(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803404
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】フィルタ容器着脱システム
(51)【国際特許分類】
B01D 27/08 20060101AFI20201214BHJP
B01D 35/30 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
B01D27/08
B01D35/30
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-562812(P2018-562812)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】JP2017001791
(87)【国際公開番号】WO2018134951
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232885
【氏名又は名称】株式会社ロキテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】金城 隆司
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2001/0023843(US,A1)
【文献】
特表2005−521547(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/185506(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/185504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/00−27/14
B01D 29/00−29/96
B01D 35/00−35/34
C02F 1/00−1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタにより流体の濾過を行う濾過装置の一部として、前記フィルタを内蔵するフィルタ容器を着脱可能に取り付ける着脱装置であって、
前記フィルタ容器は、その一端に前記フィルタと連通する管路を内部に有し前記フィルタ容器から突出する第一取付突起を有していて、
前記第一取付突起は回転中心軸を有し、
前記第一取付突起の外周面は、前記回転中心軸と垂直な断面において前記回転中心軸を中心とする円弧の少なくとも一部となるように形成される少なくとも2つの曲面と、前記少なくとも2つの曲面のそれぞれと結合する2つの面と、を有し、
前記着脱装置は、前記第一取付突起を保持し、前記流体の管路が結合されている第一取付突起保持部を有し、
前記第一取付突起保持部は、前記外周面の曲面と対応する内周面と、前記内周面と前記第一取付突起保持部の外側と連通する切欠きであって、その切欠きの幅は前記2つの曲面の円弧の弦のうち長い方の弦よりも大きな幅を有している切欠きと、を備える着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の着脱装置であって、
前記管路は第一取付突起保持部に結合されて第一取付突起保持部の前記内周面に開口を形成し、
前記第一取付突起の前記少なくとも2つの曲面のいずれか一方には前記フィルタに連通するフィルタ容器の管路のフィルタ容器管路孔が形成され、
前記第一取付突起保持部の前記開口と前記フィルタ容器管路孔とは、前記回転中心軸回りに前記フィルタ容器を回転させることにより、前記第一取付突起保持部の前記内周面の任意の箇所において第一取付突起保持部の前記開口と前記フィルタ容器の前記フィルタ容器管路孔とが合致し、前記任意の箇所以外の箇所では第一取付突起保持部の前記開口と前記フィルタ容器の前記フィルタ容器管路孔とが合致しない着脱装置。
【請求項3】
請求項1に記載の着脱装置であって、前記第一取付突起保持部の前記外周面の曲面と対応する内周面と、前記第一取付突起保持部の外側と連通する前記切欠きとの接合部は曲面である着脱装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の着脱装置であって、
前記第一取付突起はフランジを有し、そのフランジは、その直径が前記第一取付突起保持部の前記内周面の直径よりも大きい部分を有する着脱装置。
【請求項5】
請求項1に記載の着脱装置であって、
前記フィルタ容器は、さらにその他端に前記フィルタと連通する管路を内部に有し前記フィルタ容器から突出する第二取付突起を有していて、
前記第二取付突起は前記回転中心軸と同軸であって、
前記第二取付突起の外周面は、前記回転中心軸と垂直な断面において前記回転中心軸を中心とする円弧の少なくとも一部となるように形成される少なくとも2つの曲面と、前記少なくとも2つの曲面のそれぞれと結合する2つの面と、を有し、
前記着脱装置は、前記第二取付突起を保持し、前記流体の管路が結合されている第二取付突起保持部を有し、
前記第二取付突起保持部は、前記第二取付突起の前記外周面の曲面と対応する内周面と、前記第二取付突起の前記内周面と前記第二取付突起保持部の外側と連通する切欠きであって、その切欠きの幅は前記2つの曲面の円弧の弦のうち長い方の弦よりも大きな幅を有している切欠きと、を備える着脱装置。
【請求項6】
請求項3に記載の着脱装置であって、
前記第二取付突起保持部の前記管路は第二取付突起保持部に結合されて第二取付突起保持部の前記内周面に開口を形成し、
前記第二取付突起の前記少なくとも2つの曲面のいずれか一方には前記フィルタに連通するフィルタ容器の管路のフィルタ容器管路孔が形成され、
前記第二取付突起保持部の前記開口と前記フィルタ容器管路孔とは、前記回転中心軸回りに前記フィルタ容器を回転させることにより、前記第二取付突起保持部の前記内周面の任意の箇所において第二取付突起保持部の前記開口と前記フィルタ容器の前記フィルタ容器管路孔とが合致し、前記任意の箇所以外の箇所では第二取付突起保持部の前記開口と前記フィルタ容器の前記フィルタ容器管路孔とが合致しない着脱装置。
【請求項7】
請求項5に記載の着脱装置であって、前記第二取付突起保持部の前記外周面の曲面と対応する内周面と、前記第二取付突起保持部の外側と連通する前記切欠きとの接合部は曲面である着脱装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一項に記載の着脱装置であって、
前記第二取付突起はフランジを有し、そのフランジは、その直径が前記第二取付突起保持部の前記内周面の直径よりも大きい部分を有する着脱装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の着脱装置であって、
前記第一取付突起保持部は、前記第一取付突起保持部の前記内周面に形成された前記開口とは別に、流体が流れる他の開口を備え、
前記第一取付突起保持部の前記他の開口と前記フィルタ容器管路孔とが、流体的に接続可能な着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、たとえば、内部にフィルタ等が内蔵されるフィルタ容器の着脱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体の濾過を目的とした装置の管路では、その管路の一部に、フィルタ等が内蔵され、着脱可能に配置されるフィルタ容器を使用する場合がある。たとえば、所定量の濾過が終了した際などに、古いフィルタ容器は取り外されて新しいフィルタ容器に交換される。このような管路では、上流側の管路の端部と下流側の管路の端部との間に、管路の一部を欠いたマニホールドを具備している。フィルタ容器は、この上流側の管路の端部と下流側の管路の端部との間に、着脱可能に取り付けることが可能な構造を有している。フィルタ容器には、内部に流路が形成され、その流路の両端に流路入口と流路出口を有している。流路には、フィルタ等が配置される。一般に、上流側の管路の端部と下流側の管路の端部は、マニホールドの一部として構成されていて、フィルタ容器がマニホールドに取り付けられると、流体が流入するフィルタ容器の流路入口が上流側管路の端部と接合し、流体が排出される流路出口が下流側管路の端部と接合する。これで、流路の一部を欠いている管路にフィルタ容器内の流路が結合され、流れ回路システムの管路が完成する。たとえば、特許文献1から特許文献3には、ホルダとしてのマニホールドに、着脱可能なフィルタ容器を取り付ける例が記載されている。
【0003】
特許文献1から特許文献3には、いずれも既設管路の一部として、着脱して交換が可能なフィルタ容器で管路を形成する例が開示されている。特許文献1から特許文献3では、マニホールド側の管路の一端と他端との間の距離が不変である。いずれの特許文献でも、フィルタ容器は、フィルタ容器の一端にフィルタ容器に濾過すべき流体が流れ込む流路入口を有し、その流路入口と反対側のフィルタ容器の他端に流路出口が配置されている。そして、流路入口の延在する方向と、流路出口の延在する方向とが同一方向となっている。
【0004】
特許文献1および2は、フィルタ容器を枢動運動により、マニホールドに取り付ける例である。特許文献1の例では、フィルタ容器は収縮および伸長が可能な構造になっていて、フィルタ容器を縮めた状態で、フィルタ容器の下側の管路端部をマニホールドの枢軸に嵌めこみ、フィルタ容器を縮めた状態で枢動動作によりフィルタ容器の上側をマニホールド内に移動させ、フィルタ容器を伸長させて、フィルタ容器の管路をマニホールドの管路に嵌めこむように結合させる。しかし、フィルタ容器に収縮/伸長の機能を持たせると、フィルタ容器の構造が複雑になり、フィルタ容器の製造のためのコストおよび耐久性の低下の問題が生じる。
【0005】
一方、特許文献2の例では、フィルタ容器には収縮/伸長の機能がなく、フィルタ容器の下側の管路端部を球体として、その球体を枢軸とし、枢動動作によりフィルタ容器の上側をマニホールド内に移動させて、フィルタ容器の管路をマニホールドの管路に嵌めこむように結合させるものである。しかし、このような枢動動作によるフィルタ容器の取り付けでは、枢軸と反対側端の可動域が大きいため、シール部材の摺擦距離が長く、シール部材の摩耗が大きくなって、発塵の問題が生じる。
【0006】
これに対し、特許文献3では、枢動動作を利用せずに、フィルタ容器を着脱可能に構成する例が開示されている。特許文献3では、フィルタ容器は、マニホールドの上流側の管路の端部と下流側の管路の端部の間に、それらの管路を結ぶ仮想直線に対して垂直方向から、またフィルタ容器をフィルタ容器の流路入口と流路出口の方向がその仮想直線の方向となる方向に、並進動作で、装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5397462号公報
【特許文献2】特開2007−253154号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2013/0228509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
流体の濾過を目的とした装置において、フィルタ容器をマニホールドに着脱可能に取り付けることを可能とするためには、流体の漏れを防ぐために、フィルタ容器の流体出入口とマニホールドの流体出入口との接合部が、高い密封度を有している必要がある。しかし、特許文献3に開示されるように、マニホールド側の管路の一端と他端との間の距離が不変である上にフィルタ容器を並進動作で取り付けるような着脱装置において、フィルタ容器の流体出入口とマニホールドの流体出入口との接合部の高い密着度を確保すると、フィルタ容器の流体出入口とマニホールドの流体出入口との接合部の摩擦が大きくなり、着脱作業が困難になる。したがって、マニホールド側の管路の一端と他端との間の距離が不変である上にフィルタ容器を並進動作で取り付けるような着脱装置において、高い密着度を確保しながら容易な着脱をすることが求められる。特に、フィルタ容器を脱着させる際に、簡易な方法で、取り付けられることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
フィルタにより流体の濾過を行う濾過装置の一部として、前記フィルタを内蔵するフィルタ容器を着脱可能に取り付ける着脱装置であって、前記フィルタ容器は、その一端に前記フィルタと連通する管路を内部に有し前記フィルタ容器から突出する第一取付突起を有していて、前記第一取付突起は回転中心軸を有し、前記第一取付突起の外周面は、前記回転中心軸と垂直な断面において前記回転中心軸を中心とする円弧の少なくとも一部となるように形成される少なくとも2つの曲面と、前記少なくとも2つの曲面のそれぞれと結合する2つの面と、を有し、前記着脱装置は、前記第一取付突起を保持し、前記流体の管路が結合されている第一取付突起保持部を有し、前記第一取付突起保持部は、前記外周面の曲面と対応する内周面と、前記内周面と前記第一取付突起保持部の外側と連通する切欠きであって、その切欠きの幅は前記2つの曲面の円弧の弦のうち長い方の弦よりも大きな幅を有している切欠きと、を備える着脱装置により、解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、並進動作およびフィルタ容器の回転動作のみでフィルタ容器の着脱が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明が適用される実施の形態1の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着前の状態を示している。
【
図2】本発明が適用される実施の形態1の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって固定前の状態を示している。
【
図3】本発明が適用される実施の形態1の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって固定後の状態を示している。
【
図5A】本発明の一の実施の形態であって、
図4Bに対応した図であって、第一取付突起を第一取付突起保持部の切欠きから挿入された状態を示した図である。
【
図5B】
図5Aの実施の形態において、
図4Bに対応した図であって、第一取付突起21の第一管路2aが内周面31aの開口31bと合致した状態を示した図である。
【
図5C】本発明の他の実施の形態であって、
図4Bに対応した図であって、第一取付突起を第一取付突起保持部の切欠きから挿入された状態を示した図である。
【
図5D】
図5Cの実施の形態において、
図4Bに対応した図であって、第一取付突起21の第一管路2aが内周面31aの開口31bと合致した状態を示した図である。
【
図6】本発明が適用される実施の形態3の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着前の状態を示している。
【
図7】本発明が適用される実施の形態3の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって固定前の状態を示している。
【
図8】本発明が適用される実施の形態3の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって一の方向への流路に対しての固定後の状態を示している。
【
図10】本発明が適用される実施の形態3の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって他の方向への流路に対しての固定後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
図1から
図5Aから
図5Dを参照して、本願発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1において、フィルタにより流体の濾過に使用する濾過装置におけるフィルタ容器着脱装置1を示している。フィルタ容器着脱装置1は、マニホールド3に取り付けられていて、フィルタが内蔵されているフィルタ容器2の着脱をする着脱装置である。
図1は、フィルタ容器2が分離している状態を示している。
【0013】
フィルタ容器2は、その内部空間にフィルタ(不図示)が内蔵されたカプセル形状の容器である。フィルタ容器2は、フィルタ容器2から突出するように延在する第一取付突起21を有している。また、フィルタ容器2は、第一取付突起21が配置される側と反対側の端部に第二取付突起22を有している。フィルタ容器2の内部のフィルタが配置されている内部空間(不図示)には第一管路2aと第二管路2bとが接続されている。第一管路2aはその内部空間(不図示)から第一取付突起21内に配設され、第二管路2bはその内部空間から第二取付突起22内に配設される。
【0014】
フィルタ容器2は、フィルタ容器2から第一取付突起21と第二取付突起22とに向かう方向に画定される回転中心軸2cを有している。その回転中心軸は、第一取付突起21の回転中心軸として、および第一取付突起21の回転中心軸と同心となる第二取付突起22の回転中心軸として、画定される。
【0015】
第一取付突起21は、回転中心軸2cと垂直な断面において回転中心軸2cを中心とする円の弧の少なくとも一部となるように形成される少なくとも2つの曲面21aと、その曲面21aのそれぞれと結合する2つの面21bとを有する。同様に、第二取付突起22は、回転中心軸2cと垂直な断面において回転中心軸2cを中心とする円の弧の少なくとも一部となるように形成される少なくとも2つの曲面22aと、その曲面22aのそれぞれと結合する2つの面22bとを有する。代表的には、2つの面21bのそれぞれと、2つの面22bのそれぞれは平行であるが、角度を有するように設定しても良い。
【0016】
第一取付突起21内の第一管路2aは、少なくとも2つの曲面21aの一方にフィルタ容器管路孔21cを形成するように連通する。また、第二取付突起22内の第二管路2bも、同様に、2つの曲面22aの一方の任意の箇所にフィルタ容器管路孔22cを形成するように連通する。代表的には、
図1に示すように、フィルタ容器管路孔21cが形成されている側に対応する方向の曲面22aにフィルタ容器管路孔22cを形成するように連通させる。すなわち、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとを同一の側に形成させる。そして、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとを、回転中心軸2cまわりに同一の角度の位置に配置することができる。しかし、この実施の形態では、フィルタ容器管路孔21cが形成されている側と対応する方向の曲面22aにフィルタ容器管路孔22cを形成するように連通させているが、これは反対側の曲面22aに形成させてもよい。また、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとを、回転中心軸2cまわりに異なる角度の位置に配置してもよい。
本明細書では、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとを、回転中心軸2cまわりに同一の側の面および同一の角度の位置に配置する例で説明する。たとえば、第一管路2aと第二管路2bとは、それぞれ、内部空間から第一取付突起21と第二取付突起22とのそれぞれに向かって延在し、そこからたとえば垂直に、曲面21aおよび曲面22aに向かって、曲がるようにする。ただし、垂直でなくても曲面21aと曲面22aに、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとがそれぞれ形成されればよい。フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cの周囲には、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとから流体が外側に流れ出さないようなガスケットやパッキンなどのシール材21dが配置される。この実施の形態では、フィルタ容器管路孔21cが形成されている側と対応する方向の曲面22aにフィルタ容器管路孔22cを形成するように連通させているが、これは反対側の曲面22aに形成させてもよい。
【0017】
たとえば、本実施の形態のように、フィルタ容器2において、第一取付突起21と第二取付突起22との向きは、フィルタ容器2の回転中心軸2c周りに同じ角度を向いているように設定する。また、フィルタ容器管路孔21cとフィルタ容器管路孔22cとを、回転中心軸2cまわりに同一の角度の位置に配置することもできる。ただし、この角度は、違えることも可能である。さらに、また、第一取付突起21内の第一管路2aのフィルタ容器管路孔21cの位置と、第二取付突起22内の第二管路2bのフィルタ容器管路孔22cの位置とを、フィルタ容器2の回転中心軸2c周りに任意の方向(異なる角度)を向いているように設定できる。本実施の形態では、一例として、フィルタ容器管路孔21cの位置と、フィルタ容器管路孔22cの位置とも、代表的にはフィルタ容器2の回転中心軸2c周りに任意の方向(同じ角度)を向いている。
【0018】
マニホールド3は、流体の濾過を行う濾過装置としての流れ回路の一部である。濾過される流体は、マニホールド3は、上流管路4と下流管路5を有している。上流管路4は第一取付突起保持部31に接続され、下流管路5は第二取付突起保持部32に接続されている。流れ回路は、第一取付突起保持部31と、第二取付突起保持部32との間に、流路の欠落部を有していて、マニホールド3に取り付けられるフィルタ容器2の第一管路2aおよび第二管路2bとフィルタ容器2の内部空間とがその欠落部を補う。この実施の形態では、上流管路4を鉛直方向下側と下流管路5を鉛直方向上側とした実施の形態として説明しているが、逆に鉛直方向上側を上流管路4と鉛直方向下側を下流管路5としてもよい。
【0019】
第一取付突起保持部31は、その中央部に円筒状の貫通孔を有している。第一取付突起保持部31は、その貫通孔と第一取付突起保持部31の外側とを連通する切欠き31cを有している。その貫通孔の内周面31aの形状は、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態におけるフィルタ容器2の回転中心軸2cに対して垂直な任意の断面が、第一取付突起21の中央には前記回転中心軸2cを中心とする円の弧となっている。その円の径は、ほぼ少なくとも2つの曲面21aの一方と他方との間の面間距離となるように設定される。さらに、貫通孔の内周面31aの形状は、詳細には、少なくとも2つの曲面21aの一方には、シール材21dが配置されているので、このシール材21dが押しつぶされて少なくとも2つの曲面21a貫通孔の内周面31aで挟持されるような形状である。切欠き31cの幅は、少なくとも2つの曲面21aの円弧の弦の長さが等しいときはその弦の長さ、少なくとも2つの曲面21aの円弧の弦の長さが異なるときは長い方の弦の長さ、よりも大きな幅を有している。
図1から
図5に示す本実施の形態では、少なくとも2つの曲面21aの円弧の弦の長さが等しいので、その切欠きの開口幅は、曲面21aの円弧の弦の長さとなっている。第一取付突起21はフランジ21eを有し、フランジ21eの直径は、第一取付突起保持部31の内周面31aの直径よりも大きい。同様に、第二取付突起22はフランジ22eを有し、フランジ22eの直径は、第一取付突起保持部32の内周面32aの直径よりも大きい。
【0020】
一方、第二取付突起保持部32の形状も同様である。第二取付突起保持部32は、その中央部に円筒状の貫通孔を有している。第二取付突起保持部32は、その貫通孔と第二取付突起保持部32の外側とを連通する切欠き32cを有している。その貫通孔の内周面32aの形状は、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態におけるフィルタ容器2の回転中心軸2cに対して垂直な任意の断面において、第二取付突起22の中央には回転中心軸2cを中心とする円の弧となっている。切欠き31cの幅は、少なくとも2つの曲面22aの円弧の弦の長さが等しいときはその弦の長さ、少なくとも2つの曲面22aの円弧の弦の長さが異なるときは長い方の弦の長さ、よりも大きな幅を有している。
【0021】
上流管路4は、第一取付突起保持部31の内周面31aに形成される開口31bに連通している。下流管路5は、第二取付突起保持部32の内周面32aに形成される開口32bに連通している。開口31bと開口32bは、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態において、回転中心軸2c周りに、開口31bと開口32bとがなす角が、フィルタ容器2の第一取付突起21のフィルタ容器管路孔21cと第二取付突起22のフィルタ容器管路孔22cとがなす角となるように設定する。代表的には、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態における回転中心軸2c周りに開口31bと開口32bとがなす角は0度または180度に設定するのが使用上簡易であるので、この場合には、フィルタ容器2の第一取付突起21のフィルタ容器管路孔21cと第二取付突起22のフィルタ容器管路孔22cとがなす角も0度または180度と設定する。
【0022】
続いて、
図2、
図3および
図4Aから
図4Cを参照して、フィルタ容器2をマニホールドへ取り付ける方法について、その各状態とともに説明する。
図2は、フィルタ容器2をマニホールド3に装着した固定前状態を示している。
図3は、フィルタ容器2をマニホールド3に装着した固定後状態を示している。
図4A、
図4Bおよび
図4Cは、それぞれ、
図1の断面4A−4Aを示した図、
図2の断面4B−4Bを示した図および
図3の断面4C−4Cを示した図である。
【0023】
まず、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付ける。このとき、フィルタ容器2は、第一取付突起21を第一取付突起保持部31の切欠き31c内に、第二取付突起22を第二取付突起保持部32の切欠き32c内に、それぞれ挿入するように、マニホールド3に取り付ける(
図1および
図2)。このとき、第一取付突起21は、切欠き31cの壁面に面21bが沿うように(
図4A)、曲面21aの一方が第一取付突起保持部31の内周面31aに接触するまで(内周面31aにシール部材が配置される場合にはそのシール部材が接触するまで)、挿入される(
図4B)。ここで、「曲面21aの一方が第一取付突起保持部31の内周面31aに接触する」とは、曲面21aの一部としてシール材21dが第一取付突起保持部31の内周面31aに接触することを含む。このときは、フィルタ容器管路孔21cの位置は、第一取付突起保持部31の内周面31aの開口の位置と、合致していない。このため、この状態では、上流管路4と第一管路2aとは接続しておらず、上流管路4と第一管路2aとは流体的に接続していない。第二取付突起保持部32と第二取付突起22との関係も同様な手順で取り付けられる。同様に、下流管路5と第二管路2bとも流体的に接続していない。
【0024】
続いて、フィルタ容器2をフィルタ容器2の回転中心軸2c周りに、上流管路4と第一管路2aとが流体的に接続し、下流管路5と第二管路2bとが流体的に接続する位置まで回転する(
図4C)。このとき、シール材21dが第一取付突起保持部31の内周面31aに押しつぶされて、第一取付突起保持部31の内周面31aが第一取付突起21を挟持する。第二取付突起保持部32と第二取付突起22との関係も同様である。この状態で、はじめて上流管路4と第一管路2aとが接続し、上流管路4と第一管路2aとは流体的に接続する。流体は、上流管路4から第一管路2aを経てフィルタ容器2内のフィルタを通って、第二管路2bを経て下流管路5へと至る経路が完成する。
【0025】
図5Aおよび
図5Bは、本実施の形態の変形例を説明している。この変形例では、第一取付突起保持部31の内周面31aの形状に違いがある。すなわち、第一取付突起保持部31の内周面31aに突起31eが配置される。突起31eは、回転軸2cについて、切欠き31cと反対側の壁面から突出する形状である。突起31eは、第一取付突起21が第一取付突起保持部31の切欠き31cから、切欠き31cの壁面に面21bが沿うように挿入された際に、その面21bに沿った面を具備している。すなわち、突起31eは第一取付突起21が第一取付突起保持部31の開口31bに向かう側と反対側に移動しないように、逆回転を防止できる位置に配置できる。また、突起31eは、第一取付突起21が切欠き31cから挿入された後に、第一取付突起21を第一管路2aが内周面31aの開口31bと合致する位置における面21bに沿った面を具備している。これにより、第一取付突起21が第一取付突起保持部31の切欠き31cから挿入された際、突起31eの一方の面が第一取付突起21の面21bと接触して第一取付突起21が適正な回転方向に回転するように第一取付突起21の移動方向を規制し(
図5A)、そこから第一取付突起21を回転させると、突起31eの他方の面が第一取付突起21の面21bと接触して第一取付突起21の移動方向を規制し、その箇所にて第一取付突起21を第一管路2aが内周面31aの開口31bと合致するようになる(
図5B)。
一方、
図5Cおよび
図5Dは別の実施の形態の突起31fと突起31gの例である。
図5Aおよび
図5Bに示した実施の形態では、一つの突起31eで、第一取付突起21の二つの方向の移動を規制した。
図5Cおよび
図5Dに示した実施の形態では、突起31fおよび突起31gの二つの突起で、それぞれの方向の移動を規制する。すなわち、突起31fは、回転軸2cについて、切欠き31cと反対側の壁面から突出する形状であって、第一取付突起21が第一取付突起保持部31の切欠き31cから、切欠き31cの壁面に面21bが沿うように挿入された際に、その面21bに沿った面を具備している。一方、突起31gは、第一取付突起21が切欠き31cから挿入された後に、第一取付突起21を第一管路2aが内周面31aの開口31bと合致する位置における面21bに沿った面を具備している。これにより、第一取付突起21が第一取付突起保持部31の切欠き31cから挿入された際、突起31fの面が第一取付突起21の面21bと接触して第一取付突起21が適正な回転方向に回転するように第一取付突起21の移動方向を規制し(
図5C)、そこから第一取付突起21を回転させると、突起31gの面が第一取付突起21の面21bと接触して第一取付突起21の移動方向を規制し、その箇所にて第一取付突起21を第一管路2aが内周面31aの開口31bと合致するようになる(
図5D)。
【0026】
(実施の形態2)
続いて、
図6から
図10を参照して、本願発明の実施の形態2について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2において、フィルタにより流体の濾過に使用する濾過装置におけるフィルタ容器着脱装置6を示している。フィルタ容器着脱装置6は、マニホールド3に取り付けられていて、フィルタが内蔵されているフィルタ容器2の着脱をする着脱装置である点は同一である。以下、実施の形態2では、実施の形態1と異なる点について説明する。
【0027】
実施の形態1では一の上流管路4が配置されていたのに対し、実施の形態2では、複数系統の複数の管路から構成させることもできる。すなわち、実施の形態2では、たとえば上流管路4として別系統の2つの管路を有するようにしている点である。すなわち、上流管路4は、第一上流管路4aと第二上流管路4bとを有し、それぞれが第一取付突起保持部31に、流体的に接続されている。第一上流管路4aと第二上流管路4bとは、同一の流体を流しても良いし、異なる流体を流しても良い。実施の形態2では、第一取付突起21が、第一上流管路4a、または第二上流管路4bとの間で、流路の切り替えを行うことが出来る点が異なる。また、下流管路5も、上流管路4と同様に、複数系統の複数の管路としてもよい。
【0028】
第一上流管路4aは第一取付突起保持部31の内周面31aに開口31bを形成するように連通している。一方、第二上流管路4bは第一取付突起保持部31の内周面31aに開口31dを形成するように連通している。開口31bと開口31dは、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態において、回転中心軸2c周りに、異なる位置に配置されている(
図9)。
【0029】
一方、実施の形態1と異なり、下流管路5は第二取付突起保持部32に取り付けられない。フィルタ容器2には、実施の形態1における第二取付突起22の代わりに、取付突起23が配置されている。取付突起23には、フィルタが内部に配置される内部空間につながる円筒形の流路口23aが取り付けられている。流路口23aは、フィルタ容器2に直接取り付けることもできる。この場合には、取付突起23を回転可能に保持する第二取付突起保持部32は不要となる。流路口23aの位置は、取付突起23は、回転中心軸2c周りの角度依存性がない。たとえば、流路口23aは回転中心軸2cの方向に延在するように配置される。第二取付突起保持部32側には、保持ブロック33が取り付けられる。保持ブロック33は、流路口23aを回転可能に受容し、上流管路4が流体的に接続される孔33aを有している。これにより、フィルタ容器2を回転中心軸2c周りに回転させても、流路口23aは常に下流管路5と流体的につながることができる。ここでは、上流管路4を鉛直方向下側と下流管路5を鉛直方向上側とした実施の形態として説明したが、逆に鉛直方向上側を上流管路4と鉛直方向下側を下流管路5としてもよい。
【0030】
続いて、実施の形態2の着脱装置について説明する。フィルタ容器2をマニホールド3に取り付ける。このとき、フィルタ容器2は、第一取付突起21を第一取付突起保持部31の切欠き31c内に、第二取付突起22を第二取付突起保持部32の切欠き32c内に、それぞれ挿入するように、マニホールド3に取り付ける。このとき、第一取付突起21は、切欠き31cの壁面に面21bが沿うように、曲面21aの一方が第一取付突起保持部31の内周面31aに接触するまで挿入される。ここで、フィルタ容器2を全体的に下げて、フィルタ容器2の排出取付突起23を排出ブロック33の孔33aに挿入する。これにより、下流管路5と第二管路2bは常に流体的に接続する。また、このときは、フィルタ容器管路孔21cの位置は、第一取付突起保持部31の内周面31aの開口31bの位置と、合致していない。この状態では、上流管路4は第一管路2aとは接続しておらず、上流管路4と第一管路2aとは流体的に接続していない点で実施の形態1と同様である。
【0031】
続いて、実施の形態1と同様に、フィルタ容器2を、フィルタ容器2の回転中心軸2c周りに、第一管路2aと第一下流管路4aとが流体的に接続する位置、すなわち、フィルタ容器管路孔21cが第一取付突起保持部31の内周面31aの開口31bと合致する位置まで回転する(
図8)。このとき、シール材21dが第一取付突起保持部31の内周面31aに押しつぶされて、第一取付突起保持部31の内周面31aが第一取付突起21を挟持する。この状態で、はじめて第一上流管路4aと第一管路2aとが流体的に接続する。第一上流管路4aから第一管路2aを経てフィルタ容器2内のフィルタを通って、排出口23aを経て下流管路5へと至る経路が完成する。
【0032】
次に、実施の形態2では、この経路から、第二上流管路4bから第一管路2aを経てフィルタ容器2内のフィルタを通って、排出口23aを経て下流管路5へと至る経路へと切り替えが可能である。すなわち、第一取付突起保持部31の内周面31aには、第一上流管路4aの開口31bと異なる位置に第二上流管路4bの開口31dが穿設されているので、フィルタ容器2をフィルタ容器2の回転中心軸2c周りに、フィルタ容器管路孔21cが第一取付突起保持部31の内周面31aの開口31dとが合致する位置まで回転する(
図10)。すなわち、第一管路2aと第二上流管路4bとが流体的に接続する位置まで回転させる。これにより、第一管路2aと第一上流管路4aとの接続が絶たれて、第二上流管路4bから第一管路2aを経てフィルタ容器2内のフィルタを通って、排出口23aを経て下流管路5へと至る経路が完成する。
【符号の説明】
【0033】
1,6 フィルタ容器着脱装置
2 フィルタ容器
3 マニホールド
4 上流管路
4a 第一上流管路
4b 第二上流管路
5 下流管路
21 第一取付突起
22 第二取付突起
31 第一取付突起保持部
32 第二取付突起保持部