(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の面、及び第2の面を含むPTC素子、該PTC素子の前記第1の面に設けられ、第1の端子を含む第1の電極板、及び前記PTC素子の前記第2の面に設けられ、第2の端子を含む第2の電極板を有するPTCヒータと、
前記第1の端子が接続される第1の接続部、及び前記第2の端子が接続される第2の接続部を含む制御基板と、
前記PTC素子の第1の面側に配置され、熱媒体が流れる第1の熱媒体流路を含む第1のケーシング部、及び前記PTC素子の第2の面側に配置され、熱媒体が流れる第2の熱媒体流路を含み、前記第1のケーシング部から取り外し可能な第2のケーシング部を有しており、前記PTCヒータと前記制御基板とを積層させた状態で収容するケーシングと、
前記第1の端子の先端部を前記第1の接続部に固定する第1のねじと、
前記第2の端子の先端部を前記第2の接続部に固定する第2のねじと、
前記PTCヒータの外周面を囲み、かつ前記ケーシングの内面と接触する絶縁部材と、
を備え、
前記第1の端子の先端部と前記第1の接続部とは、前記PTCヒータ及び前記制御基板の積層方向で対向配置されており、
前記第2の端子の先端部と前記第2の接続部とは、前記PTCヒータ及び前記制御基板の積層方向で対向配置されており、
前記絶縁部材は、前記第1の端子が挿入される第1の開口部を含む第1のガイド部と、前記第2の端子が挿入される第2の開口部を含む第2のガイド部と、を有し、
前記第1及び第2の開口部は、前記PTCヒータ及び前記制御基板の積層方向に延在する熱媒体加熱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された熱媒体加熱装置のように、作業用の窓を通じてケーシングの側方からねじ止めの作業を行う場合、ねじ止め作業がやりづらく、作業効率が低下する可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、電極板の端子を制御基板にねじ止めする際の作業効率を高めることの可能な熱媒体加熱装置、及び車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る熱媒体加熱装置は、第1の面、及び第2の面を含むPTC素子、該PTC素子の前記第1の面に設けられ、第1の端子を含む第1の電極板、及び前記PTC素子の前記第2の面に設けられ、第2の端子を含む第2の電極板を有するPTCヒータと、前記第1の端子が接続される第1の接続部、及び前記第2の端子が接続される第2の接続部を含む制御基板と、前記PTC素子の第1の面側に配置され、熱媒体が流れる第1の熱媒体流路を含む第1のケーシング部、及び前記PTC素子の第2の面側に配置され、熱媒体が流れる第2の熱媒体流路を含み、前記第1のケーシング部から取り外し可能な第2のケーシング部を有しており、前記PTCヒータと前記制御基板とを積層させた状態で収容するケーシングと、前記第1の端子の先端部を前記第1の接続部に固定する第1のねじと、前記第2の端子の先端部を前記第2の接続部に固定する第2のねじと、
前記PTCヒータの外周面を囲み、かつ前記ケーシングの内面と接触する絶縁部材と、を備え、前記第1の端子の先端部と前記第1の接続部とは、前記PTCヒータ及び前記制御基板の積層方向で対向配置されており、前記第2の端子の先端部と前記第2の接続部とは、前記PTCヒータ及び前記制御基板の積層方向で対向配置されて
おり、前記絶縁部材は、前記第1の端子が挿入される第1の開口部を含む第1のガイド部と、前記第2の端子が挿入される第2の開口部を含む第2のガイド部と、を有し、前記第1及び第2の開口部は、前記PTCヒータ及び前記制御基板の積層方向に延在する。
【0009】
本発明によれば、第1のケーシング部と、第1のケーシング部から取り外し可能な第2のケーシング部と、第1の端子の先端部を第1の接続部に固定する第1のねじと、第2の端子の先端部を第2の接続部に固定する第2のねじと、を備え、PTCヒータ及び制御基板の積層方向で第1の端子の先端部と第1の接続部とを対向配置させるとともに、PTCヒータ及び制御基板の積層方向で第2の端子の先端部と第2の接続部とを対向配置させることで、第1のケーシング部から第2のケーシング部を取り外した状態で、PTCヒータ及び制御基板の積層方向から第1及び第2のねじを螺合することが可能となる。
これにより、ケーシングの側壁に作業用の窓を設ける必要がなくなるとともに、ケーシングの側壁側から作業用の窓を通じてねじ止めする場合と比較して、第1及び第2のねじを第1及び第2の接続部にねじ止めする際の作業効率を高めることができる。
【0010】
また、上記構成とすることで、第1及び第2の接続部と第1及び第2の端子との位置関係を確認しながら、第1及び第2のねじを螺合することができる。
また、上記構成とされた絶縁部材を有することで、PTCヒータの側面の周囲に配置された導体とPTCヒータの側面との間を絶縁することができるとともに、制御基板に対するPTCヒータの位置決めを行うことができる。
さらに、上記構成とされた第1及び第2のガイド部を有することで、第1及び第2の端子の周囲に配置された導体と第1及び第2の端子との間を絶縁することができる。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る熱媒体加熱装置において、前記第1及び第2の端子は、少なくとも2つの折り曲げ部を有してもよい。
【0012】
このように、第1及び第2の端子が少なくとも2つの折り曲げ部を有することで、第1の端子の先端部と第1の接続部とをPTCヒータ及び制御基板の積層方向で対向配置させることが可能になるとともに、第2の端子の先端部と第2の接続部とをPTCヒータ及び制御基板の積層方向で対向配置させることが可能となる。
これにより、第1のケーシング部から第2のケーシング部を取り外した状態で、PTCヒータ及び制御基板の積層方向から工具を用いて、第1の端子の先端部を第1の接続部に対してねじ止めすることができるとともに、第2の端子の先端部を第2の接続部に対してねじ止めすることができる。
【0017】
また、上記本発明の一態様に係る熱媒体加熱装置において、前記第1及び第2の熱媒体流路には、前記ケーシング内に導入された熱媒体が分岐して流れてもよい。
【0018】
このように、ケーシング内に導入された熱媒体が分岐して第1及び第2の熱媒体流路に流れるように構成してもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る車両用空調装置は、上記熱媒体加熱装置と、外気または車室内の空気を循環させるブロアと、前記ブロアの下流側に設けられ、前記外気または前記空気を冷却する冷却器と、前記冷却器の下流側に設けられ、前記PTCヒータにより加熱された前記熱媒体が循環される放熱器と、を備えてもよい。
【0020】
このように、車両用空調装置が熱媒体加熱装置を含むことで、第1及び第2の端子を制御基板にねじ止めする際の作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電極板の端子を制御基板にねじ止めする際の作業効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態)
図1を参照して、本実施形態に係る車両用空調装置10について説明する。
図1に示す矢印は、外気または車室内の空気の流れ方向を示している。
車両用空調装置10は、例えば、ハイブリッド車両や電動車両等に適用可能な空調装置である。
【0024】
図1を参照するに、車両用空調装置10は、ハウジング11と、ブロア13と、冷却器15と、熱媒体循環回路19を構成する放熱器16と、エアミックスダンパ17と、熱媒体加熱装置25を含む熱媒体循環回路19と、を有する。
【0025】
ハウジング11は、取り込み口11Aと、吐出口11Bと、流路11Cと、とされている。取り込み口11Aは、外気または車室内の空気(以下、単に「空気」という)を流路11C内に取り込むための開口部である。吐出口11Bは、流路11Cを通過した空気を車室内に設けられた複数の吹き出し口と接続されている。流路11Cは、空気が流れる経路であり、ハウジング11内に区画されている。
【0026】
ブロア13は、ハウジング11内の取り込み口11A付近に設けられている。ブロア13は、取り込み口11Aから空気を吸い込み、吸い込んだ空気をブロア13の下流側に圧送する。
【0027】
冷却器15は、ブロア13の下流側に位置するハウジング11内に設けられている。冷却器15は、流路11Cの一部を塞ぐように配置されている。冷却器15は、図示していない圧縮機、凝縮器、及び膨張弁とともに冷媒回路を構成する。冷却器15は、膨張弁で断熱膨張された冷媒を蒸発させることで、冷却器15を通過する空気を冷却し、冷却した空気を冷却器15の下流側に供給する。
【0028】
放熱器16は、循環ライン21、タンク23、ポンプ24、エンジン(図示せず)、及び熱媒体加熱装置25とともに熱媒体循環回路19を構成している。放熱器16は、冷却器15の下流側に位置する流路11Cに設けられている。
【0029】
放熱器16は、循環ライン21と接続された導入口16A及び導出口16Bを有する。導入口16Aには、循環ライン21により熱媒体加熱装置25を経由した熱媒体が導入される。放熱器16内を通過した熱媒体は、導出口16Bから循環ライン21に導出される。
放熱器16は、冷却器15から冷却された空気と熱媒体とを熱交換させることで空気を加熱し、加熱した空気を下流側に供給する。
【0030】
エアミックスダンパ17は、冷却器15と放熱器16との間に位置する流路11Cに設けられている。エアミックスダンパ17は、放熱器16を通過した空気の量と放熱器16をバイパスして流れる空気の量との割合を調整するためのダンパである。エアミックスダンパ17は、エアミックスダンパ17の下流でミックスされる空気の温度を調節する機能を有する。
【0031】
熱媒体循環回路19は、放熱器16、循環ライン21、タンク23、ポンプ24、エンジン(図示せず)、及び熱媒体加熱装置25を含んだ構成とされている。
熱媒体循環回路19は、例えば、ハイブリッド運転時等、熱媒体であるエンジン冷却水の温度がさほど上昇しない時に、熱媒体加熱装置10によってエンジン冷却水を加熱する。そして、加熱したエンジン冷却水をポンプ24により循環ライン21により循環させることで、ハウジング11内にて放熱器16を通過する空気を加温する。
【0032】
循環ライン21は、ハウジング11の外側に配置されている。循環ライン21は、放熱器16、タンク23、ポンプ24、エンジン(図示せず)、及び熱媒体加熱装置25を接続している。循環ライン21は、熱媒体を循環させるためのラインである。
【0033】
ハイブリッド車両に車両用空調装置10を適用する場合、上記熱媒体としては、例えば、ハイブリッド車両のエンジン冷却水を用いることが可能である。また、エンジンを備えない電動車両に車両用空調装置10を適用する場合、上記熱媒体としては、例えば、ブライン等を用いることが可能である。
【0034】
タンク23は、導出口16B側に位置する循環ライン21に設けられている。タンク23内には、熱媒体が貯留されている。
【0035】
ポンプ24は、タンク23の下流側に位置する循環ライン21に設けられている。ポンプ24は、タンク23内の熱媒体を熱媒体加熱装置25に供給する。
【0036】
熱媒体加熱装置25は、ポンプ24と放熱器16との間に位置する循環ライン21に設けられている。
【0037】
図2〜
図8を参照して、熱媒体加熱装置25の構成について説明する。
図2〜
図5に示すZ方向は、PTCヒータ32及び制御基板37の積層方向を示している。
図2〜
図8において、同一構成部分には同一符号を付す。
図4に示す矢印は、熱媒体が2つに分岐して流れる状態を示している。また、
図7では、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42を取り外した状態を示している。
図8では、熱媒体加熱装置のうち、下部のみを断面図で示す。
【0038】
熱媒体加熱装置25は、ケーシング31と、PTCヒータ32と、絶縁部材34と、制御基板37と、第1のねじ38と、第2のねじ39と、を有する。
ケーシング31は、第1のケーシング部41と、第2のケーシング部42と、を有する。第1のケーシング部41と第2のケーシング部42とは、分離可能な構成(一方から他方を取り外し可能な構成)とされている。
【0039】
第1のケーシング部41は、PTCヒータ32を構成するPTC素子61の第1の面61a側に配置されている。第1のケーシング部41は、第2のケーシング部42に対してねじ等により固定されている。第1のケーシング部41は、基板収容部45と、流路形成部46と、蓋部47と、を有する。
【0040】
基板収容部45は、流路形成部46と蓋部47との間に設けられている。基板収容部45は、基板収容凹部45Aと、熱媒体導入口45Bと、熱媒体導出口45Cと、を有する。基板収容凹部45Aは、制御基板37を収容する凹部である。
熱媒体導入口45Bは、熱媒体を循環する循環ライン21と接続されている。熱媒体導入口45Bは、ケーシング31内に形成された第1及び第2の熱媒体流路48,56に熱媒体を導入する。
熱媒体導出口45Cは、循環ライン21と接続されている。熱媒体導出口45Cは、ケーシング31内に設けられた第1及び第2の熱媒体流路48,56を通過した熱媒体を循環ライン21に導出させる。
【0041】
流路形成部46は、板状の部材であり、基板収容部45と対向する部分に複数のフィン46Aを有する。複数のフィン46Aは、基板収容部45に向かう方向に突出している。
流路形成部46と基板収容部45との間には、第1の熱媒体流路48が区画されている。第1の熱媒体流路48は、複数の平行な流路である。第1の熱媒体流路48は、熱媒体導入口45B及び熱媒体導出口45Cと連通している。第1の熱媒体流路48は、PTCヒータ32の一方の面と対向するように配置されている。
【0042】
蓋部47は、基板収容部45に対して分離可能な構成とされている。蓋部47は、ねじ51で固定されている。蓋部47は、制御基板37と対向している。
【0043】
第2のケーシング部42は、PTC素子61の第2の面61b側に配置されている。第2のケーシング部42は、流路形成部53と、蓋部54と、を有する。
流路形成部53は、板状の部材であり、流路形成部46と蓋部54との間に設けられている。流路形成部53は、蓋部54と対向する部分に複数のフィン53Aを有する。複数のフィン53Aは、蓋部54に向かう方向に突出している。
【0044】
複数のフィン53Aと蓋部54との間には、第2の熱媒体流路56が区画されている。第2の熱媒体流路56は、複数の平行な流路であり、熱媒体導入口45B及び熱媒体導出口45Cと連通している。第2の熱媒体流路56は、PTCヒータ32の他方の面と対向するように配置されている。
流路形成部46と流路形成部53との間には、PTCヒータ32、圧縮性シート(
図3〜
図7では図示せず)、及び絶縁部材34(
図4及び
図5では図示せず)が収容される空間57が形成されている。
図8に示すように、PTCヒータ32の両面は、シリコンシート等からなる圧縮性熱伝達シート64で覆われている。また、PTCヒータ32の周縁部には、絶縁部材34が設けられている。
【0045】
PTCヒータ32は、空間57に配置されている。PTCヒータ32は、PTC素子61と、第1の電極板62と、第2の電極板63と、を有する。
【0046】
PTC素子61は、矩形の板状とされた素子であり、第1の電極板62と第2の電極板63との間に配置されている。PTC素子61は、第1の面61aと、第2の面61bと、有する。第1の面61aは、Z方向において第1のケーシング部41に設けられた第1の熱媒体流路48と対向している。
第2の面61bは、第1の面61aの反対側に配置された面である。第2の面61bは、Z方向において第2のケーシング部42に設けられた第2の熱媒体流路56と対向している。
なお、
図5及び
図6では、1つのPTC素子61のみを図示したが、第1の電極板62と第2の電極板63との間に、複数のPTC素子61を設けてもよい。
【0047】
第1の電極板62は、3つに分割された第1の電極本体65と、3つの第1の端子66と、を有する。第1の電極本体65は、矩形とされた板状の電極である。第1の電極本体65は、PTC素子61の第1の面61aに設けられている。
第1の端子66は、3つに分割された第1の電極本体65に対してそれぞれ設けられている。3つの第1の端子66のうち、2つの端子は、隣り合うように配置されており、残りの1つの端子は、他の2つの端子から離間した位置に設けられている。
3つの第1の端子66は、第1の電極本体65の端からPTC素子61の外側で、かつ制御基板37に向かう方向に延出している。3つの第1の端子66は、板材が2カ所で折り曲げられた形状とされている。
【0048】
3つの第1の端子66は、それぞれ貫通穴66Bが形成された先端部66Aと、折り曲げ部66C,66Dと、を有する。貫通穴66Bは、第1のねじ38の軸部38Bが挿入される穴である。先端部66Aは、制御基板37を構成する第1の接続部83と接触する部分である。
【0049】
折り曲げ部66Cは、PTC素子61の近傍に配置されている。折り曲げ部66Cは、3つの第1の端子66の延在方向を制御基板37に向かう方向(Z方向)にするために折り曲げられた部分である。
折り曲げ部66Dは、先端部66Aの近傍に配置されている。折り曲げ部66Dは、先端部66Aの延在方向をZ方向に対して直交する方向にするために折り曲げられた部分である。
【0050】
このように、3つの第1の端子66がそれぞれ2つの折り曲げ部66C,66Dを有することで、Z方向において、3つの第1の端子66の先端部66Aと制御基板37(具体的には、後述する第1の接続部83)とを対向配置させることが可能になる。
これにより、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42が取り外された状態で、PTCヒータ32及び制御基板37の積層方向(Z方向)から工具を用いて、3つの第1の端子66の先端部66Aを制御基板37の第1の接続部83に対してねじ止めすることができる。
【0051】
第2の電極板63は、第2の電極本体68と、第2の端子69と、を有する。第2の電極本体68は、矩形とされた板状の電極である。第2の電極本体68は、PTC素子61の第2の面61bに設けられている。
第2の端子69は、第2の電極本体68の2つの長辺のうち、第1の端子66が設けられた側に位置する長辺に1つ設けられている。第2の端子69は、3つの第1の端子66のうち、2つの第1の端子66から離間した位置に設けられた1つの第1の端子66と隣り合うように配置されている。
第2の端子69は、第2の電極本体68の端からPTC素子61の外側で、かつ制御基板37に向かう方向に延出している。第2の端子69は、板材が2カ所で折り曲げられた形状とされている。
【0052】
第2の端子69は、貫通穴69Bが形成された先端部69Aと、折り曲げ部69C,69Dと、を有する。貫通穴69Bは、第1のねじ38の軸部38Bが挿入される穴である。先端部69Aは、制御基板37を構成する第2の接続部84と接触する部分である。
【0053】
折り曲げ部69Cは、PTC素子61の近傍に配置されている。折り曲げ部69Cは、第2の端子69の延在方向を制御基板37に向かう方向(Z方向)にするために折り曲げられた部分である。
折り曲げ部69Dは、先端部69Aの近傍に配置されている。折り曲げ部69Dは、先端部69Aの延在方向をZ方向に対して直交する方向にするために折り曲げられた部分である。
【0054】
このように、第2の端子69が2つの折り曲げ部69C,69Dを有することで、Z方向において、第2の端子69の先端部69Aと制御基板37(具体的には、後述する第2の接続部84)とを対向配置させることが可能になる。
これにより、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42が取り外された状態で、PTCヒータ32及び制御基板37の積層方向(Z方向)から工具を用いて、第2の端子69の先端部69Aを制御基板37の第2の接続部84に対してねじ止めすることができる。
【0055】
上記構成とされたPTCヒータ32は、第1及び第2の熱媒体流路48,56を流れる熱媒体を加熱する。PTCヒータ32により加熱された熱媒体は、放熱器16の導入口16Aを通じて、放熱器16内に導入される。
【0056】
なお、PTCヒータ32と流路形成部46,53との間には、図示していない絶縁板が設けられている。この絶縁板により、PTCヒータ32と流路形成部46,53との間は絶縁されている。
【0057】
また、
図3では、一例として、3つの第1の端子66と、1つの第2の端子69と、を設けた場合を例に挙げて図示したが、第1及び第2の端子66,69の数は、本実施形態で説明した分割数に限定されない。
【0058】
さらに、
図3、
図5、及び
図6では、第1及び第2の端子66,69がそれぞれ2つの折り曲げ部(折り曲げ部66C,66Dまたは折り曲げ部69C,69D)を有する場合を例に挙げて説明したが、第1及び第2の端子66,69の折り曲げ部の数は、2つ以上であればよく、2つに限定されない。
【0059】
絶縁部材34は、枠体73と、第1のガイド部75と、第2のガイド部76と、を有する。枠体73は、第1の電極本体65、PTC素子61、及び第2の電極本体68よりなる構造体の側面を囲む形状とされている。
【0060】
枠体73は、第1の電極本体65、PTC素子61、及び第2の電極本体68よりなる構造体の側面を囲んだ状態で、流路形成部46と流路形成部53の間に配置されている。枠体73の外周面は、ケーシング31の内面に当接されている。
【0061】
第1のガイド部75は、枠体73の長辺に3つ設けられている。2つの第1のガイド部75は、隣接して設けられている。残りの1つの第1のガイド部75は、他の2つの第1のガイド部75から離間した位置に設けられている。
第1のガイド部75は、第1の端子66が挿入され、Z方向に延在する第1の開口部75Aを有する。第1のガイド部75は、第1の端子66を囲む形状とされている。
このような構成とされた第1のガイド部75を有することで、第1の端子66の周囲に配置された導体と第1の端子66との間を絶縁することができる。
【0062】
第2のガイド部76は、第1のガイド部75が設けられた枠体73の長辺に1つ設けられている。第2のガイド部76は、1つの第1のガイド部75に隣接して配置されている。
第2のガイド部76は、第2の端子69が挿入され、Z方向に延在する第2の開口部76Aを有する。第1のガイド部75は、第1の端子66を囲む形状とされている。
このような構成とされた第2のガイド部76を有することで、第2の端子69の周囲に配置された導体と第2の端子69との間を絶縁することができる。
【0063】
上記構成とされた絶縁部材34を有することで、PTCヒータ32の側面の周囲に配置された導体とPTCヒータ32の側面との間を絶縁することができるとともに、制御基板37に対するPTCヒータ32の位置決めを行うことができる。
【0064】
制御基板37は、基板本体81と、第1の接続部83と、第2の接続部84と、電子部品85と、を有する。
基板本体81は、板状とされた基板の面に回路パターン(制御回路パターンや電源回路パターン等)が形成された構成とされている。基板本体81は、基板収容部45上にねじ又はボルトで固定されている。基板本体81は、基板収容部45と対向する面81aを有する。
【0065】
第1の接続部83は、端子台であり、基板本体81の面81aの外周部に3つ設けられている。第1の接続部83は、第1の端子66の先端部66Aと対向する位置に配置されている。第1の接続部83は、基板本体81の面81aから第2のケーシング部42に向かうZ方向に突出している。第1の接続部83は、基板本体81と電気的に接続されている。第1の接続部83には、貫通穴66Bと対するねじ穴83Aが設けられている。
【0066】
第2の接続部84は、端子台であり、基板本体81の面81aの外周部に1つ設けられている。第2の接続部84は、第2の端子69の先端部69Aと対向する位置に配置されている。第2の接続部84は、基板本体81の面81aから第2のケーシング部42に向かうZ方向に突出している。第2の接続部84は、基板本体81と電気的に接続されている。第2の接続部84には、貫通穴69Bと対するねじ穴84Aが設けられている。
【0067】
電子部品85は、基板本体81に実装されている。電子部品85は、基板本体81と電気的に接続されている。電子部品85としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)等の発熱性を有する電子部品と、これら以外の電子部品と、を用いることが可能である。
【0068】
第1のねじ38は、3つ設けられている。3つの第1のねじ38は、頭部38Aと、軸部38Bと、を有する。第1のねじ38は、貫通穴66Bに軸部38Bが挿入された状態で、第1の接続部83のねじ穴83Aに螺合されている。これにより、第1の端子66の先端部66Aは、第1のねじ38により第1の接続部83に固定されるとともに、制御基板37と電気的に接続されている。
頭部38Aは、第1のケーシング部41側に配置されている。頭部38Aは、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42を取り外すことで第1のケーシング部41から露出される。第1のねじ38は、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42を取り外した状態で、Z方向から螺合される。
【0069】
第2のねじ39は、頭部39Aと、軸部39Bと、を有する。第2のねじ39は、貫通穴69Bに軸部39Bが挿入された状態で、第2の接続部84のねじ穴84Aに螺合されている。これにより、第2の端子69の先端部69Aは、第2のねじ39により第2の接続部84に固定されるとともに、制御基板37と電気的に接続されている。
頭部39Aは、第2のケーシング部42側に配置されている。頭部39Aは、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42を取り外すことで第1のケーシング部41から露出される。第2のねじ39は、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42を取り外した状態で、Z方向から螺合される。
【0070】
本実施形態の熱媒体加熱装置25によれば、第1のケーシング部41と、第1のケーシング部41から取り外し可能な第2のケーシング部42と、第1の端子66の先端部66Aを第1の接続部83に固定する第1のねじ38と、第2の端子69の先端部69Aを第2の接続部84に固定する第2のねじ39と、を備え、Z方向で第1の端子66の先端部66Aと第1の接続部83とを対向配置させるとともに、Z方向で第2の端子69の先端部69Aと第2の接続部84とを対向配置させることで、第1のケーシング部41から第2のケーシング部42を取り外した状態で、Z方向から第1及び第2のねじ38,39を螺合することが可能となる。
これにより、ケーシング31の側壁に作業用の窓を設ける必要がなくなるとともに、ケーシング31の側壁側から作業用の窓を通じてねじ止めする場合と比較して、第1及び第2のねじ38,39を第1及び第2の接続部83,84にねじ止めする際の作業効率を高めることができる。
【0071】
また、上記構成とすることで、第1及び第2の接続部83,84と第1及び第2の端子66,69との位置関係を確認しながら、第1及び第2のねじ38,39を螺合することができる。
【0072】
上述した熱媒体加熱装置25と、外気または車室内の空気を循環させるブロア13と、ブロア13の下流側に設けられ、外気または前記空気を冷却する冷却器15と、冷却器15の下流側に設けられ、PTCヒータ32により加熱された熱媒体が循環される放熱器16と、を備えた車両用空調装置10は、第1及び第2の端子66,69を第1及び第2の接続部83,84にねじ止めする際の作業効率を高めることができる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。