(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受動湾曲部は、前記複数の湾曲駒中に、前記挿入部を先端側からみたときに、前記第2の方向に平行な第3の回動軸上で連結された、隣り合う2つの円環状湾曲駒を含む、請求項1に記載の挿入機器。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
(内視鏡全体の構成)
図1は、本実施の形態の内視鏡1の概観図である。
図2は、
図1の内視鏡1の挿入部2に設けられた先端部の部分断面図である。
図3は、
図1の内視鏡1の挿入部2に設けられた能動湾曲部14の断面図である。
【0014】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、該挿入部2の基端側に連設された操作部3と、該操作部3から延出されたユニバーサルコード4と、該ユニバーサルコード4の延出端に設けられたコネクタ5とを具備して主要部が構成されている。尚、コネクタ5を介して、内視鏡1は、制御装置や照明装置等の外部装置と電気的に接続される。
【0015】
操作部3には、後述する能動湾曲部14を湾曲操作する上下湾曲操作用ノブ(以下、単にノブと称す)3aと、左右湾曲操作用ノブ(以下、単にノブと称す)3bとが設けられている。
【0016】
図2に示すように、先端部11内には、被検体内を観察する撮像ユニット21や、被検体内を照明する図示しない照明ユニット等が設けられている。撮像ユニット21は、先端部11の観察窓11aの後ろ側に設けられている。
【0017】
すなわち、能動湾曲部14よりも長手軸方向の先端側には、被検体を撮像する画像取得装置としての撮像ユニット21が設けられている。
【0018】
挿入部2は、先端から順に、先端部11、能動湾曲部14、可撓管部12を有して構成されており、挿入方向Wに沿って細長に形成されている。挿入部2は、挿入部2の長手軸方向に先端側から被検体内に挿入可能に構成されている。
【0019】
可撓管部12は、先端から順に、第1の可撓管部である受動湾曲部15、第2の可撓管部である蛇管13を有して構成されている。
【0020】
(蛇管の構成)
後述する
図4に示すように、蛇管13は中空形状を有しており、後述のように、薄板部材等帯状の素線を螺旋状に巻回して形成した螺旋管51と、この螺旋管51の外周側(外周面上)に設けられ、例えば金属や樹脂等の繊維を編み込んで管状に形成した網状の網状管52と、この網状管52の外周側(外周面上)に設けられ、可撓性を有する外皮53と、を有して構成される。
(能動湾曲部の構成)
能動湾曲部14は、操作者の湾曲操作(ここではノブ3a及びノブ3bの操作)による挿入部2内に挿通された後述する湾曲ワイヤ35a〜35d(
図3中には湾曲ワイヤ35c、35dは図示されず)の牽引あるいは弛緩に応じて、第1の方向として上下方向、第2の方向として左右方向、さらに上下左右の4方向を複合した方向に360°湾曲自在となっている。すなわち、能動湾曲部14は、操作者の湾曲操作に応じて、挿入部2を先端側からみたときに、左右方向にも湾曲可能である。
【0021】
詳しくは、
図3に示すように、能動湾曲部14は、複数の湾曲駒31と、該複数の湾曲駒31の外周を被覆するブレード32と、該ブレード32の外周を被覆する外皮樹脂33とにより主要部が構成されている。各湾曲駒31は、円環形状を有し、ステンレスなどの金属製である。
【0022】
なお、ここでは、上下方向とは、撮像ユニット21によって撮像して得られた内視鏡画像が、表示装置の画面に表示されたときの画面の上下方向であり、左右方向とは、得られた内視鏡画像が表示装置の画面に表示されたときの画面の左右方向である。
【0023】
複数の湾曲駒31は、
図3に示すように、挿入方向W(挿入部2の先端方向)に沿って各湾曲駒31が所定の回動軸回りに回動自在になるように、連結される。すなわち、挿入方向Wにおいて隣り合う2つの湾曲駒31間が、該湾曲駒31の円周方向Jに90°ずつ異なって位置する回動軸を構成する複数のリベット34a、34bにより回動自在に、連結されている。
【0024】
より具体的には、挿入方向Wにおいて隣り合う湾曲駒31間が、対向する2つのリベット34a(
図3では1つのみ図示)により上下方向に回動自在となるよう連結されているとともに、リベット34aから円周方向Jに90°異なる位置において対向する2つリベット34bにより左右方向に回動自在となるよう連結されている。2つのリベット34aにより第1の回動軸RL(
図5に定義)が構成され、2つのリベット34bにより第2の回動軸UD(
図5に定義)が構成される。
【0025】
尚、湾曲駒31間は、
図3に示すように、例えば一つ目の湾曲駒31と二つ目の湾曲駒31とがリベット34aにより連結された場合は、二つ目の湾曲駒31と三つ目の湾曲駒31とがリベット34bにより連結され、さらに三つ目の湾曲駒31と四つ目の湾曲駒31とがリベット34aにより連結され・・・のように、隣り合う湾曲駒31が、リベット34aとリベット34bとにより交互に連結されている。
【0026】
このことにより、能動湾曲部14は、上下左右方向及び該上下左右の4方向を複合した方向に360°湾曲自在な構成を有している。即ち、能動湾曲部14は、
図5に示す第1の回動軸RLと第2の回動軸UDにより、複数方向への湾曲が可能となっている。
【0027】
尚、
図3に示すように、能動湾曲部14内には、湾曲駒31の円周方向Jにおいて、それぞれ90°異なって位置する4本の湾曲ワイヤ35a〜35d(
図3では、湾曲ワイヤ35a、35bのみ図示)が挿通されている。2本の湾曲ワイヤ35aと35cは、挿入部2の中心軸に沿って、と、円周方向Jにおいて2つのリベット34aと同じ位置に配設される。2本の湾曲ワイヤ35bと35dは、挿入部2の中心軸に沿って、円周方向Jにおいて2つのリベット34bと同じ位置に配設される。
【0028】
また、4本の湾曲ワイヤ35a〜35dは、能動湾曲部14においては、各湾曲駒31に設けられたワイヤ受け36によって支持されており、各ワイヤ35a〜35dの先端は、複数の湾曲駒31の内、挿入方向Wの最も先端側に位置する湾曲駒31に接続されている。その結果、湾曲ワイヤ35a〜35dの牽引及び弛緩に伴い、各湾曲駒31は、リベット 34a又はリベット34bのいずれかの回動軸回りに回動し、能動湾曲部14は湾曲する。
【0029】
以上のように、能動湾曲部14は、操作者の湾曲操作に応じて上下左右方向に湾曲する湾曲部を構成する。
【0030】
(受動湾曲部の構成)
第1の可撓管部である受動湾曲部15は、能動湾曲部14と第2の可撓管部である蛇管13の間に設けられている。すなわち、受動湾曲部15は、能動湾曲部14よりも基端側で、第2の可撓管部である蛇管13の先端側に設けられた第1の可撓管部である。
【0031】
受動湾曲部15は、操作者の湾曲操作に応じて湾曲させることができないが、外力を受けると受動的に上下左右の4方向や上下左右の4方向を複合した方向に360°湾曲自在となっている。即ち、受動湾曲部15は、湾曲ワイヤや他の湾曲動作手段によって能動的に湾曲されることなく、受動的に湾曲される構成を有している。
【0032】
図4は、
図1の内視鏡の挿入部に設けられた受動湾曲部15の部分断面図である。
図5は、
図4のV−V線に沿った受動湾曲部15の断面図である。
図5は、
図4の矢印Aの方向から見た図である。
図6は、直線状態の受動湾曲部15の複数の湾曲駒の斜視図である。
図7は、湾曲した状態の受動湾曲部15の複数の湾曲駒の斜視図である。
【0033】
図4に示すように、受動湾曲部15は、複数の湾曲駒41と、該複数の湾曲駒41の外周を被覆するブレード42と、該ブレード42の外周を被覆する外皮樹脂33とにより主要部が構成されている。各湾曲駒41は、円環形状を有し、ステンレスなどの金属製である。すなわち、受動湾曲部15は、直列に連結された円環状の複数の湾曲駒41を含んで構成されている。
【0034】
受動湾曲部15の複数の湾曲駒41内には、上述した4本の湾曲ワイヤ35a〜35dが挿通されている。4本の湾曲ワイヤ35a〜35dの外周には、既知のコイルパイプ44a〜44d(
図4においては、コイルパイプ44c、44dは図示されず)が被覆されている。コイルパイプ44a〜44dの先端は、後述する口金45に溶接などによって固定されている。
【0035】
受動湾曲部15は、複数の湾曲駒41を含む。受動湾曲部15が湾曲可能となるように挿入方向Wに沿って、複数の湾曲駒41が連結される。複数の湾曲駒41は、挿入方向Wにおいて隣り合う2つの湾曲駒41同士が各湾曲駒41の円周方向Jにおいて所定の位置に設けられた2つのリベットにより連結されている。
【0036】
具体的には、
図5に示すように、挿入部2の先端側から受動湾曲部15をみたときの、挿入部2の中心軸Oを通る左右方向の軸は、2本の湾曲ワイヤ35b、35dの牽引と弛緩により能動湾曲部14を上下方向に湾曲させるための能動湾曲部14の上述した第1の回動軸RLを示す。
【0037】
同様に、挿入部2の先端側から受動湾曲部15をみたときの、挿入部2の中心軸Oを通る上下方向の軸は、2本の湾曲ワイヤ35a、35cの牽引と弛緩により能動湾曲部14を左右方向に湾曲させるための能動湾曲部14の上述した第2の回動軸UDを示す。
【0038】
能動湾曲部14の最基端の湾曲駒31と、受動湾曲部15の最先端の湾曲駒41は、口金45を介して接続されている。受動湾曲部15の最基端の湾曲駒41と蛇管13の先端部は、口金46を介して接続されている。
【0039】
能動湾曲部14と受動湾曲部15は、
図4に示すように、外皮樹脂33を被覆する前に、各湾曲駒31、41の外周にブレード32、42が被覆された状態において、口金46を介して接続される。
【0040】
受動湾曲部15において、挿入方向Wにおいて隣り合う2つの湾曲駒41は、挿入部2の中心軸Oの反時計回りに第1の回動軸RLに対して所定の第1の角度θ1(ここでは30°)だけ傾いた第3の回動軸IA1上の2つの位置P1で2つのリベット47aにより、あるいは、挿入部2の中心軸Oの反時計回りに第1の回動軸RLに対して所定の第2の角度θ2(ここでは−30°)だけ傾いた第4の回動軸IA2上の2つの位置P2で、2つのリベット47bにより、連結される。
【0041】
すなわち、第3の回動軸IA1は、挿入部2の先端側から受動湾曲部15をみたときに、第1の回動軸RLに対して所定の第1の角度θ1(ここでは30°)だけ傾いている。第4の回動軸IA2は、第1の回動軸RLに対して所定の第2の角度θ2(ここでは−30°)だけ傾いている。
図6に示すように、第3の回動軸IA1は2つあり、第4の回動軸IA2も2つある。
【0042】
そして、2つのリベット47aにより連結された2つの湾曲駒41は、先端側と基端側において隣の湾曲駒41と、挿入部2の先端側から受動湾曲部15をみたときに中心軸Oの反時計周りに120°だけ回動した第4の回動軸IA2上の位置で、2つのリベット47bにより連結される。
【0043】
言い換えれば、2つのリベット47bにより連結された2つの湾曲駒41は、先端側と基端側において隣の湾曲駒41と、挿入部2の先端側から受動湾曲部15をみたときに、中心軸Oの反時計周りに60°だけ回動した第3の回動軸IA1上の位置で、2つのリベット47aにより連結される。
【0044】
受動湾曲部15の複数の湾曲駒41は、このような連結関係を有して連結される。
【0045】
リベット47aで連結された2つの湾曲駒41は、第3の回動軸IA1回りに可動可能であり、リベット47bで連結された2つの湾曲駒41は、第4の回動軸IA2回りに可動可能である。
【0046】
図4に示すように、受動湾曲部15における2つの位置P1と2つの位置P2が受動湾曲部15の先端から交互に配置されるように、複数の湾曲駒41は連結される。
図4等に示すように、最先端の湾曲駒41と、2番目の湾曲駒41とがリベット47bにより連結され、2番目の湾曲駒41と3番目の湾曲駒41とがリベット47aにより連結され、に3番目の湾曲駒41と4番目の湾曲駒41とがリベット47bにより連結され、さらに4番目の湾曲駒41と5番目の湾曲駒41とがリベット47aにより連結されている。
【0047】
すなわち、隣り合う2つの湾曲駒41の第3の回動軸IA1上での連結と、隣り合う2つの湾曲駒41の第4回動軸IA2上での連結は、長手軸方向において交互に行われている。
【0048】
なお、受動湾曲部15の最先端の湾曲駒41と、口金45とは、2つの位置P1において2つのリベット47aにより連結される。受動湾曲部15の最基端の湾曲駒41と、口金46とは、2つの位置P2において2つのリベット47bにより連結される。
【0049】
なお、ここでは、θ1が30°、θ2が−30°であるが、中心軸Oの反時計周り方向の角度を正としたとき、θ1は、0°を超えた角度から+45°未満の角度の間にあり、θ2は、0°未満の角度から−45°を超えた角度の間にあればよい。但し、θ1は、0°を超えた角度から+30°未満の角度の間にあり、θ2は、0°未満の角度から−30°を超えた角度の間にあるのが好ましい。
【0050】
すなわち、受動湾曲部15の複数の湾曲駒41における隣り合う2つの湾曲駒41は、挿入部2を先端側からみたときに、第1の回動軸RLに対して挿入部2の中心軸O回りに、0°を超えた角度から+45°未満の角度の間の角度だけ傾く第3の回動軸IA1、及び0°未満の角度から−45°を超えた角度の間の角度だけ傾く第4の回動軸IA2のいずれか上で連結されている。
【0051】
言い換えれば、
図5に示すように、挿入部2の先端側から受動湾曲部15をみたとき、第3の回動軸IA1は、第2の回動軸UDに対して、中心軸Oの時計回りにθ3(=90°−θ1)だけ傾いており、第4の回動軸IA2は、第2の回動軸UDに対して、中心軸Oの反時計回りにθ4(=90°−θ1)だけ傾いている。
【0052】
よって、連結された受動湾曲部15は、
図6に示すように中心軸Oに沿った直線状態から、外力を受けると、
図7に示すように湾曲可能である。よって、受動湾曲部15は、上下左右方向及び該上下左右の4方向を複合した方向に、すなわち、中心軸O回りに360°湾曲自在となっている。
【0053】
受動湾曲部15が上下左右方向に湾曲するときには全てのリベット47a、47bの軸回りに各湾曲駒41は回動する。また、受動湾曲部15が上下左右方向ではない斜め方向に湾曲するときは、リベット47a、47bのどちらか一方の軸回りに各湾曲駒41が回動する。
【0054】
図8は、受動湾曲部15の湾曲可能範囲を説明するための図である。
図9は、受動湾曲部15の最大湾曲角度の分布を概略的に示す図である。
【0055】
図8に示すように、受動湾曲部15は、挿入方向Wに向かって、中心軸O回りに360°湾曲自在となっている。しかし、受動湾曲部15は、複数の湾曲駒41が上述したように連結して構成されているため、中心軸O回りでは、最大湾曲角度は同じではない。受動湾曲部15は、
図8に示すように、上述した2つの回動軸IA1,IA2により、左右方向よりも、上下方向に湾曲し易い。言い換えれば、左右方向における受動湾曲部15の曲げ剛性は、上下方向における曲げ剛性よりも高く、左右方向の最大湾曲角度は、上下方向の最大湾曲角度よりも小さい。
【0056】
すなわち、受動湾曲部15は、操作者の湾曲操作に応じて湾曲せず外力を受けることにより受動的に湾曲する湾曲部であって、第1の方向(上下方向)よりも上下方向に直交する第2の方向(左右方向)における曲げ剛性が高い。この第2の方向は、撮像ユニット21により得られ表示装置の画面上に表示される画像の上下方向に直交する左右方向に平行である。
【0057】
本実施の形態では、
図9に示すように、受動湾曲部15の上下方向における最大湾曲角度Y1は、左右方向における最大湾曲角度Y2の1.73倍となることが幾何学的に分かっている。すなわち、Y1=1.73Y2である。
【0058】
さらに、幾何学的に斜め方向への最大湾曲角度Y3は、最大湾曲角度Y2と等しい。すなわち、大腸への内視鏡挿入で最も使用される上下方向の最大湾曲角度Y1は、円周方向Jの中で最も大きく、その他の左右方向ならびに斜め方向については上下方向の最大湾曲角度よりも小さくなる。
【0059】
図10は、本実施の形態の受動湾曲部15に上方向から大腸の押圧が加わったときに、回動軸に加わる分力を示す図である。
図11は、本実施の形態の受動湾曲部15に右方向から大腸の押圧が加わったときに、回動軸に加わる分力を示す図である。
【0060】
図10に示すように、受動湾曲部15の上方向(下方向からの外力についても同様)から外力Fが加わった際には、第3の回動軸IA1に対してはFcos30°の分力が、受動湾曲部15の湾曲に作用する。Fsin30°の分力は第3の回動軸IA1と同軸上に作用するためキャンセルされ、受動湾曲部15の湾曲に影響を与えない。
図10では省略するが、第4の回動軸IA2に対しても同様の分力が作用する。
【0061】
一方で、
図11に示すように、受動湾曲部15の右方向(左方向からの外力についても同様)から外力Fが加わった際には、第3の回動軸IA1に対してFsin30°の分力が、受動湾曲部15の湾曲に作用する。Fcos30°の分力は、回動軸IA1と同軸に作用するためキャンセルされ、受動湾曲部15の湾曲に影響を与えない。
図11では省略するが、第4の回動軸IA2に対しても同様の分力が作用する。
【0062】
すなわち、上下方向から外力を受ける場合と左右方向から外力を受ける場合では、第3の回動軸IA1および第4の回動軸IA2のそれぞれに加わる分力が異なることになり、Fcos30°>Fsin30°の関係となるため、受動湾曲部15の上下方向と左右方向の曲げ剛性は左右方向の方が大きくなる、すなわち左右方向に曲がりづらい。
【0063】
以上のように、受動湾曲部15は、左右方向に全く湾曲しないのではなく、かつ斜め方向へも、左右方向への最大湾曲角度Y2と等しいあるいは略等しい角度である最大湾曲角度Y3まで湾曲可能に構成されている。
【0064】
(作用)
上述した構成の挿入部2を操作して被検体内に挿入する操作について説明する。ここでは、大腸内に挿入部2を挿入するときの操作について説明する。
図12と
図13は、本実施の形態の内視鏡を用いて、挿入部2を大腸内への挿入する操作を説明するための図である。
【0065】
操作者は、挿入部2の先端部11を直腸ARからS状結腸CSの部位に挿入するとき、大腸への挿入のときに最も使用される上下方向のいずれかに能動湾曲部14を湾曲させながら、挿入部2を押し込む。挿入部2の能動湾曲部14が大腸の直腸ARからS状結腸CSへ進入するときには、受動湾曲部15は腸壁からの押圧によって、能動湾曲部14と同じ上下方向に容易に湾曲する。
【0066】
上述したように、受動湾曲部15は上下方向に対しての最大湾曲角度が円周方向Jの中で最も大きく、さらに剛性も低いことから、
図13に示すように、既知の突き上げ現象を生じることなく、挿入部2は、屈曲部であるS状結腸CSに進入することができ、患者の負担および苦痛は軽減される。
【0067】
また、挿入部2をさらに押し込んで大腸のS状結腸CSに進入するときに、受動湾曲部15に腸壁からの押圧が上下方向からややずれた方向に加わったとしても、曲げ剛性は左右方向の方が大きいため、
図13に示すように、受動湾曲部15は上下方向に湾曲し、操作者に違和感を与えることなく挿入部2を屈曲部内を円滑に進行させることできる。
【0068】
図14と
図15は、本実施の形態の内視鏡を用いて大腸の直線化操作を行う操作を説明するための図である。
【0069】
大腸の直線化をするとき、操作者は、
図14の矢印Bで示すように、挿入部2を進行方向に向かって時計回りに捩る。挿入部2のこの捩りにより、受動湾曲部15には左右方向に、腸壁から押圧が加わるが、左右方向に対する曲げ剛性は高いため、受動湾曲部15は、左右方向に曲がり難い。よって、操作者の意図に反して容易に左右方向に曲がってしまうことはなく、
図15に示すように、挿入部2により大腸の直線化が行われる。
【0070】
また、大腸の可動性が低下している場合がある。例えば、
図16に示すように、軽度の癒着等(SY)により、大腸の可動性が低下している場合には、大腸の直線化をするときに大腸からの押圧が大きくなる。
図16と
図17は、大腸の可動性が低下している場合を説明するための図である。
図17は、
図16の矢印Cの方から見た大腸と挿入部の状態を示す。
【0071】
大腸の可動性が低下している場合には、上述した通り大腸からの押圧が大きくなるため受動湾曲部15は左右方向に湾曲してしまうが、
図17に示すように、受動湾曲部15の左右方向に対する最大湾曲角度は小さいため、操作者に違和感与えることなく、大腸の直線化が可能となる。よって、大腸の可動性が低下している場合であっても、屈曲部の直線化を容易に行うことができる。
【0072】
なお、上述した実施の形態では、受動湾曲部15の第3の回動軸IA1及び第4の回動軸IA2を、それぞれ能動湾曲部14の第一の回動軸RLから円周方向Jに+30°及び−30°だけずれた位置に設定しているが、第3の回動軸IA1及び第4の回動軸IA2の角度は、これらに限られるものではなく、上述したように、それぞれ0°を超えた角度から+45°未満の角度の間の及び0°未満の角度から−45°を超えた角度の間の角度であれば同様の作用及び効果を得ることができる。
【0073】
また、第3の回動軸IA1及び第4の回動軸IA2を、それぞれ能動湾曲部14の第一の回動軸RLから円周方向Jに+20°〜+40°及び−20°〜−40°程度に設定しておけば受動湾曲部15の左右方向への最大湾曲角度と斜め方向への最大湾曲角度は略同等となり(最も好ましくは+30°及び−30°)、能動湾曲部14をいかなる方向に湾曲させて挿入部2を押し込んだときでも、受動湾曲部15は略一定の最大湾曲角度で湾曲する。よって、S状結腸などの被検体の屈曲部における挿入部2の通過性、すなわち屈曲通過性を著しく低下させることがなく、上述した効果を発揮することが出来る。
【0074】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部を被検体内へ挿入して屈曲部を通過させるときに、受動湾曲部が意図しない方向に曲がり難い挿入機器を実現することができる。
【0075】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、挿入部2の先端側からみたときに、第3の回動軸IA1は第2の回動軸RLに対して中心軸Oに反時計回りに45°未満だけ傾き、第4の回動軸IA2は第2の回動軸RLに対して中心軸Oに時計回りに45°未満だけ傾いている第3と第4の回動軸IA1とIA2を受動湾曲部15は有している。これに対して、第2の実施の形態では、受動湾曲部15は、第5の回動軸をさらに有する。
【0076】
(構成)
第2の実施の形態の内視鏡は、第1の実施の形態の内視鏡と略同じ構成を有するので、以下、本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成についてものみ説明する。
【0077】
本実施の形態の内視鏡は、
図1及び
図2に示す構成を有し、能動湾曲部14は、
図3に示す構成を有する。
【0078】
図18は、挿入部2の先端側からみた、受動湾曲部15Aの断面図である。
図18は、
図4の矢印Aの方向から見た図である。
図19は、直線状態の受動湾曲部15Aの複数の湾曲駒の斜視図である。
【0079】
本実施の形態の受動湾曲部15Aは、第1の実施の形態の第3の回動軸IA1及び第4の回動軸IA2に加えて、能動湾曲部14の第一の回動軸RLと平行な2つの第5の回動軸IA3を有する。
【0080】
受動湾曲部15Aは、複数の湾曲駒41aを含む。
図19に示すように、受動湾曲部15Aが湾曲可能となるように挿入方向Wに沿って複数の湾曲駒41aが連結される。なお、挿入方向Wにおける各湾曲駒41aの長さは、第1の実施の形態の湾曲駒41の長さよりも短い。これは、受動湾曲部15Aにおける湾曲駒41aの数が、湾曲駒41の数よりも増えたため、受動湾曲部15Aの長さが長くならないようにするためである。
【0081】
具体的には、受動湾曲部15Aにおいて、挿入方向Wにおいて隣り合う2つの湾曲駒41aは、挿入部2の中心軸O回りに第1の回動軸RLに対して所定の第1の角度θ1(ここでは30°)だけ傾いた第3の回動軸IA1上の2つの位置P1で2つのリベット47aにより、あるいは、挿入部2の中心軸O回りに第1の回動軸RLに対して所定の第2の角度θ2(ここでは−30°)だけ傾いた第4の回動軸IA2上の2つの位置P2で、2つのリベット47bにより、連結される。すなわち、第3の回動軸IA1と第4の回動軸IA2は、第1の実施の形態と同じである。
【0082】
さらに、受動湾曲部15Aは、挿入方向Wにおいて隣り合う2つの湾曲駒41aが、第5の回動軸IA3上の2つの位置P3で2つのリベット47cにより連結される2つの湾曲駒41を含む。
【0083】
すなわち、受動湾曲部15Aは、複数の湾曲駒41a中に、挿入部2を先端側からみたときに、第1の回動軸RLに平行な第3の回動軸IA3上で連結された、隣り合う2つの湾曲駒41aを含む。
【0084】
第3の回動軸IA1は、挿入部2の先端側から受動湾曲部15Aをみたときに、第1の回動軸RLに対して所定の第1の角度θ1(ここでは30°)だけ傾いている。第4の回動軸IA2は、第1の回動軸RLに対して所定の第2の角度θ2(ここでは−30°)だけ傾いている。第5の回動軸IA3は、第一の回動軸RLと平行である。
図19に示すように、受動湾曲部15Aには、第3の回動軸IA1、第4の回動軸IA2及び第5の回動軸の各々は、2つある。
【0085】
そして、2つのリベット47aにより連結された一つに湾曲駒41aの基端側湾曲駒41aは、挿入部2の先端側から受動湾曲部15Aをみたときに、第3の回動軸IA1から中心軸Oの反時計周りに120°だけ回動した第4の回動軸IA2上の位置で、基端側において隣の湾曲駒41aと2つのリベット47bにより連結される。
【0086】
2つのリベット47bにより連結された一つに湾曲駒41aの基端側湾曲駒41は、挿入部2の先端側から受動湾曲部15Aをみたときに、第4の回動軸IA2から中心軸Oの反時計周りに30°だけ回動した第5の回動軸IA3上の位置で、基端側において隣の湾曲駒41aと2つのリベット47cにより連結される。
【0087】
2つのリベット47cにより連結された一つに湾曲駒41aの基端側湾曲駒41は、挿入部2の先端側から受動湾曲部15Aをみたときに、第5の回動軸IA3から中心軸Oの反時計周りに30°だけ回動した第3の回動軸IA1上の位置で、基端側において隣の湾曲駒41aと2つのリベット47aにより連結される。
【0088】
すなわち、隣り合う2つの湾曲駒41aの第5の回動軸IA3上での連結は、隣り合う2つの湾曲駒41aの第3の回動軸IA1上での連結と、隣り合う2つの湾曲駒41aの第4の回動軸IA2上での連結の間に位置する。受動湾曲部15Aの複数の湾曲駒41aは、このような連結関係を有するように連結される。
【0089】
(作用)
本実施の形態の受動湾曲部15Aを有する挿入部2を被検体内に挿入するとき、第1の実施の形態で説明したように、操作者は、能動湾曲部14を上下方向のいずれかに湾曲させて挿入部2を押し込み、かつS状結腸などの屈曲部の直線化を行うことにより、挿入部2は、S状結腸などの屈曲部内を通過する。
【0090】
そのとき、上下方向の最大湾曲角度Y1は大きい方が好ましいが、第一の実施の形態では上述した通り、受動湾曲部15の上下方向の最大湾曲角度Y1と左右方向の最大湾曲角度Y2は、幾何学的にY1=1.73Y2の関係にある。つまり、受動湾曲部15を第3の回動軸IA1及び第4の回動軸IA2の2軸のみで構成した場合には、上下方向の最大湾曲角度Y1を大きく設定すると、必然的にY2も大きくなってしまう。
【0091】
屈曲部の直線化を行うときには、左右方向の最大湾曲角度Y2は小さい方が好ましいが、上下方向における屈曲通過性を向上させようとすると左右方向の最大湾曲角度Y2も必然的に大きくなってしまい、受動湾曲部15が不用意に曲がってしまう虞れがある。
【0092】
これに対して、本実施の形態の受動湾曲部15Aは、第5の回動軸IA3を有することにより、上下方向の最大湾曲角度Y1と左右方向の最大湾曲角度Y2とは、独立して任意に設定可能となる。よって、上下方向の最大湾曲角度Y1を大きく設定しても、左右方向の最大湾曲角度Y2も必然的に大きくなってしまうことがない。
【0093】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部を被検体内へ挿入して屈曲部を通過させるときに、受動湾曲部が意図しない方向に曲がり難い挿入機器を実現することができる。
【0094】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、受動湾曲部は、複数の湾曲駒を含んで構成されているが、第3の実施の形態では、受動湾曲部は、複数の湾曲駒を含まない。
【0095】
(構成)
第3の実施の形態の内視鏡は、第1の実施の形態の内視鏡と略同じ構成を有するので、以下、本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成についてものみ説明する。
【0096】
上述した2つの実施の形態では、第1の可撓管部である受動湾曲部は、複数の湾曲駒で構成されているが、本実施形態において説明するように外皮及び螺旋管を備え、蛇管13と類似の構成のものでもよい。
【0097】
図20は、本実施の形態の内視鏡1Aの概観図である。内視鏡1Aの挿入部2は、先端から順に、先端部11、能動湾曲部14、可撓管部12Aを有して構成されており、挿入方向Wに沿って細長に形成されている。
【0098】
図21は、中心軸O及び上下方向に沿った可撓管部12Aの断面図である。
図22は、
図21のXXII−XXII線に沿った可撓管部12Aの断面図である。
図23は、
図21のXXIII−XXIII線に沿った可撓管部12Aの断面図である。
図24は、
図21のXXIV−XXIV線に沿った可撓管部12Aの断面図である。なお、
図22から
図24では、螺旋管51と網状管52、及び各種内蔵物は、省略されている。
【0099】
能動湾曲部14は、可撓管部12Aよりも先端側に設けられている。可撓管部12Aは中空形状を有しており、可撓管部12A内には、複数の信号線、複数の湾曲ワイヤ35a〜35d等が挿通されている。
図21に示すように可撓管部12Aは、帯状の薄板部材を螺旋状に巻回して形成した螺旋管51と、螺旋管51の外周面上に設けられた網状の網状管52と、この網状管52の外周面上に設けられた外皮53とを有する。
【0100】
外皮53の外周面上には、耐薬品性を有する例えばフッ素を含有したコーティング剤が積層されたコーティング層54が設けられている。
【0101】
外皮53は、例えば網状管52の外周面を被覆する軟質樹脂層55と、軟質樹脂層55の外周面を被覆する硬質樹脂層56とを積層した2層構成を有する筒状部材である。
【0102】
軟質樹脂層55は、軟質な樹脂製であり、硬質樹脂層56は、軟質樹脂層55よりも硬い硬質な樹脂製である。軟質樹脂層55及び硬質樹脂層56に用いる樹脂としては、例えば硬さが異なる2種類の熱可塑性ウレタンエラストマーが用いられる。
【0103】
可撓管部12Aは、先端から順に、第1の可撓管部(15B)である第1の蛇管13A、第2の可撓管部である第2の蛇管13Bを有して構成されている。第2の蛇管13Bは、先端寄り部分60及び基端寄り部分61を有して構成されている。
【0104】
第1の蛇管13Aは、全体に、軟質樹脂層55の厚さが硬質樹脂層56の厚さよりは厚い軟性部を構成する。
図22に示すように、第1の蛇管13Aでは、左右方向において軟質樹脂層55の厚さは、上下方向における厚さよりは薄い。
【0105】
第2の蛇管13Bのうち、先端寄り部分60は、軟質樹脂層55と硬質樹脂層56の厚さの割合が変化する可撓性変化部を構成する。第2の蛇管13Bの先端寄り部分60では、先端から基端に向かって軟質樹脂層55の方が硬質樹脂層56よりも厚さが薄くなり、先端から基端に向かって硬質樹脂層56の方が軟質樹脂層55よりも厚さが厚くなるように、軟質樹脂層55と硬質樹脂層56は形成されている。
【0106】
第2の蛇管13Bのうち、基端寄り部分61は、硬質樹脂層56の厚さが軟質樹脂層55よりも厚い硬性部を構成する。
【0107】
軟質樹脂層55と硬質樹脂層56を合わせた外皮53の厚さは、第1の蛇管13A、第2の蛇管13Bにおける先端寄り部分60及び基端寄り部分61において同じである。
【0108】
特に、
図22に示すように、第1の蛇管13Aにおいて軟質樹脂層55と硬質樹脂層56の厚み比率は、上下方向と左右方向において異なっている。上下方向よりも左右方向の曲げ剛性が高くなるように、左右方向において硬質樹脂層56は、軟質樹脂層55よりも厚い。すなわち、第1の蛇管13Aは、上下方向よりも左右方向における曲げ剛性が高い筒状部材を有する。ここでは、筒状部材である軟質樹脂層55と硬質樹脂層56は、上下方向よりも左右方向における曲げ剛性が高くなるように、挿入部2を先端側からみたときに、筒状部材の薄肉部である軟質樹脂層55と硬質樹脂層56の厚さが、上下方向と左右方向において異なる。
【0109】
第2の蛇管13Bにおける先端寄り部分60ならびに基端寄り部分61においては、軟質樹脂層55と硬質樹脂層56の厚み比率は、上下方向と左右方向において等しい。
【0110】
以上のように、第1の蛇管13Aは、第1の可撓管部15Bとして、能動湾曲部14の基端側に設けられた受動湾曲部を構成する。
【0111】
(作用)
上述したように、第1の蛇管13Aでは上下方向よりも左右方向の剛性が高いため、第1の蛇管13Aは、上下方向より左右方向に曲がり難い。よって、第1の蛇管13A(受動湾曲部15B)は、第1及び第2の実施の形態の受動湾曲部15、15Aと同様に機能して、操作者は、挿入部2を被検体の屈曲部内を円滑に通過させることができる。
【0112】
(変形例1)
なお、本第3の実施の形態の変形例1として、第1の蛇管13Aの軟質樹脂層55と硬質樹脂層56の上下方向の薄肉部の厚さと、左右方向における薄肉部の厚さを異ならせる代わりに、左右方向の曲げ剛性を高くするために、硬質樹脂層56中に、硬質樹脂層56よりも硬度の高い部材、例えば樹脂からなる細長片71を中心軸Oに平行に埋め込んでもよい。
【0113】
図25は、
図21のXXII−XXII線に沿った、本変形例1に係わる第1の蛇管13Aの断面図である。
図25に示すように、硬質樹脂層56よりも硬度の高い帯状の細長片71が、硬質樹脂層56中に、細長片71の長手軸が中心軸Oに平行に配設されている。2つの細長片71は、中心軸Oに対して軸対称に配設される。
【0114】
なお、左右方向の曲げ剛性を高くするために、細長片71を軟質樹脂層55中に埋め込むようにしてもよい。すなわち、筒状部材である軟質樹脂層55あるいは硬質樹脂層56は、挿入部2を先端側からみたときに、左右方向に沿った軸上に、上下方向よりも左右方向における曲げ剛性を高くする2つの部材を有する。
【0115】
さらになお、細長片71は、伸縮し難い繊維部材でもよい。
【0116】
よって、第1の蛇管13Aにおいて軟質樹脂層55の厚さと硬質樹脂層56の厚さが同じであっても硬度の高い帯状の2つの細長片71により、第1の蛇管13Aは、左右方向である第1の回動軸RL方向に曲がり難い。
【0117】
以上のように、本実施の形態及び変形例によれば、挿入部を被検体内へ挿入して屈曲部を通過させるときに、受動湾曲部が意図しない方向に曲がり難い挿入機器を実現することができる。
【0118】
なお、本実施形態では第1の蛇管13A、第2の蛇管13Bは一体で形成されているが、螺旋管51、網状管52、外皮53をそれぞれ有した構造の別体の2つの蛇管を一体的に連設して形成してもよい。
【0119】
(手技)
次に、上述した3つの実施の形態に係わる内視鏡を用いて大腸のS状結腸内に挿入部を挿入する手技について説明する。
【0120】
図26は、被検体の屈曲部の直線化を行う手技の例を示すフローチャートである。
図27から
図32は、大腸内に挿入された挿入部の状態の例を示す図である。
【0121】
検査者は、肛門から挿入部2の先端部11を挿入し、屈曲部であるS状結腸CSの管腔方向を確認する(ステップ(以下Sと略す)1)。
図27に示すように、検査者は、先端部11をS状結腸CSの入り口方向に向けることにより、S状結腸CSの管腔方向を確認することができる。
【0122】
次に、検査者は、能動湾曲部14を上方向に湾曲させて、能動湾曲部14を屈曲部に引っ掛ける(S2)。
図28に示すように、能動湾曲部14は、S状結腸CSに引っ掛かる。
【0123】
そして、検査者は、挿入部2を引いて屈曲部を下げる(S3)。
図29に示すように、S状結腸CSが、検査者側に近づくことによって、S状結腸CSの入り口が下がる。
【0124】
検査者は、挿入部2を挿入方向に向かって時計回りに捩ると、
図30に示すように、湾曲部12が起き上がり、大腸が畳み込まれる(S4)。
図31は、大腸が畳み込まれた状態を示す。
【0125】
そして、検査者は、能動湾曲部14を湾曲状態から真っ直ぐな状態にして、大腸を直線化する(S5)。
図32は、大腸が直線化された状態を示す。
【0126】
大腸が直線化することにより、検査者は、挿入部を奥へ押し込むことができる(S6)。
【0127】
以上のように、上述した各実施の形態によれば、挿入部を被検体内へ挿入して屈曲部を通過させるときに、受動湾曲部が意図しない方向に曲がり難い挿入機器を実現することができる。
【0128】
その結果、操作者は、挿入部2を被検体の屈曲部へ円滑に通過させることができる。
【0129】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0130】
本出願は、2017年5月31日に日本国に出願された特願2017−107539号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。