(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内側に複数のティースを突設する筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に固定される電気絶縁部材と、前記複数のティースに前記電気絶縁部材を介してそれぞれ巻回されるコイルと、を有する固定子と、
前記固定子の内側に配置され、回転子鉄心と、前記回転子鉄心に固定される回転軸と、前記回転子鉄心に固定される永久磁石と、を有する回転子と、
前記電気絶縁部材の外周部に保持され、前記コイルから引き出されるワイヤと、前記コイルに給電するための電源線とを電気的に接続した状態で並べて保持する端子と、
を備えたモータを用いる電動工具であって、
前記端子は、前記回転軸の軸方向に延びて、前記軸方向で前記固定子鉄心と重ならない位置で前記ワイヤと前記電源線とを保持し、
前記端子に保持された前記ワイヤは、前記端子に保持された前記電源線よりも、前記固定子鉄心から離れて配置されていることを特徴とする電動工具。
前記端子は、帯状の金属板を二つ折りにして、当該二つ折り部分の内側に前記ワイヤと前記電源線とを挟持した状態でヒュージングするヒュージング端子であることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
前記ヒュージング端子は、前記固定子鉄心の径方向外側へ向けて折り返される板部を備え、前記板部により前記ワイヤと前記電源線とを挟持していることを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具の一例を示す震動ドライバドリルの側面図、
図2は背面図、
図3は縦断面図、
図4は本体部分の拡大断面図である。震動ドライバドリル1は、前後方向に延びる本体2からハンドル3を下方へ突出させてなり、本体2の前端には、先端でビットを把持可能なドリルチャック4が設けられる一方、ハンドル3の下端には、電源となるバッテリーパック5が装着されている。ここでのハウジング6は、本体2の後半部分とハンドル3とが連設される左右の半割ハウジング6a,6bを、左右方向のネジ7,7・・によって組み付けて形成される。
【0010】
本体2内において、後部には、筒状の固定子9と固定子9の内部に配置される回転子10とからなり、回転子10に回転軸11を備えたインナロータ型のブラシレスモータ8が収容されている。ブラシレスモータ8の前方には、ハウジング6から前方へ突出するスピンドル13を備えたギヤアッセンブリ12が組み付けられて、回転軸11の回転を減速してスピンドル13に伝達可能となっている。ドリルチャック4はスピンドル13の前端に取り付けられている。本体2の下方でハンドル3の上部には、スイッチ14が収容されて、トリガ15を前方へ突出させている。スイッチ14の上方にはモータの正逆切替ボタン16が設けられて、その前方には、ドリルチャック4の前方を照射するLED17が斜め上向きに収容されている。
【0011】
ハンドル3の下端には、バッテリーパック5が前方からスライド装着される装着部18が形成され、装着部18には、バッテリーパック5が電気的に接続される端子19aを備えた端子台19と、ブラシレスモータ8を制御するマイコンや6つのスイッチング素子等を備えてスイッチ14やブラシレスモータ8の固定子9と電気的に接続されるコントローラ20とが収容されている。21はネジボスを利用して装着部18の後面に設けられたストラップ係止部、22,22は、吊り下げ用のフック取付部である。バッテリーパック5において、23は充電池(ここでは3本の充電池(セル)を備えた10.8V)、24は端子、25は抜け止め用のフックで、前面のボタン26によってフック25の解除操作が可能となっている。
【0012】
ギヤアッセンブリ12は、ブラシレスモータ8の前方に位置する筒状の第1ギヤケース27と、その第1ギヤケース27の前方に組み付けられ、大径部29と小径部30との二段筒形状を有する第2ギヤケース28とから形成されている。第1ギヤケース27は、回転軸11を軸受31を介して支持してピニオン32が取り付けられる回転軸11の先端をギヤアッセンブリ12内に突出させている。
ギヤアッセンブリ12の内部には、インターナルギヤ34A〜34C内で公転する複数の遊星ギヤ36A〜36Cを支持するキャリア35A〜35Cを、軸方向に三段配置してなる遊星歯車減速機構33が収容されて、回転軸11のピニオン32が一段目の遊星ギヤ36Aに噛合している。このうち二段目のインターナルギヤ34Bは、回転可能且つ軸方向へ前後移動可能となっており、前進位置では、大径部29内に保持された結合リング37と噛合可能となっている。
【0013】
このインターナルギヤ34Bには、連結部材38を介して、ハウジング6に前後へスライド可能に設けられた速度切替レバー39が連結されている。この速度切替レバー39を後方へスライドさせると、連結部材38を介してインターナルギヤ34Bが後退し、二段目の遊星ギヤ36Bとの噛合を保ったまま一段目のキャリア35Aの外周に噛合する。よって、二段目の減速がキャンセルされる高速モードとなる。逆に速度切替レバー39を前方へスライドさせると、連結部材38を介してインターナルギヤ34Bがキャリア35Aから離れて前進し、二段目の遊星ギヤ35Bとの噛合を保ったまま、結合リング37と噛合して回転規制される。よって、二段目の減速が機能する低速モードとなる。
【0014】
そして、ここでは第2ギヤケース28の小径部30の内側に、スピンドル13に軸方向への震動を付与する震動機構が設けられ、小径部30の外側に、スピンドル13への所定の負荷でスピンドル13へのトルク伝達を遮断するクラッチ機構が設けられて、後述する切替操作により、スピンドル13が回転しながら震動する震動ドリルモード、スピンドル13が回転のみ行うドリルモード、所定の負荷でスピンドル13へのトルク伝達を遮断するクラッチモード(ドライバモード)がそれぞれ選択可能となっている。以下、各機構について説明する。
【0015】
震動機構において、スピンドル13は、小径部30内で前後の軸受40,41によって軸支されると共に、その後端が三段目のキャリア35Cにスプライン結合されている。スピンドル13における軸受40,41間には、前方からリング状の第1カム42、第2カム43が夫々同軸で外装されている。第1カム42は、後面にカム歯を有してスピンドル13にスプライン結合されている。第2カム43は、前面にカム歯を形成してスピンドル13に遊挿されて、小径部30内で回転不能に配置されている。
さらに、第1カム42の前方で軸受40との間には、リング状の受け板44によって複数のスチールボール45,45・・が保持されて、スチールボール45と第1カム42との間には、カム板46が設けられている。このカム板46から後方へ延びるアーム47が、ハウジング6の前方で大径部29へ回転可能に組み付けられるモード切替リング48に、連結板49を介して連結されて、モード切替リング48の回転操作に伴う連結板49の回転により、カム板46を介して第1カム42を後方へスライドさせて第2カム43と噛合させるようになっている。
【0016】
クラッチ機構において、モード切替リング48の前方で小径部30には、クラッチリング50が回転可能に外装されている。クラッチリング50の内側には、小径部30の外周に形成したネジ部に螺合するネジ送り板51が、クラッチリング50と一体回転可能且つ軸方向へ移動可能に設けられて、ネジ送り板51の後方に、小径部30に回転規制された状態で軸方向に前後移動可能な前受け板52が設けられている。この前受け板52の後方には、大径部29と小径部30との間の閉塞部53の前面に当接する押圧板54と、その前方の後受け板55とが設けられて、前受け板52と後受け板55との間に、複数のコイルバネ56,56・・が周方向へ等間隔をおいて配置されている。
【0017】
また、押圧板54の後方で閉塞部53には、複数のスチールボール57,57が周方向へ等間隔に保持されて、回転可能に設けられた三段目のインターナルギヤ34Cの前面に当接し、インターナルギヤ34Cの前面に突設された図示しないクラッチカムと周方向で係合可能となっている。このスチールボール57及び押圧板54、後受け板55を介してコイルバネ56,56の付勢力がインターナルギヤ34Cへ伝わることで、インターナルギヤ34Cは回転規制される。クラッチリング50を回転操作してネジ送り板51及び前受け板52を軸方向にネジ送りしてコイルバネ56の軸長を変化させることで、インターナルギヤ34Cへの押圧力が変更可能となる。
【0018】
次に、各動作モードを説明する。まずカム板46が第1カム42を後方へスライドさせない位相となるモード切替リング48の第一の回転位置では、第1カム42は第2カム43より前方にあって第2カム43とは噛合しない。よって、クラッチリング50の回転操作によってインターナルギヤ34Cへの押圧力が変更可能なクラッチモードとなる。
このクラッチモードでトリガ15を押し込み操作してブラシレスモータ8を駆動させると、回転軸11が回転し、遊星歯車減速機構33を介してスピンドル13が回転し、ドリルチャック4に装着したドライバビットでネジ締め等を行うことができる。ネジ締めが進んでスピンドル13への負荷が、インターナルギヤ34Cを固定するコイルバネ56の押圧力を超えると、インターナルギヤ34Cのクラッチカムがスチールボール57及び押圧板54、後受け板55を前方へ押し出してインターナルギヤ34Cを空転させ、ネジ締めを終了させる(クラッチ作動)。
【0019】
次に、クラッチモードからモード切替リング48を所定角度回転させた第二の回転位置では、モード切替リング48に設けた規制リング58が後受け板55に係合して後受け板55の前進を規制する。よって、コイルバネ56の押圧力の大小にかかわらず押圧板54の前方への移動が常に規制されるドリルモードとなる。
このドリルモードでスピンドル13を回転させると、スピンドル13への負荷にかかわらず、スチールボール57がインターナルギヤ34Cのクラッチカムを乗り越えることがないため、インターナルギヤ34Cの固定状態は変わらず、スピンドル13の回転は継続する。なお、このときも第1カム42は後方へスライドしないため、スピンドル13に震動は発生しない。
【0020】
そして、ドリルモードからモード切替リング48をさらに所定角度回転させた第三の回転位置では、カム板46は第1カム42を後方へスライドさせる。一方、規制リング58と後受け板55との係合は変わらない。よって、第1カム42と第2カム43とが噛合する震動モードとなる。
この震動モードでスピンドル13を回転させた場合、スピンドル13と一体回転する第1カム42が、小径部30内で固定される第2カム43と噛合するため、スピンドル13に震動が発生する。なお、規制リング58による押圧板54の固定状態は変わらないため、スピンドル13への負荷にかかわらずスピンドル13の回転は継続することになる。
【0021】
そして、三相のブラシレスモータ8の固定子9は、半割ハウジング6a,6bの内面に形成されたリブ59,59によって前後方向を軸として保持されている。この固定子9は、
図5〜
図8に示すように、複数の鋼板を積層してなる固定子鉄心60の前後の端面に、電気絶縁部材であるリング状の前インシュレータ61及び後インシュレータ62を組み付けて、固定子鉄心60の内側に突設した6つのティース63,63・・に、それぞれコイル64,64・・を巻回したもので、前インシュレータ61の前面には、回転子10に設けた永久磁石68の位置を検出する回転検出素子66,66・・を搭載したセンサ回路基板65がネジ止めされている。
なお、センサ回路基板65上には、温度検出素子を配置してその温度検出信号をコントローラ20に入力し、当該信号を監視するコントローラ20が所定温度でブラシレスモータ8の制御を停止させるようにしてもよい。これによって温度上昇が起きやすい10.8Vの震動ドライバドリル1のブラシレスモータ8の温度上昇を効果的に抑制可能となる。
【0022】
回転子10は、回転軸11の周囲に配置され、複数の鋼板を積層してなる略円筒状の回転子鉄心67と、回転子鉄心67の内部に固定される4つの板状の永久磁石(焼結磁石)68,68・・とを有する。この永久磁石68は、回転子鉄心67の横断面で回転軸11を中心とした正方形の四辺にそれぞれ位置するように形成された貫通孔に挿入されて接着剤及び/又は圧入によって固定される。
回転軸11の後端は、ハウジング6の後部に保持された軸受69に軸支され、軸受69の前方部位には、遠心ファン70が取り付けられている。71,71・・は、遠心ファン70の位置でハウジング6の左右の側面に形成された排気口で、固定子9の外側に当たるハウジング6の側面には吸気口72,72が設けられている(
図1)。
【0023】
さらに、回転子鉄心67と遠心ファン70との間には、後ストッパ73が設けられている。この後ストッパ73は、真鍮製で回転子鉄心67と同じ外径を有する円板で、回転子鉄心67と同軸で回転軸11に固着されている。一方、回転子鉄心67と前側の軸受31との間でセンサ回路基板65の内側には、前ストッパ74が設けられている。この前ストッパ74は、真鍮製で回転子鉄心67よりも小さい外径を有する円板で、回転子鉄心67と同軸で且つ回転子鉄心67との間に隙間を空けた状態で回転軸11に固着されている。但し、前ストッパ74の外径は、4つの永久磁石68,68・・で囲まれる内側円よりも大径となって、各永久磁石68の前方に前ストッパ74が位置するようになっている。
【0024】
ここで、固定子9の構造について詳述する。但し、
図5〜
図14に示す単独の固定子9においては、前インシュレータ61側を上方、後インシュレータ62側を下方として説明する。
固定子鉄心60の外周には、軸方向の溝75,75・・が、周方向に等間隔で6つ形成されて、各溝75の端部に、前インシュレータ61と後インシュレータ62とから軸方向へ一体形成された嵌合片76,76・・が嵌合(圧入)している。この嵌合片76の圧入により、前後インシュレータ61,62の歪みに抵抗して固定子鉄心60と前後インシュレータ61,62とを強固に一体化することができる。固定子鉄心60の一つの溝75の両側には、溝75に沿った突条77,77が形成されて、ハウジング6の内面に設けた図示しない係合溝との係合によって固定子9の回り止め及び前後への位置決めが可能となっている。また、前インシュレータ61の側面において突条77,77の延長上には、ハウジング6の内面に設けた図示しない突起が係止する係止凹部78,78が設けられて、固定子9の回り止め及び前後方向の位置決めが可能となっている。但し、突条77と係止凹部78とは両方でなく何れか一方のみを形成してもよい。また、固定子9の回り止めと前後の位置決めとの両方に作用させる場合に限らず、回り止めと前後の位置決めとの何れか一方のみとしてもよい。
【0025】
前インシュレータ61において、ティース63,63・・間に形成される6つのスロット79,79・・のうち、半周部分で隣接する3つのスロット79,79・・の外側には、一相分のコイル64,64のワイヤ101と各相の電源線80とをヒュージングするヒュージング端子81を保持するための保持部82,82・・が上向きに突設されている。この保持部82は、平面視がコ字状となる一対の突起83,83を、互いに対向する向きで前インシュレータ61の周方向に並べて、前インシュレータ61のリング状の上端面61aよりも上方へ突出する高さで突設してなり、3つの保持部82,82・・の間で各ティース63の外側には、電源線80を保持するための側面視L字状のフック84が突設されている。
【0026】
また、保持部82,82の間に位置する1つのティース63の外側と、そのティース63から周方向に一つおいて位置する2つのティース63,63の外側と(正三角形の頂点位置)には、センサ回路基板65をネジ止めするための3つのネジボス85,85・・が、保持部82よりも低く、且つ前インシュレータ61の上端面61aよりも上方へ突出する高さで突設されている。ネジボス85,85の間に位置するティース63,63の外側には、ネジボス85と同じ高さの受け面87を有し、その受け面87よりも上方へ突出するボス88A,88Bを設けた段付きボス86A,86Bが突設されている。この段付きボス86Aのボス88Aは、ネジボス85の同心円よりもやや小さい同心円上に配置されて、ボス88Bの方がボス88Aよりも小径となっている。
後インシュレータ62では、各スロット79の外側に、周方向の絶縁リブ89,89・・をそれぞれ立設している。
【0027】
センサ回路基板65は、中心に設けた回転軸11の貫通孔90に向けて湾曲する切欠部91を、周方向に等間隔で6つ形成することで、各切欠部91,91間に、放射方向に突出する固定部としての固定片92を、周方向に等間隔で6つ形成したもので、各切欠部91は、固定子鉄心60の内周を越えて、平面視で各スロット79と重なる位置まで湾曲している。また、固定片92の先端は、固定子鉄心60の外周を僅かに越えており、このうち隣接する2つの固定片92(以下、区別する際には92A,92Bと表記する。)は、他の4つの固定片92よりも長く形成されている。
【0028】
この6つの固定片92のうち、1つの長い固定片92Bを含む正三角形の頂点に位置する3つの固定片92,92・・には、ネジボス85に対応したネジ止め孔93がそれぞれ形成されている。このネジ止め孔93が形成される固定片92,92の間の固定片92には、段付きボス86Aのボス88Aに対応した位置決め孔94Aと、段付きボス86Bのボス88Bに対応した位置決め孔94Bとが形成されている。残りの1つの固定片92Aの上面には、3つの回転検出素子66の検出信号を出力する6本のリード線96,96・・の接続部95が設けられている。3つの回転検出素子66は、センサ回路基板65の下面で貫通孔90の周りに所定間隔をおいて配置されている。
【0029】
ヒュージング端子81は、帯状の金属板を二つ折りにして、一方の板部97Aの両側にL字状の羽根片98,98をそれぞれ形成し、他方の板部97Bの先端を外側へ折り返してなり、二つ折り部分を下にして羽根片98,98を保持部82の両突起83,83にそれぞれ上方から差し込むことで、板部97Bが外側に位置して上方へV字状に開いた姿勢で保持される。
図13に示すように、二つ折り部分の内側に電源線80が収まるカール部99が形成され、その上側で板部97Bに、コイル64のワイヤ101が挟持される折曲部100が形成される。こうして各ヒュージング端子81は、保持部82によって平面視で固定子9の半周側に集まって配置されることになる。
【0030】
ここでの6つのコイル64,64・・は、一本のワイヤ101を各ティース63へ順番に巻回して形成されて一相分のコイル64,64がそれぞれヒュージング端子81に結線されるが、対角に位置する一相分のコイル64,64間を繋ぐ渡り線102は、前インシュレータ61側でなく、後インシュレータ62側で配線されている。以下、コイルの巻き方法について説明するが、U,V,Wの三相を区別する必要がある場合は、各構成部の符号にU,V,Wの符号を付し、各相で対になるティース63やコイル64を区別する場合は、63U1,63U2、64U1,64U2等の数字をさらに付して説明を行う。
【0031】
図15は、巻き方法を示す模式図で、(A)が結線側(前インシュレータ61側)、(B)が反結線側(後インシュレータ62側)となっている。81U,81V,81Wはヒュージング端子で、丸内に+字を付した記号は紙面と直交する奥側へ巻かれるワイヤを、丸内に黒丸を付した記号は紙面と直交する手前側へ巻かれるワイヤをそれぞれ示す。また、結線側及び反結線側において、左回り方向を左、右回り方向を右として説明する。
まず、結線側において、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その左側に位置するティース63U1に右側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で実線矢印で示す渡り線102Uを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に右側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でワイヤ101をティース63U2の左側から引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0032】
次に、ヒュージング端子81Wの左側に隣接するティース63W1に右側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で点線で示す渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に右側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の左側に引き出して絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の左側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線される。
【0033】
次に、ヒュージング端子81Vの左側に隣接するティース63V1に右側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で一点鎖線で示す渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に右側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63V2の左側に引き出して絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63V1の左側に引き出して、左側に隣接するヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101も、後インシュレータ62側でティース63V1,63V2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線される。
最後に各ヒュージング端子81において電源線80とワイヤ101とをヒュージングすれば、各相のコイル64,64がデルタ結線された固定子9が得られる。
【0034】
こうして結線が完了した後、センサ回路基板65を、ネジ止め孔93が形成された固定片92をネジボス85に合わせて、位置決め孔94Aを段付きボス86Aのボス88Aに、位置決め孔94Bを段付きボス86Bのボス88Bにそれぞれ差し込ませて、ネジ103によって各固定片92をネジボス85に固定すると、センサ回路基板65は、ネジボス85の上面及び段付きボス86A,86Bの受け面87により、前インシュレータ61の上端面61aよりも上方位置で固定子9の軸線と直交状に支持される。このとき、フック84の先端も長い固定片92A,92Bの下面に当接して固定片92A,92Bを支持する。ここでは各相のコイル64,64間の渡り線102は反結線側で配線されるので、前インシュレータ61とセンサ回路基板65との間には、十分な隙間が形成される。また、センサ回路基板65の固定状態で、各保持部82及びヒュージング端子81はセンサ回路基板65の切欠部91を貫通してセンサ回路基板65よりも上方へ突出し、平面視で各ティース63,63間のスロット79は、センサ回路基板65の切欠部91内に露出している(
図7)。
ここでは電源線80がフック84と固定片92とで保持されているため、電源線80が移動しにくくなり、配線の際のガイドにもなる。また、回転検出素子66のリード線96が接続される固定片92Aは、フック84により支持されるため、リード線96が断線しにくくなる。さらに、ブラシレスモータ8の軸心からボス88Aの中心までの半径方向の距離は、当該軸心からネジ103の中心までの半径方向の距離よりも小さいため、センサ回路基板65の振動が小さくなる。
【0035】
この固定子9は、ヒュージング端子81,81・・が固定子9の下半分側に位置する位相でハウジング6内に組み込まれる。これにより、ヒュージング端子81に接続される各相の電源線80は、固定子9の左右の外側を通過することなく、最短距離でコントローラ20側へ配線される。よって,ハウジング6が径方向に大きくなることがなく、コンパクト化が維持できると共に、配線の長さも短くて済む。
【0036】
以上の如く構成された震動ドライバドリル1においては、トリガ15を押し込み操作してスイッチ14をONさせると、コントローラ20のマイコンが、センサ回路基板65の回転検出素子66から出力される回転子10の永久磁石68の位置を示す回転検出信号を得て回転子10の回転状態を取得し、取得した回転状態に応じて各スイッチング素子のON/OFFを制御し、固定子9の各相のコイル64,64に対し順番に電流を流すことで回転子10を回転させる。よって、回転軸11が回転して遊星歯車減速機構33を介してスピンドル13を回転させるため、ドリルチャック4に把持した先端工具により選択した動作モードでの使用が可能となる。
【0037】
回転軸11の回転に伴って遠心ファン70が回転すると、ハウジング6の側面の吸気口72から外気が吸い込まれ、固定子9の外側及び内側(回転子10との間)を通って排気口71から排出されることでブラシレスモータ8を冷却する。このとき、固定子9では、センサ回路基板65の切欠部91によってスロット79が前面視で露出している上、センサ回路基板65と前インシュレータ61との間にも渡り線102が配線されないので、固定子9の内側を通る空気は、センサ回路基板65に阻害されることなく各コイル64の両側でスムーズにスロット79を通過することができる。よって、各コイル64も効果的に冷却される。また、各ヒュージング端子81は固定片92,92の間に位置しているので、切欠部91を通過する空気によって各ヒュージング端子81も効果的に冷却される。
一方、回転子10では、前後に前ストッパ74と後ストッパ73とが設けられているため、各永久磁石68の前後方向の移動が規制され、回転子鉄心67からの脱落が効果的に防止される。
【0038】
このように、上記形態の震動ドライバドリル1によれば、センサ回路基板65の外周に、固定子9の軸方向でティース63,63間に位置する切欠部91を形成したことで、ブラシレスモータ8の冷却用空気が固定子9の内側を通過しやすくなる。よって、固定子9のコイル64を効果的に冷却することができる。
【0039】
特にここでは、切欠部91を、固定片92,92の間に形成しているので、センサ回路基板65の取り付けに支障なく切欠部91を設けることができる。
また、センサ回路基板65におけるリード線96の接続部95を切欠部91,91の間に配置したことで、切欠部91を形成してもリード線96の接続に支障を来すことがない。
さらに、コイル64に接続されるヒュージング端子81を切欠部91に配置しているので、各ヒュージング端子81の冷却効果も期待できる。
加えて、コイル64を6つ有し、切欠部91を6箇所形成して、各切欠部91は、固定子9の軸方向で各コイル64を露出させているので、三相の各コイル64を確実に冷却可能となる。
【0040】
そして、上記形態の震動ドライバドリル1によれば、センサ回路基板65が外周側に固定される第1電気絶縁部材である前インシュレータ61に、コイル64に接続されると共に電源線80に接続されるヒュージング端子81を設けたことで、センサ回路基板65を固定子9から容易に取り外し可能となる。
特にここでは、センサ回路基板65は、前インシュレータ61にネジ止めされるので、センサ回路基板65の着脱が簡単に行える。
また、ヒュージング端子81を3つ設けてコイル64をデルタ結線しているので、三相の各コイル64の結線が容易に行える。
さらに、ヒュージング端子81は、ティース63,63の間に配置されるので、ティース63に巻回するコイル64のワイヤ101の結線が楽に行える。
加えて、リード線96の接続部95は、2つのヒュージング端子81,81の間に配置されるので、ヒュージング端子81と干渉することなくリード線96の取り回しを行うことができる。
【0041】
一方、上記形態の震動ドライバドリル1によれば、固定子鉄心60の外周に、固定子9の軸方向に沿った溝75を設け、前後インシュレータ61,62に、溝75に嵌合する嵌合片76を一体に形成したことで、前後インシュレータ61,62の歪みに抵抗して固定子鉄心60と前後インシュレータ61,62とを強固に一体化することができる。
【0042】
そして、上記形態の震動ドライバドリル1によれば、3つのヒュージング端子81を固定子鉄心60の半周分の領域内に配置しているので、電源線80の配線スペースが小さくなると共に、電源線80の取り回しも楽となって短縮化する。よって、ハウジング6の小型化が実現できる。
また、各相のコイル64,64を形成するワイヤ101の渡り線102の一部を反結線側(後インシュレータ62側)に設けているので、結線側(前インシュレータ61側)でのスペースが広くなって配線等に係る取り回しの自由度が高まる上、結線側でヒュージング端子81との絶縁部を設ける必要もなくなる。
【0043】
なお、切欠部及び固定片の数は上記形態に限らず、適宜増減可能で、ネジボスや段付きボスの数も、ネジ止めの数に応じて適宜変更可能である。段付きボスはなくてもよい。切欠部の形状も、湾曲形状に限らず、四角形や台形、三角形、半円形状等に切り欠いてもよい。
また、切欠部と全てのスロットに対応させて設ける必要はなく、空気の通過によるコイルの冷却効果が得られればスロットよりも切欠部を少なく設けることは可能である。従って、切欠部を複数のスリットを露出させるように設けて複数のヒュージング端子を一つの切欠部内に配置することも考えられる。
さらに、上記形態では、前インシュレータにセンサ回路基板を設けているが、後インシュレータにセンサ回路基板を設けて渡り線を前インシュレータ側で配線することも可能である。
【0044】
そして、ワイヤの巻き方法は、
図15の方法に限らず、適宜変更可能である。以下、各変更例を模式図によって説明する。なお、各模式図においても、(A)が結線側(前インシュレータ61側)、(B)が反結線側(後インシュレータ62側)で、
図15と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図16に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その左側に位置するティース63U1に右側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に右側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の左側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0045】
次に、ヒュージング端子81Wの左側に隣接するティース63W1に右側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に右側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の左側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の左側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線されるが、渡り線102W,102W同士は各ティース63W1,63W2上でクロスすることになる。
【0046】
次に、ヒュージング端子81Vの左側に隣接するティース63V1に右側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に右側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63V2の左側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63V1の左側に引き出して、左側に隣接するヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101も、後インシュレータ62側でティース63V1,63V2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線されるが、渡り線102V,102V同士は各ティース63V1,63V2上でクロスすることになるため、渡り線102は最大で4本重なる。
【0047】
図17に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その左側に位置するティース63U1に右側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に右側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の左側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0048】
次に、ヒュージング端子81Wの左側に隣接するティース63W1に右側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に右側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の左側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の左側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線される。
【0049】
次に、ヒュージング端子81Vの左側に隣接するティース63V1に右側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に右側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、結線側でティース63V2の左側に引き出して、渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側と前インシュレータ61側とに分かれてそれぞれティース63V1,63V2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線される。よって、結線側で渡り線102が1本生じるものの、反結線側の渡り線102の重なりは最大で3本となり、
図16の場合よりも1本少なくなる。
【0050】
図18に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その左側に位置するティース63U1に右側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に右側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の左側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0051】
次に、ヒュージング端子81Wの左側に隣接するティース63W1に右側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に右側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の左側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の左側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線されるが、渡り線102W,102W同士は各ティース63W1,63W2上でクロスすることになる。
【0052】
次に、ヒュージング端子81Vの左側に隣接するティース63V1に右側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の左側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に右側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、結線側でティース63V2の左側に引き出して、渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側と前インシュレータ61側とに分かれてそれぞれティース63V1,63V2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線される。よって、結線側で渡り線102が1本生じるものの、反結線側の渡り線102の重なりは最大で3本となり、
図16の場合よりも1本少なくなる。
【0053】
以下に示す変更例は、ヒュージング端子81の各相の配置及びコイル64の巻回方向が
図15〜
図18の例と逆となっている。
図19に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定した右端のヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その右側に位置するティース63U1に左側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に左側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の右側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0054】
次に、ヒュージング端子81Wの右側に隣接するティース63W1に左側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に左側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の右側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の右側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線される。
【0055】
次に、ヒュージング端子81Vの右側に隣接するティース63V1に左側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に左側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63V2の右側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを左回りで略半周分引き回した後、結線側でティース63V1の右側に引き出して、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101も、後インシュレータ62側でティース63V1,63V2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線される。
【0056】
図20に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その右側に位置するティース63U1に左側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に左側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の右側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0057】
次に、ヒュージング端子81Wの右側に隣接するティース63W1に左側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に左側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の右側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の右側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線されるが、渡り線102W,102W同士は各ティース63W1,63W2上でクロスすることになる。
【0058】
次に、ヒュージング端子81Vの右側に隣接するティース63V1に左側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に左側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63V2の右側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63V1の右側に引き出して、右側に隣接するヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101も、後インシュレータ62側でティース63V1,63V2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線されるが、渡り線102V,102V同士は各ティース63V1,63V2上でクロスすることになるため、渡り線102は最大で4本重なる。
【0059】
図21に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その右側に位置するティース63U1に左側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に左側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の右側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0060】
次に、ヒュージング端子81Wの右側に隣接するティース63W1に左側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に左側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の右側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを左回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の右側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を左回りで略半周分ずつ渡って配線される。
【0061】
次に、ヒュージング端子81Vの右側に隣接するティース63V1に左側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に左側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、結線側でティース63V2の右側に引き出して、渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側と前インシュレータ61側とに分かれてそれぞれティース63V1,63V2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線される。よって、結線側で渡り線102が1本生じるものの、反結線側の渡り線102の重なりは最大で3本となり、
図20の場合よりも1本少なくなる。
【0062】
図22に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その右側に位置するティース63U1に左側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に左側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の右側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。
【0063】
次に、ヒュージング端子81Wの右側に隣接するティース63W1に左側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に左側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、同じ反結線側でティース63W2の右側に引き出して、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、結線側で対角のティース63W1の右側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側でティース63W1,63W2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線されるが、渡り線102W,102W同士は各ティース63W1,63W2上でクロスすることになる。
【0064】
次に、ヒュージング端子81Vの右側に隣接するティース63V1に左側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に左側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、結線側でティース63V2の右側に引き出して、渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101は、後インシュレータ62側と前インシュレータ61側とに分かれてそれぞれティース63V1,63V2間を右回りで略半周分ずつ渡って配線される。よって、結線側で渡り線102が1本生じるものの、反結線側の渡り線102の重なりは最大で3本となり、
図20の場合よりも1本少なくなる。
【0065】
図23に示す変更例において、まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その右側に位置するティース63U1に左側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを左回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に左側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63Uの右側からワイヤ101を引き出して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに折り返した状態で仮固定する。
【0066】
次に、ヒュージング端子81Wから渡り線102Wを右回りで略半周分引き回し、ティース63U1の右側に隣接するティース63W2に左側から巻回してコイル64W2を形成した後、反結線側でティース63W2の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W1に左側から巻回してコイル64W1を形成する。その後、結線側でティース63W1の右側に引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101は、前インシュレータ61側と後インシュレータ62側とに分かれてそれぞれ右回りで略半周分ずつ配線されることになる。
【0067】
次に、ヒュージング端子81Vの右側に隣接するティース63V1に左側から巻回してコイル64V1を形成した後、反結線側でティース63V1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V2に左側から巻回してコイル64V2を形成する。その後、結線側でティース63V2の右側に引き出して、渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101も、前インシュレータ61側と後インシュレータ62側とに分かれてそれぞれ右回りで略半周分ずつ配線されることになる。
【0068】
図24に示す変更例においては、ヒュージング端子81V,81Wの位置が
図23と逆になっている。まず結線側で、U相の電源線80Uを仮固定したヒュージング端子81Uに始端101aを仮固定し、その右側に位置するティース63U1に左側から巻回してコイル64U1を形成した後、反結線側でティース63U1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Uを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63U2に左側から巻回してコイル64U2を形成する。そして、結線側でティース63U2の右側からワイヤ101を引き出して、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに折り返した状態で仮固定する。
【0069】
次に、ヒュージング端子81Vから渡り線102Vを右回りで引き回し、ティース63U2の左側に隣接するティース63V2に左側から巻回してコイル64V2を形成した後、反結線側でティース63V2の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Vを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63V1に左側から巻回してコイル64V1を形成する。その後、結線側でティース63V1の右側から右回りに引き回して、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定する。つまり、V相のコイル64V1,64V2を形成するワイヤ101は、前インシュレータ61側ではヒュージング端子81Vとティース63V2との間、ティース63V1とヒュージング端子81Wとの間に渡って右回りに配線され、後インシュレータ62側では、ティース63V2,63V1間を右回りで略半周分渡って配線されることになる。
【0070】
次に、ヒュージング端子81Wの左側に隣接するティース63W1に左側から巻回してコイル64W1を形成した後、反結線側でティース63W1の右側に引き出し、絶縁リブ89の外側で渡り線102Wを右回りで略半周分引き回した後、対角のティース63W2に左側から巻回してコイル64W2を形成する。その後、結線側でティース63W2の右側に引き出して、渡り線102Wを右回りで引き回した後、ヒュージング端子81Uに終端101bを仮固定する。つまり、W相のコイル64W1,64W2を形成するワイヤ101も、前インシュレータ61側ではヒュージング端子81Wとティース63W1との間、ティース63W2とヒュージング端子81Uとの間に渡って右回りに配線され、後インシュレータ62側では、ティース63W1,63W2間を右回りで略半周分渡って配線されることになる。
【0071】
その他、コイルの冷却に係る発明において、電動工具は震動ドライバドリルに限らず、センサ回路基板を電気絶縁部材に固着するモータを駆動源とするものであれば、インパクトドライバやグラインダ等の他の機種にも本発明は適用可能である。よって、ハウジング内でのモータの位置や向きも適宜変更できる。また、上記形態では一本のワイヤ(巻線)でコイルを形成しているが、2本や3本等の複数の巻線でコイルを形成することも可能である。勿論デルタ結線に限らず、Y結線であってもよい。
一方、端子の配置に係る発明においても、電動工具は震動ドライバドリルに限らず、電気絶縁部材にコイルが結線される端子を設けたモータを駆動源とするものであれば、インパクトドライバやグラインダ等の他の機種にも本発明は適用可能である。よって、端子を配置する領域も、機種によっては上半分や横半分であっても差し支えないし、三相巻線はY結線であっても端子の配置によってコンパクト化は達成できる。