特許第6803454号(P6803454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803454
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】車両の外界センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20201214BHJP
   B60R 19/48 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   G01S7/03 240
   !B60R19/48 B
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-237192(P2019-237192)
(22)【出願日】2019年12月26日
(62)【分割の表示】特願2018-6333(P2018-6333)の分割
【原出願日】2018年1月18日
(65)【公開番号】特開2020-73897(P2020-73897A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 暁
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴斗
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−163600(JP,U)
【文献】 特開2003−54339(JP,A)
【文献】 特開平9−113607(JP,A)
【文献】 特開2006−214804(JP,A)
【文献】 特開2010−6105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02,19/02−19/50,21/00
G01S 7/00− 7/51,13/00−13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の状態を検知する外界センサと、
車体に取り付けられる主ブラケットと、
前記外界センサを保持し、前記主ブラケットに回転調整可能に取り付けられる保持ブラケットと、
前記外界センサの外界検出方向の外側周囲を覆うカバー部材と、を備え、
前記主ブラケットは、
前記保持ブラケットが回転調整可能に取り付けられるベース壁と、
前記ベース壁に対して前記外界センサの外界検知方向にオフセットした位置に配置される取付座と、を有し、
前記カバー部材は、前記取付座に取り付けられ、
前記保持ブラケットの前記外界センサの外界検出方向に臨む面には、前記保持ブラケットと前記主ブラケットの相対回転位置を固定する位置決め固定部材の操作部が配置され、
前記主ブラケットの前記取付座は、前記外界センサの外界検出方向から見て前記操作部と重ならない位置に配置されており、
前記外界センサの一側部の外側に配置されて、前記保持ブラケットと前記主ブラケットの相対回転位置を調整する位置調整機構をさらに備え、
前記操作部と前記取付座は、前記外界センサの一側部の外側と他側部の外側とに夫々配置され、
前記外界センサの一側部側に配置される前記取付座は、前記位置調整機構の治具挿入口と前記外界センサの外界検出方向で重ならない位置に一つ設けられ、
前記外界センサの他側部側に配置される前記取付座は、前記操作部を間に挟んで離間した位置に二つ設けられていることを特徴とする車両の外界センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波レーダ等の外界センサを備えた車両の外界センサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動ブレーキシステム等の運転支援システムが実用化されている。運転支援システムには、車両周囲の状態を監視するミリ波レーダ等の外界センサが用いられている。このようなシステムにおいて、外界センサの検出精度を確保するためには、外界センサの検出面を車両の適切な方向に向けて設置することが重要となる。
このため、検出面の指向方向を調整可能にした外界センサが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−317507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外界センサにおいて、検出面の指向方向を調整するための機構を設けることは有効であるが、この場合、外界センサに検出方向の周囲を覆うカバー部材が取り付けられていると、外界センサの指向方向の調整とともにカバー部材が変動してしまう。このため、外部からの見栄えが低下することが懸念される。
【0005】
そこで本発明は、外部からの見栄えの低下を招くことなく外界センサの指向方向を調整することができる車両の外界センサユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両の外界センサユニットは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る車両の外界センサユニットは、車両の周囲の状態を検知する外界センサ(例えば、実施形態の外界センサ11)と、車体に取り付けられる主ブラケット(例えば、実施形態の主ブラケット12)と、前記外界センサを保持し、前記主ブラケットが回転調整可能に取り付けられる保持ブラケット(例えば、実施形態の保持ブラケット13)と、前記外界センサの外界検出方向の外側周囲を覆うカバー部材(例えば、実施形態のカバー部材16)と、を備え、前記主ブラケットは、前記保持ブラケットに回転調整可能に取り付けられるベース壁(例えば、実施形態のベース壁12Aa)と、前記ベース壁に対して前記外界センサの外界検知方向にオフセットした位置に配置される取付座(例えば、実施形態の屈曲壁12Bl−2,12Br−2)と、を有し、前記カバー部材は、前記取付座に取り付けられ、前記保持ブラケットの前記外界センサの外界検出方向に臨む面には、前記保持ブラケットと前記主ブラケットの相対回転位置を固定する位置決め固定部材(例えば、実施形態の固定用ボルト37)の操作部(例えば、実施形態の頭部37a)が配置され、前記主ブラケットの前記取付座は、前記外界センサの外界検出方向から見て前記操作部と重ならない位置に配置されており、前記外界センサの一側部の外側に配置されて、前記保持ブラケットと前記主ブラケットの相対回転位置を調整する位置調整機構(例えば、実施形態の位置調整機構15)をさらに備え、前記操作部と前記取付座は、前記外界センサの一側部の外側と他側部の外側とに夫々配置され、前記外界センサの一側部側に配置される前記取付座は、前記位置調整機構の治具挿入口(例えば、実施形態の基部ガイド壁30c−1,変位規制壁30c−2)と前記外界センサの外界検出方向で重ならない位置に一つ設けられ、前記外界センサの他側部側に配置される前記取付座は、前記操作部を間に挟んで離間した位置に二つ設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記の構成により、外界センサの指向方向を調整しても、カバー部材は主ブラケットに位置固定された状態に維持される。このため、カバー部材が変動することによる見栄えの低下を招くことはない。
また、この場合、主ブラケットの取付座にカバー部材を取り付ける前に、保持ブラケットを主ブラケットに対して適宜回転させて外界センサの指向方向を調整する。この後、位置決め固定部材によって保持ブラケットと主ブラケットの相対回動位置を固定する。このとき、位置決め固定部材は、外界センサの外界方向から治具を挿入して操作部を操作されるが、主ブラケットの取付座は、治具の挿入経路から外れた位置に配置されている。このため、治具による位置決め固定部材の操作をスムーズに行うことができる。カバー部材は、この後に取付座に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、主ブラケットに設けられた取付座にカバー部材が取り付けられているため、外界センサの指向方向を調整してもカバー部材が変動することがない。したがって、本発明によれば、外部からの見栄えの低下を招くことなく、外界センサの指向方向を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の外界センサユニットが取り付けられた車両の正面図である。
図2】本発明の一実施形態の外界センサユニットの正面図である。
図3】本発明の一実施形態の外界センサユニットの上面図である。
図4】本発明の一実施形態の外界センサユニットの分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の外界センサユニットの斜視図である。
図6】本発明の一実施形態の外界センサユニットの図3のVI−VI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の外界センサユニット10が取り付けられた車両1の概略正面図である。
外界センサユニット10は、車体前部下方の左右の側縁部にそれぞれ設置されている。図1では、車両の前部右側に設置される外界センサユニット10のみが示されているが、車両の前部左側にも同様に外界センサユニット10が設置されている。外界センサユニット10は、後述する主ブラケット12(図2図6参照)を介して図示しない車体側のフレーム部材に取り付けられている。車両1のフロントバンパのバンパフェイス2の左右の下縁には、横長の略長方形状の開口3が形成されている。外界センサユニット10は、バンパフェイス2の開口3の後方位置に設置されている。
なお、図1中の符号4は、車両1の前席前方のフロントウインドシールドガラスであり、符号5は、エンジンフード、符号6は、ヘッドライトである。
【0011】
図2は、一部部品を取り去った外界センサユニット10を前方から見た図であり、図3は、一部部品を取り去った外界センサユニット10を上面から見た図である。また、図4は、外界センサユニット10の一部を分解して後部左斜め上方から見た図であり、図5は、外界センサユニット10を前部斜め上方から見た図である。なお、以下の外界センサユニット10の構造の説明における上下や左右、前後は、車体取付状態での上下や左右、前後を意味する。
外界センサユニット10は、車両の前方(車両の周囲の状態)を検知する外界センサ11と、外界センサ11を車体に取り付けるための主ブラケット12、及び、保持ブラケット13と、保持ブラケット13と主ブラケット12を回転可能に連結する回転機構14と、保持ブラケット13と主ブラケット12の相対回転位置を調整する位置調整機構15と、外界センサ11の前部側の周囲を覆うカバー部材16と、を備えている。
【0012】
外界センサ11は、長方体状の本体部の前面が外界検知面11aとされている。外界センサ11は、例えば、ミリ波レーダやレーザレーダ、超音波センサ、ソナー、光学カメラ等によって構成することができる。本実施形態では、外界センサ11としてミリ波レーダが採用されている。
【0013】
主ブラケット12は、上面視が略コ字状の金属製のベースプレート12Aと、上面視が略L字状の金属製の一対の補助プレート12Bl,12Brと、を備えている。各補助プレート12Bl,12Brは、ベースプレート12Aに溶接固定されている。ベースプレート12Aは、車体取付状態で車両前方に正対するベース壁12Aaと、ベース壁12Aaの左右の両端部から車両前方に向かって延びる結合壁12Abと、を有している。ベース壁12Aaの上辺と下辺には、それぞれ一対の締結フランジ12Acが延設されている。各締結フランジ12Acは、締結部材であるボルト17によって車体側の図示しないフレーム部材に固定される。
また、ベース壁12Aaの左側の側縁部には、後述する位置調整機構15を固定するための略L字状の固定ブラケット19が取り付けられている。固定ブラケット19は、ベース壁12Aaの前面から前方に略水平に延出する延出壁19aを備えている。
【0014】
左右の各補助プレート12Bl,12Brは、ベースプレート12Aの左右の各結合壁12Abに溶接固定される基部壁12Bl−1,12Br−1と、基部壁12Bl−1,12Br−1から幅方向内側に屈曲する屈曲壁12Bl−2,12Br−2と、を有している。左側の補助プレート12Blの上下方向の幅は、右側の補助プレート12Brの上下方向の幅の約半分の幅となっている。左側の補助プレート12Blの屈曲壁12Bl−2には円形状の係止孔18が形成されている。また、右側の補助プレート12Brの屈曲壁12Br−2は、基部壁12Br−1上下に所定間隔離間して二つ設けられている。この各屈曲壁12Br−2にも、円形の係止孔18が形成されている。左右の各補助プレート12Bl,12Brの屈曲壁12Bl−2,12Br−2は、後述するカバー部材16が取り付けられる取付座を構成している。
【0015】
保持ブラケット13は、上面視が略コ字状の金属製のプレート材によって形成されている。保持ブラケット13は、車体取付状態で車両前方側に正対するベース壁13aと、ベース壁13aの左右の端部から車両前方に向かって延びる保持壁13bと、を有している。保持ブラケット13のベース壁13aは、主ブラケット12のベース壁12Aaの前面に対向して配置され、回転機構14を介して主ブラケット12のベース壁12Aaに回転可能に連結されている。左右の保持壁13bの間には、外界センサ11の本体部が配置されている。外界センサ11の本体部は、締結部材であるボルト20等を介して保持ブラケット13の左右の保持壁13bに固定されている。
また、左側の保持壁13bの付根部側の上部には、左側方に向かって略水平に延出する固定壁21が延設されている。固定壁21には、後述する位置調整機構15が固定される。
【0016】
図6は、外界センサユニット10の図3のVI−VI線に沿う断面を示す図である。
図6に示すように、保持ブラケット13のベース壁13aの略中央部には、ベース壁13aを前後方向(厚み方向)に貫通する円形の第1貫通孔22が形成されている。第1貫通孔22の内周部には、軸受リング24が取り付けられている。
【0017】
主ブラケット12のベース壁12Aaの略中央部には、ベース壁12Aaを前後方向(厚み方向)に貫通する円形の第2貫通孔23が形成されている。第2貫通孔23は、第1貫通孔22よりも小径に形成されている。また、主ブラケット12のベース壁12Aaの後面のうちの、第2貫通孔23を取り囲む位置には、ウェルドナット25が設けられている。第1貫通孔22と第2貫通孔23には、保持ブラケット13の前方側から保持ボルト26の軸部が挿通されている。
【0018】
保持ボルト26は、大径軸部26aと、大径軸部26aの一端側に連設された頭部26bと、大径軸部26aの他端側に連設された小径軸部26cと、小径軸部26cの大径軸部26aと逆側の端部に連設された雄ねじ部26dと、を有している。大径軸部26aと小径軸部26cと雄ねじ部26dは同軸に形成されている。大径軸部26aは、第1貫通孔22に取り付けられた軸受リング24の内部に回転可能に嵌入され、小径軸部26cは、第2貫通孔23に嵌入される。雄ねじ部26dは、ウェルドナット25に締結される。保持ボルト26の雄ねじ部26dがウェルドナット25に締め込まれると、大径軸部26aと小径軸部26cの間の段部26eとウェルドナット25の間に第2貫通孔23の周縁部が挟み込まれ、その結果、保持ボルト26が主ブラケット12のベース壁12Aaに固定される。この状態において、保持ブラケット13は、軸受リング24と保持ボルト26の大径軸部26aを介して主ブラケット12に回転可能に連結される。保持ブラケット13と主ブラケット12を連結する保持ボルト26(大径軸部26a、及び、小径軸部26c)は、外界センサ11の後部側(外界センサ11の検知方向と相反する側)に位置される。
【0019】
また、保持ボルト26の頭部26bと保持ブラケット13のベース壁13aの前面との間には、付勢部材である複数の皿ばね27が介装されている。皿ばね27は、主ブラケット12と保持ブラケット13の間に回転抵抗を付与する。
【0020】
本実施形態では、上記の保持ボルト26、第1貫通孔22、第2貫通孔23、軸受リング24、ウェルドナット25、皿ばね27等が回転機構14を構成している。保持ボルト26の大径軸部26aと小径軸部26cは、回転機構14の回転軸を構成している。また、保持ボルト26の大径軸部26aと小径軸部26cの中心軸線は、車両のロール軸R(図1参照)と略平行な回転機構14の回転軸線L1を構成している。回転機構14は、回転軸線L1を中心とした保持ブラケット13と主ブラケット12の相対回転を可能にする。
【0021】
位置調整機構15は、保持ブラケット13と主ブラケット12の回動軸線L1を中心とした相対回転位置を調整する。これにより、外界センサ11は、外界検知面11aの車両ロール方向の傾斜角度を調整される。
なお、「外界検知面」とは、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波センサ及びソナーの場合、例えば、外界検知波の送受信面を言う。また、光学カメラの場合には、対物レンズのレンズ面が「外界検知面」に相当する。
【0022】
位置調整機構15は、保持ブラケット13の固定壁21に取り付けられるベース部材30と、ベース部材30に回転可能に保持される雄ねじ部材31と、主ブラケット12の延出壁19aに取り付けられる雌ねじ部材32と、を備えている。
【0023】
ベース部材30は、保持ブラケット13の固定壁21にボルト締結される固定部30aと、雄ねじ部材31を回転可能に保持する保持部30bと、雄ねじ部材31を回転操作する(雄ねじ部材31と雌ねじ部材32を相対回転させる)ための治具の挿入をガイドするガイド部30cと、を有している。これらの固定部30a、保持部30b、及び、ガイド部30cは樹脂によって一体に形成されている。
【0024】
固定部30aは、固定壁21の下面に重ねられる板状のブロックであり、保持部30bは、固定部30aの一側に連設されている。保持部30bは、中心軸線が略上下方向を向く略筒状のブロックであり、その筒状部分の内側に、雄ねじ部材31の軸部が回転可能に保持される。ガイド部30cは、保持部30bの前部に連設されている。ガイド部30cは、保持部30bから前方に延出する断面略U字状の基部ガイド壁30c−1と、基部ガイド壁30c−1の前端部に連接された断面逆U字状の変位規制壁30c−2と、を有している。
【0025】
ここで、本実施形態では、ガイド部30cに挿入される操作用の治具として、先端部が収斂したプラスドライバーを想定している。ガイド部30cには、プラスドライバーーの先端部が前後方向に沿って前方から挿入される。基部ガイド壁30c−1には、プラスドライバーの下半部を受容する上方に開口した受け部形状が形成されている。基部ガイド壁30c−1の後端側の受け部形状は、プラスドライバーの先端部形状に略沿ってテーパ状に形成されている。また、変位規制壁30c−2は、プラスドライバーの先端部が基部ガイド壁30c−1の受け部に挿入されるときに、プラスドライバーの基部側の上方変位を規制する。
本実施形態では、ガイド部30cの基部ガイド壁30c−1と変位規制壁30c−2とが、治具(プラスドライバー)が挿入される治具挿入口を構成している。治具挿入口は、外界センサ11の外界検知方向(車両前方)を向いて開口している。
【0026】
雄ねじ部材31は、樹脂製の操作部33に、金属製のボルト部34がインサート成形されて構成されている。操作部33とボルト部34は同軸に形成されている。ボルト部34は、頭部側が操作部33に一体に結合されている。ボルト部34は、頭部から延びる軸部34aを有し、その軸部34aに雄ねじが形成されている。操作部33は、ベース部材30の保持部30bに回転可能に保持される図示しない筒状壁と、その筒状壁の端部に連設されたギヤ部33aと、を有している。雄ねじ部材31は、操作部33がベース部材30に保持されることにより、回転軸線が上下方向に向く。
【0027】
ギヤ部33aは、円板部33a−1の一面に複数の歯33a−2が円環状に並んで突設されたクラウンギヤ形状を成している。ギヤ部33aの複数の歯33a−2は、下方を向いて突設され、ベース部材30の基部ガイド壁30c−1の基部側上方に臨んでいる。基部ガイド壁30c−1の受け部に挿入されたプラスドライバー(治具)の先端部はギヤ部33aの歯33a−2と噛合される。この状態でプラスドライバー(治具)が回転操作されると、ギヤ部33aを通して雄ねじ部材31全体が回転軸線周りに回転する。
【0028】
また、雌ねじ部材32は、略筒状の樹脂部材によって構成され、主ブラケット12の延出壁19aに形成された図示しない取付孔に取り付けられている。雌ねじ部材32は、クリップ係止構造を持ち、取付孔に嵌入された状態で係止されている。雌ねじ部材32の筒状部の内面には雌ねじが形成されている。雌ねじ部材32の雌ねじには、雄ねじ部材31の軸部34aの雄ねじが螺合されている。
ベース部材30を介して保持ブラケット13に取り付けられた雄ねじ部材31は、回転機構14の回転軸線L1から径方向に離間した位置に配置されている。同様に、主ブラケット12に取り付けられた雌ねじ部材32は、回転機構14の回転軸線L1から径方向に離間した位置に配置されている。このため、前述したプラスドライバー等によって雄ねじ部材31が回転操作されると、雄ねじ部材31の頭部側と雌ねじ部材32との離間距離が変化し、その結果、主ブラケット12に対する保持ブラケット13の傾斜角度が変化し、外界センサ11の車両ロール方向の傾斜角度が調整される。
【0029】
また、保持ブラケット13のベース壁13aの左右の側縁部には、図2図3に示すように、側方に張り出す固定プレート35が一体に結合されている。各固定プレート35には、回転軸線L1を中心とした略円弧状の長孔36が形成されている。各長孔36には、固定用ボルト37が挿通されている。主ブラケット12のベース壁12Aaの各固定プレート35の長孔36に対応する領域には、図示しない貫通孔とウェルドナット38(図3図4参照)が設けられている。固定用ボルト37は、位置調整機構15によって保持ブラケット13の傾斜角度を調整した後に、長孔36を貫通した状態で主ブラケット12側のウェルドナット38に締め込まれる。これにより、主ブラケット12に対する保持ブラケット13の傾斜角度が固定され、その結果、外界センサ11の車両ロール方向の傾斜角度も固定される。
なお、本実施形態では、固定用ボルト37が、保持ブラケット13と主ブラケット12の相対回転位置を固定する位置決め固定部材を構成している。また、固定用ボルト37の頭部37aは、位置決め固定部材の操作部を構成している。
【0030】
ここで、主ブラケット12のベース壁12Aaに対して前方側(外界センサ11の外界検知方向)にオフセットして配置された左右の各屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)は、車両前方から(外界検知方向から)見て固定用ボルト37の頭部37a(操作部)と重ならない位置に配置されている。具体的には、左側の屈曲壁12Bl−2は、左側の固定用ボルト37の頭部37aの左外側位置に配置されており、右側の二つの屈曲壁12Br−2は、右側の固定用ボルト37の頭部37aの上下位置に配置されている。
【0031】
主ブラケット12の屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)に取り付けられるカバー部材16は、図4図5に示すように、横長の略長方形状に形成されている。カバー部材16は、車両のバンパフェイス2の開口3と外界センサ11の外側周域との隙間を覆うように構成されている。また、カバー部材16は、保持ブラケット13と位置調整機構15を車両前方から(外界センサ11の外界検知方向から)覆い、これらが車両前方から見えるのを防いでいる。
【0032】
カバー部材16は、中央部に開口部40aを有するカバー本体40と、カバー本体40の外周縁部に取り付けられた枠部材41と、を備えている。カバー本体40は、硬質の樹脂材料によって正面視が横長の略長方形状に形成されている。カバー本体40の開口部40aからは、外界センサ11の外界検知面11aが車両前方に露出する。また、カバー本体40の前面は、外周縁部から開口部40aに向かって凹状に窪んで形成されている。枠部材41は、軟質の樹脂材料によって形成されている。なお、カバー本体40の開口部40aと外界センサ11の間にも、枠部材41と同様の軟質な樹脂材料を配置するようにしても良い。
【0033】
また、カバー本体40の後面のうちの、主ブラケット12の屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)に対応する位置には、それぞれボス部42が突設されている。各ボス部42の先端部には樹脂製の係止部43が設けられている。係止部43はボス部42に一体に形成しても、別体部品として形成してボス部42に取り付けても良い。係止部43は、先端側に向かって収斂したガイド突起43aと、ガイド突起43aの付根部に連設された係止フランジ43bと、を有している。各係止部43は、屈曲壁12Bl−2,12Br−2の対応する係止孔18に挿入されて係止される。各係止部43は、最初にガイド突起43aを係止孔18に挿入した後に、そのまま後方に押し込むことにより、係止フランジ43bが変形して係止孔18に挿入される。係止フランジ43bが係止孔18を潜り抜けることにより、係止部43が係止孔18の縁部に抜け止めされる。カバー部材16は、各係止部43が対応する係止孔18に係止されることによって主ブラケット12に固定される。
【0034】
本実施形態の外界センサユニット10は、以下のようにして、外界センサ11の車両ロール方向の傾斜角度を調整する。
カバー部材16は、主ブラケット12に取り付けずに、車体から取り外した状態にしておく。この状態では、バンパフェイス2の開口3を通して外界センサ11や保持ブラケット13、位置調整機構15が車両前方側に露出している。この状態において、治具をバンパフェイス2の開口3に差し込み、その治具によって固定用ボルト37を緩め、位置調整機構15の回転固定を解除する。
【0035】
次に、車両に取り付けた外界センサ11の検知範囲の検査を行いつつ、位置調整機構15のガイド部30cにプラスドライバーを挿入し、そのプラスドライバーによって位置調整機構15の雄ねじ部材31を回転させる。これにより、保持ブラケット13を主ブラケット12に対して回転させ、外界センサ11の車両ロール方向の傾斜角度を適切に張設する。
【0036】
この後、治具によって固定用ボルト37を締め込んで主ブラケット12に対する保持ブラケット13の回転位置を固定する。さらに、この後、カバー部材16をバンパフェイス2の開口3にあてがって手で押し込むことにより、カバー部材16の各係止部43を主ブラケット12の対応する係止孔18に嵌入する。この結果、カバー部材16は、バンパフェイス2の開口3と外界センサ11の間の隙間を覆うように取り付けられる。
【0037】
以上のように、本実施形態の外界センサユニット10は、主ブラケット12に設けられた屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)にカバー部材16が取り付けられているため、外界センサ11の指向方向を調整してもカバー部材16が変動することがない。したがって、本実施形態の外界センサユニット10を採用した場合には、外部からの見栄えの低下を招くことなく、外界センサ11の指向方向を調整することができる。
【0038】
また、本実施形態の外界センサユニット10では、カバー部材16が樹脂材料によって形成され、そのカバー部材16が樹脂製の係止部43によって主ブラケット12の屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)に取り付けられている。この場合、カバー部材16は樹脂製で軽量であるため、係止部43が樹脂製であってもカバー部材16を屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)に安定して保持させることができる。したがって、この構成を採用した場合には、製品コストの低減と車両の軽量化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態の外界センサユニット10は、樹脂製の係止部43がカバー部材16に一体に設けられ、その係止部43が係止孔18に挿入されて屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)に係止される構造とされている。このため、カバー部材16と一体化された樹脂製の係止部43を係止孔18に押し込むだけで、カバー部材16を屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)に容易に取り付けることができる。したがって、この構成を採用した場合には、カバー部材16の組付け作業が容易になる。
【0040】
さらに、本実施形態の外界センサユニット10では、カバー部材16が、車両のバンパフェイス2の開口3と外界センサ11の外側周域との隙間を覆うように形成されている。したがって、カバー部材16によってバンパフェイス2の開口3と外界センサ11の間の隙間を覆い、車両の見栄えを良好にすることができる。
【0041】
また、本実施形態の外界センサユニット10は、保持ブラケット13側の前面(外界センサの外界検出方向に臨む面)に、保持ブラケット13と主ブラケット12の相対回転位置を固定する固定用ボルト37の頭部37a(操作部)が配置され、主ブラケット12の屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)が、外界センサ11の前方(外界検出方向)から見て固定用ボルト37の頭部37a(操作部)と重ならない位置に配置されている。したがって、位置調整機構15によって外界センサ11の車両ロール方向の傾斜角度を調整した後に、治具によって固定用ボルト37を締め込んで保持ブラケット13と主ブラケット12の相対回転位置を固定するときに、その治具が主ブラケット12の屈曲壁12Bl−2,12Br−2(取付座)と干渉するのを回避することができる。したがって、この構成を採用した場合には、治具による固定用ボルト37の操作をスムーズに行うことができる。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、車両のフロントバンパの左右位置に外界センサユニット10が設置される例について説明したが、外界センサユニット10は、リヤバンパの左右に設置されるものであっても良い。また、外界センサユニット10は、車両のフロントグリル等のバンパ以外の部分に設置されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0043】
10…外界センサユニット
11…外界センサ
12…主ブラケット
12Aa…ベース壁
12Bl−2,12Br−2…屈曲壁(取付座)
13…保持ブラケット
15…位置調整機構
16…カバー部材
30c−1…基部ガイド壁(治具挿入口)
30c−2…変位規制壁(治具挿入口)
37…固定用ボルト(位置決め固定部材)
37a…頭部(操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6