(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信回路は、前記焙煎機における焙煎時間と焙煎温度との関係を示す温度プロファイル、および、前記焙煎時間と前記焙煎機のファンの回転数との関係を示す回転数プロファイルを含む前記制御情報を前記焙煎機に送信する、請求項2に記載の端末装置。
前記処理回路は、前記情報コードから変換された識別情報と同じ識別情報を有する属性情報が前記記憶装置に格納されていない場合には、前記要求とともに、前記処理回路によって変換された前記所与の生豆の識別情報を送信する、請求項5に記載の端末装置。
前記処理回路は、前記情報コードから変換された識別情報と同じ識別情報を有する属性情報が前記記憶装置に格納されている場合には、前記出力装置から、前記所与の生豆の属性情報が存在する情報を出力する、請求項8に記載の端末装置。
前記通信回路は、前記データベースから、前記所与の生豆の情報を集約するサーバにアクセスするためのアクセス情報をさらに含む属性情報を受信し、前記アクセス情報に基づいて前記サーバにアクセスする、請求項2から12のいずれか1項に記載の端末装置。
前記各生豆の生産および焙煎に関連する付随情報として、各生豆の生産国、生産地、生産者、栽培環境、前記制御情報の作成者、前記作成者のコメントの情報の少なくとも一つを含む、請求項2から15のいずれかに1項に記載の端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、複数種類のコーヒーの生豆の情報を保持したデータベースを利用して、生豆の情報を取得する端末装置、および、この端末装置から受け取った情報に基づいてコーヒーの生豆を焙煎する焙煎機を説明する。以下では、コーヒーの生豆を単に「生豆」と記述する。
【0014】
図1は、本発明の例示的な生豆の流通システム1を示す。また
図2は、流通システム1に包含され得る、コーヒーの生豆に関する情報提供システム10を示す。
【0015】
流通システム1は、生豆業者、生豆提供業者、焙煎士および生豆購入者が関与する、生豆を流通させる仕組みである。本明細書では流通システム1の一部には、生豆に関する情報を提供するシステムも組み込まれている。情報の授受のため、流通システム1には種々の機器が含まれている。機器の例として、生豆提供業者が運用するデータベース(DB)サーバ100(以下、DBサーバ100と記す)および出荷サーバ150、ユーザが所有する端末装置200、および、ユーザおよび焙煎士がそれぞれ使用する焙煎機300である。
【0016】
生豆業者は、コーヒー豆を生産する農園を経営する生産者(企業または個人)である。
【0017】
生豆提供業者は、生豆業者から仕入れた生豆をユーザに提供する事業を行う企業または個人である。生豆提供業者は、国内または外国の他の生豆業者から生豆を購入して販売する者、または国外から生豆を直接輸入する者であり得る。
【0018】
生豆提供業者は、仕入れた生豆をユーザに販売する前に、焙煎の技能が優れた焙煎士に焙煎プロファイル2の作成を依頼する。焙煎プロファイル2とは、ユーザが所有する焙煎機300を制御するための制御情報である。焙煎プロファイル2は、たとえば、焙煎機300における焙煎時間と焙煎温度との関係を示す温度プロファイル、および、焙煎時間と、焙煎機300のファンモータの単位時間当たりの回転数との関係を示す回転数プロファイルを含む。典型的には、焙煎士およびユーザは同じ性能を有する焙煎機300を利用する。焙煎士は、焙煎機300を利用して、その生豆の焙煎に適切であると考える温度プロファイルおよび回転数プロファイルの組を決定する。
【0019】
生豆提供業者は、焙煎士から焙煎プロファイル2を受け取ってDBサーバ100の記憶装置に蓄積し、この焙煎プロファイル2をDBサーバ100によって管理する。なお、焙煎プロファイル2は複数種類の生豆の各々について作成され得るし、同じ生豆についても、複数作成され得る。
【0020】
生豆提供業者は、生豆をユーザに出荷する準備を行う。生豆提供業者の出荷サーバ150は、複数種類の生豆のうちでその生豆を一意に特定することが可能な識別情報を変換して情報コード5を生成する。たとえば、識別情報は商品番号であり、情報コード5はQRコード(登録商標。以下同じ。)であり得る。文字情報からQRコードを生成する技術は公知であるためその詳細な説明は省略する。
【0021】
なお、本明細書では生豆の情報コード5と識別情報とは異なるとして説明するが、異なることは必須ではない。たとえば識別情報をそのまま情報コード5として取り扱ってもよい。
【0022】
出荷サーバ150が情報コード5を生成すると、生豆提供業者は、出荷しようとする生豆の包装容器に情報コード5を付与する。たとえば生豆提供業者は、情報コード5を記載したシールを包装容器に貼付する。または、生豆提供業者は、包装容器に情報コード5を印刷する。その後生豆提供業者は、この包装容器にその生豆を封入してユーザに送付する。
【0023】
次に
図2を参照する。
図2には異なるユーザAおよびユーザBが示されている。説明の重複を避けるため、以下ではユーザAについてのみ説明するが、ユーザBにも同様の説明が適用され得る。
【0024】
図2は、情報提供システム10において、ユーザAの端末装置200が、生豆の包装容器に付与された情報コード5から抽出した生豆の識別情報4に基づいて、その生豆の属性情報を取得する処理の流れを示す。
【0025】
ユーザは受領した生豆の包装容器の情報コード5を、所有する端末装置200を用いて読み取る。たとえば端末装置200はカメラ付きスマートフォンである。ユーザは端末装置200のカメラで情報コード5を撮影(読み取り)し、読み取った情報コード5から識別情報4を抽出する機能を有する。たとえば、端末装置200の信号処理回路(信号処理プロセッサまたはCPU)がアプリケーション・プログラムを実行して、読み取った情報コード5から識別情報4を抽出する。または、端末装置200の専用の処理回路(DSP)が読み取った情報コードから識別情報4を抽出する。
【0026】
端末装置200は得られた識別情報4を、通信ネットワーク9を介して生豆提供業者のDBサーバ100に送信し、その生豆の属性情報6の送信を要求する。通信ネットワーク9は、たとえばインターネットである。
【0027】
属性情報6は、その生豆の1または複数の焙煎プロファイル2を含む。DBサーバ100は、焙煎プロファイル2とともに予め格納していたその生豆の属性情報6を、通信ネットワーク9を介してユーザの端末装置200に送信する。端末装置200は属性情報6を受信する。
【0028】
ユーザの端末装置200は、取得した属性情報6から焙煎プロファイル2を抽出し、自己が所有する焙煎機300に送信する。焙煎機300は焙煎プロファイル2を受信して、焙煎動作の開始前に制御情報として焙煎プロファイル2を設定する。これにより、焙煎機300は、その生豆を焙煎士が焙煎したと同じ条件で焙煎を行う。焙煎が終了すると、ユーザは焙煎プロファイル2に従って焙煎された豆8aを得ることができ、それをグラインドして、コーヒーを楽しむことができる。
【0029】
焙煎作業は、生豆ごとに温度管理、送風管理、時間管理を別個独立して適切に行わなければならないため、一般人が満足のゆく焙煎を行うためには時間と労力が必要である。たとえば温度管理に関しては、焙煎開始直後の初期に温度が1℃異なると焙煎後のコーヒーの風味が大きく変わると言われる。
【0030】
本実施の形態では、焙煎士が決定した焙煎プロファイルを用意し、ユーザが所有する端末装置200から焙煎プロファイルを焙煎機300に設定する。これにより、手軽に、かつ適切な焙煎を行うことができ、生豆を焙煎する作業を通じてユーザの満足感を向上させることができる。
【0031】
また、後述のように、属性情報6には、焙煎プロファイル2の他、種々の情報が含まれる。種々の情報の例は、その生豆の生産地、生産者、焙煎士に関する情報(具体的には、農薬証明、輸出入事項(業者、日付)、パッケージ日(製造日)が含まれる)である生豆に関する付随情報、サーバに接続するためのアクセス情報、複数の焙煎プロファイルが含まれる場合に焙煎士が特におすすめする焙煎プロファイルを示す優先度情報である。ユーザは、端末装置200を利用してこれらの情報を参照することができる。これにより、ユーザはその生豆について深く知ることができ、より深くコーヒーを愉しむことができる。
【0032】
以下、
図3〜
図6を参照しながら、DBサーバ100、端末装置200および焙煎機300のハードウェア構造を説明する。なお、出荷サーバ150のハードウェアの構成の説明は省略する。その理由は、出荷サーバ150のハードウェア構成は、データベースを除いては、DBサーバ100と同等だからである。そのようなハードウェア構成により、出荷サーバ150は本明細書で説明する動作を行えばよい。ただし、DBサーバ100が、上述した出荷サーバ150の動作を行うことにより、出荷サーバ150を省略してもよい。
【0033】
図3は、生豆提供業者が運用するDBサーバ100のハードウェア構成図である。DBサーバ100は、信号処理回路(以下「CPU」と呼ぶ。)101と、通信回路102と、メモリ103とを有するコンピュータシステムである。CPU101、通信回路102およびメモリ103は通信バス104に接続され、相互にデータを送受信できる。通信回路102は、たとえば、イーサネット(登録商標。以下同じ。)規格の有線接続の通信を行う。
【0034】
メモリ103には、図示されない不揮発性メモリから読み出されたコンピュータプログラム103aが読み出されて展開されている。コンピュータプログラム103aは、たとえば、プロファイルデータベース(DB)の構築用プログラム、プロファイルDBの管理プログラム、および、後述する、出荷サーバ150および端末装置200と通信を行って所定の処理を実行する処理プログラムである。CPU101はこれらのコンピュータプログラムを実行することにより、後述する通信および処理を行う。
【0035】
またDBサーバ100には、プロファイルデータベース(DB)110(以下、プロファイルDB110と記す)が接続されている。図示されない通信インタフェースを介して、プロファイルDB110もまたバス104に接続され、CPU101等によってプロファイルDB110の検索、更新等が行われ得る。なお、プロファイルDB110はDBサーバ100内に設けられてもよい。
【0036】
DBサーバ100の動作の詳細は、後に説明する。
【0037】
図4は、ユーザ端末装置200および焙煎機300のハードウェア構成図である。
【0038】
端末装置200は、信号処理回路(以下「CPU」と記す)201と、無線通信回路202と、入力インタフェース(I/F)装置203と、メモリ204と、画像処理回路205と、ディスプレイ207と、カメラモジュール207と、ストレージ208と、スピーカ209とを有するコンピュータシステムである。たとえば、端末装置200はスマートフォンまたはタブレット型コンピュータである。端末装置200の上述の構成要素は通信バス210に接続され、相互にデータを送受信できる。
【0039】
本実施の形態では、通信回路202は、複数の通信規格の通信を行うことが可能であるとする。たとえば無線通信回路202は、通信会社が提供する通信方式(たとえばCDMA通信)での通信、Wi−Fi(登録商標。以下同じ。)規格の通信、および、Bluetooth(登録商標。以下同じ。)規格の通信を行うことが可能である。一例として、前二者はDBサーバ100との通信に利用され得る。Bluetooth規格の通信は、焙煎機300との通信に利用され得る。
【0040】
入力I/F装置203は、ユーザが指令を端末装置200に入力するための装置である。本実施の形態では、入力I/F装置203は、ディスプレイ206に重畳して設けられたタッチスクリーンパネルであるとする。ただし、タッチスクリーンパネルは入力I/F装置203の一例である。入力I/F装置203は、物理ボタンであってもよい。または、入力I/F装置203は、マイクおよび音声認識回路によって構成されてもよい。入力I/F装置203は、ユーザの音声を認識して端末装置200への指示を入力する。
【0041】
メモリ204には、図示されない不揮発性メモリから読み出されたコンピュータプログラム204aが展開されている。コンピュータプログラム204aは、たとえば生豆提供業者によって提供され、生豆提供業者が端末装置200に実行させたい処理手順が記述されている。たとえば、コンピュータプログラム204aは、CPU201の指示によってカメラモジュール207を起動させ、情報コードを撮影させて、CPU201に情報コードから生豆の識別情報を抽出させる。そしてコンピュータプログラム204aは、CPU201にDBサーバ100と通信させ、DBサーバ100から生豆の属性情報を受信させ、ディスプレイ206に文字および画像を表示させる。このとき、画像処理回路205に表示のための処理を行わせることもある。さらにコンピュータプログラム204aは、CPU201に、受信した属性情報をストレージ208に格納させる。
【0042】
画像処理回路205は、ディスプレイ206に文字、図形等を表示するための演算を行う回路である。
【0043】
ディスプレイ206は出力装置の一例である。ディスプレイ206は、たとえば液晶表示パネル、または有機ELパネルであり、画像処理回路205の演算結果に基づいて、文字および/または画像を表示する。
【0044】
カメラモジュール207は、いわゆる撮像装置の一例である。カメラモジュール207は、たとえば、一枚または複数枚のレンズ、このレンズを光軸方向に移動させるアクチュエータおよび撮像素子を含む。本実施の形態では、カメラモジュール207はQRコードを読み取るために利用される。
【0045】
ストレージ208は、たとえば不揮発性のフラッシュメモリであり、端末装置200が取得した生豆の属性情報等が記憶される。
【0046】
スピーカ209は出力装置の一例である。本実施の形態では、スピーカ209は、生豆に関する説明を音声によって出力する。この説明は、生豆の生産地、生産者、焙煎士に関する説明であり付随情報として予め用意されている。
【0047】
端末装置200の動作の詳細は後述する。
【0048】
焙煎機300は、マイクロコントローラ(以下「マイコン」と記述する。)301と、無線通信回路302と、メモリ303と、ファンモータ304と、ヒータ305とを有している。焙煎機300の上述の構成要素は通信バス307に接続され、相互にデータを送受信できる。
【0049】
本実施の形態では、通信回路302は、Bluetooth規格の通信を行うことが可能であるとする。無線通信回路302は、端末装置200の無線通信回路202とこの規格の通信を行うことができる。
【0050】
なお、
図4に示す焙煎機300の構成は、主としてマイコン301が制御する構成要素を示しているに過ぎない。焙煎機300の構造の詳細は、後に
図5および
図6を参照しながら説明する。
【0051】
マイコン301は無線通信回路302を介して端末装置200と通信し、端末装置200から焙煎プロファイル2を受信して、一時的にメモリ303に格納してストレージ306に蓄積する。そしてマイコン301は、焙煎プロファイル2を利用した焙煎動作時に、ファンモータ304の回転速度(単位時間当たりの回転数。以下「回転数」と略記する。)を制御し、さらにヒータ305の温度を制御する。
【0052】
図4のマイコン301は、予め所定の動作を行うよう、マイコン301内部のEEPROM(図示せず)にコンピュータプログラムが予め記憶されている。マイコン301は内部のバッファおよびレジスタを利用してそのコンピュータプログラムを実行する。なお、DBサーバ100および端末装置200の例と同様、焙煎機300においてもメモリ303に展開されたコンピュータプログラムを、マイコン301が実行してもよい。
【0053】
図5は、焙煎機300の外観図である。また、
図6は、焙煎機300内部の構成を示す透視図である。焙煎機300は、高温の熱風によって生豆を焙煎する、熱風式焙煎機である。
【0054】
焙煎機300は、焙煎開始/停止スイッチ310と、豆排出スイッチ311と、状態表示LED312と、電子回路基板313と、生豆投入カップ314と、排気口315と、容器316を有する。なお焙煎機300には主電源をオン/オフするスイッチ(図示せず)が設けられてもよい。
【0055】
焙煎開始/停止スイッチ310は、予熱を開始するためにユーザによって押下される。または、焙煎開始/停止スイッチ310は、焙煎中に加熱を停止するためにユーザによって押下される。なお、上述の操作によれば、焙煎開始/停止スイッチ310は、予熱開始/焙煎停止スイッチと表されてもよいが、予熱も焙煎の一部として捉えて、焙煎開始/停止スイッチと表した。
【0056】
豆排出スイッチ311は、焙煎後の豆を容器316に排出するためにユーザによって押下される。状態表示LED312は、焙煎機300に電源が投入され、焙煎機300が焙煎プロファイル2を受信するまでの間は、たとえば緑色に点灯し、焙煎プロファイル2を受信した後は、たとえば赤色に点滅する。また、状態表示LED312は、予熱中にはたとえば赤色に点灯し、焙煎中にはたとえば橙色に点滅する。
【0057】
電子回路基板313は、種々の電子回路が搭載されている。たとえば電子回路基板313上には、
図4に示すマイコン301、無線通信回路302、メモリ303、ストレージ306および通信バス307が設けられている。
【0058】
生豆投入カップ314は、ユーザが生豆を投入する開口を有する空間であり、焙煎機300内部の焙煎釜(後述)に導通する。排気口315は、焙煎中の高温空気を排出する内部ダクトの開口である。容器316は、焙煎後にユーザによって豆排出スイッチ311が押下された際、排出された豆を受ける。
【0059】
図6を参照し、焙煎開始から終了までの動作を説明しながら焙煎機300の内部の構成を説明する。なお焙煎開始に先立って、焙煎機300には所定の焙煎プロファイル2が設定されているとする。ユーザは、規定量の生豆を、生豆投入カップ314にセットする。そして、主電源がオンされている状態で、ユーザが焙煎開始/停止スイッチ310を押下すると、焙煎機300は焙煎釜322の予熱を開始し、所定の予熱時間を経て焙煎釜322を所定温度まで加熱する。
【0060】
予熱が完了すると、焙煎機300は状態表示LED312とディスプレイ206とに、予熱が完了したことを表示する。ユーザは、それを確認して生豆投入カップ314を開き、生豆を焙煎釜322へ落下させる。このとき、生豆投入カップ検知センサ312cが生豆の投入を検知する。さらにユーザが生豆投入カップ314を閉じると焙煎工程が開始される。マイコン301は、電源基板320に搭載されたACDCコンバータを動作させてファンモータ304を回転させ、ヒータ305による加熱を開始する。ファンモータ304の回転により、焙煎機300本体下面の吸気口330から空気が吸い込まれ、ヒータ305によって加熱される。加熱された熱風は、熱風吐出口331を通って焙煎釜322に強い風量で送り込まれる。熱風は焙煎釜322内に熱対流を生じさせる。生豆は熱対流によって焙煎釜322内で撹拌され、それにより均一に焙煎が進行する。
【0061】
焙煎釜322の熱風の一部は、焙煎釜322から排出され、内部通路332および333を経て、排気口315から排気される。このとき、風量センサ321bによって風量が計測される。風量は、ファンモータ304の回転速度に比例する。風量センサ321bの出力値に基づいて、マイコン301は、ファンモータ304が正常に回転しているか否かを判定することができる。
【0062】
ヒータ305の近傍には温度センサ312aが設けられる。また、内部通路333と排気口315の間にも温度センサ323が設けられる。温度センサ312aはヒータ305の温度を検知し、温度センサ323は排気熱の温度を検知する。温度センサ312aおよび323の少なくともいずれかの出力値に基づいて、マイコン301は、ヒータ305が正常に動作しているか否かを判定することができる。
【0063】
焙煎機300には、容器316が存在するか否かを検出する容器検知センサ321dが設けられている。たとえば、容器検知センサ321dは、容器316が存在する場合にはハイレベルの電圧信号を出力し、存在しない場合にはローレベルの電圧信号を出力する。
【0064】
焙煎が終了するとマイコン301はヒータ305を停止させる。ユーザが豆排出スイッチ311を押下すると、マイコン301は容器検知センサ321dの出力値がハイレベルである場合にのみ焙煎された豆を排出する。豆の排出は、マイコン301がファンモータ304を高速に回転させて風の力により豆を吹き飛ばすことにより行われる。豆は、内部通路332および323を経て、さらに内部通路334を通って容器316内に排出される。なお、焙煎開始時および焙煎中も、容器検知センサ321dの出力値がハイレベルでなければならない、という条件を課してもよい。
【0065】
なお、生豆投入カップ検知センサ312c、または、風量センサ321bは、それぞれ、必須の構成要素ではなく、省略してもよい。
【0066】
焙煎機300は、焙煎プロファイル2に示される温度および風量で生豆を焙煎する。以下では、本実施の形態による、焙煎プロファイル2を含む属性情報に関連する処理を説明する。
【0067】
図7は、DBサーバ100による、属性情報テーブルを生成する手順を示す。属性情報テーブルは、複数のテーブルが、ある1つのキー(主キー)によって関連付けられたデータベースである。
【0068】
本実施の形態では、主キーは「生豆コード」によって関連付けられる。「生豆コード」は、生豆を一意に特定することができる識別情報である。生豆コードは、品種、生産地等が異なる場合に別個のコードが割り当てられる。さらに生豆コードは、品種、生産地、生産農園等が完全に一致していても収穫時期が異なる場合には別個のコードが割り当てられる。
【0069】
まずステップS10において、DBサーバ100のCPU101は生豆提供業者が取り扱う生豆ごとに生豆コードを発行する。CPU101は、生豆の生産国、生産地、農園、生産者、収穫時期が異なる場合には異なる生豆コードを発行する。
【0070】
続くステップS11からS13までの処理は、生豆提供業者に入力された各種のテーブルを、属性情報を生成するためにCPU101が用意する工程である。
【0071】
ステップS11において、CPU101は、生豆ごとに制御情報テーブルを用意する。制御情報テーブルには焙煎プロファイルを示す情報(制御情報)が格納される。1つの生豆に複数の焙煎プロファイルが存在する場合には制御情報テーブルは、おすすめの焙煎プロファイルを示す優先度情報を含む。さらに制御情報テーブルには、焙煎プロファイルを決定した焙煎士のコメント、各々の焙煎プロファイルによる焙煎時間の情報を含んでもよい。下記表1は、複数の生豆ごとの制御情報と優先度情報とが記述された制御情報のテーブルを示す。
【0073】
図8および
図9は、異なる焙煎プロファイル2(
図1、
図2)の例を示す。横軸は焙煎時間tを示し、縦軸は、焙煎温度およびファンモータ304の回転数を示す。焙煎プロファイルは、焙煎機300による各生豆の焙煎方法を示す制御情報である。焙煎プロファイルは、焙煎機300における焙煎時間と焙煎温度との関係を示す温度プロファイル、および、焙煎時間とファンモータ304の回転数との関係を示す回転数プロファイルを含む。
【0074】
図8および
図9に示す2つの焙煎プロファイルは、時刻t
1までは温度変化は同じであるが、時刻t
1以降は異なっている。またファンモータ304の回転数については当初の時刻t
0から異なっていることが理解される。
【0075】
このように焙煎時の温度および風量の各条件が異なる理由は、たとえば生豆の特徴および目標とする焙煎の程度が異なるためである。「生豆の特徴」とは個々の生豆の大きさ、水分含有量、各種炭水化物、酸、脂質、アミノ酸、たんぱく質、カフェイン、クロロゲン酸等を言う。「焙煎の程度」とは、浅煎り、中煎り、深煎りである。
【0076】
本実施の形態では、制御情報テーブルには、生豆ごとに、焙煎の程度が異なる少なくとも3つの焙煎プロファイル、つまり、浅煎り用、中煎り用、深煎り用の3つの焙煎プロファイルが格納される。
【0077】
なお、焙煎の程度は、浅煎りから深煎りに向かって、順に、ライトロースト、シナモンロースト、ミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、イタリアンロースト、フレンチロースト、のようにさらに細分化され得る。
【0078】
焙煎機300は
図8および
図9に示す焙煎プロファイルに沿うよう、温度およびファンモータ304の回転数を制御する。温度は、温度センサ312aと323の少なくともいずれかの出力値に基づいて、マイコン301が、ヒータ305への入力を調整することにより、制御される。
【0079】
なお、
図8および
図9に示す波形は、理解の便宜のため連続関数で示した。しかしながら実際には、焙煎開始時刻を基準とした経過時刻ごとに温度および回転数が示されたデータ列として用意され得る。表1に示す「プロファイルNo」は、焙煎プロファイルのデータ列が格納されたデータファイルのファイル名、またはそのデータファイルへのポインタであり得る。
【0080】
ステップS12において、CPU101は、生豆ごとに、付随情報のテーブルを用意する。付随情報は、各生豆の生産国、生産地、生産者、栽培環境、制御情報の作成者である焙煎士の氏名、焙煎士のコメントの情報の少なくとも一つを含む。付随情報は1つテーブルに纏められていなくてもよい。たとえば表2は生産者テーブルの例を示し、表3は焙煎士情報テーブルの例を示す。
【0082】
表2の生産者テーブルには、生豆の生産国名、生産地、農園名、生産者名および栽培環境が記述され、それらは生産者に固有に付与される生産者コードに紐付けられる。
【0084】
表3の焙煎士テーブルには、焙煎士の氏名および所属が記述され、それらは焙煎士に固有に付与される焙煎士コードに紐付けられる。
【0085】
次のステップS13において、CPU101は、生豆ごとに、サーバに接続するためのアクセス情報(URL等)のテーブルを用意する。表4はアクセス情報テーブルの例を示す。
【0087】
表4のアクセス情報テーブルには、アクセス情報として、たとえば、通信ネットワーク9上でDBサーバ100を特定するアドレス(URL)が記述される。アクセス情報は、たとえば購入した生豆についてユーザがレビュー文を投稿したり、他のユーザが投稿したレビューを読むためにDBサーバ100上で運営されているコミュニティサイトのURLであり得る。
【0088】
ステップS14において、CPU101は、生豆コードを主キーとして属性情報テーブルを生成する。表5は属性情報テーブルの例を示す。
【0090】
以上の処理により、DBサーバ100は属性情報テーブルを生成することができた。
【0091】
次に、
図10〜
図14を参照しながら、流通システム1(
図1参照)および情報提供システム10(
図2参照)で行われる処理を説明する。
図10には、生豆が発送され、生豆を受領したユーザがその生豆の属性情報を取得するまでの処理が示されている。
【0092】
図10は、端末装置200、出荷サーバ150およびDBサーバ100の各機器間で行われる通信、および、各機器の処理の手順を示す。図面の左右方向の矢印が、端末装置200、出荷サーバ150およびDBサーバ100が行う通信を示している。一方、図面の上から下に向かう方向は時間が経過する方向を示しており、各機器の処理の順序を示している。
【0093】
ステップS20において、出荷サーバ150は、ユーザに発送する生豆を、たとえば製品名によってユーザ毎に特定する。出荷サーバ150は、特定した生豆の製品名をDBサーバ100に送り、この生豆の識別情報(生豆コード)の送信を要求する。
【0094】
ステップS21において、DBサーバ100のCPU101は、出荷サーバ150から生豆の製品名を受信し、さらに生豆コードの送信要求を受信する。CPU101は属性情報テーブル(表5)を参照して、受信した生豆の製品名に対応する生豆コードを読み出す。CPU101は、出荷サーバ150に生豆コードを送信する。
【0095】
ステップS22において、出荷サーバ150は、生豆コードを受信して生豆コードから情報コードを生成する。
【0096】
ステップS23において、出荷サーバ150は、生豆の包装容器に情報コードを付与し、生豆の発送を、たとえば自動化された発送システム(図示せず)に指示する。これにより、生豆が封入され、情報コードが付与された包装容器が小包としてユーザに発送される。
【0097】
ユーザは生豆提供業者が発送した生豆の小包を受け取る。
【0098】
ステップS24において、端末装置200のCPU201は、包装容器に付与された情報コードを端末装置200で読み取って生豆コードを取得する。
【0099】
ここで、ユーザによる端末装置200の操作例を説明する。ユーザは、生豆提供業者から提供されたアプリケーション・プログラムを端末装置200にインストールしているとする。生豆を受け取ったユーザは、アプリケーション・プログラムを実行する。アプリケーション・プログラムは、初めて使用するユーザにログイン情報(たとえばログインIDおよびパスワード)の入力を求めてもよい。
【0100】
図11は、アプリケーション・プログラムがユーザ端末装置200のディスプレイ206に表示する情報の例を示す。ディスプレイ206には、ユーザが操作可能なボタン21が表示されている。ボタン21は、初めて届いた生豆に関する項目を作成するためのボタンである。ユーザは、表示されたディスプレイ206のボタン21にタッチする。すると入力I/F装置203が入力した位置を認識してCPU201に伝える。CPU201は、ボタン21が選択されたとして情報コードの読み取り処理を実行する。
【0101】
図12は、カメラモジュール207によって読み取られ、ディスプレイ206に表示された情報コード5の例を示す。図示された例では、情報コード5はQRコードである。CPU201は、公知の処理により、QRコードから生豆の識別情報(生豆コード)を抽出する。ただし、生豆コードはユーザにとって有意義な情報とは言えない場合が多い。そのため、情報コードには、生豆コードの他にその生豆の製品名を含めておき、その製品名をディスプレイ206に表示し、ユーザに通知してもよい。
【0102】
図13は、ディスプレイ206上に表示された商品名の通知22と、その生豆の属性情報をダウンロードするために表示されたボタン23を示す。ユーザは、通知22により、その生豆の製品名が「ブラジル パライーソ」であることを知ることができる。そして、その生豆の情報をダウンロードしたい場合には、ユーザはボタン23にタッチして「ダウンロード」を選択する。一方、ダウンロードする必要がない場合には、ユーザはキャンセルボタン24にタッチする。
【0103】
なお、情報コードが表す情報は生豆コードでなくてもよい。他の例は、その生豆の属性情報を格納したDBサーバ100のアドレス情報(たとえばURL)である。CPU201が情報コードをアドレス情報に変換することにより、端末装置200の無線通信回路202は、このアドレス情報に従ってDBサーバ100にアクセスすることができる。
【0104】
CPU201は、ユーザの操作により、生豆の属性情報のダウンロードを行う処理を実行する。具体的には、CPU201は、生豆コードをDBサーバ100に送信してその生豆の属性情報の送信を要求する。または、情報コードから取得されたアドレス情報を用いてDBサーバ100にアクセスし、その生豆の属性情報の送信を要求する。
【0105】
図10のステップS25において、DBサーバ100のCPU101は、属性情報テーブル(表5)を参照して、受信した生豆コードに対応する生豆の属性情報を抽出する。CPU101は、抽出した属性情報を、この属性情報の送信を要求してきた端末装置200に送信する。端末装置200はその属性情報を受信し、ストレージ208に格納する。
【0106】
本実施の形態では、ストレージ208に格納される属性情報には、浅煎り用、中煎り用、深煎り用の3つの焙煎プロファイルが含まれる。これによれば、ユーザは、焙煎の程度の異なる焙煎プロファイルを一括してストレージ208に格納できるので、ユーザの利便性が向上する。
【0107】
以上の処理により、ユーザの端末装置200は、配達されたその生豆の属性情報を取得することができた。
【0108】
図14は、生豆の属性情報のダウンロードが完了した後にディスプレイ206上に表示されたボタン25を示す。後述のように、ボタン25にタッチすると、属性情報に基づいてユーザはその生豆の生産地等を確認でき、また、その生豆を焙煎するための焙煎プロファイルを焙煎機300に送信することができる。
【0109】
次に、端末装置200から焙煎機300への焙煎プロファイル送信処理を説明する。
【0110】
図15は、焙煎機とユーザ端末装置との間で行われる通信と、焙煎機およびユーザ端末装置の各々の処理の手順を示す。なお、
図15には、情報コードを読み取った後、その生豆コードに対応する属性情報が既に保存されていたときの処理の例も示されている。
【0111】
ステップS24において、端末装置200のCPU201は、包装容器に付与された情報コードを端末装置200で読み取って生豆コードを取得する。なお、ステップS24は、
図10のステップS24と同じである。
【0112】
ステップS30において、CPU201は、生豆コードに対応する属性情報がストレージ208に存在するか否かを判定する。たとえばCPU201は、取得した生豆コードと同じ生豆コードを有する属性情報が存在するか否かを判定する。生豆コードに代えて製品名を用いることもできる。
【0113】
取得した生豆コードと同じ生豆コードを有する属性情報が存在しない場合には、
図10と同じ処理を行い属性情報を受信すればよい。そしてステップS31において、CPU201は生豆コードに対応付けて属性情報をストレージ208に記憶する。
【0114】
一方、取得した生豆コードと同じ生豆コードを有する属性情報が存在する場合には、処理はステップS32に進む。
【0115】
ステップS32において、CPU201は、最新の情報に更新するか否かをユーザに確認する。
【0116】
図16は、ユーザ端末装置200のディスプレイ206に表示される、属性情報を更新するか否かを問い合わせる表示30の例を示す。表示30には、商品名と、既にダウンロードが完了していることを示す説明が含まれている。ユーザは、最新の情報に更新したいときはボタン31にタッチする。CPU201は、生豆コードをDBサーバ100に送信し、ステップS31の処理を行う。
【0117】
図17は、ユーザ端末装置200のストレージ208のデータ構造の一例を示す。生豆コードに相当するIDとして「BDC−0001」の属性情報35および36が併存している。ただし属性情報35が入手されたタイムスタンプ35aと、属性情報36が入手されたタイムスタンプ36aとは異なっており、属性情報36の方がより新しい。本実施の形態では、属性情報が更新される、とは、最新の属性情報を取得する、という意味でのみ用いている。属性情報の書き換えは行われず、タイムスタンプが異なる、別個のデータファイルとして管理されている。なお、タイムスタンプは、端末装置200によって属性情報が受信された時刻であってもよいし、ストレージ208に書き込まれた時刻であってもよい。なお、端末装置200は、属性情報が更新されると、元のデータファイルを書き換えてもよい。
【0118】
図15のステップS33以降は、焙煎機300に制御情報を送信する処理に関する。
【0119】
ステップS33において、端末装置200のCPU201は、生豆コードに対応する属性情報から、制御情報(焙煎プロファイル)、優先度情報等を抽出して、ユーザに焙煎方法の選択を促すための通知を表示する。
【0120】
図18は、ユーザ端末装置200のディスプレイ206に表示される通知例を示す。ディスプレイ206には、生豆の商品名に関する通知40と、その生豆の詳細を表示させるためのボタン41が示されている。ユーザがボタン41にタッチすると、CPU201は、属性情報から生産地、農園名、生産者名、栽培環境等を抽出して表示する。
図19は、ディスプレイ206に表示された豆の詳細の説明50を示す。
図19には示されていないが、生産地の情報に緯度経度の情報を含めておき、
図19には示していない世界地図をディスプレイ206に表示するとともに、その生産地の緯度経度の情報に基づいて表示されたディスプレイ206の世界地図上に生産地をプロットすることにより、生産地の位地を視覚的に訴える構成としてもよい。
【0121】
また、
図18に示されるように、ディスプレイ206には、複数の焙煎方法を示す通知42と、焙煎士が薦める焙煎方法であることを示す通知43と、現在選択されている焙煎方法の詳細の通知44とが表示される。
【0122】
本実施の形態では、複数の焙煎方法を示す通知42は、ユーザに焙煎の程度を選択させるためのものである。ユーザは、浅煎り、中煎り、深煎りの3つの焙煎の程度を選択できる。
【0123】
ユーザが通知42に表示された別の焙煎方法のタブにタッチすると、CPU201は、通知44を、その焙煎方法に対応する説明に切り換える。ユーザは通知43を参考にしてどの焙煎方法を選択するかを決定することができる。なお、通知43は属性情報の優先度(表5)によって特定される。好みの焙煎方法を決定すると、ユーザは、送信ボタン45にタッチする。
【0125】
ステップS34において、CPU201は、送信ボタン45へのタッチを、選択された焙煎方法に対応する制御情報の送信指示として受け付ける。CPU201は選択された焙煎方法に対応する制御情報(焙煎プロファイル)を焙煎機300に送信する。
【0126】
なお、CPU201は選択された焙煎方法に対応する制御情報(焙煎プロファイル)のみを焙煎機300に送信することが望ましい。例えば、ストレージ208に格納された、浅煎り用、中煎り用、深煎り用の3つの焙煎プロファイルのうち、
図18において、選択された焙煎の程度である、中煎りに対応する中煎り用の焙煎プロファイルのみが、焙煎機300に送信される。これによれば、メモリ303またはストレージ306の容量を削減できるため、焙煎機300を低コストで提供できる。
【0127】
ステップS35において、焙煎機300のマイコン301は、制御情報を受信して、ストレージ306に記憶する。さらにマイコン301は、受信した制御情報をマイコン301の動作パラメータとして設定する。マイコン301は、動作パラメータに応じてファンモータ304およびヒータ305に流すべき電流値を決定するためのテーブル、関数またはプログラムを予め保持している。マイコン301は、動作パラメータが設定されると、その動作パラメータにしたがって生豆を焙煎することができる。
【0128】
ステップS37において、焙煎機300のマイコン301は、設定した動作パラメータに従って焙煎を開始する。
【0129】
上述の実施の形態では、コーヒー生豆を焙煎する態様を説明したが、これは一例である。上述の説明は、たとえばアーモンド、クルミ等のナッツ類、または茶葉の焙煎を行う焙煎機と、その焙煎機に制御情報を送信する端末装置にも適用され得る。
【0130】
また、上述の実施の形態では、情報コード5はQRコードであり得るとして説明したが、バーコード(JANコード)であってもよい。また、実施の形態では、情報コード5は端末装置200のカメラで撮影されて、光学的に読み取られると説明したが、他の態様を採用し得る。たとえば情報コード5を磁気テープ等に記録し、端末装置200が磁気ヘッドを用いて磁気的に情報コード5を読み取ってもよい。あるいは、情報コード5を無線通信タグの記憶装置(たとえばフラッシュメモリ)に記録し、端末装置200が無線通信によって情報コード5を読み取ってもよい。
【0131】
次に、
図1にて触れた、生豆提供者がユーザに出荷する生豆の包装容器および包装容器に貼付するシールについて
図20を用いて説明する。図に示すように生豆を収納した包装容器61には情報コード5であるQRコード5aを表示した筒状のシール62が包装容器61の外周を全て囲むように貼付してある。シール62は、その内周を包装容器61の外周より大きく形成するとともに、QRコード5aを表示したシール表面62aとシール表面62aに対向するシール裏面62bからなる。シール表面62aには情報コード5であるQRコード5aの他、生豆の種類、生産地情報などを比較的大きな文字を含めて記載するとともに、シール表面62aのQRコード5aのほぼ同じ高さに位置する生豆情報5bが表示されている。さらにQRコード5aや生豆情報5bの上方には、生豆の種類などが生豆情報5bの大きな文字と比較して小さな文字で記載された生豆簡易情報5cが表示されている。QRコード5aをスマートフォンまたはタブレット型コンピュータなどの端末装置(図示せず)で読み取るときに、QRコード5aとほぼ同じ高さに位置する生豆情報5bが、QRコード5aに近づけた端末装置に隠れてユーザから見えなくなる場合がある。生豆簡易情報5cが表示されていない場合、ユーザは端末装置のディスプレイに表示された生豆に関する情報が、包装容器61に収納されている生豆に関する情報であるのかどうか確認するために、端末装置のディスプレイに表示された生豆に関する情報を覚えたり、メモに書いたりした後、生豆情報5bが見えるように端末装置を動かして生豆情報5bと覚えたり、メモに書いたりした生豆に関する情報を見比べなければならない。生豆簡易情報5cをQRコード5aや生豆情報5bの上方に表示したことにより、QRコード5aに端末装置を近づけても端末装置によって生豆簡易情報5cが隠れないので、ユーザは端末装置のディスプレイに表示された生豆に関する情報と生豆簡易情報5cを、端末装置を動かさずに見比べることができる。そのため、焙煎プロファイルの取得作業が容易に、かつ間違いなく行うことができる。
【0132】
シール62は包装容器61に接着固定されているが、シール62が包装容器61に接着固定されているのは例えばシール裏面62bの一部であり、シール表面62aは包装容器61に接着固定されていない。
図20ではシール裏面62bが包装容器61に接着固定されている部分を接着部Aとして示す。そして接着部X以外では包装容器61とシール62は離れていて、隙間Yが形成される。
【0133】
また、シール表面62aとシール裏面62bの境目には、シール62の上端から下端にかけて形成された2本のミシン目63あり、2本のミシン目63を切ることによりシール表面62aとシール裏面62bを分離することができる。しかもシール表面62aは包装容器61に接着固定されていないので、シール表面62aは包装容器61からも分離することができる。さらにシール表面62aの内周面(図示せず)は、ほぼ全面に塗布された接着剤を剥離紙で覆った構成であり、剥離紙を剥がしてシール表面62aをユーザの好みに応じて各所に貼り付けることができる。
【0134】
例えば包装容器61から取り出した生豆を収めたガラスなどの容器にシール表面62aを貼り付けて容器のラベルとすることにより、容器に収納している生豆の情報を記載する手間が省けるとともに生豆の情報の記載誤りも防止できる。加えて、QRコード5aが表示されていることにより、容器に収納された生豆に適した焙煎プロファイルを何度も誤り無く取得することができる。
【0135】
また、複数種類の生豆をそれぞれ収納したガラスなどの容器に、それぞれの生豆の収納容器から分離したそれぞれのシール表面62aを貼り付けてその容器を並べることにより、統一されたデザインのラベルを持つ容器が並ぶことになり、優れたインテリアとしてユーザに満足を与えることができる。
【0136】
さらに、収納容器61から分離できて簡単に貼り付けることのできるシール表面62aの使い方として、大きな世界地図に生豆の生産地に合わせてシール表面62aを貼り付けるという楽しみ方もある。ユーザは世界地図に貼り付けられたシール表面62aを眺めながら、どの地域・国のコーヒーを味わったのかを確認したり、好みのコーヒーが分布する地域を考えたりしながら心地よい時間を過ごすことができる。
【0137】
以上説明したように、第1の発明は、複数種類のコーヒーの生豆の情報を保持したデータベースを利用して、生豆の情報を提供する方法である。また、データベースは、少なくとも、各生豆を一意に特定する識別情報、ユーザが所有する焙煎機による各生豆の焙煎方法を示す制御情報、および、各生豆の生産に関連する付随情報を関連付けた属性情報を含む。また、生豆の情報を提供する方法は、ユーザの端末装置に、所与の生豆の識別情報、および、所与の生豆の属性情報を格納したサーバのアドレス情報、の一方が変換された情報コードを読み取らせるステップと、情報コードから所与の生豆の識別情報またはアドレス情報を抽出するステップとを包含する。また、抽出した所与の生豆の識別情報またはアドレス情報に基づいて、端末装置に、所与の生豆の属性情報の要求を送信させるステップと、要求の受信に応答して、データベースから、所与の生豆の属性情報を抽出するステップとを包含する。さらに、抽出した属性情報を端末装置に送信するステップと、送信された属性情報を端末装置に受信させるステップと、属性情報に含まれる制御情報を焙煎機に送信させるステップと、付随情報を端末装置の出力装置に出力させるステップとを包含する。
【0138】
第2の発明は、複数種類のコーヒーの生豆の情報を保持したデータベースを利用して、生豆の情報を取得する端末装置である。また、データベースは、少なくとも、各生豆を一意に特定する識別情報、ユーザが所有する焙煎機による各生豆の焙煎方法を示す制御情報、および、各生豆の生産および焙煎に関連する付随情報を関連付けた属性情報を保持しており、かつ、データベースからの情報の読み出しはサーバによって管理されている。また、端末装置は、所与の生豆の識別情報、および、所与の生豆の属性情報を格納したサーバのアドレス情報、の一方が変換され、配達されたコーヒーの生豆に付与された情報コードを、光学的、磁気的または無線通信によって読み取る読取装置を有している。さらに、読み取られた情報コードに基づいて、所与の生豆の属性情報の要求を生成する処理回路と、要求をサーバに送信し、サーバから所与の生豆の属性情報を受信し、属性情報に含まれる制御情報を焙煎機に送信する通信回路と、付随情報を出力する出力装置とを有している。
【0139】
ユーザは、生豆と、その生豆に応じて設定された焙煎機の制御情報とその生豆の生産地や生産者などの付随情報とを入手するための情報コードとを、セットで入手できる。このため、ユーザは、生豆をその生豆に適した焙煎温度で焙煎できるとともに、付随情報を介して、生産者と直接つながる感覚が得られ、新たな食の体験が可能となる。
【0140】
また、ユーザは、たとえば生豆の包装容器に付与された情報コードを介して、その生豆に応じて設定された焙煎機の制御情報を受信し、その制御情報を焙煎機に送信することで、生豆をその生豆に適した焙煎温度で焙煎できる。
【0141】
第3の発明による端末装置では、第2の発明による通信回路が、焙煎機における焙煎時間と焙煎温度との関係を示す温度プロファイル、および、焙煎時間と焙煎機のファンの回転数との関係を示す回転数プロファイルを含む制御情報を焙煎機に送信する構成としてもよい。
【0142】
第4の発明による端末装置では、第2または第3の発明における情報コードが、所与の生豆の識別情報が変換されることによって生成されており、処理回路は、情報コードを所与の生豆の識別情報に変換し、通信回路は、要求とともに、処理回路によって変換された所与の生豆の識別情報を送信する構成としてもよい。
【0143】
第5の発明による端末装置は、第4の発明における通信回路がサーバから受け取った属性情報を格納する記憶装置をさらに備えてもよい。
【0144】
第6の発明による端末装置は、第5の発明における記憶装置が、2以上の異なる種類の生豆の各々に関し属性情報を蓄積しているときにおいて、処理回路は、所与の生豆の情報コードから変換された識別情報に基づいて、所与の生豆の属性情報を特定し、通信回路は、特定された属性情報に含まれる制御情報を焙煎機に送信する構成としてもよい。
【0145】
これにより、端末装置に複数の制御情報が保存されている場合であっても、生豆の包装容器等に付与された情報コードを読み取ることで、その生豆に応じた制御情報を焙煎機に送信できる。このため、複数の種類の生豆を購入し、それぞれの生豆の制御情報をまとめて端末装置に保存した場合であっても、生豆と制御情報の対応関係を覚えておく必要がなく、利便性が向上する。
【0146】
第7の発明による端末装置では、第5の発明における記憶装置に、2以上の異なる種類の生豆の各々に関し属性情報が蓄積されているときにおいて、属性情報には、属性情報が入手された時刻を示すタイムスタンプが付与されており、処理回路は、最新のタイムスタンプが付与された属性情報に含まれる制御情報を焙煎機に送信する構成としてもよい。
【0147】
第8の発明による端末装置では、第5の発明における処理回路が、情報コードから変換された識別情報と同じ識別情報を有する属性情報が記憶装置に格納されていない場合には、要求とともに、処理回路によって変換された所与の生豆の識別情報を送信する構成としてもよい。
【0148】
第9の発明による端末装置は、第8の発明における処理回路は、情報コードから変換された識別情報と同じ識別情報を有する属性情報が記憶装置に格納されている場合には、出力装置から、所与の生豆の属性情報が存在する情報を出力する構成としてもよい。
【0149】
第10の発明による端末装置では、第9の発明の出力装置は表示パネルであり、出力装置はさらに、所与の生豆の属性情報を更新するか否かを選択するための表示を出力する構成としてもよい。
【0150】
第11の発明による端末装置では、第2から第10のいずれかの発明における出力装置は表示パネルであり、表示パネルは付随情報を視覚的に出力する構成としてもよい。
【0151】
第12の発明による端末装置は、第2から第8のいずれかの発明における出力装置はスピーカであり、スピーカは、付随情報を音声によって出力する構成としてもよい。
【0152】
第13の発明による端末装置は、第2から第12のいずれかの発明における通信回路が、データベースから、所与の生豆の情報を集約するサーバにアクセスするためのアクセス情報をさらに含む属性情報を受信し、アクセス情報に基づいてサーバにアクセスする構成としてもよい。
【0153】
第14の発明による端末装置は、第3の発明において、ユーザの指示を受け付ける入力インタフェース装置をさらに備え、所与の生豆の属性情報は、互いに異なる、複数の、温度プロファイルおよび複数の回転数プロファイルの組を含む。また、入力インタフェース装置は、温度プロファイルおよび回転数プロファイルの組に関するユーザの選択を受け付け、通信回路は、選択された温度プロファイルおよび回転数プロファイルの組を含む制御情報を焙煎機に送信する構成としてもよい。
【0154】
これによれば、端末装置は、複数の制御情報、例えば、深煎りや浅煎りなど、好みに応じて、基本となる制御情報を変更した制御情報を、一括して受信し、たとえば、そのうちの1つの制御情報を焙煎機に送信できる。このため、ユーザの利便性の向上と満足感の向上を図ることができる。
【0155】
第15の発明による端末装置では、第14の発明における所与の生豆の属性情報が、複数の、温度プロファイルおよび回転数プロファイルの組の各々の推奨の程度を示す優先度情報をさらに保持しており、出力装置は優先度情報に基づいて、最も推奨される温度プロファイルおよび複数の回転数プロファイルの組を少なくとも示す情報を出力する構成としてもよい。
【0156】
これにより、端末装置は、複数の制御情報、例えば、深煎りや浅煎りなど、好みに応じて、基本となる制御情報の一部を変更した制御情報のうち、どの制御情報が、その生豆におすすめかを表示できる。このため、よりユーザの利便性を向上できる。
【0157】
第16の発明による端末装置では、第2から第15のいずれかの発明における、各生豆の生産および焙煎に関連する付随情報が、各生豆の生産国、生産地、生産者、栽培環境、制御情報の作成者、作成者のコメントの情報の少なくとも一つを含む構成としてもよい。
【0158】
ユーザは、生産者、制御情報の作成者(たとえば焙煎士)に関する情報を知ることができ、生産者や焙煎士と、直接つながる感覚が得られ、新たな食の体験が可能となる。
【0159】
第17の発明による端末装置では、第2または第3の発明において、情報コードが、所与の生豆の属性情報を格納したサーバのアドレス情報が変換されることによって生成されており、処理回路は、情報コードをアドレス情報に変換し、通信回路は、処理回路によって変換されたアドレス情報に従ってサーバにアクセスし、要求を送信する構成としてもよい。
【0160】
ユーザは、たとえば制御情報を焙煎機に送信した後にサーバにアクセスし、その生豆や制御情報に関する評価や、コメントなどを、容易に、サーバに送信できる。これによって、ユーザは、生豆を焙煎する作業を通じた満足感が向上する。
【0161】
第18の発明による端末装置は、第17の発明における通信回路がサーバから受け取った属性情報を格納する記憶装置をさらに備えてもよい。