特許第6803395号(P6803395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803395
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】医療用ステープラシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20201214BHJP
   A61B 17/064 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A61B17/068
   A61B17/064
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-550969(P2018-550969)
(86)(22)【出願日】2016年11月18日
(86)【国際出願番号】JP2016084293
(87)【国際公開番号】WO2018092273
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】熊田 嘉之
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−65091(JP,U)
【文献】 特開2005−160933(JP,A)
【文献】 特開平7−124166(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0058441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
A61B 17/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ステープラと、
該医療用ステープラにより変形させられて組織を縫合するステープルとを備え、
前記医療用ステープラが、揺動可能に連結されて相互に開閉可能に設けられ、閉状態において間に前記組織を把持可能な長手軸を有する第1把持部材および第2把持部材と、前記ステープルを保持するホルダと、前記閉状態において前記組織に密着させられる前記第1把持部材の第1接触面から前記ステープルの針部を突出させた状態で前記ホルダを収容する収容部と、該収容部内において前記ホルダを前記長手軸に沿ってスライドさせる駆動機構とを備え、
前記閉状態において前記第1接触面との間に前記組織を把持する前記第2把持部材の第2接触面に、前記ホルダが前記長手軸方向のいずれか一方に配置されかつ前記閉状態となったときに前記針部を貫通および変形させることなく収容可能な凹部と、前記ホルダが前記長手軸方向の他方に配置されかつ前記閉状態となったときに前記針部を突き当てて変形させるアンビル部とを備える医療用ステープラシステム。
【請求項2】
前記ステープルが、長尺形状のベース部を備え、
前記針部が、前記ベース部の一端から該ベース部の長尺方向に直交する方向に延びる鋭利な形状に形成された第1針部と、前記ベース部の他端から該ベース部の長尺方向に直交する方向に延びるとともに、その針先が前記第1針部に近接する方向に滑らかに湾曲する曲線状に形成された第2針部とを有し、
前記ステープルが、前記ベース部を前記医療用ステープラの前記長手軸方向に沿わせて配置される請求項1に記載の医療用ステープラシステム。
【請求項3】
前記アンビル部が、前記凹部に前記長手軸方向に隣接して配置されるとともに、前記閉状態において前記ホルダをスライドさせることにより、前記第2針部を案内して湾曲変形させる湾曲面を備える請求項2に記載の医療用ステープラシステム。
【請求項4】
前記ホルダが、前記ステープルの前記針部が前記凹部に収容されている位置で前記ステープルを保持し、前記ステープルの前記針部が前記アンビル部により変形された位置で、前記ステープルを解放する着脱機構を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の医療用ステープラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ステープラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対のジョーの間に組織を把持し、一方のジョーからステープルを打ち出して、他方のジョーによりステープルを変形させる医療用ステープラが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、組織を把持する一対のジョーの内部に、複数のステープルが配列されたカートリッジを装着し、ジョーを閉鎖することでステープルを変形させる医療用ステープラも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5198454号公報
【特許文献2】特表2014−531264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2の医療用ステープラでは、一対のジョーのうち、下方のジョーに装着されたステープルをステープラの長手軸方向に対して垂直な方向に押し出し、上方のジョーのアンビルに押し当てて変形させることにより組織を縫合する仕組みとなっている。ステープルを格納したステープラを処置部位まで導入する際や縫合前には、体腔内を傷つけないためにステープルの針先がアンビルよりも外部に露出しないようにする必要がある。したがって、針先を外部から保護するためのスペースを確保する必要があり、その分だけステープラが太径となるので、医療用ステープラシステムを細径化することは困難となる。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、ステープルの針先を外部から保護するためのスペースを確保しながら細径化することができる医療用ステープラシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、医療用ステープラと、該医療用ステープラにより変形させられて組織を縫合するステープルとを備え、前記医療用ステープラが、揺動可能に連結されて相互に開閉可能に設けられ、閉状態において間に組織を把持可能な長手軸を有する第1把持部材および第2把持部材と、前記ステープルを保持するホルダと、前記閉状態において前記組織に密着させられる前記第1把持部材の第1接触面から前記ステープルの針部を突出させた状態で前記ホルダを収容する収容部と、該収容部内において前記ホルダを前記長手軸に沿ってスライドさせる駆動機構とを備え、前記閉状態において前記第1接触面との間に前記組織を把持する前記第2把持部材の第2接触面に、前記ホルダが前記長手軸方向のいずれか一方に配置されかつ前記閉状態となったときに前記針部を貫通および変形させることなく収容可能な凹部と、前記ホルダが前記長手軸方向の他方に配置されかつ前記閉状態となったときに前記針部を突き当てて変形させるアンビル部とを備える医療用ステープラシステムである。
【0006】
本態様によれば、ステープルを保持したホルダを長手軸方向のいずれか一方に配置して医療用ステープラの第1把持部材と第2把持部材を閉状態とすると、ステープルの針部がちょうど第2把持部材の凹部に収容される。したがって、医療用ステープラを体内に導入していく場合に、第1把持部材と第2把持部材とを閉状態としても、ステープルの針先が外部に露出しないため、医療用ステープラを安全に処置部位にまで導入させることができる。そして、医療用ステープラが体内に配置された状態で、第1把持部材と第2把持部材との開閉およびステープルの長手軸方向への移動を組み合わせて、ステープルによって組織を縫合することができる。
【0007】
一方、駆動機構を作動させてホルダを長手軸方向の他方にスライドさせると、ステープルの針部が第2把持部材のアンビル部に対向する位置に配置されるので、第1把持部材と第2把持部材とを閉状態とすることにより、針部をアンビル部に突き当てて変形させ、組織を縫合することができる。
その結果、針先を外部から保護するためのスペースを医療用ステープラに別途設ける必要がなく、医療用ステープラを細径化することができ、内視鏡チャネルや外科用トロカーのような限られた内径のアクセスポートを通して医療用ステープラシステムを用いて処置部位まで容易にデリバリすることができる。
【0008】
上記態様においては、前記ステープルが、長尺形状のベース部を備え、前記針部が、前記ベース部の一端からベース部の長尺方向に直交する方向に延びる鋭利な形状に形成された第1針部と、前記ベース部の他端からベース部の長尺方向に直交する方向に延びるとともに、その針先が前記第1針部に近接する方向に滑らかに湾曲する曲線状に形成された第2針部7bとを有し、前記ステープルが、前記ベース部を前記医療用ステープラ2の長手軸方向に沿わせて配置されることとしてもよい。
【0009】
このようにすることで、ステープルのベース部が医療用ステープラの長手軸方向に沿わせて配置されるため、ステープルのベース部を医療用ステープラの長手軸方向に直交する方向に配置される場合に比べ、医療用ステープラの直径を小さくすることができ、したがって、医療用ステープラシステムを細径化することができる。
また、ステープルの第2針部が滑らかに湾曲する曲線状に形成されているので、アンビル部により第2針部を押圧すると、第2針部の針先が第1針部側に向かって倒れるように大きく湾曲して組織を抱き込むように穿刺させられる。これにより、ステープルによって組織をしっかりと縫合することができる。
【0010】
上記態様においては、前記アンビル部が、前記凹部に前記長手軸方向に隣接して配置されるとともに、前記閉状態において前記ホルダをスライドさせることにより、前記第2針部を案内して湾曲変形させる湾曲面が設けられていてもよい。
このようにすることで、医療用ステープラの第1把持部材および第2把持部材を閉状態としたままステープルが保持されたホルダを基端側にスライドさせるだけで、ステープルの第2針部をアンビル部の湾曲面によって湾曲させて組織を縫合することができる。
【0011】
上記態様においては、前記ホルダが、前記ステープルの前記針部が前記凹部に収容されている位置で前記ステープルを保持し、前記ステープルの前記針部が前記アンビル部により変形された位置で、前記ステープルを解放する着脱機構を備えていてもよい。
【0012】
このようにすることで、着脱機構により、ホルダがステープルの針部が凹部に収容されている位置でステープルを保持し、ステープルの針部がアンビル部により変形された位置で、ステープルを解放するだけで、医療用ステープラから組織を適正に縫合したステープルを容易に離脱させて排出させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ステープルの針先を外部から保護するためのスペースを確保しながら細径化することができる医療用ステープラシステムを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る医療用ステープラシステムを示す全体構成図である。
図2図1の医療用ステープラシステムが閉状態である場合を示す図である。
図3A図1の医療用ステープラシステムの先端部を示した縦断面図である。
図3B図3Aの医療用ステープラシステムの先端部が閉じた状態を示した縦断面図である。
図3C図3Bの医療用ステープラシステムの先端部を示した正面図である。
図4A図3Aの医療用ステープラシステムに用いられるホルダを示す縦断面図である。
図4B図4Aのホルダに固定ピンが挿入された状態を示す斜視図である。
図5A図1の医療用ステープラシステムに用いられるステープルの一例を示す縦断面図である。
図5B図5Aのステープルの第1変形例を示す縦断面図である。
図5C図5Aのステープルの第2変形例を示す縦断面図である。
図6A図1の医療用ステープラシステムにおいて、ステープルに組織を穿刺させた状態を示す縦断面図である。
図6B図6Aの状態から組織を把持した医療用ステープラを閉状態に移行させる状態を示す縦断面図である。
図6C図6Bの状態からステープルの針部が湾曲させられた状態を示す縦断面図である。
図6D図6Cの状態からステープルの第2針部を再度組織に貫通させて縫合が完了した状態を示す縦断面図である。
図7図1の医療用ステープラシステムに用いられる医療用ステープラの変形例であってアンビル部に湾曲面が形成された状態を示す横断面図である。
図8図1の医療用ステープラシステムの変形例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る医療用ステープラシステム1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る医療用ステープラシステム1は、図1に示されるように、医療用ステープラ2と、該医療用ステープラ2により変形させられて組織を縫合するステープル7とを備えている。
【0016】
医療用ステープラ2は、図1および図2に示されるように、揺動軸によって相互に開閉可能に設けられ、閉状態において間に組織Aを把持する直棒状の第1把持部材3および第2把持部材4と、ステープル7を収容するホルダ6と、該ホルダ6を第1把持部材3の長手軸に沿ってスライドさせる駆動機構5とを備えている。第1把持部材3は、閉状態にしたときに組織Aの一側に密着させられる第1接触面3aと、ステープル7を保持するホルダ6を収容する収容部10を備えている。
【0017】
収容部10は第1接触面3aに開口する凹部であり、該収容部10内にステープル7を保持したホルダ6を収容すると、ステープル7の針部7a,7bが第1接触面3aから第2把持部材4側に尖端を向けて突出した状態に配置されるようになっている(図3A参照)。
第2把持部材4は、閉状態にしたときに組織Aの他側に密着させられる第2接触面4aと、ステープル7の針部を受け入れる凹部11と、針部7bを押し当てて変形させるアンビル部8とを備えている。
【0018】
また、第2把持部材4は、図3Bに示されるように、第1接触面3aから突出しているステープル7の針部7a、7bを貫通させない厚さ寸法を有している。また、凹部11は、閉状態においてもステープル7の針部7a、7bに接触しないように収容する寸法を有している。
図3Cに示されるように、第1把持部材3の第1接触面3aと、凹部11を挟んで左右両側に位置する第2把持部材4の第2接触面4aとは、閉状態において互いに平行に対向し、その間に組織Aが把持されるようになっている。
【0019】
第1把持部材3と第2把持部材4とは、揺動機構9によって第2把持部材4を第1把持部材3に対して揺動軸回りに揺動させることで、図1に示されるように相互に開いた開状態と、図2に示されるように相互に閉じられて間に組織Aを把持する閉状態との間で相対的に移動させられるようになっている。
【0020】
ステープル7は、例えば、図5Aに示されるように、長尺形状のベース部7cと、該ベース部7cの一端からベース部7cの長尺方向に直交する方向に延びる第1針部7aと、ベース部7cの他端からベース部7cの長尺方向に直交する方向に延びる第2針部7bとを有する非対称形状を有している。第2針部7bは、その針先7dが第1針部7aに近接する方向に滑らかに湾曲する曲線状に形成されている。第1針部7aおよび第2針部7bの針先7dは、組織Aに刺さり易い鋭利な尖端を有している。図5Aに示されるように、ベース部7cの両端には、後述する固定ピン18を着脱可能に受け取るピン受け部13が設けられている。
【0021】
ステープル7は、図1および図2に示されるように、ホルダ6内において、ステープル7のベース部7cが第1把持部材3の長手軸に沿う方向に配置されている。
図6Aから図6Dに示されるように、ステープル7は、第1針部7aおよび第2針部7bが組織Aを貫通した後に、第2針部7bを変形させることにより、組織Aを縫合するようになっている。
【0022】
第1把持部材3の両側面には、図1から図3Bに示されるように、長手軸方向に延び収容部に貫通する直線状の一対の第1長孔19aと、該第1長孔19aよりも基端側に設けられ、かつ第1長孔19aの長軸よりも長く、収容部に貫通する一対の第2長孔19bと、が形成されている。そして、図3Aおよび図3Bに示されるように、これら一対の第1長孔19aおよび第2長孔19bにはそれぞれ、第1把持部材3の長手軸に交差する方向に固定ピン18が差し込まれるようになっている。
【0023】
ホルダ6には、図4Bに示されるように、ステープル7のベース部7cを保持する溝が形成されているとともに、この溝にステープル7を保持した状態と解放した状態とに切り替える着脱機構20を備えている。
着脱機構20は、図4Aおよび図4Bに示されるように、ホルダ6の溝に2本の固定ピン18を長手軸方向に間隔をあけて平行に配置するピン孔15および嵌合凹部14と、ピン孔15に収容されかつ第2長孔19bに両端が収容される固定ピン18および嵌合凹部14に嵌合されかつ第1長孔19aに両端が収容される固定ピン18とを備えている。固定ピン18が嵌合凹部14から外れることにより、ステープル7がホルダ6から解放されるようになっている。
【0024】
ステープル7が嵌め込まれたホルダ6は、第1把持部材3の収容部10に収容され、図3Aおよび図3Bに示されるように、第1把持部材3の第1長孔19aおよび第2長孔19bから、ホルダ6の嵌合凹部14およびピン孔15を貫通するようにして固定ピン18が差し込まれている。これにより、ホルダ6は、固定ピン18を介して第1把持部材3に長手軸方向に移動可能に取り付けられている。
【0025】
駆動機構5は、第1把持部材3の収容部10内において、ホルダ6を長手軸方向に沿ってスライドさせるものであり、ホルダ6の基端面に接続されている。この駆動機構5に長手軸方向の押圧力を印加することにより、ホルダ6が第1把持部材3の収容部10内において、固定ピン18が第1長孔19aの先端側に配置されている第1位置P1(図6A参照)から固定ピン18が第1長孔19aの基端側に配置されている第2位置P2(図6B参照)を経由して、固定ピン18が第2長孔19bの基端側に配置されている第3位置P3(図6D参照)との間で移動させられるようになっている。ホルダ6は第1長孔19aおよび第2長孔19bを介して固定ピン18により第1把持部材3に固定されているので、ホルダ6の長手軸方向の移動は、図3Aおよび図3Bに示されるように、固定ピン18が移動可能である第1長孔19aの先端部から第2長孔19b基端部の間の範囲に制限される。
【0026】
第1把持部材3と第2把持部材4とを閉状態とし、駆動機構5によりホルダ6を第1把持部材3の最も先端側の第1位置P1に配置させた状態では、図2および図3Bに示されるように、組織Aを貫通したステープル7の第2針部7bの針先7dが第2把持部材4の凹部11内側に位置する。したがって、閉状態としても、ステープル7の針先7dが外部に露出しないようになっている。
【0027】
また、第1把持部材3と第2把持部材4とを開状態とし、駆動機構5によりホルダ6を第2位置P2に配置させた状態では、図6Bに示されるように、ステープル7の第2針部7bの針先7dが、第2把持部材4のアンビル部8に対応する位置に配置される。この状態で第1把持部材3と第2把持部材4とを閉状態とすると、第2針部7bの針先7dが第2把持部材4のアンビル部8に突き当たって湾曲を強める方向に外力を受けるようになっている(図6C参照)。
【0028】
第2把持部材4のアンビル部8からの外力をさらに受けると、図6Dに示されるように、第2針部7bの針先7dが大きく湾曲されて折り返され、組織Aに再度穿刺させられるようになっている。このように、ステープル7の第2針部7bが組織Aを抱き込むように湾曲させられて、組織Aを適正に縫合することができるようになっている。
【0029】
そして、この後に第1把持部材3と第2把持部材4とを閉状態としたまま、ホルダ6をさらに基端側の第3位置P3に移動させることにより、固定ピン18が嵌合凹部14から外れてステープル7がホルダ6から解放されるようになっている。
【0030】
このように構成された本実施形態に係る医療用ステープラシステム1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る医療用ステープラシステム1を用いて組織Aを縫合するには、まず、ホルダ6を第1位置P1に配置してステープル7が凹部11に収容された閉状態(図3B参照)として患部近傍まで導入する。次いで、揺動機構9を駆動させ、第2把持部材4を第1把持部材3に対して揺動軸回りに揺動させて第1把持部材3および第2把持部材4が相互に開かれた相互に開いた開状態(図3A参照)とする。
【0031】
その後、第1把持部材3の第1接触面3aと第2把持部材4の第2接触面4aとの間に、縫合したい組織Aを配置して、揺動機構9を作動させて第1把持部材3と第2把持部材4とを閉状態とする。第1把持部材3の先端側には、ステープル7が配置されているので、ステープル7の第1針部7aと第2針部7bの針先が第1把持部材3の第1接触面3aと凹部11を挟んで左右両側に位置する第2把持部材4の第2接触面4aとで把持した組織Aに突き刺さって貫通する。そして、図6Aに示されるように、揺動機構9を再度作動させて第1把持部材3と第2把持部材4とを開状態とする。
【0032】
この状態で、駆動機構5に、ステープル7が保持されたホルダ6を第1把持部材3の基端側に移動させる駆動力を加え、第1把持部材3に設けられた第1長孔19aおよび第2長孔19bに沿ってホルダ6を、固定ピン18が第1長孔19aの基端側に配置される第2位置P2まで移動させる(図6B)。
【0033】
次いで、揺動機構9を作動させて、第2把持部材4と第1把持部材3とを閉状態とすると、図6Cに示されるように、ステープル7の第2針部7bの針先7dが、アンビル部8に突き当たって外力を受けることで、第2針部7bの針先7dが組織A側に折り返されるように湾曲させられて、再度組織Aに穿刺させられる。これにより、ステープル7によって組織Aをしっかりと縫合することができる。
【0034】
さらに、この状態から、図6Dに示されるように、第1把持部材3と第2把持部材4とを閉状態としたまま、ホルダ6をさらに基端側の第3位置P3に移動させる。すると、第1長孔19aに配置される固定ピン18は、第1長孔19aの基端部の位置で停止させられて、ホルダ6の先端側端部に設けられた嵌合凹部14から外され、ステープル7の先端側のピン受け部13からも固定ピン18が外される。その際、ホルダ6は、ステープル7を途中に取り残したまま、第2長孔19bに配置される固定ピンが第2長孔19bの基端部の位置に到達するまで移動するので、ステープル7の基端側のピン受け部13からも固定ピン18が外され、ステープル7がホルダ6から解放される。
次いで、揺動機構9を駆動させて第1把持部材3と第2把持部材4とを再び開状態とする。解放されたステープル7は、縫合された組織Aとともに外部に離脱される。
【0035】
このように、本実施形態に係る医療用ステープラシステム1によれば、医療用ステープラ2を体内に導入していく場合に、第1把持部材3と第2把持部材4とを閉状態としても、ステープル7の針先7dが外部に露出しないため、医療用ステープラ2を安全に処置部位にまで導入することができる。そして、医療用ステープラ2が体内に配置された状態で、第1把持部材3と第2把持部材4との開閉およびステープル7の長手軸方向への移動を組み合わせて、ステープル7によって組織Aを縫合することができる。したがって、ステープル7の針先7dを外部から保護するためのスペースを別途医療用ステープラ2に設ける必要がなく、医療用ステープラシステム1を細径化することができるという効果を奏する。
【0036】
また、穿刺時には、凹部11を挟んで両側に位置する第2把持部材4の第2接触面4aにより、組織Aを第1把持部材3の第1接触面3aに逃げないように押さえつけるので、安定して縫合することができる。また、ステープル7の第2針部7bが湾曲する曲線状に形成されているので、アンビル部8から押圧力を与えてステープル7を湾曲させると、第2針部7bの針先7dが組織A側に折り返されるように湾曲させられて組織Aを適正に縫合することができる。
また、第1把持部材3に収容したホルダ6を長手軸方向に移動させるだけで、組織Aを縫合したステープル7を容易に解放させて排出させることができる。
【0037】
また、ホルダ6が、ステープル7の第2針部7bが凹部11に収容されている第1位置P1でステープル7を保持し、ステープル7の第2針部7bがアンビル部8により変形された第3位置P3で、ステープル7を解放する着脱機構20を備えているので、第1位置P1でステープルを保持し、第3位置P3でステープル7を解放するだけで、医療用ステープラ2から組織Aを適正に縫合したステープル7を容易に離脱させて排出させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、図7に示されるように、第2把持部材4のアンビル部8には、凹部11に長手軸方向に隣接して配置されるとともに、閉状態においてホルダ6をスライドさせることにより、第2針部7bを案内して湾曲変形させる湾曲面12を設けていてもよい。
このようにすることで、第1把持部材3および第2把持部材4を閉状態としたまま駆動機構5を駆動させてステープル7が保持されたホルダ6を先端側から基端側に移動させるだけで、ステープル7の第2針部7bを湾曲面に沿って湾曲させて組織Aを縫合することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、固定ピン18を着脱可能に受けるピン受け部13が、ステープル7のベース部7cの両端に設けられた物を例示して説明しているが、これに代えて、図5Bに示されるように、ピン受け部13をベース部7cの上面と第1針部7aの外面および、ベース部7cの上面と第2針部7bの外面により規定される空間に設けることとしてもよい。
また、本実施形態においては、第2針部7bが湾曲されやすいように、曲線状に湾曲した形態のステープル7を採用したが、これに代えて、図5Cに示されるように、第1針部7aと鏡像関係にある真っ直ぐな第2針部7bを有する対象形状のステープル7を採用してもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、第1把持部材3に設けた第1長孔19aおよび第2長孔19bを介して挿入された固定ピン18によりホルダ6の長手軸方向の移動範囲を制限する例について説明したが、これに代えて、図8に示されるように、ホルダ6の底面に突起16を設け、これと嵌合する溝17を第1把持部材3の内面に設けることで、ホルダ6の位置決めと移動範囲の規制をするようにしてもよい。
【0041】
また、固定ピン18を、外力により変形可能なプラスチック等により形成したり、固定ピン18にばねなどの弾性材料を接続するなどしてホルダ6内にステープル7を保持することとしてもよい。このようにすることで、組織Aを縫合したステープル7の排出をさらに容易にすることができる。
また、ステープル7のベース部7cが嵌め込まれるホルダ6の溝の側面に、ステープル7を抜け落ちにくくする突起等を設けてもよい。
【0042】
なお、図示および説明を簡易にするために、本実施形態では1つのステープル7を長手軸方向に沿う方向に配置した場合を例示したが、ステープル7の数および列数は任意の数としてかまわない。
【符号の説明】
【0043】
1 医療用ステープラシステム
2 医療用ステープラ
3 第1把持部材
4 第2把持部材
5 駆動機構
6 ホルダ
7 ステープル
7a 第1針部(針部)
7b 第2針部(針部)
7c ベース部
8 アンビル部
10 収容部
11 凹部
12 湾曲面
13 ピン受け部
18 固定ピン
19a 第1長孔
19b 第2長孔
20 着脱機構
A 組織
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8