特許第6803275号(P6803275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000006
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000007
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000008
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000009
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000010
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000011
  • 特許6803275-ハニカム構造体 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803275
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20201214BHJP
   B01J 29/072 20060101ALI20201214BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201214BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B01J35/04 301C
   B01J29/072 AZAB
   B01D53/94 222
   F01N3/28 301P
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-53691(P2017-53691)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-153767(P2018-153767A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】小幡 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 正悟
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−054431(JP,U)
【文献】 特開昭63−224740(JP,A)
【文献】 特開2012−232240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/86−53/90,53/94−53/96
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状のハニカム構造部を備え、
前記ハニカム構造部は、第一端面から第二端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配設された、多孔質の隔壁を有し、
前記セルを取り囲むように配設された前記隔壁の表面に、前記第一端面から前記第二端面に向かう方向に沿って、当該隔壁の表面から内側に凹んだ溝部を有し、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、
前記溝部の前記隔壁の表面における開口部の開口幅aが、0.015〜0.505mmであり、
前記溝部の底部の底幅bが、0.01〜0.5mmであり、
前記溝部の前記底部から前記開口部までの高さcが、0.01〜0.05mmであり、
前記溝部の前記開口幅aは、当該溝部の前記底幅bの1.1〜1.8倍であり
前記溝部の前記開口幅aは、当該溝部を有する前記隔壁によって取り囲まれた前記セルの一辺の長さよりも小さく、
前記溝部が形成されている部分における前記隔壁の厚さが、50μm以上であり、
前記ハニカム構造部に形成された複数の前記セルのうち、前記セルの少なくとも一の表面を区画形成する前記隔壁の表面に少なくとも1つの前記溝部を有する前記セルの個数比率が、80%以上であり、
前記ハニカム構造部の、前記溝部を除く前記第一端面の開口率をA%とし、前記ハニカム構造部の、前記溝部を含む前記第一端面の開口率をB%とすると、開口率%から開口率%を減算した値が、0.1〜7.0%である、ハニカム構造体。
【請求項2】
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、
前記セルの形状が多角形であり、
一の多角形の前記セルの各辺を構成する前記隔壁の表面のそれぞれに、少なくとも1つの前記溝部を有する、請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記セルの各辺のうちの少なくとも一辺を構成する前記隔壁の表面に、2つ以上の前記溝部を有し、
2つ以上の前記溝部が、当該一辺を構成する前記隔壁の表面に、等間隔に配置されている、請求項2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記溝部を有する部分における前記隔壁の厚さが、前記溝部を有しない部分における前記隔壁の厚さの、0.5倍以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記隔壁の前記溝部内を埋めるように、前記隔壁の表面に、排ガス浄化用触媒が担持されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記溝部の前記開口幅aは、当該溝部の前記底幅bの1.5〜1.8倍である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として好適に用いることができ、触媒を担持した際の圧損の上昇を抑制することができるとともに、アイソスタティック強度に優れたハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等のエンジンから排出される排ガス中に含まれるHC、CO、NOx等の有害物質の浄化処理のため、ハニカム構造体に触媒を担持したものが使用されている。ハニカム構造体は、排ガスの流路となり複数のセルを区画形成する隔壁、及び隔壁の外周を囲繞するように配置された外周壁、を備えた柱状のものである。
【0003】
近年、排ガス中の有害物質に対する排出規制が厳しくなる傾向があり、このような排出規制に対応すべく、ハニカム構造体に担持する触媒の量を多くする検討がなされている。例えば、ハニカム構造体に担持する触媒の量を多くする方法として、隔壁の気孔率を高くし、隔壁の細孔内に触媒をより多く充填するという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、その他の技術として、隔壁の厚さを薄くし、担持する触媒の量を多くしても、圧損の上昇を抑制するという技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2013−049662公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような、隔壁の気孔率が高いハニカム構造体は、隔壁内により多くの触媒を担持可能な収容能力を有するものである。しかしながら、実際には、単に、隔壁の気孔率を高くしたのみでは、隔壁の細孔内に触媒が十分に充填されず、隔壁の細孔径分布の調整等の更なる対策を講じる必要がある。このため、単に隔壁の気孔率が高いハニカム構造体では、触媒の担持量を多くした場合に、圧損が上昇してしまうこととなる。また、隔壁の細孔内に触媒を大量に充填させるためには、触媒の担持方法についても工夫が必要であり、従来の触媒の担持方法では、隔壁の細孔内に十分な量の触媒を充填することは困難であった。
【0006】
また、隔壁の厚さを薄くしたハニカム構造体は、製造時に隔壁が変形し易く、アイソスタティック強度(Isostatic strength)が低いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として好適に用いることができるハニカム構造体を提供する。特に、触媒を担持した際の圧損の上昇を抑制することができるとともに、アイソスタティック強度に優れたハニカム構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示すハニカム構造体が提供される。
【0009】
[1] 柱状のハニカム構造部を備え、
前記ハニカム構造部は、第一端面から第二端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配設された、多孔質の隔壁を有し、 前記セルを取り囲むように配設された前記隔壁の表面に、前記第一端面から前記第二端面に向かう方向に沿って、当該隔壁の表面から内側に凹んだ溝部を有し、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、
前記溝部の前記隔壁の表面における開口部の開口幅aが、0.015〜0.505mmであり、
前記溝部の底部の底幅bが、0.01〜0.5mmであり、
前記溝部の前記底部から前記開口部までの高さcが、0.01〜0.05mmであり、
前記溝部の前記開口幅aは、当該溝部の前記底幅bの1.1〜1.8倍であり
前記溝部の前記開口幅aは、当該溝部を有する前記隔壁によって取り囲まれた前記セルの一辺の長さよりも小さく、
前記溝部が形成されている部分における前記隔壁の厚さが、50μm以上であり、
前記ハニカム構造部に形成された複数の前記セルのうち、前記セルの少なくとも一の表面を区画形成する前記隔壁の表面に少なくとも1つの前記溝部を有する前記セルの個数比率が、80%以上であり、
前記ハニカム構造部の、前記溝部を除く前記第一端面の開口率をA%とし、前記ハニカム構造部の、前記溝部を含む前記第一端面の開口率をB%とすると、開口率%から開口率%を減算した値が、0.1〜7.0%である、ハニカム構造体。
【0010】
[2] 前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、
前記セルの形状が多角形であり、
一の多角形の前記セルの各辺を構成する前記隔壁の表面のそれぞれに、少なくとも1つの前記溝部を有する、前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0011】
[3] 前記セルの各辺のうちの少なくとも一辺を構成する前記隔壁の表面に、2つ以上の前記溝部を有し、
2つ以上の前記溝部が、当該一辺を構成する前記隔壁の表面に、等間隔に配置されている、前記[2]に記載のハニカム構造体。
【0012】
[4] 前記溝部を有する部分における前記隔壁の厚さが、前記溝部を有しない部分における前記隔壁の厚さの、0.5倍以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0013】
[5] 前記隔壁の前記溝部内を埋めるように、前記隔壁の表面に、排ガス浄化用触媒が担持されている、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[6] 前記溝部の前記開口幅aは、当該溝部の前記底幅bの1.5〜1.8倍である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハニカム構造体は、触媒を担持した際の圧損の上昇を抑制することができるとともに、アイソスタティック強度に優れるという効果を奏するものである。即ち、本発明のハニカム構造体は、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として利用した際に、隔壁の表面の溝部内に、排ガス浄化用の触媒が良好に収容され、この触媒の担持量を多くしたとしても、圧損の上昇を有効に抑制することができる。また、隔壁の表面に設けられた溝部の開口幅a、底幅b、及び高さc等を、上述した数値範囲とすることで、圧損の上昇を抑制しつつ、アイソスタティック強度の低下についても有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すハニカム構造体の第一端面を模式的に示す平面図である。
図3図2のX−X’断面を模式的に示す、断面図である。
図4図2に示すハニカム構造体の一部を拡大した拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
図5】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の第一端面を模式的に示す拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
図6】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の第一端面を模式的に示す拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
図7】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の第一端面を模式的に示す拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。
【0017】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1図4に示すようなハニカム構造体100である。ハニカム構造体100は、柱状のハニカム構造部4を備えたものである。そして、このハニカム構造部4は、第一端面11から第二端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を取り囲むように配設された、多孔質の隔壁1を有している。
【0018】
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すハニカム構造体の第一端面を模式的に示す平面図である。図3は、図2のX−X’断面を模式的に示す、断面図である。図4は、図2に示すハニカム構造体の一部を拡大した拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
【0019】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4の隔壁1の表面に、当該隔壁1の表面から内側に凹んだ溝部5を有している。即ち、セル2を取り囲むように配設された隔壁1の表面に、第一端面11から第二端面12に向かう方向に沿って、当該隔壁1の表面から内側に凹んだ溝部5を有する。
【0020】
そして、本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1の表面に形成された溝部5が、以下のように構成されていることを、特に主要な特徴とする。まず、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面(例えば、図4を参照)において、溝部5の隔壁1の表面における開口部の開口幅aが、0.015〜0.505mmである。また、この断面において、溝部5の底部の底幅bが、0.01〜0.5mmである。更に、この断面において、溝部5の底部から開口部までの高さcが、0.01〜0.05mmである。
【0021】
また、溝部5の開口幅aは、溝部5の底幅bよりも大きい。溝部5の開口幅aは、当該溝部5を有する隔壁1によって取り囲まれたセル2の一辺の長さよりも小さい。更に、溝部5が形成されている部分における隔壁1の厚さtが、50μm以上である。
【0022】
また、ハニカム構造部4に形成された複数のセル2のうち、溝部5を有する隔壁1によって取り囲まれているセル2の個数比率が、80%以上である。なお、本実施形態のハニカム構造体100において、セル2とは、隔壁1によって取り囲まれた空間のことを意味する。
【0023】
更に、ハニカム構造部4の、溝部5を除く第一端面11の開口率をA%とし、ハニカム構造部4の、溝部5を含む第一端面11の開口率をB%とすると、開口率%から開口率%を減算した値が、0.1〜7.0%である。
【0024】
以上のように構成されたハニカム構造体100は、触媒を担持した際の圧損の上昇を抑制することができるとともに、アイソスタティック強度に優れるという効果を奏するものである。即ち、ハニカム構造体100は、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として利用した際に、隔壁1の表面の溝部5内に、排ガス浄化用の触媒が良好に収容され、この触媒の担持量を多くしたとしても、圧損の上昇を有効に抑制することができる。また、隔壁1の表面に設けられた溝部5の開口幅a、底幅b、及び高さc等を、上述した数値範囲とすることで、圧損の上昇を抑制しつつ、アイソスタティック強度の低下についても有効に抑制することができる。
【0025】
溝部5の隔壁1の表面における開口幅a、底幅b、及び高さcは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面を、例えば、画像解析装置(ニコン社製、「NEXIV、VMR−1515(商品名)」)によって測定することによって求めることができる。具体的には、開口幅a、底幅b、及び高さcの測定方法としては、以下の通りである。まず、ハニカム構造部4を、セル2の延びる方向に直交する方向に切断して、ハニカム構造部4の断面を切り出す。切り出す断面については、第一端面11側(例えば、流入端面側)、第二端面12側(例えば、流出端面側)、及びその中間部分の3つの断面とする。そして、各断面における各セル2について、当該セル2を取り囲む隔壁1の表面に溝部5を有しているか否かを確認する。隔壁1の表面に溝部5を有している場合には、それぞれの溝部5について、開口幅a、底幅b、及び高さcを測定する。
【0026】
本実施形態のハニカム構造体100において、1つの溝部5は、ハニカム構造部4の第一端面11から第二端面12に向かう方向に沿って連続的に形成されている。また、1つの溝部5は、ハニカム構造部4の第一端面11から第二端面12に向かう方向に沿って、略同一形状のものであることが好ましい。
【0027】
溝部5の開口幅aが、0.015mm未満であると、ハニカム構造体100の圧損が上昇し易くなる。また、溝部5の開口幅aが、0.505mmを超えると、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度が低下する。溝部5の開口幅aは、0.050〜0.450mmであることが好ましく、0.100〜0.400mmであることが更に好ましい。
【0028】
溝部5の底幅bが、0.01mm未満、又は0.5mmを超えると、ハニカム構造体100の圧損が上昇し易くなる。溝部5の底幅bは、0.050〜0.450mmであることが好ましく、0.100〜0.400mmであることが更に好ましい。
【0029】
溝部5の高さcが、0.01mm未満であると、ハニカム構造体100の圧損が上昇し易くなる。また、溝部5の高さcが、0.05mmを超えると、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度が低下する。溝部5の高さcは、0.020〜0.040mmであることが好ましく、0.030〜0.040mmであることが更に好ましい。
【0030】
溝部5の開口幅aは、溝部5の底幅bよりも大きく、開口幅aは、底幅bの1.1〜1.8倍であ、1.5〜1.8倍であることが好ましい。このように構成することによって、溝部5内に、排ガス浄化用の触媒が良好に収容することができる。
【0031】
溝部5の開口幅aは、当該溝部5が形成された隔壁1によって取り囲まれたセル2の一辺の長さLよりも小さい。溝部5の開口幅aが、セル2の一辺の長さLを超えると、隔壁1が切り欠かれたような形状となってしまい好ましくない。例えば、開口幅aは、セル2の一辺の長さLに対して、10〜50%であることが好ましく、20〜40%であることが更に好ましい。ここで、「隔壁1によって取り囲まれたセル2の一辺の長さL」とは、隔壁1によって取り囲まれたセル2の形状が多角形である場合に、当該隔壁1によって構成されるセル2の一辺の長さLのことをいう。また、セル2の形状が、多角形の角部が丸み等を帯びた形状の場合には、丸み等を帯びたR部を除いた直線部を、当該セル2の一辺の長さLとする。
【0032】
溝部5の底幅bは、当該溝部5が形成された隔壁1によって取り囲まれたセル2の水力直径よりも小さいことが好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度の低下を有効に抑制することができる。セル2の水力直径とは、各セル2の断面積及び周長に基づき、4×(断面積)/(周長)によって計算される値である。
【0033】
溝部5が形成されている部分における隔壁1の厚さtは、50μm以上である。図4に示すように、1つの隔壁1に対して、その表裏面の同位置に、1つずつ溝部5が形成されている場合には、隔壁1の厚さtは、一方の溝部5の底部から他方の溝部5の底部までの距離となる。一方、図5に示すハニカム構造体200のように、1つの隔壁1に対して、その表裏面の異なる位置に、それぞれ溝部5が形成されている場合には、隔壁1の厚さtは、1つの溝部5の底部から、その隔壁1の反対側の表面までの距離となる。図5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態の第一端面を模式的に示す拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
【0034】
図4に示すハニカム構造体100において、溝部5が形成されている部分における隔壁1の厚さtが、50μm未満であると、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度が低下する。溝部5が形成されている部分における隔壁1の厚さtは、50〜70μmであることが好ましく、60〜70μmであることが更に好ましい。
【0035】
上述したように、ハニカム構造部4に形成された複数のセル2のうち、溝部5を有する隔壁1によって取り囲まれているセル2の個数比率が、80%以上である。なお、「溝部5を有する隔壁1によって取り囲まれているセル2」とは、「セル2を取り囲む側の表面に、少なくとも1つの溝部5を有する隔壁1が、当該セル2の周囲に配設されているセル2」のことをいう。以下、上記した「個数比率」のことを、「溝部有りセルの個数比率」ということがある。溝部有りセルの個数比率が、80%未満であると、ハニカム構造体100の圧損が上昇し易くなる。溝部有りセルの個数比率は、80〜100%であることが好ましく、90〜100%であることが更に好ましい。
【0036】
上述したように、ハニカム構造部4の、溝部5を除く第一端面11の開口率をA%とし、ハニカム構造部4の、溝部5を含む第一端面11の開口率をB%とすると、開口率%から開口率%を減算した値が、0.1〜7.0%である。なお、「溝部5を除く第一端面11の開口率A%」とは、隔壁1の表面に形成された溝部5が塞がっていると仮定した場合に算出される、第一端面11の開口率である。したがって、この開口率A%は、ハニカム構造部4の外周壁3によって囲われた全面積S1に対する、セル2のみの開口面積S2の比率:S2/S1×100によって算出される。ここで、全面積S1には、ハニカム構造部4の外周に配設された外周壁3の面積を含むこととする。また、「溝部5を含む第一端面11の開口率をB%」とは、隔壁1の表面に形成された溝部5をハニカム構造部4の開口部分に含めた際に算出される、第一端面11の開口率である。したがって、この開口率B%は、ハニカム構造部4の外周壁3によって囲われた全面積S1に対する、セル2の開口面積S2及び溝部5の開口面積S3の総和の比率:(S2+S3)/S1×100によって算出される。
【0037】
開口率%から開口率%を減算した値を、以下、「開口率A%と開口率B%の差」ということがある。開口率A%と開口率B%の差が、0.1%未満であると、ハニカム構造体100の圧損が上昇し易くなる。開口率A%と開口率B%の差が、7.0%を超えると、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度が低下する。開口率A%と開口率B%の差は、1.0〜7.0%であ、3.0〜6.0%であることが好ましい。
【0038】
本実施形態のハニカム構造体100は、図4に示すように、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面において、セル2の形状が多角形であることが好ましい。「セル2の形状」とは、隔壁1の表面に形成された溝部5の形状を含まない、当該セル2の形状のことを意味する。セル2の延びる方向に直交する面における、セル2の形状については特に制限はない。例えば、セル2の形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。なお、セル2の形状が多角形である場合、多角形の少なくとも1つの角部が曲線状に形成された形状、及び多角形の少なくとも1つの角部が直線状に面取りされた形状を含むものとする。
【0039】
図7に示すハニカム構造体400は、セル2の延びる方向に直交する面における、セル2の形状が、六角形である。このハニカム構造体400は、ハニカム構造部4の隔壁1の表面に、当該隔壁1の表面から内側に凹んだ溝部5を有している。そして、この溝部5の形状が、これまでに説明した各条件を満たすように構成されている。図7は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の第一端面を模式的に示す拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
【0040】
図4に示すように、セル2の形状が多角形である場合、一の多角形のセル2の各辺を構成する隔壁1の表面のそれぞれに、少なくとも1つの溝部5を有することが好ましい。このように構成することによって、圧損の上昇を抑制しつつ、アイソスタティック強度の低下についても有効に抑制することができる。
【0041】
また、図6に示すハニカム構造体300のように、セル2の形状が多角形である場合、一の多角形のセル2の各辺を構成する隔壁1の表面に、2つ以上の溝部5,5が形成されていてもよい。2つ以上の溝部5を形成することにより、例えば、上述した「開口率A%と開口率B%の差」の値を調節することができる。なお、隔壁1の表面に、2つ以上の溝部5,5が形成されている場合には、2つ以上の溝部5,5が、当該一辺を構成する隔壁1の表面に、等間隔に配置されていることが更に好ましい。図6は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の第一端面を模式的に示す拡大平面図であり、隔壁及びセルの構成を説明するための図である。
【0042】
図4に示すように、溝部5を有する部分における隔壁1の厚さtが、溝部5を有しない部分における隔壁1の厚さt0の、0.5倍以上であることが好ましい。このように構成することによって、アイソスタティック強度の低下についても有効に抑制することができる。溝部5を有する部分における隔壁1の厚さtが、溝部5を有しない部分における隔壁1の厚さt0の、0.5〜0.9倍であることが更に好ましく、0.6〜0.8倍であることが特に好ましい。
【0043】
溝部5を有しない部分における隔壁1の厚さt0は、0.089〜0.305mmであることが好ましい。隔壁1の厚さt0が0.089mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。隔壁1の厚さt0が0.305mmより厚いと、ハニカム構造体100の圧損が増大することがある。以下、「溝部5を有しない部分における隔壁1の厚さ」のことを、単に、「隔壁1の厚さ」ということがある。
【0044】
隔壁1の気孔率が、30〜55%であることが好ましい。隔壁1の気孔率が30%未満であると、ハニカム構造体100の圧損が増大することがある。隔壁1の気孔率が55%を超えると、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度が低下することがある。隔壁1の気孔率は、水銀ポロシメータ(Mercury porosimeter)によって計測された値とする。水銀ポロシメータとしては、例えば、Micromeritics社製のAutopore 9500(商品名)を挙げることができる。
【0045】
ハニカム構造体100のセル密度は、例えば、31〜93個/cmであることが好ましい。セル密度が31個/cm未満であると、ハニカム構造体100を、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として用いた際に、排ガス浄化処理を行う面積が小さくなり、十分な浄化性能が発揮されないことがある。一方、セル密度が93個/cmを超えると、ハニカム構造体100の圧損が増大することがある。
【0046】
ハニカム構造体100の全体の形状は、例えば、端面の形状が円形、オーバル形等の柱形状を挙げることができる。ハニカム構造体100の大きさは、例えば、円柱形状の場合、底面の直径が、55.0〜330.2mmであることが好ましい。また、ハニカム構造体100の中心軸方向の長さは、50.0〜280.0mmであることが好ましい。
【0047】
隔壁1の材質については特に制限はない。例えば、隔壁1の材質としては、セラミックを主成分とするものを挙げることができる。セラミックとしては、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、窒化珪素、コージェライト化原料、リチウムアルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート、及び炭化珪素−コージェライト系複合材料から構成される群より選択される少なくとも1種を含む材料を好適例として挙げることができる。「セラミックを主成分とする」というときは、セラミックを全体の50質量%以上含有することを意味する。
【0048】
本実施形態のハニカム構造体は、排ガス浄化用触媒を担持するための触媒担体として好適に用いることができる。本実施形態のハニカム構造体は、図示は省略するが、隔壁の溝部内を埋めるように、隔壁の表面に、排ガス浄化用触媒が担持されていてもよい。なお、排ガス浄化用触媒は、隔壁の表面だけでなく、隔壁に形成された細孔の内部に充填されていてもよい。触媒の種類としては、SCR触媒、NOx吸蔵触媒、酸化触媒等を挙げることができ、特に、SCR触媒が好ましい。「SCR」とは、「Selective Catalytic Reduction:選択触媒還元」の略である。「SCR触媒」とは、還元反応によって被浄化成分を選択還元する触媒のことを意味する。
【0049】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体を製造する方法について説明する。
【0050】
まず、隔壁を作製するための可塑性の坏土を調製する。坏土の調製方法は、従来公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができる。
【0051】
次に、作製した坏土を押出成形することにより、複数のセルを区画形成する隔壁を有する、柱状のハニカム成形体を得る。押出成形においては、押出成形用の口金として、坏土の押出面に、成形するハニカム成形体の反転形状となるスリットが形成されたものを用いることができる。例えば、口金のスリットは、隔壁の表面に所望形状の溝部が形成されるように、口金の表面に、格子状に形成されていることが好ましい。また、得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥してもよい。
【0052】
次に、得られたハニカム成形体を焼成することにより、多孔質の隔壁を有するハニカム構造部を備えたハニカム構造体を得ることができる。焼成温度及び焼成雰囲気は、ハニカム成形体の作製に用いた材料により異なり、当業者であれば、選択された材料に最適な焼成温度及び焼成雰囲気を選択することができる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
コージェライト化原料100質量部に、分散媒を0.1〜2質量部、有機バインダを1〜10質量部、それぞれ添加し、それらを混合し、混練して押出成形用の坏土を調製した。コージェライト化原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用した。分散媒としては水を使用し、造孔材としては澱粉を使用し、有機バインダとしてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。
【0055】
次に、ハニカム成形体作製用の口金を用いて坏土を押出成形し、全体形状が円柱形状のハニカム成形体を得た。
【0056】
次に、ハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。
【0057】
次に、乾燥したハニカム成形体を、脱脂し、焼成して、実施例1のハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体は、複数のセルを取り囲むように配設された多孔質の隔壁を有するハニカム構造部によって構成されたものであった。また、実施例1のハニカム構造体は、セルを取り囲むように配設された隔壁の表面に、第一端面から第二端面に向かう方向に沿って、当該隔壁の表面から内側に凹んだ溝部を有していた。
【0058】
実施例1のハニカム構造体は、端面の直径が143.8mmで、セルの延びる方向の長さが152.4mmの円柱形状のものであった。隔壁の厚さは0.114mmであった。隔壁によって取り囲まれたセルの形状は四角形であり、セル密度は62個/cmであった。セルの形状において、一辺の長さは、1.259mmであった。表1の「セル構造」の欄に、隔壁の厚さ、及びセル密度を示す。また、隔壁の気孔率は、35%であった。気孔率は、Micromeritics社製のAutopore 9500(商品名)によって測定した。結果を、表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1のハニカム構造体は、1つのセルを取り囲む隔壁に対して、溝部の数が1個であった。即ち、四角形のセルの周囲を取り囲む4つ辺を構成する隔壁において、1つの辺を構成する1つ隔壁のみが、1つの溝部を有していた。このように構成されたハニカム構造体を、表1の「1セル当たりの溝部の数(個)」の欄に、1(個)と示す。なお、例えば、当該欄において、1つのセルを取り囲む隔壁に対して、溝部の数が5個である場合には、5(個)と示す。
【0061】
溝部は、開口幅aが0.25mm、底幅bが0.23mm、高さcが0.03mmであった。また、溝部有りセルの個数比率は、97%であった。なお、「溝部有りセルの個数比率」とは、複数のセルのうち、溝部を有する隔壁によって取り囲まれているセルの個数比率のことである。また、溝部を含まない開口率A(%)が82.8%であり、溝部を含む開口率B(%)が、83.3%であった。開口率Aと開口率Bの差は、0.45%であった。以上の各結果を、表1に示す。
【0062】
このようにして得られた実施例1のハニカム構造体について、隔壁の表面に、触媒を担持した。この触媒の触媒種は、銅ゼオライトであり、触媒の担持量は175g/Lとした。銅ゼオライトとは、金属置換されたゼオライトのことであり、特に、ゼオライトを金属置換する金属が、銅(Cu)であるゼオライトである。触媒の担持量は、ハニカム構造体の単位体積当り(即ち、体積1L当たり)に担持された、触媒の質量のことである。
【0063】
触媒を担持したハニカム構造体について、以下の方法で、「NOx浄化率(%)」、及び「アイソスタティック強度(MPa)」の評価を行った。また、触媒を担持したハニカム構造体の圧損を測定し、以下の方法で、「圧損比較(%)」の評価を行った。結果を、表2に示す。
【0064】
[NOx浄化率(%)]
まず、ハニカム構造体に、NOxを含む試験用ガスを流した。その後、このハニカム構造体から排出されたガスのNOx量をガス分析計で分析した。
【0065】
ハニカム構造体に流入させる試験用ガスの温度を200℃とした。なお、ハニカム構造体及び試験用ガスは、ヒーターにより温度調整した。ヒーターは、赤外線イメージ炉(Infrared image furnace)を用いた。試験用ガスは、窒素に、二酸化炭素5体積%、酸素14体積%、一酸化窒素350ppm(体積基準)、アンモニア350ppm(体積基準)および水10体積%を混合させたガスを用いた。この試験用ガスに関しては、水と、その他のガスを混合した混合ガスとを別々に準備しておき、試験を行う時に配管中でこれらを混合させて用いた。ガス分析計は、「HORIBA社製、MEXA9100EGR」を用いた。また、試験用ガスがハニカム構造体に流入するときの空間速度は、100,000(時間−1)とした。「NOx浄化率」は、試験用ガスのNOx量から、ハニカム構造体から排出されたガスのNOx量を差し引いた値を、試験用ガスのNOx量で除算し、100倍した値(単位:%)である。「NOx浄化率が、75%以上の場合を「合格」とし、75%未満の場合を「不合格」とした。
【0066】
[アイソスタティック強度(MPa)]
アイソスタティック強度の測定は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格(JASO規格)のM505−87で規定されているアイソスタティック破壊強度試験に基づいて行った。アイソスタティック破壊強度試験は、ゴムの筒状容器に、ハニカム構造体を入れてアルミ製板で蓋をし、水中で等方加圧圧縮を行う試験である。
【0067】
即ち、アイソスタティック破壊強度試験は、缶体に、ハニカム構造体が外周面把持される場合の圧縮負荷加重を模擬した試験である。このアイソスタティック破壊強度試験によって測定されるアイソスタティック強度は、ハニカム触媒体が破壊したときの加圧圧力値(MPa)で示される。アイソスタティック強度が、1.0MPa以上の場合を「合格」とし、1.0MPa未満の場合を「不合格」とした。
【0068】
[圧損比較(%)]
ハニカム構造体に、室温条件下、10m/minの流速でエアーを流通させ、ハニカム構造体の入口側における圧力と、出口側における圧力とを測定した。入口側における圧力と、出口側における圧力との圧力差を、測定対象のハニカム構造体の圧損(kPa)とした。また、隔壁の表面に溝部を有していない比較例1のハニカム構造体についても、同様の方法で、圧損(kPa)を測定した。比較例1のハニカム構造体の圧損(kPa)に対する、測定対象のハニカム構造体の圧損(kPa)の比の百分率(%)を算出した。算出した値を、圧損比較(%)の評価値として、以下の基準で評価を行った。圧損比較(%)が、124%以下の場合を「合格」とし、124%を超える場合を「不合格」とした。
【0069】
(実施例2〜3,5〜6,8〜11、参考例4,7
溝部の形状、個数等を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜3,5〜6,8〜11及び参考例4,7のハニカム構造体を作製した。そして、作製した各ハニカム構造体について、隔壁の表面に、触媒を担持した。触媒の触媒種及び担持量は、表2に示す通りである。以下、実施例1〜3,5〜6,8〜11及び参考例4,7を総称して、実施例及び参考例1〜11と記す。
【0070】
(比較例1〜15)
溝部の形状、個数等を、表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1〜15のハニカム構造体を作製した。そして、作製した各ハニカム構造体について、隔壁の表面に、触媒を担持した。触媒の触媒種及び担持量は、表4に示す通りである。
【0071】
実施例及び参考例2〜11、比較例1〜15のハニカム構造体について、実施例1と同様の方法で、「NOx浄化率(%)」、及び「アイソスタティック強度(MPa)」の評価を行った。また、各ハニカム構造体について、実施例1と同様の方法で、「圧損比較(%)」の評価を行った。結果を、表2及び表4に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
(結果)
実施例及び参考例1〜11のハニカム構造体は、NOx浄化率が75%以上であり、アイソスタティック強度も、合格基準の1.0MPa以上であった。特に、アイソスタティック強度については、実施例及び参考例1〜5,7,10のハニカム構造体は、2.1MPa以上という極めて優れた値であった。また、実施例及び参考例1〜11のハニカム構造体は、「圧損比較(%)」の評価においても優れた値を示すものであった。
【0076】
比較例1〜5,15のハニカム構造体は、隔壁の表面に溝部を有していないものである。比較例15のハニカム構造体は、触媒の担持量が、実施例及び参考例1〜11のハニカム構造体と同量であるため、実施例及び参考例1〜11のハニカム構造体と同程度の浄化性能を示すものであった。但し、比較例15のハニカム構造体は、「圧損比較(%)」の値が極めて高い値となった。即ち、比較例15のハニカム構造体においては、実使用レベルの圧損を実現するためには、触媒の担持量が多すぎ、担持量の減量が必要である。
【0077】
比較例1〜5のハニカム構造体は、実施例及び参考例1〜11,比較例15のハニカム構造体と比較して、触媒の担持量を減少したものである。比較例1〜5のハニカム構造体は、NOx浄化率が極めて低いものであった。また、比較例1〜5のハニカム構造体のように、ハニカム構造体の隔壁の厚さやセル密度の調整によって、「圧損比較(%)」の値の改善は一部見られるものの、圧損の上昇を抑制と、浄化性能の向上の両立を図ることは困難であった。
【0078】
比較例6〜14のハニカム構造体は、隔壁の表面に溝部を有するものである。しかしながら、比較例6〜11のハニカム構造体は、溝部の開口幅a、底幅b、及び高さcの少なくとも1つが、所定の値又は必要な条件を満たしていなかった。比較例6〜11のハニカム構造体は、「アイソスタティック強度(MPa)」又は「圧損比較(%)」の評価において、合格基準を満たしていなかった。
【0079】
比較例12〜14のハニカム構造体は、「開口率Aと開口率Bの差(%)」又は「溝部有りセルの個数比率(%)」が、所定の値を満たしておらず、「アイソスタティック強度(MPa)」又は「圧損比較(%)」の評価において、合格基準を満たしていなかった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のハニカム構造体は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等から排出される排ガスを浄化するための触媒を担持する触媒担体として利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:溝部、11:第一端面、12:第二端面、100,200,300,400:ハニカム構造体、a:開口幅、b:底幅、c:高さ、t:溝部が形成されている部分における隔壁の厚さ、t0:溝部を有しない部分における隔壁の厚さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7