特許第6803487号(P6803487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6803487型枠の洗浄方法及びセラミックス成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803487
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】型枠の洗浄方法及びセラミックス成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/00 20060101AFI20201214BHJP
   B28B 1/26 20060101ALI20201214BHJP
   B29C 33/72 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B28B7/00 Z
   B28B1/26
   B29C33/72
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-21433(P2020-21433)
(22)【出願日】2020年2月12日
(65)【公開番号】特開2020-131708(P2020-131708A)
(43)【公開日】2020年8月31日
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2019-23731(P2019-23731)
(32)【優先日】2019年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】倉田 芳匡
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 真司
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−001351(JP,A)
【文献】 特開平07−009429(JP,A)
【文献】 特開2011−056733(JP,A)
【文献】 特開平01−210307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00−19/00
B08B 1/00−13/00
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形用スラリーを注入するための凹部が形成された表面を有する型枠の洗浄方法であって、
軸心を中心として回転する回転ブラシによって、前記型枠の表面をブラッシングするブラッシング工程を備え、
前記ブラッシング工程では、前記軸心と平行な方向から見た場合に、前記型枠の表面の第1端の外側に設定される第1位置から、前記型枠の表面の第2端の外側に設定される第2位置まで、前記軸心を移動させる、
型枠の洗浄方法。
【請求項2】
前記型枠の表面は、
前記軸心の移動方向に略平行であり、前記凹部の外縁に連なり、前記第1端を含む第1平行面と、
前記移動方向に略平行であり、前記凹部の外縁に連なり、前記第2端を含む第2平行面と、
前記移動方向に略平行であり、前記凹部の底面である第3平行面と、
前記第1平行面と前記第3平行面とに連なる第1斜面と、
前記第2平行面と前記第3平行面とに連なる第2斜面と、
を含む、
請求項1に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項3】
前記第1乃至第3平行面の少なくとも1つに沿って前記軸心を右方向に移動させる場合、前記回転ブラシを左回転させる、
請求項2に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項4】
前記第1乃至第3平行面の少なくとも1つに沿って前記軸心を右方向に移動させる場合、前記回転ブラシを右回転させる、
請求項2に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項5】
前記第1斜面に沿って前記軸心を右方向に移動させる場合、前記回転ブラシを左回転させる、
請求項3又は4に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項6】
前記第1斜面に沿って前記軸心を右方向に移動させる場合、前記回転ブラシを右回転させる、
請求項3又は4に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項7】
前記第2斜面に沿って前記軸心を右方向に移動させる場合、前記回転ブラシを左回転させる、
請求項2乃至6のいずれかに記載の型枠の洗浄方法。
【請求項8】
前記第2斜面に沿って前記軸心を右方向に移動させる場合、前記回転ブラシを右回転させる、
請求項2乃至6のいずれかに記載の型枠の洗浄方法。
【請求項9】
前記回転ブラシは、前記軸心を中心として回転する軸部と、前記軸部から放射状に延びる複数のブラシ毛によって構成される毛部とを有する、
請求項1乃至8のいずれかに記載の型枠の洗浄方法。
【請求項10】
60℃における前記複数のブラシ毛のロックウエル硬度は、70以上100以下である、
請求項に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項11】
60℃における前記複数のブラシ毛の曲げ弾性率(MPa)は、2000以上4000以下である、
請求項又は10に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項12】
前記ブラッシング工程において、前記回転ブラシが前記第1位置に位置する場合、前記毛部は、前記第1端において前記型枠の表面に連なる前記型枠の第1側面に接触する、
請求項9乃至11のいずれかに記載の型枠の洗浄方法。
【請求項13】
前記ブラッシング工程において、前記回転ブラシが前記第2位置に位置する場合、前記毛部は、前記第2端において前記型枠の表面に連なる前記型枠の第2側面に接触する、
請求項9乃至12のいずれかに記載の型枠の洗浄方法。
【請求項14】
前記ブラッシング工程の前に、30℃以上80℃以下の洗浄液に前記型枠を浸漬させる予熱工程を更に備える、
請求項1乃至13のいずれかに記載の型枠の洗浄方法。
【請求項15】
成形用スラリーを注入するための凹部が形成された表面を有する型枠の洗浄方法であって、
軸心を中心として回転する回転ブラシによって、前記型枠の表面をブラッシングするブラッシング工程を備え、
前記型枠の表面は、前記軸心の移動方向に略平行であり、前記凹部の外縁に連なり、前記第1端を含む第1平行面と、前記移動方向に略平行であり、前記凹部の外縁に連なり、前記第2端を含む第2平行面と、前記移動方向に略平行であり、前記凹部の底面である第3平行面と、前記第1平行面と前記第3平行面とに連なる第1斜面と、前記第2平行面と前記第3平行面とに連なる第2斜面とを含み、
前記ブラッシング工程では、前記軸心と平行な方向から見た場合に、前記型枠の表面の第1端の外側に設定される第1位置から、前記型枠の表面の第2端の外側に設定される第2位置まで、前記軸心を移動させ、
前記ブラッシング工程では、前記第1斜面の上方における前記軸心の移動速度を、前記第1平行面の上方における前記軸心の移動速度より遅くする、
型枠の洗浄方法。
【請求項16】
前記第1斜面の上方における前記軸心の平均移動速度を、前記第1平行面の上方における前記軸心の平均移動速度の1.1倍以上にする、
請求項15に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項17】
前記回転ブラシを前記第1斜面上で停止させる、
請求項15又は16に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項18】
成形用スラリーを注入するための凹部が形成された表面を有する型枠の洗浄方法であって、
軸心を中心として回転する回転ブラシによって、前記型枠の表面をブラッシングするブラッシング工程を備え、
前記型枠の表面は、前記軸心の移動方向に略平行であり、前記凹部の外縁に連なり、前記第1端を含む第1平行面と、前記移動方向に略平行であり、前記凹部の外縁に連なり、前記第2端を含む第2平行面と、前記移動方向に略平行であり、前記凹部の底面である第3平行面と、前記第1平行面と前記第3平行面とに連なる第1斜面と、前記第2平行面と前記第3平行面とに連なる第2斜面とを含み、
前記ブラッシング工程では、前記軸心と平行な方向から見た場合に、前記型枠の表面の第1端の外側に設定される第1位置から、前記型枠の表面の第2端の外側に設定される第2位置まで、前記軸心を移動させ、
前記ブラッシング工程では、前記第2斜面の上方における前記軸心の移動速度を、前記第3平行面の上方における前記軸心の移動速度より遅くする、
型枠の洗浄方法。
【請求項19】
前記第2斜面の上方における前記軸心の平均移動速度を、前記第3平行面の上方における前記軸心の平均移動速度の1.1倍以上にする、
請求項18に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項20】
前記回転ブラシを前記第2斜面上で停止させる、
請求項18又は19に記載の型枠の洗浄方法。
【請求項21】
成形用スラリーを注入するための凹部が形成された表面を有する型枠の洗浄方法であって、
軸心を中心として回転する回転ブラシによって、前記型枠の表面をブラッシングするブラッシング工程を備え、
前記ブラッシング工程では、前記軸心と平行な方向から見た場合に、前記型枠の表面の第1端の外側に設定される第1位置から、前記型枠の表面の第2端の外側に設定される第2位置まで、前記軸心を移動させながら、前記型枠の前記表面及び前記凹部の内表面を前記回転ブラシによってブラッシングする、
型枠の洗浄方法。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれかに記載の型枠の洗浄方法によって前記型枠を洗浄する工程と、
前記型枠を用いて金型を組み立てる工程と、
前記金型に前記成形用スラリーを注入する工程と、
注入された前記成型用スラリーを固化させることによってセラミックス成形体を成形する工程と、
を備えるセラミックス成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠の洗浄方法及びセラミックス成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セラミックス部材は、例えば、電気化学素子用の支持体、フィルター、センサ、触媒担体、断熱材、防音材、防震材、生体材などの幅広い用途に利用されている。セラミックス部材は、所定形状のセラミックス成形体を焼成することによって作製される。
【0003】
セラミックス成形体の製造方法としては、鋳込み成形法の一つであるモールドキャスト法が知られている(例えば、特許文献1参照)。モールドキャスト法は、セラミック粉末、分散媒及びゲル化剤などを含有する成形用スラリーを金型に注入した後、成形用スラリーを固化(ゲル化)させることによってセラミック成形体を製造する方法である。固化したセラミックス成形体を金型から取り出しやすくするために、金型を構成する各型枠の表面は離型剤によって被覆されている。
【0004】
セラミックス成形体を取り出した後の型枠には、セラミック粉末、分散媒及びゲル化剤の少なくとも1つを含む固着物や、型枠の表面を被覆する離型剤などの付着物が付いている。そのため、成形用スラリーを注入する前に型枠を洗浄することによって、付着物を除去する必要がある。
【0005】
ここで、特許文献1では、型枠の表面に付着した付着物を溶剤によって膨潤させる工程と、型枠の表面をブラッシングすることによって付着物を除去する工程とを備える洗浄方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−1132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の手法によって付着物を十分に除去することは困難であり、付着物が付いた型枠を用いてセラミック成形体を成形すれば、セラミック成形体の外形寸法精度が低くなってしまう。
【0008】
本発明は、洗浄効率を向上可能な型枠の洗浄方法、及びセラミックス成形体の外形寸法精度を向上可能なセラミックス成形体の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成形用スラリーを注入するための凹部が形成された表面を有する型枠の洗浄方法にかかり、軸心を中心として回転する回転ブラシによって、型枠の表面をブラッシングするブラッシング工程を備える。ブラッシング工程では、軸心と平行な方向から見た場合に、型枠の表面の第1端の外側に設定される第1位置から、型枠の表面の第2端の外側に設定される第2位置まで、回転ブラシを移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄効率を向上可能な型枠の洗浄方法、及びセラミックス成形体の外形寸法精度を向上可能なセラミックス成形体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る金型の断面図である。
図2】実施形態に係る金型の分解図である。
図3】実施形態に係る金型の洗浄方法を説明するための模式図である。
図4】実施形態に係る金型の洗浄方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(金型10の構成)
本実施形態に係る金型10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、金型10の断面図である。図2は、金型10の分解図である。
【0013】
金型10は、鋳込み成形法の一つであるモールドキャスト法によって、成形用スラリーを固化(ゲル化)してセラミック成形体を成形するために用いられる。セラミック成形体は、焼成によりセラミックス部材となる。セラミックス部材としては、電気化学素子(例えば、燃料電池セル、電解セルなど)の支持体が挙げられるが、これに限らず幅広い用途に利用されうる。セラミック成形体の製造方法については後述する。
【0014】
金型10は、型枠11を備える。本実施形態において、型枠11は、第1型枠12及び第2型枠13によって構成される。ただし、型枠11は、成形されたセラミック成形体を取り出すことができる構造であればよく、例えば、3つ以上の型枠によって構成されていてもよい。
【0015】
型枠11は、成形用スラリーを注入するための注入口14と、成形用スラリーの注入時に空気及び余剰の成形用スラリーを排出するための排出口15と、成形用スラリーが注入される内部空間16とを有する。
【0016】
第1型枠12は、第2型枠13と対向する表面12aと、表面12aに形成された凹部12bと、表面12aに連なる第1側面12cと、第1側面12cの反対側の第2側面12dとを有する。凹部12bは、成形用スラリーを注入するためのキャビティーである。
【0017】
第2型枠13は、第1型枠12と対向する表面13aと、表面13aに形成された凹部13bと、表面13aに連なる第1側面13cと、第1側面13cの反対側の第2側面13dとを有する。凹部13bは、成形用スラリーを注入するためのキャビティーである。
【0018】
第1型枠12の表面12aには、離型剤17が塗布されている。第2型枠13の表面13aには、離型剤18が塗布されている。離型剤17,18としては、フッ素系、シリコーン系、ウレタン系などの被膜剤を用いることができる。
【0019】
第1及び第2型枠12,13は、表面12a及び表面13aを合わせるように連結される。これにより、凹部12bと凹部13bとが連なって内部空間16となる。
【0020】
(セラミックス成形体の製造方法)
セラミックス成形体の製造方法について説明する。図3及び図4は、後述する第1及び第2ブラッシング工程について説明するための模式図である。
【0021】
金型10を第1及び第2型枠12,13に分解してセラミックス成形体を取り出すと、第1及び第2型枠12,13には、セラミック粉末、分散媒及びゲル化剤の少なくとも1つを含むゴム状固着物や離型剤17,18などの付着物30が付いている。そのため、セラミックス成形体の製造工程では、まず、第1及び第2型枠12,13を洗浄して付着物30を除去する必要がある。ただし、第1及び第2型枠12,13それぞれの洗浄方法は同じであるため、以下、第1型枠12の洗浄方法について説明する。
【0022】
1.予熱工程
30℃以上80℃以下の洗浄液に第1型枠12を浸漬させることによって、離型剤17を溶融させるとともに、第1型枠12を予熱する。浸漬時間は特に制限されないが、例えば1分以上とすることができる。これにより、加熱だけでは除去されにくいゴム状固着物を膨潤させることによって、第1型枠12とゴム状固着物との密着力を低下させることができる。洗浄液は、少なくとも水を含んでいればよいが、中性洗剤を含んでいることが特に好ましい。これにより、酸性洗剤又はアルカリ性洗剤を用いる場合に比べて、第1型枠12の腐食や劣化を抑制することができる。
【0023】
2.第1ブラッシング工程
洗浄液から第1型枠12を引き出した後、図3に示すように、軸心AXを中心として回転する回転ブラシ20によって、第1型枠12の表面12aをブラッシングする。これにより、第1型枠12の表面12aに残留している付着物30を除去する。なお、上述した予熱工程において離型剤17の大部分が除去されるのに対して、ゴム状固着物は残留しやすい。そのため、この第1ブラッシング工程では、付着物30として主にゴム状固着物を除去対象としている。
【0024】
第1ブラッシング工程では、図3に示すとおり、軸心AXと平行な方向から回転ブラシ20を見た場合に、第1位置P1から第2位置P2まで、回転ブラシ20の軸心AXを移動させる。第1位置P1は、軸心AXの移動方向D1において、表面12aの第1端A1の外側に設定される。第2位置P2は、軸心AXの移動方向D1において、表面12aの第2端A2の外側に設定される。第1及び第2端A1,A2は、軸心AXと平行な方向から第1型枠12を側面視した場合における表面12aの両端である。第1端A1は、表面12aと第1側面12cとの交点であり、第2端A2は、表面12aと第2側面12dとの交点である。
【0025】
このように、回転ブラシ20の軸心AXを第1端A1の外側から第2端A2の外側まで移動させることによって、回転ブラシ20で表面12aの全面を効率的に洗浄することができる。特に、表面12aの両端付近に付いている付着物30を効率的に除去することができる。
【0026】
ここで、回転ブラシ20で表面12aは、第1平行面a1と、第2平行面a2と、第3平行面a3と、第1斜面a4と、第2斜面a5とを含んでいる。第1平行面a1は、軸心AXの移動方向D1に略平行であり、第1端A1を含む。第2平行面a2は、移動方向D1に略平行であり、第2端A2を含む。第2平行面a2は、移動方向D1において第1平行面a1の反対側に設けられる。第3平行面a3は、移動方向D1に略平行であり、凹部12bの底面である。第3平行面a3は、移動方向D1に垂直な方向(以下、「垂直方向」という。)において第1及び第2平行面a1,a2よりも軸心AXから離れている。第1斜面a4は、第1平行面a1と第3平行面a3とに連なる。第1斜面a4は、第1平行面a1から第3平行面a3に向かって徐々に低くなる。本実施形態において、第1斜面a4は、側面視で曲面状に形成されているが、側面視で平面状に形成されていてもよい。第2斜面a5は、第2平行面a2と第3平行面a3とに連なる。第2斜面a5は、第3平行面a3から第2平行面a2に向かって徐々に高くなる。本実施形態において、第2斜面a5は、側面視で曲面状に形成されているが、側面視で平面状に形成されていてもよい。
【0027】
また、回転ブラシ20は、軸部21と、毛部22とを有する。軸部21は、軸心AXを中心として回転する。軸心AXは、本発明に係る「軸心」の一例である。本実施形態において、軸心AXは、第1型枠12の幅方向に沿って延びているが、これに限られない。毛部22は、軸部21に取り付けられる。毛部22は、軸部21から放射状に延びる複数のブラシ毛によって構成される。
【0028】
第1ブラッシング工程において、第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれに沿って軸心AXを右方向に移動させる場合、回転ブラシ20を左回転(すなわち、反時計回りの回転)させてもよい。すなわち、軸心AXが第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれの上方を右方向に移動する間は、軸部21を左回転させてもよい。これにより、第1乃至第3平行面a1〜a3上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D1と同じにすることができるため、回転ブラシの移動に伴い、より強い力で付着物を除去することができる。
【0029】
第1ブラッシング工程において、第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれに沿って軸心AXを右方向に移動させる場合、回転ブラシ20を右回転(すなわち、時計回りの回転)させてもよい。すなわち、軸心AXが第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれの上方を右方向に移動する間は、軸部21を右回転させてもよい。これにより、第1乃至第3平行面a1〜a3上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D1と反対にすることができるため、回転ブラシによる枠型への負荷(傷、摩耗など)を低減することができる。
【0030】
第1ブラッシング工程において、第1斜面a4に沿って軸心AXを右方向に移動させる場合、回転ブラシ20を左回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第1斜面a4の上方を右方向に移動する間は、軸部21を左回転させてもよい。これにより、第1斜面a4上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D1と同じにすることができるため、回転ブラシの移動に伴い、より強い力で付着物を除去することができる。
【0031】
第1ブラッシング工程において、第1斜面a4に沿って軸心AXを右方向に移動させる場合、回転ブラシ20を右回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第1斜面a4の上方を右方向に移動する間は、軸部21を右回転させてもよい。これにより、第1斜面a4上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D1と反対にすることができるため、回転ブラシによる枠型への負荷(傷、摩耗など)を低減することができる。
【0032】
また、第1斜面a4の上方における軸心AXの移動速度を、第1平行面a1の上方における軸心AXの移動速度より遅くすることが好ましい。これにより、第1平行面a1に比べて回転ブラシ20を付着物30に接触させにくい第1斜面a4における付着物30の残留率を低減させることができる。特に、第1斜面a4の上方における軸心AXの平均移動速度を第1平行面a1の上方における軸心AXの平均移動速度の1.1倍以上とすることによって、付着物30の残留率をより低減させることができる。
【0033】
特に、回転ブラシ20を第1斜面a4上で停止させることが好ましい。これにより、第1斜面a4における付着物30の残留率を更に低減させることができる。
【0034】
第1ブラッシング工程において、第2斜面a5に沿って軸心AXを右方向に移動させる場合、回転ブラシ20を左回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第2斜面a5の上方を右方向に移動する間は、軸部21を左回転させてもよい。これにより、第2斜面a5上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D1と同じにすることができるため、回転ブラシの移動に伴い、より強い力で付着物を除去することができる。
【0035】
第1ブラッシング工程において、第2斜面a5に沿って軸心AXを右方向に移動させる場合、回転ブラシ20を右回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第2斜面a5の上方を右方向に移動する間は、軸部21を右回転させてもよい。これにより、第2斜面a5上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D1と反対にすることができるため、回転ブラシによる枠型への負荷(傷、摩耗など)を低減することができる。
【0036】
また、第2斜面a5の上方における軸心AXの移動速度を、第3平行面a3の上方における軸心AXの移動速度より遅くすることが好ましい。これにより、第3平行面a3に比べて回転ブラシ20を付着物30に接触させにくい第2斜面a5における付着物30の残留率を低減させることができる。特に、第2斜面a5の上方における軸心AXの平均移動速度を第3平行面a3の上方における軸心AXの平均移動速度の1.1倍以上とすることによって、付着物30の残留率をより低減させることができる。
【0037】
特に、回転ブラシ20を第2斜面a5上で停止させることが好ましい。これにより、第2斜面a5における付着物30の残留率を更に低減させることができる。
【0038】
第1ブラッシング工程において、回転ブラシ20が第1位置P1に位置する場合、毛部22は、第1端A1において表面12aに連なる第1側面12cに接触することが好ましい。これにより、例えば注入口14又は排出口15から溢れ出て固化した成形用スラリーが第1側面12cに付着していたとしても、当該付着物を第1側面12cから除去することができる。
【0039】
第1ブラッシング工程において、回転ブラシ20が第2位置P2に位置する場合、毛部22は、第2端A2において表面12aに連なる第2側面12dに接触することが好ましい。これにより、例えば注入口14又は排出口15から溢れ出て固化した成形用スラリーが第2側面12dに付着していたとしても、当該付着物を第2側面12dから除去することができる。
【0040】
また、60℃における複数のブラシ毛のロックウエル硬度(Mスケール)は、70以上100以下であることが好ましい。これにより、予熱された第1型枠12に接触することでブラシ毛が加熱されたとしても、ブラシ毛の形状を維持できるため、表面12aに付いている付着物30をより効率的に除去できる。さらに、60℃における複数のブラシ毛の曲げ弾性率(MPa)は、2000以上4000以下であることが好ましい。これにより、予熱された第1型枠12に接触することでブラシ毛が加熱されたとしても、ブラシ毛の弾性を維持できるため、表面12aに付いている付着物30をより効率的に除去することができる。
【0041】
3.第2ブラッシング工程
図4に示すように、回転ブラシ20の軸心AXを移動方向D2に移動させることによって、第1型枠12の表面12aを再びブラッシングする。これにより、第1ブラッシング工程では付着物30を除去しきれなかった場合に、残留している付着物30を除去する。第1ブラッシング工程において付着物30を十分除去できる場合、第2ブラッシング工程を行わなくてもよい。
【0042】
第2ブラッシング工程では、図4に示すとおり、軸心AXと平行な方向から回転ブラシ20を見た場合に、第2位置P2から第1位置P1まで、回転ブラシ20の軸心AXを移動させる。このように、回転ブラシ20の軸心AXを第2端A2の外側から第1端A1の外側まで移動させることによって、回転ブラシ20の毛部22で表面12aの全面を更に洗浄できる。
【0043】
第2ブラッシング工程において、第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれに沿って軸心AXを左方向に移動させる場合、回転ブラシ20を右回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれの上方を左方向に移動する間は、軸部21を右回転させてもよい。これにより、第1乃至第3平行面a1〜a3上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D2と同じにすることができるため、回転ブラシの移動に伴い、より強い力で付着物を除去することができる。
【0044】
第2ブラッシング工程において、第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれに沿って軸心AXを左方向に移動させる場合、回転ブラシ20を左回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第1乃至第3平行面a1〜a3それぞれの上方を左方向に移動する間は、軸部21を左回転させてもよい。これにより、第1乃至第3平行面a1〜a3上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D2と反対にすることができるため、回転ブラシによる枠型への負荷(傷、摩耗など)を低減することができる。
【0045】
第2ブラッシング工程において、第2斜面a5に沿って軸心AXを左方向に移動させる場合、回転ブラシ20を右回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第2斜面a5の上方を左方向に移動する間は、軸部21を右回転させてもよい。これにより、第2斜面a5上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D2と同じにすることができるため、回転ブラシの移動に伴い、より強い力で付着物を除去することができる。
【0046】
第2ブラッシング工程において、第2斜面a5に沿って軸心AXを左方向に移動させる場合、回転ブラシ20を左回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第2斜面a5の上方を左方向に移動する間は、軸部21を左回転させてもよい。これにより、第2斜面a5上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D2と反対にすることができるため、回転ブラシによる枠型への負荷(傷、摩耗など)を低減することができる。
【0047】
また、第2斜面a5の上方における軸心AXの移動速度を、第2平行面a2の上方における軸心AXの移動速度より遅くすることが好ましい。これにより、第2平行面a2に比べて回転ブラシ20を付着物30に接触させにくい第2斜面a5における付着物30の残留率を低減させることができる。特に、第2斜面a5の上方における軸心AXの平均移動速度を第2平行面a2の上方における軸心AXの平均移動速度の1.1倍以上とすることによって、付着物30の残留率をより低減させることができる。
【0048】
特に、回転ブラシ20を第2斜面a5上で停止させることが好ましい。これにより、第2斜面a5における付着物30の残留率を更に低減させることができる。
【0049】
第2ブラッシング工程において、第1斜面a4に沿って軸心AXを左方向に移動させる場合、回転ブラシ20を右回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第1斜面a4の上方を左方向に移動する間は、軸部21を右回転させてもよい。これにより、第1斜面a4上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D2と同じにすることができるため、回転ブラシの移動に伴い、より強い力で付着物を除去することができる。
【0050】
第2ブラッシング工程において、第1斜面a4に沿って軸心AXを左方向に移動させる場合、回転ブラシ20を左回転させてもよい。すなわち、軸心AXが第1斜面a4の上方を左方向に移動する間は、軸部21を左回転させてもよい。これにより、第1斜面a4上を毛部22の先端が移動する方向を移動方向D2と反対にすることができるため、回転ブラシによる枠型への負荷(傷、摩耗など)を低減することができる。
【0051】
また、第1斜面a4の上方における軸心AXの移動速度を、第3平行面a3の上方における軸心AXの移動速度より遅くすることが好ましい。これにより、第3平行面a3に比べて回転ブラシ20を付着物30に接触させにくい第1斜面a4における付着物30の残留率を低減させることができる。特に、第1斜面a4の上方における軸心AXの平均移動速度を第3平行面a3の上方における軸心AXの平均移動速度の1.1倍以上とすることによって、付着物30の残留率をより低減させることができる。
【0052】
特に、回転ブラシ20を第1斜面a4上で停止させることが好ましい。これにより、第1斜面a4における付着物30の残留率を更に低減させることができる。
【0053】
第2ブラッシング工程において、回転ブラシ20が第2位置P2に位置する場合、毛部22は、第2端A2において表面12aに連なる第2側面12dに接触することが好ましい。これにより、例えば注入口14又は排出口15から溢れ出て固化した成形用スラリーが第2側面12dに付着していたとしても、当該付着物を第2側面12dから除去することができる。
【0054】
第2ブラッシング工程において、回転ブラシ20が第1位置P1に位置する場合、毛部22は、第1端A1において表面12aに連なる第1側面12cに接触することが好ましい。これにより、例えば注入口14又は排出口15から溢れ出て固化した成形用スラリーが第1側面12cに付着していたとしても、当該付着物を第1側面12cから除去することができる。
【0055】
4.離型剤塗布工程
洗浄された第1型枠12の表面12aに離型剤17を塗布する。同様に、洗浄された第2型枠13の表面13aにも離型剤18を塗布する。離型剤17,18の塗布方法は特に制限されず、例えば、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法などを用いることができる。
【0056】
5.成形用スラリー調製工程
セラミックス粉末、分散媒、及びゲル化剤を混合して成形用スラリーを調製する。セラミックス粉末は、セラミックス部材に必要とされる特性に応じて適宜選択される。
【0057】
6.成形用スラリー注入工程
第1及び第2型枠12,13を連結させて金型10を組み立て、第1型枠12の注入口14から内部空間16に成形用スラリーを注入する。その後、一定時間(例えば、1時間)放置して、成形用スラリーを固化(ゲル化)させることによって、セラミックス成形体を形成する。そして、第2型枠13から第1型枠12を取り外して、セラミックス成形体を取り出す。
【0058】
上述した予熱工程、第1ブラッシング工程及び第2ブラッシング工程により、第1及び第2型枠12,13それぞれから付着物30が十分に除去されているため、製造されるセラミック成形体の外形寸法精度を向上させることができる。
【0059】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0060】
上記実施形態では、第1型枠12及び第2型枠13のそれぞれが凹部を有することとしたが、これに限られない。第1型枠12及び第2型枠13の一方には、凹部が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 金型
11 型枠
12 第1型枠
12a 表面
A1 第1端
A2 第2端
12c 第1側面
12d 第2側面
13 第2型枠
13a 表面
13c 第1側面
13d 第2側面
14 注入口
15 排出口
16 内部空間
17 離型剤
18 離型剤
20 回転ブラシ
21 軸部
22 毛部
AX 軸心
P1 第1位置
P2 第2位置
D1,D2 移動方向
E1,E2 回転方向
図1
図2
図3
図4