(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置を備えるシステムの構成図である。システム1は、複数のサーバ2、複数の変換器3、PC4、モニタ5、キーボード6及びマウス7を備えている。システム1は、例えば、不図示のラックに搭載されている。変換器3は、サーバ2とPC4との間に接続されている。PC4は、モニタ5、キーボード6及びマウス7に接続されている。ハブ8は、PC4に内蔵されていても、PC4に外付けされてもよい。PC4は例えばノートPC、タブレットPC、スマートフォンなどの可搬型の情報処理装置である。
【0014】
変換器3は、サーバ2が出力する映像信号をPC4に入力可能な映像情報に変換し、PC4に出力する。さらに、変換器3は、PC4から出力されたキーボード6及びマウス7の操作情報をサーバ2に入力可能な操作信号に変換し、サーバ2に出力する。変換器3は、例えば、いわゆるIP−KVMスイッチである。PC4は、USB(Universal Serial Bus)又はEthernet(登録商標)などのハブ8を経由して複数の変換器3に接続されており、複数の変換器3から同時並列的に映像情報を取得する。PC4は、変換器3と無線通信で接続されてもよい。また、PC4が変換器3を内蔵してもよい。
【0015】
図2は、PC4の構成図である。PC4は、PC4の全体の動作を制御するCPU12、ワーキングエリアとして機能するRAM13、各種のデータやプログラムを記憶するROM14及びHDD(Hard Disk Drive)15、ネットワークインターフェース(I/F)16、無線モジュール17及び補助入力装置18を備えている。さらに、PC4は、ディスプレイコントローラ19、I/Oコントローラ20、液晶表示装置(LCD)21、キーボード22、ポインティングデバイス23、PS/2端子24、USB端子25、RS−232C端子26、グラフィックコントローラ27a、カメラ27、位置・傾き検出センサ28及びマイク29を備えている。CPU12、RAM13、ROM14、HDD15、ネットワークI/F16、無線モジュール17、補助入力装置18、ディスプレイコントローラ19、I/Oコントローラ20、グラフィックコントローラ27a、位置・傾き検出センサ28及びマイク29は、バス30を介して互いに接続されている。LCD21はディスプレイコントローラ19に接続されている。キーボード22、ポインティングデバイス23、PS/2端子24、USB端子25及びRS−232C端子26は、I/Oコントローラ20に接続されている。グラフィックコントローラ27aはカメラ27に接続されている。キーボード22及びポインティングデバイス23は入力装置として機能する。補助入力装置18は指示装置として機能する。
【0016】
HDD15は、OS(Operating System)15aと、シリアルコンソールスイッチを操作するソフトウェアであるターミナルエミュレータ15bとを記憶する。尚、OS15a及びターミナルエミュレータ15bはROM14に格納されてもよい。PC4は、
図1のハブ8の機能を実現するために、複数の変換器3と接続される複数のネットワークI/F16又は複数のUSB端子25を備えていてもよい。
図1のハブ8は、PC4の外部に接続される場合はネットワークI/F16又はUSB端子25に接続される。
【0017】
無線モジュール17は、変換器3と無線通信する場合に利用される。補助入力装置18は例えば、PC4の筐体に設けられたオン/オフスイッチ、ボリュームスイッチなどのスイッチである。ディスプレイコントローラ19は、OS15aからの制御に従って、変換器3からの映像情報をそのままLCD21に出力したり、又は合成画像(変換器3からの映像情報から変換されたビットマップ画像及びOS15aのデスクトップ画像の合成画像)をLCD21に出力する。
【0018】
I/Oコントローラ20は、キーボード22やポインティングデバイス23から入力された操作情報をOS15aを介在させて変換器3に出力する又はOS15aを介在させずに直接変換器3に出力する。キーボード22は、PC4に内蔵されている内蔵キーボードであり、ポインティングデバイス23は、PC4に内蔵されている内蔵パッド又は内蔵マウスである。尚、PC4がタブレットPC又はスマートフォンである場合は、キーボード22はソフトウエアキーボードであり、ポインティングデバイス23はタッチパネルである。
【0019】
PS/2端子24、USB端子25及びRS−232C端子26は、周辺機器を接続するために利用され、所望の外付けキーボードや外付けマウスをPS/2端子24又はUSB端子25に接続することができる。RS−232C端子26にはシリアルコンソールスイッチを接続することができる。また、USB端子25には、USB/RS−232C変換ケーブルを介してシリアルコンソールスイッチを接続することができる。グラフィックコントローラ27aは、カメラ27で撮影された画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの所定のデータ形式に変換する。カメラ27はPC4の内蔵カメラであるが、PC4がカメラ27を備えていない場合には外付けカメラでもよい。
【0020】
位置・傾き検出センサ28は、PC4の所在地(3次元座標)や傾きを検出するために利用され、例えば、加速度センサ、地磁気センサ、気圧センサ、3軸ジャイロなどである。PC4がノートPCである場合には位置・傾き検出センサ28を備えていないが、PC4がタブレットPC又はスマートフォンである場合には位置・傾き検出センサ28を備えているため、これらを利用できる。例えば、基準位置を予めデータセンターの任意の場所に決めておき、作業員がPC4を持って移動すると仮定する。CPU12は、加速度センサを用いて移動する作業員の歩数を算出し、この歩数に所定の歩幅を乗算することで移動距離を算出し、地磁気センサを用いて作業員の移動方向を取得することで、基準位置からのPC4の相対的な位置情報を取得することができる。尚、気圧センサを利用することで、気圧の変化からPC4の高さも測定することができる。
【0021】
マイク29は、検出されたPC4の所在地情報を補正するために利用される。例えば、マイク29は、ラックが設置されるデータセンターなどに設けられたスピーカから出力される音波信号を取得する。CPU12は、マイク29で取得された音波信号を解析して抽出された位置IDをキーとしてデータベースにアクセスし、正確な位置情報を取得する。尚、位置IDと位置情報とを関連付けたデータベースは、予めHDD15内に又は外部のサーバ内に格納されている。
【0022】
図3は、PC4の機能ブロック図である。PC4は制御部31を備えている。制御部31は、
図2のCPU12、RAM13、ROM14、HDD15、ネットワークI/F16、無線モジュール17、ディスプレイコントローラ19、I/Oコントローラ20及びバス30を含む。
【0023】
制御部31は、複数の変換器3に接続され、複数の変換器3から同時並列的に映像情報を取得するI/F部32と、変換器3から得た映像情報をそのまま表示部35に出力する変換器映像部33と、変換器3から得た映像情報をビットマップ画像に変換し、当該ビットマップ画像をサーバの操作画面としてウィンドウ形式でPC4の操作画面の一部又は全部に表示するOS映像部34と、OS映像部34からの指示に従って変換器映像部33又はOS映像部34のいずれか一方から出力される映像情報を選択して、LCD21に出力する表示部35と、補助入力装置18からの指示に従ってキーボード22及びポインティングデバイス23から入力された操作情報をI/F部32又はOS映像部34のいずれかに出力する操作部36と、変換器映像部33及びOS映像部34の映像情報をログとして記憶する記憶部37とを備えている。
【0024】
送受信手段としてのI/F部32の機能は、
図2のCPU12、RAM13、ROM14、HDD15、ネットワークI/F16及び無線モジュール17によって実現される。第1出力手段としての変換器映像部33の機能は、ネットワークI/F16又は無線モジュール17からディスプレイコントローラ19へダイレクトに映像情報を送信するCPU12によって実現される。合成手段としてのOS映像部34の機能は、OS15aを実行しているCPU12、RAM13、ROM14及びHDD15によって実現される。選択手段としての表示部35の機能は、ディスプレイコントローラ19によって実現される。第2出力手段としての操作部36の機能は、I/Oコントローラ20によって実現される。記憶部37の機能はROM14、HDD15によって実現される。
【0025】
変換器3から入力された映像情報は、I/F部32で抽出される。I/F部32は、映像情報を変換器映像部33及びOS映像部34に分配する。また、I/F部32は、
図4(A)に示すようなOS15a上で動作するドライバーで選択された入力元(サーバ又は変換器)からの映像情報を受信する。映像情報が変換器映像部33に送られる場合には、ドライバーは1つのサーバ又は1つの変換器を選択することができ、映像情報がOS映像部34に送られる場合にはドライバーは複数のサーバ又は複数の変換器を選択することができる。
【0026】
OS映像部34は、変換器映像部33及びOS映像部34から出力される映像情報の選択指示を表示部35に出力する。この選択指示は、
図4(B)に示すようなOS15a上で動作するドライバーで設定される。表示部35は、OS映像部34からの選択指示に従って、変換器映像部33又はOS映像部34のいずれか一方から出力される映像情報を選択して、LCD21に出力する。さらに、OS映像部34は、OS15aの画像(デスクトップ画像などの背景画像)に、I/F部32から入力された映像情報を変換したビットマップ画像を表示する画像表示ウィンドウ40及びサーバ2への操作情報を入力するための文字入力ウィンドウ41を合成する。OS映像部34は、画像表示ウィンドウ40内に表示されるビットマップ画像を連続的に、例えば100ms周期で更新する。これにより、あたかもサーバ2からの映像信号を表示しているような環境を作業員に提供することができる。
【0027】
図5(A)は、OS15aのデスクトップ画像に画像表示ウィンドウ40及び文字入力ウィンドウ41が合成された状態を示す図である。
図5(B)は、変換器3から得た映像情報をそのままLCD21に出力した状態を示す図である。
図5(A)では、2つの変換器3(2つのサーバ2)からの映像情報に対応するビットマップ画像を表示するため、2つの画像表示ウィンドウ40がデスクトップ画像上に合成されている。さらに、その2つのサーバ2への操作情報を入力するために、2つの文字入力ウィンドウ41がデスクトップ画像上に合成されている。このため、作業員は、サーバ2の操作画面を表示する2つの画像表示ウィンドウ40のいずれか1つを操作対象として選択することにより、変換器3を経由して選択したサーバ2を操作することができる。また、操作対象のサーバ2を切り替える場合には、所望のサーバ2の操作画面を表示する画像表示ウィンドウ40又は対応する文字入力ウィンドウ41をクリックするだけで、操作対象のサーバ2を所望のサーバ2に切り替えることができる。
【0028】
図3に戻り、操作部36は、キーボード22及びポインティングデバイス23から操作情報を取得し、補助入力装置18からの指示に従って操作情報をI/F部32又はOS映像部34のいずれかに出力する。補助入力装置18から
オフ信号が入力された場合には、操作部36は操作情報をOS映像部34に出力し、OS映像部34が調整した操作情報をI/F部32に出力する。調整した操作情報とは、例えば、
図4(A)の文字入力ウィンドウ41に入力される操作情報を示す。補助入力装置18からオン信号が入力された場合には、操作部36は、操作情報をI/F部32に直接出力する。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態に係るPC4によれば、PC4自身の操作画面上に1つのサーバ2の操作画面を表示する機能を維持しつつ、PC4自身の操作画面上に複数のサーバ2の操作画面を表示することができる。結果として、複数のサーバを同時にメンテナンスすることができる。
【0030】
本実施の形態では、コンソールドロワに代えてPC4を利用してサーバ2にアクセスすることができるので、上述したメリット以外の他のメリットがある。
【0031】
第1に、コンソールドロワでは、画面はラックの前面側に向けられているため、サーバの背面にLANケーブルなどを接続する場合に作業員は画面を見るためにラックの前面に戻らなければならず、画面の変化状況をリアルタイムで確認することができないという問題がある。このため、LANケーブルの接続作業及び画面の確認作業を実行するために2人の作業員が必要になる。
【0032】
これに対して、本実施の形態ではサーバ2又はラックの背面側にPC4を移動させることができるので、サーバの背面にLANケーブルなどを接続する場合にも画面の変化状況をリアルタイムで確認することができる。結果として、LANケーブルの接続作業及び画面の確認作業を1人の作業員で実行できる。
【0033】
第2に、コンソールドロワはコンソールを1つのコンソールに集約しているため、コンソールの操作性に個人の嗜好が反映されず、作業効率の低下を招くおそれがあるという問題がある。
【0034】
例えば、操作者は、画面に表示されるマウスカーソルのデザインや移動速度などを所望の設定に調整することができる。しかしながら、マウスカーソルの設定の好みは操作者によって異なり、調整後の設定が他の操作者に適しているとは限らないにも拘らず、設定がサーバに保存されるため、コンソールドロワを共有している環境では、各操作者がマウスカーソルの設定を調整することは好ましくない。
【0035】
特に、コンソールドロワは、定例のサーバの保守作業だけではなく、臨時又は緊急時のサーバの管理作業でも使用される。サーバへの迅速な処置が求められる状況では、作業員は最短時間で作業を完了する必要がある。しかし、マウスカーソルの設定が作業員の嗜好に適していない場合、作業員はストレスを受けながらサーバの管理作業をすることになり、作業ミスを発生させる原因になっている。
【0036】
これに対して、本実施の形態では、PC4は外付けキーボードや外付けポインティングデバイスを接続可能なPS/2端子24及びUSB端子25を備えており、マウスカーソルの設定は個別にPC4に保存できるので、コンソールの操作性に個人の嗜好を反映することができ、作業効率の低下を防ぐことができる。
【0037】
第3に、サーバへの接続にシリアルコンソールスイッチを利用する場合、コンソールドロワ及びPCを併用する必要があり、システムの導入コストが増大する。
【0038】
例えば、サーバに接続された複数のシリアルコンソールスイッチを1つのシリアルコンソールスイッチに接続される使い方では、シリアルコンソールスイッチ上で発生する様々なデータをログファイルとしてシリアルコンソールスイッチの内部又は外部の記憶媒体に保存できる。しかし、コンソールドロワ及びKVMスイッチには、当該ログファイルをこれらの記憶媒体から取得したり又は表示する機能がないため、ログファイルを取得又は表示するためにPCが別途必要になり、コンソールドロワとPCの併用という重複したコストが発生する。PCを併用する理由は、シリアルコンソールスイッチを操作するためには、コンソールドロワ及びKVMスイッチでは実現できない、PC上で動作するソフトウェアによって実現するターミナルエミュレータが必要だからである。
【0039】
コンソールドロワ及びPCを併用する必要があるため、システムの導入コストが増大する。さらに、コンソールドロワとPCのキーボード及びマウスとの操作性の違いによって、作業効率の低下を招くおそれがある。
【0040】
これに対して、本実施の形態では、サーバへの接続にシリアルコンソールスイッチを利用する場合、PC4がRS−232C端子26を備えているので、シリアルコンソールスイッチをシリアルケーブルにより接続することができる。または、PC4はUSB端子25を備えているので、USB端子25にUSB/RS−232C変換ケーブルを介してシリアルコンソールスイッチを接続することができる。さらに、PC4はシリアルコンソールスイッチを操作するためのターミナルエミュレータ15bを備えているので、ログファイルをシリアルコンソールスイッチ内部の記憶媒体から取得又は表示することができる。
【0041】
結果として、シリアルコンソールスイッチを利用する場合でも、コンソールドロワ及びPC4を併用する必要がなく、システムの導入コストを抑制できる。さらに、コンソールドロワ及びPC4を併用する必要がないので、コンソールドロワとPCの操作性の違いに起因する作業効率の低下を解消できる。
【0042】
(第2の実施の形態)
同一仕様のラックが複数配置され、且つ各ラックが複数のサーバ(特に同一仕様のサーバ)を搭載している環境においては、作業員は目的のサーバの近傍に居たとしても、サーバの列の中から画面に表示されている目的のサーバを見つけられなくなる問題が発生する。これは、一種の錯覚現象であり、同一仕様のサーバは同一形状を有するため、複数の同一仕様のサーバを見れば見るほど同化してサーバ間の境目が判らなくなってしまうために、この問題が発生する。目的のサーバが見つけにくくなるために、別のサーバを誤って操作する問題も発生する。
【0043】
また、不具合が発生したサーバの復旧のために作業員がラックの前に到着しても、目的のサーバを見つけるまでに上記の錯覚現象が発生すると、作業開始までに大変時間がかかってしまう問題が発生する。不具合発生から復旧までの時間が長引くことは大きな損失であり、この錯覚現象は作業員への精神的な圧力にもなっている。このことから、この問題を解決する手段が望まれている。
【0044】
そこで、第2の実施の形態では、複数のサーバを搭載したラックを複数含むラック群の中から目的のサーバを見つけやすくできる情報処理装置を説明する。
【0045】
第2の実施の形態に係る情報処理装置を備えるシステムは、
図1のPC4を備えるシステムと同様である。第2の実施の形態に係るPC4は、例えばタブレットPC又はスマートフォンであり、
図2に示すPC4の構成を備えている。
【0046】
図6は、第2の実施の形態に係るPC4の機能ブロック図である。
図6に示すように、PC4は、入力装置51、入力処理部52、撮像装置53、撮像処理部54、表示装置55、表示映像処理部56、検出手段及び表示制御手段として機能するOS処理部57、映像合成部58、アクセス手段として機能する外部通信部59、位置・傾き検出センサ28及び補助入力装置18を備えている。位置・傾き検出センサ28及び補助入力装置18は、
図2の位置・傾き検出センサ28及び補助入力装置18と同様である。
【0047】
入力装置51は、
図2のキーボード22及びポインティングデバイス23で構成される。入力処理部52の機能は、I/Oコントローラ20で実現される。撮像装置53は、例えばカメラ27である。撮像処理部54の機能は、グラフィックコントローラ27aで実現される。表示装置55は、例えばLCD21である。表示映像処理部56の機能は、ディスプレイコントローラ19で実現される。OS処理部57の機能は、OS15aを実行するCPU12、RAM13、ROM14及びHDD15によって実現される。映像合成部58の機能は、CPU12、RAM13、ROM14及びHDD15によって実現される。外部通信部59の機能は、CPU12、RAM13、ROM14、HDD15、ネットワークI/F16及び無線モジュール17によって実現される。
【0048】
入力装置51は、OS15aの操作を行うために必要な情報を生成する。生成される情報は文字と座標とする。入力装置51がポインティングデバイス23である場合、入力装置51は、移動量に対応する2次元座標の変化量を入力処理部52に出力する。入力装置51がタッチパネルである場合、タッチ位置の2次元座標を入力処理部52に出力する。入力装置51がキーボード22である場合、操作されたキーに割り当てられたアドレス情報を入力処理部52に出力する。
【0049】
入力処理部52は、入力装置51から出力された文字及び座標の情報をOS処理部57が理解できる形式のデータに変換して、OS処理部57に出力する。
【0050】
撮像装置53は、静止画像や動画像を撮影して画像を生成する。撮像装置53がカメラ27である場合、撮影画像を撮像処理部54が理解できる形式のデータに変換して、撮像処理部54に出力する。
【0051】
撮像処理部54は、撮像装置53から受信した画像をOS処理部57が理解できる形式のデータに変換してOS処理部57に出力するか、撮像装置53から受信した画像をOS処理部57を介在させずに映像合成部58に出力する。
【0052】
OS処理部57は、操作情報を入力装置51から受けるために入力処理部52を制御し、撮像装置53から画像を得るために撮像処理部54を制御し、位置・傾き検出センサ28から検出結果を受信する。OS処理部57は、表示装置55に画像を表示するために映像合成部58を制御する。また、OS処理部57は、OS15aのデスクトップ画像を生成し、入力装置51から得た情報を文字、カーソル又はポインタに変換する。OS処理部57は、デスクトップ画像に撮像装置53から得られた画像を操作画面の画像として合成し、映像合成部58が理解できる形式のデータに変換して出力する。OS処理部57は、補助入力装置18の状態を読み取り、補助入力装置18の状態に従って、表示映像処理部56に出力するデータを後述する3つの出力データの中から選択するように映像合成部58に指示する。
【0053】
映像合成部58は、OS処理部57が生成した画像を表示映像処理部56が理解できる形式のデータ(第1出力データ)に変換して出力する。映像合成部58は、OS処理部57が生成した画像に撮像処理部54から入力された画像を合成して、合成画像を表示映像処理部56が理解できる形式のデータ(第2出力データ)に変換する。映像合成部58は、OS処理部57が生成した画像は表示せず、撮像処理部54から入力された画像のみを表示映像処理部56が理解できる形式のデータ(第3出力データ)に変換する。映像合成部58は、補助入力装置18の状態をOS処理部57に出力することもできる。映像合成部58は、補助入力装置18の状態およびOS処理部57からの指示に従って、表示映像処理部56に出力するデータを第1出力データ〜第3出力データの中から選択する。
【0054】
表示映像処理部56は、映像合成部58から入力されたデータを表示装置55が理解できる信号に変換する。例えば、表示映像処理部56は、画像データをアナログビデオ信号又はディジタルビデオ信号に変換する。表示装置55は、表示映像処理部56から入力された信号を表示する。
【0055】
外部通信部59は、ネットワークI/F16及び無線モジュール17のような通信インタフェースとしての機能だけでなく、様々な情報が納められたデータベースを格納する機能を有する。データベースは3次元座標のフィールドを含む。このうち、XY座標はラックの位置を示し、Z座標はXY座標で特定されたラック内のサーバの位置を示す。データベースはPC4に内蔵されているが、PC4の外部にあってもよい。
【0056】
第2の形態に係るPC4も、第1の形態に係るPC4と同様の機能を有する。外部通信部59は、いずれかのサーバ2から受信した映像情報をそのまま映像合成部58に出力する。OS処理部57は、外部通信部59を介して複数のサーバ2から受信したそれぞれの映像情報をビットマップ画像などに変換するとともに、当該変換した画像を表示する複数の画像表示ウィンドウ及び複数のサーバ2への操作情報を入力する複数の文字入力ウィンドウを操作画面の画像に合成し、映像合成部58に出力する。映像合成部58は、補助入力装置18の状態に応じて外部通信部59から出力された映像情報又はOS映像部34で合成された画像のいずれか1つを選択し、表示映像処理部56を介して表示装置55に出力する。第2の形態に係るPC4も、従来のコンソールが持つ、PC4自身の操作画面上に1つのサーバ2の操作画面を表示する機能を維持しつつ、PC4自身の操作画面上に複数のサーバ2の操作画面を表示することができる。
【0057】
図7(A)〜(C)は、表示装置55の画面の例を示す図である。
【0058】
図7(A)では、デスクトップ画像42上に、文字入力ウィンドウ41及び画像表示ウィンドウ40が表示されている。ポインティングデバイス23を動かすと、それに応じてポインタ43が動く。これは、OS処理部57が入力処理部52から出力される座標の変位量をポインタ43の移動に変換するからである。キーボード22を操作すると、カーソル44の位置に文字が表示される。
【0059】
例えば、
図7(A)のように、一部が画像表示ウィンドウ40に隠れている文字入力ウィンドウ41については、文字入力ウィンドウ41をポインタ43でクリックすることにより、文字入力ウィンドウ41及び画像表示ウィンドウ40の重ね順を入れ替えることができる。
【0060】
撮像装置53で撮影された画像は、撮像処理部54を介してOS処理部57に入力され、画像表示ウィンドウ40内に表示される。OS処理部57は文字入力ウィンドウ41及び画像表示ウィンドウ40を含めてデスクトップ画像を生成し、そのデスクトップ画像を映像合成部58及び表示映像処理部56を介して表示装置55に出力する。表示装置55では、文字入力ウィンドウ41及び画像表示ウィンドウ40を含むデスクトップ画像42が表示される。文字入力ウィンドウ41及び画像表示ウィンドウ40は、いずれもサイズを変更することができる。文字入力ウィンドウ41及び画像表示ウィンドウ40をデスクトップ画像42のサイズ同等の最大サイズに広げた場合、他のウィンドウやデスクトップ画像42上の表示要素を隠すことができる。操作画面を最大サイズにするには、画像表示ウィンドウ40を最大サイズにする場合と、ウィンドウ枠などを消して画像だけを表示する全画面表示である場合との2通りの方法がある。
【0061】
図7(A)では、補助入力装置(スイッチ)18がオフである場合の表示装置55の画面を示している。これに対して、スイッチがオンである場合は、OS処理部57が生成したデスクトップ画像が映像合成部58に出力されても、映像合成部58はデスクトップ画像を利用せず、撮像処理部54から入力された画像のみを表示映像処理部56に出力する。撮像処理部54から入力された画像のみが表示装置55に表示される。
図7(B)では、撮像処理部54から入力された画像が全画面表示の状態になる。
【0062】
あるいは、スイッチがオンである場合、映像合成部58は、OS処理部57及び撮像処理部54から入力された画像情報を合成して、表示映像処理部56に出力することもできる。この場合、撮像装置53から入力された画像を表示する領域45は、OS処理部57による制御を受けない。このため、
図7(C)に示すように、ポインタ43が
図7(A)に示す位置にある場合は、領域45に隠れて表示されない。
図7(C)の領域45は、
図7(A)の画像表示ウィンドウ40と異なりウィンドウ枠がない。映像合成部58は、映像合成部58が補助入力装置18の状態を直接読み取ってOS処理部57からの指示によらず独自に動作する場合と、OS処理部57からの指示によって動作する場合とがある。
【0063】
ここで、操作情報(文字と座標)を直接変換器3に出力するか又はOS処理部57が調整した操作情報(例えば文字入力ウィンドウ41を介して入力される文字や画像表示ウィンドウ40を介して入力される座標)を出力するかを指示する目的や仕組みについて検討する。
【0064】
図6の入力装置51から入力処理部52を介してOS処理部57に入力された操作情報は、例えば、ポインタの動きとして表示装置55に表示される。キーボード22の操作情報も、カーソル44の位置に文字として表示される。
【0065】
変換器3がIP−KVMスイッチである場合、表示装置55の画面は
図7(A)及び
図7(B)に示す画面状況と同じである。つまり、変換器3から外部通信部59を経由してOS処理部57に入力された画像は、画像表示ウィンドウ40に表示される。また、画像表示ウィンドウ40が操作対象である場合は、入力装置51の操作情報は、入力処理部52、OS処理部57及び外部通信部59を経由して変換器3に入力される。
【0066】
しかし、入力装置51の操作情報がOS処理部57を経由して外部通信部59に出力される場合、全ての操作情報を出力することはできない。例えば、OS15aが持っているホットキー仕様によっては、特定のキー操作はOS15aが処理するため、画像表示ウィンドウ40などのアプリケーションは当該特定のキー操作を取得できない(例えば、Windows(登録商標)キーの操作)。従って、変換器3に接続されたサーバ2を十分に操作することができない状況が発生する。
【0067】
このため、本実施の形態では、PC4は、入力装置51の操作情報が、OS処理部57を経由せずに、入力処理部52から直接外部通信部59に出力される経路を備えている。これにより、上記特定のキー操作を変換器3に出力することができる。操作情報がOS処理部57を経由するか否かは、補助入力装置18のオン又はオフによって決定される。補助入力装置18がオンである場合は、操作情報は、OS処理部57を経由せずに、入力処理部52から外部通信部59に送信される。補助入力装置18がオフである場合は、操作情報は、OS処理部57を経由して、入力処理部52から外部通信部59に送信される。
【0068】
図8は、ラックの前でPC4を使用する方法を示す図である。
図9(A),(B)は、外部通信部59(ROM14又はHDD15)に格納されるデータベースの例を示す図である。
図9(A)は、標準化されたデータベースの例を示し、
図9(B)はデータベースの具体例を示す。
【0069】
図8に示すように、例えば、サーバルームには複数のラック200(200A〜200D)が配置されており、各ラック200は、複数のサーバ2、KVMスイッチ201及びコンソールドロワ202を備えている。各ラック200の支柱の前面には、バーコード205が貼り付けられている。このバーコード205は、隣接するサーバ2の位置(3次元座標)を示している。
【0070】
図9(A),(B)のデータベースは、サーバ2のXYZ座標と、当該XYZ座標に対応するサーバ2へのアクセス情報とを示す。サーバ2のXY座標は、そのサーバ2を搭載するラック200のXY座標と同一であるとする。データベースの左の数字がサーバ2のZ座標を示し、右のアドレスは変換器3のIPアドレスを示す。変換器3がIP−KVMスイッチである場合、PC4から変換器3にアクセスするために変換器3のIPアドレスが必要になるためである。
【0071】
例えば、
図9(B)のデータベースは、座標(1,1)にあるラック200に8台のサーバ2が搭載されており、8台のサーバ2のZ座標が1〜8であり、8台のサーバ2に対応する変換器3のIPアドレスが「192.168.0.1」〜「192.168.0.8」であることを示している。尚、変換器3がIP−KVMスイッチであり、1つの変換器3に複数のサーバ2が接続される場合には、変換器3を介して目的のサーバ2にアクセスするために、データベースの右側のアドレス欄には、変換器3のIPアドレス及び目的のサーバ2のIPアドレスが入力される。
【0072】
図8に戻り、作業員が撮像装置53を使って、ラック200やラック200に搭載されたサーバ2を撮影すると、その映像はPC4の表示装置55上に表示される。目的のサーバ2に対応するバーコード205にPC4の画面に表示された照準60を重ねてバーコード205を撮影すると、OS処理部57がバーコード205の画像を解析し、目的のサーバ2のXYZ座標を取得する。OS処理部57は、目的のサーバ2のXYZ座標をキーとして、外部通信部59に格納されたデータベースにアクセスし、変換器3のIPアドレスを取得し、表示装置55に表示する。表示装置55に表示された変換器3のIPアドレスを入力装置51で指定することで、外部通信部59が指定された変換器3を介して目的のサーバ2にアクセスし、目的のサーバ2からの映像情報が表示装置55に表示される。
【0073】
上記の方法では、バーコード205を利用して目的のサーバ2の位置を取得しているが、PC4は、自身の位置及び傾きを利用して目的のサーバ2の位置を取得してもよい。以下、PC4が、自身の位置及び傾きを利用して目的のサーバ2の位置を取得する方法を説明する。
【0074】
図10(A)は、ラック200とPC4との位置関係を示す側面図であり、
図10(B)は、ラック200とPC4との位置関係を示す上面図である。
【0075】
例えば、目的のサーバ2にPC4の画面上の照準60を重ねた状態で入力装置51から指示が入力されると、OS処理部57は位置・傾き検出センサ28からPC4の3次元座標及び傾きθを取得する。尚、撮像装置53の傾きθはPC4の傾きθと同様である。外部通信部59に格納されているデータベースは、
図9に示すように、各サーバの座標情報及びラック200の座標情報を有している。
【0076】
OS処理部57は、位置・傾き検出センサ28からPC4のXY座標及び撮像装置53の傾きθを取得できるので、直線abの延長上にある、目的のサーバ2が搭載されたラック200のXY座標を特定できる。直線ab間の距離は、(i)位置・傾き検出センサ28に測距センサが含まれる場合には、測距センサで測定してもよいし、(ii)最初にラック200の下端に照準を合わせて、PC4のZ座標、撮像装置53の傾きθ及び三角法を用いて測定してもよいし、又は(iii)PC4のX座標をキーとしてデータベースのラック200の座標を検索し、PC4のY座標に最も近いY座標を有するデータをラック200の座標とすることで測定してもよい。尚、
図10(B)において、ラック200及びPC4が平行に配置されていない場合でも、直線ab間の距離は、撮像装置53の傾きθ及び三角法を用いて正確に検出できる。
【0077】
さらに、OS処理部57は、撮像装置53の傾きθ、直線ab間の距離及び三角法に基づいて、直線acと交差する目的のサーバ2のZ座標を取得する。従って、OS処理部57は、目的のサーバ2のXYZ座標を取得することができる。目的のサーバ2のXYZ座標を取得した後の処理は、バーコード205を利用してサーバ2のXYZ座標を取得した後の処理と同様なので、その説明は省略する。
【0078】
上記の方法では、撮像装置53で撮影された画像とPC4の位置及び傾きを利用して目的のサーバ2を選択するが、PC4は、PC4の位置及び傾きを取得できるので、PC4の位置及び傾きに応じて変更される、サーバルーム内のラック200に搭載されたサーバ2を示す三次元仮想空間画像を表示装置55に表示し、目的のサーバ2を選択するようにしてもよい。つまり、表示装置55は、撮像装置53で撮影している情景を模した三次元仮想空間画像を表示する。表示装置55の画面には、サーバルームの鳥瞰図、フロアマップ及び/又はサーバ2の搭載図などの三次元仮想空間画像が表示され、作業員はこの画像を見ながら目的のサーバ2を選択する。
【0079】
三次元仮想空間画像はROM14又はHDD15に格納されている。
図9のデータベースに含まれるサーバ2のXYZ座標及びサーバ2へのアクセス情報は、三次元仮想空間画像内のサーバ画像と関連付けされている。また、三次元仮想空間画像とPC4の位置及び傾きの情報も関連付けされている。
【0080】
OS処理部57は、位置・傾き検出センサ28からPC4の位置及び傾きを取得し、PC4の位置及び傾きに応じた三次元仮想空間画像を表示装置55に出力する。PC4の位置及び傾きが変更されると、OS処理部57はPC4の位置及び傾きの変更に応じて三次元仮想空間画像を変更し、表示装置55に出力する。
【0081】
入力装置51によって三次元仮想空間画像内の目的のサーバ2に対応するサーバ画像が指示されると、OS処理部57は、目的のサーバ2へアクセスする命令を外部通信部59に出力し、外部通信部59はデータベース内の目的のサーバ2へのアクセス情報に基づいて、当該目的のサーバ2へアクセスする。
【0082】
例えば、上述したように、作業員が撮像装置53を使ってサーバ2を撮影する場合、サーバ2の筐体にサーバ2のIDや名称などが記載されていない限り、サーバ2のIDや名称などを知ることはできない。特に、データセンターでは、セキュリティの観点から各サーバの筐体にIDや名称などが記載されていない場合が多い。しかしながら、三次元仮想空間画像を利用する場合には、
図11のように、PC4の表示装置55上にサーバの名称又はID(図中のA04−A06,B06−B08,C20−C22)を表示することができるので、作業員がサーバ2のIDや名称などを容易に確認することができる。
【0083】
従って、作業員が複数の同一仕様のサーバ2を搭載したラック200が多数設置されている大規模なデータセンターにいるときに、作業員は、三次元仮想空間画像を見ることで、自分がいる場所を特定でき、目的のサーバ2の場所を確認することができ、迷うことなく目的のサーバ2を指定することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態によれば、PC4は、サーバ2毎にラック200に付与されたサーバ2の位置を示す識別子を撮像する撮像装置53と、サーバ2の位置とサーバ2へのアクセス情報とを関連付けしたデータベースと、撮像装置53で撮影された識別子からサーバ2の位置を検出するOS処理部57と、当該検出されたサーバの位置に関連付けされたサーバ2へのアクセス情報をデータベースから読み出し、サーバ2へアクセスする外部通信部59とを備えている。よって、複数の同一仕様のサーバを搭載したラックを複数含むラック群の中から目的のサーバを見つけやすくすることができる。
【0085】
また、PC4は、サーバ2を撮像する撮像装置53と、PC4の位置及び傾きを検出する位置・傾き検出センサ28と、位置・傾き検出センサ28で検出されたPC4の位置及び傾きを使って、撮像装置53で撮像されたサーバ2の位置を検出するOS処理部57と、サーバ2の位置とサーバ2へのアクセス情報とを関連付けしたデータベースと、OS処理部57で検出されたサーバの位置に関連付けされたサーバ2へのアクセス情報をデータベースから読み出し、サーバ2へアクセスする外部通信部59とを備えている。よって、ラック200にサーバ2の位置を示す識別子が付与されていない場合でも、複数のサーバを搭載したラックを複数含むラック群の中から目的のサーバを見つけやすくすることができる。
【0086】
さらに、PC4は、PC4の位置及び傾きを検出する位置・傾き検出センサ28と、サーバ2の位置とサーバ2へのアクセス情報とを関連付けしたデータベースと、位置・傾き検出センサ28で検出されたPC4の位置及び傾きと、データベース内のサーバ2の位置及びサーバ2へのアクセス情報と関連付けされた3次元仮想空間画像であって、撮像装置53で撮影している情景を模した3次元仮想空間画像を表示する表示装置55と、位置・傾き検出センサ28で検出されたPC4の位置及び傾きの変更に応じて3次元仮想空間画像を変更し、表示装置55に出力するOS処理部57と、表示装置55に表示された3次元仮想空間画像内のサーバ画像が指示された場合に、当該サーバ画像に対応するサーバ2へのアクセス情報をデータベースから読み出し、サーバ2へアクセスする外部通信部59とを備えている。よって、撮像装置53を有していない場合でも、複数の同一仕様のサーバを搭載したラックを複数含むラック群の中から目的のサーバを見つけやすくすることができる。また、目的のサーバを見つけやすくするために、3次元仮想空間画像内のサーバ2の画像にサーバ2のIDや名称などを記載することもできる。
【0087】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。