(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施の形態に係わる内視鏡装置の構成図である。内視鏡システム1は、内視鏡2と、内視鏡2が接続され内視鏡2を制御する制御装置3と、表示装置4とを有して構成されている。
【0018】
内視鏡2は、先端側から順に、細長の挿入部11と、操作部12と、ユニバーサルケーブル13を有している。挿入部11は、先端側から、先端部11a、湾曲部11b、及び可撓管部11cを有している。
【0019】
撮像部としての撮像素子11dが、挿入部11の先端部11aに設けられている。照明光が先端部11aに設けられた照明窓(図示せず)から被写体に照射される。撮像素子11dは、被写体からの反射光を受光して、撮像信号を生成して、点線で示す信号線を介して制御装置3へ供給する。
【0020】
操作部12は、湾曲ノブ、レリーズスイッチなどの各種操作部材(図示せず)を有している。ユーザは、操作部12を操作することによって、挿入部11の湾曲部11bを湾曲させたり、撮像素子11dにより撮像して得られた内視鏡画像を、図示しない大容量記憶装置に記録したりすることができる。
【0021】
ユニバーサルケーブル13の基端には、コネクタ14が設けられている。コネクタ14は、制御装置3に設けられたコネクタ24に対して着脱可能である。
コネクタ14は、各種信号のための複数の接点を有するが、特に、制御装置3からの電源の供給を受けるための2つの接点15を有している。
【0022】
さらに、内視鏡2は、記憶装置16をコネクタ14内に有している。記憶装置16は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリであり、所定の情報が、記憶装置16に記憶されている。コネクタ14がコネクタ24に接続されると、制御装置3は、記憶装置16のデータを読み出しと書き込みが可能となる。
【0023】
制御装置3は、制御部21と、画像処理部22と、電源回路23と、コネクタ24とを有し、内視鏡画像を生成するビデオプロセッサである。
制御部21は、中央処理装置(以下、CPUという)21a、ROM21b、RAM21c、及び各種回路を含み、内視鏡システム1の全体の動作及び各種機能に応じた処理を行う。制御部21は、ユーザによる操作部12あるいは操作パネル(図示せず)に対する操作に応じた機能を実行する。
【0024】
ROM21bには、内視鏡システム1の全体の動作及び各種機能のための各種プログラムが格納されている。CPU21aは、ユーザにより指示された機能に応じたプログラムをROM21bから読み出して、RAMに展開して実行する。
【0025】
ROM21bには、状態検知部21b1、時刻情報書き込み部21b2及び症例数カウント部21b3のためのプログラムが含まれている。各々がプログラムである、状態検知部21b1、時刻情報書き込み部21b2及び症例数カウント部21b3の各部の処理については、後述する。
【0026】
制御部21は、フラッシュメモリなどの記憶装置21dをさらに有する。記憶装置21dには、内視鏡2の機種毎の標準使用時間の情報が格納されている。標準使用時間は、内視鏡2の機種に応じて異なっている。
【0027】
内視鏡2には、上部又は下部消化管の検査用、硬性鏡を用いた検査及び処置用、など複数の種類がある。上部又は下部消化管の検査のための内視鏡の使用時間は、例えば15分程度であり、硬性鏡を用いた内視鏡検査及び処置の場合、内視鏡の使用時間は、例えば2時間程度である。よって、標準使用時間は、術者の経験、あるいは病院毎に異なることもあり得るが、その内視鏡の平均使用時間として記憶装置21dに設定される。記憶装置21aには、内視鏡2の種類毎の平均的な症例時間が、平均使用時間として複数記憶されている。
【0028】
画像処理部22は、撮像素子11dを駆動する駆動回路と、撮像素子11dからの撮像信号を受信してデジタル信号に変換するアナログフロントエンドとを含む。画像処理部22は、制御部21の制御の下、撮像素子11dからの撮像信号に基づいて内視鏡画像を生成し、表示装置4へ出力する回路である。
【0029】
電源回路23は、図示しないコンセントから得た交流電源を直流電源に変換して所定の複数の電圧を発生して出力する回路である。電源回路23からの各種電圧が、制御装置3内の各部に供給される。
【0030】
制御装置3は、上述したユニバーサルケーブル13のコネクタ14が接続可能なコネクタ24を有する。コネクタ24は、各種信号のための複数の接点を有するが、特に、内視鏡2へ電源を供給するための2つの接点25を有している。
【0031】
2つの接点25は、信号線を介して制御部21に接続されている。制御部21は、電圧検知回路あるいはインピーダンス検知回路を有し、2つの接点25間の電圧あるいはインピーダンスを検知することにより、コネクタ24に内視鏡2のコネクタ14が接続されているか否かを判定することができる。
【0032】
コネクタ14がコネクタ24に接続されると、2つの接点15と2つの接点25が接触するため、2つの接点25間の抵抗値は、所定の値となる。しかし、コネクタ14がコネクタ24から取り外されると、2つの接点15と2つの接点25が非接触状態となるため、2つの接点25間の抵抗値は、極めて高くなる。
【0033】
制御装置3は、さらに時刻情報を生成する時計回路26を有している。時計回路26は、日付と時刻を含む現在時刻Tpのデータを生成して出力する。なお、時計回路26は、制御部21内に含まれていてもよい。
【0034】
制御装置3は、制御装置3の電源をオン・オフするための電源スイッチ27を有している。ユーザは、内視鏡システム1を使用するとき、電源スイッチ27をオンにする。
ユーザは、コネクタ14をコネクタ24に接続することにより、内視鏡2を制御装置3に接続して、電源スイッチ27をオンすると、内視鏡システム1を使用することができる。
【0035】
よって、制御部21は、ユーザにより電源スイッチ27がオンされたことを検知することができると共に、2つの接点25間の電圧あるいはインピーダンスを検知することにより、内視鏡2が制御装置3に接続されたことを検知することができる。
【0036】
図2は、記憶装置16に格納されるテーブル31のデータ構造を示す図である。
テーブル31は、記憶装置16中の記憶領域に設けられ、スコープ識別情報(以下、スコープIDという)、機種名、症例数、及び時刻の各情報を記憶可能である。また、記憶装置16は、書き換え可能で不揮発性のメモリであるので、電源供給がなくなっても記憶された情報は、消去されず、電源供給を受けると、読み出し及び書き込みが可能となる。各情報は、制御部21が認識可能な所定のアドレスの示す記憶装置16の格納領域に格納される。
【0037】
スコープIDは、内視鏡2の識別情報であり、テーブル31の格納領域31aに予め格納される。
機種名は、内視鏡2の種類についての情報であり、テーブル31の格納領域31bに予め格納される。
【0038】
症例数は、内視鏡2の使用回数であり、テーブル31の格納領域31cに格納され、後述するように制御装置3により読みだされて更新される。
時刻は、後述するように制御装置3の制御部21により書き込まれる時刻情報であり、最新時刻Tmとしてテーブル31の格納領域31dに格納される。
【0039】
図3は、制御部21の記憶装置21aに記憶される標準使用時間テーブル32のデータ構造を示す図である。
標準使用時間テーブル32は、内視鏡の機種毎の標準使用時間TSの情報を有している。すなわち、内視鏡2の機種名に対応する標準使用時間TSの情報が、複数、標準使用時間テーブル32に格納されている。
【0040】
例えば、上部又は下部消化管の検査に用いられる内視鏡の1回の使用時間は、例えばその平均値が15分であれば、上部又は下部消化管用の内視鏡の標準使用時間TSは、15分と設定される。また、硬性鏡を用いた内視鏡検査及び処置に用いられる内視鏡の1回の使用時間は、例えばその平均値が2時間であれば、硬性鏡を用いた内視鏡検査及び処置用の内視鏡の標準使用時間TSは、2時間と設定される。
【0041】
検査部位あるいは検査内容に応じて用いられる内視鏡は、異なるため、内視鏡の機種に応じた標準使用時間が、記憶装置21aの標準使用時間テーブル32に予め設定される。
図3に示すように、AA1,AA2,AB1などの内視鏡2の機種毎に、TS1,TS2,TS3などの標準使用時間が設定されている。
(作用)
次に、内視鏡システム1の動作について説明する。
【0042】
電源スイッチ27がオンされると、内視鏡システム1は起動し、制御装置3は、ユーザの指示に応じた機能を実行する。内視鏡システム1を用いた内視鏡検査時の動作については、説明は省略する。
(内視鏡システム1の状態変化検知)
制御部21は、内視鏡システム1の2つの状態変化を検知、ここでは、電源スイッチ27がオンされたか、あるいは制御装置3の電源がオンの状態のときに内視鏡2が制御装置3に接続されたかを検知する。内視鏡システム1の2つの状態を検知は、状態検知部21b1により行われる。
【0043】
ユーザにより電源スイッチ27がオンされると、制御装置3が起動されて、状態検知部21b1の実行が開始されるので、状態検知部21b1は、その実行の開始により電源スイッチ27がオンされたことを検知することができる。
【0044】
また、制御部21は、2つの接点25間の電圧あるいはインピーダンスを常に検知して監視しているので、状態検知部21b1は、その検知結果に基づいて内視鏡2が制御装置3から取り外されたことを検知することができる。よって、状態検知部21b1は、制御装置3の電源がオフからオンになったこと、あるいは内視鏡2が制御装置3に接続されたことを検知する検知部を構成する。
(内視鏡2への時刻情報の書き込み)
制御部21は、内視鏡2の記憶装置16に時刻情報を定期的に書き込む処理を実行している。内視鏡2への時刻情報の書き込みは、時刻情報書き込み部21b2により行われる。
【0045】
図4は、制御部21による最新時刻情報の書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
制御部21は、所定の周期で、最新時刻Tmのデータ更新処理を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。具体的には、制御部21は、例えば30秒、あるいは1分毎に、時計回路26の現在時刻のデータを取得して、内視鏡2の記憶装置16中のテーブル31の格納領域31dに書き込む。
【0046】
制御部21は、内視鏡2が制御装置3に接続されているとき、
図4の処理を常時実行する。その結果、記憶装置16には、制御装置3から所定の周期で書き込まれた最新時刻Tmが記憶される。すなわち、時刻情報書き込み部21b2は、記憶装置16に時刻情報を最新時刻情報として定期的に書き込む。
(症例数のカウント)
ユーザは、内視鏡システム1を使用するとき、検査部位などに応じた内視鏡2を選択して制御装置3に接続し、電源スイッチ27をオンする。
ユーザは、電源スイッチ27をオンにした後、内視鏡システム1の各種調整及び設定を行った後に、挿入部11を被検体内に挿入して、内視鏡検査を行う。
【0047】
しかし、ユーザが各種調整及び設定を行っているときに、電源スイッチ27をオフにしたり、制御装置3の電源がオンの状態のときに内視鏡2を制御装置3から取り外してしまったりすることがある。
従来、このような場合、制御装置3は、通電回数を誤カウントしてしまうが、本実施の形態では、誤カウントがされないように症例数のカウントが行われる。
【0048】
図5は、症例数カウント処理の流れの例を示すフローチャートである。
図5の処理は、症例数カウント部21b3により実行される。
図5の処理は、電源スイッチ27がオンされたとき、あるいは電源スイッチ27がオン状態で内視鏡2が制御装置3に接続されたときに制御部21により実行される。
【0049】
制御部21は、最新時刻Tmの最新時刻Tmのデータを内視鏡2から読み出す(S11)。具体的には、例えば電源スイッチ27がオフからオンに切り替わったとき、制御部21は、内視鏡2の記憶装置16の格納領域31dに記憶されている最新時刻Tmを読み出す。
【0050】
制御部21は、時計回路26の出力する現在時刻TpとS11で読み出した最新時刻Tmの差が、所定の閾値TH未満であるかを判定する(S12)。現在時刻Tpと最新時刻Tmの差は、最新時刻から現在時刻までの経過時間を示す。
【0051】
所定の閾値THは、上述した標準使用時間であり、制御部21は、記憶装置16に記憶されている内視鏡2の機種情報に基づいて、記憶装置21dの標準使用時間テーブル32から、接続されている内視鏡2の種類に対応する標準使用時間TSを読み出して、S12の処理において設定時間としての所定の閾値THとして用いる。
【0052】
時計回路26の出力する現在時刻TpとS11で読み出した最新時刻Tmの差が、所定の閾値TH未満であるとき(S12:YES)、処理は何もしない。これは、標準使用時間TSよりも短い時間内で、電源がオフからオンにされたり、内視鏡2のコネクタ14がコネクタ24に再接続されたと推定されるからである。
【0053】
現在時刻Tpと最新時刻Tmの差が、所定の閾値TH以上であるとき(S12:NO)、制御部21は、症例数データを内視鏡2の記憶装置16から読み出す(S13)。
制御部21は、読み出した症例数に1を加算した後(S14)、症例数データを内視鏡2の記憶装置16に書き込む(S15)。以上のように、症例数カウント部21b3は、記憶装置16に記憶された内視鏡2の機種情報を読み出し、機種情報に基づいて記憶装置21dから読み出した設定時間である標準使用時間TSを用いて、記憶装置16に記憶された症例数情報の更新を行う。
【0054】
すなわち、症例数カウント部21b3は、状態検知部21b1において制御装置3の電源がオフからオンになったこと、あるいは内視鏡2が制御装置3に接続されたことが検知されると、記憶装置16に記憶された最新時刻情報を読み込み、読み込まれた最新時刻情報と現在時刻情報との差が、内視鏡2について設定された設定時間よりも長いときは、記憶装置16に記憶された症例数情報を1だけ加算し、その差が、設定時間よりも短いときは、記憶装置16に記憶された症例数情報を書き換えない症例数更新部を構成する。
【0055】
以上のように、制御装置3は、内視鏡2が接続されているときに記憶装置16に定期的に時刻情報を最新時刻情報として上書き記憶し、内視鏡システム1が起動されたときあるいは制御装置3の電源がオンである状態で内視鏡2が制御装置3に接続されたときに記憶装置16に記憶された最新時刻情報を読み出し、最新時刻情報の示す最新時刻からから現在時刻までの経過時間を算出し、算出された経過時間と内視鏡2毎に設定された設定時間を比較し、経過時間が設定時間より大きい場合には、記憶装置16に記憶されている症例数である使用回数を1だけ加算する。
【0056】
例えば、検査中に電源が一時的にオフされたりしても、記憶装置16に記録された最新の時刻と、現在時刻との差が、標準使用時間TS未満であるときは、内視鏡2の症例数はインクリメントされない。しかし、記憶装置16に記録された最新の時刻と、現在時刻との差が、標準使用時間TS以上であるときは、内視鏡2の症例数はインクリメントされる。
【0057】
標準使用時間TSは、内視鏡2の機種毎に設定されているため、例えば上述の例であれば、硬性鏡を用いた内視鏡検査及び処置に用いられる内視鏡2が使用中に、20分程度の電源オフ時間があっても、内視鏡2の症例数は、インクリメントされない。
【0058】
以上のように、上述した実施の形態によれば、1回の使用時間が機種によって異なる内視鏡の実際の症例数を、より正確にカウントすることができる内視鏡システム及び内視鏡用制御装置を提供することができる。
(第2の実施の形態)
内視鏡毎の標準使用時間の情報は、第1の実施の形態では、制御装置3の記憶装置21aに記憶されているが、第2の実施の形態では、記憶装置16に記憶されている。
【0059】
本実施の形態の内視鏡装置は、
図1に示す第1の実施の形態の内視鏡システム1と略同じ構成を有するので、以下、第1の実施の形態の内視鏡システム1と異なる構成についてのみ説明する。
【0060】
図6は、記憶装置16に格納されるテーブルのデータ構造を示す図である。
記憶装置16には、スコープID、機種名、症例数、及び時刻の各情報に加えて、標準使用時間の情報を格納可能なテーブル31Aが格納されている。
【0061】
テーブル31Aの標準使用時間は、機種名に対応する標準使用時間であり、第1の実施の形態では、記憶装置21aに記憶されていたが、本実施の形態では、記憶装置16のテーブル31Aの格納領域31eに格納されている。
本実施の形態においても、第1の実施の形態で説明した
図4の処理は実行される。
【0062】
図7は、症例数カウント処理の流れの例を示すフローチャートである。
図7の処理は、電源スイッチ27がオンされたとき、あるいは電源スイッチ27がオン状態で内視鏡2が制御装置3に接続されたときに制御部21により実行される。
図7の処理は、
図5の処理と同じ処理を含むため、同じ処理については同じステップ番号を付して、簡略して説明する。
【0063】
制御部21は、最新時刻Tmと標準使用時間TSを内視鏡2から読み出す(S21)。例えば電源スイッチ27がオフからオンに切り替わったとき、制御部21は、内視鏡2の記憶装置16の格納領域31dに記憶されている最新時刻Tmと、格納領域31eに記憶されている標準使用時間TSを読み出す。
【0064】
その後の処理は、
図1の実施の形態と同じである。特に、S12では、内視鏡2の記憶装置16から読み出した標準使用時間TSが、所定の閾値THとして使用される。
本実施の形態では、標準使用時間は、内視鏡2の記憶装置16に格納されているので、内視鏡装置のメーカは、メンテナンスなどのとき内視鏡毎の標準使用時間の確認を容易に行うことができる。
【0065】
以上のように、上述した第2の実施の形態によれば、1回の使用時間が機種によって異なる内視鏡の実際の症例数を、より正確にカウントすることができる内視鏡システム及び内視鏡用制御装置を提供することができる。
特に、本実施の形態では、標準使用時間の情報を制御装置3で保持して管理するため、例えば新製品の内視鏡が採用された場合でも、制御装置の更新が不要となる。
【0066】
以上のように、上述した2つの実施の形態によれば、1回の使用時間が機種によって異なる内視鏡の実際の症例数を、より正確にカウントすることができる内視鏡システム及び内視鏡用制御装置を提供することができる。
特に、内視鏡2の記憶装置16に、より正確な症例数の情報が格納されているので、内視鏡2を複数の制御装置3に接続しても、その内視鏡の症例数が正しくカウントされる。
【0067】
本発明は、上述した2つの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。