(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、レーザ加工ヘッドに備えた保護ガラスの外周面に沿って配置した光検出センサによって、前記保護ガラスにスパッタ等の汚れが付着したことの検出が行われている。前記汚れの検出は、付着したスパッタ等によって乱反射され、保護ガラス内において乱反射されたレーザ光を前記光検出センサによって検出することによって行われている。また、LEDによって検出光を保護ガラスに入射し、この検出光が付着したスパッタによって乱反射されたことを検出することによって行われている。
【0005】
ところで、従来は、スパッタ等の汚れによって乱反射された反射光を前記光検出センサによって検出した際の検出値が、予め設定した設定値よりも大きい場合には、保護ガラスの交換が行われている。すなわち、従来は、光検出センサによる検出値は、保護ガラスに付着したスパッタの付着量が多くなると、光検出センサによる検出値が大きくなるものと考えられていた。したがって、光検出センサによる検出値が設定値より大きい場合には、保護ガラスの交換が行われている。
【0006】
しかし、光検出センサによる検出値が設定値より大きい場合であっても、付着したスパッタが微小であって、保護ガラスが継続して使用可能な場合もある。したがって、光検出センサによる検出値が設定値よりも大きいことにより、保護ガラスの交換を行う場合、無駄な交換を行う場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は
、レーザ加工ヘッドに備えた光学素子の汚れ検出方法であって、
前記光学素子の外周面に沿って
配置された少なくとも1つの光検出センサを
用い、前記光検出センサにおける検出値が設定値以下の低レベルの状態にあるときに、位相差が160°〜200°の範囲以外において前記光検出センサの検出値が
前記設定値以上
である場合には、
前記光学素子の交換
は不要である
と検出する
光学素子の汚れ検出方法を提供する。
【0008】
本発明は、レーザ加工ヘッドに備えた光学素子の汚れ検出方法であって、
前記光学素子の外周面に沿って
配置された複数の光検出センサを
用い、前記複数の光検出センサのうちのいずれかの光検出センサの検出値が設定値以下の低レベルの状態にあるときに、位相差が160°〜200°の範囲以外の
他の光検出センサにおける検出値が
前記設定値以上
である場合には、光学素子の交換
は不要である
と検出する
光学素子の汚れ検出方法を提供する。
【0009】
本発明は、レーザ加工ヘッドに備えた光学素子の汚れ検出装置であって、
前記光学素子の外周面に沿って
、160°〜200°の位相差以外に配置された第1,第2の光検出センサ
と、前記第1,第2の光検出センサの検出値と予め設定した設定値とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較の結果、
前記第1,第2の光検出センサのうちの一方の光検出センサの検出値が前記設定値以下であり、
前記第1,第2の光検出センサのうちの他方の光検出センサの検出値が前記設定値以上
である場合には、前記光学素子の交換
は不要であると判別する判別手段
とを備える光学素子の汚れ検出装置
を提供する。
【0010】
本発明は、レーザ加工ヘッドに備えた光学素子の汚れ検出装置であって、
前記光学素子の外周面に沿って
配置された光検出センサを備え
、前記光検出センサは前記光学素子の外周面に沿って相対的に移動自在に構成されている光学素子の汚れ検出装置を提供する。
【0011】
上記の光学素子の汚れ検出方法において、前記光学素子の外周面に沿って配置された1つの光検出センサを用い、前記光学素子は回転自在とされており、前記光学素子が第1の回転位置であるときに前記光検出センサにおける検出値が設定値以下の低レベルの状態であり、前記光学素子が第2の回転位置であるときに前記光検出センサにおける検出値が前記設定値以上であるとき、前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との位相差が160°〜200°の範囲以外であれば、前記光学素子の交換は不要であると検出することができる。
【0012】
上記の光学素子の汚れ検出方法において、前記光学素子の外周面に沿って配置された1つの光検出センサを用い、前記光検出センサは前記光学素子の外周面に沿って回転自在とされており、前記光検出センサが第1の回転位置であるときに前記光検出センサにおける検出値が設定値以下の低レベルの状態であり、前記光検出センサが第2の回転位置であるときに前記光検出センサにおける検出値が前記設定値以上であるとき、前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との位相差が160°〜200°の範囲以外であれば、前記光学素子の交換は不要であると検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光検出センサの検出値が、設定値よりも大きくなった場合でも、光検出センサによる検出値が低レベル状態にある微小なスパッタが保護ガラスに付着したものとして検出できる。そして、この場合には、保護ガラスを継続して使用可能と判別できる。したがって、誤検出を防止し、使用可能な保護ガラスを交換することの無駄を無くすことができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、理解を容易にするために、先ず、実施形態において、レーザ加工ヘッドの保護ガラスに、汚れとしてのスパッタが付着したことを検出する原理について説明する。
【0016】
図1に概念的に示すように、レーザ加工ヘッド(図示省略)に備えた集光レンズ1の下側には、レーザ加工位置から飛散するスパッタ3から前記集光レンズ1を保護する光学素子としての保護ガラス5が配置してある。そして、前記保護ガラス5の外周面に沿って、フォトダイオードなどのごとき光検出センサ7が備えられている。
【0017】
上記構成において、ワーク(図示省略)のレーザ加工を行うべく、レーザ光LBを集光レンズ1によって集光してワークへ照射すると、ワークのレーザ加工が行われる。ワークのレーザ加工を行うときには、ワークのレーザ加工位置からスパッタ3が飛散して保護ガラス5に付着することがある。
【0018】
汚れとしてのスパッタ3が保護ガラスに付着すると、スパッタ3に照射されたレーザ光LBが乱反射される。そして、乱反射されたレーザ光LBの一部は、保護ガラス5内において乱反射して、保護ガラス5の外周面から外部へ漏出することになる。したがって、光検出センサ7によって、汚れとしてのスパッタ3が付着したことを検出することができるものである。
【0019】
ところで、前記スパッタ3の大きさが例えば200μm程度に微小(微細)な場合であって、かつ小数(例えば1個)の場合であっても、前記光検出センサ7による検出値が、保護ガラス5の交換を行うために予め設定した設定値よりも大きくなることがある。しかし、保護ガラス5に対するスパッタ3が、微小な場合には、保護ガラス5は継続して使用可能である。したがって、光検出センサ7の検出値が設定値よりも大きくなったことをもって、直ちに保護ガラス5の交換を行うには無駄が多いことになる。
【0020】
そこで、保護ガラス5に対して微細なスパッタ3を実験的に付着して、保護ガラス5の周囲に配置した光検出センサ7に対して保護ガラスを360°回転させ、33箇所の回転位置で光強度を測定した。この保護ガラスの回転位置と、その回転位置での前記光検出センサ7の検出値との関係を調べたところ、
図2に示すように、位相(角度)の異なる2箇所において保護ガラスの交換が必要な設定値を上回る検出値のピークが表れ、このピーク以外の検出値は保護ガラスの交換が必要な設定値をはるかに下回る低レベルの検出値であることを見出した。
【0021】
前記検出値のピークの間隔は、160°〜200°の範囲に分布している。しかし、約180°の範囲の分布が多かった。そこで、保護ガラス5にスパッタ3が付着すると、何故約180°の間隔でもって検出値のピーク値が表れるのかを考察すると、次のように考えられる。
【0022】
すなわち、ワークの加工位置から飛散したスパッタ3は、高温であることにより、
図3(A)に示すように球状を呈しているものと考えられる。そして、保護ガラス5の下面に対して斜めに衝突すると、スパッタ3は、
図3(B)に示すように、ほぼ楕円形状に変形し、固化し付着するものと考えられる。そして、前述したように、レーザ光LBが変形したスパッタ3に照射されると、スパッタ3の全外周面からレーザ光LBが乱反射される。しかし、スパッタ3はほぼ楕円形に変形されるので、楕円の長径方向に対して直交する方向への反射光量が多くなり、約180°の位相差(角度差)をもってピーク値が表れるものと考えられる。
【0023】
ところで、保護ガラス5の下面に衝突して固化したスパッタ3は、保護ガラス5の下面に衝突する傾斜角度、直前の形状、温度及び衝突速度等によって、必ずしも一定の形状に変化するとは限らないものである。したがって、前記光検出センサ7によって検出したときのピーク値は、約160°〜200°の範囲に分布するものと考えられる。
【0024】
上述に鑑みて、保護ガラス5の汚れを検出する
汚れ検出装置9は、
図4に示す構成である。すなわち、レーザ加工装置(図示省略)におけるレーザ加工ヘッド11(全体的構成は図示省略)にはガラスホルダ13が備えられている。そして、このガラスホルダ13に
は保護ガラス5が備えられている。この保護ガラス5の外周面に沿って第1,第2の光検出センサ7A,7Bが備えられている
。第1,第2の光検出センサ7A,7Bは、保護ガラス5の周方向の配置が約160°〜200°の位相差の配置とならないように、160°〜200°の位相差以外に配置してある。
【0025】
したがって、例えば新品の保護ガラス5に微細(微小)なスパッタ3が付着した場合
、スパッタ3において乱反射されたレーザ光LBの一部を第1,第2の光検出センサ7A,7Bによって検出することができる。この場合、
一方の光検出センサ7として例えば第1
の光検出センサ7Aの検出値が予め設定した設定値以上になった場合であっても、他方の
光検出センサ7である第2
の光検出センサ7Bの検出値は、例えば、新品な保護ガラス5に対応した低レベルの検出値(保護ガラス5の交換が不用な検出値)とな
る。すなわち、スパッタ3が付着した場合、
図2(A),(B)に示
すように、設定値以上のピーク値は約180°の位相差をもって表れ
る。したがって、
第1の光検出センサ7Aが前記ピーク値に相当する検出値の場合には、
第2の光検出センサ7Bは、例えばピーク値間の低レベルの検出値とな
る。
【0026】
既に理解されるように、保護ガラス5にスパッタ3が付着することによって、
第1の光検出センサ7Aの検出値が設定値よりも大きくなった場合であっても、
第2の光検出センサ7Bの検出値が設定値よりも低レベルの場合には、保護ガラス5は使用可能な状態であると判別することができ
る。
【0027】
第1,第2の光検出センサ7A,7Bの検出値に基づいて保護ガラス5の交換を指示するために
、第1,第2の光検出センサ7A,7Bは、検出センサインターフェース回路および信号変換器(A/D変換器)を介して交換指示装置15に接続してある。この交換指示装置15は、例えばマイコンなどのコンピュータから構成してあって、CPU17,RAM19,ROM21を備えている。また
、交換指示装置15は
、第1,第2の光検出センサ7A,7Bの検出値を個別に格納する第1,第
2メモリ23,25を備えている。
【0028】
さらに
、交換指示装置15は、予め設定した設定値としてワーニングレベルの設定値を格納した第1設定値メモリ27と、アラームレベルとしてワーニングレベルの設定値よりも大きな設定値を格納した第2設定値メモリ29を備えている。また
、交換指示装置15は
、第1,第2の光検出センサ7A,7Bの検出値と、予め設定した第1,第
2設定値メモリ27,29の設定値とを比較する比較手段31を備えている。そして
、比較手段31の比較結果に基づいて保護ガラス5の交換が必要
か不要かを
判別する判別手段33を備えている。この判別手段33の判別結果を表示するモニタ等のごとき表示手段35
が交換指示装置15に接続してある。
【0029】
上記構成において、第1,第2の光検出センサ7A,7Bの受光素子で、散乱光は電流値に変換され、検出センサインターフェース回路で、さらにアナログ処理される。その後、信号変換器でアナログ信号からデジタル信号に変換され、それぞれの光検出センサの検出値であ
るデジタル信号データが第1,第
2メモリ23,25に格納される。そして、第1,第2メモリ23,25に格納された検出値と第1,第
2設定値メモリ27,29に格納された設定値とが比較手段31によって比較される。この比較の結果、第1,第2の光検出センサ7A,7Bの検出値が何れも第1設定値メモリ27に格納された設定値よりも小さな低レベルの場合には、判別手段33において、保護ガラス5の交換は不要であると判別される。すなわち保護ガラス5は正常である旨の判別が行われる。
【0030】
そして、第1,第2の光検出センサ7A,7Bの検出値の何れか一方、又は両方が、第1,第
2設定値メモリ27,29に格納された設定値の間のレベルである場合には、保護ガラス5は使用可能である。しかし交換時期が近づいていることを、表示手段35に表示することになる。
【0031】
第1,第2の光検出センサ7A,7Bの検出値レベルが何れも第
2設定値メモリ29よりも大きくなった場合には、保護ガラス5の交換を行う旨の表示を表示装置に行うことになる。
【0032】
ところで、第1,第2の光検出センサ7A,7Bにおいて、
第1の光検出センサ7Aの検出値
が第2設定値メモリ29に格納された設定値よりも大きなレベルであり、
第2の光検出センサ7Bの検出値
が第1設定値メモリ27に格納した設定値よりも低レベルの場合には、前述したように、保護ガラス5に少量のスパッタ3が付着した場合であると
、判別手段33によって判別される。したがって、この場合には、
第1の光検出センサ7Aの検出レベルが設定値よりも大きな場合であっても、保護ガラス5は継続して使用可能であるものと判別されることになり、表示手段35にその旨の表示が行われることになる。
【0033】
以上のごとき説明より理解されるように、
第1の光
検出センサ7Aの検出値レベルが予め設定した設定値より大であっても、
第2の光
検出センサ7Bの検出レベルが設定値より小の場合には、保護ガラス5は使用可能であるものと判別される。したがって、
第1の光検出センサ7Aの検出値が設定値以上のレベルであっても、保護ガラス5を直ちに交換する必要はな
い。よって、継続して使用可能な保護ガラス5を交換するような無駄をなくすことができ
る。
【0034】
ところで、本発明は、前述したごとき実施形態のみに限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でもって実施可能である。すなわち、例えば
図5に概略的に示すように、ガラスホルダ13に保護ガラス5を、例えば適宜のアクチュエータによって回転自在に備えると共に保護ガラス5の回転角を検出するロータリエンコーダ等のごとき角度検出手段(図示省略)を備える。そして、前記保護ガラス5の外周面に沿った適宜位置に光検出センサ7を備えた構成とすることも可能である。この場合、
図2で説明した方法と同様に、保護ガラスを360°回転させ、適宜複数の回転位置で光強度を測定し、それぞれ、保護ガラスの回転位置と、その回転位置で
の光検出センサ7の検出値とを関連付けて交換
指示装置
15内に別途メモリを設けそこに保存し、光検出センサ7のピーク値が約180°位相差(角度差)もって存在するか否かによって、保護ガラス5に微小のスパッタ3が付着した汚れか否かを判別でき
る。なおこの場合、保護ガラスを360°回転させる方法を示したが、例えば保護ガラスを約90
°回転させて複数の回転位置での光検出センサの検出値の中に仮にピーク値があったとしても、低レベルの信号も検出されれば保護ガラス5に微小のスパッタ3が付着した汚れと判別することもでき
る。
【0035】
また、
図6に概略的に示すように、保護ガラス5の周囲に備えた光検出センサ7を、保護ガラス5の外周面に沿って移動自在(回転自在)に備えると共に、光検出センサ7の回転角を検出する適宜の角度検出手段を備えた構成とすることも可能である。
【0036】
すなわち、保護ガラス5の外周面に沿って、光検出センサ7を相対的に移動自在に備えた構成とするものである。
【0037】
また、集光レンズ1とワークとの間に配置する保護ガラス5のスパッタ3検出の光検出センサについて記述したが、保護ガラス5を実装しない形態の場合は集光レンズ1の外周面に沿って光検出センサを備えた構成とすることも可能である。
【0038】
本件発明においては保護ガラス5および集光レンズ1を光学素子と言う。
【0039】
また、保護ガラスの外周面に光検出センサを配置した構成に代えて、保護ガラスの外周面に漏出したレーザ光LBの波長を伝搬可能な光ファイバを介して光
検出センサを配置して
交換指示装置15に接続し、光ファイバを介して伝搬した散乱光を
その光検出センサ
によって検出することも可能である。
【0040】
上述のごとき変更態様においても、前述したごとき効果を奏し得るものである。