特許第6803290号(P6803290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803290
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ラゲージドア構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/10 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   B62D25/10 G
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-73773(P2017-73773)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-176784(P2018-176784A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】曽布川 大
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐士
(72)【発明者】
【氏名】白井 靖泰
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−119267(JP,A)
【文献】 特開2009−083800(JP,A)
【文献】 特開2003−212153(JP,A)
【文献】 特開2009−029290(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102009053933(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0016615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部を形成する外フレーム部を有するインナーパネルと、前記インナーパネルの上に該インナーパネルと結合されたアウターパネルと、車幅方向の両端側に設けられた一対のヒンジ部とを具備するラゲージドア構造であって、
前記アウターパネルと前記インナーパネルとの間の空間において車幅方向の両端側にそれぞれ設けられ、前記一対のヒンジ部を補強する一対のヒンジリインフォースと、
前記一対のヒンジリインフォースの間において、車幅方向に延設された耐ノイズ/振動リインフォースとを備え、
前記耐ノイズ/振動リインフォースは、その車幅方向端部が前記一対のヒンジリインフォースの車両前後方向における前後端の間に結合されるとともに、少なくとも前記インナーパネルに対し結合されていることを特徴とするラゲージドア構造。
【請求項2】
高さ方向において、前記ノイズ/振動リインフォースは、前記耐ノイズ/振動リインフォースの車幅方向端部を除き、前記ヒンジリインフォースよりも前記アウターパネル側に位置するように、前記アウターパネル側に凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたラゲージドア構造
【請求項3】
前記耐ノイズ/ 振動リインフォースは、車両前後方向の断面が逆U字形に形成され、前記インナーパネルに対して、内部空間を閉じた状態に結合していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたラゲージドア構造。
【請求項4】
前記耐ノイズ/ 振動リインフォースは、前記アウターパネルに対して、軟性樹脂からなるクッション部材を介して結合していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたラゲージドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラゲージドア構造に関し、特に、重量、部品点数、及びコストの増加を抑制しつつ、ラゲージドアの振動レベルを低減することのできるラゲージドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にセダンタイプの車両においては、後部にラゲージドアを備えている。このラゲージドアは、大きくは鋼材により形成され支持部材となるインナーパネルの上にアウターパネルが接合されたものにより構成される。図6に従来のラゲージドアにおけるインナーパネルの平面図を示す。
【0003】
図6において、インナーパネル50の前部両端には、ヒンジ部51が設けられ、このヒンジ部51が車両本体(図示せず)の後部において縦方向に回転自在に(ラゲッジルームに対し開閉自在に)接続される。このヒンジ部51には、ラゲージドアの荷重負荷が加わるため、その負荷を軽減するための補強部材としてヒンジリインフォース52がインナーパネル50に接合されている。
尚、インナーパネル50にあっては、図示するようにパネル中央部において、軽量化を図るために、バー部材53のみで構成するのが一般的である。
【0004】
ところで、車両のエンジンが駆動中においては、その振動がラゲージドアに伝わるため、特に車両幅方向の中央において、ドア回転方向にドア全体が変形する。図7は、図6のB−B矢視断面図(アウターパネルも図示)である。具体的に説明すると、図7に示すように車両幅方向中心においては、ラゲージドア60のパネル全体が、その高さH方向(矢印で示す回転方向)に負荷が加わり変形することになる(図6において、Hは車両高さ方向、Lは車両長さ方向)。
【0005】
また、図8は、図6のC−C矢視断面図(アウターパネルも図示)である。図8に示すようにラゲージドア60の回転軸に近いパネル前側部分にあっては、山なりに曲げ変形が生じる(図8において、Hは車両高さ方向、Wは車両幅方向)。
このようにラゲージドア60のパネル変形が走行時の路面からの入力に同期して繰り返し生じると、ラゲージドアにおいて大きな共振が生じることになり、そのこもり音が大きいという課題があった。
【0006】
このような課題に対し、従来は、図9の分解斜視図に示すように、パネルの共振を抑制するためのマスダンパ部材70(動吸振器)をインナーパネル50に取り付けるという方法が多く採られていた(例えば、特許文献1)。
さらに、図10に、車両前後方向のパネル部断面図を示すようにアウターパネル55とインナーパネル50との間に弾性体としてのPPシート(ポリプロピレンシート)75を介在させ、剛性を上げるという方法が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−207695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように、マスダンパ70やPPシート75による対策によれば、大幅に共振を抑制し、こもり音を低減することができる。
しかしながら、マスダンパ70を追加することにより、重量及び部品点数が増え、コストも高くなるという課題があった。即ち、近年の車種開発においてニーズの高い、軽量化や低コストの目的に背反するという課題があった。
【0009】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、車両のラゲージドアにおいて、重量、部品点数、及びコストの増加を抑制しつつ、ラゲージドアの振動レベルを低減することのできるラゲージドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するために、本発明に係るラゲージドア構造は、外周部を形成する外フレーム部を有するインナーパネルと、前記インナーパネルの上に該インナーパネルと結合されたアウターパネルと、車幅方向の両端側に設けられた一対のヒンジ部とを具備するラゲージドア構造であって、前記アウターパネルと前記インナーパネルとの間の空間において車幅方向の両端側にそれぞれ設けられ、前記一対のヒンジ部を補強する一対のヒンジリインフォースと、前記一対のヒンジリインフォースの間において、車幅方向に延設された耐ノイズ/振動リインフォースとを備え、前記耐ノイズ/振動リインフォースは、その車幅方向端部が前記一対のヒンジリインフォースの車両前後方向における前後端の間に結合されるとともに、少なくとも前記インナーパネルに対し結合されていることに特徴を有する。
尚、高さ方向において、前記ノイズ/振動リインフォースは、前記耐ノイズ/振動リインフォースの車幅方向端部を除き、前記ヒンジリインフォースよりも前記アウターパネル側に位置するように、前記アウターパネル側に凸形状に形成されていることが望ましい。
また、前記耐ノイズ/振動リインフォースは、車両前後方向の断面が逆U 字形に形成され、前記インナーパネルに対して、内部空間を閉じた状態に結合していることが好ましい。
また、前記耐ノイズ/振動リインフォースは、前記アウターパネルに対して、軟性樹脂からなるクッション部材を介して結合していることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、従来の構造では具備しない耐ノイズ/振動リインフォースを設けることによって、マス効果が向上し、ラゲージドア回転方向の変形を抑制し、ドアパネルの振動を抑制することができる。また、従来のマスダンパ部材を追加した構成よりも部品点数及び重量を低減し、コストの増加を抑制することができる。
また、耐ノイズ/振動リインフォースとアウターパネルとの間に、例えばマスチックのような軟質樹脂からなるクッション部材が設けられることにより、耐ノイズ/振動リインフォースはインナーパネルとアウターパネルとに接続される。そのため、アウターパネルとインナーパネルとの間の断面崩れを抑制することができる。
【0012】
また、耐ノイズ/振動リインフォースの両端が、それぞれヒンジリインフォースと接合されることによって、支持部の角度変形を抑制することができる。
また、耐ノイズ/振動リインフォースは、車両前後方向の断面が逆U字状とされると、内部が中空の部材となり、剛性を向上しつつラゲージドアの重量増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両のラゲージドアにおいて、重量、部品点数、及びコストの増加を抑制しつつ、ラゲージドアの振動レベルを低減することのできるラゲージドア構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係るラゲージドア構造の全体構造を示す一部破断の平面図である。
図2図2は、図1のA−A矢視断面図であって、ラゲージドアの前側部分の車両幅方向の断面を示す図である。
図3図3は、ラゲージドアの前側部分の車両前後方向の断面図である。
図4図4は、本発明に係る実施例1の結果と比較例1の結果の対比を示すグラフである。
図5図5は、比較例2の結果と比較例1の結果の対比を示すグラフである。
図6図6は、従来のラゲージドアにおけるインナーパネルの平面図である。
図7図7は、図6のB−B矢視断面図(アウターパネルも図示)である。
図8図8は、図6のC−C矢視断面図(アウターパネルも図示)である。
図9図9は、インナーパネルにマスダンパ部材を取り付けた従来の構成の分解斜視図である。
図10図10は、従来の車両前後方向のパネル部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかるラゲージドア構造の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るラゲージドア構造の全体構造を示す一部破断の平面図である。図2は、図1のA−A矢視断面図であって、ラゲージドアの前側部分の車両幅方向の断面を示している。また、図3は、ラゲージドアの前側部分の車両前後方向の断面を示している。
【0016】
図1乃至図3に示すラゲージドア1は、大きくは支持部材であるインナーパネル2と、その上にインナーパネル2と結合されたアウターパネル3とを備える。インナーパネル2とアウターパネル3とは、外周をヘミング加工し、互いに接合されている。
インナーパネル2は、鋼材により形成されており、その外周部を形成する外フレーム部4と、外フレーム部4の内側に配置されたクロスバー5と、車両(図示せず)に対しラゲージドア1を縦方向に回動自在に取り付けるために車幅方向の両端側に設けられた一対のヒンジ部6とを備える。
【0017】
さらに、インナーパネル2は、前記一対のヒンジ部6の補強部材となる一対のヒンジリインフォース7、8と、前記一対のヒンジリインフォース7、8の間において、車両幅方向に沿って延びる耐ノイズ/振動リインフォース10とを備える。
【0018】
図2に示すように車幅方向両端側にけられたヒンジリインフォース7、8は、車両幅方向では断面S字状に屈曲してインナーパネル2にスポット溶接により固定され、その下面側が耐ノイズ/振動リインフォース10の端部上面側とスポット溶接により接合されている。
また、図3に示すように、耐ノイズ/振動リインフォース10は、車両前後方向の断面が逆U字状に形成されており、その前後部分がインナーパネル2に接合されることにより、内部空間が略閉じた状態となされており、重量増加を抑制しつつ、剛性が向上するように構成されている。
この構成によりラゲージドア1の前部においては、軽量かつ剛性が向上し、ラゲージドア1の曲げ変形、アウターパネル3とインナーパネル2との間の断面崩れ、ラゲージドア1のヒンジ部の角度変形等が抑制されることになる。
【0019】
即ち、本実施の形態によれば、ヒンジリインフォース7、8に結合された耐ノイズ/振動リインフォース10を設けることによって、マス効果が向上し、ラゲージドア回転方向の変形を抑制し、ドアパネルの共振を防止することができる。
また、従来のマスダンパ部材を追加した構成よりも部品点数及び重量を低減し、コストの増加を抑制することができる。
【0020】
また、図3に示すように耐ノイズ/振動リインフォース10とアウターパネル3との間には、例えばマスチックのような軟質樹脂からなるクッション部材20が設けられ、それにより耐ノイズ/振動リインフォース10はインナーパネル2とアウターパネル3とに接続されることになる。このため、アウターパネル3とインナーパネル2との間の断面崩れを抑制することができる。
【0021】
また、耐ノイズ/振動リインフォース10の両端が、ヒンジリインフォース7、8と接合されるため、支持部の角度変形を抑制することができる。
また、図3に示したように、耐ノイズ/振動リインフォース10は、内部が中空の部材であるため、剛性を向上しつつラゲージドアの重量増加を抑制することができる。
【0022】
尚、前記実施の形態においては、図2に示すように耐ノイズ/振動リインフォース10の両端は、ヒンジリインフォース7、8の下側に接合される構成としたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、ヒンジリインフォース7、8の上側に接合される構成としてもよい。
【0023】
また、前記実施の形態において、耐ノイズ/振動リインフォース10は、車両前後方向の断面が逆U字状に形成され、その前後部分がインナーパネル2に接合されることにより、内部空間が略閉じた状態となる構成としたが、その構成に限定されるものではない。例えば、耐ノイズ/振動リインフォース10を板状に形成したものであっても、十分にマス効果を得ることができ、従来よりも振動を低減することができる。
【実施例】
【0024】
本発明に係るラゲージドア構造について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示したラゲージドアを製造し、その耐震性能を検証した。
実験条件としては、ラゲージドア前端部を加振した時の、同位置での加速度を測定して周波数を分析した(実施例1)。
また、比較例1として、振動対策をしていないラゲージドアについて、同様にして振動レベルを測定した。
この実施例1、比較例1の実験結果を図4のグラフに示す。図4のグラフにおいて、横軸は周波数(Hz)、縦軸は振動(dB)である。
図4に示すように比較例1に比べ振動レベルを大幅に低減することができた(具体的には2dB改善)。
【0025】
また、比較例2として、従来のマスダンパを具備するラゲージドアについて、同様の実験条件で振動レベルを測定した。この比較例の実験結果を図5のグラフに示す。図5のグラフにおいて、横軸は周波数(Hz)、縦軸は振動(dB)である。
図5に示すように、比較例2にあっては、実施例1と同様に振動レベルが低減された。
以上の実施例の結果から、本発明(実施例1)によれば、従来のマスダンパを用いた対策と同様の振動レベル低減の効果を得ることができることを確認した。
尚、実施例1の構成によれば、従来のマスダンパを用いた構成(比較例2)よりも部品点数及び重量を低減することができるというメリットがある。
【符号の説明】
【0026】
1 ラゲージドア
2 インナーパネル
3 アウターパネル
4 外フレーム部
4a 開口部
5 クロスバー
6 ヒンジ部
7 ヒンジリインフォース
8 ヒンジリインフォース
10 耐ノイズ/振動リインフォース
20 クッション部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10