特許第6803469号(P6803469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6803469触感を提供するトランスデューサシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803469
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】触感を提供するトランスデューサシステム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20201214BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B60N2/90
   A47C7/62 Z
【請求項の数】19
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2019-527782(P2019-527782)
(86)(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公表番号】特表2019-526496(P2019-526496A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】US2017045572
(87)【国際公開番号】WO2018027168
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】62/371,599
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519040256
【氏名又は名称】サブパック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SUBPAC,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アレクシウ、ジョン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】チェルネッキ、トッド クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】クワジャ、サロシュ スルタン
(72)【発明者】
【氏名】キンペル、ジェームズ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シーガー、マーク エラード
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ピーター アール.
【審査官】 毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−068667(JP,A)
【文献】 特開2005−223630(JP,A)
【文献】 特開2002−240660(JP,A)
【文献】 特開2008−077631(JP,A)
【文献】 実開昭59−029885(JP,U)
【文献】 実開平06−007389(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/155028(WO,A1)
【文献】 特開2016−081521(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0107570(US,A1)
【文献】 実開昭63−005787(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0049323(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/90
A47C 7/00− 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触感を提供するシステムであって、
座席のシートバックであって、該シートバックは、前記シートバックの中心線によって分離された左側および右側を有する、前記シートバックと、
前記シートバックの前記中心線に沿って配置され、かつ触覚音波を提供する第1の複数の電気活性トランスデューサと、
前記第1の複数の電気活性トランスデューサのうちの少なくとも1つに結合され、かつ前記第1の複数の電気活性トランスデューサのうちの少なくとも1つの振動を直接または衣類を介して前記座席の着座者に伝達するように配置された振動触覚膜と、
前記シートバック内における、触覚的な注意喚起またはフィードバックを提供する第2の複数の電気活性トランスデューサとを含み、第2の複数の電気活性注意喚起トランスデューサは、前記シートバックの左側における左側電気活性トランスデューサおよび前記シートバックの右側における右側電気活性トランスデューサを含む、システム。
【請求項2】
前記第1の複数の電気活性トランスデューサおよび前記第2の複数の電気活性注意喚起トランスデューサは、菱形状に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の複数の電気活性トランスデューサは、前記シートバックの左側における追加の左側トランスデューサおよび前記シートバックの右側における追加の右側トランスデューサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の複数の電気活性トランスデューサおよび前記第2の複数の電気活性注意喚起トランスデューサは、トランスデューサグリッド内に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記中心線は、ユーザの脊椎の位置に対応し、および前記第1の複数の電気活性トランスデューサは、ユーザの脊椎を介した骨伝導を少なくとも部分的に用いて触覚音波を提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
左側および右側を有するシートボトムと、
前記シートボトム内における、触覚的な注意喚起またはフィードバックを提供する第3の複数の電気活性トランスデューサとをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
入力音響信号を受信し、かつ前記入力音響信号に基づいて前記第1の複数の電気活性トランスデューサに対するトランスデューサ制御信号を生成するトランスデューサ制御システムをさらに含み、
前記トランスデューサ制御システムは、車両イベント情報も受信し、かつ前記車両イベント情報に応答して前記第2の複数の電気活性トランスデューサに対するトランスデューサ制御信号を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記車両イベント情報は、死角警告、車線逸脱警告、またはナビゲーションイベントに対応する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記トランスデューサ制御システムは、
前記入力音響信号を第1の周波数範囲内の第1の音響コンテンツにフィルタ処理し、かつ第1のトランスデューサ制御信号を介して前記第1の周波数範囲内の前記第1の音響コンテンツを前記第1の複数の電気活性トランスデューサの上側トランスデューサに提供し、
前記入力音響信号を前記第1の周波数範囲と異なる第2の周波数範囲内の第2の音響コンテンツにフィルタ処理し、かつ第2のトランスデューサ制御信号を介して前記第2の周波数範囲内の前記第2の音響コンテンツを前記第1の複数の電気活性トランスデューサの下側トランスデューサに提供する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記座席内におけるセンサをさらに含み、前記トランスデューサ制御システムは、感知された情報を前記センサから受信し、かつ前記感知された情報に基づいて、前記第1の複数の電気活性トランスデューサに対する前記トランスデューサ制御信号または前記第2の複数の電気活性トランスデューサに対する前記トランスデューサ制御信号の少なくとも1つを生成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の複数の電気活性トランスデューサも触覚的な音響を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の複数の電気活性トランスデューサの各電気活性トランスデューサは、2つの懸架ばねを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
触感を提供するシステムであって、
ユーザの背中に接触するためのウェアラブルデバイスの背中側表面であって、前記ウェアラブルデバイスは、ユーザの脊椎に対応する前記ウェアラブルデバイスの中心線によって分離された左側および右側を有する、前記ウェアラブルデバイスの背中側表面と、
前記背中側表面の前記中心線に沿って配置され、かつ触覚音波を提供する第1の複数の電気活性トランスデューサと、
前記第1の複数の電気活性トランスデューサのうちの少なくとも1つに結合され、かつ前記第1の複数の電気活性トランスデューサのうちの少なくとも1つの振動を直接または衣類を介してユーザの背中に伝達するように配置された振動触覚膜と、
前記ウェアラブルデバイス内における、方向指示的な触覚的注意喚起またはフィードバックを提供する第2の複数の電気活性トランスデューサとを含み、前記第2の複数の電気活性トランスデューサは、前記ウェアラブルデバイスの左側における左側電気活性トランスデューサおよび前記ウェアラブルデバイスの右側における右側電気活性トランスデューサを含む、システム。
【請求項14】
触感を提供するシステムであって、
座席と、
前記座席内における、トランスデューサ制御信号を動きに変換する電気活性トランスデューサと、
前記電気活性トランスデューサに結合され、かつ前記電気活性トランスデューサの振動を直接または衣類を介して前記座席の着座者に伝達するように配置された振動触覚膜と、
前記座席内における、前記座席に対する圧力を感知する圧力センサと、
前記圧力センサによって感知された前記圧力に基づいて前記トランスデューサ制御信号を生成するトランスデューサ制御システムとを含むシステム。
【請求項15】
前記トランスデューサ制御システムは、前記座席にユーザが存在しないことを前記圧力が示す場合、前記トランスデューサ制御信号が前記電気活性トランスデューサを作動させないようにする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記トランスデューサ制御システムは、前記圧力を閾値圧力レベルと比較し、かつ前記圧力が前記閾値圧力レベル未満である場合、前記トランスデューサ制御信号が前記電気活性トランスデューサを作動させないようにする、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記トランスデューサ制御システムは、音響信号を受信し、かつ前記音響信号に等化を適用して前記トランスデューサ制御信号を生成し、前記トランスデューサ制御システムは、前記圧力センサによって感知された前記圧力に基づいて前記等化を調節する、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記トランスデューサ制御システムは、前記圧力センサによって感知された前記圧力に基づいて、一組の所定の等化プロファイルから等化の設定を選択する、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記圧力センサは、前記電気活性トランスデューサと一体化されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
1つまたは複数の実施形態では、触覚的な体感音響感覚を提供するシステムが開示される。システムは、座席のシートバックを含み、このシートバックは、シートバックの中心線によって分離された左側および右側を有する。第1の複数の電気活性トランスデューサは、シートバックの中心線に沿って配置され、かつ触覚音波をユーザに提供する。シートバック内における第2の複数の電気活性トランスデューサは、触覚的な注意喚起またはフィードバックを提供する。第2の複数の電気活性注意喚起トランスデューサは、シートバックの左側における左側電気活性トランスデューサおよびシートバックの右側における右側電気活性トランスデューサを含む。
【0002】
1つの実施形態では、第1の複数の電気活性トランスデューサおよび第2の複数の方向指示的注意喚起トランスデューサは、菱形状に配置されている。
1つの実施形態では、第2の複数の電気活性トランスデューサは、シートバックの左側における追加の左側トランスデューサおよびシートバックの右側における追加の右側トランスデューサをさらに含む。
【0003】
1つの実施形態では、第1の複数の電気活性トランスデューサおよび第2の複数の方向指示的注意喚起トランスデューサは、トランスデューサグリッド内に配置されている。
1つの実施形態では、中心線は、ユーザの脊椎の位置に対応し、および第1の複数の電気活性トランスデューサは、ユーザの脊椎を介した骨伝導を少なくとも部分的に用いて触覚音波を提供するように構成されている。
【0004】
1つの実施形態では、システムは、左側および右側を有するシートボトムを含む。シートボトム内における第3の複数の電気活性トランスデューサは、触覚的な注意喚起またはフィードバックを提供する。
【0005】
1つの実施形態では、システムは、入力音響信号を受信し、かつ入力音響信号に基づいて第1の複数の電気活性トランスデューサに対するトランスデューサ制御信号を生成するトランスデューサ制御システムをさらに含む。トランスデューサ制御システムは、車両イベント情報も受信し、かつ車両イベント情報に応答して第2の複数の電気活性トランスデューサに対するトランスデューサ制御信号を生成する。
【0006】
1つの実施形態では、車両イベント情報は、死角警告、車線逸脱警告、またはナビゲーションイベントに対応する。
1つの実施形態では、トランスデューサ制御システムは、入力音響信号を第1の周波数範囲内の第1の音響コンテンツにフィルタ処理し、かつ第1のトランスデューサ制御信号を介して第1の周波数範囲内の第1の音響コンテンツを第1の複数の電気活性トランスデューサの上側トランスデューサに提供する。トランスデューサ制御システムはまた、入力音響信号を第1の周波数範囲と異なる第2の周波数範囲内の第2の音響コンテンツにフィルタ処理し、かつ第2のトランスデューサ制御信号を介して第2の周波数範囲内の第2の音響コンテンツを第1の複数の電気活性トランスデューサの下側トランスデューサに提供する。
【0007】
1つの実施形態では、システムは、座席内におけるセンサをさらに含む。トランスデューサ制御システムは、感知された情報をセンサから受信し、かつこの感知された情報に基づいて、第1の複数の電気活性トランスデューサに対するトランスデューサ制御信号または第2の複数の電気活性トランスデューサに対するトランスデューサ制御信号の少なくとも1つを生成する。
【0008】
1つの実施形態では、座席は、シートバック内における、第1の複数の電気活性トランスデューサに結合される膜をさらに含み、この膜は、第1の複数の電気活性トランスデューサからの振動を分散させる。
【0009】
1つの実施形態では、第2の複数の電気活性トランスデューサも触覚的な音響を提供する。
1つの実施形態では、第1の複数の電気活性トランスデューサの各電気活性トランスデューサは、2つの懸架ばねを有する。
【0010】
1つの実施形態では、触感を提供するシステムが開示される。このシステムは、ユーザの背中に接触するためのウェアラブルデバイスの背中側表面を含み、ウェアラブルデバイスは、ユーザの脊椎に対応するウェアラブルデバイスの中心線によって分離された左側および右側を有する。第1の複数の電気活性トランスデューサは、背中側表面の中心線に沿って配置され、かつ触覚音波を提供する。ウェアラブルデバイス内における第2の複数の電気活性トランスデューサは、方向指示的な触覚的注意喚起またはフィードバックを提供し、第2の複数の電気活性トランスデューサは、ウェアラブルデバイスの左側における左側電気活性トランスデューサおよびウェアラブルデバイスの右側における右側電気活性トランスデューサを含む。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、触感を提供するシステムは、座席を含む。座席内における電気活性トランスデューサは、トランスデューサ制御信号を動きに変換する。座席内における圧力センサは、座席に対する圧力を感知する。トランスデューサ制御システムは、圧力センサによって感知された圧力に基づいてトランスデューサ制御信号を生成する。
【0012】
1つの実施形態では、トランスデューサ制御システムは、ユーザが存在しないことを圧力が示す場合、トランスデューサ制御信号が電気活性トランスデューサを作動させないようにする。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、トランスデューサ制御システムは、圧力を閾値圧力レベルと比較し、かつ圧力が閾値圧力レベル未満である場合、トランスデューサ制御信号が電気活性トランスデューサの振動を作動させないようにする。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、トランスデューサ制御システムは、音響信号を受信し、かつその音響信号に等化を適用してトランスデューサ制御信号を生成し、トランスデューサ制御システムは、圧力センサによって感知された圧力に基づいてこの等化を調節する。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、トランスデューサ制御システムは、圧力センサによって感知された圧力に基づいて、一組の所定の等化プロファイルから等化の設定を選択する。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、圧力センサは、電気活性トランスデューサと一体化されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態による、トランスデューサ装置(transducer arrangement)を含む触覚音波デバイスを図示する。
図2】別の実施形態による、トランスデューサ装置を含む触覚音波デバイスを図示する。
図3】別の実施形態による、トランスデューサ装置を含む触覚音波デバイスを図示する。
図4】一実施形態による、振動−触覚膜(VTM:vibro−tactile membrane)に結合されたトランスデューサを図示する。
図5A-B】一実施形態による、トランスデューサの異なる図である。
図6】一実施形態による、トランスデューサ制御システムおよび触覚音波デバイスを含むシステムを図示する。
図7】一実施形態による、図6のトランスデューサ制御システムのDSPにおける音響信号の処理を図示する。
図8A-C】異なる実施形態によるトランスデューサの作動を図示する。
図9】一実施形態による、ユーザの背中に隣接した位置におけるウェアラブルバックパックデバイス形態の触覚音波デバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書における実施形態の教示は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を検討することによって容易に理解され得る。
ここで、本開示のいくつかの実施形態が詳細に言及され、それらの例が添付の図面に図示されている。実施可能な限り、類似または同様の参考番号が図中で使用され得、類似または同様の機能を示し得ることに留意されたい。図は、例示のみの目的で本開示の実施形態を描いている。当業者は、以下の説明から、本明細書で説明している構造および方法の代替的な実施形態が本明細書に記載の開示の原理または喧伝される利点から逸脱することなく使用され得ることを容易に認識するであろう。
【0019】
序論
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、人間のユーザが自動車、劇場もしくは他の会場、家庭または他の場所で着席しているときに、それらのユーザに高品質の音響および触覚体験を送達することにおける多くの欠点に対処することを意図している。いくつかの特定の状況を除いて、これらの環境は、特に低周波数において、音楽(ライブおよびレコーディングの両方を含む)、映像(映画、テレビなど)、ゲーム、仮想現実(VR:virtual reality)および拡張現実(AR:augmented reality)、シミュレータ(例えば、飛行、地震、テーマパークの車両など)ならびに一組の低周波数の情報を生成するための他の手段によって生成されるものなど、音響および/または触覚体験を最適化するように設計されていない。
【0020】
例えば、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、例えば、車、トラック、バス、電車、列車、飛行機、船などの自動車または他の輸送車両に適用可能であり得る。
自動車内に低音域を提供するために設計された現行のシステムの例では、これらは、消費電力が大きく、重量があり、大型であり、非能率的であり、また望ましくないノイズおよび車台の振動を引き起こす場合がある。公共交通機関のための車両の例では、これは、各乗客が、(例えば、個々のヘッドフォン、シートバックスクリーンなどを通して音楽、映画、テレビなどの)場合により異なる番組素材を体験することによって悪化し、それにより各個人に個々の低周波数体験を提供することが妨げられる。
【0021】
さらに、そのような車両における現行の座席設備には、人間、例えば車(自律型、半自律型または手動型)の運転者など、そのような車両の操縦者に触覚フィードバックを、例えば、こうした人物に情報を提供する注意喚起および他のイベントとともに提供するようにする手段がない。しかしながら、本開示の1つの実施形態では、障害物または他の状態(車線を横切って移動する別の車両など)が存在する場合、注意喚起は、障害物または状態のそばの座席側のトランスデューサ装置のトランスデューサを起動させ得る。現行の公共交通機関の座席も例えば、よく知られたランドマークまたは記念碑を通過するときに乗客が注意喚起されたり、目的地から所定の距離または所定の時間に「アラーム」コールを設定したりするような性能を提供していない。
【0022】
現行の座席はまた、姿勢体重、操縦者の注意状態、睡眠/覚醒状態または他のバイオメトリックフィードバック特性を検出せず、その人物が体験することを望み得るあるあらゆる素材の体験をその人物にとって最適化する手段も提供しない。
【0023】
現行の座席はまた、移動中のこのような座席(例えば、列車、飛行機、自動車または他の運送車用座席)の影響を緩和するように能動的フィードバックを提供することができず、このような輸送車に関連する周期的振動は、少なくとも部分的にトランスデューサ装置からの出力の生成によって緩和され得る。
【0024】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、座席設備など、人間のそのときの状態に対応するように設計された1つまたは複数の構造を通して、例えば音楽リスニングおよびフィーリング体験の強化、より直観的なユーザインタフェース注意喚起、マッサージおよびリラクゼーション感覚、ゲーム体験、ARおよびVR体験と同様に、例えばエンジンシミュレーションなどのシミュレーションならびに他の音波および触覚効果など、様々な触覚および/または音響体験を1人または複数の人間のユーザに提供する1つまたは複数の電気活性トランスデューサ、センサおよび制御システムからなる装置を提示する。
【0025】
本明細書で検討されている1つまたは複数の実施形態は、一体化された一組のシステム要素を含み、それらは、いくつかの実施形態では、様々な状況において1人または複数のユーザに可聴体験および/または触覚体験を提供することが可能なエンドツーエンドシステムを含み得る。いくつかの実施形態は、以下のシステム要素を含み得る。
【0026】
・トランスデューサ制御システム
・トランスデューサおよびトランスデューサ装置
・センサおよび他の入力
・フィードバックシステム
・ユーザ認識および識別システム
1つまたは複数の実施形態は、ユーザが1つまたは複数の体験を有することができるように構成された入力信号および関連する一組のコマンドを含む1つまたは複数のパターンの生成および適用に対応する。そのようなシステムの1つの重要な態様は、トランスデューサ装置を形成するトランスデューサ間の関係であり、それらが相互におよび他のシステム要素に接続される方法(物理的接続および/または論理的接続の両方)により、体験の提供が決定される。別の態様は、フレームワーク、動作制御、トリガおよび他のシステム要素、概して制御システムによって使用される他の仕様を提供して、ユーザのための体験を実体化するパターンの作成および導入である。いくつかの実施形態では、これらのシステム要素は、それらの相互のおよび外部システムとの統合を提供する個々のまたは集合的なAPIを有することができる。これらの態様がそれぞれ本明細書で説明される。
【0027】
これらのシステムは、全体的または部分的に、人間のユーザが体験者である様々な状況に導入され得、またいくつかの実施形態では、人間のユーザが、このようなシステムを用いて導入された体験に対する提供者である様々な状況に導入され得る。例えば、これらのシステムは、任意の形態の座席、具体的には、自動車および他の形態の輸送車で使用される座席、単一の参加者および複数の参加者の両方のために劇場ならびに他の公演会場およびゲームで使用される座席に一体化され得る。本開示は、これらの領域のそれぞれにおけるそのようなシステムの適用例を概説する。
【0028】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置におけるトランスデューサ間の関係は、物理的最適化、論理的最適化および出力最適化の両方を提供することができる。例えば、共通の懸架装置に接続されているトランスデューサの装置を利用して、単一のトランスデューサによって提供されるものよりも高い周波数出力強化を提供することができる。トランスデューサ(個々のまたは結合された懸架ばねのいずれかを有する)間の物理的距離であるトランスデューサアライメントは、骨伝導の触感を最適化するために、例えば骨格などの特定の身体特性、肩甲骨、肋骨または他の身体部位などの他の身体要素に位置合わせすることができ、(例えば、過渡現象のオーバーハングまたはリンギングを低減させるためのそのような剛性の利用など)セットフレームの剛性およびトランスデューサ出力の過渡的挙動の最適化等による利益を享受するために、例えば、様々な座席または他の構造パラメータに関して触感に対する感度(例えば、そのような触感を注意喚起および/または指示に用いることができる場合)を高めることができ、トランスデューサ装置のそのような状況的な統合は、そのような物理的配置、論理的配置および出力配置を通して1つまたは複数の最適化に対応する。
【0029】
いくつかの実施形態では、装置内のトランスデューサのトリガは、振動が異なる身体の部分/蝸牛からの距離でどのように知覚されるか、したがって、そのようなパラメータに従って相対的遅延/位相をどのように変化させ得るかを考慮に入れた構成を含み得る。いくつかの実施形態では、このような仕様は、1つまたは複数のパターンに組み込むことができ、1人または複数のユーザ(および特定の車両、会場における特定の座席などの特定の状況に対するものを含む関連する嗜好)に個人化することができる。
【0030】
トランスデューサ装置
図1は、一実施形態による、トランスデューサ装置を含む触覚音波デバイスを図示する。触覚音波デバイスは、車両(例えば、自動車、列車、飛行機、ボート)のための座席100である。他の実施形態では、座席100は、ゲームのための座席または劇場の座席であり得る。
【0031】
座席100は、ユーザの背中を支持するためのシートバック110と、ユーザの臀部を支持するためのシートボトム150とを含む。シートバック110は、菱形状に互いに間隔を置いた4つの電気活性トランスデューサ116、118、132および134を含む。電気活性トランスデューサは、電気信号を、振動としてユーザが感じることができる動きに変換する。電気活性トランスデューサは、シートバック110を覆っている振動触覚膜(VTM:vibrotactile membrane)に取り付けることができる。シートボトム150は、電気信号を、振動としてユーザが感じることができる動きに変換する数個の電気活性トランスデューサ152および154も含む。電気活性トランスデューサ152および154は、シートボトム150を覆っている振動触覚膜(VTM)に取り付けることができる。
【0032】
シートバック110では、電気活性トランスデューサの2つ、116および118は、低周波数音響信号を振動に変換することが可能であり、かつユーザがサブウーファを必要とせずに触覚音波として低周波数音響を体験することを可能にする音響触覚トランスデューサであり得る。トランスデューサ116および118は、シートバック110の垂直中心線130に沿って位置している。垂直中心線130は、座席内に物理的に存在するのではなく、シートバック110の左半分および右半分を互いに分離するシートバック110の仮想中心軸である。垂直中心線130は、(シートボトム150に隣接している)シートバック110の下端から(ヘッドレストに隣接している)シートバック110の上端まで延在している。図1における「左」および「右」は、座席100に座っている人の視点から決定されている。違う言い方をすれば、シートバック110の左半分および右半分は、左半分および右半分を互いに分割する仮想中心面によって分離されている。
【0033】
トランスデューサ116および118は、座席100上に座っているユーザの脊椎と位置合わせされるように垂直中心線130に沿って位置している。上側トランスデューサ118は、他方の下側トランスデューサ116よりもシートバック110の頂部の近くに位置している。トランスデューサ116および118は、骨伝導を通してユーザの内耳に伝達される振動を供給する。例えば、トランスデューサ116および118が脊椎に接して配置されると、これらの振動は、ユーザの骨を通して内耳に伝達され、聴覚をもたらす。本明細書に記載のトランスデューサ装置では、骨伝導は、ユーザの体験を最適化するために体感音響感覚を作り出し、統合するための主要な方法の1つを提供する。
【0034】
脊椎上に配置された1つまたは複数のトランスデューサの位置決めと、ユーザの体験との間の関係は、特定の状況に適合され得る。例えば、トランスデューサが、例えば以下で逆さまになったT、Iおよび/またはL字形配置で説明されるように、映画館の座席の底部などの脊椎の基部に配置される場合、これは、多くの場合に映画のサウンドトラックにおいて見られるようなより深い周波数を提供することができる。1つまたは複数のトランスデューサが背中の中央部、例えば肩甲骨間に配置される場合、これらは、音楽において遭遇するようなより高いかより低い周波数を提供することができ、したがって車両の座席に導入するのにより適している場合がある。
【0035】
シートバック110では、電気活性トランスデューサの2つ、132および134は、振動を生成して、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザに提供する。右側トランスデューサ132は、シートバック110の右側に位置し、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザの右側に提供する。左側トランスデューサ134は、シートバック110の左側に位置し、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザの左側に提供する。シートバック110の両側のトランスデューサ132および134の場所により、トランスデューサ132および134によって発生した振動は、ユーザに触覚的な方向指示的注意喚起を提供する(例えば、運転しながら左または右を見るように注意を喚起する)か、またはユーザに触覚的な方向指示的フィードバックを提供する(例えば、娯楽用途に関して、スクリーンの左側または右側に恐竜の存在を示す)ために用いられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ132および134は、シートバック110の右側および左側のシートボルスタに位置している。図1に示されるように、トランスデューサ132および134の両方は、中心線130から等距離であり得る。トランスデューサ118は、トランスデューサ132および134よりもシートバック110の上端の近くにある。トランスデューサ116は、トランスデューサ132および134よりもシートバック110の下端の近くにある。
【0037】
シートボトム150では、電気活性トランスデューサ152および154も、振動を生成してユーザに触覚的な方向指示的注意喚起またはフィードバックを提供するトランスデューサである。シートボトム150の中心線160は、シートボトム150の左半分および右半分を互いに分離するシートボトム150の仮想中心軸である。右側トランスデューサ152は、シートボトム150の右半分に位置し、左側トランスデューサ154は、シートボトム150の左半分に位置する。
【0038】
いくつかの実施形態では、主として触覚音波のために使用される電気活性トランスデューサ(116および118)は、主として方向指示的注意喚起およびフィードバックのために使用される他のトランスデューサ(132、134、152、154)よりも大きいサイズであり得る。これは、他のトランスデューサ(132、134、152、154)と接触することになる人体の部分が、低い精度で感知するからである。同様に、主として触覚音波のために使用される電気活性トランスデューサ(116および118)のVTM構造は、方向指示的な注意喚起およびフィードバックのために使用される他のトランスデューサ(132、134、152、154)と異なる構造(例えば、厚さが薄い、材料が異なる)であり得る。
【0039】
トランスデューサ装置および関連する制御システムは、それらの導入状況に合わせて最適化することができ、それにより、ユーザが、トランスデューサ装置によって再生されたときにソースコンテンツの統合されたレンダリングを提供する状態を体験する。このトランスデューサの装置により、ユーザごとに異なる感覚がもたらされる結果として、体感音響の一部である多感覚的な合成物が生じる。
【0040】
例えば、本明細書に記載のトランスデューサ装置では、トランスデューサ装置が、体感音響体験の一部である特定の結果をもたらす4つの区域がある。これらの結果は、1つまたは複数の振動触覚膜(VTM)を通して伝えることができ、それは、例えば、ユーザの皮膚への直接的接触であり得、例えばユーザの衣類を通した間接的接触であり得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、1つまたは複数のセンサの使用を通した直接的または間接的接触の程度を検出し、続いてユーザ体験を最適化する際、そのような状態を考慮するようにトランスデューサ装置を構成することができ得る。
【0041】
皮膚接触の場合、皮膚上の受容体は、皮膚感覚(haptic)と呼ばれる表面上の振動を登録し、手触りおよび感触に関連する様々な触感を提供することができる。いくつかの実施形態では、これは、方向性を示したり、動きの感覚を作り出したりするために用いることができる。本明細書に記載のハニカム配置などのいくつかの実施形態では、各トランスデューサ要素は、小型、例えば1cm未満であり得、複数のトランスデューサは、皮膚の一部、例えば脚または前腕と接触し、このような手足が上下に動く感覚を提供し得る。
【0042】
筋肉の付近または筋肉上に配置されたトランスデューサは、体感音響、固有受容および内受容に包含される2つの部分からなる伝達機能を提供し、それらの部分の両方は、筋肉内の受容体を用いて力および/または圧力の微妙な変化を検出する。例えば、1つまたは複数のトランスデューサがユーザの臀部に接して配置された場合、圧力および力が変化する感覚を伝えることができる。例えば、本明細書に記載のLL、Xおよび菱形状の配置では、このようなトランスデューサは、例えば、大きい爆発音または他のサウンドトラック効果の前に感知される力の低減などの予測感覚を含む、再生中の情報のアタック(音の出だし)および減衰を伝えることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置の統合は、皮膚、骨および筋肉から得られる感覚を用いて特定の標的感覚を発生させて、統合された多感覚的感覚を作り出すように最適化することができる。例えば、本明細書に記載のハニカム配置では、トランスデューサと1つまたは複数のVTMとの組み合わせは、ゲームプレーに関連するものなど、高度に標的が設定された感覚を提供することができ、例えば、ユーザは、ゲームプレーによって示された特定の地点で「銃弾」または他の弾丸の衝撃を感知する。
【0044】
例えば、実行中のパターンが「ラビット」パターンであれば、装置内の最初のトランスデューサが入力信号を受信し、その入力信号に比例した出力を発生させ、次にさらなるトランスデューサがさらなる入力信号を受信し、その入力信号に比例した出力を発生させる等を行うことができ、それにより、ユーザは、ユーザに対して出力が例えば左から右にまたは上から下に動いていることを認識する。このようなパターンを用いて、例えば、ユーザがナビゲーションシステムに従っている場合、ユーザがその方向を見たり、その方向に車両の向きを変えたりすることをユーザに指示することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、人体装着型のもの、座席または他の人体支持構造体に組み込まれたもの、環境に組み込まれたもの(例えば、壁、床、構造支持体および/または構造体支持パネルなど)など、1つまたは複数の導入のための特定の装置を有することができる。このような導入された装置は、単一の目的用または多目的用、例えば音響用、音響およびイベント用、皮膚感覚および音響用、触覚および音響用であり得る。例えば、単一の目的は、最適化された音響体験であり得、導入されたトランスデューサ装置(1つまたは複数のセンサを含み得る)および制御システム(例えば、仕様、プログラムおよびそれらの実体化)が、1人または複数の特定の人間のためにそのような最適化された音響体験を提供し、例えば、そのような人間がそのような装置および制御システムによって認識および/または登録される。本明細書に記載の配置のそれぞれは、様々な体感音響の利点をユーザに提供するように適切な環境に導入することができる。例えば、家庭環境の一部であるソファに複数のL字形編成を導入して適切なVTMとつないで、娯楽(テレビ/映画)のサウンドトラックに関連する様々な感覚を提供し、かつ/または音響演出のためのサブウーファとしての機能を果たすことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、そのような最適化された音響体験は、例えば、皮膚感覚的な注意喚起システムと統合することができる。例えば、そのようなシステムは、導入された装置内のトランスデューサの1つまたは複数を用いて、センサをこのようなトランスデューサ装置と関連付けることができる場合、1つまたは複数のこのようなセンサによって判定されるような例えば予期されるイベントを含むイベントがまもなく発生するかまたは発生中であることを人間、例えば座席設備内の人間に示すことができる。例えば、列車またはバスの通勤者は、自分の停車駅に近づくと「軽く突かれる」。
【0047】
トランスデューサの物理的配置は、それらの意図された目的に最適化することができ、以下の非限定的な例が挙げられる。
「T字形配置」 − トランスデューサは、水平軸および垂直軸上に配置され、垂直軸および水平軸の両方の一部である少なくとも1つのトランスデューサが存在する。Tは、通常の(T)または逆にした(⊥)のいずれかであり得る。
【0048】
「I字形配置」 − トランスデューサは、少なくとも2つのトランスデューサを含む一本の線を形成し、概してそのような配置は、そのようなトランスデューサが互いに等しい距離に配置されている。これを「一定I字形配置」と記載する。「I字形配置」のさらなる変形形態は、そのような配置を形成するトランスデューサが互いに異なる距離に配置されている場合である。これを「変形I字形配置」と記載する。
【0049】
「H字形配置」 − さらなる水平のトランスデューサを有する2つの平行な一組のI字形構成(一定配置および変形配置の両方を含む)が存在し、それは、「少なくとも3つのトランスデューサを含む一定タイプまたは変形タイプいずれかのI字形配置」とも見なされ得る。その場合、それらのトランスデューサの少なくとも2つは、垂直なI字形構成のそれぞれの一部を形成し、そのようなトランスデューサは、そのようなI字形構成を形成する少なくとも2つの他のトランスデューサの中間に配置されている。
【0050】
「L字形配置」 − 2つの軸が存在し、1つは、垂直軸であり、もう1つは、水平軸であり、両方ともいずれかのタイプの「I字形配置」を含む。
「LL字形配置」 − 互いに平行であり、かつ所定の距離だけ離間している2つのL字形配置が存在する場合がある。例えば、そのような配置を座席構造に含み得、それにより、各L字形配置は、そのような構造に座っている人の脊椎のいずれかの側にある。さらなる変形形態は、1つもしくは複数のI字形配置か、または2つのL字形配置を接続するいずれかのタイプを有することができる。これらの接続は、いくつかの実施形態では、L字形配置に対して90度であり得るが、それらは、任意の他の角度でもあり得る。いくつかの実施形態では、そのような配置は、トランスデューサ装置を含み、かつそれを支持する1つまたは複数の構造要素を含み得る。
【0051】
「X字形配置」 − 2つの「I字形配置」または共通の一点で交差するように配置されるタイプのいずれかであり、通常、単一のトランスデューサがそれぞれのI字形配置構成の一部を形成し、その交点における各I字形配置間の角度は、通常、90度である。しかしながら、交差部分は、X字形状を作り出す任意の適切な角度であり得る。X字形配置は、ユーザに方向指示情報を提供すること、例えば注意が必要な状況を示したり、サウンドトラックおよび/またはそれに類するものに方向指示合図を導入したりすることができるXの両端部分(上側の左右、下側の左右)でトランスデューサを組み込むことができる。
【0052】
「菱形状配置」 − 菱形状配置は、図1のシートバック110で図示されている。菱形の形状を形成する互いに直角に配置された4つの「I字形配置」があり、それぞれの「I字形配置」またはいずれかのタイプは、その隣のものと共通のトランスデューサを共有する。いくつかの実施形態では、菱形の形状が基本的なトランスデューサ装置を提供することにより、ユーザは、骨伝導を用いて脊椎を通して感覚を与える少なくとも1つのトランスデューサを有し、1つのトランスデューサ118が固有受容器および内受容器を通して上部背面を通して感覚を与え、それにより、VTMによって伝えられる表現された信号のアタック/減衰および過渡現象に関連する感覚をユーザに提供する。左右のトランスデューサは、ユーザに方向指示的な感覚を提供し、それにより、ユーザの体験は、統合された体感音響感覚である。例えば、そのような配置内の下側トランスデューサ116を通して伝えられる情報は、上側トランスデューサにおける情報と異なる場合があり、例えば、下側トランスデューサは、周波数の低い方の一組(例えば、120Hz以下)を提供することができ、上側トランスデューサは、これらの周波数の高い方の一組(例えば、120hz〜250Hz)を伝えることができる。この例では、トランスデューサに提示された信号のアタック/減衰は、例えば、1つまたは複数のDSPを動作させることによっても変化され得る。
【0053】
「放射状/同心配置」 − 本開示の1つの態様は、トランスデューサ装置に接続された1つまたは複数の膜を用いることであり、このような膜は、トランスデューサ装置からの出力を分散的に伝播させ、それにより、生成された出力の分散が膜を横断して均一に伝達される。このような実施形態では、この効果は、音響レンズと呼ばれる。放射状配置、菱形状と同様に、円形パターンを形成する少なくとも1つの上側、下側、左側および右側トランスデューサを含む。− いくつかの実施形態では、内側の円および外側の円を有する2つ以上の同心円が存在する場合があり、それらは、独立して制御され得る。
【0054】
「マトリクス配置」 − 平行に配置された少なくとも2つのI字形配置が存在し、そのようなI字形配置は、少なくとも2つのトランスデューサを含み、それにより、各トランスデューサは、各I字形配置の終点にある。
【0055】
「ハニカムおよび他の一体型配置」 − いくつかの実施形態では、各トランスデューサは、例えば、円形、六角形または任意の多角形など、最適には六角形のパッキングにおいて、トランスデューサの動作によって作動される関連する分配要素を有することができる。そのような分配要素は、次に、少なくとも1つのVTMに結合され得る。いくつかの実施形態では、そのようなトランスデューサは、直径1cm以下であり得、入来信号を非常にきめ細かく再生する。いくつかの要素では、これらの実施形態は、機械的にかつ/または共通の制御システムを通して連結され得る。いくつかの実施形態では、そのような装置は、1つまたは複数の組のトランスデューサがそれに接続される共通の膜(例えば、1つまたは複数のVTMを含む)を形成することができる。例えば、そのような装置は、以下を含み得る。
− これらの多角形のサイズは、様々であり得る。
− いくつかの実施形態では、そのような装置の一方の側は、プレートまたはプレートの部分を独立して動かすことを可能にするように特別に設計された特徴を有するプレートであり得、各多角形の中心に複数のボイスコイルがあり、各ボイスコイルがピクセルグリッドを介してまたは前述の位置認識メカニズムを介して制御システムに接続されている。
− 他方の側は、それぞれの多角形ごとに取り付けられた複数のマス(mass)を有することができ、これらの多角形を分離するように特別に設計された特徴を有する。
− これらの2つの側を1つに合わせると、複数のセルを有する連続したトランスデューサが形成される。
− 一方の側は、特別に設計された特徴と連続している場合がある。他方の側は、連続している場合もあれば離散している場合もある。
− 作動/動きは、ボイスコイルまたは任意の他の電磁反発方式、圧電式もしくは圧力ベース/空気圧式を介したものであり得る。
【0056】
そのようなトランスデューサ装置は、例えば、ジャイロスコープ、加速度計、GPS/GNSSまたは他の位置識別子などを含む一体型センサアレイを含み得る。
いくつかの実施形態では、座席または例えばベッド、寝椅子もしくはそれに類するものなどの他の人体支持構造は、一組のトランスデューサ装置を含み得る。例えば、そのような装置における各トランスデューサ要素が共通の分配要素、例えば1つまたは複数のVTMに結合され、それにより、表面全体および/またはその任意の部分にわたって様々な範囲の音響および触覚の生成を行うことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、例えば、自動車両内の座席など、1つまたは複数の状況に最適化することができる。これらの装置のそれぞれは、特定の状況(例えば、特定の自動車または特定の型の自動車内の座席)の個人にとって最適化された体験を提供するように、トランスデューサ装置の出力の特性の1つまたは複数を構成することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、トランスデューサの軸、位置決めおよび相対位置は、変えられ得、それにより、トランスデューサのX−Y−Z関係が変えられ得る。いくつかの実施形態では、これらの変化は、関連するモータまたは物理的変位の他の手段によって行われ、それにより、例えば、トランスデューサを水平に回転させること、垂直に傾けること、またはユーザとトランスデューサおよび/またはトランスデューサ装置(振動触覚膜を含む)との間の距離を変えることができる。
【0059】
図2は、別の実施形態による、トランスデューサ装置を含む触覚音波デバイスを図示する。触覚音波デバイスは、座席200である。座席200は、図1の座席100に類似しているが、ここでは、シートバック110は、ユーザの背中の形状に概して対応する矢じり形状のトランスデューサ装置を含む。
【0060】
トランスデューサの2つ、216および218は、触覚音波を提供する音響触覚トランスデューサであり、中心線130に沿って位置している。トランスデューサの4つ、232、234、236および238は、振動を生成してユーザに方向指示的注意喚起を提供する方向指示的注意喚起トランスデューサである。2つのトランスデューサ232および236は、シートバック110の右側に位置している。トランスデューサ232は、トランスデューサ236よりも座席の高い位置にある。2つのトランスデューサ234および238は、シートバック110の左側に位置している。トランスデューサ234は、トランスデューサ238よりも座席の高い位置にある。
【0061】
図3は、別の実施形態による、トランスデューサ装置を含む触覚音波デバイスを図示する。触覚音波デバイスは、座席300である。シートバック110は、ここでは、3×3マトリックスからなるトランスデューサを含む。トランスデューサの3つ、314、316および318は、中心線130に沿って位置する音響触覚トランスデューサである。トランスデューサの6つ、332、334、336、338、340および342は、方向指示的注意喚起トランスデューサである。方向指示的注意喚起トランスデューサの3つ、332、334および336は、シートバック110の右半分に位置する。これら以外の3つの方向指示的注意喚起トランスデューサ338、340および342は、シートバック110の左半分に位置する。
【0062】
シートボトム150は、ここでは、3つのトランスデューサを含む。トランスデューサの2つ、352および354は、方向指示的注意喚起トランスデューサである。残りのトランスデューサ356は、振動を介してユーザに注意喚起を提供する非方向指示的な注意喚起トランスデューサである。トランスデューサ356は、シートボトム150の中心線160上に直接配置されているため、非方向指示的な注意喚起を提供する。
【0063】
振動触覚膜
図4は、一実施形態による、振動−触覚膜(VTM)に結合されたトランスデューサを図示する。図4の左側は、VTMおよびトランスデューサの平面図である。右側は、VTMおよびトランスデューサの側面図である。VTMは、複数の層で構成することができる。そのような膜を使用する1つの態様は、平面波が一貫して適切に人間のユーザ402に伝達されるようにトランスデューサに減衰機能を提供するためのものである。
【0064】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、1つまたは複数の材料からなる複数の層を含むVTMに結合されている。例えば、これは、1つまたは複数の特別に設計された表面特徴、ポケット、レイアウトおよびそれに類するものを含み得る。そのような膜を用いる1つの態様は、横波がユーザ402に近い側に伝達されるようにトランスデューサに減衰機能(damping function)を提供するためのものである。VTMにより、トランスデューサから発せられた平面波は、そのようなVTMによる伝導を通して放射状に分散されることが可能になり、VTMのそれぞれの層は、異なる伝導および伝達特性(例えば、変動、周波数応答、減衰、過渡応答など)を提供し得、それにより、トランスデューサ出力がVTMの全域にわたって横波として伝達される。
【0065】
いくつかの実施形態では、VTMの目的は、トランスデューサ装置の出力周波数応答を保ち続けながら、トランスデューサ生成出力を減衰させて、トランスデューサ装置の表面積にわたってトランスデューサ生成出力を快適に広げるようにすることである。触覚トランスデューサが非VTM表面(例えば、テーブルの上または剛性のシートバックなどの硬い連続面)に装着されている場合、表面全体から低品質の音響が発せられる。トランスデューサが柔軟な表面(例えば、一枚の紙、発泡体、布またはそれに類するもの)に配置されている場合、表面から低品質の音響出力が発せられる。いずれの場合も、発せられたものは、忠実度が低く、周波数応答が、部分的に伝送媒体の共振周波数によって決定される入力信号を表すものではなく、かつそのような媒体特性によって大きく縮小されて、分散特性もなく、トランスデューサへの減衰効果もない単一の振動プラットフォームとして媒体が動作する、
対照的にVTMは、入力信号の相対的な強度および周波数バランスを保ち続けながら、トランスデューサ出力(例えば、振動)を、人間の聴力を表しかつそれに適合するように分散させる。これは、聴覚知覚と触覚知覚との間の感度の相対的差異を正確に表すように、1つもしくは複数の制御および/または能動的フィードバックシステムの処理を構成しながら実現される。これは、両方とも能動的フィードバックシステムおよび制御システムの統合を通して、個々の人間、特定の実体化、および1つまたは複数の環境要因に対して最適化することができる。
【0066】
1つの実施形態では、VTMは、一次膜410および二次膜420を含む。一次膜410は、大きくて剛性の膜であり、ポリプロピレン、HDPE、PVCなどの複数の熱可塑性物質または炭素繊維などの複合材料のいずれかで作成することができる。二次膜420は、微孔性エラストマー(EVA)、ウレタン(PU)、ゴムなどでできた微孔性高分子膜であり得るが、好ましくは、振動に対して減衰効果がより大きい微孔性ポリウレタンで構成される。二次膜420は、一次膜410よりも表面積を小さくすることができる。
【0067】
トランスデューサ
図5Aおよび図5Bは、一実施形態によるトランスデューサの異なる図である。図5Aおよび図5Bに示されているトランスデューサは、図1図4Fまたは任意の他の図のいずれかのトランスデューサとして使用することができる。電気活性トランスデューサは、電気信号を動きに変換することができる。本明細書のいくつかの実施形態は、1つまたは複数の電気活性トランスデューサを含み得る。いくつかの実施形態は、応答範囲が5Hz〜200Hzの触覚トランスデューサを使用することができる。そのような例示的な実施形態では、トランスデューサは、トランスデューサからの力をその面積にわたって分散させる一次膜と、一次膜からの力をユーザの方に向けて直接伝達する二次膜とで構成される多段式の振動−触覚膜に結合される。
【0068】
本明細書に記載の実施形態は、複数の革新的な特徴を含み、かつ触覚/音響出力を作り出す動きを提供するトランスデューサの磁石部分に主眼を置いている。
図5Aに示されるように、トランスデューサは、プラスチック製バックカバー501と、プラスチック製フロントプレート502と、T字形ヨーク503と、永久磁石マス504と、発泡体505と、ワイヤハーネス506と、ねじ507と、スプリングスパイダ508と、ボイスコイル509と、トッププレート510とを含む。図5Bに示されるように、トランスデューサは、プリント回路基板523と、コネクタ525と、ボイスコイル509と、筐体520とも含み得る。コネクタ525は、信号/電力/フィードバック/デジタル/アナログの少なくとも1つを任意の組み合わせで含み得る。回路基板523は、制御システム(フィードバックシステム、センサシステムを含み得る)および他の電子機器(筐体の内部または外部に装着することができる)のためのものである。
【0069】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、少なくとも2つの懸架ばね508を組み込むことができる。懸架ばね508は、磁石マス504に結合され、これを支持することができる。一般に、現行のトランスデューサは、単一のばねを有する一方、本明細書に記載の一実施形態は、少なくとも2つのそのような懸架ばね508を有する。これらのばねの効果は、単一のばねでは不可能なトランスデューサの動きの直線性を提供することである。単一のばねを用いるシステムでは、トランスデューサは横方向の力を受けることになり、それは、主に懸架ばねの材料によって決まる。単一のばねにかなりの剛性があれば、トランスデューサの横方向の変位をある程度改善することになるが、トランスデューサは、この剛性を克服するために実質的により多くのエネルギーを要することになるであろう。これは、トランスデューサの過渡応答にもかなりの影響を及ぼす可能性がある。
【0070】
2つのばね508を使用することにより、トランスデューサの直線性の程度が高められ、横方向の変位を低減し、制御のきめ細かさの程度が増す。そのような制御は、トランスデューサ装置内の個々のトランスデューサの数が増えるにつれて一層重要になる。
【0071】
いくつかの実施形態では、懸架ばね508のそれぞれは、異方性特性を有することができ、それにより、各懸架要素は、例えば、機械特性、熱特性、電気特性など、異なる軸において異なる特性を有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、複数のトランスデューサは、共通の懸垂装置を共有することができる。この懸垂装置は、例えば、複数の要素を含み得る。そのような装置では、各トランスデューサは、他のトランスデューサと共同して動作して、特定の触覚および/または音響体験を作り出すことができる。例えば、出力は、トランスデューサによって生成することができ、次に、後続のトランスデューサのそれぞれは、特定の順番でさらなる出力を生成することができ、そのような出力は、同じまたは派生した特性を有することができる。例えば、そのような出力の強度、周波数および/または持続時間は、1つまたは複数の制御システムを通して変えることができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、関連付けられた一組のセンサを有することができ、一組のセンサは、そのような生成出力を検出し、その結果、そのようなセンサに関連付けられたものを含む1つまたは複数の他のセンサを作動させるために、そのような情報を制御システムに提供し、かつ/またはそのようなトランスデューサにそのような制御システムからの指示なしに出力を生成させる出力を提供することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、複数のトランスデューサに接続する懸架ばねを含む各懸架ばね508および/またはその組み合わせは、そのようなばねに接合または他に取り付けられた1つまたは複数のさらなる材料を有することができる。例えば、そのような接合された要素は、電気活性を有し得、それにより、基礎となる懸架要素の程度もしくは剛性または他の特性は、電気エネルギーを印加することによって修正され得る。これは、例えば、入来信号、フィードバック信号または他の前後関係上の情報に応答してそのような印加を動的に変えることを含み得る。いくつかの実施形態では、懸架ばね508は、材料の層で形成することができ、その一部は、剛性または他の物理的および/または電気的特性が異なり得、それにより、トランスデューサの性能は、そのようなばねに影響されて、例えば1つまたは複数の目的のために動的に最適化することを含めてそのような性能を最適化することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、2つのトランスデューサの懸架ばね508は、直接または任意の装置内の一組のトランスデューサを作動させることによって通電可能な機械的に連結された媒体を形成するさらなる媒体を通して接続され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、トランスデューサ装置によって生じた動きを分散させるために作用する1つまたは複数の膜(例えば、VTM)に取り付けられている。例えば、そのような膜は、複数の層を含み得、各層は、そのようなトランスデューサ装置によって生成された平面波および/または横波の伝達機構としての機能を果たす。そのような膜がないと、トランスデューサの振動および変位が激しくなり、不快で音響体験に適合しない可能性がある。
【0076】
制御システム
図6は、一実施形態による、トランスデューサ制御システム600と、座席100とを含むシステムを図示する。トランスデューサ制御システム600は、マイクロコントローラ装置(MCU:microcontroller unit)または中央処理装置(CPU:central processing unit)610と、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)回路620と、デジタル−オーディオ変換器(DAC:digital to audio converter)回路630、632、634、636と、増幅器回路640、642、644、646と、波形リポジトリ660とを含む。座席100は、音響トランスデューサ116および118と、方向指示的信号トランスデューサ132および134とを含む。座席100は、1つまたは複数のセンサ690も含む。センサ690は、シートバック110またはシートボトム150に配置することができる。いくつかの実施形態では、センサ690は、座席100の外部にある。
【0077】
トランスデューサ制御システム600は、トランスデューサ116、118、132および134によって動きに変換されるトランスデューサ制御信号650、652、654および656を生成する。1つの実施形態では、イベント情報入力620は、側方トランスデューサ132および234に対するトランスデューサ制御信号652および654がどのように生成されるかに影響を及ぼす。音響信号入力618は、音響トランスデューサ116および118に対するトランスデューサ制御信号650および656がどのように生成されるかに影響を及ぼす。他の実施形態では、イベント情報入力602は、すべてのトランスデューサ制御信号がどのように生成されるかに影響を及ぼす可能性があり、音響信号618は、すべてのトランスデューサ制御信号がどのように生成されるかに影響を及ぼす可能性がある。トランスデューサ制御システム600は、感知された情報を示すセンサ出力信号692も受信することができ、感知された情報を用いて、トランスデューサ制御信号650、652、654および656がどのように生成されるかを調節することができる。現在図6に示されているが、トランスデューサ制御システム600は、他の図に示されているトランスデューサのいずれかを制御するためのトランスデューサ制御信号を生成することも可能である。
【0078】
具体的には、MCU/CPU612は、座席100の外部におけるイベントの存在を示すイベント情報602を受信し、イベント情報602を用いて波形リポジトリ660から特定の波形パターンを選択する。各イベントは、そのイベントに対する注意喚起を提供する特定の波形パターンに関連付けることができる。1つの実施形態では、イベント情報は、走行中の車両の動作または安全性に関係する車両イベントの発生を示す車両イベント情報である。例えば、車両イベントには、以下であり得る。
【0079】
・死角警告イベント − 死角警告は、車両の左または右の死角における自動車の存在である可能性がある。死角警告の波形パターンが座席100の左側または右側の方向指示的信号トランスデューサを振動させることにより、ユーザに左または右を見るように触覚的な注意喚起を提供する。死角警告のための情報は、死角センサから受信することができる。
【0080】
・車線逸脱警告イベント − 車線逸脱警告は、運転者の車両の左または右への寄り過ぎの検出である可能性がある。死角警告の波形パターンが座席100の左側または右側の方向指示的信号トランスデューサを振動させることにより、ユーザに車線内に戻るように触覚的な注意喚起を提供する。車線逸脱警告のための情報は、車線逸脱センサから受信され得る。
【0081】
・ナビゲーションイベント − ナビゲーションイベントは、その後の左折または右折であり得る。左折または右折の波形パターンが座席100の左側または右側の方向指示的信号トランスデューサを振動させることにより、ユーザに左または右に曲がるように触覚的な注意喚起を提供する。ナビゲーションイベントのための情報は、カーナビゲーションシステムから受信され得る。
【0082】
DSP620は、MCU/CPU610から選択された波形パターン612を受信し、選択された波形パターン612を使用して、DAC630および636に供給されるデジタル信号を生成する。DAC630および636は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、次にアナログ信号が増幅器640および646によって増幅されてトランスデューサ制御信号650および656を生成する。DSP620は、トランスデューサをどのように作動させるべきかのタイミングを指定するMCU/CPU610からタイミング情報も受信し、次にこのタイミング情報に従ってDAC630および636のためのデジタル信号を生成することができる。
【0083】
DSP620は、音響信号618も受信し、この音響信号618にデジタル信号処理を適用し、処理されたデジタル信号をDAC632および634に出力する。DAC632および634は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、次にアナログ信号が増幅器642および644によって増幅されてトランスデューサ制御信号652および654を生成する。このように、音響信号618の音響コンテンツは、トランスデューサ制御信号650および656を介して音響トランスデューサ116および118に提供することができる。1つの実施形態では、DSP620は、DAC632および643のために処理されたデジタル信号を生成するときに音響信号618に等化を適用する。
【0084】
1つの実施形態では、DSP620は、音響信号618にフィルタ処理を適用して音響信号618を異なる周波数範囲に分割する。低周波数範囲(<40Hz)の音響コンテンツは、トランスデューサ制御信号656を介して背中の下部の音響トランスデューサ118に提供することができる。高周波数範囲(40Hz〜200Hz)の音響コンテンツは、トランスデューサ制御信号650を介して背中の上部の音響トランスデューサ116に提供することができる。周波数範囲は、異なるが、いくつかの実施形態では重複し得る。
【0085】
センサ690は、環境の変化を感知し、出力センサ信号692を生成することができるが、出力センサ信号は、感知された変化を示し、環境に対する変化についてのセンサ情報を提供する。
【0086】
1つの実施形態では、センサ690は、人間のユーザによって座席に加えられた圧力を感知する圧力センサを含む。圧力センサは、シートバック110またはシートボトム150に配置することができる。圧力センサは、検出された圧力の量を示す圧力感知信号を出力する。DSPは、圧力に応答して1つまたは複数のアクションをとることができる。
【0087】
1つの実施形態では、DSP620は、圧力を圧力閾値と比較することができる。圧力閾値を超えている場合、これは、人が座席に座っていることを意味する。したがって、トランスデューサ制御信号650、625、654および656を通常の方法で作動および発生させて、ユーザに触覚音波および触覚的な注意喚起を提供することができる。一方で圧力閾値を超えていない場合、これは、人が座席に座っていないことを意味する。その結果、トランスデューサ116、118、132および134を作動させないようにトランスデューサ制御信号650、652、654および656を発生させ得る。あるいは、感知された圧力が、特定のトランスデューサに力がかかり過ぎていることを示す場合、トランスデューサ制御信号は、その振幅を減少させるかまたは終わらせて、トランスデューサおよび/またはユーザ注意喚起を一時的に停止することができる。
【0088】
1つの実施形態では、DSP620は、圧力センサによって感知された圧力に基づいて、音響信号618に適用される周波数等化を調節する。例えば、圧力センサによって感知された圧力を使用して、DSP620は、一組の所定の等化プロファイルから、周波数を等化するための一組の等化設定を選択することができる。
【0089】
他のセンサ690およびそれらの使用は、本明細書の後段部分で説明される。
いくつかの実施形態では、トランスデューサ制御システム600は、入来信号(例えば、602および618)および1つまたは複数のフィードバック信号(例えば、692)の少なくとも1つを受信する一組のデバイスを含み得、その一部は、次に、1つまたは複数のシステム構成要素、例えばアナログ−デジタル変換器、デジタル信号プロセッサ620および関連する制御仕様、デジタル−アナログ変換器630、632、634、636、増幅器640、642、644、646および関連する電気活性トランスデューサ116、118、132、134などの動作を決定するために使用される。これらのシステム要素は、1つもしくは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアの実体化へと組み合わせることができる。そのようなシステムは、1つもしくは複数の入来信号および/または1つまたは複数のフィードバック信号に応答して様々なトランスデューサ出力を生成することができる。そのようなフィードバック信号は、トランスデューサ装置および任意の関連する膜、懸架連結器、内蔵されたセンサ装置の動作から得られるもの、ならびに/または直接的もしくは間接的に他のトランスデューサが生成したフィードバック、例えばスマートウォッチもしくは他のデバイスを装着している人間などのトランスデューサ装置制御システムとのセンサの通信によるものを含む、感知される環境、バイオフィードバック(少なくとも部分的に環境中の1人または複数の人間から得られるもの)などを含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、例えば、システムアーキテクチャの信号経路が本明細書に提示される。
いくつかの実施形態では、トランスデューサ制御システム600は、アナログ、モノラル、ステレオおよび/または多重チャネル音響信号618を受信する。そのような信号を処理して、電気活性トランスデューサ116、118、132および134に適切な入力、例えば電気活性トランスデューサにアナログ信号入力を提供することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の信号処理動作を行うことができ、例えば、これらは、そのような信号のフィルタ処理、例えば低域通過フィルタ処理、シェルフフィルタ処理、ノッチフィルタ処理などを含み得る。そのような入力信号は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の信号処理技術を用いて、様々な周波数帯域の入力信号および/またはフィードバック信号を分離して装置内の1つまたは複数の電気活性トランスデューサに供給するようにセグメント化することができる。いくつかの実施形態では、これは、1つもしくは複数の電気活性トランスデューサ116、118、132および134に対する1つもしくは複数の入力信号ならびに/またはフィードバック信号から全体的または部分的に得られる様々な経路の音響を分離して供給することを含み得、信号のそのような供給は、部分的に、そのような入来信号618の個々の特性ならびに/またはそのようなトランスデューサ116、118、132および134の個々の装置に応答する。
【0091】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ制御システムは、デジタル音響入力信号618を受信することができ、そのようなデジタル信号は、モノラル、ステレオおよび/または多重チャンネル音響と同様にメタデータの1つまたは複数の組も含み得る。いくつかの実施形態では、そのような信号は、1つまたは複数のタイムベースに従って多重化され得、それにより、複数の組の信号が同時に供給され得る。この信号を処理して、電気活性トランスデューサ116、118、132および134の装置に適切な入力信号を供給する。音響成分の信号処理は、低域通過フィルタ、シェルフフィルタ、ノッチフィルタと同様に、異なる周波数帯域を様々な電気活性トランスデューサに分離および供給すること、または異なる経路の音響を分離し、様々な電気活性トランスデューサに供給することも含み得る。
【0092】
これらの2つの実施形態は、電気活性トランスデューサに送られる信号が外部から決定される場合に用いられる。例えば、これらの2つの例示的な実施形態を用いて、音楽リスニングおよびフィーリング体験の強化、より応答性の高いユーザインタフェース注意喚起、マッサージおよびリラクゼーション感覚ならびにエンジンシミュレーションおよび他の音および触覚効果のための、触感を伴う音響を増強することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ制御システム600は、例えば、回路、中央処理および分散処理、揮発性および不揮発性メモリ、一時的および持続的記憶装置、センサ、アクティベータ、通信システム、HMI(人間機械インタフェース)システムおよび関連する仕様、プログラム、制御論理ならびに他の一組の命令情報を含む1つまたは複数のコンピュータ装置を含み得る。1つの実施形態では、制御システム600は、実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ等)を含む。命令は、本明細書に記載の動作の1つまたは複数を実施するための少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0094】
1つの実施形態では、制御システム600は、1つまたは複数のトランスデューサ装置ならびに任意の組み込まれたおよび/または関連付けられたセンサシステムの構成および動作に対応し、かつ1つまたは複数の適切なAPIを通して他の感知システム、環境システム、制御システムおよび/または他の外部システムとの任意の統合に対応する。
【0095】
本開示は、そのような制御システムならびにそれらの構成および動作について説明する。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、共通の性能を有し、各トランスデューサ、例えばトランスデューサ装置の1つが、そのような装置内で一意に識別され、そのような制御システム600の制御および動作ガイダンス下において、そのトランスデューサに供給される1つまたは複数のトランスデューサ制御信号650、652、654および656を有することができる。トランスデューサ自体は、それらが入来する電気信号を動きに変換するという点でアナログデバイスであるため、そのような信号は、1つまたは複数の増幅器640、642、644および646によって各トランスデューサ要素に送達することができる。1つの実施形態では、これらの信号(例えば、トランスデューサに供給されるアナログ信号)は、単一の点、例えば単一の増幅器から供給することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、デジタルトランスデューサを用いることができ、そのようなデジタルトランスデューサは、入来信号を動きに変換するためのアナログ要素と、そのようなトランスデューサ要素を駆動してそのような動きを作り出す増幅器ユニットと、そのような増幅器を動作させ、かつ供給されたデジタル信号と整合性のある出力をトランスデューサから生成するのに適した増幅器に、入来するデジタル信号を伝達するDAC(デジタル−アナログ変換器)とを含む。そのようなデジタル信号は、例えば、集中型および/または分散型システムを含む1つまたは複数の制御システムによって供給することができる。いくつかの実施形態では、そのような信号は、そのような情報を受信するトランスデューサを含むものを含むトランスデューサ装置の動作により、少なくとも部分的に提供されるフィードバック情報に応答して生成することができる。そのような例では、そのような装置と関連付けられた1つまたは複数の制御システム要素が存在する場合があり、それにより、センサをデジタルトランスデューサ内に組み込んで、トランスデューサを最適化するための局所的なフィードバックを提供し、かつ/またはそのような情報をそのような装置内の他のトランスデューサに供給し、かつ/または1つまたは複数の他の制御システム要素にそのような情報を提供することができる。
【0097】
いくつかの実施形態で用いることができるそのようなデジタル情報の通信のための複数のプロトコルは、さらなる一組の制御情報および一組の動作情報と組み合わせてI2S、PCM、PDMなどを組み込むことができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、各トランスデューサは、例えば、そのようなトランスデューサへの特定のハードワイヤ接続を通してアドレス指定することができ、システムがアナログである場合、トランスデューサ装置内のトランスデューサ要素に接続された1つまたは複数のデジタル構成要素の直列化を通してアドレス指定することができ、および自らの制御システム論理コントローラを組み込んでいるような、分散型制御システム性能を含む実施形態に対する1つまたは複数の制御メッセージ通信システムを通してアドレス指定することができる。
【0099】
1つの実施形態では、各トランスデューサは、PCBに直接ワイヤ配線され、それにより、人体装着型セットの一部である可能性があるものなど、数が少ないトランスデューサにとって効率的かつ効果的になる。そのような装置は、発信のための信号、そのような発信を制御する(例えば、振幅/タイミングなど)ための制御信号およびそのようなトランスデューサを動作させるための電力を供給することができる。しかしながら、そのような装置は、トランスデューサの数が多くなると、制御、論理、コンピュータ計算、電力要件、発熱、物理的堅牢性、PCBレイアウトおよびスペースの点で非能率的になる。
【0100】
基本的な実施形態は、ハードワイヤ配線を通して単一の増幅されたアナログ信号をトランスデューサ装置に直接供給する単一の制御システムを含み得る。
いくつかの例示的な実施形態は、信号のための1対1対応の単一のソースと、電力のための分散型グリッドとを有することを含む。例えば、劇場の設定(いくつかの実施形態では、劇場内の各座席は、トランスデューサを有することができる)では、各座席は、共通の増幅システム(例えば、映写室に配置されたもの)から離散的な信号を受信することができる一方、各座席または座席の列は、自らの電力バスに接続することも可能であろう。
【0101】
例示的な一実施形態は、制御システムおよびトランスデューサ装置の接続をピクセルグリッドの形態で含み得る。1つの実施形態では、トランスデューサのアドレス指定および作動は、1つまたは複数の信号をトランスデューサ装置に送ることによって取り扱われ、そのような装置を含むトランスデューサは、垂直軸および水平軸上に(例えば、x−yのペアとして)編成される。いくつかの実施形態では、そのようなペアは、単独で、集合的に、またはそれらの任意の組み合わせでアドレス指定することができる。そのような装置は、一組のトランスデューサ装置の制御が、例えば、そのようなトランスデューサ装置の順次または他の領域に基づくトリガを含み得る劇場または他の会場に適している場合がある。
【0102】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のトランスデューサの作動は、そのような装置を形成するトランスデューサの物理的レイアウト、場所または他の編成とは独立したものである。例えば、そのようなトランスデューサのアドレス指定および作動は、以下を含み得る。
【0103】
・「デイジーチェーンおよび/またはツリー、シーケンシャル」:1つまたは複数の制御システムによってアドレス指定および作動が所定の順番で行われるデイジーチェーンまたはツリー接続形態は、ノードとしての特定のトランスデューサの絶対位置または相対位置をデイジーチェーンまたはツリーに組み込むことができ、その場合、そのような位置は、物理的および/または論理的位置である。
【0104】
・「デイジーチェーン、ツリー、ピアツーピアおよび/またはランダム、アドレス指定」:デイジーチェーン、ツリー、ピアツーピアおよび/またはランダム接続形態では、1つまたは複数の制御システムによるアドレス指定および作動は、そのような制御システムによって決定された方法で各トランスデューサのアドレス指定を通して行われる。そのような制御は、1つまたは複数の組の仕様を処理することによって行うことができ、その制御は、いくつかの実施形態において動的に作り出すことができる。
【0105】
・「セルフセンシング、相対的」:いくつかの実施形態では、トランスデューサの装置内において、1つまたは複数のトランスデューサは、同じトランスデューサ装置内の他のトランスデューサに対してそれらの場所(物理的または論理的に特定のアドレスおよび/または名前空間内を含む)を決定することができる。1つまたは複数の制御システムによるアドレス指定および作動の構成および動作は、例えば、(a)すべてのトランスデューサが同じ信号を受信し、次にそのようなトランスデューサ装置におけるそれらの相対的な(物理的および/または論理的な)位置に基づいて、いずれの信号を作動させるかを個々に決定するか、または(b)各トランスデューサがそのようなトランスデューサ装置内のそのようなトランスデューサの物理的および/または論理的な位置に応じて異なる信号を受信するかのいずれかによって行われる。
【0106】
・「セルフセンシング、絶対的」:いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置内において、1つまたは複数のトランスデューサは、例えば、ビーコンまたは送信機の位置に対して三角法を用いて、1つまたは複数の基準に対してそれらの(物理的および/または論理的な)場所を決定することができる。これは、例えば、そのようなトランスデューサが協働可能な一組のラウドスピーカに対し、それらの相対位置を決定することを含み得る。トランスデューサ装置は、ビーコン、例えばアイビーコン(ibeacon)などによって発せられた信号を受信し、解釈すること、および/または固定された既知の位置におけるルータまたは他のデバイスに対するそれらの位置を決定することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、マイクロフォンまたは例えば1つもしくは複数のスピーカによって発せられた信号を受信することが可能な他のセンサを含み得、そのような信号は、次に、スピーカに対するトランスデューサの相対時間アライメントを決定するように解釈される。そのようなスピーカによって発せられるそのような信号は、正確な送信の時間のタイムスタンプを組み込むことができ、それは、発信と受信との間の時間差を決定するためにトランスデューサ装置によって使用されることになる。そのようなセンサは、発せられた信号から得られる位相角の情報を提供することもできる。したがって、トランスデューサ装置は、信号を発する1つまたは複数のラウドスピーカに対する装置の相対位置を計算することが可能であり得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、制御システム600の一部は、以下の非限定的な状況の任意の組み合わせで配置することができる。(a)トランスデューサ内、(b)トランスデューサ装置内、(c)トランスデューサ装置が(永続的または一時的に)設置または取り付けられている、そのような座席100内にあるかまたは座席100に取り付けられる、(d)トランスデューサ装置が座席に設置された、それらの座席を包含している車両内、(e)トランスデューサおよび/またはトランスデューサ装置に接続されているネットワーク内、(f)1つまたは複数のトランスデューサおよび/またはトランスデューサ装置と通信しているクラウドコンピューティング装置内、(f)スマートフォン、タブレットなど、モバイルデバイス上でホストすることが可能なアプリケーション内、(g)1つまたは複数のトランスデューサおよび/またはトランスデューサ装置にインタフェースするように特に設計されたデバイス内。
【0108】
システム識別ステップ
トランスデューサが任意の方式(例えば、ネットワーク接続形態が異なるだけでなく、列挙技法も異なる)で接続されている場合、システムは、何らかの手順を経て、その物理的場所および/または物理的応答特性をテストし、決定することができる。
【0109】
トランスデューサアレイがツリー型接続形態で集中制御されるシステムの場合、この手順は、既知の信号をランダムにまたは順序付けられた順番でトランスデューサアレイに送り、周囲のトランスデューサ内の受動的または能動的フィードバック機構の使用のいずれかを用いて、トランスデューサの場所および/または応答特性を識別することを必要とする可能性がある。次に、DSPを利用してトランスデューサの物理的場所および応答特性を補償することができる。
【0110】
トランスデューサアレイが(接続形態、例えばツリー型であるかまたはデイジーチェーン型であるかに関係なく)集中制御されるシステムの場合、この手順は、既知の信号をランダムにまたは順序付けられた順番でトランスデューサアレイに送り、周囲のトランスデューサ内の受動的または能動的フィードバック機構の使用のいずれかを用いて、トランスデューサの場所および/または応答特性を識別することを必要とする可能性がある。次に、DSPを利用してトランスデューサの物理的場所および応答特性を補償することができる。
【0111】
トランスデューサアレイが集中制御されないシステムの場合、このステップは、トランスデューサを列挙するために用いることができる。
トランスデューサの動作変換
トランスデューサ装置は、最初に受動的または能動的状態であるように構成された一組のトランスデューサを含み得る。例えば、トランスデューサは、例えば、受動的、能動的、センサ、エミッタ状態を有することができることにより、トランスデューサの動作条件が1つまたは複数の制御システムメッセージによって決定される。
【0112】
例えば、受動的トランスデューサは、感知も発信もしなくてもよいが、トランスデューサの動作状態を変更する入来する制御信号に応答するように構成することができる。例として、トランスデューサにより、そのトランスデューサの性能に応じて認識されるパケット信号、パルス信号、音響信号、電気信号または他の信号が挙げられる。
【0113】
能動的トランスデューサは、1つまたは複数の装置において、動作中のセンサが他のトランスデューサおよび/または制御システムと通信するようにセンサ、エミッタまたはそれらの組み合わせとして機能することができる。例えば、トランスデューサは、そのトランスデューサに近接した他のトランスデューサにセンサ情報を提供することができる。例えば、受信側トランスデューサは、次にそのような情報を用いて、自らの動作の1つまたは複数の特性を変えることができる。例えば、トランスデューサは、そのようなトランスデューサによって受信された制御および入力信号に基づいて出力を発信する一方、感知のために逆起電力を使用することができる。
【0114】
センサとしてのみ動作するトランスデューサは、自らがともにトランスデューサ装置を形成する他のトランスデューサの発信を含む、自らがその一部である環境を感知することができる。いくつかの実施形態では、そのような感知トランスデューサは、低周波数の路面ノイズまたは他のノイズに対する車両室内などの環境を感知して、(トランスデューサ、スピーカおよび/またはそれに類するものに関する)他のエミッタからの低音域または他の低周波数発信を検出するために使用ことができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、発信のための入来信号の一部としておよび/またはそれとは無関係に、1つまたは複数の動作条件において、そのようなトランスデューサの状態を変えるための命令を含む制御信号を受信する性能を組み込むことができる。
【0116】
トランスデューサは、例えば、それらのトランスデューサによって生成された、かつ/または他のトランスデューサおよび/もしくは制御システムによって提供された一組の情報を用いて、トランスデューサ装置の状況内でそのトランスデューサに対する1つまたは複数の動作条件を動的に決定することができる。例えば、制御システムがトランスデューサ装置の全体的な出力レベルに対して1つまたは複数の限界を指定している場合、1つまたは複数のトランスデューサは、そのような設定限界未満にとどまるようにそれらの特定の出力レベルを調節することができる。いくつかのトランスデューサ装置は、他の制御システムまたは他の仕様、例えば温度、出力レベルおよび/またはタイプ(周波数分布を含む)、エネルギー消費および/または他の一組の仕様にとどまるようにそれらの動作を変えることができる。
【0117】
トランスデューサ装置内の1つまたは複数のトランスデューサは、それらの特定の動作状況に応じてそれらの動作特性を動的に変えることができる。例えば、トランスデューサが、1つまたは複数のセンサを通しておよび/または1つまたは複数の通信を通して、故障につながる可能性がある状態を判定した場合、そのようなトランスデューサは、その動作特性を変えてそのような状況、例えば過剰な熱が発生する場合またはエネルギー消費が指定レベルを超えるような場合などを回避することができる。
【0118】
1つまたは複数のトランスデューサは、センサ自体として機能するトランスデューサを含む1つまたは複数のセンサを使用することにより、装置内の他のトランスデューサに対するそれらの相対位置を決定することができる。例えば、トランスデューサが、トランスデューサの変位Nをもたらす信号を受信し、そのような信号が装置内の他のトランスデューサに送られる場合、1つまたは複数のセンサは、それらのトランスデューサの受信出力の振幅および位相を通して別のセンサの距離および角度を決定することができる。このように、全トランスデューサ装置のアライメントが、一組のテスト信号を装置に印加し、例えば周波数および位相としての装置の応答全体が、1人または複数のユーザによる1つまたは複数の受信点でコヒーレントになり得るように、各トランスデューサにその出力を変えさせることによって達成することができる。このような手法は、例えば、トランスデューサ装置が従来のラウドスピーカまたはヘッドフォンと組み合わされる場合に使用することができる。
【0119】
センサ
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、センサ690などの1つまたは複数の組のセンサを含み、かつ/またはそれらと通信することができる。センサは、環境の変化を感知し、感知された変化を示す出力センサ信号を生成することができる。これらの一組のセンサは、それらの環境を感知するためにこれらのデバイスの物理的および/または電気的特性が用いられるトランスデューサ自体の内部に含まれ得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサデバイスは、加速度計、温度計、ひずみ計などの1つまたは複数のセンサおよび例えばARM MCUなどの1つまたは複数のマイクロコントローラも組み込むことができることにより、トランスデューサは、自らの動作および自らが置かれている環境を感知することができる。このようなセンサ対応トランスデューサは、いくつかの実施形態では、以下のようにラベル付けすることができる。
【0120】
・能動的センシングトランスデューサ − センサ自体として機能するトランスデューサを含む、トランスデューサに組み込まれた制御システムおよびセンサを有するもの。
・制御対応トランスデューサ − 集積型MCUを有し、トランスデューサがセンサ自体を作動させるトランスデューサ。
【0121】
・センシングトランスデューサ − トランスデューサがセンサ自体として機能し、外部制御の1つまたは複数のシステムと一体化されている
・独立型センサ − センサは、トランスデューサ装置および関連するVTMとは独立して装着されている。このようなセンサは、トランスデューサ装置が置かれている環境を監視することができるものを含み、例えばトランスデューサ装置への入力およびトランスデューサ装置からの出力を監視するセンサを含み得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、能動的センシングトランスデューサは、単一のデバイスを形成するようにトランスデューサ装置と一体化された1つまたは複数のセンサ、制御システムおよびパターンを含み得る。能動的センシングトランスデューサは、いくつかの実施形態では、制御対応トランスデューサおよび受動的トランスデューサの特徴および性能を組み込むことができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、制御対応トランスデューサは、1つまたは複数のMCU610と、DSP620(1つまたは複数の組の制御命令を含み、そのいくつかは、全体的または部分的にパターンを形成し得る)と、デジタル−アナログ変換器と、アナログ−デジタル変換器と、(一時的および持続的の両方)記憶手段と、メモリと、ネットワーク通信と、セキュリティ性能(例えば、ファイアウォール、安全な証明書記憶装置など)と、フィードバックコントローラと、そのようなデバイスによって提案されるAPIに対応する適切なサポートファームウェアおよびソフトウェアとを含み得る1つまたは複数の制御システムを組み込むことができる。制御対応トランスデューサは、いくつかの実施形態では、受動的トランスデューサの特徴および性能を組み込むことができる。
【0124】
トランスデューサ装置内の各トランスデューサは、そのようなトランスデューサの固有の特性を利用するセンサとして機能することができる。例えば、これらは、以下のものを含み得る。
【0125】
・磁石の変位
・逆起電力
・容量性
・抵抗性
・電流計測値
・インピーダンス
これらの性能をそれぞれ本明細書で説明する。
【0126】
磁石の変位 − いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置の一部であるVTMに加えられる圧力、例えば、座席に座っているユーザによって加えられる圧力は、トランスデューサ内の磁石の動きによって検出することができる。次に、そのような情報を圧力に関して評価して、例えばそのような個人または自動車の組などの質量を計算することができる。懸架リングの自然な張力は、その剛性を克服するのに十分な圧力が検出されたときに初めてそのような検出を生じさせ得る。そのような懸架リングを電気で作動させ得るいくつかの実施形態では、トランスデューサの動作前に、より高感度の圧力検出を行うことができるように様々な剛性が存在し得る。
【0127】
逆起電力/誘導性 − いくつかの実施形態では、磁石マスがボイスコイルの周りを動くにつれて、ボイスコイル上に誘導される磁場によって電圧降下が引き起こされる。これは、それを誘導する電流と反対方向の起電力によって生成された電圧である。電圧降下を測定し、本発明者らのフィードバックループで使用することができる。
【0128】
容量性 − いくつかの実施形態では、トランスデューサの一部、例えば(図5の)静止筐体520上の1つの端子、(図5の)可動磁石504上の別の端子に容量性素子を配置することができ、したがって静電容量がトランスデューサの動き(プレート間の距離の変化)とともに変化する。静電容量のこの変化は、能動的フィードバックループを含む制御システムで用いることができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、出力を生成するための制御システム入力を受け入れないという点で受動的であるように構成することができる(いくつかの能動的センシングトランスデューサおよびCETトランスデューサは、例えば、能動的から受動的にまたはその逆にそれらの動作状態を変える入来する制御コマンドを依然として監視することができる)。例えば、トランスデューサ装置では、いくつかのトランスデューサは、例えば、能動的フィードバックに応答するように、または特定の音響/触覚体験を最適化するようにそれらの状態を能動的から受動的に変化させ得る。
【0130】
例えば、トランスデューサ装置を通して座席のユーザを感知すると、一実施形態は、以下のステップを用いることができる。
i.1つまたは複数の既知の信号(例えば、正弦波掃引、ピンクノイズ)を出力する。
【0131】
ii.応答を測定し、そのユーザのために保存する。
iii.複数回の試行によりエラーを改善し低減する。
iv.車内に存在する他のセンサ(例えば、光センサ、HRM、座席の圧力マップ)を使用することで検出の信頼性を高め、エラーを低減する。
【0132】
v.1つのトランスデューサで既知の信号を出力し、他のトランスデューサで測定し、トランスデューサの始めから終わりまでループする。
いくつかの実施形態では、トランスデューサ制御システム600は、1つまたは複数のセンサ690からの1つまたは複数のフィードバック機構を組み込むことができ、それらは、1つまたは複数のトランスデューサ制御システム600により、トランスデューサ装置の構成および動作を部分的に決定することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、閉ループフィードバックシステム内での所望の周波数応答の最適化は、以下を組み込むことができる。
i.センサ690から1つまたは複数のセンサ入力を得ること。
【0134】
ii.所望の(例えば、最適な体験のための)値と測定値との間の差異を測定し、評価すること。
iii.測定および評価された差異の影響を最小限にするために、例えば制御システムを通して1つまたは複数の処置を行うことにより、トランスデューサに供給されるトランスデューサ制御信号650、652、654、656に影響を及ぼすこと。
【0135】
いくつかの実施形態では、そのような処理は、そのようなセンサデータの信頼性および場合により有用性を高めるために同じタイプおよび異なるタイプの複数のセンサ690と組み合わせることができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ制御システム600は、そのようなトランスデューサ装置からの意図されたおよび場合により最適化された一組の結果からの分散の程度を決定するなどの追加の処理を行うことができる。例えば、トランスデューサ装置出力および/または他の動作パラメータ(例えば、発熱、電力消費、周波数カットオフなど)を管理するように制御システム動作を構成するために、エラー率、パーセンテージまたは他の尺度をそのような計算に用いることができる。これは、例えば、反復的および動的に性能を最適化し、かつ/または所望の値と測定値との間の差異を最小限にするために、そのような制御システム600によって用いられる1つまたは複数のアルゴリズムにおける係数を含むそのようなアルゴリズムの適応または他の修正を含み得る。
【0137】
例えば、図7は、一実施形態による、図6のトランスデューサ制御システムのDSPにおける音響信号の処理を図示する。トランスデューサの感知された電圧および電流を用いてトランスデューサのパラメータを識別する。状態予測装置は、ボイスコイル変位およびボイスコイル温度を決定することができる。ボイスコイル温度が高過ぎる場合、音響信号618の利得を減少させることによって熱保護が適用される。同様に、変位が大き過ぎる場合、音響信号618の利得を減少させることによって機械的保護が適用される。音響信号618に等化(equalization)を適用することも可能である。
【0138】
いくつかの実施形態では、そのような一組の情報を提供するセンサ690は、以下の1つまたは複数を含み得る。
− 加速度センサ
− 位置センサ
− 方位/ジャイロセンサ
− 圧力(例えば、力覚/負荷/歪み)センサ
− 温度センサ
− 近接覚センサ
− 光センサ
− 電気センサ
− 機械センサ
− 心拍数センサ
− 瞳/視線追跡センサ
いくつかの実施形態は、1つの共通のフィードバック機構を用いることができ、それは、PIDコントローラ(比例積分微分コントローラ)である。
【0139】
いくつかの実施形態では、バイオフィードバックを用いることができる。トランスデューサ装置は、1つまたは複数のコントローラユニットに情報を提供する1つまたは複数のセンサ690を含み得、そのような情報は、そのようなトランスデューサ装置のための入力信号を含む動作条件を変えることができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置から独立した1つまたは複数のデバイスが存在する場合があり、そのようなデバイスは、1つまたは複数のセンサ690を含む。そのようなセンサから生成された一組の情報は、トランスデューサ装置の動作の制御、例えば環境に関するフィードバック情報および/または人間からのバイオフィードバックの提供などに組み込むことができる。例えば、スマートウォッチなどの適切なデバイスを装着している人間の場合、そのようなデバイスは、例えば、心拍数モニタを有し、そのようなデバイスによって生成された情報は、次にトランスデューサ装置制御システムに送信され得、それにより、例えば音量、周波数またはトランスデューサの他の性能特性が修正される。例えば、自動車の運転者によって占有されている車両の座席に埋め込まれたトランスデューサ装置の例では、人間の運転者の心拍数が1つまたは複数の閾値を上回って増加すると、トランスデューサの動作の強度を減少させ得る。いくつかの実施形態では、そのようなフィードバックは、例えば、以下を含み得る。
【0140】
・姿勢 − トランスデューサ装置内の1つまたは複数のトランスデューサの作動、そのような生成された信号の人間を通した送信および1つまたは複数のセンサ690による、そのような信号の捕捉を通した姿勢および状況の測定。いくつかの実施形態では、そのようなセンサは、トランスデューサ装置の一部であり得る。そのような姿勢情報は、例えば、人間が前に倒れて、意識不明であることを示唆している場合、頭を後ろに傾け、その人間にとって適切でない可能性があるマイクロ睡眠または他の姿勢を示唆している場合、イベントまたは注意喚起をトリガするために用いることができる。いくつかの実施形態では、睡眠を示唆するそのような姿勢は、長旅中の乗客などに有利な場合があり、そのため、刺激の除去、照明状態の変更、スクリーンの電源オフなどの他のイベントを行うことができる。
【0141】
・視界方向 − いくつかの実施形態では、人間の頭の方向変換を検出することができ、1つまたは複数のイベントおよび/または注意喚起を生成することができる。
・人間の識別 − それぞれの人間は、トランスデューサ装置の作動を組み合わせることによって個別に判定することができ、その結果、吸収、反射および屈折される低周波数信号が得られる。圧力測定(直接的および間接的の両方)などの他のトランスデューサ装置の性能と組み合わせると、体格指数、性別などの複数の人間識別特性を決定することができる。これらの特性は、加速度計、GPS、心拍数モニタ、電気皮膚反応センサなどのトランスデューサ装置のセンサの性能と組み合わせて特定の人間の識別子を作成することができる。いくつかの実施形態では、そのような一組のパラメータは、例えば、ホスト座席が公共の場所、例えば映画館の一部である場合、特定の人間ではなく、人間のタイプに合わせて座席をカスタマイズするために用いることができる。
【0142】
・いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、そのようなトランスデューサ装置を含む座席設備内に位置する人間が体験しているかまたは体験したことがある可能性があるG力を計算するために全体的または部分的に用いられ得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置には、1つまたは複数のセンサ(例えば、自動車の車内、バスの車内、飛行機の客室などの環境に置かれたセンサ)からの信号源を設けることができ、それにより、そのような一組のセンサから受信された入力信号が反転され、入来信号と位相がずれる。この信号は、そのような信号から任意の基礎となる反復低周波振動を抽出するために、デジタル信号プロセッサ620の1つまたは複数によって処理することができる。そのような信号が、例えば、複部構成の膜を含む座席を通して接触しているトランスデューサ装置に印加されると、その効果は、少なくとも部分的に、音響および/または触覚的な伝達を通してユーザが体験する振動を無効にする。例えば、そのような手法は、例えば、道路、鉄道または飛行機での移動中に体験されるノイズのキャンセルを目的としたそのような環境の影響を低減するために用いることができる。
【0144】
そのような逆位相信号は、部屋、飛行機の客室、自動車の車内または他の密閉された空間など、特定の環境を監視する1つまたは複数の環境センサから作り出すことができる。
電気活性トランスデューサのいくつかの実施形態は、好ましくは、一体型増幅器を有する一体型能動的フィードバックシステムを含み得る。より具体的には、能動的フィードバックシステムは、位置センサ、方位センサ、力覚センサ、負荷センサ、温度センサ、圧力センサ、近接覚センサ、光センサ、電気センサおよび磁気センサの1つまたは複数と、センサ入力を用いて増幅器および電気活性トランスデューサに向かう信号を制御して、最適な周波数応答を提供する能動的フィードバックループとを含む。
【0145】
センサの組み合わせ
いくつかの実施形態では、トランスデューサは、能動的および/または受動的センサとして動作することができ、それにより、トランスデューサ装置において、トランスデューサの1つまたは複数を動作させて、(そのトランスデューサを含む)トランスデューサ装置内のトランスデューサにより、および/またはそのようなトランスデューサ装置と通信することができる他のシステムにより使用され得る一組の情報を生成することができる。そのような一組のセンサ情報は、1つまたは複数の制御システムによって管理することができ、センサおよびトランスデューサの両方の動作は、そのような一組の情報を含む情報に従ってそのような制御システムの命令によって修正することができる。例えば、センサ(例えば、圧力センサ)が、トランスデューサ装置を含む座席から人が離席したことを検出した場合、制御システムは、トランスデューサの動作を終了または静止させ得る。例えば、別の人がその座席に着席していた場合、制御システムは、一組の処理を開始して、その人の特性(例えば体重)を判定し、それらの特性に一致するようにトランスデューサ装置の出力特性を調節することができる。例えば、これは、BMIまたは他の身体的な属性に基づいて音体験を最適化することを含み得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、複数人数用座席、例えばソファ、ベンチシートなどに位置し得る。例えば、そのような座席は、トランスデューサ出力が例えばリスニングまたは映像/音響体験(例えば、ARおよびVR体験を含み得る)を補完するために用いられ得る環境において、複数の人々が座る(またはもたれかかる)ことができるように配置することができる。
【0147】
そのような例示的な実施形態では、そのような座席設備は、そのような座席設備上の個々の人の異なる出力を局所化するように制御することが可能な1つまたは複数のトランスデューサ装置を含み得る。例えば、トランスデューサ装置および/または他のセンサ(例えば、圧力センサ)は、1つまたは複数の制御システムに座席上の人々の数および向きを示す情報を提供することができる。これは、例えば、例としてスマートフォン上でホストされる、そのような情報を提供するアプリケーションを通しても達成することができる。
【0148】
制御システムは、次に、この情報および場合により他の入力に応答して、次にそのようなトランスデューサ装置に命令して、そのような座席上の人々の数、向きおよび特性に一致する、そのような人々が体験中の体験を補完するものである出力を発生させ得る。例えば、3人が縦に並んで座って、例えば各人がコントローラおよびスクリーン上の登場人物を有するビデオゲームをプレーしている場合、制御システムは、ゲームプレー中のそれらの登場人物の行動を補完する適切な出力を生成することができる。
【0149】
別の例では、ソファに横たわって映画を見ているカップルがいる場合、制御システムは、鑑賞中の映画と位置合わせされた出力を生成することができ、それは、脚にではなく上半身に向けてより多くの出力が生成されるようにトランスデューサの出力を方向付けることを含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ出力のそのような分配は、例えば、スマートフォン、タブレット、リモートコントロールまたは他の類似したデバイス上のアプリケーションにより、全体的または部分的に制御することができ、そこでは、各参加者は、自らの特定の嗜好に合わせてそのようなトランスデューサ出力を調節することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、そのような嗜好、例えば身体的特性は、例えば、体重計、他の身体データのための「フィットビット(fitbit)」、身長のデータ入力を用いてキャプチャおよび/またはインポートすることができ、個人的に選択された嗜好、例えば出力レベル、過渡応答、アタックおよび減衰機能、低周波数カットオフ、ファイラロールオフおよび他のそのようなトランスデューサ装置制御は、例えば、これらの制御をユーザにとってより身近な用語で表現するアプリケーションを通してユーザに提示することができる。それは、例えば、以下のようなものである。
【0152】
・レベル(低〜高) − 出力のレベル
・スピード(速〜遅) − 過渡応答ならびにアタックおよび減衰の組み合わせ
・低音域向上(低〜高) − 低音域リフト/カットのレベル
・低音域平滑性(低〜高) − 低周波数カットオフおよびフィルタ特性
いくつかの実施形態では、直線的(例えば、映画、テレビ番組および音楽)および非直線的(例えば、ゲーム)体験は、それらの体験に同期され、かつ/またはそれらの体験から生成される追加の一組の制御システム情報によって補完することができる。いくつかの実施形態では、これらの体験におけるイベントは、特定の制御システム動作のためのトリガとして用いることができる。例えば、「ジャンプスケア(jump scare)」効果(映画に「恐怖の場面」の部分がある場合)、トランスデューサは、その瞬間を強調するためにそのような「恐怖の場面」と同期して出力を生成することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、そのような一組の制御システム情報は、事前にフォーマットされ、例えば直線的および非直線的体験の映像および/または音響要素の情報によってトリガすることができる。例えばまた、映画内の爆発音は、1つまたは複数のトランスデューサ装置の作動を通して、そのような効果に適合するように増強されるようなものとして検出することができる。そのような検出は、音響サウンドトラックまたはそのような映画に関連する他の信号によってトリガされるか、または制御システムが、その音波を発しているスピーカシステムからのそのような信号および/または出力を分析することによって検出することができる。
【0154】
パターン
本明細書に記載の実施形態の1つの重要な態様は、トランスデューサ装置を管理する制御システムに入力を提供するパターンである。これらのパターンは、適切な制御システムに適用されると、そのシステムがトランスデューサ装置から1つまたは複数の結果を作成することが可能になる仕様および/または信号の組み合わせであり得る。
【0155】
パターンは、座席のトランスデューサ装置の動作などの特定の状況を包含し得、例えば、パターンは、そのようなトランスデューサ装置の動作を監視するための仕様を含み、その装置が、そのようなパターンで指定された性能パラメータ以外に実行することを防ぐようにすることができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、典型的な座席をベースにしたトランスデューサ装置は、一組のパターン、例えばトランスデューサの性能、触覚的なフィードバック、音響システムの最適化、ユーザの個人化、健康および健全性、バイオフィードバック、方向指示的な表示、注意喚起およびイベントならびに/または任意の他の適切なトランスデューサ装置および/またはセンサシステム仕様を主眼にしたものを組み込むことができる。
【0157】
パターンは、一体型トランスデューサ装置の一部として両方とも局所的に導入することができ、例えば、パターンは、MCUによってアクセス可能なハードウェア要素に保存することができる。パターンは、特定の環境内、例えば車両または劇場に導入し、例えばそのような導入、ユーザの選択または入力、能動的フィードバックまたは他のトランスデューサ制御システムの命令などを指定する他のパターンに応答して1つまたは複数の制御システムによって動的に用いることも可能である。パターンは、例えば、クラウドベースのシステムのために動的に導入することができ、例えばユーザが車両Aに着席している場合、そのユーザに対する適切なパターンは、車両Aで動作しているトランスデューサ装置の制御システムによって用いることができ、同じユーザが車両Bに移動すると、パターンは、車両B内のトランスデューサ装置の制御システムに導入することができる。いくつかの実施形態では、そのようなパターンのそのような管理は、パターン仕様が権限のないユーザまたは制御システムには利用できないことを保証するために、暗号化およびデジタル認証などの1つまたは複数のセキュリティ機能を用いることができる。
【0158】
パターンは、他のパターンの複合物とすることも可能であり、それにより、パターンは、1つまたは複数のトランスデューサ装置のための1つまたは複数の制御システムによる、それらの構成および使用を決定する一連の他のパターンおよび仕様で構成することができる。
【0159】
トランスデューサの信頼性および動作性能
いくつかの実施形態では、最適かつ安全な方法でのトランスデューサ装置の性能および動作は、パターンによって指定することができる。このパターンは、例えば、以下のものを含み得る。
【0160】
− 所望の周波数応答を与える座席、車両などの特定の物理的状況内におけるトランスデューサ装置の動的な自動等化
〇 トランスデューサ装置および関連するシステム要素からの触覚体験の最適化は、人間、サブパック(SubPac)、座席および環境からなるシステム内の複雑な相互作用の結果である。
【0161】
〇 周波数応答は、特定の人のために最適化することができるか、または例えば特定のアーティスト、製作者などの特定の人の嗜好を表すことができる。
− 過熱防止:例えば、トランスデューサが過熱している場合、例えばトランスデューサおよび/またはトランスデューサの周囲の温度を感知することにより、1つまたは複数の制御システムは、例えば、そのようなトランスデューサへの1つまたは複数の入力信号レベルを下げるか、またはそのような入力信号を一時的に除去して、トランスデューサを効果的に静止状態に戻すことができる。いくつかの実施形態では、これは、ボイスコイル上の1つまたは複数の温度センサ、膜または他のトランスデューサ要素および/またはボイスコイルからの逆起電力/電流フィードバックのためのセンサを伴うことができ、これらは、次に、例えばDSP内の1つまたは複数の熱モデルを通して評価することができる。そのような状態の注意喚起は、ユーザおよび/または例えばそのようなトランスデューサ装置が取り付けられた複数の座席がある劇場のためのものなど、制御表示システムを含む1つまたは複数の制御システムに提供することができる。
【0162】
− 圧力:トランスデューサにかかる力が大き過ぎる場合、入力信号を減少または終了させて、トランスデューサを一時的に停止し、かつ/またはユーザに注意喚起するようにすることができる。
【0163】
− 過偏位防止:1つまたは複数の加速度計センサが、いくつかの実施形態ではそのような評価のために構成された、デジタルまたはアナログトランスデューサ装置の一部であり得るDSPを含む適切な制御システムによって評価される場合、そのような偏位が動的閾値の事前設定を上回っていると評価されると生じる得る、1つまたは複数の入力信号を減衰させてそのような偏位を防ぐようにし得る情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、そのような評価は、例えば、そのような入力信号に対する制限機能としての信号をトランスデューサに供給する前に行うことができ、かつ/またはトランスデューサ装置を伴う能動的フィードバックネットワークの一部として行うことができる。
【0164】
ユーザ注意喚起パターン
いくつかの実施形態では、最適かつ安全な方法でのトランスデューサ装置の性能および動作は、パターンによって指定することができる。
【0165】
このパターンは、例えば、触覚的な注意喚起を含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、電気活性トランスデューサのためのアナログ信号に直接転送できないデジタル情報、例えばOBDIIインタフェース上の加速情報など、または1つもしくは複数の特定のユーザ注意喚起を作動させる制御信号を受信することができる。例えば、そのような注意喚起は、全体的または部分的に、ユーザの注意を要する状況、例えば衝突回避注意喚起、この先通行止めの表示、緊急車両の存在などの表示などをユーザに伝えるように意図された音響および/または触覚的出力の生成をトリガするのに適した一組の情報を含み得る。
【0166】
そのような一組の情報は、時間的情報、例えば緊急性、距離または他のそのようなパラメータを示すことができる、そのような1つまたは複数の組の情報を含む命令を含み得る。時間的情報は、例えば、生成された触覚的および/または音響出力の強度、音量、周波数、パルス持続時間、パルス周波数などを変えるために用いることができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコンピュータおよび/または論理演算処理装置を含む1つまたは複数の制御システムは、そのような一組の情報を用いて、電気活性トランスデューサ装置を作動させる1つまたは複数の組の制御信号を生成することができる。
【0168】
パターンは、ラビット効果を実施することができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサの作動は、2つのトランスデューサ間の部位にトランスデューサがあるという錯覚を実現するようにタイミング指定される。この錯覚をさらに利用するいくつかの実施形態では、トランスデューサの作動は、トランスデューサの実際の部位に対応する離散的なタップを知覚する代わりに、ユーザが様々なトランスデューサの作動に沿って連続的なスワイプを知覚するようにタイミング指定される。これは、文献に記載されている感覚的躍動効果に類似している。文献では、皮膚感覚アクチュエータを用いて同様の錯覚が前腕に作り出されている。
【0169】
いくつかの実施形態では、そのようなユーザ注意喚起は、任意の組み合わせで触覚的、聴覚的および/または視覚的であるように生成することができる。例えば、典型的な注意喚起は、いくつかの実施形態では、1人または複数の人間に以下の注意喚起タイプを伝えることができる。
【0170】
i.制御を引き継ぐように操縦者/運転者に警告/通知する
ii.衝突防止注意喚起
iii.死角注意喚起
iv.車線逸脱注意喚起
v.ナビゲーション合図
vi.こんにちは/ようこそ/さようなら
vii.ランドマークまたは名所の注意喚起
viii.目的地までの時間または他の事前設定された時間的注意喚起
ix.睡眠状態(マイクロ睡眠を含む)または他の注意喚起(例えば、同じ環境内の別の人間に対する)
x.他のバイオメトリックに基づいた注意喚起
xi.および/またはそれに類するもの
いくつかの実施形態では、これらの注意喚起の触覚的な部分は、1つまたは複数の触覚効果を介して表される。例えば、これらの触覚効果の1つまたは複数は、例えば、本明細書に概説されるものから各ユーザ注意喚起に対して構成することができる。
【0171】
例えば、電気活性トランスデューサが個々に作動される場合に提示される触覚効果についてのいくつかの例示的実施形態が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、そのような作動は、シーケンスを含み得、それにより、一組のトランスデューサが作動されて注意喚起または他のイベント通知を人間のユーザに提供する。1つのそのような実施形態では、個々の電気活性トランスデューサを一定時間にわたって作動させ、次の注意喚起まで電源を切るか、または周期的または不規則なパルスを介して単一の注意喚起ごとにトランスデューサの電源を入れたり切ったりする。
【0172】
図8Aは、一実施形態によるトランスデューサの作動を図示する。図8Aでは、トランスデューサ番号3が作動され、これがトランスデューサを振動させている。例えば、これは、死角における物体(例えば、別の車両、自転車、小さい子供など)の存在を示すことも可能であろう。
【0173】
図8Bは、一実施形態による、トランスデューサの作動を図示する。2つ以上の電気活性トランスデューサ1および3を共に作動させ得る。例えば、そのような2つ以上の電気活性トランスデューサを一定時間にわたって共に作動させ、次の注意喚起まで電源を切ることができ、または周期的または不規則なパルスを介して単一の注意喚起ごとにトランスデューサの電源を入れたり切ったりする。例えば、これは、ユーザに方向転換および/またはナビゲーション注意喚起に応答するように促すことであり得る。
【0174】
図8Cは、一実施形態によるトランスデューサの作動を図示する。ここでは、2つ以上の電気活性トランスデューサを互い違いに作動させている。この実施形態では、注意喚起のために2つ以上の電気活性トランスデューサ1、2、3および4を作動させており、各トランスデューサの作動間に遅延を伴って、周期的または不規則な信号が個々のトランスデューサに送られている。例えば、この装置は、自らの状況に注意散漫になっていると感知される運転者に刺激を与えることができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、各トランスデューサは、個々にかつ装置の一部として、1つまたは複数の周波数で1つまたは複数の出力を生成するように作動され得る。そのような作動は、1つまたは複数のコントローラ、例えばCPU、関連するメモリ、持続的記憶装置および適切な仕様によって構成することができる。
【0176】
図6の例では、そのようなシーケンスは、強度が可変の表示などの人間によって認識される情報注意喚起であって、人間がそれに対して応答したり、その特定のセンサと同時に発生していることを注意喚起されたりする可能性があるイベントが生じつつあるという情報注意喚起を伝えることができる。例えば、1つまたは複数のセンサ、例えば電波探知機、ライダー(Lidar)、または他の近接覚感知性能によって検出された別の車両などの障害物があった場合、触覚的、視覚的および/または可聴的フィードバック、例えば注意喚起などを提供するトランスデューサを通して、人間がそのような接近度を意識しているようにすることができる。例えば、一実施形態は、1つまたは複数の物体の接近度を追跡することができ、それにより、フィードバック/注意喚起の強度が物体の距離に比例するようにし、その結果、物体が近くなるほどフィードバック/注意喚起の強度が大きくなる。
【0177】
いくつかの実施形態では、媒体ソースからのトリガは、聞こえないが、トランスデューサのアレイ内の特定の再生(例えば爆発音/地震または他の劇的な効果、接近する大型車両などの低周波ランブル雑音など)をトリガするが、そのようなイベントは、依然として(または場合によりその後にわたって)視覚的に表されない。
【0178】
いくつかの実施形態では、身体の動きは、例えば、一方の側の1つのトランスデューサを作動させて、特定のイベント、行動、視覚効果および/またはそれに類するものを強調することによってシミュレートすることができる。
【0179】
追加パターン
いくつかの実施形態では、トランスデューサの装置は、例えば、会館または同様の会場における座席などの物理的な座席に一体化することができ、そのような座席をベースにした装置は、例えば、波状に作動され得る。その場合、例えば、座席の列(20列のうちの列1とする)が作動され、次に列2、列3およびそれ以降の各列が作動される。いくつかの実施形態では、作動の強度は、不変または可変であり得、また可聴的および触覚的作動の両方を含み得る。
【0180】
1つの実施形態では、パターンは、外乱除去をもたらす環境補償パターンである。いくつかの実施形態では、制御システムは、1つまたは複数の入力を評価して、例えば外部擾乱、例えば(a)低周波数、低いg力(走行中車両内における場合の加速/減速)、(b)衝撃力、高いg力(衝撃、打撃、衝突)、(c)周期、中程度のg力(上下動)、および(d)他の同種のものを補償することができる。
【0181】
いくつかの実施形態では、そのような入力は、トランスデューサ装置の一部であるセンサ、そのような装置の外部のセンサおよび/または別個の外部システムによって提供することができる。
【0182】
1つの実施形態では、パターンは、ヘルスモニタリングおよび追跡パターンである。それらは、例えば、以下である。
・1つまたは複数のセンサを使用して体脂肪量(例えば、BMI)を判定すること。それは、個人の健康を確認および/またはモニタリングし、追跡するために使用することができる。
【0183】
・HRMと組み合わせてユーザの興奮/ストレス/眠気レベルを判定し、触覚的応答を使用してこれらの指標を調整することができる。いくつかの実施形態では、これは、第2次フィードバックループの一部を形成することができる。
【0184】
・不安およびストレスレベルの検出および/または改善を提供することができる。
・ユーザの注目点追跡を組み込むことができる。
アプリケーションドメインの例
以下に記載されるこれらの例示的な適用領域のそれぞれは、本明細書に記載されるようないくつかの特定の利点を有するが、これらの利点は、例えば、自動車、他の車両(例えば、バス、列車、電車など)、飛行機、船および劇場、コンサートホールまたは他の会場、テーマパークの設備、家庭内機器類(例えば、ホームシアターシステムまたは他の家庭用備品に接続されたゲーム用座席、寝椅子またはソファ)、クラブ、オフィス、プロ競技の会場および/またはそれに類するものなどの他の非可動型設備におけるものを含む、任意の実施形態の状況の任意の物理的制約に従ってシステムのこうした実施形態に適用することができる。
【0185】
自動車内では、サブウーファは、多くの空間を占有し、高電力を必要とし、車台に望ましくないガタガタとした音を立てる。本明細書に記載の実施形態は、より少ないエネルギー消費で優れた低音応答を提供することができ、トランスデューサ装置は、車両の座席に組み込むことができるため、空間的に中立であり得る。
【0186】
システムは、フェード音響/注意喚起を提供することができる。すなわち、音楽がかかっている間に注意喚起が発せられると、そのような音楽の高音成分を供給するヘッドフォンが可能であるように、そのような音楽の低音成分を生成するトランスデューサ装置を一時的に次第に弱め、かつ/またはフィルタ処理して注意喚起を区別し強調することができる。
【0187】
システムは、触覚的注意喚起と、音響および視覚的注意喚起との組み合わせを提供することができる。注意喚起の識別および区別を向上させるために、触覚的注意喚起は、他のタイプの注意喚起と組み合わせることができる。
【0188】
空間化のために、複数のトランスデューサ装置はサラウンドサウンド型の触覚体験を可能にする。
システムは、自動車(カーシェアリグ/レンタカーサービスを含む)および/または多人数用旅客車両などの車両において、ユーザごとに個別化された体験を提供することができる。例えば、個々人のプロファイルをある1つの環境、例えば自分の自動車に取り込んで保存し、別の座席、該当する場合には例えば別の自動車、列車、飛行機などに安全に転送することができる。1つまたは複数の制御システムは、その座席に設置されたトランスデューサ装置に関連付けられた他の座席の特定の情報と統合して、その特定のユーザのための体験を最適化することができる。
【0189】
システムは、感覚およびイベントの、1つまたは複数の機械的表現を含む1つまたは複数のパターンの生成を通して触覚的な通信を提供することができる。これらは、以下の1つまたは複数を含み得る。
【0190】
− 警告のためのパターン
〇 運転者および/または乗客に危険を警告するパターン
− 通知のためのパターン
〇 運転者および/または乗客に通知するためのパターン、例えば、ナビゲーション合図、目的地に近づく/到着すると目を覚まさせること
〇 差し迫った衝撃を乗客に通知し、衝撃を最小限にするために不時着時の姿勢(brace position)または他の防護姿勢をとるように助言するためのパターン。
【0191】
− 心地よくするためのパターン
〇 マッサージしたり、和ませたり、乗客を休息または睡眠させるためのパターン
− 上記のすべては、1人または複数の人数のための車両の座席設備においてユーザごとに体験を個別化することができる。
【0192】
− 聴覚障害/難聴および視覚障害の運転者および/または乗客のための意志疎通
− 子供用カーシートが適切に設置されているかどうかの検出。これは、例えば、適切に設置されたカーシートの署名の登録および保管を含み得、シートが適切に設置されていない場合(例えば、それが署名と一致しない場合またはカーシートによってトランスデューサ装置および/もしくはセンサに加えられた圧力が非対称である場合)、運転者および/または乗客に注意喚起を提供することができる。
− 運転者のポーズおよび/または姿勢を検出するトランスデューサ装置および関連するセンサによる検出および評価を通して1つまたは複数の注意喚起を提供する。これは、運転者の注意が向けられている場所を判断するために車両内の他のセンサと組み合わせることができる。
【0193】
− 加速度/g力、ジャイロデータおよびトランスデューサ装置内の様々なセンサおよび車両内またはそのような車両内の人に設置されたものなどの外部センサからの他の入力の測定を通して車両の振動/道路状況を計算し、評価することができる。
【0194】
− そのような情報は、1つまたは複数のトランスデューサ装置からの1つまたは複数の出力を制御および生成して、道路振動の知覚を相殺/最小化するために用いることができる。
【0195】
− 座席にいる人の識別は、座席にいる生き物の存在の検出および/または座席にいる特定の人物の検出を含み得る。この情報は、エアバッグ最適化システムおよび/または他の外部システムを使用して制御および/または最適化することができる。座席にいる特定のユーザの検出(例えば、認証、ユーザ固有の制御などを含み得る)は、車両のブラックボックスデータと組み合わせるか、またはそれに組み込むことができ、例えば1つまたは複数の方法で運転者に注意喚起するため(特定の方向に注意を向けるためなど)に用いることができる。
【0196】
− 他のシステムのためのバイオメトリックデータ
− マッサージおよび心地よさ
− 健康および健全性
いくつかの実施形態では、劇場、コンサートホールまたは他の公演会場などの客席数の多い会場の座席は、公演に関連する低周波数および触覚的な要素を提供するようにトランスデューサ装置を組み込むことができる。例えば、映画館では、例えば爆発音または他の衝撃などの公演の低周波数成分は、ユーザの座席におけるトランスデューサの出力を通してユーザに伝達することができる。いくつかの実施形態では、そのような出力は、スクリーンからのユーザの距離に比例し得、または依然として目に見えない存在物を表し得、またスクリーン上のアクションに対するこの存在物の接近度に関連して増加させ得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパターンを使用して、例えば以下のように座席から人のための感覚を作り出すことができる。
・ウェーブパターン:このパターンでは、会場の境界(正面、背面、側面)に最も近い人々が、所定のレベルで自らの座席におけるトランスデューサ装置に対する出力を受信し、次にそれぞれの隣接する座席(または座席の列、座席の輪、または任意の他の配置)が所定のレベルで出力を受信する。
【0198】
・ラビットパターン:このパターンでは、座席におけるトランスデューサ装置のそれぞれが、「ラビット」パターンに応答して出力を生成する個々のトランスデューサを有し、それにより、ユーザは、(例えば、上/下/左〜右/右〜左/環状などの)所定の方向に移動する触覚および/または音響を受信する。
【0199】
・イン/アウトパターン:このパターンでは、トランスデューサ装置は、見かけ上の前方への動きを表すためにすべてのトランスデューサから前方への動きを提供する。それは、緩やかなものから急激なものであり得、かつ/または直線的、指数関数的であるかもしくは他にアルゴリズム的に駆動することができる。トランスデューサは、後方へのまたは座席内に「吸い込まれる」効果を表すために後方への動きも提供することができる。例えば、これらの効果のいずれもG力または他の加速/減速力をシミュレートするために用いることができる。方向の変化をシミュレートまたは強調するために、これらは、ラビット効果とも組み合わされ得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、対話型のゲーム、シミュレーションまたは他のユーザ体験に関連して生成された信号を通して動作され得る。例えば、ユーザが例えばゲーム内の武器の爆風によって衝撃を与えられた場合、1つまたは複数のトランスデューサは、そのような武器の爆風の衝撃(例えば、矢、弾丸、斧、レーザ兵器、大砲、拳、キック、剣、衝撃波の武器、爆発物、砲弾、中世の武器および/または他のそのような衝撃)、ならびにゲーム内の動き(例えば、壁にぶつかる自動車)によって引き起こされるそれらの衝撃、ならびに武器によって引き起こされるそれらの衝撃およびゲーム内でユーザが居住している車両(例えば、船、宇宙船、戦車、飛行機、ロケット、自動車など)の衝撃を表すように作動され得る。いくつかの実施形態では、いくつかのゲームは、人間のユーザのシミュレートされた動き、例えばカーレースゲームでのG力、ロケットパックのシミュレートされた力、プラットフォームへの着陸(例えば、シミュレートされた距離をジャンプするなど)の衝撃力を含み得、そのため、1つまたは複数のトランスデューサは、そのような力および衝撃をシミュレートするように作動され得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、例えば、ネットワークに接続されたゲームを含む、例えば複数のユーザによるオンラインゲームにおいて、例えばウェアラブルおよび/または座席ベースの装置を通して触覚および/または音響出力を提供するように人間の競技者に接続されたトランスデューサ装置内の1つまたは複数のトランスデューサは、別の競技者の行動により、例えば、あるユーザが別のユーザを打ったり、撃ったり、爆破したりする場合に作動され得、それにより、そのような衝撃によって与えられたダメージの程度が1つまたは複数のトランスデューサ装置の作動および動作によって表される。
【0202】
アパレル − 衣類
いくつかの実施形態では、トランスデューサ装置は、1つまたは複数の衣類の器具、例えば消防士および他の第一応答者、モータサイクリスト、軍関係者および触覚的注意喚起が有益である場合がある他の人々によって着用される例えば防護服に組み込むことができる。例えば、モータサイクリストは、死角における別の車両についての警告を提供するトランスデューサ装置を自らの防護服に組み込むことができる。例えば、家の火事など、煙が濃く、場合により音響通信が制限され、断続的または利用不可能になる状況において、消防士は、衣類に一体化されたトランスデューサ装置を通して、触覚的注意喚起/命令(例えば、方向指示的な命令を含む)を介して指示を受信することができる。そのようなトランスデューサ装置は、本明細書に記載されているものなどのセンサを含み得る。
【0203】
バックパック
本明細書に開示されているトランスデューサ装置ならびにそれらに一体化および/または関連付けられたパターンおよび制御システムは、例えば、人体に接触している任意のバックパックおよび/または任意の荷物キャリヤに一体化され得る。
【0204】
図9を参照すると、触覚音波デバイス910は、ユーザの背中912に隣接して位置するウェアラブルバックパックデバイスの形態で図示されている。音響デバイス910は、ユーザの背中912に近接して位置する背中領域910aを含む。ストラップ910b、910cは、ユーザの肩を通ってユーザの腕の下に巻き付き、背中領域910aと再び結合するために後方に延びている。
【0205】
背中領域910aは、ユーザの背中912に隣接して配置することができるVTMを含む筐体を含むが、これは、VTMに限定されない。VTMは、ユーザの背中912に面し、接触するように適合された背中領域910aの表面に沿って位置している。複数の電気活性トランスデューサ920もウェアラブルバックパックデバイス内に配置され、VTMに結合されている。さらにまた、ウェアラブルバックパックデバイスの一部である1つまたは複数のセンサ950がある。
【0206】
電気活性トランスデューサの2つ、920aおよび920bは、低周波数音響信号をユーザによって感じられる振動に変換し、ユーザが低周波数触覚音波を体験することを可能にすることができる音響触覚トランスデューサである。トランスデューサ920aおよび920bは、背中領域910aの垂直中心線930に沿って位置している。垂直中心線930は、シートバック110の左半分および右半分を互いに分離する背中領域910aの仮想中心軸であり得る。トランスデューサ920aおよび920bは、バックパックデバイスを装着しているユーザの脊椎と位置合わせされるように垂直中心線920に沿って位置している。
【0207】
電気活性トランスデューサの2つ、920cおよび920dは、振動を生成してユーザに方向指示的な合図を提供する方向指示的な注意喚起トランスデューサである。一方のトランスデューサ920dが背中領域910aの右側に位置し、ユーザの右側に方向指示的な注意喚起を提供する。他方のトランスデューサ920cがシートバック910aの左側に位置し、ユーザの左側に方向指示的な注意喚起を提供する。
【0208】
制御ボックス922は、背中領域910aに選択的に固定可能である。配線924は、制御ボックス922から外に向かって背中領域910a内に延びている。ヘッドフォン926は、選択的に動作可能に制御装置922と係合され得る。制御ボックス922は、図6のトランスデューサ制御システム600を含み得、それにより、前述したようなセンサ950からの感知された情報を用いてトランスデューサ920を制御する。
【0209】
本開示を一読すれば、当業者は、触感を提供するトランスデューサを有するシステムのためのさらに追加の代替的な設計を認識することができる。したがって、本開示の特定の実施形態および応用を図示し、説明してきたが、本開示は、本明細書に開示された正確な構造および構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者に明らかであり得る様々な修正形態、変更形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書における開示の方法および装置の配置、動作および詳細においてなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図7A
図7B
図7C
図9