(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の領域に第1の開口を有するとともに前記第1の領域よりも厚さの大きい第2の領域に第2の開口を有し、更に、前記第1の領域と前記第2の領域との間に中間領域を有したマスクを介して、第1のスキージおよび第2のスキージを有する印刷ヘッドにより、基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、
前記基板が前記第1の領域に接触した状態で前記第1のスキージを前記中間領域に当接させた後、前記第1のスキージを第1の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動させ、更に前記第1のスキージを前記マスクから離間させると共に前記マスクに当接させた前記第2のスキージを前記中間領域まで移動させることによって前記基板に対する1次印刷を行い、前記基板を前記マスクから版離れさせた後、前記基板が前記第2の領域に接触した状態で前記第2のスキージを前記中間領域から前記第2の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動させ、更に前記第2のスキージを前記マスクから離間させると共に、前記マスクに当接させた前記第1のスキージを前記中間領域まで移動させることによって前記基板に対する2次印刷を行い、
前記1次印刷の終了後、前記第2のスキージを前記中間領域に当接させたまま前記2次印刷を開始することにより、前記第2のスキージは前記第1の領域上での摺動動作と前記第2の領域上での摺動動作との間で前記マスクから離間しないことを特徴とするスクリーン印刷方法。
前記1次印刷の後、前記基板を前記マスクから版離れさせ、前記基板を前記第2の領域に接触させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスクリーン印刷方法。
第1の領域に第1の開口を有するとともに前記第1の領域よりも厚さの大きい第2の領域に第2の開口を有し、更に、前記第1の領域と前記第2の領域との間に中間領域を有したマスクと、
基板が前記第1の領域に接触した状態で前記第1の開口にペーストを充填し、前記基板が前記第2の領域に接触した状態で前記第2の開口にペーストを充填すると共に、第1のスキージおよび第2のスキージを有する印刷ヘッドと、前記基板を保持するとともに、前記基板を前記第1の領域又は前記第2の領域に接触させる基板保持部とを備え、前記第1のスキージは、前記基板が前記第1の領域に接触した状態で前記中間領域に当接した後、第1の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動し、更に前記第1のスキージを前記マスクから離間させると共に、前記マスクに当接した前記第2のスキージが前記中間領域まで移動することによって前記基板に対する1次印刷を行い、前記基板が前記マスクから版離れした後、前記第2の領域に接触した状態で、前記第2のスキージは前記中間領域から前記第2の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動し、更に前記第2のスキージを前記マスクから離間させると共に、前記マスクに当接した第1のスキージが前記中間領域まで移動することによって前記基板に対する2次印刷を行うようになっており、前記第2のスキージは、前記1次印刷の終了後、前記中間領域に当接したまま前記2次印刷を開始することにより、前記第1の領域上での摺動動作と前記第2の領域上での摺動動作との間で前記マスクから離間せず、
前記基板保持部は、前記1次印刷の後に前記第1の領域に接触している基板を版離れさせ、前記第2の領域に接触させることを特徴とするスクリーン印刷装置。
前記請求項6〜9のいずれかに記載のスクリーン印刷装置と、前記スクリーン印刷装置によりペーストが印刷された基板に部品を装着する部品実装装置とを備えたことを特徴とする部品実装ライン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2枚のマスクを1つのスクリーン印刷装置の中に配置すると、装置全体が大型化してしまうという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、装置を大型化させることなく、効率よく厚さの異なる2種のペーストを印刷することができるスクリーン印刷方法、スクリーン印刷装置及び部品実装ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーン印刷方法は、第1の領域に第1の開口を有するとともに前記第1の領域よりも厚さの大きい第2の領域に第2の開口を有し、更に、前記第1の領域と前記第2の領域との間に中間領域を有したマスクを介して、
第1のスキージおよび第2のスキージを有する印刷ヘッドにより、基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記基板が前記第1の領域に接触した状態で前記
第1のスキージを前記中間領域に当接させた後、前記
第1のスキージを第1の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動させ、更に前記
第1のスキージを前記マスクから離間させると共に前記マスクに当接させた前記第2のスキージを前記中間領域まで移動させることによって前記基板に対する1次印刷を行い、前記基板を前記マスクから版離れさせた後、前記基板が前記第2の領域に接触した状態で前記
第2のスキージを前記中間領域から前記第2の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動させ、更に
前記第2のスキージを前記マスクから離間させると共に、前記マスクに当接させた前記第1のスキージを前記中間領域まで移動させることによって前記基板に対する2次印刷を行い、前記1次印刷の終了後、前記
第2のスキージを前記中間領域に当接させたまま前記2次印刷を開始すること
により、前記第2のスキージは前記第1の領域上での摺動動作と前記第2の領域上での摺動動作との間で前記マスクから離間しない。
【0007】
本発明のスクリーン印刷装置は、第1の領域に第1の開口を有するとともに前記第1の領域よりも厚さの大きい第2の領域に第2の開口を有し、更に、前記第1の領域と前記第2の領域との間に中間領域を有したマスクと、基板が前記第1の領域に接触した状態で前記第1の開口にペーストを充填し、前記基板が前記第2の領域に接触した状態で前記第2の開口にペーストを充填する
と共に、第1のスキージおよび第2のスキージを有する印刷ヘッドと、前記基板を保持するとともに、前記基板を前記第1の領域又は前記第2の領域に接触させる基板保持部とを備え、前記
第1のスキージは、前記基板が前記第1の領域に接触した状態で前記中間領域に当接した後、第1の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動し、更に前記
第1のスキージを前記マスクから離間させると共に、前記マスクに当接した前記第2のスキージが前記中間領域まで移動することによって前記基板に対する1次印刷を行い、前記基板が前記マスクから版離れした後、前記第2の領域に接触した状態で
、前記第2のスキージは前記中間領域から前記第2の領域の前記中間領域とは反対側の領域まで移動し、更に
前記第2のスキージを前記マスクから離間させると共に、前記マスクに当接した第1のスキージが前記中間領域まで移動することによって前記基板に対する2次印刷を行うようになっており、
前記第2のスキージは、前記1次印刷の終了後、前記中間領域に当接したまま前記2次印刷を開始
することにより、前記第1の領域上での摺動動作と前記第2の領域上での摺動動作との間で前記マスクから離間せず、前記基板保持部は、前記1次印刷の後に前記第1の領域に接触している基板を版離れさせ、前記第2の領域に接触させる。
【0008】
本発明の部品実装ラインは、上記本発明のスクリーン印刷装置と、前記スクリーン印刷装置によりペーストが印刷された基板に部品を装着する部品実装装置とを備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置を大型化させることなく、効率よく厚さの異なる2種のペーストを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態における部品実装ラインの平面図
【
図2】本発明の第1実施形態における部品実装ラインが部品実装を行う基板の平面図
【
図3】本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の平面図
【
図4】本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図5】本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクの平面図
【
図6】本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクの側断面図
【
図7】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の部分側面図
【
図8】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクと基板の側断面図
【
図9】本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の制御系統を示すブロック図
【
図10】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【
図11】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【
図12】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクと基板を示す図
【
図13】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【
図14】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクと基板を示す図
【
図15】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【
図16】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【
図17】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクと基板を示す図
【
図18】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置の動作説明図
【
図19】(a)(b)本発明の第1実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクと基板を示す図
【
図20】本発明の第2実施形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図21】本発明の第2実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクの側面図
【
図22】本発明の第3実施形態におけるスクリーン印刷装置の側面図
【
図23】本発明の第3実施形態におけるスクリーン印刷装置が備えるマスクの側面図
【
図24】(a)(b)本発明の第3実施形態におけるスクリーン印刷装置の部分側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態における部品実装ライン1を示している。部品実装ライン1は基板2に部品3を装着して実装基板2Jを製造するものであり、スクリーン印刷装置4とその下流工程側に配置された部品実装装置5を備えている。スクリーン印刷装置4は上流工程側から投入された基板2を受け取ってその基板2の電極2D上にペーストPstをスクリーン印刷し、部品実装装置5に受け渡す。部品実装装置5は、スクリーン印刷装置4から基板2を受け取り、ペーストPstが印刷された電極2D上に部品3を装着する。以下の説明では便宜上、作業者OPから見た部品実装ライン1の左右方向をX軸方向とし、基板2はX軸方向を左方から右方へ流れるものとする。また、作業者OPから見た部品実装ライン1の前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
図2に示すように、基板2が有する電極2Dは2種の電極(第1種電極2a及び第2種電極2b)から成る。第1種電極2aはチップ部品等の小型の部品3が装着される電極であり、第2種電極2bはコネクタ等の大型の部品3が装着される電極である。このため第2種電極2bには第1種電極2aよりも多くのペーストPstが必要であり、スクリーン印刷装置4は、第2種電極2bには第1種電極2aよりも厚さの大きいペーストPstを印刷する。
図2中に示す領域S1は第1種電極2aが設けられている基板2上の領域を示しており、領域S2は第2種電極2bが設けられている基板2上の領域を示している。
【0013】
図3に及び
図4において、スクリーン印刷装置4は、基台11上に基板保持移動機構12を備えており、基板保持移動機構12の上方にはマスク13が設けられている。基台11上の基板保持移動機構12の上流工程側には、スクリーン印刷装置4の外部から投入された基板2を受け取って基板保持移動機構12に搬送する搬入コンベア14が設けられている。基台11上の基板保持移動機構12の下流工程側には、基板保持移動機構12から基板2を受け取って下流工程側の装置(ここでは部品実装装置5)に搬送する搬出コンベア15が設けられている。マスク13の下方にはカメラ16が設けられており、マスク13の上方には印刷ヘッド17が設けられている。
【0014】
図4において、基板保持移動機構12は、基板保持部21と移動テーブル部22から成る。基板保持部21は位置決めコンベア31(
図3も参照)と、下受け部32と、一対のクランパ33(
図3も参照)を備える。位置決めコンベア31は搬入コンベア14から送られてきた基板2を所定のクランプ位置に位置決めする。下受け部32は位置決めコンベア31がクランプ位置に位置決めした基板2を下方から支持し、クランパ33は基板2をY軸方向からクランプする。このように基板2は下受け部32とクランパ33によって保持される。基板保持部21が備える2つのクランパ33のうち、作業者OPの側に位置するものを前方クランパ33Fと称し、作業者OPとは反対の側に位置するものを後方クランパ33Rと称する。移動テーブル部22は多段積みのテーブル機構から成り、基板2を保持した基板保持部21を水平面内方向及び上下方向に移動させる。
【0015】
図5において、マスク13はXY平面に広がった矩形平板形状を有している。マスク13の外周は枠部材13wによって支持されている。マスク13の前方側の領域と後方側の領域とでは厚さが異なり、後方側の領域の厚さは前方側の領域の厚さよりも大きくなっている。
【0016】
図4及び
図5に示すように、マスク13の前方側の領域には基板2と接触する領域としての前方マスキング領域R1(第1の領域)を有しており、マスク13の後方側の領域には基板2と接触する領域としての後方マスキング領域R2(第2の領域)を有している。前方マスキング領域R1と後方マスキング領域R2の間の領域は前方マスキング領域R1と後方マスキング領域R2との厚さの差(段差)を有する中間領域Rmとなっている。本第1実施形態では、前方マスキング領域R1の下面と後方マスキング領域R2の下面は同一平面であり、前方マスキング領域R1の下面高さと後方マスキング領域R2の下面高さは等しくなっている(
図6)。
【0017】
前方マスキング領域R1内には第1種開口K1(第1の開口)が設けられており、後方マスキング領域R2内には第2種開口K2(第2の開口)が設けられている。第1種開口K1は第1種電極2aの配置に応じた第1のパターンで設けられており、第2種開口K2は第2種電極2bの配置に応じた第2のパターンで設けられている。すなわちマスク13は、前方マスキング領域R1に第1種開口K1を有するとともに、前方マスキング領域R1よりも厚さの大きい後方マスキング領域R2に第2種開口K2を有したものとなっている。
【0018】
図3及び
図4において、カメラ16は、撮像視野を上方に向けた上方撮像部16aと、撮像視野を下方に向けた下方撮像部16bを備える。カメラ16はカメラ移動機構16Kに駆動されてXY面内で移動する。カメラ16の上方撮像部16aはマスク13の前方マスキング領域R1と後方マスキング領域R2のそれぞれに設けられたマスク側マーク13m(
図5)を下方から撮像する。カメラ16の下方撮像部16bは基板保持部21に保持された基板2の基板側マーク2m(
図3)を上方から撮像する。
【0019】
基板保持移動機構12は、カメラ16が撮像したマスク側マーク13mと基板側マーク2mの相対位置を参照することによって基板2をマスク13に対して位置合わせしたうえで、基板2を上昇させてマスク13の下面に接触させる。第1種電極2aにペーストPstを印刷するときには基板2を前方マスキング領域R1に接触させ(
図7(a))、第2種電極2bにペーストPstを印刷するときには基板2を後方マスキング領域R2に接触させる(
図7(b))。
【0020】
基板保持部21において保持した基板2を前方マスキング領域R1に接触させた場合、前方クランパ33Fは前方マスキング領域R1の前方に位置し、後方クランパ33Rは前方マスキング領域R1の後方の中間領域Rmに位置する(
図7(a))。一方、基板保持部21において保持した基板2を後方マスキング領域R2に接触させた場合、後方クランパ33Rは後方マスキング領域R2の後方に位置し、前方クランパ33Fは後方マスキング領域R2の前方の中間領域Rmに位置する(
図7(b))。中間領域Rmには印刷開始時にペーストPstが供給される(
図5)。
【0021】
基板2を前方マスキング領域R1に接触させると、基板2の第1種電極2aはマスク13の第1種開口K1と合致し、第1種開口K1を通じてマスク13の上面側に露出する(
図8(a))。前方マスキング領域R1におけるマスク13の厚さT1は、そのまま第1種電極2aにペーストPstを印刷した場合のペーストPstの厚さとなる。一方、基板2を後方マスキング領域R2に接触させると、第2種電極2bはマスク13の第2種開口K2と合致し、第2種開口K2を通じてマスク13の上面側に露出する(
図8(b))。後方マスキング領域R2におけるマスク13の厚さT2は、そのまま第2種電極2bにペーストPstを印刷したときのペーストPstの厚さとなる。
【0022】
図3及び
図4において、印刷ヘッド17は、X軸方向に延びた移動ベース41と、移動ベース41の下方にY軸方向に対向配置された2つのスキージ42と、移動ベース41に設けられて各スキージ42を移動ベース41に対して昇降させる2つの2つのスキージ昇降シリンダ43から成る。移動ベース41は印刷ヘッド移動機構17Kに駆動されてY軸方向に移動し、これにより各スキージ42がY軸方向に移動される。Y軸方向に並んで設けられた2つのスキージ42のうち、前方(
図4の紙面右側)に位置するものを前方スキージ42Fと称し、後方(
図4の紙面左側)に位置するものを後方スキージ42Rと称する。
【0023】
搬入コンベア14による基板2の搬送動作、基板保持移動機構12による基板2の保持及び移動動作、搬出コンベア15による基板2の搬送動作の各制御は、スクリーン印刷装置4が備える制御装置50(
図9)が行う。また、カメラ移動機構16Kによるカメラ16の移動動作、印刷ヘッド移動機構17Kによる印刷ヘッド17の移動動作、スキージ昇降シリンダ43による各スキージ42の昇降動作及びカメラ16の撮像動作の各制御も制御装置50が行う。カメラ16の撮像によって得られた画像データは制御装置50に送られ、制御装置50の画像処理部50a(
図9)において画像認識処理される。
【0024】
次に、上記構成のスクリーン印刷装置4の動作を説明する。スクリーン印刷装置4は、前方マスキング領域R1の第1種開口K1を用いて第1種電極2aにペーストPstを印刷(1次印刷)した後、後方マスキング領域R2の第2種開口K2を用いて第2種電極2bにペーストPstを印刷(2次印刷)する。
【0025】
上流工程側から基板2が投入されると、その基板2を搬入コンベア14が受け取り、基板保持部21に受け渡す。基板保持部21は、搬入コンベア14から受け取った基板2を位置決めコンベア31によって所定のクランプ位置に位置決めし、下受け部32により下方から支持したうえで、クランパ33によってクランプする(
図10(a)。図中に示す矢印A)。このようにして基板保持部21が基板2を保持したら、基板保持移動機構12は基板保持部21を移動させ、基板2を前方マスキング領域R1の下方に位置させる(
図10(b)。図中に示す矢印B1)。
【0026】
基板2が前方マスキング領域R1の下方に位置したらカメラ16が移動し、上方撮像部16aによって前方マスキング領域R1内のマスク側マーク13mを撮像し、下方撮像部16bによって基板側マーク2mを撮像する(
図11(a))。カメラ16による撮像が終了したら、基板保持移動機構12は、得られたマスク側マーク13mと基板側マーク2mが平面視において一致するように基板2を移動させたうえで上昇させ、前方マスキング領域R1に基板2を接触させる(
図11(b)。図中に示す矢印C1)。これにより各第1種電極2aは対応する第1種開口K1内と合致してマスク13の上面側に露出する。一方、各第2種電極2bはマスク13に覆われた状態となる(
図12(a)→
図12(b))。
【0027】
基板2が前方マスキング領域R1に接触したら、印刷ヘッド17は後方スキージ42Rを下降させて、その下端をマスク13の中間領域Rmに当接させる。そして、後方スキージ42Rを中間領域Rmから前方マスキング領域R1の前方の領域まで移動させることによって後方スキージ42Rを前方マスキング領域R1上で摺動させる(
図13(a)及び
図14(a)中に示す矢印D1)。後方スキージ42Rが前方マスキング領域R1の前方の領域まで移動したら、印刷ヘッド17は後方スキージ42Rを上昇させた後、今度は前方スキージ42Fを下降させて、その下端をマスク13に当接させる。そして、前方スキージ42Fを前方マスキング領域R1の前方の領域から中間領域Rmまで移動させることによって、前方スキージ42Fを前方マスキング領域R1上で摺動させる(
図13(b)中に示す矢印D2)。スキージ42の摺動によって各第1種開口K1内にペーストPstが充填されたら(
図14(a))、基板保持移動機構12は基板保持部21を下降させて(
図15(a)中に示す矢印C2)、版離れを行う。これにより基板2の各第1種電極2a上に前方マスキング領域R1のマスク13の厚さT1に対応した厚さのペーストPstの層が形成され(
図14(b))、1次印刷が終了する。
【0028】
1次印刷が終了したら、基板保持移動機構12は基板保持部21を移動させ、基板2を後方マスキング領域R2の下方に位置させる(
図15(b)中に示す矢印B2)。基板2が後方マスキング領域R2の下方に位置したらカメラ16が移動し、上方撮像部16aによって後方マスキング領域R2内のマスク側マーク13mを撮像し、下方撮像部16bによって基板側マーク2mを撮像する(
図16(a))。カメラ16による撮像が終了したら、基板保持移動機構12は、得られたマスク側マーク13mと基板側マーク2mが平面視において一致するように基板2を移動させたうえで上昇させ、後方マスキング領域R2に基板2を接触させる(
図16(b)。図中に示す矢印C1)。これにより各第2種電極2bは対応する第2種開口K2と合致してマスク13の上面側に露出する。一方、第1種電極2aに印刷されたペーストPstは後方マスキング領域R2に設けられた干渉回避用の窪みHの内部に収容される(
図17(a)→
図17(b))。なお、1次印刷の終了後、前方スキージ42Fは中間領域Rmに下端を当接させて停止したままである。
【0029】
上記窪みHは、後方マスキング領域R2に、第1種電極2aの配置に応じたパターンで(すなわち第1のパターンで)設けられており、基板2が後方マスキング領域R2に接触した際、第1種電極2aの上面に印刷されたペーストPstをすっぽりと収容する。このため2次印刷の際、1次印刷で第1種電極2aに印刷されたペーストPstがマスク13の下面に接触してしまうことが回避される。
【0030】
基板2がマスク13の後方マスキング領域R2に接触したら、印刷ヘッド17は、前方スキージ42Fを中間領域Rmから後方マスキング領域R2の後方の領域まで移動させることによって前方スキージ42Fを後方マスキング領域R2上で摺動させる(
図18(a)中に示す矢印E1)。前方スキージ42Fが後方マスキング領域R2の後方の領域まで移動したら、印刷ヘッド17は前方スキージ42Fを上昇させた後、今度は後方スキージ42Rを下降させて、その下端をマスク13に当接させる。そして、後方スキージ42Rを後方マスキング領域R2の後方の領域から中間領域Rmまで移動させることによって、後方スキージ42Rを後方マスキング領域R2上で摺動させる(
図18(b)及び
図19(a)中に示す矢印E2)。スキージ42の摺動によって各第2種開口K2内にペーストPstが充填されたら(
図19(a))、基板保持移動機構12は基板保持部21を下降させて、版離れを行う。これにより基板2の各第2種電極2b上に後方マスキング領域R2のマスク13の厚さT2に応じた厚さのペーストPstの層が形成され(
図19(b))、2次印刷が終了する。
【0031】
このようにスキージ42は、マスク13の前方マスキング領域R1を摺動して第1種開口K1にペーストPstを充填した後、前方マスキング領域R1と後方マスキング領域R2の間の中間領域Rmに停止し、その後、中間領域Rmから移動を開始して後方マスキング領域R2を摺動することによって、第2種開口K2にペーストPstを充填するようになっている。すなわち、スキージ42(詳細には前方スキージ42F)は、前方マスキング領域R1上での摺動動作と後方マスキング領域R2上での摺動動作との間でマスク13から離間しない。このためスムーズかつ効率よく、厚さの異なる2種の(2種の厚さの)ペーストPstを印刷できる。
【0032】
上記のようにして基板2上の各電極2D(第1種電極2a及び第2種電極2b)にペーストPstを印刷し、基板2の1枚当たりのスクリーン印刷が終了したら、基板保持移動機構12はクランパ33を開いて基板2の保持を解除する。そして、位置決めコンベア31を作動させて搬出コンベア15に受け渡し、搬出コンベア15は受け取った基板2を下流工程側の部品実装装置5に搬出する。
【0033】
図1において、部品実装装置5は、基板2を搬送して位置決めする基板搬送コンベア71、部品3を供給するパーツフィーダ72、パーツフィーダ72が供給する部品3を装着ヘッド73によってピックアップして基板搬送コンベア71により位置決めされた基板2に装着する装着機構74を備えている。部品実装装置5は、第1種電極2aにはチップ部品等の小型部品を装着し、第2種電極2bにはコネクタ等の大型の部品を装着する。部品実装装置5は、基板2に対する部品3の装着作業が終了したら、基板搬送コンベア71を作動させて、基板2を下流工程側に搬出する。このようにして部品実装ライン1により実装基板2Jが製造される。
【0034】
(第2実施形態)
図20は、本発明の第2実施形態におけるスクリーン印刷装置4を示している。第2実施形態におけるスクリーン印刷装置4は第1実施形態におけるスクリーン印刷装置4とスクリーン印刷時の動作とほぼ同じであるが、マスク13の構成が異なる。すなわち、第2実施形態におけるスクリーン印刷装置4のマスク13は、第1実施形態におけるマスク13において、中間領域Rmの上面が、前方マスキング領域R1の上面と後方マスキング領域R2の上面を接続する傾斜面13Sを備えたものとなっている(
図21も参照)。これにより前方マスキング領域R1の上面と後方マスキング領域R2の上面が滑らかに連接され、マスク13上におけるペーストPstの移動が滑らかとなるので、ペーストPstの掻き寄せ動作がスムーズになる。
【0035】
(第3実施形態)
図22は、本発明の第3実施形態におけるスクリーン印刷装置4を示している。第3実施形態におけるスクリーン印刷装置4も第1実施形態におけるスクリーン印刷装置4とスクリーン印刷時の動作とほぼ同じであるが、マスク13の構成が異なる。すなわち、第3実施形態におけるスクリーン印刷装置4では、前方マスキング領域R1の上面と後方マスキング領域R2の上面は同一平面であり、前方マスキング領域R1の上面高さと後方マスキング領域R2の上面高さは等しくなっている(
図23も参照)。このため第2実施形態の場合と同様、マスク13上におけるペーストPstの移動が滑らかとなり、ペーストPstの掻き寄せ動作がスムーズになる。
【0036】
図22及び
図23から分かるように、第3実施形態では、後方マスキング領域R2の下面高さは前方マスキング領域R1の下面高さよりも低く、両領域の段差はマスク13の下面側に形成されている。このため、基板2を前方マスキング領域R1に接触させるときには、後方クランパ33Rが前方マスキング領域R1内で接触するようにする(
図24(a))。また、基板2を後方マスキング領域R2に接触させるときには、前方クランパ33Fが後方マスキング領域R2内で接触するようにする(
図24(b))。第1実施形態及び第2実施形態では、基板2が前方マスキング領域R1に接触するときの高さと基板2が後方マスキング領域R2に接触するときの高さは同じであるが、第3実施形態では、基板2が前方マスキング領域R1に接触するときの高さと基板2が後方マスキング領域R2に接触するときの高さは段差の分だけ異なる。
【0037】
以上説明したように、前述の第1〜第3実施形態におけるスクリーン印刷装置4は、前方マスキング領域R1(第1の領域)に第1種開口K1(第1の開口)を有するとともに後方マスキング領域R2(第2の領域)に第2種開口K2(第2の開口)を有したマスク13を備えている。そして、基板2を前方マスキング領域R1に接触させた状態で第1種開口K1にペーストPstを充填し、次いで、基板2を後方マスキング領域R2に接触させた状態で、第2種開口K2にペーストPstを充填することによって、基板2に厚さの異なる2種のペーストPstを印刷することができる。すなわち1枚のマスク13が2枚のマスク相当の機能を有しており、用意するマスク13は1枚のみでよい。このため第1〜第3実施形態におけるスクリーン印刷装置4によれば、装置を大型化させることなく、厚さの異なる2種のペーストPstを印刷することができる。
【0038】
また、前述の第1〜第3実施形態では、印刷ヘッド17はマスク13上を摺動して第1種開口K1及び第2種開口K2にペーストPstを充填するスキージ42を備えたものであったが、印刷ヘッド17は必ずしもスキージ42を備えたものでなくてもよい。例えば、カートリッジに封入したペーストPstを吐出しながらマスク13上を移動して第1種開口K1及び第2種開口K2にペーストPstを充填するもの等であってもよい。この場合には、第1種開口K1へのペーストPstの充填の次に第2種開口K2へのペーストPstの充填を行うのであれば、印刷ヘッド17の移動方向は任意となる。更に、前述の第1〜第3実施形態では、厚さの異なる2つの領域(第1の領域と第2の領域)はマスク13の前後方向に並んで設けられていたが、これは一例であり、マスク13の前後方向以外の方向に並んで設けられているのであってもよい。