(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(A)、前記成分(B)、前記成分(C)、前記成分(D)及び前記成分(E)の合計重量に対して、前記成分(A)の重量割合が30〜89重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜50重量%、前記成分(C)の重量割合が5〜50重量%、前記成分(D)及び/又は前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%である、請求項1に記載の多層ポリプロピレン系延伸フィルム。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高速自動包装時にも耐えうる熱融着強度と平滑性に優れた多層ポリプロピレン系延伸フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、基材層及び熱融着層を含有する多層ポリプロピレン系延伸フィルムであって、前記熱融着層が前記フィルムの最外層にあり、前記基材層に特定の成分を含む多層ポリプロピレン系延伸フィルムであれば、高速自動包装時にも耐えうる熱融着強度と平滑性に優れた多層ポリプロピレン系延伸フィルムが得られることを発見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、基材層及び熱融着層を含有する多層ポリプロピレン系延伸フィルムであって、前記熱融着層が前記フィルムの最外層にあり、前記基材層が、ポリプロピレン系樹脂と、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物脂肪酸エステルである成分(A)と、グリセリン脂肪酸エステルである成分(B)と、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物である成分(C)と、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである成分(D)及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルである成分(E)とを含み、前記成分(A)が、下記一般式(1)で表される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物モノ脂肪酸エステルである成分(A−1)と、下記一般式(2)で示される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物ジ脂肪酸エステルである成分(A−2)とを含み、
前記成分(A−1)と前記成分(A−2)との重量比(A−1/A−2)が50/50〜90/10であり、
前記成分(B)が、グリセリンモノ脂肪酸エステルである成分(B−1)と、グリセリンジ脂肪酸エステルである成分(B−2)とを含み、
前記成分(B−1)と前記成分(B−2)との重量比(B−1/B−2)が95/5〜50/50であり、前記成分(C)が下記一般式(3)で示される化合物である。
【0011】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基である。R
1の炭素数は8〜22、R
2の炭素数は7〜21である。a及びbはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、a及びbは0以上であり、a+bは2〜3を満足する数である。)
【0012】
【化2】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルキニル基である。2つあるR
4は互いに同一であっても異なっていてもよい。R
3の炭素数は8〜22であり、R
4の炭素数は7〜21であり、c及びdはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、c及びdは0以上であり、c+d=2〜3を満足する数である。)
【0013】
【化3】
(式中、R
5はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルキニル基であり、R
5の炭素数は8〜22であり、e及びfはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、e及びfは0以上であり、e+f=2〜3を満足する数である。)
【0014】
前記成分(A)、前記成分(B)、前記成分(C)、前記成分(D)及び前記成分(E)の合計重量に対して、前記成分(A)の重量割合が30〜89重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜50重量%、前記成分(C)の重量割合が5〜50重量%、前記成分(D)及び/又は前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%であると好ましい。
前記成分(D)が、ソルビタン脂肪酸エステルに対するオキシエチレン基の付加モル数が1〜30であり、炭素数8〜22の脂肪酸残基を有すると好ましい。
前記成分(E)が平均重合度
3〜10のポリグリセリンのエステル誘導体であって、炭素数8〜22の脂肪酸残基を有すると好ましい。
【0015】
本発明のマスターバッチは、ポリプロピレン系樹脂と、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物脂肪酸エステルである成分(A)と、グリセリン脂肪酸エステルである成分(B)と、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物である成分(C)
と、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである成分(D)及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルである成分(E)とを含むマスターバッチであって、
前記成分(A)が、下記一般式(1)で表される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物モノ脂肪酸エステルである成分(A−1)と、下記一般式(2)で示される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物ジ脂肪酸エステルである成分(A−2)とを含み、
前記成分(A−1)と前記成分(A−2)との重量比(A−1/A−2)が50/50〜90/10であり、
前記成分(B)が、グリセリンモノ脂肪酸エステルである成分(B−1)と、グリセリンジ脂肪酸エステルである成分(B−2)とを含み、
前記成分(B−1)と前記成分(B−2)との重量比(B−1/B−2)が95/5〜50/50であり、前記成分(C)が下記一般式(3)で示される化合物である、マスターバッチである。
【0016】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基である。R
1の炭素数は8〜22、R
2の炭素数は7〜21である。a及びbはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、a及びbは0以上であり、a+bは2〜3を満足する数である。)
【0017】
【化2】
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルキニル基である。2つあるR
4は互いに同一であっても異なっていてもよい。R
3の炭素数は8〜22であり、R
4の炭素数は7〜21であり、c及びdはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、c及びdは0以上であり、c+d=2〜3を満足する数である。)
【0018】
【化3】
(式中、R
5はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルキニル基であり、その炭素数は8〜22であり、e及びfはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、e及びfは0以上であり、e+f=2〜3を満足する数である。)
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂フィルム用防曇剤は、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物脂肪酸エステルである成分(A)と、グリセリン脂肪酸エステルである成分(B)と、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物である成分(C)と、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである成分(D)及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルである成分(E)とを含み、
前記成分(A)が、下記一般式(1)で表される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物モノ脂肪酸エステルである成分(A−1)と、下記一般式(2)で示される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物ジ脂肪酸エステルである成分(A−2)とを含み、
前記成分(A−1)と前記成分(A−2)との重量比(A−1/A−2)が50/50〜90/10であり、
前記成分(B)が、グリセリンモノ脂肪酸エステルである成分(B−1)と、グリセリンジ脂肪酸エステルである成分(B−2)とを含み、
前記成分(B−1)と前記成分(B−2)との重量比(B−1/B−2)が95/5〜50/50であり、前記成分(C)が下記一般式(3)で示される化合物である。
【0020】
【化1】
(式中、R
1、R
2はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基でありその炭素数はR
1=8〜22、R
2=7〜21であり、aおよびbは0以上でa+b=2〜3を満足する数である。)
【0021】
【化2】
(式中、R
3、R
4はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基でありその炭素数はR
3=8〜22、R
4=7〜21であり、cおよびdは0以上でc+d=2〜3を満足する数である。)
【0022】
【化3】
(式中、R
5 はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基であり、その炭素数は8〜22であり、eおよびfは0以上でe+f=2〜3を満足する数である。)
【発明の効果】
【0023】
本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、高速自動包装時にも耐えうる熱融着強度と平滑性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の多層ポリプロピレンフィルムについて、詳細に説明する。
【0026】
〔多層ポリプロピレン系延伸フィルム〕
本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、基材層及び熱融着層を有し、熱融着層は、最外層にある。各層について説明する。
【0027】
(基材層)
前記基材層は、ポリプロピレン系樹脂を必須に含む。
ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体が主体であることが好ましい。
プロピレン単独重合体としては、気相法で得られたアイソタクチックポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体の他に非結晶ポリオレフィン樹脂が含まれると好ましい。
非結晶ポリオレフィン樹脂としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ペンテン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体・エチレン・アクリル酸共重合体を金属イオンにより架橋したアイオノマー、ポリブテン−1、ブテン・エチレン共重合体などを混合して使用してもよい。
さらに、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などをフィルムの特性を害さない範囲で用いることもできる。
【0028】
プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共重合体及びブテン・エチレン共重合体を構成するブテン−1の含有量は3〜7重量%が好ましい。
【0029】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体100重量部に対して、非晶性ポリオレフィン0.5〜15重量部、好ましくは1〜5重量部である。0.5重量部未満であると防曇性が得られず、15重量部を超えると後述する成分(A)、成分(B)及び成分(C)の表面へのブリードアウトが早過ぎ、かつ、必要以上のブリードアウトが起こり易くなり好ましくない。
【0030】
前記基材層は、後述する成分(A)、成分(B)及び成分(C)を必須に含む。基材層に対する、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の合計量は、好ましくは0.10〜2.0重量%であり、より好ましくは0.30〜1.8重量%、さらに好ましくは0.50〜1.5重量%である。0.10重量%未満であると平滑性が不足することがある。また含有率が2.0重量%超であると、ブリード過剰のため、フィルムの表面がべたつき、熱融着強度が低下することがある。
【0031】
また、前記基材層は、本発明の効果を損わない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤や、滑剤、造核剤、顔料、無機充填剤、可塑剤、必要に応じてその他のポリオレフィン熱可塑性樹脂添加剤等を含有しても良い。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸系酸化防止剤およびアクリレート系酸化防止剤等が挙げられる。
【0032】
(熱融着層)
熱融着層については熱融着性を有するものであれば特に限定されないが、基材層との密着性に優れるため、ポリオレフィンを主体とするポリマー構成であることが好ましい。
例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のホモポリマーもしくは共重合体またはそれらの混合物が挙げられるが、製袋時の都合上基材層よりも融点が低いことが好ましく、さらに好ましくは10℃以上低いほうがよい。熱融着層についての物性は特に限定されないが、基材層の融点を考慮すると、その融点は90〜〜145℃の範囲にあることが好ましい。
【0033】
熱融着層はプロピレン系ランダム共重合体を主成分として、ポリエチレン系樹脂を添加することができる。プロピレン系ランダム共重合体とポリエチレン系樹脂との混合比は、プロピレン系ランダム共重合体80〜99重量%、ポリエチレン系樹脂1〜20重量%であるのが好ましい。ポリエチレン系樹脂が1重量%未満であると安定した熱融着強度が得られず、また20重量%を超えると透明性が低下し好ましくない。
【0034】
熱融着層で使用されるポリエチレン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、エチレンと炭素数8のオクテン−1との共重合体が好ましい。密度は0.87〜0.91g/cm3が好ましく、かつMFR(温度190℃、荷重21.2N)は、2.0〜5.0g/10分、好ましくは2.5〜3.5g/10分である。
【0035】
熱融着層で使用されるプロピレン系ランダム共重合体は、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0036】
プロピレン−エチレンランダム共重合体としては、エチレン含有量1〜6重量%で、密度は0.89〜0.92g/cm3のものが好ましい。またMFR(温度230℃、荷重21.2N)は6.0〜8.0g/10分、好ましくは6.5〜7.5g/10分であり、かつ融点は130〜150℃、好ましくは135〜145℃であるのがよい。エチレン含有量が1重量%未満であると熱融着強度が悪くなる傾向となり、6重量%を超えると平滑性が悪くなり好ましくない。また、密度、MFRおよび融点は、平滑性及び熱融着強度を得るために好適な範囲である。
【0037】
プロピレン−ブテンランダム共重合体としては、ブテン含有量4〜8重量%で、密度は0.89〜0.92g/cm3のものが好ましい。またMFR(温度230℃、荷重21.2N)は1.0〜10.0g/10分、好ましくは3.0〜6.0g/10分であり、かつ融点は120〜150℃、好ましくは130〜140℃であるのがよい。ブテン含有量が4重量%未満であると熱融着強度が悪くなる傾向となり、8重量%を超えると平滑性が悪くなり好ましくない。また、密度、MFRおよび融点は、平滑性及び熱融着強度を得るために好適な範囲である。
【0038】
プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体は、エチレン含有量2〜5重量%、ブテン含有量4〜8重量%(プロピレン、エチレンおよびブテンの含有量の合計は100重量%)で、密度は0.89〜0.92g/cm3のものが好ましい。またMFR(温度230℃、荷重21.2N)は、4.0〜8.0g/10分、好ましくは5.0〜7.0g/10分であり、かつ融点は120〜140℃、好ましくは125〜135℃であるのがよい。エチレン含有量が2重量%未満であると溶断シール性が劣化する傾向にあり、5重量%を超えると成形が困難となり好ましくない。また、ブテン含有量が4重量%未満であると熱融着強度が不安定となり、8重量%を超えると成形が困難となり好ましくない。また、密度、MFRおよび融点は、平滑性及び熱融着強度を得るために好適な範囲である。
【0039】
また、これらの混合物としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体とプロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体とプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体とプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンランダム共重合体とプロピレン−ブテンランダム共重合体とプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体との組み合わせが例示できる。ここでの混合比率は、フィルムの平滑性、剛性または熱融着強度等を考慮し、適宜設定すればよく、特に制限はない。
【0040】
熱融着層には、本発明の効果を損わない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤や、滑剤、造核剤、顔料、無機充填剤、可塑剤、必要に応じてその他のポリオレフィン熱可塑性樹脂添加剤等を含有しても良い。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸系酸化防止剤およびアクリレート系酸化防止剤等が挙げられる。
【0041】
(層構造)
本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、少なくとも基材層と熱融着層の2層を含有し、フィルムの最外層が熱融着層である。
以下、適宜図面を参照しつつ説明する。
また、各図における厚み及び大きさ等の寸法は実際のものとは異なっていることに留意されたい。
図1は、多層ポリプロピレン系延伸フィルムの平面図であり、
図2及び
図3は、当該フィルムの各実施形態における拡大断面図である。
図1に示すように、多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、平面視帯状長尺に形成されている。本明細書において、長尺帯状は、一方向の長さが他方向の長さと比較して十分に長い長方形であることを意味し、例えば、一方向の長さが他方向の2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、ロールに巻かれ、保管・運搬に供される。
【0042】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態の断面図であり、基材層3/熱融着層2という形態となっている。上面下面の区別はなく、基材層3が上部でもよく、熱融着層2が上部でもよい。基材層3、熱融着層2共に複数の層が積層されたものでもよい。
この第1実施形態は、簡易な作業にて得られ、また基材層に含有された防曇剤の熱融着層への移行をコントロールしやすく、熱融着強度や平滑性の調整を行いやすいため好ましい。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の断面図であり、熱融着層2/基材層3/熱融着層2という形態となっている。
この第2実施形態は、両面が熱融着層であるため、製袋時の表裏区分無く使用できるうえ、第1実施形態同様に、基材層に含有された防曇剤の熱融着層への移行をコントロールしやすく、熱融着強度や平滑性の調整を行いやすいため好ましい。
(その他の実施形態)
本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、フィルムの最外層が熱融着層としてある限りにおいては、上記実施形態1及び2以外の形態で積層しても良い。
【0043】
図4及び
図5は、第1実施形態のフィルムを食品包装用に適用した場合の例示を示す図である。
図5に示すように、フィルム最外層にある熱融着層を袋の内側として畳み込んで融着させることにより、包装形態となり、食品を包みこむことが可能となる。
図5は、食品等水分発生物との接触面を熱融着層とした例であり、基材層に含有される防曇成分(後述する成分(A)〜成分(E)のことをいう。)のうち適量が熱融着層に浸透、表面にブリードアウトすることにより、食品の水分付着による曇り現象を防ぐことができる。第2実施形態についても、
図5と同様に熱融着層を袋の内側として畳み込んで融着させることにより、包装形態とし、内部食品の水分による曇りを起こさない防曇性包装袋が得られる。
【0044】
多層ポリプロピレン系延伸フィルムの厚みに対する熱融着層の厚みの比率(熱融着層/多層ポリプロピレン系延伸フィルム)は、特に限定されるものではないが、平滑性及び熱融着強度を考慮するとフィルムの全層に対して、1/50〜1/3であることが好ましく、1/50〜1/5であるとより好ましく、1/30〜1/10であると特に好ましい。シール層の厚み比率が、1/50より小さいと、製袋加工したときの熱融着強度が不十分となることがある。また、シール層の厚み比率が、1/3より大きいと、平滑性不足となることがある。
【0045】
基材層及び熱融着層以外のその他の層としては、ガスバリアー層、防曇剤の揮発防止層、ポリアミド樹脂層、金属蒸着層等が積層されていてもよい。
【0046】
多層ポリプロピレン系延伸フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、平滑性及び熱融着強度のバランスがとりやすい15〜80μmであることが好ましく、15〜60μmであるとさらに好ましい。フィルムの厚みが15μm未満であると、防曇成分の表面積あたりの比率が減少するため、表面の防曇剤不足により平滑性不足となることがあり、厚みが80μm超となると、防曇剤の過剰ブリードによる熱融着強度の低下が見られることがある。
【0047】
多層ポリプロピレン系延伸フィルムの動摩擦係数は0.1〜0.4が好ましく、0.15〜0.35がより好ましく、0.2〜0.3がさらに好ましい。0.1未満では、作製されたフィルムロールの荷崩れ等の障害が起こり、0.4超では、滑りが不足しているため、フィルム送り出し不良等の障害が起こるため、自動包装機において円滑な製袋ができないことがある。
【0048】
多層ポリプロピレン系延伸フィルムの表面張力は、38〜44mN/mが好ましい。表面張力が38mN/m未満であると、防曇性の発現が充分でないことがあり、また印刷する場合には印刷インキの密着性に劣ることがある。表面張力が44mN/mを超えると、防曇剤の表面へのブリードアウトが激しく白化やブロッキングの原因となるほか、熱融着強度の低下の原因となることがある。
【0049】
〔多層ポリプロピレン系延伸フィルムの製造方法〕
多層ポリプロピレン系延伸フィルムを製造する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、多層構成のフラット状シートを押出成形により製膜する工程、次いで逐次二軸延伸してフィルムとする延伸工程を含む。
多層構成のフラット状シートを押出成形により製膜する工程は、特に限定されないが、製造効率を考慮すると、多層のうちの各層それぞれを別の押出機にて内部成分と混合融解して、共押出法によって融着させ、融着シートを得る方法が好ましい。
【0050】
基材層における成分(A)等の混合について特に方法は限定されない。例えば、押出機中へ溶融させた成分(A)〜成分(E)の混合物を押出機側面より液添する方法や、成分(A)等を高濃度に含有したマスターバッチを作製後、所定濃度となるようにベース樹脂と混合する方法等が挙げられるが、作業性と濃度の安定性が良いことからマスターバッチを使用する方法が好ましい。
【0051】
二軸延伸してフィルムとする延伸工程は、上記融着シートについて延伸工程を施すものであり、例えば逐次延伸、同時延伸、インフレーション等の方法が挙げられるが特に限定するものではない。延伸条件としては特に限定するものではないが、逐次延伸については、通常未延伸フィルムを90〜140℃の温度に加熱し、長手方向に3〜7倍延伸した後、冷却してから、テンター式延伸機に導き、130〜175℃の温度に加熱し、幅方向に7〜12倍に延伸した後、所定の温度で熱固定(熱処理)後巻き取る方法が取られている。
【0052】
多層ポリプロピレン系延伸フィルムを製造する方法は、通常のフィルムに於ける後加工工程(コロナ処理、セットリング等)を行ってもよく、特にフィルム印刷性、防曇成分のブリード性向上のため、少なくとも片面にコロナ放電処理を行うことが好ましい。
【0053】
[成分(A)]
成分(A)は本発明に使用される防曇成分(以後、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)のことを防曇成分ということがある。)のうちで、ポリプロピレン樹脂との相溶性に優れた成分であり、防曇成分のポリプロピレン樹脂中での分散状態をコントロールするために使用する。成分(A)は脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物脂肪酸エステルである。
本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、上記一般式(1)で示される成分(A−1)と、上記一般式(2)に示される成分(A−2)を必須に含有する。
【0054】
〔成分(A−1)〕
成分(A−1)は、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物モノ脂肪酸エステルであり、上記一般式(1)で示される化合物である。
上記一般式(1)中、R
1は、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基である。R
1の炭素数は8〜22である。
アルキル基としては、直鎖であっても分岐であってもよく、本願効果を発揮する観点から、直鎖が好ましい。
R
1の炭素数は8〜22であり、12〜18が好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましい。炭素数が8未満であると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着強度不足を引き起こす。一方、炭素数が22を超えると、平滑性が不足する。
【0055】
R
2の炭素数は、好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18、特に好ましくは16〜18である。炭素数が8未満であると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着強度不足を引き起こすことがある。一方、炭素数が22を超えると、平滑性が不足することがある。
【0056】
a及びbはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。a及びbは0以上であり、a+bは2〜3を満足する数である。
【0057】
成分(A−1)としては、特に限定されないが、たとえばラウリルジエタノールアミンモノラウレート、ラウリルジエタノールアミンモノミリステート、ラウリルジエタノールアミンモノパルミテート、ラウリルジエタノールアミンモノステアレート、ラウリルジエタノールアミンモノオレート、ミリスチルジエタノールアミンモノラウレート、ミリスチルジエタノールアミンモノミリステート、ミリスチルジエタノールアミンモノパルミテート、ミリスチルジエタノールアミンモノステアレート、ミリスチルジエタノールアミンモノオレート、パルミチルジエタノールアミンモノラウレート、パルミチルジエタノールアミンモノミリステート、パルミチルジエタノールアミンモノパルミテート、パルミチルジエタノールアミンモノステアレート、パルミチルジエタノールアミンモノオレート、ステアリルジエタノールアミンモノラウレート、ステアリルジエタノールアミンモノミリステート、ステアリルジエタノールアミンモノパルミテート、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート、ステアリルジエタノールアミンモノオレート、オレイルジエタノールアミンモノラウレート、オレイルジエタノールアミンモノミリステート、オレイルジエタノールアミンモノパルミテート、オレイルジエタノールアミンモノステアレート、オレイルジエタノールアミンモノオレート等が挙げられ、1種または2種以上であっても良い。
【0058】
〔成分(A−2)〕
成分(A−2)は、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物ジ脂肪酸エステルであり、上記一般式(2)に示される化合物である。
上記一般式(2)中、R
3は、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基である。R
3の炭素数は8〜22である。
アルキル基としては、直鎖であっても分岐であってもよく、本願効果を発揮する観点から、直鎖が好ましい。
R
3の炭素数は8〜22であり、12〜18が好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましい。炭素数が8未満であると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着強度不足を引き起こす。一方、炭素数が22を超えると、平滑性が不足する。
【0059】
R
4の炭素数は、好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18、特に好ましくは16〜18である。炭素数が8未満であると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着強度不足を引き起こすことがある。一方、炭素数が22を超えると、平滑性が不足することがある。
【0060】
c及びdはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。c及びdは0以上であり、c+dは2〜3を満足する数である。
【0061】
成分(A−2)として具体的にはたとえばラウリルジエタノールアミンジラウレート、ラウリルジエタノールアミンジミリステート、ラウリルジエタノールアミンジパルミテート、ラウリルジエタノールアミンジステアレート、ラウリルジエタノールアミンジオレート、ミリスチルジエタノールアミンジラウレート、ミリスチルジエタノールアミンジミリステート、ミリスチルジエタノールアミンジパルミテート、ミリスチルジエタノールアミンジステアレート、ミリスチルジエタノールアミンジオレート、パルミチルジエタノールアミンジラウレート、パルミチルジエタノールアミンジミリステート、パルミチルジエタノールアミンジパルミテート、パルミチルジエタノールアミンジステアレート、パルミチルジエタノールアミンジオレート、ステアリルジエタノールアミンジラウレート、ステアリルジエタノールアミンジミリステート、ステアリルジエタノールアミンジパルミテート、ステアリルジエタノールアミンジステアレート、ステアリルジエタノールアミンジオレート、オレイルジエタノールアミンジラウレート、オレイルジエタノールアミンジミリステート、オレイルジエタノールアミンジパルミテート、オレイルジエタノールアミンジステアレート、オレイルジエタノールアミンジオレート等が挙げられ、1種または2種以上であっても良い。成分(A−1)および成分(A−2)の合成法について特に限定は無いが、アルキルジエタノールアミンと脂肪酸をエステル化反応する際に脂肪酸の反応比を調整することにより混合物を得たり、アルキルジエタノールアミンと脂肪酸を反応させた後に精製してそれぞれを別個に得たり、することができる。
【0062】
成分(A−1)と成分(A−2)の重量比(A−1/A−2)は50/50〜90/10であり、60/40〜90/10が好ましく、63/37〜86/14がより好ましい。50/50未満では、防曇成分の疎水性が強くなり防曇成分のブリード不足がおこり、平滑性不足となる。一方、90/10超では、防曇成分の相溶性が下がることによって、熱融着強度の低下が起こる。
【0063】
[成分(B)]
成分(B)はグリセリン脂肪酸エステルであり、本発明に使用される防曇成分のうちで特に防曇成分全体の即効的なブリードアウトを促進させる平滑性に優れた成分である。
【0064】
成分(B)が炭素数8〜22の脂肪酸残基を有すると、熱可塑性樹脂との相溶性が良く、透明性が高く、平滑性、防曇性に優れるために好ましい。
成分(B)の脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18、特に好ましくは16〜18である。炭素数が8未満であると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による透明性不良を引き起こすことがある。一方、炭素数が22を超えると、即効性を充分に発現できず平滑性、防曇性が不足することがある。
【0065】
成分(B)は、成分(B−1)及び成分(B−2)を必須に含有する。
【0066】
〔成分(B−1)〕
成分(B−1)は、グリセリンモノ脂肪酸エステルである。
成分(B−1)としては、たとえば、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレート等が上げられ1種または2種以上であっても良い。
【0067】
〔成分(B−2)〕
成分(B−2)は、グリセリンジ脂肪酸エステルである。
成分(B−2)としては、たとえば、グリセリンジラウレート、グリセリンジミリステート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジベヘネート、グリセリンジオレート等が上げられ1種または2種以上であっても良い。
【0068】
成分(B−1)と成分(B−2)の重量比(B−1/B−2)は95/5〜50/50であり、90/10〜50/50が好ましく、80/20〜60/40がより好ましい。95/5超の場合には、熱融着強度の低下が起こる。一方、50/50未満の場合には、平滑性不足となる。
【0069】
成分(B−1)および成分(B−2)の合成法について特に限定は無いが、たとえば、グリセリンと脂肪酸とをエステル化反応させたり、グリセリンエステルに脂肪酸エステルをエステル交換反応させたり、する際に反応比率を調製することで混合物を得ることができる。また、それぞれの反応で得られた組成物について、別個に得られた精製物を混合して使用しても良い。
【0070】
[成分(C)]
成分(C)は、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物であり、本発明に使用される防曇成分のうちで、防曇性を付与する成分であり、表面に適量存在することで平滑性にも寄与する。
成分(C)は脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物であり、上記一般式(3)で示される化合物である。
【0071】
一般式(3)中、R
5はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基である。
R
5の炭素数は8〜22であり、e及びfは0以上であり、e+f=2〜3を満足する数である。
R
5としては、アルキル基やアルケニル基が好ましく、一般的に入手が容易であり安定性がよい。R
5の炭素数は、8〜22であり、8〜18が好ましく、12〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましい。R
5の炭素数が8未満であると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着強度不足を引き起こす。一方、R
5の炭素数が22超であると、平滑性が不足する。
【0072】
成分(C)の具体例としては、たとえば、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
成分(C)の製造方法については、特に限定はないが、たとえば、脂肪族アミンに酸化エチレンを付加反応させて製造することができる。また、成分(A)合成時に反応比率を調整することで未反応物として含有させることもできる。
【0073】
〔成分(D)〕
成分(D)は任意成分であり、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、本発明の多層ポリプロピレンフィルムに成分(D)が含有されると、ブリード過多に対して抑制し、熱融着性低下を防止できる。
成分(D)はポリオキシエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステルである。成分(D)にあるオキシエチレン基の繰り返し単位数pについては、特に限定はないが、好ましくは1〜30、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは10〜22である。オキシエチレン基の繰り返し単位数pが1未満であると、疎水性が強く防曇性が阻害されることがある。一方、オキシエチレン基の繰り返し単位数pが30を越えると親水性が過剰となりポリプロピレン樹脂との相溶性が阻害されることがある。
【0074】
成分(D)を構成する脂肪酸は、特に限定はなく、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸のエステル等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
成分(D)は、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等のいずれであってもよく、ソルビタンに対する脂肪酸の反応モル数が1.5や2.5のように中間的なエステル化度のものも使用できる。また、1種または2種以上から構成されていてもよい。
【0075】
成分(D)の脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18、特に好ましくは16〜18である。炭素数が8未満であるとポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着性が不足することがある。一方、炭素数が22を超えると、平滑性が不足することがある。
このような脂肪酸残基としては、下記一般式(4)で示される脂肪酸残基(D)を挙げることができる。
【0076】
R
6CO− (4)
(式中、R
6は、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルキニル基であり、その炭素数は7〜21である。)
R
6としては、一般的な入手が容易であり安定性が良好な、アルキル基、アルケニル基が好ましい。
【0077】
成分(D)の具体例としては、たとえば、POE(p)ソルビタンラウレート、POE(p)ソルビタンミリステート、POE(p)ソルビタンパルミテート、POE(p)ソルビタンステアレート等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。ここで、POEは(ポリ)オキシエチレン基を意味し、pはオキシエチレン基の繰り返し単位数を意味し、上記で説明したとおりである。
成分(D)の製造方法については、特に限定はないが、たとえば、1)ソルビタンと脂肪酸とをエステル化反応させ、得られたエステル化物に酸化エチレンを反応させたり、2)ソルビタンエステルに脂肪酸エステルをエステル交換反応させ、得られたエステル化物に酸化エチレンを反応させたり、3)ソルビタンに酸化エチレンを反応させ、得られた付加物に脂肪酸をエステル化反応させたり、4)ソルビタンエステルに酸化エチレンを反応させ、得られた付加物に脂肪酸エステルをエステル交換反応させたりして製造することができる。これらのうちでも1)の製造方法が好ましい。
【0078】
〔成分(E)〕
成分(E)は、ポリグリセリン脂肪酸エステルであり、任意成分である。
成分(E)が、本発明の多層ポリプロピレンフィルムに使用された場合に、ブリード過多に対して抑制し、熱融着性低下を防止できる。
成分(E)はポリグリセリンのエステル誘導体である。成分(E)を構成するポリグリセリンとしては、たとえば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。成分(E)は脂肪酸エステルであれば特に限定はなく、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸のエステル等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
【0079】
成分(E)には、さまざまなエステル化度のものを使用でき、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等のいずれであってもよく、ポリグリセリンに対する脂肪酸の反応モル数が1.5や2.5のように中間的なエステル化度のものも使用できる。また、1種または2種以上から構成されていてもよい。
成分(E)を構成するポリグリセリンの平均重合度や、成分(E)のエステル化度等について特に限定はない。
【0080】
ポリグリセリンの平均重合度は、好ましくは3〜10、さらに好ましくは4〜8、特に好ましくは4〜6である。ポリグリセリンの平均重合度が3未満であると、ブリード過多を起こし、熱融着性を阻害することがある。一方、ポリグリセリンの平均重合度が10超であると、ブリード不良となり平滑性が阻害されることがある。
成分(E)においてエステル化度(ポリグリセリン1モルと反応する脂肪酸のモル数)をyとし、ポリグリセリンの平均重合度をxとしたとき、y≦x+2の関係が成り立つ。yは、好ましくはy<xであり、その場合、防曇成分の親水性が良好で、即効性に優れる。また、4≦x≦6の場合、1≦y≦3であると、即効性と過剰なブリードに対する抑制効果のバランスがとれるため特に好ましい。y≧xであると防曇成分の疎水性が高くなりすぎ、即効性が損なわれることがある。
【0081】
成分(E)を構成する脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜18、さらに好ましくは14〜18、特に好ましくは16〜18である。炭素数が8を超えるとポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くブリード過多による熱融着性不良を引き起こすことがある。一方、炭素数が22を超えると、防曇性が不足することがある。
【0082】
成分(E)の製造方法については、特に限定はないが、たとえば、ポリグリセリンと脂肪酸とをエステル化反応させたり、ポリグリセリンエステルに脂肪酸エステルをエステル交換反応させたりして製造することができる。
【0083】
(防曇成分の配合)
本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは、防曇成分については、前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を必須に含有し、任意成分として、成分(D)又は成分(E)を含有してよい。
【0084】
成分(A)の重量割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の合計量に対して、好ましくは30〜89重量%であり、さらに好ましくは35〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%である。成分(A)の配合割合が30重量%未満であると、ポリプロピレン樹脂に対する相溶性が悪くなり、防曇成分のブリード過多により、フィルム透明性の悪化や熱融着強度が低下することがある。一方、成分(A)の配合割合が89重量%超であると、平滑性が低下することがある。
【0085】
成分(B)の配合割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の合計量に対して、好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは8〜40重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。成分(B)の配合割合が5重量%未満であると、ブリードの即効性が阻害され平滑性が低下することがある。一方、成分(B)の配合割合が50重量%超であると、防曇成分のブリード過多により、フィルム透明性の悪化や熱融着強度が低下することがある。
【0086】
成分(C)の配合割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の合計量に対して、好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは8〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。成分(C)の配合割合が5重量%未満であると、平滑性が低下することがある。一方、成分(C)の配合割合が50重量%超であると、ブリード過剰のため、フィルムの表面がべたつき、熱融着強度が低下することがある。
【0087】
本発明のフィルムが、成分(D)または成分(E)を含有する場合、成分(D)及び成分(E)の重量割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の合計量に対して、好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。成分(D)及び成分(E)の配合割合が1重量%未満であると、防曇成分のブリード過多により、フィルム透明性の悪化や熱融着強度が低下することがある。一方、成分(D)及び(E)の配合割合が20重量%超であると、ブリード抑制が必要以上に行われることにより平滑性が低下することがある。
【0088】
〔マスターバッチ〕
本発明のマスターバッチは、ポリプロピレン系樹脂と、成分(A)、成分(B)と、成分(C)を含むマスターバッチであって、
前記成分(A)が、上記一般式(1)で表される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物モノ脂肪酸エステルである成分(A−1)と、上記一般式(2)で示される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物ジ脂肪酸エステルである成分(A−2)とを含み、
前記成分(A−1)と前記成分(A−2)との重量比(A−1/A−2)が50/50〜90/10であり、
前記成分(B)が、グリセリンモノ脂肪酸エステルである成分(B−1)と、グリセリンジ脂肪酸エステルである成分(B−2)とを含み、
前記成分(B−1)と前記成分(B−2)との重量比(B−1/B−2)が95/5〜50/50であり、前記成分(C)が下記一般式(3)で示される化合物である。
成分(A)、成分(B)と、成分(C)成分(A−1)成分(A−2)成分(B−1)成分(B−2)については、上述したフィルムで記載したものを援用できる。
【0089】
マスターバッチの形状は、原料樹脂との均一な混合を確保することで、本願効果を効果的に発現する観点から、原料樹脂と類似形状であることが好ましく、一般的に販売されている樹脂形状を考慮すると円柱類似形状がさらに好ましい。
マスターバッチの直径は、均一な混合性を考慮して、1mm〜5mmが好ましく、2mm〜4mmがさらに好ましい。
マスターバッチのかさ比重は、均一な混合性を考慮して、0.5〜0.7g/cm
3が好ましく、0.55〜0.60g/cm
3がさらに好ましい。
マスターバッチの水分は、原料樹脂との混合時に防曇成分の熱分解を防ぎ、本願の配合組成の変質を防ぐために1000ppm未満が好ましい。
【0090】
マスターバッチを構成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン三元ランダム共重合体、主にプロピレンからなるモノマーを重合して得られる重合体成分とプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなるモノマーを重合させて得られる共重合体成分を少なくとも2段階以上の多段で製造して得られるポリプロピレン系共重合体等が挙げられる。好ましくは、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−α−オレフィン三元ランダム共重合体である。これらは単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0091】
α−オレフィンとしては、炭素数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンであり、より好ましくは、共重合特性、経済性などの観点から、1−ブテンまたは1−ヘキセンである。
共重合体中のエチレンおよび/またはα−オレフィンの含有量は、通常、0.1〜20重量%であり、好ましくは、1〜10重量%である。
【0092】
プロピレンの単独重合体である場合においては、低ブリード化帯電防止剤含有熱可塑性樹脂マスターバッチ組成物の示差走査熱量測定法による結晶溶融熱の最大ピーク温度が165°C以上であることが好ましい。
【0093】
〔マスターバッチの製造方法〕
本発明のマスターバッチの製造方法については特に制限は無く、従来のポリオレフィンをベース樹脂としたマスターバッチの製造方法として公知の方法で製造が可能である。例えば、前記各原料を公知の混合装置(例えば、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリューブレンダー、リボンブレンダー等)で均一化したものを溶融混練機(例えば、一軸押出機、二軸以上の多軸押出機、バンバリーミキサーやニーダーなど)で混練する方法を挙げることができる。
【0094】
混練されたマスターバッチはペレット形状であることが好ましく、これによってマスターバッチ の取り扱いは一層容易になる。ペレット化の手法は任意であり、既知の方法が用いられる。例えば、前記の溶融混練機を用いて混練と同時に、あるいは事前に混練されたものを例えばフィーダールーダーなどによって押出しながらホットカットやストランドカットする方法が挙げられる。
【0095】
この場合、カットを水中で行ってもよいし、エアーを吹きかけながら行ってもよい。さらに、均一混合した後に2本ロールなどでシート状にし、シートペレタイズ機によってペレット化してもよい。
【0096】
このときのペレットの形状としては特に制限は無いが、直径0.5〜5mm、長さ0.5〜5mmの円筒型ペレット、直径0.5〜5mmの偏平円盤型ペレットが挙げられる。
【0097】
本発明のマスターバッチは、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、核剤、顔料等の添加剤を加えても良い。
【0098】
〔防曇剤〕
本発明の防曇剤は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)とを含み、
前記成分(A)が、上記一般式(1)で表される成分(A−1)と、上記一般式(2)で示される成分(A−2)とを含み、前記成分(A−1)と前記成分(A−2)との重量比(A−1/A−2)が50/50〜90/10であり、
前記成分(B)が、成分(B−1)と、成分(B−2)とを含み、
前記成分(B−1)と前記成分(B−2)との重量比(B−1/B−2)が95/5〜50/50であり、前記成分(C)が上記一般式(3)で示される化合物である、熱可塑性樹脂フィルム用防曇剤である。
成分(A)、成分(B)と、成分(C)成分(A−1)成分(A−2)成分(B−1)成分(B−2)については、上述したフィルムで記載したものを援用できる。
【0099】
熱可塑性樹脂フィルム用防曇剤が適用可能な熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0100】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、前記α−オレフィン同士の共重合体、前記α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体とα−オレフィンとの共重合体、及びこれらの混合物等が挙げられる。前記α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体としては、酢酸ビニル、マレイン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸エチル等を挙げることができる。
【0101】
ポリスチレン樹脂としては、例えば、スチレン類の単独重合体の他、スチレン類と共重合可能な単量体とスチレン類との共重合体等が挙げられる。具体的には、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
【0102】
ビニル樹脂としては、ジエン系重合体、例えばブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂等が挙げられる。
【0103】
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン等が挙げられる。
【0104】
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0105】
ポリアセタール樹脂としては、例えば、ホルムアルデヒド又はトリオキサンの重合体が挙げられる。
【0106】
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合物、ビスフェノールAと炭酸ジエステルとの縮合物が挙げられる。
【0107】
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、例えば、有機ジイソシアネートと高分子ジオールの反応物が挙げられる。
【0108】
フッ素樹脂としては、例えば、フッ素含有モノマーの重合体が挙げられる。
【0109】
その中でも、本発明のマスターバッチに含まれる結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ガラス転移点が常温より低いポリプロピレン、ポリエチレンがより好ましい。中でも、平滑性と熱融着強度のバランスをコントロールさせやすいポリプロピレンが好ましい。
【実施例】
【0110】
以下の実施例および比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例におけるポリプロピレン系延伸フィルムの物性評価は、下記の方法にて実施した。
【0111】
(フィルム熱融着性)
40℃で10日保管後のポリプロピレン系延伸フィルムの防曇面(熱融着層面)をシール面とし、ヒートシーラーを用いて温度140℃、圧力1kg/cm
2、熱融着時間1秒の条件にて処理。フィルムを幅15mmにカットし、引張試験機を用いてシールの接着強度を測定、防曇剤無添加フィルムの接着強度を100としたときの相対強度で示す。下記に示す評価基準に基づいて評価する。
○:85以上
×:85未満
【0112】
(フィルム平滑性)
ポリプロピレン系延伸フィルムについて、40℃にて1日保管後の動摩擦係数(μd)を摩擦測定機TR−2(東洋精機製)を使用してJIS K7125−ISO 8295(プラスチック−フィルムおよびシート−摩擦係数試験法)に従って測定する。なお、測定条件は温湿度20℃×45%R.H.である。下記に示す評価基準に基づいて評価する。
○:0.1〜0.4
平滑性過剰:0以上0.1未満
平滑性不足:0.4超
【0113】
(フィルム防曇性)
容量100mlのガラス製ビーカーに30℃の水を60ml入れ、ビーカーの口を40℃にて1日保管後の延伸フィルムの熱融着層面で密閉し塞いだ。次いで、5℃の恒温槽に入れ、24時間後のフィルム内面への水滴の付着状態を目視で観察し、下記に示す評価基準に基づいて評価する。
○:全く水滴がなく、全面濡れた状態。
△:曇りはないが、大きな水滴が点在している状態。
×:全体的に白く曇って中身が見えにくい状態。
【0114】
(フィルム透明性)
ポリプロピレン系延伸フィルムを、40℃で10日保管後に、色差・濁度測定器(日本電色工業製)を使用してフィルムのHaze値およびΔHaze(フィルム表面をエタノールで軽く洗い流す前後のHaze値の差)を測定する。ΔHazeについて、下記に示す評価基準に基づいて評価する。
○:0.0以上0.6未満
△:0.6〜0.9
×:0.9超
【0115】
(フィルム作製)
(実施例1)
表1に示す配合割合にて防曇成分として成分(A)〜成分(E)をポリプロピレン(ホモポリマー、MFR=2.5g/10min)に対して10重量%となるように混合し、二軸押出成形機にて230℃で溶融混練して、ストランドを得た。得られたストランドをペレタイザーでカットして、マスターバッチを作製した。マスターバッチは、直径約3mm高さ約3mmの円柱類似形状として得られ、かさ比重0.57g/cm
3、水分40ppmとなった。
【0116】
(実施態様1)
次いで、得られたマスターバッチおよび別に用意したポリプロピレンホモポリマーを表1に示す比率となるように混合して、押出原料を調製し、1台の二軸押出成形機に投入、他の押出機には、ポリプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体を投入し、前者を基材層、後者を熱融着層として溶融温度230℃にて共押出し、40℃の冷却ドラムにて厚さ300μmのシートとしてロールに回収した。この未延伸シートを3cm×3cmに切断後、150℃に加熱しながら、長手方向に3倍、幅方向に5倍の倍率にてバッチ式同時延伸装置で延伸をかけ、9cm×15cm、厚さ20μm(基材層:18μm、熱融着層:2μm)のフィルムを得た。
得られた延伸フィルムの熱融着層に対して表面張力が40dyne/cmとなるようにコロナ放電処理を行い、40℃にて8時間ヒートセットしたものについて、防曇性、透明性および熱融着強度を評価した。その結果を表2に示す。
【0117】
(実施例1−2)
(実施態様2)
上記マスターバッチおよび別に用意したポリプロピレンホモポリマーを表1に示す比率となるように混合して、押出原料を調整し、1台の二軸押出成形機に投入、他の押出機2台にポリプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体を投入し、前者を基材層、後者を熱融着層として、基材層の両面に熱融着層が接触する形態にて溶融温度230℃にて共押出し、40℃の冷却ドラムにて厚さ300μmのシートとしてロールに回収した。この未延伸シートを3cm×3cmに切断後、150℃に加熱しながら、長手方向に3倍、幅方向に5倍の倍率にてバッチ式同時延伸装置で延伸をかけ、9cm×15cm、厚さ22μm(基材層:18μm、両面熱融着層:各2μm)のフィルムを得た。
得られた延伸フィルムの熱融着層に対して表面張力が40dyne/cmとなるようにコロナ放電処理を行い、40℃にて8時間ヒートセットしたものについて、防曇性、透明性および熱融着強度を評価した。その結果を表2に示す
【0118】
(実施例2〜22、実施例2−2、3−2、比較例1〜5)
成分(A)〜成分(E)について実施例1、で使用した成分を表1に記載した成分に置換した以外は同様にして、実施態様1にて、実施例2〜22及び比較例1〜5について延伸フィルムを作製し、防曇性、透明性および熱融着強度を評価した。また、実施態様2にて実施例2−2、3−2につて延伸フィルムを作製し評価した。その結果を表2に示す。
ただし、実施例1、1−2、2、2−2、3、3−2は、それぞれ参考例1、1−2、2、2−2、3、3−2とする。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
表1及び2から分かるように、本発明の多層ポリプロピレン系延伸フィルムは優れた平滑性を持ち、熱融着強度の低下も起こらないことが確認された。
それに対して、比較例1のフィルムは成分(A)が含有されないため、樹脂に対する相溶性が不足となり、表面に過剰ブリードした添加剤により熱融着強度の低下を起こしたものと考えられる。比較例2のフィルムは成分(B)が含有されないため、効果の即効性が得られず、平滑成分不足により平滑性が低下した。比較例3のフィルムは、成分(C)が含有されないため、充分な平滑性が得られなかった。比較例4、比較例5では成分A−1及び成分B−1の比率がそれぞれ少ないことにより、防曇成分の疎水性が強くなり防曇成分のブリード不足により平滑性不足となった。