(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(F)前記第1のスリットを通過させた前記レーザ光が通過する第2のスリットが形成された第2の遮断板を設け、前記第2のスリット及び前記第2の遮断板に対して照射された前記レーザ光のうち、前記第2のスリットに対して照射された前記レーザ光について、前記第2のスリットを通過させる工程と、
(G)前記第2のスリット及び前記第2の遮断板に対して照射された前記レーザ光のうち、前記第2の遮断板に対して照射された前記レーザ光を、前記第2の遮断板で遮断する工程と、
(H)前記第2の遮断板に対して照射された前記レーザ光が前記第2の遮断板で反射した第2の反射光を前記反射光受光部材に受光させる工程と、をさらに含む、
請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
実施形態1に係るレーザ照射装置を説明する。本実施形態に係るレーザ照射装置は、レーザ光を被照射体に照射する装置である。被照射体は、例えば、非晶質膜等の半導体を含む膜が形成された基板である。この場合には、レーザ照射装置は、非晶質膜にレーザ光を照射して結晶化させるレーザアニール処理を行う。例えば、レーザ光として、エキシマレーザを用いてレーザアニール処理する場合には、レーザ照射装置は、エキシマレーザアニール(ELA:Excimer Laser Anneal)装置として用いられる。
【0013】
まず、レーザ照射装置の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係るレーザ照射装置を例示した断面図である。
図2は、実施形態1に係るレーザ照射装置の要部を例示した断面図である。
図3は、
図2に示すレーザ照射装置の要部の切断線A−Aにおける断面図である。
図4は、
図2に示すレーザ照射装置の要部の切断線B−Bにおける断面図である。
図5は、実施形態1に係るレーザ照射装置のレーザ光とスリットとの関係を例示した斜視図である。
【0014】
図1に示すように、レーザ照射装置1は、光源10、光学系モジュール20、密閉部30、処理室40を有している。処理室40は、例えば、水平な土台48上に設けられている。処理室40の上方に密閉部30が設けられ、密閉部30の上方に光学系モジュール20が設けられている。光学系モジュール20は、光源10から放出されるレーザ光L1を受光することが可能な位置に設けられている。
【0015】
ここで、レーザ照射装置1を説明するために、XYZ直交座標軸を導入する。土台48の上面に直交する方向をZ軸方向とし、上方を+Z軸方向、下方を−Z軸方向とする。光源10と光学系モジュール20とを結ぶ方向をX軸方向とし、光源10から光学系モジュール20に向かう方向を+X軸方向、逆方向を−X軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向とし、一方を+Y軸方向、逆方向を−Y軸方向とする。
【0016】
図1に示すように、光源10は、レーザ光L1を放出する。光源10は、例えば、エキシマレーザ光源であり、中心波長308nmのエキシマレーザのレーザ光L1を放出する。また、光源10は、パルス状のレーザ光L1を放出する。光源10は、レーザ光L1を光学系モジュール20に向けて出射する。レーザ光L1は、例えば、+X軸方向に進み、光学系モジュール20に入射する。なお、必要に応じて、光源10と、光学系モジュール20との間のレーザ光L1の光路上に、エネルギー密度を調整するアテニュエータ等の光学素子を配置してもよい。
【0017】
図1〜4に示すように、光学系モジュール20は、外形を構成する光学系筐体21、ミラー22、レンズ等の光学素子、及び、封止窓23を含んでいる。光学系筐体21は、例えば、アルミニウム等の材料で構成された箱状の部材である。光学系モジュール20の各光学素子は、光学系筐体21の内部にホルダ等で保持されている。このような各光学素子により、光学系モジュール20は、光源10から放出されたレーザ光L1の照射方向、光量等を調整する。封止窓23は、光学系筐体21の一部、例えば、光学系筐体21の下面に設けられている。レーザ光L1は、光学系モジュール20で調整された後に、封止窓23から密閉部30に向けて出射される。このようにして、光学系モジュール20は、レーザ光L1を被照射体に照射する。
【0018】
図5に示すように、レーザ光L1は、光学系モジュール20において、ラインビーム状となっている。すなわち、レーザ光L1の光軸C1に直交する断面は、一方向に延びた細長い線状となっている。例えば、ミラー22で反射されたレーザ光L1の光軸に直交する断面は、Y軸方向に延びた線状となっている。
【0019】
図2〜4に示すように、密閉部30は、密閉筐体31、遮断板51、反射光受光部材61、封止窓33、ガス入口34、ガス出口35を有している。図が煩雑にならないように、
図3では、ガス入口34、ガス出口35を省略し、
図4では、反射光受光部材61、封止窓33、ガス入口34、ガス出口35を省略している。なお、説明を明確にするため、各図面は、適宜、簡略化されている。
【0020】
密閉筐体31は、内部が空洞の箱状の部材である。密閉筐体31の内部に、遮断板51、反射光受光部材61が配置されている。密閉筐体31の所定の側面には、ガス入口34及びガス出口35が設けられている。ガス入口34及びガス出口35は、例えば、密閉筐体31における対向する側面に設けられている。例えば、ガス出口35は、ガス入口34よりも上方に設けられている。ガス入口34からは、ガス37、例えば、窒素等の不活性ガスが導入される。ガス入口34から密閉筐体31の内部に導入されたガス37は、ガス出口35から排出される。ガス37は、密閉筐体31の内部に連続的に供給されることが望ましい。また、ガス37は、密閉筐体31の外部に連続的に排出されるのが望ましい。ガス37の流量は、密閉筐体31の内部を常時換気された状態になるように、所定の流量に制御される。
【0021】
図2〜5に示すように、遮断板51は、光学系モジュール20の封止窓23から出射したレーザ光L1が、処理室40に到達する光路上に配置されている。遮断板51は、例えば、複数の部材を含んでいる。遮断板51は、例えば、遮断板51a及び遮断板51bを含んでいる。遮断板51a及び遮断板51bは、一方向、例えばY軸方向に延びた板状の部材となっている。遮断板51a及び遮断板51bは、板面をZ軸方向に向けて配置されている。遮断板51a及び遮断板51bは、Y軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。したがって、遮断板51a及び遮断板51bの間には、スリット54が形成されている。各遮断板51a及び51bは、+Y軸方向及び−Y軸方向に図示しないモータで可動であり、スリット54の幅(遮断板51aと遮断板51bとの間の長さ)は、適宜設定可能である。レーザ光L1は、スリット54を通過する。このように、遮断板51には、レーザ光L1が通過するスリット54が形成されている。
【0022】
レーザ光L1のY軸方向における両端部は、遮断板51a及び遮断板51bに遮断される。遮断板51a及び遮断板51bに遮断されたレーザ光L1の端部は、遮断板51a及び遮断板51bで反射し、反射光R1となる。このように、スリット54及び遮断板51に対して照射されたレーザ光L1のうち、遮断板51で遮断されたレーザ光L1が、遮断板51で反射する。
【0023】
遮断板51の光学系モジュール20側の面に、反射ミラー57が設けられてもよい。これにより、遮断板51に遮断されたレーザ光L1が、遮断板51に吸収されることを抑制することができる。よって、遮断板51の温度が上昇することにより、遮断板51の近傍の雰囲気が乱れることを抑制することができる。反射ミラー57に施される反射膜は、レーザ光L1の入射角度に対して所定の耐性を有する仕様に処理されていることが望ましい。一般的に、反射膜には、レーザ光L1の入射角度によって反射率が極端に変化するものから、レーザ光L1の入射角によっても反射率があまり変化しないものまである。本実施形態では、被照射体に対してレーザ照射を実施する際に想定しうるレーザ光L1の入射角の変化に対して、反射率が所定の範囲内に収まる反射膜を用いる。
【0024】
反射光受光部材61は、遮断板51と、光学系モジュール20との間に配置されている。例えば、反射光受光部材61は、光学系モジュール20の外側に、光学系モジュール20との間に間隔を有するように配置されている。反射光受光部材61は、例えば、板状の部材である。反射光受光部材61は、板面をZ軸方向に向けて配置されている。反射光受光部材61は、遮断板51で遮断されたレーザ光L1が遮断板51で反射された反射光R1を受光することが可能なように配置されている。例えば、レーザ光L1の入射角と、反射光R1の反射角とを考慮して、反射光受光部材61を、反射光R1の光路上に配置する。なお、反射光受光部材61を、光学系モジュール20との間に断熱材を介して間隔をあけて取り付けてもよい。これにより、反射光受光部材61と光学系モジュール20との間の断熱性を保つことができる。
【0025】
封止窓33は、密閉筐体31の一部、例えば、密閉筐体31の下面に設けられている。光学系モジュール20の封止窓23から出射したレーザ光L1は、遮断板51の間のスリット54を通る。そして、スリット54を通ったレーザ光L1は、封止窓33から処理室40に向けて出射する。
【0026】
図1に示すように、処理室40は、ガスボックス41、遮断板52、基板ステージ45、基台46、走査装置47を有している。例えば、処理室40において、基板ステージ45上に載置された基板M1にレーザ光L1が照射され、基板M1上の非晶質膜を結晶化するレーザアニール処理が行われる。基板ステージ45は、フロートタイプステージ、すなわち、被照射体である基板M1を浮上させながら搬送するステージでもよい。
【0027】
図2及び
図3に示すように、ガスボックス41は、箱状の部材であって、内部は空洞となっている。ガスボックス41は、基板ステージ45の上方であって、密閉部30における封止窓33の下方に配置されている。ガスボックス41の上面には、導入窓42が設けられている。導入窓42は、封止窓33に対向するように配置されている。また、ガスボックス41の下面には、照射窓43が設けられている。照射窓43は、基板M1上の非晶質膜に対向するように配置されている。
【0028】
ガスボックス41の所定の側面には、ガス入口44が設けられている。ガスボックス41には、ガス入口44から、所定のガス37、例えば、窒素等の不活性ガスが供給される。ガスボックス41に供給されたガス37は、ガスボックス41の内部を充填した後、照射窓43から排出される。
【0029】
遮断板52は、密閉部30の封止窓33から出射したレーザ光L1が、基板M1上の非晶質膜に到達する光路上に配置されている。遮断板52は、例えば、ガスボックス41の内部において、照射窓43を覆うように配置されている。
【0030】
図3及び
図5に示すように、遮断板52は、例えば、複数の部材を含んでいる。遮断板52は、例えば、遮断板52a及び遮断板52bを含んでいる。遮断板52a及び遮断板52bは、一方向に延びた板状の部材である。遮断板52a及び遮断板52bは、板面をZ軸方向に向け、延びた方向をY方向にして配置されている。遮断板52a及び遮断板52bは、Y軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。したがって、遮断板52a及び遮断板52bの間には、スリット55が形成されている。各遮断板52a及び52bは、+Y軸方向及び−Y軸方向に図示しないモータで可動であり、スリット55の幅(遮断板52aと遮断板52bとの間の長さ)は、適宜設定可能である。レーザ光L1は、スリット55を通過する。このように、遮断板52には、スリット54を通過したレーザ光L1が通過するスリット55が形成されている。
【0031】
レーザ光L1のY軸方向における両端部は、遮断板52a及び遮断板52bに遮断される。遮断板52a及び遮断板52bに遮断されたレーザ光L1の端部は、遮断板52a及び遮断板52bで反射し、反射光R2となる。このように、スリット55及び遮断板52に対して照射されたレーザ光L1のうち、遮断板52で遮断されたレーザ光L1が、遮断板52で反射する。
【0032】
反射光受光部材61は、スリット55及び遮断板52に対して照射されたレーザ光L1のうち、遮断板52で遮断されたレーザ光L1が遮断板52で反射された反射光R2を受光することが可能なように配置されている。
【0033】
遮断板52の光学系モジュール20側の面に、反射ミラー57が設けられてもよい。これにより、遮断板52に遮断されたレーザ光L1が、遮断板52に吸収されることを抑制することができる。よって、遮断板52の温度が上昇することにより、遮断板52の近傍の雰囲気が乱れることを抑制することができる。反射ミラー57に含まれる反射膜は、レーザ光L1の入射角度に対し、所定の耐性を有する仕様に処理されることが望ましい。
【0034】
遮断板52の間のスリット55を通ったレーザ光L1は、照射窓43から出射し、基板M1上の非晶質膜を照射する。
【0035】
基板M1は、基板ステージ45上に載置されている。基板M1は、例えば、シリコン基板等の半導体基板、または、石英基板等である。なお、基板M1は、半導体基板及び石英基板に限らない。基板M1上には、非晶質膜等の半導体を含む膜が形成されている。非晶質膜は、例えば、アモルファスシリコン(aSi)を含んでいる。基板M1上の非晶質膜をレーザ光L1によって照射することにより、結晶化させる。結晶化させることにより、基板M1上には、例えば、ポリシリコン(polySi)を含む結晶質膜が形成される。
【0036】
基板M1上の非晶質膜を照射したレーザ光L1は、非晶質膜または基板M1で反射し、反射光R3となる。反射光受光部材61は、非晶質膜または基板M1を照射したレーザ光L1が非晶質膜または基板M1で反射した反射光R3を受光することが可能なように配置されている。
【0037】
図1に示すように、基板ステージ45は、走査装置47上に、例えば、基台46を介して載置されている。基板ステージ45は、走査装置47により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。レーザアニール処理を行う際には、基板ステージ45を、走査装置47の走査により、例えば、−X軸方向の搬送方向49に搬送させる。
【0038】
次に、実施形態1に係るレーザ照射装置1を用いたレーザ照射方法を説明する。
図6は、実施形態1に係るレーザ照射装置を用いたレーザ照射方法を例示したフローチャート図である。
【0039】
図6のステップS11に示すように、まず、光学系モジュール20からレーザ光L1を出射させる。光源10から放出されたレーザ光L1の照射方向、光量等を光学系モジュール20において調整し、密閉部30に対してレーザ光L1を出射させる。例えば、被照射体が、非晶質膜等の半導体を含む膜が形成された基板M1の場合には、光学系モジュールからレーザ光を、基板M1に向けて出射させる。
【0040】
次に、
図6のステップS12に示すように、レーザ光L1を、遮断板51に形成されたスリットを通過させる。すなわち、レーザ光L1が通過するスリット54が形成された遮断板51を設け、スリット54及び遮断板51に対して照射されたレーザ光L1のうち、スリット54に対して照射されたレーザ光L1について、スリット54を通過させる。また、スリット55が形成された遮断板52を設け、スリット54を通過し、スリット55及び遮断板52に対して照射されたレーザ光L1のうち、スリット55に対して照射されたレーザ光L1について、スリット55を通過させる。
【0041】
次に、
図6のステップS13に示すように、スリット54及び遮断板51に対して照射されたレーザ光L1のうち、遮断板51に対して照射されたレーザ光L1を遮断板51で遮断する。また、スリット55及び遮断板52に対して照射されたレーザ光L1のうち、遮断板52に対して照射されたレーザ光L1を、遮断板52で遮断する。これにより、レーザ光L1の光軸に直交する断面において、端部を遮断し、端部以外の部分を被照射体の照射に用いる。
【0042】
次に、
図6のステップS14に示すように、レーザ光L1が遮断板51で反射した反射光R1を反射光受光部材61に受光させる。すなわち、光学系モジュール20と遮断板51との間に反射光受光部材61を配置し、遮断板51に対して照射されたレーザ光L1が遮断板51で反射した反射光R1を、反射光受光部材61に受光させる。また、遮断板52に対して照射されたレーザ光L1が遮断板52で反射した反射光R2を、反射光受光部材61に受光させる。
【0043】
次に、
図6のステップS15に示すように、レーザ光L1で被照射体を照射する。すなわち、スリット54及び遮断板51に対して照射されたレーザ光L1のうち、スリット54を通過させたレーザ光L1で、被照射体を照射する。被照射体が、非晶質膜等の半導体を含む膜が形成された基板の場合には、非晶質膜に対してレーザ光L1を照射する。具体的には、基板M1の搬送方向49、例えば、−X軸方向に基板M1を搬送しながら、基板M1に形成された非晶質膜に対してレーザ光L1を照射する。また、基板M1を照射したレーザ光L1が、基板M1で反射した反射光R3を反射光受光部材61に受光させる。
【0044】
このようにして、実施形態1に係るレーザ照射装置1を用いて、レーザ照射をすることができる。
【0045】
次に、実施形態1に係るレーザ照射装置1の効果を説明する。
本実施形態のレーザ照射装置1は、反射光受光部材61を有している。反射光受光部材61は、遮断板51により反射した反射光R1、遮断板52により反射した反射光R2及び被照射体により反射した反射光R3を受光するように配置されている。よって、反射光R1〜R3が、光学系モジュール20に到達することを抑制することができる。特に、遮断板51により反射した反射光R1が、光学系モジュール20の内部に進入し、各光学素子のホルダに到達することによって、各光学素子が位置ズレを発生することを抑制することができる。よって、反射光R1〜R3の照射による光学系モジュールの温度の上昇を抑制することができ、光学系モジュールの筐体の変形を抑制する。これにより、光学系モジュールに設けられた各光学素子の位置ずれを抑制し、レーザ光の照射ムラを抑制することができる。
【0046】
また、反射光R1〜R3が、一つの反射光受光部材61に到達するようにしている。よって、光学系モジュール20との間に温度勾配を発生させる要因を、例えば、反射光受光部材61だけに限定し、光学系モジュール20の温度上昇を抑制する対策を容易にすることができる。
【0047】
反射光受光部材61は、光学系モジュール20に直接取り付けず、光学系モジュール20との間に間隔を有するように配置されている。これにより、反射光受光部材61と光学系モジュール20との間の断熱性を向上させることができる。また、反射光受光部材61を、光学系モジュール20に断熱材を介して間隔を有するように取り付ける。これによっても、反射光受光部材61と光学系モジュール20との間の断熱性を向上させることができる。
【0048】
反射光受光部材61をガスボックス41の上方に設けられた封止窓33よりも上方へ配置している。よって、反射光R1〜R3を受光して仮に反射光受光部材61の近傍の温度が上昇しても、反射光受光部材61と、基板M1との間には、ガスボックス41が配置されているので、基板M1の近傍の雰囲気が乱れることを抑制することができる。よって、雰囲気の乱れによる照射ムラを抑制することができる。
【0049】
遮断板51及び52の光学系モジュール20側の面に、反射ミラー57を設けることにより、遮断板51及び52によるレーザ光L1の吸収を抑制することができる。これにより、遮断板51及び52の温度が上昇することにより、遮断板51及び52の近傍の雰囲気が乱れることを抑制することができる。よって、雰囲気の乱れによる照射ムラを抑制することができる。少なくとも、光学系モジュール20に近い遮断板51に反射ミラー57を設けることにより、雰囲気の乱れによる照射ムラを抑制することができる。
【0050】
密閉筐体31の内部を常時換気された状態になるように、ガス37の流量を制御している。これにより、密閉筐体31の内部の雰囲気における温度上昇を抑制することができる。よって、レーザ光L1が通過する雰囲気の温度勾配により、流体密度が変化し、屈折率が変動することを抑制し、照射ムラを抑制することができる。
【0051】
(比較例)
次に、比較例について説明し、その後、比較例と、実施形態1とを対比させて、レーザ光の長軸に対する反射光の熱の影響を抑制する効果を説明する。
【0052】
図7は、比較例に係るレーザ照射装置を例示した断面図である。
図7に示すように、比較例に係るレーザ照射装置101は、反射光受光部材61を有していない。したがって、遮断板51により反射した反射光R1、遮断板52により反射した反射光R2及び被照射体により反射した反射光R3は、光学系モジュール20に到達する。特に、遮断板51により反射した反射光R1は、封止窓23から光学系モジュール20の内部に進入し、各光学素子のホルダに到達する。よって、反射光R1〜R3の熱が光学系モジュール及び各光学素子のホルダに伝わり、これらの温度を上昇させる。これにより、光学系筐体21及び光学系素子のホルダが変形し、光学系モジュール20に設けられた各光学素子に位置ずれを発生させる。
【0053】
(レーザ光L1の基板M1上の形状)
図8は、基板M1に照射されたレーザ光L1の基板M1上の形状を例示した拡大図である。
図8に示すように、反射光受光部材の形態としては、比較例では、反射光受光部材を有しておらず、実施形態1では、反射光受光部材の本体部のみとなっている。なお、実施形態2については後述する。
【0054】
基板M1上のレーザ光L1の形状において、比較例のレーザ照射直後では、0μm程度の誤差範囲内の傾斜となっている。しかしながら、比較例のレーザ照射後7時間以上経過では、250μm程度の傾斜となり、レーザ照射に照射ムラが発生するほど大きく傾斜するようになる。
【0055】
一方、基板M1上のレーザ光L1の形状において、実施形態1のレーザ照射直後では、0μm程度の誤差範囲内の傾斜となっている。実施形態1のレーザ照射後7時間以上経過では、50μm程度の傾斜となり、レーザ照射における照射ムラが許容範囲内となる程度の傾斜となる。
【0056】
このように、実施形態1では、反射光受光部材61を設けることにより、反射光R1〜R3の照射による光学系モジュール20の温度の上昇を抑制することができ、光学系モジュール20に設けられた各光学素子の位置ずれを抑制することができる。よって、レーザ光L1の照射ムラを抑制することができる。
【0057】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るレーザ照射装置を説明する。
図9は、実施形態2に係るレーザ照射装置の要部を例示した断面図である。
図10は、実施形態2に係る反射光受光部材を例示した断面図である。
図11は、
図10に示す反射光受光部材の切断線C−Cにおける断面図である。
【0058】
図9〜
図11に示すように、本実施形態のレーザ照射装置2においても、反射光受光部材62は、遮断板51と、光学系モジュール20との間に設けられている。例えば、反射光受光部材62は、光学系モジュール20に、断熱材58を介して間隔を有するように取付けられている。反射光受光部材62は、例えば、板状の部材である。反射光受光部材62は、板面をZ軸方向に向けて配置されている。なお、反射光受光部材62を、光学系モジュール20に断熱材58を介して取り付けず、光学系モジュール20の外側に、光学系モジュール20との間に間隔を有するように配置してもよい。これにより、反射光受光部材60と光学系モジュール20との間の断熱性を保つことができる。
【0059】
反射光受光部材62は、本体部62a及び空気を含んだ断熱空気層62bを有している。本体部62aは、反射光R1、反射光R2及び反射光R3を受光するように配置されている。断熱空気層62bは、本体部62aの光学系モジュール20側に設けられている。例えば、本体部62a及び断熱空気層62bは、反射光受光部材62の板面方向に積層されている。断熱空気層62bには、吸気口(図示せず)及び排気口(図示せず)が設けられている。吸気口から所定のガス、例えば、空気を供給し、排気口から廃棄することにより、断熱空気層62bの内部を排気することができる。
【0060】
このような構成とすることにより、本体部62aが反射光を受光することにより発生した熱が光学系モジュール20に伝わることを抑制することができる。なお、断熱空気層62bは、反射光受光部材62と光学系モジュール20との間の断熱性を向上させることができれば、空気以外のガスを供給及び排出してもよいし、断熱空気層62bの内部の圧力を変化させてもよい。
【0061】
反射光受光部材62の本体部62aには、冷却液が流れる冷却液流路62cが設けられている。したがって、反射光受光部材62は、冷却液が流れる冷却液流路62cを有した冷却ジャケットを備えている。冷却液流路62cは、例えば、本体部62aの内部において、板面に平行な面内で蛇行するように配置されている。冷却液流路62cを流れる冷却液の入口及び出口は、本体部62aの側面に設けられている。これにより、冷却液流路62cの入口から供給された冷却液が、冷却液流路62cを一巡して、冷却液流路62cの出口から排出する。冷却液は、所定の温度に温度調整されている。
【0062】
実施形態2に係るレーザ照射装置2におけるその他の構成は、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
実施形態2に係るレーザ照射装置2を用いたレーザ照射方法は、実施形態1に係るレーザ照射装置1を用いたレーザ照射方法において、反射光受光部材61の代わりに反射光受光部材62を用いる。そして、反射光受光部材62における断熱空気層62bに空気等を供給及び排出するとともに、冷却液流路62cに冷却液を供給及び排出する。それ以外については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0064】
次に、実施形態2に係るレーザ照射装置の効果を説明する。
本実施形態のレーザ照射装置2の反射光受光部材62は、冷却ジャケットを備えている。すなわち、本体部62aに、冷却液が流れる冷却液流路62cを有している。したがって、受光した反射光R1〜R3による熱で、反射光受光部材62の温度が上昇することを抑制することができる。これにより、反射光受光部材62からの放射熱により、光学系モジュール20の温度が上昇することを抑制することができる。
【0065】
図8に示すように、反射光受光部材の形態としては、実施形態2では、冷却ジャケット(本体部62a及び冷却液流路62c)、並びに、断熱空気層62bを有している。基板M1上のレーザ光L1の形状において、実施形態2のレーザ照射直後では、0μm程度の誤差範囲内の傾斜となっている。実施形態2のレーザ照射後7時間以上経過では、10μm以下の傾斜に抑制することができ、レーザ照射における照射ムラを許容範囲内に抑制することができる。
【0066】
このように、実施形態2では、反射光受光部材62により、反射光R1〜R3の照射による光学系モジュールの温度の上昇を抑制することができ、光学系モジュールに設けられた各光学素子に位置ずれを抑制し、レーザ光の照射ムラを抑制することができる。
【0067】
断熱空気層62bの内部を排気することができる。このような構成により、本体部62aが反射光を受光することにより発生した熱を、光学系モジュール20に伝わることを抑制することができる。また、断熱空気層62bは、本体部62aと光学系モジュール20との間の断熱の機能を有している。これにより、冷却液流路62cの冷却液が光学系モジュール20よりも低温の場合にも、光学系モジュール20の温度の低下を抑制し、熱応力により、光学素子の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0068】
さらに、反射光R1〜R3が、ひとつの反射光受光部材62に到達するようにしている。よって、冷却液により冷却する箇所を反射光受光部材62に限定することができるので、光学系モジュール20の温度上昇を抑制する対策を容易にすることができる。その他の効果は、実施形態1の効果と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係るレーザ照射装置を説明する。
図12は、実施形態3に係るレーザ照射装置の要部を例示した断面図である。
図13は、実施形態3に係る反射光受光部材を例示した断面図である。
図14は、実施形態3に係る熱吸収素子を例示した断面図である。
【0070】
図12〜14に示すように、本実施形態のレーザ照射装置3において、反射光受光部材63は、冷却ジャケット(本体部63a及び冷却液流路63c)、断熱空気層63bの他に、熱吸収素子63dを有している。また、本実施形態のレーザ照射装置3の遮断板71は、光学系モジュール20側に曲がっている。
【0071】
熱吸収素子63dは、反射光受光部材63の、遮断板71側に設けられている。熱吸収素子63dは、反射光R1、反射光R2及び反射光R3を受光するように配置されている。熱吸収素子63dは、板状の部材となっている。熱吸収素子63dは、板面をZ軸方向に向けて本体部63aに取付けられている。よって、熱吸収素子63dの一方の板面は、遮断板71側を向き、他方の板面は、光学系モジュール20側を向いている。
【0072】
熱吸収素子63dは、レーザ光L1及び反射光R1〜R3の波長、例えば、エキシマレーザの波長に適合した熱を吸収する部材となっている。例えば、熱吸収素子63dは、熱を吸収する熱吸収膜を複数層コーティングした部材である。熱吸収膜の厚さ、コーティングする層数等を調整することにより、吸収するレーザ光L1の波長に適合させることができる。
【0073】
図14に示すように、熱吸収素子63dの遮断板71側の面には、熱を吸収する熱吸収膜を複数層コーティングした多層熱吸収膜59aが形成されている。多層熱吸収膜59aは、反射光R1〜R3の入射角に対して所定の耐性を有する仕様に処理されていることが望ましい。一般的に、多層熱吸収膜には、反射光R1〜R3の入射角によって熱吸収率が極端に変化するものから、反射光R1〜R3の入射角によっても熱吸収率があまり変化しないものまであるが、本実施形態では、反射光R1〜R3の入射角の変化に対して、熱の吸収率が所定の範囲内に収まる多層熱吸収膜を用いる。熱吸収素子63dにおける遮断板71側の多層熱吸収膜59aの熱吸収率を、例えば、50%とする。
【0074】
一方、熱吸収素子63dの光学系モジュール20側の面にも、多層熱吸収膜59bが形成されている。例えば、多層熱吸収膜59bの熱吸収率は98%である。このように、熱吸収素子63dの遮断板71側の面に形成された多層熱吸収膜59aの吸収率は、熱吸収素子63dの光学系モジュール20側の面に形成された多層熱吸収膜59bの吸収率よりも小さくなっている。このような構成とすることにより、熱吸収素子63dが吸収する熱を本体部63a側に伝熱しやすくすることができるので、熱吸収素子63dの劣化を抑制し、熱吸収素子63dを長寿命化することができる。
【0075】
また、熱吸収素子63dの遮断板71側の面には、フロスト処理が施されていてもよい。これにより、反射光R1〜R3の熱による多層熱吸収膜59a及び59bの劣化を抑制することができる。
【0076】
本実施形態のレーザ照射装置3の遮断板71は、光学系モジュール20側に曲がっている。例えば、遮断板71は、水平部72と、傾斜部73とを含んでいる。
【0077】
水平部72は、板面がZ軸方向を向いた水平な部分である。遮断板71を密閉部30内に配置する際に、水平部72により固定することができるとともに、水平部72の位置を微調整することによって、レーザ光L1の光軸に対する位置調整を容易にすることができる。
【0078】
傾斜部73は、水平部72から光学系モジュール20側に傾斜した部分である。光学系モジュール20から出射したレーザ光L1は、傾斜部73におけるスリット54及び傾斜部73に対して照射される。そして、傾斜部73に照射されたレーザ光L1が傾斜部73により反射した反射光R1は熱吸収素子63dに受光されるように遮断板71は配置されている。
【0079】
このように、反射光R1は、遮断板71に対して照射されたレーザ光L1が、傾斜した傾斜部73で反射した反射光を含んでいる。反射光受光部材63における反射光R1、反射光R2及び反射光R3を受光する部分において、反射光R1の入射角は、反射光R2及び反射光R3の入射角と異なっている。傾斜部73におけるスリット54を通過したレーザ光L1は、封止窓33から処理室40に向けて出射する。
【0080】
実施形態3に係るレーザ照射装置3におけるその他の構成は、実施形態1及び2と同様であるので、説明を省略する。
【0081】
実施形態3に係るレーザ照射装置3を用いたレーザ照射方法は、実施形態1に係るレーザ照射装置1を用いたレーザ照射方法において、反射光受光部材61の代わりに反射光受光部材63を用い、遮断板51の代わりに遮断板71を用いること以外は、同様であるので説明を省略する。
【0082】
次に、本実施形態のレーザ照射装置3の効果を説明する。
本実施形態の反射光受光部材63は、熱吸収素子63dを有している。したがって、反射光R1〜R3による熱を熱吸収素子63dに吸収させることができる。これにより、反射光受光部材63からの放射熱により、光学系モジュール20の温度の上昇を抑制することができる。また、熱吸収素子63dが吸収した熱を、冷却液流路63cを流れる冷却液により冷却することができる。よって、反射光受光部材63からの放射熱を低減させ、光学系モジュール20の温度の上昇をさらに抑制することができる。これにより、光学系モジュールに設けられた各光学素子に位置ずれを抑制し、レーザ光の照射ムラを抑制することができる。
【0083】
多層熱吸収膜59aは、反射光R1〜R3の入射角に対して所定の耐性を有する仕様に処理されている。よって、反射光R1〜R3の入射角にかかわりなく、反射光R1〜R3による熱を吸収することができる。
【0084】
多層熱吸収膜59aの吸収率を、多層熱吸収膜59bの吸収率よりも小さくしている。これにより、熱吸収素子63dの耐久性を向上させ、長寿命化することができる。
【0085】
遮断板71を光学系モジュール20側に曲げている。これにより、反射光受光部材63において、遮断板71により反射した反射光R1を受光する箇所を、反射光R2及びR3を受光する箇所に近づけることができる。場合によっては、同じ個所に受光させることができる。よって、冷却する箇所を小さくまとめることができ、冷却を容易にすることができる。また、受光する箇所を小さくまとめることができるので、熱吸収素子63dを小さくすることができる。その他の効果は、実施形態1及び2と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
(実施形態4:半導体装置の製造方法)
次に、上記で説明したレーザ照射装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。本実施の形態では、レーザ照射装置を、レーザアニール装置として用いることで、基板上に形成した非晶質膜にレーザ光を照射して非晶質膜を結晶化させることができる。例えば、半導体装置はTFT(Thin Film transistor)を備える半導体装置であり、この場合はアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して結晶化させてポリシリコン膜を形成することができる。
【0087】
図15(a)〜(e)は、実施形態4に係る半導体装置の製造方法を例示した断面図である。上記で説明した本実施形態にかかるレーザ照射装置は、TFTアレイ基板の製造に好適である。以下、TFTを有する半導体装置の製造方法について説明する。
【0088】
まず、
図15(a)に示すように、ガラス基板201上に、ゲート電極202を形成する。ゲート電極202は、例えば、アルミニウムなどを含む金属薄膜を用いることができる。次に、
図15(b)に示すように、ゲート電極202の上に、ゲート絶縁膜203を形成する。ゲート絶縁膜203は、ゲート電極202を覆うように形成される。その後、
図15(c)に示すように、ゲート絶縁膜203の上に、アモルファスシリコン膜204を形成する。アモルファスシリコン膜204は、ゲート絶縁膜203を介して、ゲート電極202と重複するように配置されている。
【0089】
ゲート絶縁膜203は、窒化シリコン膜(SiN
x)、酸化シリコン膜(SiO
2膜)、又はこれらの積層膜等などである。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート絶縁膜203とアモルファスシリコン膜204とを連続成膜する。
【0090】
そして、
図15(d)に示すように、上記実施形態1〜3で説明したレーザ照射装置を用いてアモルファスシリコン膜204にレーザ光を照射してアモルファスシリコン膜204を結晶化させて、ポリシリコン膜205を形成する。これにより、シリコンが結晶化したポリシリコン膜205がゲート絶縁膜203上に形成される。
【0091】
このとき、上記で説明した実施形態1〜3に係るレーザ照射装置を用いたレーザ照射方法を適用することで、光学系モジュール20の温度上昇を抑制し、レーザ光L1の照射ムラを抑制することができる。よって、均一に結晶化されたポリシリコン膜205を形成することができる。
【0092】
その後、
図15(e)に示すように、ポリシリコン膜205の上に層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bを形成する。層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bは、一般的なフォトリソグラフィー法や成膜法を用いて形成することができる。
【0093】
上記で説明した半導体装置の製造方法を用いることで、TFTを備える半導体装置を製造することができる。なお、これ以降の製造工程については、最終的に製造するデバイスによって異なるので説明を省略する。
【0094】
(有機ELディスプレイ)
次に、TFTを備える半導体装置を用いたデバイスの一例として、有機ELディスプレイについて説明する。
図16は、有機ELディスプレイの概要を説明するための断面図であり、有機ELディスプレイの画素回路を簡略化して示している。
図16に示す有機ELディスプレイ300は、各画素PXにTFTが配置されたアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0095】
有機ELディスプレイ300は、基板310、TFT層311、有機層312、カラーフィルタ層313、及び封止基板314を備えている。
図16では、封止基板314側が視認側となるトップエミッション方式の有機ELディスプレイを示している。なお、以下の説明は、有機ELディスプレイの一構成例を示すものであり、本実施の形態は、以下に説明される構成に限られるものではない。例えば、本実施の形態にかかる半導体装置は、ボトムエミッション方式の有機ELディスプレイに用いられていてもよい。
【0096】
基板310は、ガラス基板又は金属基板である。基板310の上には、TFT層311が設けられている。TFT層311は、各画素PXに配置されたTFT311aを有している。さらに、TFT層311は、TFT311aに接続される配線等を有している。TFT311a、及び配線等が画素回路を構成する。なお、TFT層311は、
図16で説明したTFTに対応しており、ゲート電極202、ゲート絶縁膜203、ポリシリコン膜205、層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bを有する。
【0097】
TFT層311の上には、有機層312が設けられている。有機層312は、画素PXごとに配置された有機EL発光素子312aを有している。有機EL発光素子312aは、例えば、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極が積層された積層構造を有している。トップエミッション方式の場合、陽極は金属電極であり、陰極はITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜である。さらに、有機層312には、画素PX間において、有機EL発光素子312aを分離するための隔壁312bが設けられている。
【0098】
有機層312の上には、カラーフィルタ層313が設けられている。カラーフィルタ層313は、カラー表示を行うためのカラーフィルタ313aが設けられている。すなわち、各画素PXには、R(赤色)、G(緑色)、又はB(青色)に着色された樹脂層がカラーフィルタ313aとして設けられている。有機層312から放出された白色光は、カラーフィルタ313aを通過すると、RGBの色の光に変換される。なお、有機層312に、RGBの各色を発光する有機EL発光素子が設けられている3色方式の場合、カラーフィルタ層313を省略してもよい。
【0099】
カラーフィルタ層313の上には、封止基板314が設けられている。封止基板314は、ガラス基板などの透明基板であり、有機層312の有機EL発光素子の劣化を防ぐために設けられている。
【0100】
有機層312の有機EL発光素子312aに流れる電流は、画素回路に供給される表示信号によって変化する。よって、表示画像に応じた表示信号を各画素PXに供給することで、各画素PXでの発光量を制御することができる。これにより、所望の画像を表示することができる。
【0101】
なお、上記では、TFTを備える半導体装置を用いたデバイスの一例として、有機ELディスプレイについて説明したが、TFTを備える半導体装置は、例えば液晶ディスプレイであってもよい。また、上記では、本実施の形態にかかるレーザ照射装置をレーザアニール装置に適用した場合について説明した。しかし、本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、レーザアニール装置以外の装置にも適用することができる。
【0102】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0103】
また、実施形態3における遮断板71を、実施形態1のレーザ照射装置1に適用する等、各実施形態における構成を各実施形態間で、適宜交換してもよい。