【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決すべく本明細書で開示する本発明に係る車両用シート部材の製造方法は、
フレーム材と、前記フレーム材の少なくとも一部を埋設する発泡樹脂成形体と、を備える車両用シート部材の製造方法であって、
前記フレーム材は、骨組み部と補強部とを含み、
前記発泡樹脂成形体は、前記車両用シート部材の輪郭を形成する枠状部と、前記枠状部の内側において前記枠状部をわたすように延在する延在部とを含み、
前記車両用シート部材の平面視での輪郭に沿って前記発泡樹脂成形体の前記枠状部に埋設される位置に前記骨組み部が配置され、前記発泡樹脂成形体の前記延在部の延在方向に沿って前記延在部に埋設される位置に前記補強部が配置されるように、前記フレーム材を成形型内に配置する配置工程と、
前記成形型内において、前記骨組み部を埋設する前記枠状部と、前記補強部を埋設する前記延在部とを含む前記発泡樹脂成形体を成形する成形工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
車両用シート部材の製造方法において、発泡樹脂成形体のうち、車両用シート部材の輪郭を形成する枠状部にフレーム材の骨組み部を埋設し、枠状部に囲われた内部に延在する延在部にフレーム材の一部を埋設しない場合には、成形時又は成形後に、発泡樹脂成形体の枠状部と延在部とで見かけ上の熱収縮量が異なる。これにより、枠状部に囲まれた延在部には、熱応力として圧縮応力および引張応力が不均一に作用し、延在部が変形し易い。
【0009】
そこで本発明では、発泡樹脂成形体の枠状部にフレーム材の骨組み部が埋設されるとともに、発泡樹脂成形体の延在部に、該延在部の延在方向に沿って、フレーム材の補強部が埋設されるように、発泡樹脂成形体を型内発泡成形により成形することにより、延在部に作用する応力による延在部の変形を抑える。これにより、成形時又は成形後に、枠状部及び延在部を備える発泡樹脂成形体が熱収縮しても、延在部の変形を抑えることができる。この結果、寸法精度の高い車両用シート部材を製造することができる。
【0010】
本発明に係る車両用シート部材の製造方法の好ましい態様では、
前記フレーム材において、前記補強部は、両端がそれぞれ前記骨組み部に連結されている線状の補強部である。
【0011】
本態様では、前記フレーム材において前記骨組み部が前記補強部により補強されることで、前記骨組み部の剛性が向上し、前記フレーム材が全体として撓み難い構造となる。この結果、前記配置工程において、前記フレーム材を成形型内に配置することが容易となる。特にロボットを使用して前記フレーム材を前記成形型内に配置する場合に、前記フレーム材が撓み難いため配置が容易である。
【0012】
本発明に係る車両用シート部材の製造方法のより好ましい態様では、
前記フレーム材の前記骨組み部は、前記枠状部の内側の空間を挟んで対向する対向部分同士が連続した連続部分を有し、
前記成形工程は、前記延在部が、前記補強部を埋設するとともに、前記対向部分の間に亘って延在するように成形することを含む。
【0013】
フレーム材の骨組み部が前記連続部分を有することにより、前記連続部分を埋設する枠状部の部分に、延在部の両側が拘束される。この構造において延在部は熱収縮により特に変形し易いところ、本発明のこの態様では、フレーム材の補強部を埋設するように延在部を成形することにより、延在部の変形を抑えることができる。
【0014】
本発明に係る車両用シート部材の製造方法の更に好ましい態様では、
前記平面視における前記車両用シート部材の輪郭は、短手方向と長手方向を有した形状であり、
前記成形工程において成形される前記延在部が、前記補強部を埋設するとともに、前記枠状部の対向する部分に亘って、少なくとも前記長手方向に沿って延在した第1延在部分を含む。
【0015】
長手方向に沿って形成された第1延在部分は熱収縮により変形し易いところ、この態様によれば、第1延在部分にフレーム材の補強部を埋設させることにより、第1延在部分の変形を抑えることができる。
【0016】
本発明に係る車両用シート部材の製造方法の更に好ましい態様では、
前記配置工程において、前記フレーム材の前記骨組み部を含む部分を、車両用シート部材の輪郭に沿って周回させる。
【0017】
この態様によれば、フレーム材が車両用シート部材の輪郭に沿って周回するので、車両用シート部材の強度を高めることができる。しかも、フレーム材を車両用シート部材の輪郭に沿って周回させると、延在部の両側が拘束され、熱収縮により変形し易いところ、この態様によれば、延在部にフレーム材の補強部を埋設させることにより、延在部の変形を抑えることができる。
【0018】
本発明は更に車両用シート部材に関する。
本発明に係る車両用シート部材は、
フレーム材と、前記フレーム材の少なくとも一部を埋設する発泡樹脂成形体と、を備え、
前記フレーム材は、骨組み部と補強部とを含み、
前記発泡樹脂成形体は、前記車両用シート部材の輪郭を形成する枠状部と、前記枠状部の内側において前記枠状部をわたすように延在する延在部とを含み、
前記フレーム材の前記骨組み部は、前記車両用シート部材の平面視での輪郭に沿って、前記発泡樹脂成形体の前記枠状部に埋設されるように、配置されており、
前記フレーム材の前記補強部は、前記発泡樹脂成形体の前記延在部の延在方向に沿って、前記延在部に埋設されるように、配置されていることを特徴とする。
【0019】
車両用シート部材において、発泡樹脂成形体のうち、車両用シート部材の輪郭を形成する枠状部にフレーム材の骨組み部が埋設され、枠状部に囲われた内部に延在する延在部にフレーム材の一部が埋設されていない場合には、車両用シート部材に入熱された時(または入熱された熱が放熱する時)に、発泡樹脂成形体のうち枠状部と延在部とで、見かけ上の熱膨張量(熱収縮量)が異なる。これにより、フレーム材の骨組み部が埋設された枠状部に囲まれた延在部には、熱応力として圧縮応力および引張応力が不均一に作用し、延在部が変形し易いところ、本発明では、延在部の延在方向に沿って該延在部にフレーム材の補強部を埋設させることにより、延在部の変形を抑えることができる。
【0020】
本発明に係る車両用シート部材の好ましい態様では、
前記フレーム材において、前記補強部は、両端がそれぞれ前記骨組み部に連結されている線状の補強部である。
【0021】
本態様では、前記フレーム材において前記骨組み部が前記補強部により補強されることで、前記骨組み部の剛性が向上し、前記フレーム材が全体として撓み難い構造となる。本態様の車両用シート部材は、入熱された時(または入熱された熱が放熱する時)に前記発泡樹脂成形体と前記フレーム材とが、互いに異なる程度で、熱膨張又は熱収縮する場合であっても、前記発泡樹脂成形体及び前記フレーム材が特に変形し難い。
【0022】
本発明に係る車両用シート部材のより好ましい態様では、
前記フレーム材の前記骨組み部は、前記枠状部の内側の空間を挟んで対向する対向部分同士が連続した連続部分を有し、
前記発泡樹脂成形体の前記延在部は、前記補強部を埋設するとともに、前記対向部分の間に亘って延在する。
【0023】
フレーム材の骨組み部が前記連続部分を有することにより、前記連続部分を埋設する枠状部の部分に、延在部の両側が拘束される。この構造の車両用シート部材に入熱された時(または入熱された熱が放熱する時)、延在部は熱収縮又は熱膨張により特に変形し易いところ、本発明のこの態様では、延在部にフレーム材の補強部が埋設されているため、延在部が変形し難い。
【0024】
本発明に係る車両用シート部材のより好ましい態様では、
前記平面視における前記車両用シート部材の輪郭は、短手方向と長手方向を有した形状であり、
前記延在部は、前記補強部を埋設するとともに、前記枠状部の対向する部分に亘って、前記長手方向に沿って延在する第1延在部分を含む。
【0025】
長手方向に沿って形成された第1延在部分は熱収縮又は熱膨張により変形し易いところ、この態様によれば、第1延在部分にフレーム材の補強部が埋設されているため、第1延在部分が変形し難い。
【0026】
本発明に係る車両用シート部材のより好ましい態様では、
前記フレーム材の前記骨組み部を含む部分は、車両用シート部材の輪郭に沿って周回している。
【0027】
この態様によれば、フレーム材が車両用シート部材の輪郭に沿って周回するので、車両用シート部材の強度が高い。しかも、フレーム材を車両用シート部材の輪郭に沿って周回させると、延在部の両側が拘束され、熱収縮又は熱膨張により変形し易いところ、この態様によれば、延在部にフレーム材の補強部が埋設されているため、延在部の変形が効果的に抑制される。