(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
以下の基本的な特徴の組合せを含む、複数の類似の設計が知られている(たとえば、2011年12月15日に公開された特許文献1参照):
− 直流電圧を提供する;
− 調節可能なパルス比を有する制御用矩形波パルスを発生させる;
− 一連の制御用パルスを用いて、誘導負荷を、直流電圧源の出力に周期的に接続する;
− 誘導負荷を通って流れるパルス電流を発生させる;および
− 直流電圧をパルス電圧に変換する。
【0003】
提案する解決策と上記の類似構成とに共通する特徴は、以下である:
− 直流電圧を提供する;
− 調節可能なパルス比を有する制御用矩形波パルスを発生させる;
− 一連の制御用パルスを用いて、誘導負荷を、直流電圧源の出力に周期的に接続する;
− 誘導負荷を通って流れるパルス電流を発生させる;および
− 直流電圧をパルス電圧に変換する。
【0004】
非特許文献1として公開された設計も知られている。この設計は最も近い類似構成(プロトタイプ)として選択されたものであり、以下の基本的な特徴の組合せを含む:
− 直流電圧を提供する;
− 調節可能なパルス比を有する制御用矩形波パルスを発生させる;
− 一連の制御用パルスを用いて、誘導負荷を、直流電圧源の出力に周期的に接続する;
− 誘導負荷を通って流れるパルス電流を発生させる;
− 誘導負荷を通って流れるパルス電流を制限する;および
− 直流電圧をパルス電圧に変換する。
【0005】
提案する解決策と上記のプロトタイプとに共通する特徴は、以下である:
− 直流電圧を提供する;
− 調節可能なパルス比を有する制御用矩形波パルスを発生させる;
− 一連の制御用パルスを用いて、誘導負荷を、直流電圧源の出力に周期的に接続する;
− 誘導負荷を通って流れるパルス電流を発生させる;
− 誘導負荷を通って流れるパルス電流を制限する;および
− 直流電圧をパルス電圧に変換する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の技術的解決策のいずれによっても達成できない技術的成果は、より低レベルの電磁パルスノイズを有する可変の出力パルス電圧を得て、それにより直流−パルス電圧変換を実行する能力範囲を増大させるという点にある。
【0009】
上記の目標を達成できない理由は、周囲環境に放射される電磁パルスノイズとして削減不能なレベルの電磁パルスノイズを有する可変の出力パルス電圧を得ることを目的とした研究に、適切な関心が払われなかったためである。したがって、既知の比較可能な技術的解決策を改善することにつき、差し迫った必要性が存在する。
【0010】
従来技術の設計の特徴および分析を考慮に入れると、周囲環境に放射される電磁パルスノイズとして、実用的レベルと言えるほど低いレベルの電磁パルスノイズを有する、制御可能な出力パルス電圧を得るという目的は、時宜にかなった目的であると結論付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的成果は、直流電圧をパルス電圧に変換する従来技術に係る方法、すなわち、直流電圧を提供する工程と、調節可能なパルス比を有する制御用矩形波パルスを発生させる工程と、一連の制御用パルスを用いて、誘導負荷を、直流電圧源の出力に周期的に接続する工程と、その誘導負荷を通って流れるパルス電流を発生させる工程と、その誘導負荷を通って流れるパルス電流を制限する工程とを含む方法において、誘導負荷を通って流れるパルス電流を制限することが、その誘導負荷を通って流れるパルス電流の回路内に組み込まれた電子制御抵抗器によって行われ、それにより、周囲環境に放射される電磁ノイズのレベルの調節を可能とするような態様で、直流電圧をパルス電圧に変換する方法により達成される。
【0012】
誘導負荷に印加される直流電圧は周期的にオン/オフされ、固定のパルス比または顕著には変化しない調節可能なパルス比を有するパルス電流が形成される一方で、電子制御抵抗器の制御可能な抵抗値を形成する処理を提供することは、かかる電子制御抵抗器によりパルス電流を制限することを可能とし、それにより直流電圧はパルス電圧に変換される。この状態が生じるため、また、直流電圧−パルス電圧変換の過程において周囲環境に放射されるパルス電磁ノイズのパワーはパルス電流の値に依存するため、電子制御抵抗器の抵抗値を増大させることは、誘導負荷に電流供給する回路内を流れるパルス電流を減少させる結果をもたらす。そのため、直流電圧−パルス電圧変換のための装置により周囲環境に放射される電磁ノイズのレベルは、低減させられる。したがって、提案する技術的解決策を用いることは、パルスパワー源により電力供給される多岐にわたる電子ユニットにつき、その電磁的な互換性を改善し、結果として、人間環境における環境設定をより良好なものとする。これが、上記の技術的成果を達成することが誇示される点である。
【0013】
既知の従来技術間で行われた分析は、それらの従来技術がいずれも、提案する解決策の基本的な特徴の全体的な組合せを有しておらず、また、提案する解決策の差別的な(特色的な)特徴を有していないことを示す結果となった。したがって、提案する解決策の新規性および進歩性に関する結論を認める結果となった。
【0014】
直流電圧−パルス電圧変換のための提案方法の技術的な本質部分は、以下の点にある:
− 直流電圧を提供する;
− 調節可能なパルス比を有する一連の制御用矩形波パルスを発生させる;
− かかる一連の制御用矩形波パルスを用いて、誘導負荷を、上記の直流電圧の電圧源の出力に周期的に接続する;
− 上記の誘導負荷を通って流れるパルス電流を発生させる;
− 上記のパルス電流を制限する;
− 上記のパルス電流を制限することが、誘導負荷を通って流れるそのパルス電流の回路内に組み込まれた電子制御抵抗器によって行われ、それにより、周囲環境に放射される電磁ノイズのレベルが調節されるような態様で、直流電圧をパルス電圧に変換する。
【0015】
提案する方法の上記およびその他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、以下の発明の詳細な説明において説明される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1によれば、直流電圧−パルス電圧変換器は、具体的には以下を備えている:
− 高直流電圧源1;
− 磁気導体上の巻線として形成された誘導負荷2であって、強磁性体コア5を用いた変圧器4の一次巻線3と、負荷(図示せず)を伴って整流器7に接続された二次巻線6とを含み、該誘導負荷2の端子のうちの1つ(第1の端子)8を介して高直流電圧源1の正極9に接続された誘導負荷2;
− たとえばMOSトランジスタ11を含む、制御可能なスイッチ10であって、該スイッチ10の第1の端子(主端子)12(MOSトランジスタ11のドレイン)を介して、誘導負荷2の別の端子(第2の端子)13に接続されている制御可能なスイッチ10;
− 制御可能な矩形波パルス発生器14であって、該矩形波パルス発生器14の出力部15により、制御可能なスイッチ10の制御入力部16(MOSトランジスタ11のゲート)に接続されている制御可能な矩形波パルス発生器14;
− 第1の制御電圧ドライバ17であって、たとえば、直流電圧源18とポテンショメータ19とを含み、ポテンショメータ19の第1の端子20が、直流電圧源18の正極21に接続されており、ポテンショメータ19の第2の端子22が、直流電圧源18の負極23に接続されており(この極23は第1の制御電圧ドライバ17の第1の端子24である)、ポテンショメータ19の第3の端子(スライダ)25(この端子25は第1の制御電圧ドライバ17の第2の出力部26である)が、制御可能な矩形波パルス発生器14の制御入力部27に接続されている、第1の制御電圧ドライバ17;
− 低直流電圧源28であって、該低直流電圧源28の正極29が、制御可能な矩形波パルス発生器14の第1のパワー入力部30に接続されており、該低直流電圧源28の負極31が、高直流電圧源1の負極32に接続されている、低直流電圧源28;
− 制限抵抗器33であって、該制限抵抗器33の端子34を介して、制御可能なスイッチ10の出力部35(MOSトランジスタ11のソース)に接続されている制限抵抗器33;
− 電子制御抵抗器(ECR)36であって、該ECR36の第1の端子37によって、制限抵抗器33の別の端子38に接続されており、該ECR36は、たとえば、MOSトランジスタ39(該MOSトランジスタ39のドレインが、ECR36の第1の端子37である)と、追加の抵抗器40(該追加の抵抗器40の第1の端子41が、MOSトランジスタ39のドレインに接続されており、該追加の抵抗器40の第2の端子42が、MOSトランジスタ39のソース、およびECR36の第2の端子43に接続されている)と、演算増幅器(OA)44(該OA44の出力部45が、MOSトランジスタ39のゲートに接続されている)と、オフセット電圧源(OVS)46(該OVS46の正極が、OA44の非反転(「+」)入力部48に接続されており、該OVS46の負極49が、ECR36の第2の端子43に接続されている)と、第1の抵抗器50と、第2の抵抗器51と(第1の抵抗器50と第2の抵抗器51とは互いに接続されており、共にOA44の伝送効率を規定し、第1の抵抗器50の端子52が、OA44の出力部45に接続されており、第2の抵抗器51の端子53は、ECR36の制御入力部54であり、第1の抵抗器50と第2の抵抗器51との接続点が、OA44の反転(「−」)入力部55に接続されている)、を含む電子制御抵抗器(ECR)36;
− 制御電圧の第2のドライバ56(以下、第2の制御電圧ドライバ56と呼ぶ)であって、該第2の制御電圧ドライバ56の第1の入力部57が、整流器7の第1の出力部58に接続されており、該第2の制御電圧ドライバ56の第1の出力部59が、整流器7の第2の出力部60に接続されており、該第2の制御電圧ドライバ56の第2の入力部61が、低直流電圧原28の正極29に接続されており、該第2の制御電圧ドライバ56の第2の出力部62が、ECR36の制御入力部に接続されており、該第2の制御電圧ドライバ56の第3の出力部63が、第1の制御電圧ドライバ17の第1の端子24に、制御可能な矩形波パルス発生器14の第2のパワー入力部64に、ECR36の第2の端子43に、および高圧直流電圧源1の負極32に接続されている、第2の制御電圧ドライバ56。
【0018】
この構成が生じる際、第2の制御電圧ドライバ56は、第1の電流設定抵抗器65と、第2の電流設定抵抗器66と、第3の電流設定抵抗器67と、電圧安定化電流調整器68と、光カプラ69と、抵抗器70とを備えることができ、第1の電流設定抵抗器65は第2の電流設定抵抗器66に接続されており、第2の電流設定抵抗器66は第3の電流設定抵抗器67に接続されており、第1の電流設定抵抗器65の第1の端子は光カプラ69の第1の入力部72に接続されており、第1の電流設定抵抗器65と第2の電流設定抵抗器66との間の接続点は第2の制御電圧ドライバ56の第1の入力部57であり、第2の電流設定抵抗器66と第3の電流設定抵抗器67との接続点は電圧安定化電流調整器68の制御入力部73に接続されており、電圧安定化電流調整器68の第1の端子74は光カプラ69の第2の入力部75に接続されており、第3の電流設定抵抗器67の第2の端子76は、電圧安定化電流調整器68の第2の端子77に接続され、かつ第2の制御電圧ドライバ56の第1の出力部59である。同時に、光カプラ69の第1の出力部78は、抵抗器70の第1の端子79に接続され、かつ第2の制御電圧ドライバ56の第2の出力部62であり、一方、抵抗器70の第2の端子80は、第2の制御電圧ドライバ56の第2の入力部61である。
【0019】
図2に提示された経時変化のグラフは、以下を示している:
2a−高圧直流電圧源1の出力電圧U
o;
2b−制御可能なスイッチ10の制御入力部16におけるパルスU
ctr;
2c−ECR36の最大抵抗時において誘導負荷2の供給回路を通って流れ、U
ctrのパルスの終了時までに最小値I
o minに到達する、ランプアップ電流;
2d−ECR36の最大抵抗時における、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧U
min;
2e−ECR36の最小抵抗時において誘導負荷2の供給回路を通って流れ、U
ctrのパルスの終了時までに最大値I
o maxに到達する、ランプアップ電流;
2f−ECR36の最小抵抗時における、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧U
max。
【0020】
以下、提案する方法がどのように実装されるかを、当該方法の実施形態である
図1の変換器の動作で例示して説明する。
【0021】
低直流電圧源28の端子からの直流電圧が、制御可能な矩形波パルス発生器14のパワー入力部30および64に印加されると、制御可能な矩形波パルス発生器14は矩形波パルスを発生し始め(
図2b)、それら矩形波パルスのパルス比は、第1の制御電圧ドライバ17の出力部26から制御可能な矩形波パルス発生器14の制御入力部27に印加される、制御電圧の値によって規定される。
【0022】
第1の制御電圧ドライバ17の出力部26における制御電圧を変化させる処理は、たとえば、ポテンショメータ19の端子20および22により直流電圧源18の正極21および負極23にそれぞれ接続されたポテンショメータ19の、スライダ25を動かすことにより実現される。このようにして、調整されたパルス比を有する一連の制御用矩形波パルスが発生させられる。
【0023】
制御可能な矩形波パルス発生器14の出力部15からの矩形波パルスは、制御可能なスイッチ10の制御入力部16(MOSトランジスタ11のゲート)に到達し、その結果、制御可能なスイッチ10を開状態とする。パルス電流は、以下の回路内において、制御可能なスイッチ10を通って流れ始める:高直流電圧源1の正極9(
図2a)−誘導負荷2の第1の端子8−誘導負荷2の第2の端子13−制御可能なスイッチ10−制限抵抗器33−ECR36−ECR36の第2の端子43−高直流電圧源1の負極32。
【0024】
こうして、一連の制御用パルスは、高直流電圧源1の端子に誘導負荷2を周期的に接続し、誘導負荷2を通って流れるパルス電流を生成し、かかるパルス電流を制限抵抗器33によって制限する。
【0025】
この動作が生じると、誘導負荷2内にもたらされる自己インダクタンスemfが、回路内の電流が即時に変化することを防止する。この結果、電流は、矩形波パルス中において線形にランプアップし(
図2cおよび2e)、矩形波パルスの終了時までに、予め設定された値I
o(
図2cにおけるI
o min、または
図2eにおけるI
o max)に到達する。このとき、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧の値は、I
oの値に比例する。しかしながら、I
oの値は、上記の回路のすべての要素の抵抗により規定されるものであり、すなわち、
【数1】
である。ここで、K
1は比例係数であり、R
1は誘導負荷2のアクティブな抵抗値であり、R
trは開状態の制御可能なスイッチ10の抵抗値(開状態のMOSトランジスタ11の抵抗値)であり、R
limは制限抵抗器33の抵抗値であり、R
ECRはECR36の抵抗値である。
【0026】
R
1<<R
limおよびR
tr<<R
limという値の小ささのため、上記の式(1)は以下のように単純化することができる。
【数2】
【0027】
こうして、ECR36の抵抗を変化させることにより、I
oの値を設定することができ、その結果として、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧の値を設定することができる。
【0028】
そのような変化は、整流器7の第1の出力部58と第2の出力部60との間における、該整流器7の出力電圧を変化させることにより実現される(たとえば、整流器7の負荷抵抗の変化により)。この変化する電圧が、第2の制御電圧ドライバ56の第1の入力部57に印加され、第1の電流設定抵抗器65を介して、光カプラ69の第1の入力部72に伝達される。したがって、変化する電流が光カプラ69を通って流れ、この電流の値は、光カプラ69の第1の入力部72における電圧、および、第2の電流設定抵抗器66、第3の電流設定抵抗器67、ならびに電圧安定化電流調整器68のパラメータに依存する。したがって、変化する電圧は、光カプラ69の出力部78および抵抗器70の第1の端子79にも出現し、この抵抗器70の第2の端子80は、第2の制御電圧ドライバ56の第2の入力部61を介して、低直流電圧源28の正極29に接続されている。この変化する
電圧は、第2の制御電圧ドライバ56の第2の出力部62に印加される。
【0029】
第2の制御電圧ドライバ56の第2の出力部62における電圧が変化すると、制御電圧(第2の制御電圧ドライバ56の第2の出力部62からECR36の制御入力部54に到達する)が、第2の抵抗器51を介して、直流電圧増幅器として動作するOA44の反転(「−」)入力部55に印加される。このとき、OA44の動作モードは、オフセット電圧源46の正出力部47における電圧により設定され、この電圧は、OA44の非反転(「+」)入力部48に印加される。こうして、OA44の出力部45において制御信号(該制御信号の値は、OA44の伝送比を設定する、第1の抵抗器50と第2の抵抗器51との抵抗の相関関係により規定される)が生成され、かかる制御信号がMOSトランジスタ39のゲートへと向かう。制御信号がゼロであるときは、MOSトランジスタ39は閉状態となり、追加の抵抗器40の抵抗値R
addには影響を与えない。したがって、ECR36の抵抗値は最大の
【数3】
となり、一方、I
oは最小となって、
【数4】
に等しくなる。
【0030】
R
ECR=R
addにおいて誘導負荷2を流れる最小電流I
o min(
図2c)に対応するのは、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間における高パルス電圧の最小値(
図2d)、および周囲環境に放射される最小レベルのパルス電磁ノイズである。
【0031】
第2の制御電圧ドライバ56の出力電圧が変化する間(たとえば、整流器7の出力電圧を低下させる場合が該当し得る)、MOSトランジスタ39のゲートに到達する制御信号は増大し、MOSトランジスタ39を開状態とする。電流は、MOSトランジスタ39を通って流れ始め、MOSトランジスタのスルー抵抗が減少し始め、追加抵抗器40のR
addを短絡する。そのため、結果としてのECR36の抵抗値は、減少し始める。MOSトランジスタ39のゲートに到達する信号が非常に大きいためにMOSトランジスタ39が完全開状態となる極限状態においては、追加抵抗器40は完全に短絡され、ECR36の抵抗値はゼロに近くなり、I
oは最大となって、
【数5】
に等しくなる。
【0032】
R
ECR=0において誘導負荷2を流れる最大電流I
o max(
図2e)に対応するのは、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間における高パルス電圧の最大値(
図2f)、および周囲環境に放射される最大レベルのパルス電磁ノイズである。
【0033】
こうして、第2の制御電圧ドライバ56の出力電圧の変化時における、ECR36の抵抗値の変化は、提案する方法において、上記で述べた回路内を流れる電流を、下限I
o minから上限I
o maxの範囲内で変化させることを可能とする。このようにして、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間における高パルス電圧の値が設定される。
【0034】
上記のプロトタイプを含む従来技術では、パルス比が変化させられる(たとえば、第1の制御電圧ドライバ17および制御可能な矩形波パルス発生器14によって)。しかしながら、パルス比が変化する際、I
oは変化させられないままであり、I
o maxに等しい。その結果、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧の値は、変化させられないままとなる。
【0035】
それに伴ってパルスの存在中に生じるのは、パルスパワーの一部である
【数6】
の周囲環境への放射であり、ここでK
2は第2の比例係数である。
【0036】
パルスパワーの一部を周囲環境へ放射することは、パルス電磁ノイズを生じさせ、かかるパルス電磁ノイズは、近接して配置された無線電子機器の動作と干渉し、それら無線電子機器の効率に悪影響を与える。加えて、周囲環境への電磁放射は、人間環境内のエコロジーを悪化させる結果を招く。
【0037】
これと対照的に、提案する技術的解決策では、ECR36の抵抗値を制御することにより、下限I
o minから上限I
o maxの範囲内でI
oを変化させることが提案される。したがって、最大値であるP
rad=K
2I
o max2の電磁ノイズは、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧が公称値であるときにおいてのみ生じる。I
oが減少するにつれて、パルス電磁ノイズのパワーもI
oの自乗として減少し、そのため、近接して配置された無線電子機器の効率、および人間環境内のエコロジーに対する、ノイズの影響は低減される。
【0038】
よって、提案する方法を実装した変換器は、従来技術の方法を具現化した変換器と比較すると、同一の機能を実行する。その回路構成は、制御用矩形波パルスのパルス比ばかりでなく、誘導負荷2の端子13とECR36の端子43との間の高パルス電圧の値をも変化させることを可能にするという点で、従来技術の変換器で用いられる回路構成とは異なり、これにより、上記で述べた技術的成果が達成される。
【0039】
上記で説明した変換器を構築する複数の機能ユニットは、様々なやり方で実現することができる。
【0040】
たとえば、制御された矩形波パルス発生器14は、パルス幅変調器として機能するマイクロチップ(たとえばテキサスインスツルメンツ(TI)社のUCC2813QDR−5Q1)、またはパルス周波数変調器の機能を満たすマイクロチップ(たとえばオン・セミコンダクター社のFAN−6300H)、または一連の矩形波パルスにおいてパルス割当量の変化を提供する任意の他の回路構成を含み得る。
【0041】
第1の制御電圧ドライバ17は、
図1に示すように実現されてもよいし、フィードバックループを含めて、制御動作を制御電圧に変換する任意の他の手法を用いて実現されてもよい。
【0042】
第2の制御電圧ドライバ56は、
図1に示すように実現されてもよいし、演算増幅器および基準電圧の従来型の供給源を採用して実現されてもよいし、制御動作を、ECRを制御する電圧に変換する任意の他の手法を用いて実現されてもよい。
【0043】
TI社のマイクロチップTL431またはその類似品が、
図1に示された電圧安定化電流調整器として用いられ得る。
【0044】
制御可能なスイッチ10のトランジスタは、バイポーラ型のものであってもよいし、MOS型のものであってもよいし、IGBT型のものであってもよい。スイッチ自体が、該スイッチの性能を向上させる追加の回路構成を含んでいてもよい。
【0045】
変換器全体内および第1の制御電圧ドライバ17ならびにECR36内における低電圧源18、28および46は、対応の抵抗分割器が付与された1つの低電圧源として実現されてもよい。
【0046】
ECR36は、
図1に示すように使用されてもよいし、A. Petrov著、「ABC of transistor circuitry(トランジスタ回路構成のABC)」、RL、1994年(http://zpostbox.ru/az0.htm、第11章、Synchronous rectifiers(同期整流器))に開示されている回路構成を採用してもよいし、回路の一部の抵抗値を、ゼロに近い値から抵抗値R
limに匹敵する値まで変化させることを可能とする、任意の他の回路構成を用いてもよい。
【0047】
変換器のすべての他の構成要素は、よく知られたものであり、パルス技術および無線電子機器を扱った様々な情報源において開示されている。
【0048】
上記の実装形態のいずれにおいても、誘導負荷を通って流れる電流を変化させること、すなわち出力パルス電圧を変化させることが可能とされ、それにより、周囲環境に放射されるパルス電磁ノイズのレベルが低減される。このようにして、直流電圧をパルス電圧に変換する本願発明の方法の、技術的成果が達成される。