特許第6803414号(P6803414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803414
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】エアクリーナー
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/024 20060101AFI20201214BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   F02M35/024 511C
   F02M35/10 301D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-12744(P2019-12744)
(22)【出願日】2019年1月29日
(65)【公開番号】特開2020-122393(P2020-122393A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新村 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】山崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】小山 寛晃
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊博
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−063665(JP,A)
【文献】 特開2003−322062(JP,A)
【文献】 特開2010−071111(JP,A)
【文献】 特開2019−085933(JP,A)
【文献】 実開昭57−031561(JP,U)
【文献】 国際公開第2019/142279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気に通じるダーティルーム(51a)、および、浄化空気の供給先である内燃機関(29)に通じるクリーンルーム(51b)を形成するクリーナー容器(45)と、
前記ダーティルーム(51a)および前記クリーンルーム(51b)の間で前記クリーナー容器(45)内に配置されるクリーナーエレメント(47)と、
前記クリーナー容器(45)に固定されて、前記クリーナー容器(45)外の空間に前記ダーティルーム(51a)を連通する吸気ダクト(58)と、を備えるエアクリーナー(39)において、
前記吸気ダクト(58)の上流端(58a)には、第1厚み(t)の肉厚を有し、吸気路を囲む第1壁体(64)と、前記第1厚み(t)よりも大きい第2厚み(s)の肉厚を有し、前記第1壁体(64)の外壁面との間に間隔(Ga)を維持して周方向に延びる第2壁体(65)とが形成され、それら第1,第2壁体(64,65)間の空間は、前記吸気ダクト(58)の前記上流端(58a)側に開口す
ことを特徴とするエアクリーナー。
【請求項2】
請求項1に記載のエアクリーナーにおいて、前記第2壁体(65)は、前記第1壁体(64)との間に間隔(Ga)を維持する二重管壁(65a)と、周方向に前記二重管壁(65a)から連続し前記第1壁体(64)に結合され、前記二重管壁(65a)の外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体(65b)とを有することを特徴とするエアクリーナー。
【請求項3】
請求項2に記載のエアクリーナーにおいて、前記第2壁体(65)の前記結合体(65b)は中実に形成されることを特徴とするエアクリーナー。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエアクリーナーにおいて、前記結合体(65b)の外面は、前記クリーナー容器(45)との間に間隙(Ca)を形成することを特徴とするエアクリーナー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアクリーナーにおいて、前記吸気ダクト(58)の下流端(58b)には、吸気路を囲む第3壁体(67)と、前記第3壁体(67)の外壁面との間に間隔(Gb)を維持して周方向に延びる第4壁体(68)とが形成される
ことを特徴とするエアクリーナー。
【請求項6】
請求項5に記載のエアクリーナーにおいて、前記第4壁体(68)は、前記第3壁体(67)との間に間隔(Gb)を維持する二重管壁(68a)と、周方向に前記二重管壁(68a)から連続し前記第3壁体(67)に結合され、前記二重管壁(68a)の外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体(68b)とを有し、前記第4壁体(68)の前記結合体(68b)の外面は前記クリーナー容器(45)との間に間隙(Cd)を形成することを特徴とするエアクリーナー。
【請求項7】
請求項6に記載のエアクリーナーにおいて、前記第4壁体(68)の前記結合体(68b)は中実に形成されることを特徴とするエアクリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気に通じるダーティルーム、および、浄化空気の供給先である内燃機関に通じるクリーンルームを形成するクリーナー容器と、ダーティルームおよびクリーンルームの間でクリーナー容器内に配置されるクリーナーエレメントと、クリーナー容器に固定されて、クリーナー容器外の空間にダーティルームを連通する吸気ダクトとを備えるエアクリーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動二輪車でキャブレターに空気を導く吸気ダクトを開示する。吸気ダクトは、キャブレターに接続される管状部と、管状部の吸気上流側に設けられて管状部よりも大きい内径を有するチャンバー部と、管状部に連続してチャンバー部の内部空間へと突出し、管状部の流路に連通する延長流路を形成する延長内壁部とを備える。管状部の流路が延長されることで、管状部から導入される気流の乱流が抑制され、気流の整流が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−43165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものでは、吸気路を延長するには余分なスペースが必要であって、構造も複雑になることから、少ないスペースで効果的に整流を実現する技術が要望される。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、少ないスペースで効果的に整流を実現するエアクリーナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、外気に通じるダーティルーム、および、浄化空気の供給先である内燃機関に通じるクリーンルームを形成するクリーナー容器と、前記ダーティルームおよび前記クリーンルームの間で前記クリーナー容器内に配置されるクリーナーエレメントと、前記クリーナー容器に固定されて、前記クリーナー容器外の空間に前記ダーティルームを連通する吸気ダクトとを備えるエアクリーナーにおいて、前記吸気ダクトの上流端には、第1厚みの肉厚を有し、吸気路を囲む第1壁体と、前記第1厚みよりも大きい第2厚みの肉厚を有し、前記第1壁体の外壁面との間に間隔を維持して周方向に延びる第2壁体とが形成され、それら第1,第2壁体間の空間は、前記吸気ダクトの前記上流端側に開口する。
【0007】
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記第2壁体は、前記第1壁体との間に間隔を維持する二重管壁と、周方向に前記二重管壁から連続し前記第1壁体に結合され、前記二重管壁の外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体とを有する。
【0008】
第3側面によれば、第2側面の構成に加えて、前記第2壁体の前記結合体は中実に形成される。
【0009】
第4側面によれば、第2または第3側面の構成に加えて、前記結合体の外面は、前記クリーナー容器との間に間隙を形成する。
【0010】
第5側面によれば、第1〜第4側面のいずれか1の構成に加えて、前記吸気ダクトの下流端には、吸気路を囲む第3壁体と、前記第3壁体の外壁面との間に間隔を維持して周方向に延びる第4壁体とが形成される。
【0011】
第6側面によれば、第5側面の構成に加えて、前記第4壁体は、前記第3壁体との間に間隔を維持する二重管壁と、周方向に前記二重管壁から連続し前記第3壁体に結合され、前記二重管壁の外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体とを有し、前記第4壁体の前記結合体の外面は、前記クリーナー容器との間に間隙を形成する。
【0012】
第7側面によれば、第6側面の構成に加えて、前記第4壁体の前記結合体は中実に形成される。
【発明の効果】
【0013】
第1側面によれば、吸気ダクトの上流端は第1壁体および第2壁体で二重管化され、それら第1,第2壁体間の空間は、吸気ダクトの上流端側に開口する。その結果、吸気ダクトの上流端では、吸気ダクト内の流速が均一化され、吸気効率が向上する。吸気ダクトの延長は不要であって、少ないスペースで効果的に吸気ダクト内の気流の整流は実現される。特に、第1壁体の肉厚は第2壁体の肉厚よりも縮小されることから、第1壁体の肉厚が第2壁体の肉厚と等しい場合に比べて、吸気効率の向上は促進されることができる。
【0014】
第2側面によれば、吸気ダクトの上流端では、さらに吸気ダクト内の流速が均一化され、吸気効率が向上する。
【0015】
第3側面によれば、第2壁体の結合体は効果的に吸気効率の向上に貢献することができる。
【0016】
第4側面によれば、吸気ダクトの上流端で、結合体の外面とクリーナー容器との間に間隙が形成されると、結合体の外面がクリーナー容器の内面に隙間なく重ねられる場合に比べて、吸気ダクト内の流速が均一化され、吸気効率が向上する。
【0017】
第5側面によれば、吸気ダクトの下流端に壁体が配置されることから、負圧の圧力波が吸気ダクトの下流端から上流端に向かって伝播する際に、負圧の圧力波は下流端の内周に沿って渦巻き逆流せずにスムースに下流端に流入する。圧力波は効率的に上流端に向かって伝播する。圧力波は吸気ダクトの上流端で位相反転し、正圧の圧力波は上流端から下流端に伝播する。圧力波が下流端からダーティルームに流入する際に、圧力波は壁体の影響を受けずにスムースにダーティルームに流れ込む。こうして吸気効率は高められることができる。運転性能は向上する。
【0018】
第6側面によれば、吸気ダクトの下流端で、結合体の外面とクリーナー容器との間に間隙が形成されると、結合体の外面がクリーナー容器の内面に隙間なく重ねられる場合に比べて、圧力波は効率的に上流端に向かって伝播する。吸気効率は高められることができる。
【0019】
第7側面によれば、第4壁体の結合体は効果的に吸気効率の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る鞍乗り型車両(自動二輪車)の全体像を概略的に示す側面図である。
図2】エアクリーナーの拡大平面図である。
図3】水平な切断面で観察されるエアクリーナーの拡大断面図である。
図4】吸気ダクトの上流端を概略的に示す拡大斜視図である。
図5】(A)中心軸線を含む吸気ダクトの断面図、(B)矢視5Bからの平面図、および(C)矢視5Cからの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、上下および左右の各方向は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向をいう。
【0022】
図1は鞍乗り型車両の一実施形態に係るスクーター型自動二輪車を概略的に示す。自動二輪車11は、車体フレーム12と、車体フレーム12に装着される車体カバー13とを備える。車体フレーム12のヘッドパイプにはフロントフォーク16と棒状の操向ハンドル15とが操向可能に支持される。フロントフォーク16には車軸14回りに回転自在に前輪WFが支持される。
【0023】
車体カバー13にはリアフレームの上方で乗員シート17が搭載される。車体カバー13は、ヘッドパイプを前方から覆うフロントカバー21と、フロントカバー21から連続するレッグシールド22と、レッグシールド22の下端から連続して、乗員シート17および前輪WFの間でメインフレームの上方に配置されるステップフロア23と、リアフレーム上で乗員シート17を支持するリアカバー24とを備える。レッグシールド22は、乗員シート17に跨がる乗員の膝の前方に配置される。
【0024】
リアカバー24の下方にはユニットスイング式の駆動ユニット25が配置される。駆動ユニット25はブラケット26に上下方向に揺動自在に連結される。ブラケット26はリアフレームの前端に結合される。駆動ユニット25の後端には水平軸回りで回転自在に後輪WRが支持される。ブラケット26から離れた位置でリアフレームと駆動ユニット25との間にはリアクッションユニット28が配置される。リアクッションユニット28は路面の凹凸から車体フレーム12に伝わる振動を吸収する。
【0025】
駆動ユニット25は、水冷4ストローク単気筒の内燃機関29と、内燃機関29の機関本体29aに結合されて後輪WRの左側で後方に延びる伝動ケース31とを備える。伝動ケース31には、内燃機関29の出力を後輪WRに伝達する伝動装置が収容される。内燃機関29の機関本体29aは、回転軸線回りで回転自在にクランクシャフトを支持するクランクケース33と、クランクケース33に結合されるシリンダーブロック34と、シリンダーブロック34に結合されるシリンダーヘッド35と、シリンダーヘッド35に結合されるヘッドカバー36とを備える。シリンダーブロック34にはピストンの線形往復運動を案内するシリンダーが形成される。ピストンとシリンダーヘッド35との間に燃焼室は形成される。ピストンの線形往復運動に応じて内燃機関29の吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程は繰り返される。
【0026】
シリンダーヘッド35には、燃焼室に通じる吸気道に接続され、吸気道に外気を導入する吸気装置37と、燃焼室に通じる排気道に接続され、排気道から外気環境に向かって排ガスを排出する排気装置38とが結合される。吸気装置37は、伝動ケース31に支持されて、取り込み口39aから外気を吸入するエアクリーナー39と、シリンダーヘッド35にエアクリーナー39を接続するスロットルボディ41とを備える。スロットルボディ41にはスロットルが組み込まれる。スロットルはエアクリーナー39から供給される浄化空気の流量を調整する。
【0027】
シリンダーヘッド35の上部側壁には燃料噴射弁42が取り付けられる。燃料噴射弁42から浄化空気に燃料が噴射されて混合気は形成される。混合気は吸気弁の作用を経て燃焼室に導入される。
【0028】
排気装置38は、シリンダーヘッド35の下部側壁から機関本体29aの下方を通って後方に延びる排気管43と、排気管43の下流端に接続されてクランクケース33に連結されるサイレンサー(図示されず)とを備える。燃焼後の排ガスは排気弁の作用を経て燃焼室から排出される。
【0029】
図2に示されるように、エアクリーナー39は、外気および浄化空気の供給先(内燃機関29)に通じる内空間を形成するクリーナー容器45を備える。クリーナー容器45は、第1器体45aと、垂直面VPに沿って第1器体45aに気密に結合される第2器体45bとで内空間を区画する。垂直面VPはクランクシャフトの回転軸線に直交する仮想平面に平行に規定される。第1器体45aおよび第2器体45bは例えば樹脂材から成型される。
【0030】
第2器体45bにはコネクティングチューブ46が固定される。コネクティングチューブ46は、第2器体45bの外壁に差し込まれて、クリーナー容器45の外側の下流端46aでスロットルボディ41に連結される。コネクティングチューブ46は例えばゴム材といった弾性体から形成される。コネクティングチューブ46はクリーナー容器45からスロットルボディ41に浄化空気を供給する。
【0031】
図3に示されるように、第1器体45aおよび第2器体45bの間にはクリーナーエレメント47を保持する隔壁48が挟まれる。隔壁48と第1器体45aとの間に未浄化の外気を収容するダーティルーム51aが形成される。隔壁48と第2器体45bとの間に浄化空気を収容するクリーンルーム51bが形成される。クリーナー容器45の内空間はダーティルーム51aおよびクリーンルーム51bに仕切られる。ダーティルーム51aおよびクリーンルーム51bの間にクリーナーエレメント47は配置される。外気はクリーナーエレメント47で浄化されクリーンルーム51bに導入される。
【0032】
コネクティングチューブ46の上流端には、クリーンルーム51bに配置される室内ダクト52が接続される。室内ダクト52は、クリーンルーム51bの内壁から直立する複数のボス53の先端に個々に重なるタブ54を有する。タブ54がボス53の先端にねじ55止めされることで室内ダクト52はクリーンルーム51b内に浮遊状態で支持される。室内ダクト52は例えば硬質の樹脂材から成型される。
【0033】
室内ダクト52の上流端はクリーンルーム51bに開口する。クリーンルーム51b内の浄化空気は室内ダクト52およびコネクティングチューブ46からスロットルボディ41に流入する。こうしてクリーンルーム51bは内燃機関29に通じる。
【0034】
第1器体45aには、内空間の外側で側方から第1器体45aを覆うケースカバー56が結合される。ケースカバー56は、第1器体45aとの間に導入室57を区画する。導入室57は取り込み口39aに接続される。導入室57には取り込み口39aから外気が流入する。
【0035】
第1器体45aには、導入室57で開口する上流端58aと、ダーティルーム51aに開口する下流端58bとを有する吸気ダクト58が固定される。吸気ダクト58の内壁面59は、上流端58aから下流端58bまで隔壁48に並列に車両の前後方向に延びる吸気路を区画する。内壁面59は、軸方向に長い円柱空間を囲む曲面域59aと、円柱空間の上流端から吸気路の上流端に向かって拡大する拡径空間を囲む拡径域59bと、円柱空間の下流端から吸気路の下流端に向かって拡大する拡径空間を囲む拡径域59cとを有する。個々の拡径域59b、59cは、円柱空間を区画する管壁の壁厚よりも小さい軸方向長さを有する。未浄化の外気は、導入室57から吸気路に流入しダーティルーム51aに供給される。こうしてダーティルーム51aは外気に通じる。
【0036】
第1器体45aの外壁には、吸気ダクト58を保持する取り付け口61が形成される。吸気ダクト58は取り付け口61で第1器体45aの外壁を貫通する。吸気ダクト58の外壁面には軸方向から第1器体45aの外壁を挟む1対の固定用フランジ62が形成される。吸気ダクト58は固定用フランジ62の働きで第1器体45aの取り付け口61に対して軸方向に固定される。吸気ダクト58は例えばゴム材といった弾性体から形成される。
【0037】
図4に示されるように、吸気ダクト58の上流端58aには、吸気路を囲む第1壁体(管壁)64と、少なくとも部分的に第1壁体64の外壁面との間に間隔Gaを維持して周方向に延びる第2壁体65とが形成され、それら第1,第2壁体64,65間の空間は、吸気ダクト58の上流端58a側に開口する。図5に示されるように、第1壁体64は、円柱空間を囲む領域で円形断面の径方向に第1厚みtの肉厚を有する。第1壁体64の肉厚は周方向に均一であればよい。したがって、第1壁体64の外壁面は、円柱空間の中心軸線Xcに同軸の曲面(部分円筒面)に形成される。
【0038】
第2壁体65は、第1壁体64との間に間隔Gaを維持する二重管壁65aと、周方向に二重管壁65aから連続し第1壁体64に結合され、二重管壁65aの外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体65bとを有する。結合体65bは中実に形成される。ここでは、周方向に2つの結合体65bが配置される。結合体65bの外面は平面で形成される。図3に示されるように、結合体65bの外面は、クリーナー容器45の外壁面およびケースカバー56の内壁面にそれぞれ向き合わせられる。結合体65bの外面とクリーナー容器45の外壁面との間には間隙Caが区画される。結合体65bの外面とケースカバー56の内壁面との間には間隙Cbが区画される。
【0039】
図5に示されるように、第2壁体65の二重管壁65bは、円形断面の径方向に第1厚みtよりも大きい第2厚みsの肉厚を有する。二重管壁65bの肉厚は周方向に均一であればよい。したがって、二重管壁65bの内壁面および外壁面は円柱空間の中心軸線Xcに同軸の曲面(部分円筒面)に形成される。
【0040】
第1壁体64の下流端には、外壁面から外側に広がって二重管壁65bの下流端に接続されるフランジ体66が結合される。フランジ体66は隙間Gaの下流端を塞ぐ。第1壁体64の第1厚みtはフランジ体66から下流の管壁よりも薄い厚みに設定される。したがって、隙間Gaは、管壁を囲む場合に比べて、吸気路に接近する。
【0041】
ここでは、第2壁体65の上流端は、第1壁体64の上流端を含む仮想平面PLに接する。すなわち、第1壁体64の上流端と第2壁体65の上流端とは同一仮想平面上にある。ただし、第2壁体65の上流端は、第1壁体64の上流端を含む仮想平面PLよりも前方に延びて仮想平面PLに交差してもよい。
【0042】
第1壁体64の外壁面と二重管壁65bとの距離DFは円柱空間の外径DPの10%〜30%に設定される。ここでは、第1壁体64および第2壁体65は同軸の円筒体に形成されることから、距離DFは第1壁体64の外壁面と第2壁体65との径方向差に相当する。
【0043】
吸気ダクト58の下流端58bには、吸気路を囲む第3壁体(管壁)67と、少なくとも部分的に第3壁体67の外壁面との間に間隔Gbを維持して周方向に延びる第4壁体68とが形成される。第3壁体67は、円柱空間を囲む領域で円形断面の径方向に第3厚みyの肉厚を有する。第3壁体67の肉厚は周方向に均一であればよい。したがって、第3壁体67の外壁面は、円柱空間の中心軸線Xcに同軸の曲面(部分円筒面)に形成される。
【0044】
第4壁体68は、第3壁体67との間に間隔Gbを維持する二重管壁68aと、周方向に二重管壁68aから連続し第3壁体67に結合され、二重管壁68aの外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体68bとを有する。結合体68bは中実に形成される。ここでは、周方向に2つの結合体68bが配置される。結合体68bの外面は平面で形成される。結合体68bの外面はクリーナー容器45の内壁面に向き合わせられる。結合体68bの外面とクリーナー容器45の内壁面との間には間隙Cdが区画される。
【0045】
第4壁体68の二重管壁68aは、円形断面の径方向に第3厚みyに等しい第4厚みqの肉厚を有する。第4壁体qの肉厚は周方向に均一であればよい。したがって、二重管壁68aの内壁面および外壁面は円柱空間の中心軸線Xcに同軸の曲面(部分円筒面)に形成される。
【0046】
第3壁体67の上流端には、外壁面から外側に広がって二重管壁68aの上流端に接続されるフランジ体69が結合される。フランジ体69は隙間Gbの上流端を塞ぐ。第3壁体67の第3厚みyはフランジ体69から上流の管壁に等しい厚みに設定される。したがって、第3壁体67の第3厚みyは第1壁体65の第1厚みtよりも大きい。
【0047】
ここでは、第4壁体68の下流端は、第3壁体67の下流端を含む仮想平面PMに接する。すなわち、第3壁体67の下流端と第4壁体68の下流端とは同一仮想平面上にある。ただし、第4壁体68の下流端は、第3壁体67の下流端を含む仮想平面PMよりも後方に延びて仮想平面PMに交差してもよい。
【0048】
第3壁体67の外壁面と二重管壁68aとの距離DGは円柱空間の外径DPの10%〜30%に設定される。ここでは、第3壁体67および第4壁体68は同軸の円筒体に形成されることから、距離DGは第3壁体67の外壁面と第4壁体68との径方向差に相当する。
【0049】
次に本実施形態の動作を説明する。ピストンの線形往復運動に応じて内燃機関29の吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程は繰り返されると、吸気ダクト58からクリーナー容器45内のダーティルーム51aに外気は導入される。外気はクリーナーエレメント47を通過して浄化されクリーンルーム51bに導入される。クリーンルーム51b内の浄化空気は室内ダクト52からコネクティングチューブ46に流入し、スロットルボディ41に供給される。スロットルボディ41ではスロットルの働きでエアクリーナー39から供給される浄化空気の流量が調整される。スロットルボディ41から流出する浄化空気に燃料噴射弁42から燃料が噴射されて混合気は形成される。混合気は吸気弁の作用を経て燃焼室に導入される。
【0050】
本実施形態では、吸気ダクト58の上流端58aは第1壁体64および第2壁体65で二重管化され、それら第1,第2壁体64,65間の空間は、吸気ダクト58の上流端58a側に開口する。その結果、吸気ダクト58の上流端58aでは、吸気ダクト58内の流速が均一化され、吸気効率が向上する。吸気ダクト58の延長は不要であって、少ないスペースで効果的に吸気ダクト58内の気流の整流は実現される。特に、第1壁体64の肉厚は第2壁体65の肉厚よりも縮小されることから、第1壁体64の肉厚が第2壁体65の肉厚と等しい場合に比べて、吸気効率の向上は促進されることができる。
【0051】
本実施形態に係る吸気ダクト58では、第1壁体64との間に間隔Gaを維持する二重管壁65aと、周方向に二重管壁65aから連続し第1壁体64に結合され、二重管壁65aの外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体65bとで第2壁体65は形成される。その結果、吸気ダクト58の上流端では、第2壁体65の外面の曲率が縮小される際に曲率の縮小に合わせて間隙が縮小する場合に比べて、吸気ダクト内の流速が均一化され、吸気効率が向上する。本発明者は解析に基づき本効果を確認した。
【0052】
吸気ダクト58の上流端58aでは結合体65aの外面はクリーナー容器45およびケースカバー56との間に間隙Ca、Cbを形成する。吸気ダクト58の上流端58aで、結合体65aの外面とクリーナー容器45やケースカバー56との間に間隙Ca、Cbが形成されると、結合体65aの外面がクリーナー容器45やケースカバー56に隙間なく重ねられる場合に比べて、吸気ダクト58内の流速が均一化され、吸気効率が向上する。本発明者は解析に基づき本効果を確認した。
【0053】
内燃機関29の吸気では脈動効果が利用される。吸気弁が開くと、負圧の圧力波が生じてクリーンルーム51bおよびダーティルーム51aを経て吸気ダクト58の下流端58bから吸気ダクト58の上流端58aに向かって音速で伝播する。圧力波は吸気ダクト58の上流端58aで反転して正圧となって跳ね返り吸気ダクト58の下流端58bからダーティルーム51aおよびクリーンルーム51bに戻ってくる。
【0054】
このとき、本実施形態では、吸気ダクト58の下流端58bが第3壁体67および第4壁体68で二重管化されることから、負圧の圧力波が吸気ダクト58の下流端58bから上流端58aに向かって伝播する際に、負圧の圧力波は下流端58bの内周に沿って渦巻き逆流せずにスムースに下流端58bに流入する。圧力波は効率的に上流端58aに向かって伝播する。圧力波は吸気ダクト58の上流端58aで位相反転し、正圧の圧力波は上流端58aから下流端58bに伝播する。圧力波が下流端58bからダーティルーム51aに流入する際に、圧力波は第4壁体68の影響を受けずにスムースにダーティルーム51aに流れ込む。こうして吸気効率は高められる。運転性能は向上する。
【0055】
ここで、第4壁体68は、第3壁体67との間に間隔Gbを維持する二重管壁68aと、周方向に二重管壁68aから連続し第3壁体67に結合され、二重管壁68aの外面よりも小さい曲率の外面を有する結合体68bとを有する。第4壁体68の結合体68bの外面はクリーナー容器45との間に間隙Cdを形成する。その結果、結合体68bの外面がクリーナー容器45の内面に隙間なく重ねられる場合に比べて、圧力波は効率的に上流端58aに向かって伝播する。吸気効率は高められる。
【0056】
上記実施形態では、鞍乗り型車両としてスクーター型自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、モーターサイクル、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、内燃機関として水冷式4ストローク内燃機関を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は空冷式や2ストローク、または多気筒内燃機関に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
29…内燃機関、39…エアクリーナー、45…クリーナー容器、47…クリーナーエレメント、51a…ダーティルーム、51b…クリーンルーム、58…吸気ダクト、58a…上流端、58b…下流端、64…第1壁体、65…第2壁体、65a…二重管壁、65b…結合体、67…第3壁体、68…第4壁体、68a…二重管壁、68b…結合体、Ca…(結合体の外面と容器との)間隙、Cd…(結合体の外面と容器との)間隙、Ga…(第1壁体および第2壁体の)間隔、Gb…(第3壁体および第4壁体の)間隔、t…第1厚み、s…第2厚み。
図1
図2
図3
図4
図5