(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803405
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】フィルタ容器着脱システム
(51)【国際特許分類】
B01D 27/08 20060101AFI20201214BHJP
B01D 35/30 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
B01D27/08
B01D35/30
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-562815(P2018-562815)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】JP2017001800
(87)【国際公開番号】WO2018134954
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232885
【氏名又は名称】株式会社ロキテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】金城 隆司
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0228509(US,A1)
【文献】
国際公開第2016/185506(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/185504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/00−27/14
B01D 29/00−29/96
B01D 35/00−35/34
C02F 1/00−1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタにより流体の濾過を行う濾過装置の一部として、前記フィルタを内蔵するフィルタ容器を着脱可能に取り付ける着脱装置であって、
前記フィルタ容器の一端に前記フィルタと連通する管路を内部に有し前記フィルタ容器から突出するように前記フィルタ容器に取り付けられている第一取付突起と、
前記流体の第一管路が結合され、円筒形状部を有し、前記円筒形状部の側面に前記第一取付突起を受容可能な開口溝を有する回転コマと、
前記回転コマの前記円筒形状部の前記側面を保持する内周面を有する第一取付突起保持部であって、前記第一取付突起保持部の外側と前記内周面とを連通する切欠き部を有する第一取付突起保持部と、を具備し、
前記切欠き部を介して前記開口溝に前記第一取付突起の挿入が行われた状態で、前記回転コマが回転して、前記第一取付突起が、前記第一取付突起保持部の前記内周面と前記回転コマとの間に挟持がなされるフィルタ着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ着脱装置であって、
前記フィルタ容器の他端に前記フィルタと連通する管路を内部に有し前記フィルタ容器から突出する第二取付突起と、
前記流体の第二管路が結合され、円筒形状部を有し、前記円筒形状部の側面に前記第二取付突起を受容可能な第二開口溝を有する他の回転コマと、
前記他の回転コマの前記円筒形状部の前記側面を保持する内周面を有する第二取付突起保持部であって、前記第二取付突起保持部の外側と前記内周面とを連通する第二切欠き部を有する第二取付突起保持部と、をさらに具備し、
前記第二切欠き部を介して前記第二開口溝に前記第二取付突起の挿入が行われた状態において、前記第一取付突起の回転に伴って前記回転コマが回転する際に、前記第二取付突起が回転して前記他の回転コマが回転し、前記第二取付突起が、前記第二取付突起保持部の前記内周面と前記他の回転コマとの間に挟持がなされるフィルタ着脱装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ着脱装置であって、
前記回転コマは、前記第一取付突起が前記開口溝に挿入可能に前記開口溝と前記切欠き部が合致する合致位置と、前記開口溝と前記切欠き部とが合致しない非合致位置とを有して回転が可能なように前記回転コマの前記側面が前記第一取付突起保持部の前記内周面に保持され、
前記第一取付突起の前記挿入は前記合致位置において行われ、前記第一取付突起の前記挟持は前記開口溝に前記第一取付突起が挿入された後に前記非合致位置において行われるフィルタ着脱装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタ着脱装置であって、
前記他の回転コマは、前記合致位置では前記第二取付突起が前記第二開口溝に挿入可能に前記第二開口溝と前記第二切欠き部とが合致し、前記非合致位置では前記第二開口溝と前記第二切欠き部が合致しないように、かつ前記回転が可能なように前記他の回転コマの前記側面が前記第二取付突起保持部の前記内周面に保持され、
前記第二取付突起の前記挿入は前記合致位置において行われ、前記第二取付突起の前記挟持は前記開口溝に前記第二取付突起が挿入された後に前記非合致位置において行われるフィルタ着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、たとえば、内部にフィルタ等が内蔵されるフィルタ容器の着脱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体の濾過を目的とした装置の管路では、その管路の一部に、フィルタ等が内蔵され、着脱可能に配置されるフィルタ容器を使用する場合がある。たとえば、所定量の濾過が終了した際などに、古いフィルタ容器は取り外されて新しいフィルタ容器に交換される。このような管路では、上流側の管路の端部と下流側の管路の端部との間に、管路の一部を欠いたマニホールドを具備している。フィルタ容器は、この上流側の管路の端部と下流側の管路の端部との間に、着脱可能に取り付けることが可能な構造を有している。フィルタ容器には、内部に流路が形成され、その流路の両端に流路入口と流路出口を有している。流路には、フィルタ等が配置される。一般に、上流側の管路の端部と下流側の管路の端部は、マニホールドの一部として構成されていて、フィルタ容器がマニホールドに取り付けられると、流体が流入するフィルタ容器の流路入口が上流側管路の端部と接合し、流体が排出される流路出口が下流側管路の端部と接合する。これで、流路の一部を欠いている管路にフィルタ容器内の流路が結合され、流れ回路システムの管路が完成する。たとえば、特許文献1から特許文献3には、ホルダとしてのマニホールドに、着脱可能なフィルタ容器を取り付ける例が記載されている。
【0003】
特許文献1から特許文献3には、いずれも既設管路の一部として、着脱して交換が可能なフィルタ容器で管路を形成する例が開示されている。特許文献1から特許文献3では、マニホールド側の管路の一端と他端との間の距離が不変である。いずれの特許文献でも、フィルタ容器は、フィルタ容器の一端にフィルタ容器に濾過すべき流体が流れ込む流路入口を有し、その流路入口と反対側のフィルタ容器の他端に流路出口が配置されている。そして、流路入口の延在する方向と、流路出口の延在する方向とが同一方向となっている。
【0004】
特許文献1および2は、フィルタ容器を枢動運動により、マニホールドに取り付ける例である。特許文献1の例では、フィルタ容器は収縮および伸長が可能な構造になっていて、フィルタ容器を縮めた状態で、フィルタ容器の下側の管路端部をマニホールドの枢軸に嵌めこみ、フィルタ容器を縮めた状態で枢動動作によりフィルタ容器の上側をマニホールド内に移動させ、フィルタ容器を伸長させて、フィルタ容器の管路をマニホールドの管路に嵌めこむように結合させる。しかし、フィルタ容器に収縮/伸長の機能を持たせると、フィルタ容器の構造が複雑になり、フィルタ容器の製造のためのコストおよび耐久性の低下の問題が生じる。
【0005】
一方、特許文献2の例では、フィルタ容器には収縮/伸長の機能がなく、フィルタ容器の下側の管路端部を球体として、その球体を枢軸とし、枢動動作によりフィルタ容器の上側をマニホールド内に移動させて、フィルタ容器の管路をマニホールドの管路に嵌めこむように結合させるものである。しかし、このような枢動動作によるフィルタ容器の取り付けでは、枢軸と反対側端の可動域が大きいため、シール部材の摺擦距離が長く、シール部材の摩耗が大きくなって、発塵の問題が生じる。
【0006】
これに対し、特許文献3では、枢動動作を利用せずに、フィルタ容器を着脱可能に構成する例が開示されている。特許文献3では、フィルタ容器は、マニホールドの上流側の管路の端部と下流側の管路の端部の間に、それらの管路を結ぶ仮想直線に対して垂直方向から、またフィルタ容器をフィルタ容器の流路入口と流路出口の方向がその仮想直線の方向となる方向に、並進動作で、装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5397462号公報
【特許文献2】特開2007−253154号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2013/0228509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
流体の濾過を目的とした装置において、フィルタ容器をマニホールドに着脱可能に取り付けることを可能とするためには、流体の漏れを防ぐために、フィルタ容器の流体出入口とマニホールドの流体出入口との接合部が、高い密封度を有している必要がある。しかし、特許文献3に開示されるように、マニホールド側の管路の一端と他端との間の距離が不変である上にフィルタ容器を並進動作で取り付けるような着脱装置において、フィルタ容器の流体出入口とマニホールドの流体出入口との接合部におけるシール材の高い密着度を確保すると、フィルタ容器の流体出入口とマニホールドの流体出入口との接合部の摩擦が大きくなり、着脱作業が困難になる。さらには、着脱時の摩擦が大きいことにより、接合部におけるシール材の摩耗が激しく、磨耗によりシール材から生じた塵で流体品質が低下したり、シール材の変形に伴って密着度が低下して、フィルタ容器としての耐久性が低下する問題がある。したがって、マニホールド側の管路の一端と他端との間の距離が不変である上にフィルタ容器を並進動作で取り付けるような着脱装置において、高い密着度を確保しながら容易な着脱をすることが求められる。特に、フィルタ容器を脱着させる際に、簡易な方法で、取り付けられることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
フィルタにより流体の濾過を行う濾過装置の一部として、前記フィルタを内蔵するフィルタ容器を着脱可能に取り付ける着脱装置であって、その一端に前記フィルタと連通する管路を内部に有し前記フィルタ容器から突出するように前記フィルタ容器に取り付けられている第一取付突起と、前記流体の第一管路が結合され、前記第一取付突起を受容可能な開口溝を有する回転コマと、前記回転コマを回転可能に保持し、内周面と、前記内周面の外側と連通する切欠き部を有する第一取付突起保持部と、を具備し、前記切欠き部を介して前記開口溝に前記第一取付突起が挿入された状態で、前記回転コマが回転して、前記第一取付突起が、前記第一取付突起保持部の前記内周面と前記回転コマとの間に挟持されるフィルタ着脱装置により解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、フィルタ容器の着脱が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明が適用される実施の形態1の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着前の状態を示している。
【
図2】本発明が適用される実施の形態1の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって固定前の状態を示している。
【
図3】本発明が適用される実施の形態1の着脱装置であって、フィルタ容器をマニホールドに装着後であって固定後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
図1および
図5を参照して、本願発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1において、フィルタにより流体の濾過に使用する濾過装置におけるフィルタ容器着脱装置1を示している。フィルタ容器着脱装置1は、マニホールド3に取り付けられていて、フィルタ(不図示)が内蔵されているフィルタ容器2の着脱をする着脱装置である。
図1は、フィルタ容器2が、フィルタ容器着脱装置1から分離している状態を示している。
図5は、フィルタ容器2が、フィルタ容器着脱装置1から分離している状態における第一取付突起保持部31の断面を示した図であって、
図1の断面5―5に対応した図である。
【0013】
フィルタ容器2は、代表的には、円筒形状をしており、その内部空間にフィルタが内蔵されたカプセル形状の容器である。内部空間には、内部管路2aと内部管路2bとが接続されている。フィルタ容器2は、その一端側に、フィルタ容器2から突出するように延在する第一取付突起21を有している。また、フィルタ容器2は、第一取付突起21が配置される側と反対側である他端側に第二取付突起22を有している。フィルタ容器2の内部のフィルタが配置されている内部空間(不図示)には内部管路2aと内部管路2bとが接続されている。第一取付突起21は、回転摺動面21aと並進摺動面21bを側面に有している。第二取付突起22は、回転摺動面22aと並進摺動面22bを側面に有している。第一取付突起21は端部に端面21cを有しており、第二取付突起22は端部に端面22cを有している。端面21cと端面22cとは、傾斜を有する傾斜面である。内部管路2aは内部空間(不図示)から第一取付突起21内に配設され、第一取付突起21の端面21cに達して、開口を形成している。内部管路2bはその内部空間から第二取付突起22内に配設され、第二取付突起22の端面22cに達して、開口を形成している。それらの開口の周囲には、開口から流体が外側に流れ出さないようなパッキンなどのシール材23が配置される。
【0014】
フィルタ容器2は、フィルタ容器2から第一取付突起21と第二取付突起22とに向かう方向に画定される回転中心軸2eを有している。その回転中心軸2eは、第一取付突起21の回転中心軸2eとして、および第一取付突起21の回転中心軸2eと同心となる第二取付突起22の回転中心軸2eとして画定される。回転摺動面21aと回転摺動面22aは、曲面として形成されている。その曲面形状は、フィルタ容器2の回転中心軸2eに垂直な面で切った断面が、フィルタ容器2の回転中心軸2eまわりの仮想円の外周の一部を形成する形状となっている。一方、並進摺動面21bと並進摺動面22bは、それぞれ、一の平面と、その反対側に位置する他の平面との一対の平面の形で形成されている。その平面形状は、フィルタ容器2の回転中心軸2eに垂直な面で切った断面は、フィルタ容器2の回転中心軸2eまわりの仮想円の弦に対応する形状となっている。並進摺動面21bと並進摺動面22bとを平行に形成することができる。また、並進摺動面21bと並進摺動面22bとが、角度をもったように形成することもできる。並進摺動面21bと並進摺動面22bを構成するそれぞれの一対の平面のなす角度は、並進摺動面21bと並進摺動面22bとで平行である必要はなく、異なっていてよい。
【0015】
フィルタ容器着脱装置1は、第一取付突起保持部31と、第二取付突起保持部32と、を具備している。第一取付突起保持部31と、第二取付突起保持部32とは、マニホールド3に取り付けられている。第一取付突起保持部31は回転コマ41を回動可能に保持している。第二取付突起保持部32は回転コマ42を回動可能に保持している。回転コマ41および回転コマ42は、いずれも軸対称形状をしている。たとえば、円錐台または円筒の形状をしている。その軸対称形状の回転軸は、回転コマ41がフィルタ容器2の回転摺動面21aを保持した状態でのフィルタ容器2の回転中心軸2eであり、また回転コマ42がフィルタ容器2の回転摺動面22aを保持した状態での、フィルタ容器2の回転中心軸2eである。
【0016】
回転コマ41には第一管路11が接続されている。回転コマ42には第二管路12が接続されている。第一管路11を上流管路として、第二管路12を下流管路としてもよい。逆に、第二管路12を上流管路として、第一管路11を下流管路としてもよい。第一管路11と第二管路12との間には管路の欠落部がある。この欠落部にフィルタ容器2が着脱可能に取り付けられた際に、フィルタ容器2の内部空間が内部管路2aと内部管路2bとを介して、第一管路11と第二管路12とが接続される。濾過される流体は、第一管路11から内部管路2aとフィルタ容器2の内部空間と内部管路2bとを経て第二管路12へと導かれる。
【0017】
第一取付突起保持部31に保持された回転コマ41は、フィルタ容器2の第一取付突起21を脱着可能に保持する。第二取付突起保持部32に保持された回転コマ42は、フィルタ容器2の第二取付突起22を脱着可能に保持する。第一取付突起保持部31は、その中央部に円筒状の貫通孔を有している。第一取付突起保持部31は、さらに、その貫通孔と第一取付突起保持部31の外側とを連通する切欠き部31aを有している。その貫通孔の内周面31bは曲面形状をしている。この貫通孔の内周面31bの形状は、回転コマ41の外周面の形状に対応する。この形状によって、回転コマ41の外周が、貫通孔の内周面31bに沿って回転し、その際に、回転コマ41がフィルタ容器2の回転中心軸2eまわりに回転するようになっている。すなわち、貫通孔の内周面31bの曲面形状は、回転コマ41がフィルタ容器2の回転中心軸2eまわりの軸対称形状である。つまり、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態におけるフィルタ容器2の回転中心軸2eに対して垂直な任意の断面において、フィルタ容器2の前記回転中心軸2eを中心とする円の弧の形状となっている。
【0018】
同様に、第二取付突起保持部32は、その中央部に円筒状の貫通孔を有している。第二取付突起保持部32は、その貫通孔と第二取付突起保持部32の外側とを連通する切欠き部32aを有している。その貫通孔の内周面32bは曲面形状をしている。この貫通孔の内周面32bの形状は、回転コマ42の外周面の形状に対応する。この形状によって、回転コマ42の外周が、貫通孔の内周面32bに沿って回転し、その際に、回転コマ42がフィルタ容器2の回転中心軸2eまわりに回転するようになっている。すなわち、貫通孔の内周面32bの曲面形状は、回転コマ42がフィルタ容器2の回転中心軸2eまわりの軸対称形状である。つまり、フィルタ容器2をマニホールド3に取り付けた状態におけるフィルタ容器2の回転中心軸2eに対して垂直な任意の断面において、フィルタ容器2の前記回転中心軸2eを中心とする円の弧の形状となっている。
【0019】
第一取付突起保持部31の切欠き部31aの幅は、少なくとも第一取付突起21における一方の並進摺動面21bと他方の並進摺動面21bとの面間距離よりも大きい。一方の並進摺動面21bと他方の並進摺動面21bの面間距離が一定でない場合には、切欠き部31aの幅は、最大の面間距離よりも大きくする。同様に、第二取付突起保持部32の切欠き部32aの幅は、少なくとも第二取付突起21の一方の並進摺動面22bと他方の並進摺動面22bとの面間距離よりも大きい。一方の並進摺動面22bと他方の並進摺動面22bとの面間距離が一定でない場合には、切欠き部32aの幅は、最大の面間距離よりも大きくする。
【0020】
回転コマ41はその側面の周部に、フィルタ容器2の第一取付突起21を受容可能な開口溝41aを具備していて、フィルタ容器2の第一取付突起21を脱着可能に保持する。開口溝41aは、内部に内壁面41bを具備する。フィルタ容器2の第一取付突起21が開口溝41aに取り付けられる際には、第一取付突起21の並進摺動面21bが開口溝41aの内壁面41bに沿って第一取付突起21が回転コマ41に挿入される。また、さらには、第一取付突起21は、第一取付突起21が回転コマ41に挿入された際に、挿入方向に沿った係合部21dを有している。特には、第一取付突起21には、第一取付突起21が回転コマ41に挿入され際に、挿入方向に沿った係合部21dを有するようにしてもよい。この場合、開口溝41aの内壁面41bに、係合部21dと係合して摺動可能な保持係合部41cを配置する。さらに、保持係合部41cが係合部21dを支えて保持できるような構造にすることもできる。これにより、第一取付突起21は、開口溝41aの保持係合部41cに保持されながら、回転コマ41内に挿入される。
【0021】
同様に、回転コマ42はその側面の周部に、フィルタ容器2の第二取付突起22を受容可能な開口溝42aを具備していて、フィルタ容器2の第二取付突起22を脱着可能に保持する。開口溝42aは、第一取付突起21を受容する開口溝41aと同様に、内部に内壁面42bを具備する。フィルタ容器2の第二取付突起22が開口溝42aに取り付けられる際には、第二取付突起22の並進摺動面22bが開口溝42aの内壁面42bに沿って第二取付突起22が回転コマ42に挿入される。また、さらには、第二取付突起22は、第二取付突起22が回転コマ42に挿入された際に、挿入方向に沿った係合部22dを有している。特には、第二取付突起22には、第二取付突起22が回転コマ42に挿入され際に、挿入方向に沿った係合部22dを有するようにしてもよい。この場合、開口溝42aの内壁面42bに、係合部22dと係合して摺動可能な保持係合部42cを配置する。さらに、保持係合部42cが係合部22dを支えて保持できるような構造にすることもできる。これにより、第二取付突起22は、開口溝42aの保持係合部42cに保持されながら、回転コマ42内に着脱可能に挿入される。
【0022】
回転コマ41の開口溝41aの第一管路11の管路開口41eが位置する面には、開口溝41aにフィルタ容器2の第一取付突起21が挿入される方向に向かって傾斜している傾斜面41dを有している。また、回転コマ42の開口溝42aの第二管路12の管路開口42eが位置する面には、開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される方向に向かって傾斜している傾斜面42dを有している。傾斜面41dと傾斜面42dとは、代表的には、開口溝41aと開口溝42aのそれぞれにフィルタ容器2の第一取付突起21と第二取付突起22とが挿入される方向の任意の位置における傾斜角が一定の平面であるが、その任意の位置における傾斜角が異なるような曲面でもよい。すなわち、傾斜面41dと傾斜面42dとの形状は、開口溝41aと開口溝42aとの開口側から奥側に向かって、任意の位置における傾斜面41dと傾斜面42dとの距離が縮まるような形状である。開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される状態において、開口溝41aにフィルタ容器2の第一取付突起21が挿入され、開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される方向に、第一取付突起21の端面21cと第二取付突起22の端面22cとの距離が小さくなるような面である。
【0023】
フィルタ容器2の第一取付突起21の端面21cの傾斜は、回転コマ41の開口溝41aと同様に、開口溝41aにフィルタ容器2の第一取付突起21が挿入される方向に向かって傾斜している。フィルタ容器2の第二取付突起22の端面22cの傾斜は、回転コマ42の開口溝42aと同様に、開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される方向に向かって傾斜している。フィルタ容器2の第一取付突起21の端面21cと回転コマ41の開口溝41aの傾斜面41dとは、互いに相補的な形状をしている。同様に、フィルタ容器2の第二取付突起22の端面22cと回転コマ42の開口溝42aの傾斜面42dとは、互いに相補的な形状をしている。ここで相補的な形状とは、第一取付突起21の端面21cと第二取付突起22の端面22cとの傾斜が、フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に取り付けられる際、すなわち、開口溝41aにフィルタ容器2の第一取付突起21が挿入され、開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される状態において、開口溝41aにフィルタ容器2の第一取付突起21が挿入され、開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される方向に、第一取付突起21の端面21cと第二取付突起22の端面22cとの距離が小さくなるような面である。たとえば、開口溝42aにフィルタ容器2の第二取付突起22が挿入される方向に向かって傾斜した平面または曲面である。
【0024】
続いて、フィルタ容器着脱装置1が、いかに機能するかについて、
図1から
図9を参照して、説明する。
図2は、フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に取り付けた状態を示している。
図3は、フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に固定した状態を示している。
図4Aは、フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に取り付ける前の状態における第一取付突起保持部31の上側から見た図を示している。
図4Bは、フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に取り付けた状態における第一取付突起保持部31の上側から見た図を示している。
図4Cは、フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に取り付けて固定した状態における第一取付突起保持部31の上側から見た図を示している。
図6は、フィルタ容器2がフィルタ容器着脱装置1に取り付けられた状態における第一取付突起保持部31の断面を示した図であって、
図2の断面6―6に対応した図である。
図7は、フィルタ容器2がフィルタ容器着脱装置1に固定された状態における第一取付突起保持部31の断面を示した図であって、
図3の断面7―7に対応した図である。
【0025】
フィルタ容器2をフィルタ容器着脱装置1に取り付ける。その際には、回転コマ41の開口溝41aの開口入口は、第一取付突起保持部31の切欠き部31aの側を向いており、回転コマ42の開口溝42aの開口入口は、第二取付突起保持部32の切欠き部32aの側を向いている。第一取付突起保持部31の切欠き部31aと第二取付突起保持部32の切欠き部32aとを介して、フィルタ容器2の第一取付突起21および第二取付突起22を、それぞれ、回転コマ41の開口溝41aと回転コマ42の開口溝42aとの内部に挿入する。これは、断面図でみると、
図4Aおよび
図5に示した状態から
図4Bおよび
図6に示した状態に移行する状態である。その際には、フィルタ容器2の第一取付突起21の並進摺動面21bが開口溝41aの内壁面41bに沿って回転コマ41に挿入されるとともに、第二取付突起22の並進摺動面22bが開口溝42aの内壁面42bに沿って回転コマ42に挿入される。
【0026】
フィルタ容器2の第一取付突起21および第二取付突起22を、それぞれ、回転コマ41の開口溝41aと回転コマ42の開口溝42aとの内部に挿入する。フィルタ容器2の第一取付突起21および第二取付突起22を、それぞれ、回転コマ41の開口溝41aと回転コマ42の開口溝42aとの内部に挿入した状態では、開口溝41aと開口溝42aとの開口入口側に位置する第一取付突起21および第二取付突起22の回転摺動面21aは、それぞれ、第一取付突起保持部31の内周面31bおよび第二取付突起保持部32内周面32bよりも外側に位置する。これは、第一取付突起21の端面21c上に配置されたシール材23と、第二取付突起22の端面22c上に配置されたシール材23との反発力によって、回転コマ41の開口溝41aと回転コマ42の開口溝42aとの内部には、入りこむことができないようになっているからである。
【0027】
続いて、フィルタ容器2を回転中心軸2e周りに回転させる。これによって、第一取付突起21および第二取付突起22が回転する。第一取付突起21および第二取付突起22の回転に伴って、第一取付突起保持部31内の回転コマ41と第二取付突起保持部32内の回転コマ42が回転する。これは、断面図でみると、
図4Bおよび
図6に示した状態から
図4Cおよび
図7に示した状態に移行する状態である。このとき、第一取付突起保持部31の内周面31bおよび第二取付突起保持部32の内周面32bよりも外側に位置していた第一取付突起21の回転摺動面21aおよび第二取付突起22の回転摺動面22aが第一取付突起保持部31の内周面31bおよび第二取付突起保持部32の内周面32bに押し込まれる。これにより、第一取付突起21の端面21c上に配置されたシール材23が傾斜面41dと、第二取付突起22の端面22c上に配置されたシール材とが押し込まれて密着する。
【0028】
フィルタ容器2は樹脂製であることを考慮する場合、第一取付突起21の端面21cと第二取付突起22の端面22cとの距離には、金属加工の場合に比べて、比較的大きめの製造公差が発生する。また、温度などの環境によって寸法の変化も生じうる。そこで、回転コマ41と回転コマ42は、フィルタ容器2の回転中心軸2eの方向にも移動が可能であるようにする。第一取付突起保持部31の内周面31bと回転コマ41との間隔は、第一取付突起21の回転摺動面21aが第一取付突起保持部31の内周面31bにより押し込まれた際に、第一取付突起21の端面21cと第二取付突起22の端面22cとの距離には、製造公差の範囲内で、シール材とが押し込まれて密着できる間隔として設定する。
【0029】
これにより、並進動作およびフィルタ容器の回転動作のみでフィルタ容器の着脱が可能となるとともに、シール材の磨耗を低下させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 フィルタ容器着脱装置
2 フィルタ容器
3 マニホールド
11 第一管路
12 第二管路
21 第一取付突起
22 第二取付突起
31 第一取付突起保持部
32 第二取付突起保持部
41 回転コマ
42 回転コマ