特許第6803265号(P6803265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803265
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】車両の駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20201214BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B60W30/06
   G08G1/16 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-36645(P2017-36645)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-140734(P2018-140734A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】工藤 新也
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−189097(JP,A)
【文献】 特開2014−100958(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/083829(WO,A1)
【文献】 特開2013−071703(JP,A)
【文献】 特開2011−148497(JP,A)
【文献】 特開2001−010429(JP,A)
【文献】 特開2011−093495(JP,A)
【文献】 特開2009−196487(JP,A)
【文献】 特開平11−208431(JP,A)
【文献】 特開2004−050925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 10/30
B60W 30/00 − 60/00
B60R 25/00 − 99/00
G08G 1/00 − 99/00
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
B62D 6/00 − 6/10
B60K 31/00 − 31/18
G05D 1/00 − 1/12
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方画像を取得する前方画像取得手段と、
前記自車両の車速を検出する車速検出手段と、
少なくとも前記前方画像取得手段で取得した前記自車両前方の走行環境と前記車速検出手段で検出した車速とに基づき該自車両が空駐車スペースに駐車しようとしていると判定した場合、前記自車両の駐車を支援する駐車支援演算手段と
を備える車両の駐車支援装置において、
前記駐車支援演算手段は、
前記前方画像取得手段で取得した前記前方画像に基づき前記空駐車スペースを区画する区画線を検出し、前記自車両が手前の空駐車スペースを通過して奥の空駐車スペースに駐車しようとしているか否かを推定する駐車推定手段と、
前記駐車推定手段で前記自車両が前記奥の空駐車スペースに駐車しようとしていると推定した場合、前記前方画像取得手段で取得した前記前方画像に前記手前の空駐車スペースと前記奥の空駐車スペースとを区画する横区画線の通過を検出する区画線検出枠を設定する区画線検出枠設定手段と、
前記区画線検出枠内を前記横区画線が通過したか否かを判定する横区画線通過判定手段と、
前記横区画線通過判定手段で前記横区画線の通過を検出した場合に前記奥の空駐車スペースに駐車しようとする前記自車両に対する駐車支援を実行する駐車支援手段と
を備えることを特徴とする車両の駐車支援装置。
【請求項2】
前記自車両の後端部を含む後方画像を取得する後方画像取得手段と、
前記後方画像取得手段で取得した前記後方画像を表示するモニタと
を更に有し、
前記駐車支援手段で実行する前記駐車支援は、前記後方画像取得手段で取得した前記後方画像を前記モニタに表示させることである
ことを特徴とする請求項1記載の車両の駐車支援装置。
【請求項3】
前記自車両を自動停車させるブレーキ駆動手段と、
前記ブレーキ駆動手段を制御するブレーキ制御手段と
を更に有し、
前記駐車支援手段で実行する前記駐車支援は、前記ブレーキ制御手段にて前記自車両を前記奥の空駐車スペースに自動停車させるブレーキ制御を実行させることである
ことを特徴とする請求項1記載の車両の駐車支援装置。
【請求項4】
前記ブレーキ制御手段は、前記奥の空駐車スペースを区画する前記横区画線から所定に離間した位置で前記自車両の後端を停止させる目標停止距離を算出し、前記車速検出手段で検出した車速を時間積分して移動距離を算出し、該移動距離が前記目標停止距離となる指示ブレーキ圧を設定して前記ブレーキ駆動手段を駆動させる
ことを特徴とする請求項3記載の車両の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両を区画線で区切られた手前の空駐車スペースを通過して奥の空駐車スペースに駐車させる際の駐車支援を行う車両の駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、駐車スペースに自車両を後向きで駐車する場合、リヤビューカメラが搭載されている車両では、セレクトレバーをR(リバース)レンジにセットすると、後方の画像がリヤバンパの後端と共にモニタに表示され、運転者はモニタに映し出された後方の画像を認識することで、自車両の駐車位置を容易に把握することができる。
【0003】
又、運転者がセレクトレバーをRレンジにセットしていない状態であっても、駐車スペースを検出した際に、モニタに画像を表示させて駐車支援を行う技術も種々提案されている。例えば特許文献1(特開2005−50220号公報)には、地磁気センサやGPS衛星からの位置データ等に基づいて検出した現在位置とナビゲーション装置に記憶されている地図データとに基づき、自車両が駐車場内にあり、且つ車速が所定以下の場合、後方の監視映像をモニタに自動的に表示させるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−50220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、駐車スペースの後端を規定する横区画線を介して縦列に並ぶ2つの駐車スペースが隣接されている場合、互いの駐車スペースの出入口は反対側に設けられており、従って、異なる走行路を走行して各駐車スペースに自車両を駐車させる。この場合においても、各駐車スペースに対して後向きで駐車する場合、上述した各特許文献に開示されている技術を採用することで、スムーズな駐車が可能となる。
【0006】
その際、横区画線を介して隣接する縦列の駐車スペースの何れもが空いている場合、運転者は手前の駐車スペースを通過して奥の駐車スペースに前進で駐車させれば、結果的に後向きで駐車した場合と同じになる。
【0007】
しかし、このような駐車方法であっても、上述した文献に開示されている技術では、自車両の駐車場内への進入を検出した場合、後方の監視映像が自動的に表示されるが、この監視映像は、自車両を前進で駐車させる際には必要としない情報であり、運転者に煩わしさを覚えさせてしまう不都合がある。
【0008】
一方、セレクトレバーがRレンジにセットされた場合にのみ後方画像が表示されるようにした技術では、縦列に並ぶ駐車スペースに対し、自車両を手前の駐車スペースから奥の駐車スペースに進入させた際に、自車両の後端と横区画線との間の距離を把握することができず、自車両を適正な位置で停止させることが困難となる。従って、このような場合、自車両を出入口から走行路方向へ一旦オーバさせ、その後、セレクトレバーをRレンジにセットし、モニタに後方画像を表示させる。
【0009】
そして、運転者はモニタの後方画像を認識しながら自車両を後退させて適正な位置で停車させる。しかし、この駐車方法では、自車両を一旦前進させ、その後、後進させる操作が必要となるため煩雑な操作が要求される不都合がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、自車両を手前の駐車スペースを通過して奥の駐車スペースに前進で駐車させようとするに際し、運転者に負担を掛けることなく、スムーズで、且つ正確な位置に停止させることのできる車両の駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自車両の前方画像を取得する前方画像取得手段と、前記自車両の車速を検出する車速検出手段と、少なくとも前記前方画像取得手段で取得した前記自車両前方の走行環境と前記車速検出手段で検出した車速とに基づき該自車両が空駐車スペースに駐車しようとしていると判定した場合、前記自車両の駐車を支援する駐車支援演算手段とを備える車両の駐車支援装置において、前記駐車支援演算手段は、前記前方画像取得手段で取得した前記前方画像に基づき前記空駐車スペースを区画する区画線を検出し、前記自車両が手前の空駐車スペースを通過して奥の空駐車スペースに駐車しようとしているか否かを推定する駐車推定手段と、前記駐車推定手段で前記自車両が前記奥の空駐車スペースに駐車しようとしていると推定した場合、前記前方画像取得手段で取得した前記前方画像に前記手前の空駐車スペースと前記奥の空駐車スペースとを区画する横区画線の通過を検出する区画線検出枠を設定する区画線検出枠設定手段と、前記区画線検出枠内を前記横区画線が通過したか否かを判定する横区画線通過判定手段と、前記横区画線通過判定手段で前記横区画線の通過を検出した場合に前記奥の空駐車スペースに駐車しようとする前記自車両に対する駐車支援を実行する駐車支援手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自車両を手前の駐車スペースを通過して奥の駐車スペースに前進で駐車させようとする際に、駐車支援手段により駐車支援が実行されるので、運転者に負担を掛けることなく、奥の駐車スペースに対し、自車両をスムーズで且つ正確な位置に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態による駐車支援装置の構成図
図2】同、駐車支援ルーチンを示すフローチャート(その1)
図3】同、駐車支援ルーチンを示すフローチャート(その2)
図4】同、縦列に2つの駐車スペースが設定されている駐車場の概略図
図5】同、駐車スペースに前進で進入する車両の説明図
図6】同、手前から奥の駐車スペースに前進で進入しようとしている車両の説明図
図7】同、駐車スペースに前進で進入する際の車載カメラで取得した前方画像情報の時系列変化を示す説明図
図8】同、車止めが設置されている駐車スペースに進入する車両の説明図
図9】同、横区画線を横切って奥の駐車スペースに進入する車両の説明図
図10】同、奥の駐車スペースに駐車した状態を示す車両の説明図
図11】第2実施形態による駐車支援装置の構成図
図12】同、駐車支援ルーチンを示すフローチャート(その1)
図13】同、駐車支援ルーチンを示すフローチャート(その2)
図14】同、奥の駐車スペースに前進で進入しようとしている車両の説明図
図15】同、横区画線を横切って奥の駐車スペースに進入する車両の説明図
図16】同、奥の駐車スペースに駐車した状態を示す車両の説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1図10に本発明の第1実施形態を示す。図1の符号1は駐車支援装置であり、図5等に示されている自車両M1に搭載されている。この駐車支援装置1は、駐車支援演算手段としての駐車支援演算部11を有している。この駐車支援演算部11はCPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、ROMには、CPUが予め設定した動作を実現させるための制御プログラムを代表とする各種固定データが記憶されている。
【0016】
この駐車支援演算部11の入力側に、自車両M1の前方の走行環境を取得する前方画像取得手段としての車載カメラユニット12が接続されている。この車載カメラユニット12はメインカメラ12a及びサブカメラ12bからなるステレオカメラと第1の画像処理ユニット(第1のIPU)12cとを備えている。この両カメラ12a,12bは車室内前部の上部(例えば、ルームミラーの両側)に一定の間隔を保持した状態で固設されている。この両カメラ12a,12bで撮像した自車前方の走行環境の画像信号が第1のIPU12cに送信され、両カメラ12a,12bで撮像した画像情報に基づき、自車両M1の前方画像情報20(例えば、図7参照)を取得し、この前方画像情報20を駐車支援演算部11に出力する。
【0017】
更に、この駐車支援演算部11の入力側には、自車両M1の車速(以下、「自車速」と称する)を検出する車速検出手段としての車速センサ13、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサ14、ブレーキペダルの踏込みでON動作するブレーキスイッチ15、アクセルペダルの踏込量からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ16、セレクトレバーのセットポジションを検出するセレクトポジションセンサ17、及び、後方画像取得手段としてのリヤビューカメラユニット18が接続されている。
【0018】
リヤビューカメラユニット18は自車両M1の後方の画像をリヤパンパの後端部と共に撮像するリヤビューカメラ18aと第2の画像処理ユニット(第2のIPU)18bとを備えている。第2のIPU18bはリヤビューカメラ18aで撮像した後方画像を所定に画像処理すると共に、車幅の延長の目安を示す縦方向の車幅延長線とバンパ後端からの距離を示す横方向の距離目安線等からなる、周知の駐車ガイド線を合成した重畳画像を生成し、駐車支援演算部11に出力する。
【0019】
一方、駐車支援演算部11の出力側にモニタ21が接続されている。このモニタ21は、特に運転者が自車両M1を駐車する際に、リヤビューカメラユニット18から出力される後方画像と駐車ガイド線との重畳画像を駐車の目安として表示させるものであり、インストルメントパネル等、運転者の視認し易い位置に設置されている。
【0020】
駐車支援演算部11では、車載カメラユニット12からの前方画像情報20に基づき自車両M1が、図4に示す駐車場31の空駐車スペース31aに前進で進入し、隣接する奥の空駐車スペース31bに駐車しようとしているか否かを予測する。図4(a)、図5に示すように、駐車場31に設けられた駐車エリアが縦二列の横列駐車面をなしている場合、縦列側の駐車スペースは横区画線32aを介して区画され、横列側の駐車スペースは縦区画線32bを介して区画されている。尚、区画線32a,32bは白線で描画されている場合が多く、これにより路面とのコントラストを明確にして運転者が識別し易いようにしている。
【0021】
このような駐車エリアでは、各駐車スペースに車両を後向き駐車させた場合、縦列側の駐車スペースでは各車両のリヤバンパが付き合わせされた状態となる。又、図4(b)に示すように、高速道路のサービスエリア等に設定されている駐車エリアでは、駐車場エリアに対する進入方向と退出方向とを明確にするために、横列側の駐車スペースを、区画線32bを介して進入側から退出側へ向けて斜めに描画し、横区画線32bを縦区画線32aに対して駐車スペース毎に直交する方向に描画されている。このような駐車スペースでは、手前の駐車スペースには車両を前向きで駐車し、奥の駐車スペースには車両を後向きで駐車する。
【0022】
これらの駐車エリアにおいて、縦列に並ぶ2つの駐車スペースが、図4(a),(b)に示すように空駐車スペース31a,31bとなっている場合、運転者は自車両M1を、図4の一点鎖線で示すように手前の空駐車スペース31aに前進で進入させた後、横区画線32aを横切って、実線で示すように奥の空駐車スペース31b側に駐車させようとする。
【0023】
駐車支援演算部11は、運転者が自車両M1を前進で手前の空駐車スペース31aを通過して奥の空駐車スペース31b側に駐車させようとしていると推定した場合、リヤビューカメラユニット18からの後方画像情報(バックモニタ画像情報)をモニタ21に表示させる駐車支援を行う。これにより、運転者はリヤバンパの後端と横区画線32aとの位置を容易に把握することができる。
【0024】
この駐車支援演算部11での駐車支援演算処理は、具体的には、図2図3に示す駐車支援ルーチンに従って実行される。
【0025】
このルーチンでは、先ず、ステップS1で自車両M1が駐車場31内に進入したか否かを調べる。自車両M1が駐車場31内に進入したか否かは、例えば、カーナビゲーションシステムを搭載している車両では、GPS(GNSS)情報に基づいて求めた自車位置情報と地図情報とに基づき判定する。又、自車両M1がカーナビゲーションシステムを搭載していない場合は車載カメラユニット12からの前方画像情報と車速センサ13で検出した自車速とに基づき、車速が設定低車速(例えば20[Km/h])以下で所定時間(例えば5〜10[sec])以上走行しており、しかも前方画像情報20に基づき路面に平行な複数の線群(具体的には縦区画線32b)を検出した場合、駐車場31内に進入したと判定する。或いは、車速を検出すること無く前方画像情報に基づき路面に平行な複数の線群(具体的には縦区画線32b)を検出した場合に駐車場内に進入したと判定するようにしても良い。
【0026】
そして、自車両M1が駐車場31に進入したと判定した場合は、ステップS2へ進み、駐車場31に進入していないと判定した場合は、ルーチンを抜け、自車両M1が駐車場31に進入するまで待機する。
【0027】
ステップS2へ進むと、車載カメラユニット12からの前方画像情報20に区画線検出枠20aを合成した重畳画像を生成し、ステップS3へ進む。尚、このステップでの処理が、本発明の区画線検出枠設定手段に対応している。
【0028】
ステップS3では自車両M1が駐車場31から退出したか否かを調べる。運転者は一旦駐車場31内に進入した後、駐車することなく、或いは駐車させた後であっても、システムをOFFさせることなく再発進させて退出する場合がある。駐車場31からの退出か否かは、例えば車速センサ13で検出した車速に基づき車速が低速判定車速(例えば20[Km/h])以下で所定時間(例えば5〜10[sec])以上走行した後、車速が走行判定車速(例えば30[Km/h])を超えたとき退出と判定する。この場合、車載カメラユニット12からの前方画像情報20に基づき公道に描画された車線を区画する区画線が検出された場合、退出と判定する条件を加えても良い。或いは、自車両M1がカーナビゲーション装置を搭載している場合、GPS(GNSS)情報に基づいて求めた自車位置情報と地図情報とに基づき退出を判定するようにしても良い。
【0029】
そして、駐車場31内と判定された場合はステップS4へ進む。又、駐車場31から退出したと判定したときはステップS5へ分岐し、前方画像情報20に重畳されている区画線検出枠20aの表示を解除してルーチンを抜ける。
【0030】
一方、ステップS4へ進むと、車速センサ13で検出した自車速と予め設定されている極低速判定車速(例えば、10〜15[Km/h])とを比較し、運転者が自車両M1を駐車させようとしているか否かを調べる。そして、極低速判定車速未満の場合、運転者は、図5に示すように、自車両M1を空駐車スペース31aに前進で駐車させようとしていると判定してステップS6へ進む。又、極低速判定車速以上の場合、運転者は未だ空駐車スペース31aに駐車させようとしていないと判定してステップS3へ戻る。従って、このステップS4での処理が、本発明の駐車推定手段に対応している。
【0031】
尚、ステップS4において、前方画像情報20に基づき、手前の空駐車スペース31aの左右に描画されている横区画線32aが自車両M1の左右方向で認識されたか否かを調べ、認識された場合、自車両M1を奥の空駐車スペース31bに駐車しようとしていると判定する条件を更に加えても良い。
【0032】
ステップS6では前方画像情報20に重畳した区画線検出枠20a内の輝度の時系列での変化に基づき、自車両M1が横区画線32aを横断しようとしているか否かを調べる。すなわち、図6に示すように、自車両M1が手前の空駐車スペース31aを通過して奥の空駐車スペース31bに前進で駐車しようとする場合、図7(a)〜(c)に示すように、車載カメラユニット12で撮像した横区画線32aは画像の上部から下部方向へ移動する。そして、この横区画線32aが区画線検出枠20a内を横切るに際し、路面と横区画線32aとの輝度差により、区画線検出枠20a内の二値化された平均輝度値は、「低い」(図7(a))→「高い」(図7(b))→「低い」(図7(c))と変化する。尚、図7に示す画像はモニタ21には表示されない。
【0033】
上述したステップS6では、平均輝度値と予め設定されている閾値とを比較し、平均輝度値≧閾値(「低い」)と平均輝度値<閾値(「高い」)とが上述したような時系列で変化した場合は、自車両M1は横区画線32aを横切ろうとしていると判定し、ステップS7へ進む。一方、平均輝度値の上述した時系列での変化が検出されない場合は、ステップS3へ戻る。尚、このステップS6での処理が、本発明の横区画線通過判定手段に対応している。
【0034】
ステップS7へ進むと、車載カメラユニット12からの前方画像情報20に基づき自車両M1の前方近距離の位置(横区画線32aの手前、或いは前方)に障害物があるか否かを調べる。障害物としては、例えば図8に示すような手前の空駐車スペース31aに固定されている車両の停止位置を規制する車止め(輪止め)31cや、奥の空駐車スペース31bに停車している車両或いは横区画線32aの前方に立設された壁面やフェンス等がある。
【0035】
そして、前方近距離の位置に障害物が検出されない場合、そのまま前進が可能であると判定し、ステップS8へ進む。一方、障害物が検出された場合、ステップS3へ戻る。
【0036】
ステップS8〜S12では、自車両M1を奥の空駐車スペース31bに駐車させる際の駐車支援を実行する。従って、このステップS8〜S12での処理が、本発明の駐車支援手段に対応している。
【0037】
先ず、ステップS8では、リヤビューカメラユニット18からのバックモニタ画像情報(後方画像情報)をモニタ21に表示させてステップS9へ進む。図9図10に示すように、運転者が自車両M1を、横区画線32aを横切って奥の空駐車スペース31bに駐車させようとするに際し、バックモニタ画像情報をモニタ21に表示させることで、リヤバンパの後端と横区画線32aとの間隔を運転者に対して容易に把握させることができ、自車両M1を空駐車スペース31bに対して適正な位置で停車させることができる。
【0038】
ステップS9へ進むと、運転者が空駐車スペース31bに駐車する意思があるか否かを調べる。運転者による駐車の意思は、舵角センサ14で検出した操舵角、ブレーキスイッチ15からのブレーキペダルの踏込みを検出したブレーキON信号、或いはアクセル開度センサ16で検出したアクセル開度等、運転者の行う操作に基づいて推定する。すなわち、自車両M1が横区画線32aを横切る前にブレーキ操作を行った場合、運転者は自車両M1を手前の空駐車スペース31aに前向きで駐車させようとしていると推定することができる。或いは自車両も1が停車していないのに操舵角或いはアクセル開度が所定以上の場合、運転者は自車両M1を駐車させることなく、空駐車スペース31a,31bから走り出したと推定することができる。
【0039】
そして、上述した操作に基づき運転者が奥の空駐車スペース31bに駐車する意思がないと判定した場合、ステップS12へ進む。又、これらの操作が検出されない場合、運転者は空駐車スペースに自車両M1を駐車させる意思があると判定して、ステップS10へ分岐する。
【0040】
ステップS10へ進むと、車速センサ13で検出した自車速と停車判定車速(例えば、5〜10[Km/h])とを比較し、自車両M1が停車したか否かを判定する。そして、車速が停車判定車速以下の場合は、停車と判定してステップS12へ進む。一方、車速が停車判定車速を超えている場合はステップS11へ進む。ステップS11では、上述したステップS8でモニタ21にバックモニタ画像情報を表示した後の経過時間が、予め設定されているエラー判定時間(例えば、60[sec])を超過しているか否かを判定する。そして、経過時間がエラー判定時間以内の場合は、運転者は自車両M1を空駐車スペース31bに対し駐車途上にあると判定してステップS9へ戻る。又、エラー判定時間を経過している場合はステップS12へ進む。
【0041】
ステップS9,S10、或いはS11からステップS12へ進むと、モニタ21に対するバックモニタ画像情報の表示を終了させて、ステップS3へ戻る。尚、この駐車支援ルーチン実行中であっても、運転者が自車両M1を停車させた後、システムをOFFさせた場合、このルーチンは強制的に停止される。
【0042】
このように、本実施形態では、運転者が駐車場31内の空駐車スペース31bに対し、手前の空駐車スペース31aから前進により横区画線32aを横切って駐車しようとする場合、駐車支援演算部11は、それを検知し、モニタ21にリヤビューカメラ18aで撮像した画像を表示させ、リヤパンパの項端面と横区画線32aとをモニタ21に表示させるようにしたので、運転者は奥の空駐車スペース31bに自車両M1を前進で駐車さるに際し、モニタ21に表示されたバックモニタ画像情報を視認することで、自車両M1を空駐車スペース31bに対しスムーズで、且つ正確な位置で停止させることができる。
【0043】
その結果、従来のように、空駐車スペース31bから自車両M1を一旦走行路にオーバさせた後、Rレンジにセレクトレバーをセットし、モニタ21にバックモニタ画像情報を表示させた状態で、自車両M1を後退させて駐車させる必要がなくなり、運転者の負担を軽減させることができる。
【0044】
又、運転者が空駐車スペース31bに駐車させる意思がない場合は、モニタ21に表示されているバックモニタ画像情報を停止させるようにしたので、モニタ21に運転者が必要とする情報のみを表示させることができ、不要な情報が表示されることによる煩わしさを解消することができる。
【0045】
[第2実施形態]
図11図16に本発明の第2実施形態を示す。上述した第1実施形態は、自車両M1を運転者の操作により手前の空駐車スペース31aから奥の空駐車スペース31bに駐車させる際の駐車支援について説明したが、本実施形態では自車両M1を自動ブレーキ制御により空駐車スペース31bに停車させるようにしたものである。尚、第1実施形態と共通する構成要素については共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図11に示すように、本実施形態による駐車支援演算部11の入力側には、上述した第1実施例と同様、車載カメラユニット12、各センサ13,14,16、及びブレーキスイッチ15が接続されている。一方、駐車支援演算部11の出力側にモニタ21、電子制御スロットルのスロットル弁を開閉動作させるスロットルアクチュエータ22、ブレーキ駆動部23、及び、ブザー、スピーカ等の報知手段24が接続されている。
【0047】
更に、ブレーキ駆動部23に主ブレーキアクチュエータ25、補助ブレーキアクチュエータ26が接続されている。主ブレーキアクチュエータ25は、図示しないハイドロリックコントロールユニット(HCU)から供給される液圧ブレーキを増減させて、各車輪に設けられているディスクブレーキ等の主ブレーキ25aに対する制動力を調整する。一方、補助ブレーキアクチュエータ26は、停車時に左右後輪に設けられているドラム式ブレーキ等の補助ブレーキ26aを動作させて、自車両M1の停車状態を維持する。尚、このブレーキ駆動手段23、主ブレーキアクチュエータ25a、主ブレーキ25aが、本発明の自車両M1を自動停車させるブレーキ駆動手段に対応している。又、主ブレーキ25aは運転者の行うフットブレーキ操作によっても所望の制動力を得ることができる。
【0048】
駐車支援演算部11は、運転者が自車両M1を手前の空駐車スペース31aを通過して奥の空駐車スペース31bに前進で駐車させようとするに際し、自動ブレーキ制御を実行させて自車両M1を空駐車スペース31bに対して適正な位置で自動停止させるようにしたものである。
【0049】
本実施形態の駐車支援演算部11による駐車支援処理は、具体的には、図12図13に示す駐車支援ルーチンに従って実行される。
【0050】
このルーチンでは、ステップS1〜S7までは、上述した第1実施形態と同様の処理が実行され、ステップS7において前方近距離の位置に障害物が検出されないと判定されて、ステップS21へ進むと、ステップS21〜S29において、自車両M1を奥の空駐車スペース31bに駐車させる際の駐車支援を実行する。従って、このステップS21〜S29での処理が本発明の駐車支援手段に対応している。
【0051】
先ず、ステップS21で自動ブレーキ制御の開始を指示し、ステップS22で、自動ブレーキ制御開始直後の自車両M1に搭載されている両カメラ12a,12の位置から横区画線32aの前端までの第1の距離L1(図14参照)を計測する。具体的には、両カメラ12a,12bで撮像した横区画線32aの基準画像と比較画像とに基づき三角測量の原理を用いて、
L1=f・g/Z …(1)
から算出する。
【0052】
ここで、fは各カメラ12a,12bの焦点距離、gは両カメラ12a,12bの光軸間距離、Zは両カメラ12a,12bの視差である。
【0053】
その後、ステップS23へ進み、車速センサ13で検出した車速を時間積分して、自動ブレーキ制御開始時の位置を基準とする第2の距離L2(図15参照)である移動距離の推定値を逐次算出する。尚、L3は両カメラ12a,12bから自車両M1の後端、すなわち、バンパの後端面までの距離(第3の距離=固定値)である。
【0054】
次いで、ステップS24へ進み、横区画線32aの前端から自車両M1の後端までの第4の距離L4を、
L4=(L1+L3)−L2
から逐次算出(推定)し、これに、奥の空駐車スペース31bでの自車両M1の停止位置、すなわち、バンパ後端を横区画線32aの前端から所定に離間した位置で停止させるための第5の距離L5を加算して、自車両M1の目標停止距離(L4+L5)を算出する(図15参照)。
【0055】
その後、ステップS25へ進み、現在の目標停止距離(L4+L5)が0となるような指示ブレーキ、すなわち、空駐車スペース31aにおいてバンパ後端が横区画線32aの前端から第5の距離L5だけ離れた位置で自車両M1を自動停止させるための指示ブレーキを、目標停止位置と車速とに基づいて演算周期毎に算出する。そして、ステップS26で指示ブレーキに対応するブレーキ圧を設定し、ブレーキ駆動部23へ出力する。
【0056】
すると、ブレーキ駆動部23は主ブレーキアクチュエータ25を駆動させて、図示しないハイドロリックコントロールユニット(HCU)から供給される指示ブレーキ圧に対応する液圧ブレーキを主ブレーキ25aに供給し、自車両M1が所定位置で停止するように制動力を調整する。
【0057】
次いで、ステップS27へ進み、運転者によるオーバーライドがあったか否かを調べる。オーバーライドありか否かは、例えば、舵角センサ14で検出した操舵角、ブレーキスイッチ15のON動作、或いはアクセル開度センサ16で検出したアクセル開度等に基づき、所定操舵角のハンドル操作、ブレーキスイッチ15がONのブレーキ操作、或いは所定以上のアクセル操作量(加速度)を検出した場合、オーバーライドありと判定する。
【0058】
そして、オーバーライドなしと判定した場合はステップS28へ分岐し、又、オーバーライドありと判定した場合はステップS29へ進む。ステップS28では、自車両M1が停車したか否かを、車速センサ13で検出した自車速に基づき調べ、停車していない場合はステップS23へ戻り、自動ブレーキ制御を継続させる。一方、自車両M1が停車したと判定した場合はステップS29へ進む。
【0059】
ステップS27、或いはステップS28からステップS29へ進むと、自動ブレーキ制御解除処理を実行して、ステップS3へ戻る。自動ブレーキ制御解除処理は、ステップS28で自車両M1が停車したと判定した場合は、停車から所定時間経過後にブレーキ駆動部23が主ブレーキアクチュエータ25の駆動を解除すると共に、補助ブレーキアクチュエータ26により補助ブレーキ26aを動作させて、自車両M1の停車状態を維持させる。一方、ステップS27でオーバーライドと判定された場合は、ブレーキ駆動部23によるブレーキ動作を解除させる。尚、ステップS25〜S29での処理が、本発明のブレーキ制御手段に対応している。
【0060】
このように、本実施形態では、駐車支援演算部11が、運転者は自車両M1を手前の空駐車スペース31aから横区画線32aを横切って奥の空駐車スペース31bに前進で駐車させようとしていると推定した場合、空駐車スペース31bでの目標停止位置に自車両M1を停止させるための指示ブレーキを逐次求め、自車両M1が停止位置で適正に停止するように自動ブレーキ制御を行うようにしたので、奥の空駐車スペース31bに前進で駐車させようとする際の運転者の負担を軽減させることができる。
【0061】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限るものではなく、例えば第2実施形態において、第4の距離L4が0となった際に、モニタ21にバックモニタ画像情報を表示させて、運転者に確認させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0062】
1…駐車支援装置、
11…駐車支援演算部、
12…車載カメラユニット、
13…車速センサ、
18…リヤビューカメラユニット、
20…前方画像情報、
20a…区画線検出枠、
21…モニタ、
31…駐車場、
31a…手前の空駐車スペース、
31b…奥の空駐車スペース、
32a…横区画線、
32b…縦区画線、
L1〜L5…第1〜第5の距離、
M1…自車両
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