(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の倉庫を介して複数品目の製品がそれぞれ複数の輸送機関によって搬送されるサプライチェーンに関するシミュレーションを実施するサプライチェーンシミュレーションシステムにおいて、
前記複数品目の製品ごとに流通経路が一致するか否かに応じて前記複数品目の製品を分類して各分割グループを設定し、前記各分割グループごとに算出した配分比率に基づいて前記各分割グループの輸送関連情報を算出するとともに、前記各分割グループの輸送関連情報に基づいて、前記複数品目の製品に関するシミュレーション入力データを、前記各分割グループの輸送関連情報同士が互いに密な関連性の品目ごとにまとめて分類した複数のシミュレーション分割入力データを作成するシミュレーションデータ分割部と、
前記複数のシミュレーション分割入力データに基づいてそれぞれ個別に分割シミュレーションを実行する複数のシミュレータと、
前記複数のシミュレータによってそれぞれ実施されたシミュレーション結果を表す複数のシミュレーション分割実行結果データを集約してシミュレーション集約結果データを生成するシミュレーション結果集約部と、
前記シミュレーション集約結果データに基づいて前記シミュレーションの全体の結果を表示させる結果表示部と、
を備えることを特徴とするサプライチェーンシミュレーションシステム。
複数の倉庫を介して複数品目の製品がそれぞれ複数の輸送機関によって搬送されるサプライチェーンに関するシミュレーションを実施するサプライチェーンシミュレーション方法において、
コンピュータが、前記複数品目の製品ごとに流通経路が一致するか否かに応じて前記複数品目の製品を分類して各分割グループを設定し、前記各分割グループごとに算出した配分比率に基づいて前記各分割グループの輸送関連情報を算出するとともに、前記各分割グループの輸送関連情報に基づいて、前記複数品目の製品に関するシミュレーション入力データを、前記各分割グループの輸送関連情報同士が互いに密な関連性の品目ごとにまとめて分類した複数のシミュレーション分割入力データを作成するシミュレーションデータ分割ステップと、
複数のシミュレータが、前記複数のシミュレーション分割入力データに基づいてそれぞれ個別に分割シミュレーションを実行するシミュレーションステップと、
前記コンピュータが、前記複数のシミュレータによってそれぞれ実施されたシミュレーション結果を表す複数のシミュレーション分割実行結果データを集約してシミュレーション集約結果データを生成するシミュレーション結果集約ステップと、
前記コンピュータが、前記シミュレーション集約結果データに基づいて前記シミュレーションの全体の結果を表示させる結果表示ステップと、
を有することを特徴とするサプライチェーンシミュレーション方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。本実施の形態では、品目による分割を行う際、在庫を持つ倉庫、輸送量がある輸送手段などのキャパシティが分割により実際より多く見えてしまうため、実績の在庫量や輸送量のデータから算出した分配率でキャパシティを算出し、分割シミュレーションに適用することで、精度を落とさずにシミュレーションを実施するようにしている。以下、具体的に説明する。
【0011】
(1)第1の実施の形態
(1−1)サプライチェーンシミュレーションシステムの構成例
図1は、第1の実施の形態によるサプライチェーンシミュレーションシステム1の全体構成例を示すブロック図である。
【0012】
サプライチェーンシミュレーションシステム1は、例えば、入力データ作成部108、シミュレーションデータ分割部110、サプライチェーンシミュレータ114、シミュレーション結果集約部118、及び結果表示部120、並びに、品目マスタ101、倉庫情報及び在庫実績テーブル102、輸送情報及び輸送実績テーブル103、及びカレンダ季節情報テーブル104を備えるコンピュータである。
【0013】
入力データ作成部108は、全体のシミュレーション入力データ109を作成する。シミュレーションデータ分割部110は、このシミュレーション入力データ109を複数の品目単位のシミュレーション分割入力データ111,112,113に分割する機能を有する。入力データ作成部108の詳細については後述する。
【0014】
3つのサプライチェーンシミュレータ114は、これらシミュレーション分割入力データ111,112,113に基づいて個別にシミュレーション(以下「分割シミュレーション」ともいう)を実施し、シミュレーション分割実行結果データ115,116,117をそれぞれ生成する機能を有する。サプライチェーンシミュレータ114の詳細については後述する。
【0015】
シミュレーション結果集約部118は、これらシミュレーション分割実行結果データ115,116,117をマージしてシミュレーション集約結果データ119を生成する機能を有する。シミュレーション結果集約部118の詳細については後述する。
【0016】
結果表示部120は、シミュレーション集約結果データ119に基づいて全体のシミュレーション結果を表示する機能を有する。
【0017】
ERP105は、基幹系情報システムであり、取り扱い品目に関連する情報を管理する品目マスタ101を利用する。
【0018】
倉庫管理システム106は、倉庫の管理を行う情報システムであり、例えば、倉庫の基本情報、その倉庫の在庫状況などを取り扱う。
【0019】
輸送管理システム107は、輸送全般の管理を実施するシステムであり、例えば、輸送機関の基本情報、輸送実績などを取り扱う。
【0020】
品目マスタ101は、サプライチェーンが扱う品目のマスタデータを管理している。品目マスタ101は、そのカラムとして、例えば、品目のコード、品目のサイズ、重量などを含むテーブルである。品目マスタ101これらの情報は、ERP105から取得される。品目マスタ101の詳細については後述する。
【0021】
倉庫情報及び在庫実績テーブル102は、サプライチェーンの倉庫に関連する情報を管理する。この情報は倉庫情報(後述する倉庫情報テーブルの情報に相当)及び在庫実績(後述する在庫実績テーブルの情報に相当)で構成されている。倉庫情報は、サプライチェーン内にあるシミュレーション対象となる倉庫に関連する情報である。倉庫情報及び在庫実績テーブル102は、そのカラムとして、例えば、倉庫コードと、倉庫の容積等の情報とを含むテーブルである。一方、在庫実績は、倉庫毎に存在しており、過去のその倉庫での在庫実績の数量が品目毎及び日付毎に管理されている。倉庫情報及び在庫実績テーブル102のこれらの情報は、倉庫管理システム106から取得される。倉庫情報及び在庫実績テーブル102の詳細については後述する。
【0022】
輸送情報及び輸送実績テーブル103は、サプライチェーンの輸送に関連する情報を管理する。この情報は輸送情報(後述する輸送情報テーブルの情報に相当)及び輸送実績(後述する輸送実績テーブルの情報に相当)で構成されている。輸送情報は、サプライチェーン内にあるシミュレーション対象となる輸送に関連する情報である。輸送情報及び輸送実績テーブル103は、そのカラムとして、例えば、輸送機関コード及び最大可能輸送量を含むテーブルである。一方、輸送実績は、輸送機関毎に存在しており、過去のその運送業者での運送実績の数量が品目毎及び日付毎に管理されている。輸送情報及び輸送実績テーブル103のこれらの情報は、輸送管理システム107から取得される。輸送情報及び輸送実績テーブル103の詳細については後述する。
【0023】
カレンダ季節情報テーブル104は、サプライチェーンの時間に関連する情報である。この情報はカレンダ及び季節情報で構成されている。サプライチェーンの在庫実績及び運送実績は、季節要因により大きく変わるため、カレンダ及び季節情報が必要となる。カレンダは、サプライチェーンが関連する各企業(工場、倉庫、運送業者など)の営業日に関する情報である。一方、季節情報は、現在1年間のどのフェーズであるかを表している。
【0024】
図2は、
図1に示す品目マスタ101のテーブル構成例を示す。
品目マスタ101は、品目コード602をキーとするテーブルであり、カラムとして、この品目コード602の他、サイズの情報である縦603、横604、高さ605、及び重量606などを有する。
【0025】
品目コード602は、品目マスタ101のキーとなるカラムであり、複数の品目を互いに判別可能であってこれら品目同士において互いに重複しないコードを表す。縦603は、その品目の縦の長さを表している。横604は、その品目の横の長さを表している。高さ605は、その品目の高さを表している。重量606は、その品目の重量を表している。
【0026】
図3は、在庫実績テーブル701のテーブル構成の一例を示す。在庫実績テーブル701は、既述の倉庫情報及び在庫実績テーブル102の一部を構成し、対象とする倉庫において、品目毎に各日付での在庫数量を個数で保持している。
【0027】
品目コード702は、在庫実績テーブル701のキーとなるカラムで、複数の品目を互いに判別可能な重複しないコードを表す。各日付在庫数量703,704,705は、703は2月1日の在庫数量、704は2月2日の在庫数量、705は2月3日の在庫数量である。ここでは、3日分を例示したが、過去数ヶ月から数年について在庫数量を保持しているものとする。
【0028】
図4は、輸送実績テーブル801のテーブル構成例を示す。
輸送実績テーブル801は、既述の輸送情報及び輸送実績テーブル103の一部を構成し、対象とする運送機関で、品目毎に各日付での運送数量を個数で保持している。品目コード802は、輸送実績テーブル801のキーとなるカラムであり、複数の品目を互いに判別可能であって互いに重複しないコードを表す。
【0029】
各日付運送数量803,804,805は、例えば2月1日の運送数量、2月2日の運送数量、2月3日の運送数量を表している。ここでは、3日分を例示したが、過去数ヶ月から数年について運送数量を保持している。
【0030】
図5は、倉庫情報テーブル901のテーブル構成例を示す。この倉庫情報テーブル901は、既述の倉庫情報及び在庫実績テーブル102の一部を構成し、分割シミュレーションで対象とする倉庫に関する情報を管理するテーブルである。この情報に基づいて分割シミュレーションが実施される。
【0031】
倉庫コード902は、倉庫情報テーブル901のキーとなるカラムで、倉庫を判別可能な重複しないコードを表す。場所903は、倉庫の住所などを表す。容量904は、倉庫の容量を表す。
【0032】
図6は、輸送情報テーブル1001のテーブル構成例を示す。この輸送情報テーブル1001は、既述の輸送情報及び輸送実績テーブル103の一部を構成し、分割シミュレーションで対象とする輸送機関についてのテーブルである。この情報に基づいて分割シミュレーションが実施される。
【0033】
輸送機関コード1002は、輸送情報テーブル1001のキーとなるカラムであり、輸送機関を判別可能な重複しないコードを表す。場所1003は、輸送機関の住所などを表す。最大輸送量1004は、輸送機関の最大輸送量を表す。
【0034】
(1−2)サプライチェーンシミュレーションシステムの動作例
第1の実施の形態によるサプライチェーンシミュレーションシステム1の構成についての概要は以上のようであり、次に、その動作例について説明する。
【0035】
図7は、シミュレーションデータ分割部110によるシミュレーションデータ分割処理の一例を示す。
図8は、
図7に示すステップS201としての分割グループ生成処理の一例を示す。
図9は、
図7に示すステップS202としての倉庫容量分割処理の一例を示す。
図10は、
図7に示すステップS203としての最大輸送量算出処理の一例を示す。
【0036】
まず、
図7を参照し、シミュレーションデータ分割部110は、上述したようにシミュレーションデータを分割するために、まず、品目マスタ101を参照して品目情報群を取り出すとともに、輸送情報及び輸送実績テーブル103を参照して各品目情報に対応する各品目が流通している輸送ルートを割り出す。シミュレーションデータ分割部110は、各品目のうち輸送ルートが一致している複数の品目についてグルーピングを実施し、その実施結果を分割グループとする(
図7のステップS201)。
【0037】
より具体的には、シミュレーションデータ分割部110は、品目マスタ101を参照して品目リストを作成する(
図8のステップS301)。シミュレーションデータ分割部110は、ステップS301において作成された品目リストの各々の品目に対して輸送情報及び輸送実績テーブル103を参照して輸送経路を割り出し、輸送経路リストを作成する(
図8のステップS302)。
【0038】
シミュレーションデータ分割部110は、この輸送経路リストに基づいて、存在する全ての輸送経路について、輸送経路の組み合わせ毎に品目を分類する(
図8のステップS303)。このように分類する理由は、輸送経路が互いに関連しない品目同士を分けて後ほどシミュレーションが実施されるようにするためである。
【0039】
シミュレーションデータ分割部110は、これら輸送経路の組み合わせ毎の品目の分類について輸送経路の一致度、つまり、例えば、輸送用のコンテナが一致しているか否かを確認し、予め決定しておいた分割グループに所属すべき品目数になるように複数の品目分類を各々集約して複数の分割グループを生成する(
図8のステップS304)。
【0040】
次に、
図7を参照し、シミュレーションデータ分割部110は、倉庫情報及び在庫実績テーブル102を参照してシミュレーション対象とすべき倉庫群を把握し、各倉庫について、カレンダ季節情報テーブル104を参照して得られる期間について在庫実績を取り出し、在庫の最大値を求める(
図7のステップS202)。
【0041】
シミュレーションデータ分割部110は、品目マスタ101を参照してその品目のサイズ情報を取得し、上述した在庫最大値時にどれだけの倉庫面積を使用するかを算出する(
図7のステップS202)。シミュレーションデータ分割部110は、その倉庫で扱う全品目について使用倉庫面積を算出し、上記分割グループ毎に総和する(
図7のステップS202)。シミュレーションデータ分割部110は、分割グループ毎の総和値の比率で倉庫の容積を分割し、各分割グループの分割シミュレーション時の倉庫容量とする(
図7のステップS202)。
【0042】
以上のようなステップS202をより具体的に説明すると、シミュレーションデータ分割部110は、まず、倉庫情報及び在庫実績テーブル102を参照して未処理の倉庫が残っているか否かについて判定を実施し(
図9のステップS401)、未処理の倉庫が残っていれば次のようなステップS402を実行する一方、未処理の倉庫が残っていなければ、倉庫容量の配分比率が確定、つまり、全部の倉庫容量が決定したことになるため、本処理を終了する。
【0043】
次にシミュレーションデータ分割部110は、倉庫情報及び在庫実績テーブル102を参照して対象倉庫の面積を取得する(
図9のステップS402)。シミュレーションデータ分割部110は、倉庫で扱っている分割グループのうち、後述する必要面積が未計算の分割グループが存在するか否かについて判定を実施し(
図9のステップS403)、未計算の分割グループが存在する場合は次のようなステップS404から未計算の分割グループに関する処理を実行する一方、未計算の分割グループが存在しない場合は後述するステップS409から倉庫容量の算出処理を実行する。
【0044】
まず、シミュレーションデータ分割部110は、未計算の分割グループの1つを選択する(
図9のステップS404)。次にシミュレーションデータ分割部110は、このステップS404において選択された1つの分割グループに属する品目について、品目マスタ101からサイズ情報を取得し、その品目1個の収容に必要な単位面積を算出する(
図9のステップS405)。
【0045】
次にシミュレーションデータ分割部110は、分割グループに属する品目について、倉庫実績及び在庫実績テーブル102を参照するとともにカレンダ情報及び季節情報テーブル104を参照し、対象とする期間の在庫実績に基づいて在庫最大数を算出する(
図9のステップS406)。
【0046】
次にシミュレーションデータ分割部110は、分割グループに属する品目について、品目毎に、以下の式を用いて必要面積を算出する(
図9のステップS407)。
必要面積=単位面積×在庫実績最大数
なお、単位面積は上記ステップS405において算出され、在庫実績最大数は上記ステップS406において算出される。
【0047】
次にシミュレーションデータ分割部110は、分割グループに属する品目について、ステップS407において算出された必要面積を総和し、その算出結果をその分割グループの必要面積とする(
図9のステップS408)。この処理後、シミュレーションデータ分割部110は、ステップS403に戻って処理を継続する。
【0048】
次にシミュレーションデータ分割部110は、全分割グループについて、上述したステップS408において必要面積が算出されたため、これらの必要面積の比率を算出する(
図9のステップS409)。
【0049】
次にシミュレーションデータ分割部110は、ステップS409において必要面積の比率で対象倉庫の面積を分配し、それぞれの分割グループでの分割シミュレーションにおけるその倉庫の倉庫容量とする(
図9のステップS410)。この処理後、シミュレーションデータ分割部110は、既述のステップS401に戻り、処理を継続する。
【0050】
以上のようにすると、分割シミュレーションを実施する際に倉庫容量について実際よりも大きな倉庫容量が取り扱われ、シミュレーション精度が低下することを抑制することができる。
【0051】
シミュレーションデータ分割部110は、輸送情報からシミュレーション対象とする輸送機関を取り出すとともに、各輸送機関について、カレンダ情報から得られる期間について輸送実績を取り出し、輸送の最大値を求める(
図7のステップS203)。シミュレーションデータ分割部110は、品目マスタ101を参照してその品目の重量情報を取得し、前述の輸送最大値時にどれだけの運送手段を必要とするかを算出する(
図7のステップS203)。シミュレーションデータ分割部110は、その輸送機関で扱う全品目について使用輸送重量を算出し、上記分割グループ毎に総和する(
図7のステップS203)。シミュレーションデータ分割部110は、分割グループ毎の総和地の比率で輸送能力を分割し、各分割グループのシミュレーション時の最大輸送量とする(
図7のステップS203)。
【0052】
図7のステップS203をより具体的に説明すると、シミュレーションデータ分割部110は、まず、輸送情報103から未処理の輸送機関が残っているか否かについて判定し(
図10のステップS501)、未処理の輸送機関が残っていれば次のようなステップS502を実行する一方、未処理の輸送機関が残っていなければ、輸送キャパシティの配分比率が確定、つまり、全部の輸送機関が決定されたこととなるため、本処理を終了する。
【0053】
シミュレーションデータ分割部110は、輸送情報及び輸送実績テーブル103を参照して対象輸送機関の最大輸送量を取得する(
図10のステップS502)。次にシミュレーションデータ分割部110は、輸送機関で扱っている分割グループのうち、後述する必要輸送量が未計算の分割グループが存在するか否かについて判定する(
図10のステップS503)。
【0054】
シミュレーションデータ分割部110は、未計算の分割グループが存在する場合は、後述するステップS504から未計算の分割グループの処理を実施する一方、未計算の分割グループが存在しない場合は、後述するステップS509から輸送機関の最大輸送量の算出処理を実行する。
【0055】
シミュレーションデータ分割部110は、未計算の分割グループが存在する場合、未計算の分割グループの1つを選択する(
図10のステップS504)。シミュレーションデータ分割部110は、上述したステップS504において選択された分割グループに属する品目について、品目マスタ101から重量情報を取得する(
図10のステップS505)。
【0056】
シミュレーションデータ分割部110は、分割グループに属する品目について、輸送実績及びカレンダ季節情報を取得し、対象とする期間の輸送実績から最大輸送量を算出する(
図10のステップS506)。
【0057】
シミュレーションデータ分割部110は、分割グループに属する品目について、品目毎に、以下の式を用いて必要輸送量を算出する(
図10のステップS507)。
必要輸送量=単位重量×輸送最大数量
なお、単位重量はステップS505において算出され、輸送最大数量はステップS506において算出される。
【0058】
シミュレーションデータ分割部110は、分割グループに属する品目について、上述したステップS507において算出された必要輸送量を総和して、その分割グループの必要輸送量とする(
図10のステップS508)。この処理後、シミュレーションデータ分割部110は、上述したステップS503に戻って実施する。
【0059】
一方、未計算の分割グループが存在する場合、シミュレーションデータ分割部110は、全分割グループについて、ステップS508において必要輸送量が算出されたため、これらの必要輸送量の比率を算出する(
図10のステップS509)。
【0060】
シミュレーションデータ分割部110は、必要輸送量の比率で対象運送機関の最大輸送量を分配し、それぞれの分割グループでの分割シミュレーションにおけるその輸送機関の最大輸送量とする(
図10のステップS510)。この処理後、シミュレーションデータ分割部110は、既述のステップS501に戻って実行する。
【0061】
以上のようにすると、分割シミュレーションを実施する際に輸送機関の最大輸送量について実際よりも大きな輸送量が取り扱われ、シミュレーション精度が低下することを抑制することができる。
【0062】
シミュレーションデータ分割部110は、上述したステップS202,S203において算出された各分割グループでの分割後倉庫容量及び分割後最大輸送量を用いて、分割グループ毎にシミュレーション入力データを作成し、シミュレーション分割入力データ111,112,113を出力する。なお、シミュレーションデータ分割部110は、上述したステップS202及びステップS203のいずれかにおいて算出された各分割グループでの分割後倉庫容量及び分割後最大輸送量のいずれかを用いて、分割グループ毎にシミュレーション入力データを作成し、シミュレーション分割入力データ111,112,113を出力するようにしても良い。
【0063】
3つのサプライチェーンシミュレータ114は、これらシミュレーション分割入力データ111,112,113に基づいてシミュレーションを実施し、シミュレーション分割実行結果データ115,116,117をそれぞれ生成する機能を有する。
【0064】
シミュレーション結果集約部118は、これらシミュレーション分割実行結果データ115,116,117を集約してシミュレーション集約結果データ119を生成する機能を有する。ここで、これらシミュレーション分割実行結果データ115,116,117が互いに品目毎に分類されているため、シミュレーション結果集約部118は、複雑な集約処理を必要とせず、単に、これらシミュレーション分割実行結果データ115,116,117を集約すれば良くなる。
【0065】
結果表示部120は、シミュレーション集約結果データ119に基づいてシミュレーションの結果を表示する。
【0066】
(1−3)本実施の形態による効果
以上のような実施形態によれば、結果として実質的に全ての品目についてシミュレーションを実施することになるためシミュレーション精度を低下させず、上述した集約処理に時間がそれほど掛からないためシミュレーション時間を短縮することができる。
【0067】
(2)第2の実施の形態
(2−1)サプライチェーンシミュレーションシステムの構成例
図11は、第2の実施の形態によるサプライチェーンシミュレーションシステムの構成例を示す。
【0068】
第2の実施の形態では、後述する一部を除き、第1の実施の形態とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作であるため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下、主として両者の相違点に着目して説明する。
【0069】
第2の実施の形態では、サプライチェーンのシミュレーションを実施する際、第1の実施の形態とは異なり、現在のサプライチェーンに新たな倉庫を追加してシミュレーションを実施する場合を想定している。
【0070】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比べた場合、新たに、新規分割ポリシー1101及び取り扱い品目リスト1102が設けられている一方、第1の実施の形態におけるシミュレーションデータ分割部110(
図1参照)の代わりに、
図11に示すようにシミュレーションデータ分割部1103が設けられている。
【0071】
新規分割ポリシー1101は、サプライチェーンのシミュレーションをする際、現在のサプライチェーンに新たな倉庫(以下「新規倉庫」ともいう)を追加してシミュレーションをしたい場合に、新規分割ポリシーを設定しておき、それに従って複数存在する分割方法から1つ選択し、新規倉庫の分割を実施する。一方、取り扱い品目リスト1102は、このように倉庫を新設する際においてその新規倉庫において取り扱う品目のリストを表している。
【0072】
シミュレーションデータ分割部1103は、第1の実施の形態によるシミュレーションデータ分割部110と同様にシミュレーション入力データ109を複数のシミュレーション分割入力データに分割するが、この際、新規分割ポリシー1101及び取り扱い品目リスト1102に基づいて、そのような分割を実施する。なお、第2の実施の形態においても、シミュレーションデータ分割部1103は、シミュレーション分割入力データ111、シミュレーション分割入力データ112、及びシミュレーション分割入力データ113に分割する。
【0073】
(2−2)サプライチェーンシミュレーションシステムの動作例
第2の実施の形態によるサプライチェーンシミュレーションシステムは以上のような構成であり、次にその動作について第1の実施の形態との相違点を中心として説明する。
【0074】
図12は、第2の実施の形態におけるシミュレーションデータ分割処理の一例を示す。このシミュレーションデータ分割処理は、シミュレーションデータ分割部1103によって実行される。
【0075】
第2の実施の形態におけるシミュレーションデータ分割処理では、第1の実施の形態によるシミュレーションデータ分割処理(
図7参照)と比較して、ステップS203とステップS204との間に、次のようなステップS1201,1202が追加されている点が相違している。なお、第2の実施の形態におけるステップS201〜S203,S204については、第1の実施の形態のこれらと同様であるため、それらのステップS201〜S203,S204については説明を省略する。
【0076】
まず、ステップS1201では、シミュレーションデータ分割部1103が新規倉庫の容量を分割する。具体的には、このシミュレーションデータ分割部1103は、新規倉庫をシミュレーション対象とする場合、その新規倉庫で扱う取り扱い品目リスト1102を用いて、新規分割ポリシー1101に従って新規倉庫の割り当て容量を算出し、各分割グループに割り当てる。
【0077】
本実施の形態では、新規分割ポリシー1101として、次のような3種類のポリシーを例示している。第1のポリシーは、例えば、新設倉庫について、既存の全倉庫の在庫の総量に基づいて算出される各倉庫の平均値を当該新設倉庫に適用することである(後述する「全倉庫在庫の総量」に相当)。第2のポリシーは、例えば、新設倉庫について、この新設倉庫に地理的に近い他の地域に存在する既存倉庫の容量配分比率を当該新規倉庫に適用することである(後述する「他倉庫のコピー」に相当)。第3のポリシーは、例えば、当該新規倉庫に、任意に設定した固定値を適用することである。
【0078】
次にステップS1202では、シミュレーションデータ分割部1103が、新規倉庫の増設に付随する輸送機関を追加するとともにその輸送量を分割する。このシミュレーションデータ分割部1103は、新規倉庫で決定した容量分割比率を輸送機関の輸送量に適用して輸送量を分割する。
【0079】
図13は、新倉庫容量分割処理の一例を示す。この新倉庫容量分割処理では、シミュレーションデータ分割部1103が、まず、残りの新規倉庫があるかの判定を実施する(ステップS1301)。シミュレーションデータ分割部1103は、その判定の結果、新規倉庫が残っている場合には次のようなステップS1302から新規倉庫に対する処理を実施する一方、新規倉庫が残っていない場合には、全新規倉庫の容量配分比率は確定したため、本処理を終了する。
【0080】
シミュレーションデータ分割部1103は、新規分割ポリシー1101から、新規倉庫の分割する際のポリシーとして、既に説明した第1のポリシー、第2のポリシー及び第3のポリシーを取得し(ステップS1302)、これらのポリシーを併用する。次にシミュレーションデータ分割部1103は、取り扱い品目リスト1102を参照し、新規倉庫が取り扱う品目のリストを取得する(ステップS1303)。
【0081】
次にシミュレーションデータ分割部1103は、ステップS1302において取得されたポリシーが「全倉庫在庫の総量(第1のポリシー)」であるか否かについて判定し(ステップS1304)、肯定的な結果の場合には次のようなステップS1305から全倉庫在庫の総量を使用した分割方法を実行する一方、否定的な結果の場合には後述するステップS1307から別なポリシーであるか否かについて判定を実施する。
【0082】
ステップS1305では、シミュレーションデータ分割部1103が、ステップS1304における判定により「全倉庫在庫の総量」での分割方法を実行する。具体的には、このシミュレーションデータ分割部1103は、シミュレーション対象となる全倉庫の品目毎の在庫最大値から取り扱い品目リストに記載されているものを取り出し、必要面積を算出し、全倉庫分を加算する。さらにシミュレーションデータ分割部1103は、加算した品目毎の必要面積を分割グループ毎に総和し、全倉庫での対象品目での分割グループ毎の必要面積を算出する。
【0083】
次にステップS1306では、シミュレーションデータ分割部1103が、ステップS1305において得られた分割グループ毎の必要面積の比率を算出し、これを新倉庫の容量配分比率とし、後述するステップS1310を実行する。
【0084】
次にステップS1307では、シミュレーションデータ分割部1103が、ステップS1304における判定で、ポリシーが「全倉庫在庫の総量」でない場合、設定されているポリシーが「他倉庫のコピー(第2のポリシー)」であるか否かについて判定する。シミュレーションデータ分割部1103は、「他倉庫のコピー(第2のポリシー)」である場合、他倉庫のコピーに対応する処理、すなわち、新規倉庫に地理的に近い既存倉庫の容量配分比率を適用する(ステップS1308)。一方、シミュレーションデータ分割部1103は、「他倉庫のコピー(第2のポリシー)」でない場合、上記第3のポリシーを適用して容量配分比率を固定値で割り当てる(ステップS1309)。
【0085】
ステップS1308は、上述したステップS1307における判定でポリシーが「他倉庫のコピー(第2のポリシー)」である場合に実施される処理である。シミュレーションデータ分割部1103は、新規分割ポリシー1101で指定された倉庫から分割比率を取得して、新倉庫の分割グループ毎の配分比率とし、ステップS1310を実行する。
【0086】
一方、ステップS1309は、上述したステップS1307における判定でポリシーが「他倉庫のコピー(第2のポリシー)」でない場合に実施される処理である。シミュレーションデータ分割部1103は、新規分割ポリシー1101で指定された分割比率を使用して、新倉庫の分割グループ毎の配分比率とし、ステップS1310を実行する。
【0087】
ステップS1310は、シミュレーションデータ分割部1103が、上述したステップS1306,S1308,S1309においてそれぞれ求めた倉庫の分割グループ毎の容量配分比率を用いて、この比率に応じて新倉庫の容量を分割グループ毎に割り当てる。この処理後、シミュレーションデータ分割部1103は既述のステップS1301に戻って実施する。以下、第1の実施の形態と同様な処理であるため、説明を省略する。
【0088】
(2−3)本実施の形態による効果
以上のようにすると、既述の第1の実施の形態による効果に加えて、新規倉庫を増設した際には在庫実績が存在しないことになるが、当該新規倉庫についてより好適な容量配分比率を用いて分割シミュレーションを実施することができる。
【0089】
以上のようにシミュレーションデータ分割部1103は、複数の倉庫とは別に新規倉庫が追加される場合、
図14に例示する設定画面を操作して入力設定を登録することにより、(1)これら複数の倉庫に関して算出済である前記各分割グループの面積比率(第1のポリシー)、(2)複数の倉庫のうち新規倉庫に地理的に近い地域の他の倉庫に対応する各分割グループの面積比率、及び、(3)予め設定された面積比率から選択した面積比率に基づいて、新規倉庫の面積を各分割グループに分配するように、複数のシミュレーション分割入力データ111,112,113を作成する。
【0090】
このようにして分割シミュレーションを実施すると、より好適な条件の下でシミュレーション精度良くサプライチェーンのシミュレーション結果を得ることができる。
【0091】
(2−4)変型例
上述したシミュレーションデータ分割部1103は、上述のように複数の倉庫とは別に新規倉庫が追加される場合、(1)これら複数の倉庫に関して算出済である各分割グループの面積比率(第1のポリシー)、(2)複数の倉庫のうち新規倉庫に地理的に近い地域の他の倉庫に対応する各分割グループの面積比率(第2のポリシー)、及び/または、(3)予め設定された面積比率(第3のポリシー)に基づいて、新規倉庫に製品を入出庫する新規輸送機関(または既存の輸送機関)の最大運送量を各分割グループに分配するように、3つのシミュレーション分割入力データ111,112,113を作成する。
【0092】
このようにして分割シミュレーションを実施すると、より好適な条件の下でシミュレーション精度良くサプライチェーンのシミュレーション結果を得ることができる。
【0093】
(3)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替えまたは並行動作するように構成しても良い。