(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演出の優先度として、遊技利益が付与される期待度の高い演出の方が前記遊技利益が付与される期待度の低い演出より前記個別駆動閾値へ到達するまでに余裕がある請求項1に記載の遊技機。
前記演出実行手段は、前記温度状態値が任意の個別駆動閾値に到達したことで前記演出役物装置の駆動を制限すると、前記任意の個別駆動閾値より、到達するまでに余裕がある個別駆動閾値に切り換えて前記演出役物装置を復帰させる請求項1または2に記載の遊技機。
前記演出実行手段は、所定の時間間隔で前記演出役物装置が駆動しているか否か判定し、その判定結果に応じて所定の駆動カウンタ値を、前記個別駆動閾値に第1所定値だけ近づけるか、前記個別駆動閾値から第2所定値だけ遠ざけることで前記温度状態値を導出する請求項1から4のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0018】
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0019】
図2は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
【0020】
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤108には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0021】
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
【0022】
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。このとき、第1始動口120に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口122に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
【0023】
なお、第1始動口120内には第1始動領域が設けられ、また、第2始動口122内には第2始動領域が設けられている。そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球して第1始動領域または第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0024】
また、第2始動口122には、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bの状態に応じて、第2始動口122への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、遊技領域116に設けられたゲート124内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122bが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片122bが開状態になると、当該可動片122bが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。なお、ここでは、第2始動口122が閉状態にあるときに、当該第2始動口122への遊技球の入球が不可能であることとしたが、第2始動口122が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成してもよい。
【0025】
さらに、遊技領域116には、遊技球が入球可能な大入賞口128が設けられている。この大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが大入賞口128を閉鎖して、大入賞口128への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0026】
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。
【0027】
そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、駆動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる楽曲出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられている。
【0028】
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示され、これら各演出図柄210a、210b、210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
【0029】
演出役物装置202は、演出表示部200aよりも前方に配置され、遊技者が視認できる領域において移動や回転を行うことで、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。例えば、
図2における演出役物装置202としての回転役物202aは、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などに、駆動源であるモータ(パルスモータやギヤードモータ)の回転に連動し、前後方向の軸を中心に回転する。また、
図2における演出役物装置202としての移動役物202bは、通常、遊技盤108の背面側に退避しているが、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などには、演出表示部200aの前方まで移動する。
【0030】
演出照明装置204は、例えばLED(Light Emitting Diode)でなり、演出役物装置202や遊技盤108等に設けられており、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
【0031】
楽曲出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けてさまざまな楽曲を出力する。
【0032】
演出操作装置208は、遊技者の押下操作を受け付けるボタンと、遊技者の回転操作を受け付ける回転操作部(例えば、ジョグダイヤル)で構成され、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110よりも下方位置に設けられている。この演出操作装置208は、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、さまざまな演出が実行される。
【0033】
また、演出操作装置208の後方には、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿132があり、この上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ134aを図中左右方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0034】
また、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が設けられている。これら各表示器160〜172は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0035】
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0036】
上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
【0037】
また、主制御基板300には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する大入賞口ソレノイド128cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口122および大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。
【0038】
さらに、主制御基板300には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板300によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
【0039】
また、本実施形態の遊技機100は、主に第1始動口120または第2始動口122への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート124を遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板300のメインROM300bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0040】
また、主制御基板300には、払出制御基板310および副制御基板330が接続されている。
【0041】
払出制御基板310は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板310も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板300に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板310には遊技情報出力端子板312が接続されており、主制御基板300から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板310および遊技情報出力端子板312を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0042】
また、払出制御基板310には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ314が接続されている。払出制御基板310は、主制御基板300から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ314を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ316sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
【0043】
また、払出制御基板310には、下皿134の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ318sが接続されている。この皿満タン検出スイッチ318sは、賞球として払い出される遊技球を下皿134に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板310に入力されるようになっている。
【0044】
そして、下皿134に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿134に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ318sから払出制御基板310に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板310は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿134が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板300に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板300に送信する。
【0045】
また、払出制御基板310には、遊技球の発射制御を行う発射制御回路320が設けられている。払出制御基板310には、操作ハンドル112に設けられ、当該操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ112sと、操作ハンドル112の操作角度を検出する操作ボリューム112aと、が接続されている。そして、タッチセンサ112sおよび操作ボリューム112aから信号が入力されると、発射制御回路320において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド112cを通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
【0046】
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cを備えており、主制御基板300に対して、不正防止の観点により、当該主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU330aは、主制御基板300から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM330bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行制御する。このとき、サブRAM330cは、サブCPU330aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0047】
具体的には、副制御基板330は、上記演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行う。サブROM330bには、演出表示部200aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、サブCPU330aが、画像データをサブROM330bから不図示のVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。また、副制御基板330は、演出役物装置202を駆動制御したり、演出照明装置204を点灯制御したり、楽曲出力装置206から楽曲を出力させる楽曲出力制御を行う。
【0048】
図4は、副制御基板330における、演出表示部200a、演出役物装置202、演出照明装置204、楽曲出力装置206の制御態様を説明するためのブロック図であり、
図5は、それらに共通する制御態様を示すフローチャートである。副制御基板330に設けられたサブCPU(CPU)330aは、サブROM330bに格納されたプログラムおよびサブRAM330cと協働して、演出決定手段332、演出実行手段334として機能する。演出決定手段332は、主制御基板300から送信されたコマンドを解読し、そのコマンドに対応する演出パターン(演出の一連の流れを示す内容)を決定する。演出実行手段334は、決定された演出パターンに基づいて画像IC340a、役物コントローラ342、照明コントローラ344、楽曲IC346a等の各デバイスにコマンドを送信して演出を実行させる。かかる演出決定手段332および演出実行手段334は、いずれも割込に応じた処理(割込処理)であり、デバイスそれぞれに対応付けられた割込タイミングで実行される。
【0049】
例えば、演出決定手段332は、
図5に示すように、所定の割込周期(例えば33.3msec)の到来を待ち(S10におけるNO)、所定の割込周期が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた画像データ(演出パターンが示す演出のうち、演出表示部200aに表示する画像に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、画像IC340aに対して、画像データを特定可能な画像コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。画像IC340aは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、画像コマンドによって特定される画像データを画像ROM340bから画像RAM(VRAM)340cに読み出し、画像データを、順次、演出表示部200aに出力する。なお、演出表示部200aには、常に、何かしらの画像が表示される。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、画像データを決定していることとなる。なお、画像RAM340cは、それぞれ異なるレイヤを有し、各レイヤに異なる画像データを保持させることができる。そして、画像IC340aは、複数のレイヤに保持された画像データを重畳し、その重畳された画像データが演出表示部200aに出力される。
【0050】
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340aに対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば2msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた役物パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出役物装置202の一連の動作を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その役物パターンに従って、役物コントローラ342に所定時間間隔で、進行方向(回転方向)、進行量(回転量)、進行速度(回転速度)の少なくともいずれかを示すコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。役物コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出役物装置202を駆動する。ここで、演出役物装置202は、役物パターンが決定されたときのみ動作している。なお、演出役物装置202は、遊技者に対し、大当たりの期待感を高める、物理的な動作を伴う一時的な演出なので、画像データや、後述する照明パターン、楽曲データと比較して、役物パターンが決定される頻度が低い。
【0051】
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340a、役物コントローラ342に対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば100msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた照明パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出照明装置204の一連の点灯態様を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その照明パターンに従って、照明コントローラ(LEDコントローラ)344に所定時間間隔で1(ON)または0(OFF)のコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。照明コントローラ344は、かかるコマンドに従い、演出照明装置204を駆動するFETをONまたはOFFにする。こうして、演出照明装置204であるランプが点灯制御される。なお、演出照明装置204は、常に、点灯または消灯を繰り返している。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、演出パターンを決定していることとなる。
【0052】
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340a、役物コントローラ342、照明コントローラ344に対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば50msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた楽曲データ(演出パターンが示す演出のうち、楽曲出力装置206に出力する楽曲に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、楽曲IC346aに対して、楽曲データを特定可能な楽曲コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。楽曲IC346aは、楽曲コマンドによって特定される楽曲データを楽曲ROM346bから楽曲IC346aに読み出し、楽曲データを、順次、楽曲出力装置206であるスピーカに出力する。なお、楽曲出力装置206には、常に、何かしらの楽曲が出力されている。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、楽曲データを決定していることとなる。なお、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファ(バッファ)を有し、各楽曲バッファに異なる楽曲データを保持させることができる。そして、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファに保持された楽曲データを重畳し、その重畳された楽曲データが楽曲出力装置206に出力される。
【0053】
ここでは、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、役物コントローラ342、照明コントローラ344、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1個の集積回路に集積されている。ただし、かかるSoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。また、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、役物コントローラ342、照明コントローラ344、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の各機能部がそれぞれ異なる集積回路として集積され、電気的に接続されているとしてもよい。
【0054】
さらには、副制御基板330には、演出操作装置208が押下操作されたことを検出する押下検出スイッチ208s、および、演出操作装置208が回転操作されたことを検出する回転検出スイッチ209sから検出信号が入力される。これら押下検出スイッチ208sまたは回転検出スイッチ209sから検出信号が入力されると、演出表示部200aに画像が表示される等、さまざまな演出が実行される。
【0055】
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。
【0056】
(演出役物装置202の駆動制御)
上述したように、副制御基板330において、演出決定手段332は、演出パターンに基づいた役物パターンを決定し、演出実行手段334は、その役物パターンに従って、役物コントローラ342にコマンドを送信する。役物コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出役物装置202、具体的には、各演出役物装置202の駆動源であるモータやソレノイドを駆動する。その結果、演出役物装置202は、演出パターンに同期して駆動されることとなる。
【0057】
しかし、演出パターンに常時同期させて演出役物装置202を駆動するといった仕様の下、例えば、演出役物装置202を駆動する演出パターンが偶然連続すると、演出役物装置202の駆動源(モータやソレノイド)の駆動も連続し、演出役物装置202の過剰な温度上昇に伴って、絶縁物の劣化や、演出役物装置202自体およびその近傍の樹脂等の損傷を招いてしまう。
【0058】
ここで、演出役物装置202の駆動の連続性や温度の実測値に基づいて、演出役物装置202の駆動を厳密に制限することも考えられるが、その分、煩雑な計算処理によって処理負荷が増加してしまう。また、演出役物装置202がどのような状態になったら駆動を制限すべきかといった判定基準も厳密に計算するとなると、さらに処理負荷が増えることとなる。そこで、本実施形態では、簡易な処理で、演出役物装置202の駆動を統括的に制限する。
【0059】
図6および
図7は、演出役物装置202の駆動制限を説明するための図である。ここでは、複数ある演出役物装置202のうち、任意の演出役物装置202(例えば、回転役物202a)について駆動や停止による温度推移を検討する。例えば、
図6のように、演出役物装置202を時点t0から駆動し続けると、駆動源(モータ)の温度が上昇し、時点t1において上限温度に到達する。かかる上限温度は、演出役物装置202を構成する駆動源の仕様、演出役物装置202自体およびその近傍の樹脂等の耐熱特性を踏まえた限界温度、もしくは、その限界温度に所定のマージンを持たせた限界温度より低い温度である。そして、上限温度に到達すると、駆動制限、ここでは、励磁開放により駆動を停止する。そうすると、外気との熱交換により、時点t2において、時点t0における演出役物装置202の温度に戻る。すなわち、かかる演出役物装置202では、連続駆動により上限温度に到達するまで時点t1−時点t0の時間を要し、停止により上昇した温度分下降するまで時点t2−時点t1の時間を要すことになる。
【0060】
ここで、
図6において、(時点t1−時点t0)と、(時点t2−時点t1)との時間比率が1:4であったとする。そうすると、演出役物装置202の駆動により上昇した分の温度を下降させるためには、演出役物装置202が駆動時間の4倍の時間分停止しなければならないことが理解できる。換言すると、演出役物装置202が駆動している場合の単位時間当たりの温度上昇率の絶対値は、演出役物装置202が停止している場合の単位時間当たりの温度下降率の絶対値の4倍となる。
【0061】
このような条件下で、演出役物装置202の温度の上昇態様を簡易に把握するために、以下の様な計算を行う。すなわち、所定の時間間隔(例えば、サンプリング周期となる16.67msec)で演出役物装置202が駆動しているか、または、停止しているかを判定し、演出役物装置202が駆動している場合、所定の駆動カウンタ値に第1所定値として「4」を加算し、演出役物装置202が停止している場合、駆動カウンタ値から第2所定値として「1」を減算するという処理を繰り返す。ここで、駆動カウンタは、演出役物装置202の駆動の連続性、換言すれば、演出役物装置202の温度を示すカウンタであり、その駆動カウンタ値(温度状態値)が大きいと演出役物装置202の温度が上昇していることを示すこととなる。したがって、演出役物装置202が連続駆動している場合、駆動カウンタ値は所定の時間間隔毎に「0」→「4」→「8」→「12」と更新され、演出役物装置202が連続停止している場合、駆動カウンタ値は所定の時間間隔毎に「12」→「11」→「10」→「9」と更新されることとなる。
【0062】
例えば、
図7(a)では、演出実行手段334は、所定の時間間隔が経過した1サンプリング目で、演出役物装置202が駆動している(図中、黒の塗り潰し三角で示す)と判定すると、駆動カウンタ値に「4」を加算し、駆動カウンタ値を「4」に更新する。続いて、演出実行手段334は、2サンプリング目で、演出役物装置202が停止していると判定すると、駆動カウンタ値から「1」を減算し、駆動カウンタ値を「3」に更新する。同様に、演出実行手段334は、3、4、5サンプリング目で、演出役物装置202が停止していると判定すると、その都度、駆動カウンタ値から「1」を減算し、最終的に駆動カウンタ値を「0」に更新する。このように、1のサンプリングで駆動カウンタ値に「4」が加算されても、その後の4のサンプリングで「1」ずつ減算されれば、駆動カウンタ値は「0」に戻る。
【0063】
かかる
図7(a)では、サンプリング毎に判定してはいるものの、演出役物装置202が駆動していると判定される回数と、演出役物装置202が停止していると判定される回数が1:4となり、演出役物装置202が駆動時間の4倍の時間分停止しているため、温度が上昇した分下降していることとなる。ここでは、駆動カウンタ値が「0」であることと、温度が上昇していないことが合致していることが解る。
【0064】
一方、
図7(b)のように、演出実行手段334が、1サンプリング目で演出役物装置202が駆動していると判定して、駆動カウンタ値に「4」を加算し、駆動カウンタ値を「4」に更新し、その後、2、3、4サンプリング目で、演出役物装置202が停止していると判定して、その都度、駆動カウンタ値から「1」を減算し、駆動カウンタ値を「1」に更新したとしても、次の5サンプリング目で、演出役物装置202が駆動していると判定すると、駆動カウンタ値が「0」となることなく、駆動カウンタ値に「4」を加算することになり、駆動カウンタ値は徐々に上昇することになる。
【0065】
かかる
図7(b)では、演出役物装置202が駆動していると判定される回数と、演出役物装置202が停止していると判定される回数が1:3となり、演出役物装置202が駆動時間の3倍の時間しか停止しておらず、演出役物装置202の上昇した温度が十分に下降せず、駆動カウンタ値が徐々に上昇している。ここでは、駆動カウンタ値の上昇と、温度の上昇が合致していることが解る。
【0066】
なお、
図7(c)のように、演出実行手段334が、1サンプリング目で演出役物装置202が駆動していると判定して、駆動カウンタ値に「4」を加算し、駆動カウンタ値を「4」に更新し、その後、2、3、4、5、6、7サンプリング目で、演出役物装置202が停止していると判定して、その都度、駆動カウンタ値から「1」を減算する場合に、駆動カウンタ値を所定の下限値(基準値:例えば「0」)未満にしないこととする。具体的に、演出実行手段334は、駆動カウンタ値から「1」を減算した結果、所定の下限値未満となる場合、それ以上「1」(第2所定値)を減算しない。したがって、5、6、7サンプリング目では、演出役物装置202が停止していると判定しているが、駆動カウンタ値の更新は行わない。これは、演出役物装置202の停止により、上昇した温度は下降するが、外気の雰囲気より温度が下降することはなく、また、温度の上昇は厳密に判定する必要があるが、温度の下降は厳密に判定しなくても支障が生じないからである。なお、下限値は、「0」に限らず、任意の整数を設定することができる。
【0067】
このように、演出役物装置202が駆動していると判定した場合に加算する数値(「4」)と、演出役物装置202が停止していると判定した場合に減算する数値(「1」)との比率を、ここでは駆動比率と呼ぶ。駆動比率は以下の様にして求める。まず、
図6で示したように、演出役物装置202が駆動し続けた場合の上限温度に到達するまでの時間(時点t1−時点t0の時間)を導出する。次に、演出役物装置202の駆動を停止し、上限温度に到達した後から演出役物装置202を駆動する前の温度に戻るまでの時間(時点t2−時点t1の時間)を導出する。そして、(時点t1−時点t0の時間)に対する、(時点t2−時点t1の時間)の比率を導出する。例えば、
図6の例では、比率は「4」となる。なお、比率を導出した結果、小数点以下の数値が生じる場合、小数点以下の数値を繰り上げる。これは、少なくとも、温度が下降する側より温度が上昇する側の値を高めることで安全側にマージンを持たせるためである。このようにして導出された比率(ここでは「4」)を、演出役物装置202が駆動していると判定した場合に加算する数値(第1所定値)とし、演出役物装置202が停止していると判定した場合に減算する数値(第2所定値)を「1」とすることで駆動比率(4:1)が定まる。したがって、駆動し続けた場合の上限温度に到達するまでの時間と、停止し駆動する前の温度に戻るまでの時間との比率が整数nであれば、駆動比率はn:1ということになる。
【0068】
そして、演出実行手段334は、演出役物装置202が駆動していると判定すると、駆動比率(n:1)の左に位置する「n」を駆動カウンタ値に加算し、演出役物装置202が停止していると判定すると、駆動比率の右に位置する「1」を駆動カウンタ値から減算するという処理を繰り返し、駆動カウンタ値が所定の駆動上限値(駆動閾値)に到達すると、駆動を制限するため、演出役物装置202を停止する。したがって、演出役物装置202は、駆動カウンタ値が駆動上限値に到達した時点の位置で停止することとなる。ここで、駆動上限値は、演出役物装置202を駆動し続ける(連続駆動する)ことによって上限温度に到達するまでの時間(
図6における時点t0から時点t1までの時間)を、上記の時間間隔で除算し、駆動比率の左に位置する「n」で乗算した値である。例えば、時点t1−時点t0の時間が10秒、時間間隔16.67msec、駆動比率が4:1の場合、10/0.01667×4=2400となる。このように設定することで、演出役物装置202を連続駆動し、駆動カウンタ値に16.67msec毎に毎回4ずつ加算すると、駆動カウンタ値が10秒後に2400となる。したがって、10秒後に上限温度に到達し、駆動制限が必要になることと同義であることが解る。なお、上記の計算により駆動上限値に小数点以下の数値が生じた場合は、その数値が四捨五入される。
【0069】
かかる構成により、簡易な処理で、演出役物装置202の駆動を統括的に制限することが可能となる。
【0070】
ところで、演出役物装置202によっては停止が単なる励磁開放ではなく、励磁によって停止保持する場合(励磁保持)がある。その場合、少なくとも励磁開放よりも温度上昇が高く、さらに、演出役物装置202の駆動時(回転時、移動時)よりも温度上昇が高くなる場合もある。そこで、演出役物装置202の停止時であっても、励磁保持を行う場合、駆動カウンタ値の更新態様を変更する。具体的に、演出役物装置202の停止が励磁開放によるものであれば、駆動カウンタ値から「1」を減算し、演出役物装置202の停止が励磁保持によるものであれば、駆動カウンタ値に第3所定値を加算する。ここで、第3所定値は、励磁保持による発熱を駆動比率に換算した値であり、例えば、1相励磁による励磁保持であれば、駆動時の2倍である「8」とし、1−2相励磁による励磁保持であれば、駆動時の2.5倍である「10」とし、2相励磁による励磁保持であれば、駆動時の3倍である「12」とする。
【0071】
したがって、演出役物装置202の駆動比率(2相励磁)が4:1であり、停止時に一旦1相励磁による励磁保持を行う場合、演出実行手段334は、演出役物装置202が駆動していると判定すると、駆動比率の左に位置する「4」を駆動カウンタ値に加算し、演出役物装置202が停止していると判定すると、それが励磁保持であれば、駆動カウンタ値に「8」を加算し、励磁開放であれば、駆動カウンタ値から「1」を減算する。そして、駆動カウンタ値が駆動上限値に到達すると、駆動制限のために演出役物装置202を停止する。
【0072】
このようにして、簡易な処理ではあるものの、演出役物装置202の停止が励磁保持であるか励磁開放であるかを判別して、演出役物装置202の温度上昇を正確に反映した駆動制限が可能となる。
【0073】
また、ここでは、駆動と、励磁保持による停止、励磁開放による停止の3つの状態を判定対象としたが、例えば、励磁保持による停止から励磁開放による停止への移行時間が予め定められており、停止時に励磁保持を経由したとしても、その温度上昇を予測できる場合、その温度上昇を反映した状態で駆動比率を設定し、駆動と停止のみを判定対象としてもよい。具体的に、演出実行手段334は、演出役物装置202が励磁保持により停止する場合、演出役物装置202が駆動していると判定している間、駆動カウンタ値に第1所定値「4」を加算するだけでなく、さらに、所定の補正値も加算する。つまり、励磁保持の温度上昇分を駆動の温度上昇に置き換えて計算する。ここで、補正値は、励磁保持による発熱を駆動比率に換算した値であり、例えば、1相励磁による励磁保持であれば「1」とし、1−2相励磁による励磁保持であれば「2」とし、2相励磁による励磁保持であれば「3」とする。したがって、2相励磁で駆動し、1相励磁で励磁保持して停止した後、励磁開放して停止するといった停止処理が行われる場合、駆動比率を、4:1から、励磁保持による補正値「1」を加味した5:1等に変更する。そして、演出実行手段334は、演出役物装置202が駆動していると判定すると、駆動比率の左に位置する「5」を駆動カウンタ値に加算し、励磁保持か励磁開放かに拘わらず、演出役物装置202が停止していると判定すると、駆動カウンタ値から「1」を減算する。
【0074】
かかる構成により、励磁保持による停止を反映させた上で、簡易な処理で、演出役物装置202の駆動を統括的に制限することが可能となる。
【0075】
なお、ここでは、サブCPU330aの演算効率の関係から、駆動比率、駆動上限値、第1所定値、第2所定値、第3所定値、補正値のいずれも整数で表したが、整数以外の実数を排除するものではない。また、分解能を高めるために、全ての値をビットシフトし、0.5や0.25の値を整数で演算してもよい。
【0076】
(演出役物装置202の駆動制限)
上記では、駆動上限値を設け、駆動カウンタ値が駆動上限値に到達すると演出役物装置202の駆動を制限する例を挙げて説明した。しかし、演出役物装置202の駆動を一律に制限すると、以下の問題が生じ得る。
【0077】
例えば、同一の演出役物装置202であっても、大当たりであることの期待度に応じて、複数の動作態様(変位態様)が準備されている。例えば、抽選結果が大当たりであることの期待度が低い演出においては、演出役物装置202の動作が小さく、抽選結果が大当たりであることの期待度が高い演出においては、演出役物装置202の動作が大きく設定されている。このように、大当たりであることの期待度が高いほど、演出役物装置202の変位が大きくなり、これに伴って、演出役物装置202の温度上昇も大きくなる傾向にある。
【0078】
本来、演出役物装置202は、大当たりであることの期待度の異なる複数の演出の出現態様に応じてバランスよく駆動すべきである。しかし、実際の遊技においては、大当たりであるか否かに拘わらず、無作為に演出が決定されるため、大当たりではないのに、演出役物装置202の駆動を伴う演出が意図せず連続する場合がある。ここで、大当たりであることの期待度が低い演出(例えば、演出役物装置202が小さく振動する演出)が連続した後、大当たりであることの期待度が高い演出(例えば、演出役物装置202が演出表示装置200の前面に移動する演出)を実行するときに、演出役物装置202の駆動が制限されるおそれがある。以下に、そのような事態に陥る理由を説明する。
【0079】
図8は、演出役物装置202の駆動カウンタ値の推移を説明するための図である。
図8では、大当たりであることの期待度が低い演出Aが3回連続した後、大当たりであることの期待度が高い演出Bが実行されたとする。しかし、演出Aが実行されることによって駆動カウンタ値が累積され、3回目の演出Aの実行中に、駆動カウンタ値が駆動上限値に達してしまい、演出役物装置202は、駆動制限を受けることとなる。したがって、3回目の演出Aの途中で演出役物装置202は停止することとなる。そして、演出Bの実行が決定されたとしても、
図8中実線で示したように、駆動カウンタ値が直ぐに駆動上限値に到達してしまい、
図8中破線で示すように、演出Bが全て実行されることはなく、駆動が制限されることとなる。
【0080】
このように、大当たりであることの期待度が低い演出Aが連続することで、駆動カウンタ値が駆動上限値に到達してしまい、演出役物装置202が一時的に駆動不能になった結果、その後で、大当たりであることの期待度が高い演出Bを行うことができなくなるという結果を招くこととなる。そうすると、仮に、抽選結果が大当たりであったとしても、駆動制限によって、大当たりであることの期待度が高い演出Bによって、遊技者に、大当たりであることの期待度が高いことをアピールすることができず、演出効果の向上が図れない。また、優先度(重要度、必要度)の低い演出を行うことで、優先度の高い演出が行えなくなり、演出のバランスが悪くなり、遊技者が、演出役物装置202のいずれの動作に大当たりを期待してよいのか分からず、不信感を抱くおそれがある。
【0081】
そこで、演出役物装置202の動作態様それぞれに優先度を対応付け、いざというときに、優先度の高い演出Bを実行可能とすることで、演出のバランスを維持する。これは、演出の優先度に応じて駆動上限値を異ならせ、優先度の低い演出Aの駆動上限値を小さくして演出役物装置202の駆動に余力を残し、優先度の高い演出Bの駆動上限値を大きくすることで、その余力を利用して優先的に演出役物装置202を駆動することで実現される。
【0082】
図9は、優先度と個別駆動上限値との関係を示した説明図である。まず、任意の演出役物装置202における動作態様を、その演出の優先度に応じて複数(ここでは3)のグループに分ける。ここでは、遊技利益が付与される期待度、例えば、大当たりの期待度や、演出役物装置202の動作の大きさに基づいて優先度を対応させ、期待度や動作が大きいほど優先度が高くなるように設定する。例えば、優先度の低い演出は、大当たりであることの期待度が低かったり、演出役物装置202の動作が小さい演出であり、期待度が中間的な演出は、大当たりであることの期待度が中間的であったり、演出役物装置202の動作が中間的な演出であり、優先度の高い演出は、大当たりであることの期待度が高かったり、演出役物装置202の動作が大きい演出となる。なお、ここでは、演出の優先度を3つのグループに分ける例を挙げて説明したが、2つでも、4つ以上に細分化してもよいことは言うまでもない。
【0083】
そして、演出の優先度それぞれに対し、演出役物装置202の駆動が制限される値である個別駆動上限値(個別駆動閾値)を設定する。かかる個別駆動上限値としては、本来の駆動上限値以下の任意の値が設定される。例えば、
図9のように、優先度の低い演出グループの個別駆動上限値を駆動上限値の40%に設定し、優先度が中間的な演出グループの個別駆動上限値を駆動上限値の70%に設定し、優先度の高い演出グループの個別駆動上限値を駆動上限値の100%(すなわち、個別駆動上限値=駆動上限値)に設定する。したがって、駆動上限値が上記のように2400であれば、優先度の低い演出の個別駆動上限値は960となり、優先度が中間的な演出の個別駆動上限値は1680となり、優先度の高い演出の個別駆動上限値は2400となる。なお、パーセントを乗じた結果に小数点以下の数値が生じた場合、その数値は四捨五入される。
【0084】
そして、演出実行手段334は、実行する演出毎に、演出の優先度に対応した個別駆動上限値を参照し、駆動カウンタ値の値が、参照した個別駆動上限値に到達したら、演出役物装置202の駆動を制限する。
【0085】
このような個別駆動上限値を設定することにより、演出役物装置202は以下のように動作することとなる。すなわち、優先度の低い演出の場合、その出現頻度が高くなると、駆動カウンタ値が個別駆動上限値(駆動上限値×40%)に直ぐに到達してしまい、比較的早期に駆動が制限される。しかし、そもそも優先度が低い演出なので、遊技者は、その演出の有無にあまり感心がなく、駆動が制限されたとしても、遊技者が違和感を覚えることはない。
【0086】
また、優先度が中間的な演出の場合、駆動カウンタ値が個別駆動上限値(駆動上限値×70%)に到達すると駆動が制限される。かかる個別駆動上限値は、優先度の低い演出より高いため、優先度の低い演出に比べて高い頻度で演出役物装置202を駆動することが許容される。また、優先度の低い演出が高い頻度で実行されたことで駆動が制限されている場合であっても、当該優先度が中間的な演出の実行時には、それに対応する個別駆動上限値(駆動上限値×70%)まで許容されるので、優先度が中間的な演出を優先して実行することが可能となる。
【0087】
また、優先度の高い演出の場合、駆動カウンタ値が個別駆動上限値(駆動上限値×100%)に到達するまで駆動が制限されない。かかる個別駆動上限値は、優先度の低い演出や優先度が中間的な演出より高いため、それらに比べ、高い頻度で演出役物装置202を駆動することが許容される。また、優先度の低い演出や優先度が中間的な演出が高い頻度で実行されたことで駆動が制限されている場合であっても、当該優先度の高い演出の実行時には、それに対応する個別駆動上限値(駆動上限値×100%)まで許容されるので、優先度の高い演出を優先して実行することが可能となり、遊技者にアピールすることが可能となる。以下、かかる駆動制限を採用した場合の演出役物装置202の駆動カウンタ値の推移を説明する。
【0088】
図10は、演出役物装置202の駆動カウンタ値の推移を説明するための図である。
図10においても、
図8同様、大当たりであることの期待度が低い演出A(優先度の低い演出)が3回連続した後、大当たりであることの期待度が高い演出B(優先度の高い演出)が実行されるとする。ここでは、演出Aが実行されることによって駆動カウンタ値が加算され、2回目の演出Aが実行される途中で、駆動カウンタ値が個別駆動上限値(駆動上限値×40%)に達してしまい、演出役物装置202は、駆動制限を受け停止することとなる。また、同様に、3回目の演出Aが実行される途中においても、駆動カウンタ値が個別駆動上限値(駆動上限値×40%)に達してしまい、演出役物装置202は、駆動制限を受けて停止することとなる。しかし、その後、演出Bの実行が決定されると、演出Bに対応付けられた、駆動上限値と等しい個別駆動上限値が参照され、演出Aの個別駆動上限値によっては制限されないので、駆動カウンタ値がその個別駆動上限値に到達することはなく、
図10中実線で示すように演出Bが適切に実行される。
【0089】
かかる駆動制限の構成により、優先度の低い演出の駆動上限値を小さくして演出役物装置202の駆動に余力を残し、優先度の高い演出の駆動上限値を大きくすることで、その余力を利用して優先的に演出役物装置202を駆動することが可能となる。
【0090】
(演出役物装置202の駆動制限からの復帰)
ところで、演出役物装置202が駆動制限を受けると、演出役物装置202がその位置で停止することとなる。そうすると、演出表示装置200の前面において演出役物装置202としての、例えば、移動役物202bが停止してしまい、演出表示装置200の視認に支障を来す等、好ましくない状態となる場合がある。しかし、演出役物装置202が駆動制限を受けているということは、演出役物装置202が上限温度に達し、これ以上の駆動は許容されないということなので、即座に演出役物装置202を駆動制限から復帰させて退避位置に戻すことができない。
【0091】
そこで、上記の演出における優先度の最上位に駆動制限からの復帰を設定して、駆動制限が生じた場合においても復帰動作を可能とさせる。具体的に、演出実行手段334は、駆動カウンタ値が、任意の個別駆動上限値に到達したことで演出役物装置202の駆動を制限したとしても、任意の個別駆動上限値より大きい個別駆動上限値に切り換えて演出役物装置202を復帰させる。したがって、少なくとも任意の個別駆動上限値は、最大の個別駆動上限値ではないことになる。例えば、優先度の低い演出の個別駆動上限値を駆動上限値の40%とし、優先度が中間的な演出の個別駆動上限値を駆動上限値の60%とし、優先度の高い演出の個別駆動上限値を駆動上限値の80%とし、駆動制限からの復帰の個別駆動上限値を駆動上限値の100%とする。このようにすることで、優先度に拘わらず、たとえ、優先度が高い演出の途中で駆動が制限されたとしても、高い個別駆動上限値に切り換えることで、演出役物装置202は、その位置から、例えば、退避位置に復帰することが可能となる。
【0092】
なお、ここでは、演出の優先度の高低に応じて異なる個別駆動上限値を用いることを前提に、駆動制限からの復帰の個別駆動上限値が、さらに、それらの個別駆動上限値と異なる例を挙げたが、このように、演出の優先度の高低に応じて異なる個別駆動上限値を用いることなく、すなわち、固定の個別駆動上限値(例えば、駆動上限値の70%)を用い、駆動制限から復帰する場合に、個別駆動上限値を駆動上限値の100%とすることもできる。
【0093】
また、ここでは、復帰の個別駆動上限値を駆動上限値の100%とする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、駆動制限の後、駆動カウンタ値が減算されて、駆動カウンタ値が所定値(例えば、駆動上限値の20%に相当する値)まで降下したら(所定の温度分冷えたら)、演出役物装置202を自動的に復帰させるとしてもよい。
【0094】
また、ここでは、抽選結果が大当たりになったか否かに拘わらず、演出自体の優先度に応じて個別駆動上限値を設定する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、抽選結果が大当たりである場合に、個別駆動上限値を駆動上限値の100%に設定する等、遊技状態や、遊技利益に対応させて個別駆動上限値を設定してもよい。
【0095】
また、ここでは、演出役物装置202の温度を示す温度状態値として、駆動比率に基づき、演出役物装置202が駆動しているか否かの判定結果に応じて、第1所定値を加算するか、または、第2所定値を減算するかといった駆動カウンタ値を例に挙げて説明したが、かかる場合に限らず、駆動比率を用いずとも、駆動が連続している状態さえ把握できれば、演出役物装置202の駆動連続性や演出役物装置202の温度の直接的もしくは間接的な値、または、その予測値等を採用することもできる。
【0096】
また、ここでは、駆動閾値として駆動上限値を挙げ、個別駆動閾値として個別駆動上限値を挙げ、基準値として下限値を挙げ、第1所定値を加算することで駆動カウンタ値の値が大きくなって駆動上限値や個別駆動上限値に到達すると、演出役物装置202の駆動を制限し、第2所定値を減算することで駆動カウンタ値の値が小さくなって下限値未満になる場合に、それ以上減算しない例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、その加減算の方向を正負逆にして設定することもできる。例えば、基準値を2400とし、駆動閾値や個別駆動閾値を0として、演出役物装置202が駆動している場合、駆動カウンタ値から第1所定値として「4」を減算し、演出役物装置202が停止している場合、駆動カウンタ値に第2所定値として「1」を加算し、駆動閾値である0に到達したら演出役物装置202の駆動を制限し、基準値である2400以上となったら2400を維持する。また、かかる駆動閾値、個別駆動閾値、基準値を任意に設定できるのは言うまでもない。いずれにしても、駆動カウンタ値を、駆動閾値に第1所定値だけ近づけるか、駆動閾値から第2所定値だけ遠ざけ、駆動カウンタ値が駆動閾値に到達すると、演出役物装置202の駆動を制限し、駆動閾値から第2所定値だけ遠ざけた結果、所定の基準値に到達する場合、駆動カウンタ値を基準値より遠ざけないようにすれば足りる。また、ここでは、個別駆動閾値に到達するまでに余裕(残り)がある場合を、例えば、個別駆動上限値が高いと表現したが、上記のように、その加減算の方向を正負逆にした場合、その値が低いと表現できる。
【0097】
また、ここでは、演出役物装置202の駆動制限として、演出役物装置202の停止を挙げて説明したが、温度の上昇を所定範囲に抑えるように、回転速度や移動速度を制限する等、様々な制限を適用することができる。
【0098】
また、ここでは、演出役物装置202の駆動源としてモータを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、ソレノイド等、駆動(通電)により温度が上昇する様々なデバイスを適用できる。このように、駆動源としてソレノイドを用いた場合も、所定の時間間隔(例えば、サンプリング周期となる16.67msec)で演出役物装置202が駆動しているか、または、停止しているかを判定し、例えば、演出役物装置202が駆動している場合、所定の駆動カウンタ値に第1所定値として「4」を加算し、演出役物装置202が停止している場合、駆動カウンタ値から第2所定値として「1」を減算するという処理を繰り返す。そして、演出実行手段334は、実行する演出毎に、演出の優先度に対応した個別駆動上限値を参照し、駆動カウンタ値の値が、参照した個別駆動上限値に到達したら、演出役物装置202の駆動を制限する。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
例えば、上述した実施形態においては、遊技機として、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるパチンコ機を例示したが、かかる場合に限らず、スタートスイッチの操作に基づき、複数種類の当選役のいずれかを当選役抽選により決定する当選役抽選手段と、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数の回転リールを回転制御し、回転している回転リールに対応するストップスイッチの操作に応じ、当選役抽選手段の抽選結果に基づいて、操作されたストップスイッチに対応する回転リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、複数種類の演出のいずれかを実行する演出制御手段と、を備えるスロットマシンにも適用できる。以下、スロットマシン600について詳述する。
【0101】
(スロットマシン600の機械的構成)
図11および
図12の外観図に示すように、スロットマシン600は、略矩形状の箱体である筐体602と、筐体602の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉604と、前面上扉604の下方に位置し、前面上扉604同様、筐体602の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉606と、前面下扉606の下部に位置し、メダル排出口608aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部608とを備えている。
【0102】
前面下扉606の上部には操作部設置台622が形成され、操作部設置台622には、メダル投入部624、ベットスイッチ626、スタートスイッチ628、ストップスイッチ630、演出スイッチ632等が配設されている。
【0103】
操作部設置台622の右側に位置するメダル投入部624は、メダル投入口624aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉606の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口608aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部624bとが設けられている。ここで、メダル排出口608aに導かれたメダルは受け皿部608に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入数である規定投入数を超えてメダルが投入されると、その規定投入数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン600の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)される。上記1遊技については後程詳述する。
【0104】
また、ここでは、規定投入数は「3」または「2」に設定されている。なお、1遊技を実行するために必要なメダル数を、複数の規定投入数から任意に選択できる場合、その複数の規定投入数の中の最大のものを最大規定投入数といい、最小のものを最小規定投入数という。仮に、規定投入数が1〜3の間で選択可能な場合、最大規定投入数は「3」となり、最小規定投入数は「1」となる。
【0105】
ベットスイッチ626は、クレジットされているメダルのうち規定投入数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。規定投入数以上のメダルがクレジットされている状態で、ベットスイッチ626を押圧すると、1遊技が開始可能となるとともに、クレジットされているメダルが規定投入数分だけ減枚される。
【0106】
操作部設置台622の左側に位置するスタートスイッチ628は、傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ628は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって構成することも可能である。
【0107】
前面上扉604の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓636が設けられ、筐体602内の図柄表示窓636に対応した位置には、リールユニット634が設けられている。リールユニット634には、
図13のリールの図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール634a、中リール634b、右リール634c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓636を通じて、左リール634a、中リール634b、右リール634cを視認することができる。リールユニット634は、スタートスイッチ628の操作を契機として、左リール634a、中リール634b、右リール634cの回転を開始する。
【0108】
操作部設置台622の中央に位置するストップスイッチ630は、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ630に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチとよび、その位置に応じて左から順にストップボタンスイッチ630a、ストップボタンスイッチ630b、ストップボタンスイッチ630cとする。
【0109】
演出スイッチ632は、押圧式のボタンスイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。かかる演出スイッチ632は、主として演出中に用いられ、遊技者の操作によって演出態様を異ならせることができる。
【0110】
前面上扉604の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部638が設けられている。また、前面上扉604の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ642が設けられる。また、図柄表示窓636と操作部設置台622との間には、駆動装置からなる演出役物装置660が設けられている。
【0111】
また、
図12に示すように、前面上扉604の裏面における液晶表示部638の左右位置や前面下扉606の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ640が設けられている。さらに、筐体602内におけるリールユニット634の下方には、メダル排出口608aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)764が設けられている。メダル払出装置764は、メダルを貯留するメダル貯留部764aと、メダル貯留部764aに貯留されたメダルをメダル排出口608aから排出するための払出制御部764bと、メダル排出口608aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部764cとを備えている。具体的に払出制御部764bは、当該払出制御部764bの本体外装に回動可能に支持され、メダル貯留部764aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
【0112】
また、
図11や
図12では図示していないが、各回転リール634a、634b、634cの内側には、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓636に対応する(払い出しの対象となるラインである有効ラインの対象となり得る)各回転リール634a、634b、634cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト644(
図14参照)が設けられている。また、図柄表示窓636の裏面上部にも左リール634a、中リール634b、右リール634c全ての正面を直接照射するリール上方ライト646が設けられている。
【0113】
また、
図11に示すように、操作部設置台622において、図柄表示窓636とストップスイッチ630との間に設けられた段部622aの略水平面には、メインクレジット表示部652およびメイン払出表示部654が設けられている。また、図柄表示窓636と操作部設置台622との間には、サブクレジット表示部656およびサブ払出表示部658が設けられている。これらメインクレジット表示部652およびサブクレジット表示部656にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部654およびサブ払出表示部658にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部656およびサブ払出表示部658には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0114】
また、筐体602内の任意の位置には、電源スイッチ648が設けられている。電源スイッチ648は、ロッカースイッチ等、押圧操作を検出可能なスイッチで構成され、当該スロットマシン600を管理する管理者側が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0115】
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部624を通じたメダルの投入、ベットスイッチ626の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ628の操作に応じて、複数の回転リール634a、634b、634cが回転制御されるとともに当選役抽選が実行され、当選役抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップボタンスイッチ630a、630b、630cの操作に応じて、操作されたストップボタンスイッチ630a、630b、630cに対応する回転リール634a、634b、634cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役に入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選役に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、回転リール634a、634b、634cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ628の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
【0116】
(スロットマシン600の電気的構成)
図14は、スロットマシン600の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図14に示すように、スロットマシン600は、主として、制御基板によって制御されている。ここでは、制御基板の一例として、制御基板の機能を分担した、主制御基板700と、副制御基板702とを挙げて説明する。例えば、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板700で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板702で実行している。また、
図14に示したように、主制御基板700と副制御基板702との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板700から副制御基板702への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も技術的に可能である。
【0117】
(主制御基板700)
主制御基板700は、中央処理装置であるメインCPU700a、プログラム等が格納されたメインROM700b、ワークエリアとして機能するメインRAM700c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン600全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM700cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてメインRAM700cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
【0118】
また、主制御基板700は、メインCPU700aが、メインROM700bに格納されたプログラムに基づきメインRAM700cと協働することで機能する、初期化手段800、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808、払出制御手段810、状態移行手段812、コマンド決定手段814、コマンド送信手段816等の機能部を有する。
【0119】
初期化手段800は、主制御基板700における初期化処理を実行する。ベット手段802は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットスイッチ626の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部624を通じてメダルを投入する場合と、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。当選役抽選手段804は、メダルのベットおよびスタートスイッチ628の操作に基づき、小役、リプレイ役、および、ボーナス役を含む複数種類の当選役、ならびに、ハズレのうちいずれかを当選役抽選により決定する。
【0120】
リール制御手段806は、スタートスイッチ628の操作に応じて、複数の回転リール634a、634b、634cを回転制御し、回転している回転リール634a、634b、634cにそれぞれ対応した複数のストップボタンスイッチ630a、630b、630cの操作に応じ、操作されたストップボタンスイッチ630a、630b、630cに対応する回転リール634a、634b、634cをそれぞれ停止制御する。また、リール制御手段806は、スタートスイッチ628の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ630の操作を有効化してから、当選役抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ630の操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ630の操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間より延長し、その間、回転リール634a、634b、634cを多彩な態様で回転させるリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることで実現できる。
【0121】
判定手段808は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段810は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたこと(入賞されたこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。状態移行手段812は、ボーナス役の当選や入賞に基づいて遊技状態を遷移させる。
【0122】
コマンド決定手段814は、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808、払出制御手段810、状態移行手段812等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定する。コマンド送信手段816は、コマンド決定手段814が決定したコマンドを副制御基板702に順次送信する。
【0123】
主制御基板700では、投入メダル検出部624b、ベットスイッチ626、スタートスイッチ628およびストップスイッチ630から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808が上述した種々の処理を実行する。また、主制御基板700には、メインクレジット表示部652およびメイン払出表示部654が接続されており、払出制御手段810が両表示部652、654に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0124】
また、主制御基板700には、リール駆動制御部758が接続されている。このリール駆動制御部758は、スタートスイッチ628の操作信号に応じ、リール制御手段806から送信される各回転リール634a、634b、634cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ762を駆動するとともに、ストップスイッチ630の操作信号に応じ、リール制御手段806から送信される、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路760の検出信号に基づいて、ステッピングモータ762の駆動を停止する。
【0125】
また、主制御基板700には、メダル払出装置764が接続されている。主制御基板700には払出メダル検出部764cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段810は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数を計数しながら払出制御部764bからのメダルの排出を制御する。
【0126】
また、主制御基板700には、乱数発生器700dが設けられる。乱数発生器700dは、計数値を順次インクリメントし、所定の総数(例えば65536)内でループさせ(0〜65535)、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を生成(取得)する。主制御基板700の乱数発生器700dによって生成される乱数(以下、当選役抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選役抽選手段804が当選役抽選を実行するために用いられる。
【0127】
(副制御基板702)
また、副制御基板702は、主制御基板700と同様に、中央処理装置であるサブCPU702a、プログラム等が格納されたサブROM702b、ワークエリアとして機能するサブRAM702c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板700からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM702cにもメインRAM700c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板702にも、主制御基板700同様、乱数発生器702dが設けられており、乱数発生器702dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0128】
また、副制御基板702は、サブCPU702aが、サブROM702bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM702cと協働することで機能する、初期化決定手段830、コマンド受信手段832、演出制御手段834等の機能部を有する。
【0129】
初期化決定手段830は、副制御基板702における初期化処理を実行する。コマンド受信手段832は、主制御基板700等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段834は、演出スイッチ632から検出信号を受信するとともに、当選役コマンドに基づいて液晶表示部638、スピーカ640、演出用ランプ642の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段834は、液晶表示部638に表示される画像データや、演出用ランプ642、リールバックライト644、リール上方ライト646、サブクレジット表示部656、サブ払出表示部658等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ640から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段834は、決定した遊技の演出を実行する。
【0130】
演出は、上述したリール演出のような主制御基板700によって実行される演出と、副制御基板702によって実行される演出がある。副制御基板702によって実行される演出は、遊技の進行に伴い、液晶表示部638、スピーカ640、演出用ランプ642、リールバックライト644、リール上方ライト646、サブクレジット表示部656、サブ払出表示部658等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役抽選の結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。このような演出では、例えば、ボーナス遊技の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役にも当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
【0131】
なお、スロットマシン600においては、演出制御手段834が、上述した演出実行手段334として機能し、演出役物装置660が、上述した演出役物装置202として機能する。