料を飲みこんだ際にのどで感じる炭酸の気泡の大きさを評価した。また、「総合評価」として、前述の「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」に加え、「炭酸飲料の香味」を含めた総合的な評価も行った。
【0062】
評価素点は、以下の4段階評価とした。
(評価素点)
4点;著しく強い(刺激感)、著しく大きい(炭酸の泡の大きさ)又は著しく優れている
(総合評価):
3点;若干強い(刺激感)、若干大きい(炭酸の泡の大きさ)又は若干優れている(総合評価):
2点;若干弱い(刺激感)、若干小さい(炭酸の泡の大きさ)又は若干劣っている(総合評価):
1点;著しく弱い(刺激感)、著しく小さい(炭酸の泡の大きさ)又は著しく劣っている
(総合評価):
【0063】
「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」、「総合評価」のそれぞれについて、パネリスト6人の評価素点の平均点を算出し、その平均点を以下の評価基準でレベル分けした。
(評価基準)
◎:(1〜4点の4段階評価で、平均点が3.0点以上)
○:(1〜4点の4段階評価で、平均点が2.3点以上3.0点未満)
△:(1〜4点の4段階評価で、平均点が1.6点以上2.3点未満)
×:(1〜4点の4段階評価で、平均点が1.6点未満)
【0064】
上記表1〜3に記載の各区の炭酸飲料について、官能評価を行った結果を以下の表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
表4の結果から分かるように、対照区1(本発明における「対照容器詰炭酸飲料」の一種)に比べて濁度が高く、かつ、難消化性デキストリンが添加されていない比較例1〜2では、「刺激感」が弱く、及び/又は、「炭酸の泡の大きさ」が小さくなっており、炭酸感が劣っていると評価された。これに対して、さらに難消化性デキストリンを添加した実施例1及び2では、「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」のいずれにおいても、対照区1と同等以上であり、かつ、「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」のうち少なくとも1つの項目が対照区1を上回った。すなわち、実施例1及び2では、対照区1と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。さらに、実施例1及び2では、難消化性デキストリン自体が有する特有の香味が炭酸飲料本来の香味を妨げておらず、炭酸飲料の香味が保持されていた。なお、「対照区1、比較例1及び2、実施例1及び2」の間における上述の関係と同様の関係が、「対照区2、比較例3、実施例3」の間や、「対照区3、比較例4、実施例4」の間でも認められた。すなわち、実施例3では、対照区2と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示され、実施例4では、対照区3と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。さらに、実施例3及び4では、難消化性デキストリン自体が有する特有の香味が炭酸飲料本来の香味を妨げておらず、炭酸飲料の香味が保持されていた。
【0067】
また、比較例3及び4、実施例3及び4では、濁度を付与する成分として乳化香料を用いていたが、濁度を付与する成分として、乳成分である脱脂粉乳を用いた比較例5及び実施例5においても、濁度が付与されると炭酸感が低下し(比較例5)、さらに難消化性デキストリンを添加すると、低下していた炭酸感が増強された(実施例5)。また、果糖ブドウ糖液糖やグラニュー糖を用いて調製した炭酸飲料においても、高甘味度甘味料を用いて調製した炭酸飲料においても、濁度が付与されると炭酸感が低下し(比較例1〜5)、難消化性デキストリンを添加すると低下していた炭酸感が増強された(実施例1〜5)。
【0068】
このように、表4の結果から、炭酸飲料に濁度が付与されると、濁度を付与する成分にかかわらず、炭酸感が低下することが示された。さらに、濁度によって低下した炭酸感が難消化性デキストリンを添加することで増強することが示された。また、炭酸飲料の着色の有無にかかわらず、濁度の付与によって炭酸感が低下すること、及び、濁度によって低下した炭酸感が難消化性デキストリンを添加することで増強することが示された。
【0069】
なお、表4において、比較例1(本発明における「比較容器詰炭酸飲料」の一種)を比較対照として見た場合、実施例1では「刺激感」及び「炭酸の泡の大きさ」のいずれについても向上していることが示された。すなわち、実施例1では、比較例1と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。また、比較例1と実施例1の間における上述の関係と同様の関係が、比較例2と実施例2の間や、比較例3と実施例3の間や、比較例4と実施例4の間や、比較例5と実施例5の間でも認められた。すなわち、実施例2では、比較例2と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示され、実施例3では、比較例3と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示され、実施例4では、比較例4と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示され、実施例5では、比較例5と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。
【0070】
試験2[乳化成分量が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響]
乳化成分量が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響を、以下の実験により調べた。
【0071】
(1)炭酸飲料の調製
処方を以下の表5〜6としたこと以外は、前述の試験1に記載の方法と同様の方法で、表5〜6の各区の炭酸飲料を調製した。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
表5〜6に記載されているように、対照区5の炭酸飲料は乳化香料(炭酸飲料に濁度を付与する成分の一種)、難消化性デキストリンのいずれも含んでおらず、比較例6〜12の炭酸飲料はそれぞれの濃度の乳化香料を含んでいるものの、難消化性デキストリンを含んでおらず、比較例13〜14は乳化香料、及び、難消化性デキストリンのいずれも含んでいるものの、濁度(EBC)は1.0未満であり、実施例6〜10炭酸飲料は乳化香料、及び、難消化性デキストリンのいずれも含んでおり、濁度(EBC)は1.0以上である。「比較例6及び13」、「比較例7及び14」、「比較例8及び実施例6」、「比較例9及び実施例7」、「比較例10及び実施例8」、「比較例11及び実施例9」、「比較例12及び実施例10」の各組合せは、それぞれ互いに同濃度の乳化香料を含んでいるものの、それぞれの組合せの前者の炭酸飲料は難消化性デキストリンを含んでおらず、それぞれの組合せの後者の炭酸飲料は難消化性デキストリンを含んでいる(表5〜6参照)。また、先に列挙した組合せは、列挙されている順が後ろの組合せになるほど、乳化香料の添加濃度が高くなっている(表5〜6参照)。
【0075】
(2)濁度の測定
試験1に記載の方法と同様の方法で、表5〜6の各区の炭酸飲料のヘイズ値を測定した結果を、後述の表7の「濁度」の項目に示す。
【0076】
(3)官能評価
試験1に記載の方法及び基準と同様の方法及び基準で、表5〜6の各試験例の炭酸飲料の官能評価を行った。その結果を以下の表7に示す。
【0077】
【表7】
【0078】
比較例6及び7では、炭酸飲料に濁度が付与され、かつ、難消化性デキストリンが添加されていないが、対照区5と同等程度かわずかに劣る炭酸感であると評価された。これは、比較例6及び7の炭酸飲料に付与された濁度が1.0未満とそれほど高くないため、炭酸感にそれほど影響しなかったものと考えられた。一方、比較例7よりも濁度が高く(濁度が1.0以上)、かつ、難消化性デキストリンが添加されていない比較例8〜12では、対照区5に比べて、「刺激感」が弱いか、又は、「炭酸の泡の大きさ」が小さくなっており、あるいは、その両方となっており、炭酸感が劣っていると評価された。また、比較例6、7、8、9、10、11、12と、濁度が上昇するにしたがって、炭酸感が低下していくこと、すなわち、「刺激感」が弱まり、「炭酸の泡の大きさ」が小さくなることが示された。
【0079】
これに対して、1.0以上の濁度が付与されただけでなく、難消化性デキストリンが添加された実施例6〜10では、「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」のいずれにおいても、対照区5より良い評価となった。すなわち、実施例6〜10では、対照区5と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。さらに、実施例6〜10では、難消化性デキストリン自体が有する特有の香味が炭酸飲料本来の香味を妨げておらず、炭酸飲料の香味が保持されていた。
【0080】
このように、表7の結果から、炭酸飲料に濁度を付与する成分の添加濃度が高くなり、濁度が上昇するしたがって、炭酸飲料の炭酸感が低下すること、及び、濁度によって低下した炭酸感が難消化性デキストリンを添加することで増強することが示された。
【0081】
なお、表7において、対照区5ではなく、比較例8(本発明における「比較容器詰炭酸飲料」の一種)を比較対照として見た場合、実施例6では、「炭酸の泡の大きさ」及び「刺激感」が向上していることが示された。すなわち、実施例6では、比較例8と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。同様に、実施例7、8、9及び10は、それぞれ比較例9、10、11及び12を比較対照として見た場合、「刺激感」及び「炭酸の泡の大きさ」のいずれについても向上していることが示された。すなわち、実施例7、8、9及び10でも、それぞれ比較例9、10、11及び12と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。
【0082】
試験3[難消化性デキストリンの添加濃度が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響]
難消化性デキストリンの添加濃度が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響を、以下の実験により調べた。
【0083】
(1)炭酸飲料の調製
処方を以下の表8としたこと以外は、試験1に記載の方法と同様の方法で、表8の各区の炭酸飲料を調製した。
【0084】
【表8】
【0085】
表8に記載されているように、比較例15〜16、及び、実施例11〜14の炭酸飲料は乳化香料の添加濃度はそれぞれ同じであるものの、難消化性デキストリンの添加濃度が次第に高くなっている(表8参照)。
【0086】
(2)濁度の測定
試験1に記載の方法と同様の方法で、表8の各区の炭酸飲料のヘイズ値(EBC)を測定した結果を、後述の表9の「濁度」の項目に示す。
【0087】
(3)官能評価
試験1に記載の方法及び基準と同様の方法及び基準で、表8の各区の炭酸飲料の官能評価を行った。その結果を表9に示す。
【0088】
【表9】
【0089】
表9の結果から分かるように、濁度が高く、かつ、難消化性デキストリンが添加されていない比較例15では、「刺激感」が弱く、及び、「炭酸の泡の大きさ」が小さくなっており、炭酸感が劣っていると評価された。また、比較例16では、難消化性デキストリンが添加されているものの、その添加濃度(0.5重量%)が十分でないためか、やはり炭酸感が劣っていると評価された。これに対して、難消化性デキストリンの添加濃度を0.8重量%以上とした実施例11〜14では、「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」のいずれにおいても、比較例15より良い評価となった。
【0090】
このように、表9の結果から、難消化性デキストリンの添加濃度が高くなるにしたがって、炭酸飲料の炭酸感がより多く向上することが示された。また、難消化性デキストリンの添加濃度が0.8重量%以上であると、「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」のいずれにおいても増強されることも示された。なお、難消化性デキストリンの添加濃度が5重量%である実施例14においては、「刺激感」について良い評価であったが、難消化性デキストリン特有の香味が感じられたため、炭酸飲料の香味が十分には保持されていなかった。表9のこれらの結果から、難消化性デキストリンの添加濃度は、飲料全量に対して0.8重量%以上5重量%未満とすることが好ましく、0.8〜4重量%の範囲内とすることがより好ましく、0.8〜3.5重量%の範囲内とすることがさらに好ましいことが示された。
【0091】
試験4[炭酸ガス濃度の違いが炭酸飲料の炭酸感へ与える影響]
炭酸ガス濃度の違いが炭酸飲料の炭酸感へ与える影響を、以下の実験により調べた。
【0092】
(1)炭酸飲料の調製
処方を以下の表10としたこと以外は、前述の試験1に記載の方法と同様の方法で、表10の各区の炭酸飲料を調製した。
【0093】
【表10】
【0094】
表10に記載されているように、比較例17及び18では難消化性デキストリンを添加しておらず、実施例15及び16では難消化性デキストリンを添加している。また、比較例18及び実施例16では調製に用いる炭酸水の量を減らしており、それぞれ比較例17及び実施例15と比較して炭酸ガス濃度が低くなるように調製した。
【0095】
(2)炭酸ガス濃度及び濁度の測定
表10の各区の炭酸飲料の炭酸ガス濃度は、飲料分析用測定装置であるCarboQC(アントンパール・ジャパン社製)を用いて測定した。炭酸ガス濃度の測定条件は、測定対象となる炭酸飲料のBrixに対応するCarboQCの測定条件に従った。炭酸飲料の濁度については、前述の試験1に記載の方法と同様の方法で、表10の各区の炭酸飲料の濁度(ヘイズ値)を測定した。測定した炭酸ガス濃度及び濁度(ヘイズ値、EBC)を後述の表11に示す。
【0096】
(3)官能評価
試験1に記載の方法及び基準と同様の方法及び基準で、表10の各区の炭酸飲料の官能評価を行った。その結果を以下の表11に示す。
【0097】
【表11】
【0098】
表11の結果から分かるように、難消化性デキストリンを添加した実施例15及び16では、「刺激感」、「炭酸の泡の大きさ」のいずれにおいても、それぞれ比較例17及び18より良い評価となった。すなわち、実施例15及び16では、それぞれ比較例17及び18と比較した場合に、炭酸感が増強されていることが示された。また、難消化性デキストリン添加による炭酸感増強の変化の程度は、炭酸ガス濃度が違っていてもほぼ同等であった。さらに、実施例15及び16では、難消化性デキストリンに特有の香味が炭酸飲料本来の香味を妨げておらず、炭酸飲料の香味が保持されていた。
【0099】
ところで、上記の試験1〜4では、難消化性デキストリンの使用量を「添加濃度」で記載しているが、試験1〜4における炭酸飲料には、他に難消化性デキストリンを含む原料は含まれていないため、難消化性デキストリンの「添加濃度」は「含有濃度」と同義となる。
【0100】
試験5[乳原料の量が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響]
乳原料の量が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響を、以下の実験により調べた。
【0101】
(1)炭酸飲料の調製
処方を以下の表12及び表13としたこと以外は、前述の試験1に記載の方法と同様の方法で、表12及び表13の各区の炭酸飲料を調製した。
【0102】
【表12】
【0103】
【表13】
【0104】
(2)炭酸ガス濃度及び濁度の測定
試験1、試験4に記載の方法と同じ方法で炭酸ガス濃度及び濁度を測定した。結果を表14の濁度、炭酸ガスの項目に示す。
【0105】
(3)官能評価
試験1に記載の方法及び基準と同様の方法及び基準で、表12及び表13の各区の炭酸飲料の官能評価を行った。その結果を以下の表14に示す。
【0106】
【表14】
【0107】
濁度8.6〜250の範囲で、難消化性デキストリンを含有することで、濁度を有する炭酸飲料の炭酸感が向上したことを確認できた。特に、比較例19〜25は、濁度を付与する前の市販炭酸飲料よりも炭酸感が低く、結果として難消化性デキストリンを含有した実施例17〜23の効果がより顕著に感じられた。
【0108】
試験6[濁度付与物質が炭酸飲料の炭酸感へ与える影響]
乳化成分、動物乳(粉乳、発酵乳)以外の成分で濁度付与された炭酸飲料の炭酸感へ与える影響を、以下の実験により調べた。
【0109】
(1)植物抽出エキスと炭酸飲料の調製
植物原料(胡麻、粉末豆腐、くるみ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、松の実、きなこ)を表15及び表16に示す水を添加して混合した後、不織布に包み、圧搾して植物抽出エキスとした。得られた植物抽出エキス又は市販の豆乳ヨーグルトを用いて、前述の試験1に記載の方法と同様の方法で、表15及び表16の各区の炭酸飲料を調製した。
【0110】
【表15】
【0111】
【表16】
【0112】
(2)炭酸ガス濃度及び濁度の測定
試験1、試験4に記載の方法と同じ方法で炭酸ガス濃度及び濁度を測定した。結果を表17の濁度、炭酸ガスの項目に示す。
【0113】
(3)官能評価
試験1に記載の方法及び基準と、同様の方法及び基準で、表15及び表16の各区の炭酸飲料の官能評価を行った。その結果を表17に示す。
【0114】
【表17】
【0115】
植物原料である植物由来抽出物により濁度が付与された炭酸飲料においても、本発明の効果がみられた。ただし、植物由来抽出物の植物原料が粉末豆腐、ヘーゼルナッツ、きなこ、及び、豆乳ヨーグルトである場合は、他の植物原料(胡麻、くるみ、ココナッツ、松の実)の場合に比べ炭酸感の向上効果はやや弱かった。粉末豆腐、きなこ、豆乳ヨーグルトはいずれも大豆由来成分であることを踏まえると、濁度を付与する粒子が植物由来の場合、ヘーゼルナッツ由来成分や大豆由来成分以外の成分であることが、炭酸感の向上効果の観点からより好ましいことが示された。