(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被介護者の股間に配置され、排泄物を受容するための排泄物受容器と、前記排泄物受容器から排泄物を洗浄水と共に吸引して汚物タンクに貯留させる吸引手段と、前記吸引手段から排出される吸引空気の少なくとも一部を通過させて高温殺菌する殺菌手段とを備え、
前記殺菌手段は、断熱材で形成された筒状の筐体と、該筐体内に配置され、電流を流すことにより発熱するステンレス製のストリップ状発熱体とを備えていることを特徴とする介護用排泄物処理装置。
前記殺菌手段は、通過する前記吸引空気を120〜160℃まで加熱するように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の介護用排泄物処理装置。
前記殺菌手段の下流側に配置され、前記殺菌手段から排出された空気を冷却する冷却手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の介護用排泄物処理装置。
【背景技術】
【0002】
介護の現場において、自力で動いて排尿や排便ができない被介護者の尿処理及び便処理は、担当の介護者が人力で行っていた。例えば、尿処理については、被介護者の尿道にカテーテルを通して尿瓶に排尿するようにし、介護者が適宜のタイミングで尿瓶内にたまった尿を廃棄処理していた。便処理については、排便をオムツで受け、介護者が様子を見ながらオムツ交換することにより清潔さを保つようにしていた。しかしながら、被介護者の排尿や排便のタイミングは不定期であるため、介護者は24時間体制に近い感覚で見守る必要があり、その肉体的、精神的疲労は多大となり、周知の通りの社会的な問題となっていた。このような問題の軽減を図るべく、排泄物の処理を自動的に行う介護用排泄物処理装置が種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された排泄物処理装置は、寝ている被介護者の股間にあてがわれるオムツカップと、オムツカップ内に洗浄水を供給して洗浄する洗浄手段と、オムツカップ内の排泄物を吸引する吸引手段と、吸引された排泄物が貯留される汚水タンクとを備えている。オムツカップの内部にはセンサが設けられており、センサによって排尿又は排便が検知されると、オムツカップ内に洗浄水が自動的に供給されて排泄物及びおしりの洗浄がなされる。排泄物は洗浄水と共にオムツカップから吸引手段により吸引され、汚水タンクに溜められるようになっている。
【0004】
汚水タンクの下流には浄化処理ユニットが配置されており、吸引後排泄物を分離された水分含有空気は浄化処理ユニットで浄化された後、その一部がオムツカップ内に送られ、洗浄後の被介護者のおしり等の乾燥用空気として再利用され、一部が除菌フィルを通して除菌及び殺菌をして排出ホースからこの排泄物処理装置の外部(室内)へ排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された排泄物処理装置を含む従来の介護用排泄物処理装置は、浄化処理ユニットで浄化した空気を室内に排気するように構成されている。しかしながら、浄化処理ユニットによる浄化処理は、消臭フィルタや除菌フィルタを通過させるのみであるため、除菌フィルの性能、寿命等によっては、排気される空気に含まれる菌を確実に抑制できるとは言えず、室内空間が菌で汚染される懸念を否めなかった。
【0007】
従って、本発明は従来技術の上述した問題点を解消するものであり、その目的は、排泄物処理後に排気される空気に含まれる菌を確実に殺菌することができ、使用環境のクリーン化に寄与できる介護用排泄物処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、介護用排泄物処理装置は、被介護者の股間に配置され、排泄物を受容するための排泄物受容器と、排泄物受容器から排泄物を洗浄水と共に吸引して汚物タンクに貯留させる吸引手段と、吸引手段から排出される吸引空気の少なくとも一部を通過させて高温殺菌する殺菌手段とを備えている。殺菌手段は、断熱材で形成された筒状の筐体と、筐体内に配置され、電流を流すことにより発熱するステンレス製のストリップ状発熱体とを備えている。
【0009】
吸引手段から排出される吸引空気の少なくとも一部を通過させて高温殺菌することにより、室内空間に排出されるおそれのある菌を確実に除菌でき、空気を清潔に保つことができる。特に、ステンレス製のストリップ状発熱体に電流を流して発熱させているため、低電力による高温殺菌を効率的に実現することができ、排気に含まれる菌を確実に殺菌することができる。
【0010】
ストリップ状発熱体が筐体の軸方向と直交する面内で繰り返しの折り曲げ構造を有していることが好ましい。これにより、殺菌手段がコンパクトになると共に、通気抵抗を極力少なく、吸引空気との接触面積が大きくなり、効率的に加熱し殺菌することができる。
【0011】
ストリップ状発熱体の繰り返しの折り返し構造が、筐体の軸方向に沿って複数配置されていることが好ましい。これにより、通過する吸引空気を確実に加熱し殺菌することができる。
【0012】
殺菌手段は、通過する吸引空気を120〜160℃まで加熱するように構成されていることが好ましい。これにより、通過する吸引空気を短時間で確実に殺菌することができる。
【0013】
殺菌手段の下流側に配置され、殺菌手段から排出された空気を冷却する冷却手段をさらに備えていることが好ましい。これにより、室内での排気安全性を高めることができる。また、排気による室温の温度上昇、特に夏場の不快感を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、室内空間に排出されるおそれのある菌を確実に除菌でき、空気を清潔に保つことができる。特に、ステンレス製のストリップ状発熱体に電流を流して発熱させているため、低電力による高温殺菌を効率的に実現することができ、排気に含まれる菌を確実に殺菌することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る介護用排泄物処理装置の実施形態を、図を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態における介護用排泄物処理装置100の構成を示しており、図中の破線は電気的な制御関係を示している。
図2はこの介護用排泄物処理装置100の電気制御系を示しており、
図3は殺菌手段50の構成を示しており、
図4は発熱体52の一部の構成を示しており、
図5は介護用排泄物処理装置100の洗浄及び乾燥工程のフローを示している。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る介護用排泄物処理装置100は、被介護者(介護対象者)の股間にあてがわれて配置され、尿や便等の排泄物を受容するための排泄物収容カップ10(本発明の排泄物受容器に対応する)と、排泄物収容カップ10内に洗浄液(例えば、洗浄水)を供給して洗浄する洗浄手段20と、排泄物収容カップ10内の排泄物及び洗浄液を吸引するバキュームポンプ30(本発明の吸引手段に対応する)と、吸引された排泄物及び洗浄液が貯留される汚物タンク40と、バキュームポンプ30から排出される吸引空気の少なくとも一部を通過させて高温殺菌する殺菌手段50と、殺菌手段50の下流側に配置され、殺菌手段50から出た空気を冷却する冷却手段60と、システムに配置された各種センサからの検出信号に基づいて、洗浄、吸引及び殺菌等の処理を行うように制御する制御部70とを備えている。
【0019】
この介護用排泄物処理装置100において、排泄物収容カップ10を除く他の要素は、移動操作用の持ち手を有するボックス形状の装置筐体(図示せず)内に集約的に収容されている。排泄物収容カップ10と装置筐体とは、フレキシブル性を有するホースや配線等で接続されている。
【0020】
排泄物収容カップ10は、カップ本体11と、カップ本体11に一体的に形成された汚物吸引口12と、給水口13と、送風口14と、電気配線口15とを備えている。また、カップ本体11の内部底面に排泄物検知センサ16が配置されている。排泄物検知センサ16として、本実施形態では、静電容量近接センサが用いられている。排泄物が排出されると、静電容量が変化し、静電容量近接センサによって排尿、排便がなされたことが検知される。排泄物検知センサ16により排泄物が検出された場合、検出信号を制御部70に送信し、洗浄、吸引及び殺菌等の処理が開始される。
【0021】
洗浄手段20は、水タンク21と、送水ポンプ22と、流量計23と、分岐継手24と、一方の分岐路に配置され高温水を作成するヒータ25と、この分岐路からの高温水と他方の分岐路からの非加熱の水とを合流させて温度調節(適温化)した温水を作成するためのミキシングバルブ26と、この温水の流路を開閉する電磁弁27とを備えている。
【0022】
水タンク21の底部近傍にはレベルセンサである残液センサS21が設けられており、残液センサS21によって水タンク20内の水が所定残量以下であることが検知された場合には、制御部70は排泄物処理動作を実行せず、図示しない液晶パネル等の表示手段やアラーム等により、オペレータ(介護者)に水タンク20内への水の補給が必要であることを知らせるように構成されている。残液センサS21は、少なくとも1回の洗浄動作が可能な水残量を検知するように構成されている。
【0023】
ヒータ25は、本実施形態では、金属管の外面にヒータを巻き付けた瞬間加熱方式を採用している。ヒータとして、例えば、マイクロチュービングヒータを用いても良い。ヒータ25の温度を電気的に制御して目標温度(約40℃)の温水を得るようにした場合、応答遅れにより迅速に対応できない。即ち、適温化された洗浄水供給の立ち上がり(装置の立ち上がり)が遅くなる。これを解決するために、本実施形態の介護用排泄物処理装置100では、瞬間加熱により得られた高温水と非加熱の定温水とを物理的に合流させて温水化する構造を採用し、所望の温水を迅速に得ると共に、装置立ち上がり時間を短くするように構成している。
【0024】
高温水と非加熱の低温水との合流後の温度は、ヒータ25による加熱温度と使用時の環境温度との関係から実験的に把握することができる。あらかじめヒータ25による加熱温度、環境温度及びこれに対応した水温度との関係に基づいて制御テーブルを作成し、この制御テーブルに基づいてヒータ25の温度を制御すれば、容易に目標温度又はそれに近い温度の洗浄水を得ることができる。
【0025】
瞬間温度上昇後は配管に予熱が残るため、所定時間経過したらヒータ25をオフとし、その後は予熱を利用して温水を継続的に得て排泄物収容カップ10へ供給するように構成されている。
【0026】
ヒータ25の部位には温度センサS25が設けられており、制御部70は温度センサS25からの検知情報に基づいてヒータ25への電力供給を制御する。この制御は、ミキシングバルブ26による合流後の温水の温度が例えば被介護者に違和感を与えにくい40℃になるように行われる。また、ヒータ25の近傍には安全回路として動作するバイメタルサーモ28が設けられており、所定の温度(閾値)を超えた場合には強制的にヒータ28への通電を遮断するように構成されている。
【0027】
電磁弁27の近傍にも温度センサS27が設けられており、合流後の温水の温度実測値が上述した目標温度を超えた場合には、電磁弁27を閉じ、高温水が排泄物収容カップ10に誤って供給されないように構成されている。
【0028】
適温に調節された温水は、合流継手29において後述するバキュームポンプ30からの排気空気の一部(EA1)と混合され、この混合状態で給水口13を介して排泄物収容カップ10内に噴射・供給される。
【0029】
バキュームポンプ30は、汚物タンク40内から気体を吸引するように構成されている。これにより、汚物タンク40内が低圧となるのでこの汚物タンク40に連結されている排泄物収容カップ10から排泄物及び洗浄水が吸引されて汚物タンク40内に収容され、さらに汚物タンク40内の気体が吸引される。
【0030】
バキュームポンプ30は、前述の吸引動作とは別系統で外気を取り込んでモータの発熱を冷却し、排気するように構成されている。この排気空気の一部(EA1)は、電磁弁31を介して合流継手29に供給され、前述したように洗浄手段20からの温水と合流するように構成されている。また、この排気空気の一部(EA1)は、排泄物収容カップ10への温水供給路内における残留水の排水機能を有する。即ち、排泄物処理動作後、ミキシングバルブ26から排泄物収容カップ10までの間の流路には温水が残って冷却された状態となっている。この残留水は次の装置使用時には温水化されないまま排泄物収容カップ10内に噴射され、被介護者に違和感を与える可能性がある。このようなことを回避するために、バキュームポンプ30からの排気空気の一部(EA1)を利用して残留水を押出して存在しないようにしている。さらに、この排気空気の他の一部(EA2)は、冷却手段60を通して冷却された後、この介護用排泄物処理装置の外部(室内)へ排気される。
【0031】
バキュームポンプ30にはモータの発熱による温度を検知する温度センサS30が設けられている。制御部70は温度センサS30による検知温度が閾値を超えた場合に、モータ異常と判断してバキュームポンプ30の駆動を停止する。
【0032】
汚物タンク40から吸引されバキュームポンプ30を排出された吸引空気は、バランス継手32において、殺菌手段50と排泄物収容カップ10とに向けて分離される。排泄物収容カップ10へ向かう吸引空気は、送風口14から排泄物収容カップ10に流入し、洗浄後の被介護者のおしり等を乾燥させる乾燥用空気として再利用される。殺菌手段50に向かう吸引空気は、後述するように、この殺菌手段50で高温殺菌処理され、冷却手段60を通して冷却された後、この介護用排泄物処理装置の外部(室内)へ排気される。
【0033】
汚物タンク40は、バキュームポンプ30の動作により排泄物収容カップ10から排泄物及び汚水を吸引して収容する。この排泄物収容カップ10から吸引された排泄物と洗浄水とが混ざった液状流動体は、汚物タンク40内で重力分離され、液状体(汚水)と気体(吸引空気)とに分離される。汚物タンク40の上部には、一端が排泄物収容カップ10の汚物吸引口11に連結された吸引ホースの他端を連結するための吸入口41aが斜め上方に突出した状態で形成されている。汚物タンク40の上面近傍には、レベルセンサである残液センサS40が設けられており、残液センサS40によって汚物タンク40内の排泄物及び汚水が所定量を超えたことが検知された場合には、制御部70は排泄物処理動作を実行せず、図示しない液晶パネル等の表示手段やアラーム等により、オペレータに汚物タンク40内の液状体(汚水)の廃棄処理が必要であることを知らせるように構成されている。
【0034】
汚物タンク40の上面には、最終的にバキュームポンプ30に接続される図示しない連結管をこの汚物タンク40に接続するための連結機構である吸引ガイド機構42が汚物タンク40の筐体に対して回動自在に装着されている。即ち、吸引ガイド機構42の開口端42aが汚物タンク40の上面に設けられた排出口41bに連結されることによって吸引ガイド機構42が汚物タンク40に装着され、この状態でバキュームポンプ30による汚物タンク40内の気体(吸引空気)の吸引がなされる。吸引ガイド機構42の近傍には、吸引ガイド機構42の連結管との隙間を検知する隙間センサS42が設けられている。制御部70は、隙間センサS42からの検知情報に基づいて吸引ガイド機構42が正常に装着されているか否かを判断し、装着されていない場合にはバキュームポンプ30を作動させない(即ち、排泄物処理動作を実行しない)ように構成されており、さらに、警告するように構成されている。なお、吸引ガイド機構42には、汚物タンク40からの液状体(汚水)の跳ね返り防止機能が設けられている。
【0035】
汚物タンク40とバキュームポンプ30との間には、バキュームポンプ30によって吸引される気体(吸引空気)の水分及び/又は油分を除去するフィルタ手段が設けられている。このフィルタ手段は、水滴等の大量除去を目的としたストレーナ43と、湿気除去フィルタ44とから主に構成されている。ストレーナ43により、気体(吸引空気)内の水分や油分がほとんど除去され、湿気除去フィルタ44によってさらに細かな水分が除去される。本実施形態における湿気除去フィルタ44は、排気方向上流から下流に向かって順に、不織布からなる第1のフィルタ44aと、スポンジからなる第2のフィルタ44bと、活性炭からなる第3のフィルタ44cとからなる3層構造を有している。なお、フィルタ手段の構成は上述した構造に限定されるものではない。
【0036】
バキュームポンプ30は、電動モータによって駆動されるロータリーポンプを有しており、汚物タンク40の上部から吸引された気体(吸引空気)は、上述のフィルタ手段及びこのバキュームポンプ30を介してバランス継手32に印加される。前述したように、バランス継手32に流入した吸引空気は、殺菌手段50と排泄物収容カップ10とに向けて分離される。
【0037】
殺菌手段50は、
図3に示すように、例えばマイカ等の断熱材を用いて形成された角筒状の筐体51と、この筐体51内に配置され、電流を流すと発熱するステンレス製のストリップ状の発熱体(ヒータ)52とから主として構成されている。筐体51は吸引空気が流入する流路を構成している。発熱体52は、通電後1〜2秒で、設定温度400℃まで到達できる。これにより、バキュームポンプ30から送り込まれる吸引空気は、120〜160℃まで加熱されて高温殺菌される。また、筐体51の外側を金属製の外装パネルで覆うようにしても良い。
【0038】
発熱体52は、複数の発熱体ユニット52aを電気的に直列に接続して構成されており、その直列接続された両端が商用の交流電源(100V)に接続されるように構成されている。各発熱体ユニット52aは、
図4に示すように、ストリップ状のステンレス板を筐体51の軸方向と直交する面内で山折りと谷折りとの繰り返す波形の繰り返し折り曲げ構造を有するように形成されている。このような発熱体ユニット52aは、筐体51の軸方向に沿って複数配置されており、各発熱体ユニット52aの両端部は、図示しない導電部材を介して順次電気的に接続されて直列となった状態で筐体51内の支持板に固定されている。また、殺菌手段50の温度制御は、温度センサS50の検知情報に基づいて行われる。殺菌手段50による殺菌温度は、菌が確実に死滅する温度に設定される。例えば大腸菌は「中心温度75℃で1分」の条件で確実に死滅することが知られているため、殺菌手段50における排気速度を考慮して、通過する吸引空気の温度が例えば120〜160℃となるように設定される。このように、殺菌手段50に流入した吸引空気は、筐体51内の高温領域を通過することで、瞬間的に高温殺菌される。発熱体ユニット52aとして、ストリップ状のステンレス板を用いているため、ニクロム線等を用いる場合に比して発熱体の電気抵抗をより小さく設定でき、その結果、より大きな発熱量を得ることが可能となる。表1は長さ600mm、800mm、1000mm、1500mm及び2000mmの発熱体52に対して100V電圧を印加する際に電流値と電力値との関係(実測値)を示している。
【0040】
なお、殺菌手段50は、洗浄手段20のヒータ25がオフとなるタイミングでオンとなるように制御される。換言すれば、殺菌手段50がオンとなっている間はヒータ25がオフに維持される。これにより、洗浄手段20のヒータ25と殺菌手段50の発熱体52とが同時に駆動されて電力消費が大きくなることを抑止できると共に、殺菌手段50を殺菌処理が必要なときのみ駆動させて電力消費量を削減させることができる。
【0041】
冷却手段60は、殺菌手段50の下流側に配置され、殺菌手段50から排出された空気を冷却するものである。この冷却手段60は、冷却すべき空気を、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い材料で形成された冷却パイプ内を通過させるように構成されている。また、バキュームポンプ30から排気される熱空気(EA2)も冷却手段60を通して冷却されるようになっている。
【0042】
冷却手段60の下流側には、最終的な排気温度を検知する温度センサS60が設けられている。制御部70は温度センサS60による検知温度を監視し、所定温度を超えた場合には、例えば図示しない液晶パネル等の表示手段やアラーム等により警告をすると共に、排泄物処理動作を停止する制御を行う。なお、温度が低い冬場等の条件下においては、冷却手段60を設けずに、殺菌手段50から直接排気してもよい。
【0043】
制御部70は、CPUと、ROMと、RAMと、I/Oインターフェースとを備えたマイクロコンピュータである。CPUは、ROMに格納された制御プログラムに従って、RAMをワークエリアとして使用しながら、介護用排泄物処理装置100に配置された各種センサからの検出信号に基づいて、介護用排泄物処理装置100の全体の動作を制御するように構成されている。具体的には、制御部70は、残液センサS2及びS40、温度センサS30、S50、S60、S25及びS27、排出物検知センサS10、並びに隙間センサS42からの検出信号に基づいて、総帥ポンプ22、ヒータ25、電磁弁27及び31、バキュームポンプ30、並びに殺菌手段50の動作を制御するように構成されている。
【0044】
次に、本実施形態における介護用排泄物処理装置100の動作を説明する。
図5は洗浄工程及び乾燥工程の処理フローを示している。
【0045】
被介護者の股間にあてがわれて配置された排泄物収容カップ10に尿や便等の排泄物が排泄され、これが排泄物収容カップ10の内部底面に設けられた排泄物検知センサ16によって検出されると、検出信号が排泄物検知センサ16から制御部70に送信される。
図5に示すように、排泄物検知センサ16による検知が3秒(3s)間継続すると、制御部70は洗浄工程を開始し、送水ポンプ22を作動させると共にヒータ25に通電し、これによって温水が生成され、給水口13から供給された温水が排泄物収容カップ10内で噴射されて、洗浄が行われる。制御部70が作動指示してから温水が排泄物収容カップ10に届くまで約2秒(2s)間をかかる。この洗浄工程において、排泄物収容カップ10への温水の送水は、間断式で行う。例えば、5秒(5s)〜15秒(15s)間の送水を行い、15秒(15s)又は20秒(20s)間の送水停止を行うように設定される。なお、ヒータ25への通電時間は、水タンク21の水温によって自動的に調整するように構成されている。例えば、30秒(30s)に設定する。
【0046】
洗浄工程を開始すると、制御部70は、バキュームポンプ30を作動させて吸引動作を開始させる。これにより、送風口14から排泄物収容カップ10内に気流が供給され、排泄物収容カップ10の排泄物と洗浄水とが混ざった液状流動体は、バキュームポンプ30による吸引力で汚物吸引口12から吸引され、汚物タンク40内に収容される。本実施形態では、洗浄工程は約147秒(147s)の間行われ、その後、被介護者のおしり等を乾燥させる乾燥工程が約220秒(220s)の間行われる。バキュームポンプ30は洗浄工程及び乾燥工程の間、動作する。
【0047】
バキュームポンプ30が動作することにより、汚物タンク40内で重力分離されて得られた気体(吸引空気)がフィルタ手段及びバキュームポンプ30を介してバランス継手32に送られ、殺菌手段50と排泄物収容カップ10とに向かう2つ気流に分離される。
【0048】
制御部70は、バキュームポンプ30を作動させて例えば約30秒経過した後、殺菌手段50を動作させ、発熱体(ヒータ)52を所定温度にし、殺菌手段50を通過する吸引空気を加熱し高温殺菌する。高温殺菌された空気は冷却手段60を通過し、例えば50℃以下に冷却された後、排気される。一方、排泄物収容カップ10への気流は、被介護者のおしり等を乾燥させる乾燥用空気として再利用される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の介護用排泄物処理装置100は、排泄物収容カップ10と、排泄物収容カップ10内に洗浄液を供給して洗浄する洗浄手段20と、排泄物収容カップ10内の排泄物及び洗浄液を吸引するバキュームポンプ30と、吸引された排泄物及び洗浄液が貯留される汚物タンク40と、バキュームポンプ30から排出される吸引空気の一部を通過させて高温殺菌する殺菌手段50と、殺菌手段50の下流側に配置され、殺菌手段50から出た空気を冷却する冷却手段60と、制御部70とを備えている。
【0050】
さらに、本実施形態においては、殺菌手段50が、バキュームポンプ30から排出される吸引空気の一部を通過させ高温殺菌した後、外部(室内)に排出するように構成されているため、室内空間が菌で汚染されることがなく、空気を清潔に保つことができる。また、殺菌手段50が、断熱材で形成された角筒状の筐体51と、筐体51内に配置され、電流を流すと発熱するステンレス製のストリップ状発熱体(ヒータ)52とから構成されているため、発熱体の耐食性を向上させ、低電力による高温殺菌を効率的に実現することができ、排気に含まれる菌を確実に殺菌することができる。
【0051】
さらにまた、各発熱体ユニット52aが、ストリップ状のステンレス板を筐体51の軸方向と直交する面内で山折りと谷折りとの繰り返す波形の繰り返し折り曲げ構造を有するように形成されているため、殺菌手段がコンパクトになると共に、通気抵抗を極力少なく、吸引空気との接触面積が大きくなり、効率的に加熱し殺菌することができる。
【0052】
さらに、発熱体ユニット52aが、筐体51の軸方向に沿って複数配置されているため、通過する吸引空気を確実に加熱し殺菌することができる。また、殺菌手段50が、短時間(例えば、1〜2秒)で通過する吸引空気を120〜160℃まで加熱するように構成されているため、通過する吸引空気を短時間で確実に殺菌することができる。
【0053】
さらに、殺菌手段50の下流側に配置され、殺菌手段50から排出された空気を冷却する冷却手段60をさらに備えているため、室内での排気安全性を高めることができる。また、排気による室温の温度上昇、特に夏場の不快感を低減できる。
【0054】
なお、上述した実施形態の介護用排泄物処理装置100においては、殺菌手段50の各発熱体ユニット52aが、ストリップ状のステンレス板を筐体51の軸方向と直交する面内で山折りと谷折りとの繰り返す波形の繰り返し折り曲げ構造を有するように形成されており、この発熱体ユニット52aが、筐体51の軸方向に沿って複数配置されている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ストリップ状のステンレス板を各層が所定間隔を有する多層筒状又は渦巻状に形成しても良い。
【0055】
また、上述した実施形態の介護用排泄物処理装置100は、殺菌手段50の下流側に、殺菌手段50から出た空気を冷却する冷却手段60が配置されている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。場合によって、冷却手段60を設けなくても良い。
【0056】
さらに、上述した実施形態の介護用排泄物処理装置100は、吸引手段30から排出される吸引空気の一部を殺菌手段50に通過させ高温殺菌する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。吸引手段30から排出される吸引空気の全部を殺菌手段50に通過させて高温殺菌し、冷却手段60で冷却した後に、その一部を乾燥用空気として再利用し、残りの一部を外部(室内)に排出するように構成しても良い。
【0057】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。