(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷蔵室と、前記冷蔵室に設けられている棚板と、前記棚板が天井となるように区画形成されている貯蔵室と、第1のリード線と前記貯蔵室から引き出された第2のリード線とを接続するための収納室と、前記収納室の開口を覆う第1のカバーと、前記第1のカバーを覆う第2のカバーとを備え、前記第2のカバーは、前記棚板の上面と略同一面であることを特徴とする冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体内に設けた貯蔵室と、前記貯蔵室に開口部を臨ませて設けたコネクタ収納室と、前記コネクタ収納室の開口部を覆うカバーとを備え、前記コネクタ収納室には少なくとも二か所の係合部を設けるとともに、カバーにはこの係合部に対応する係止部を設けて、前記カバーの係止部を前記コネクタ収納室の係合部に係合させるとともに、前記係合部と係止部との係合部分の一つにはカバー表面側からストッパー部材を噛ませた構成としてある。
【0010】
これにより、カバーはその係止部をコネクタ収納室の係合部に嵌め込むとともに、その部分にストッパー部材を押し込むだけの簡単な作業でコネクタ収納室の開口に装着でき、しかも前記カバーの係止部とコネクタ収納室の係合部との係合部分に噛ませたストッパー部材が前記カバーの不用意な外れを防止するので、ネジ止めと同様コネクタ収納室の開口部を覆うカバーを強固に固定保持でき、コネクタ接続部を確実に保護することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記カバーはストッパー部材を噛ませる側の係止部に隣接して外れ防止用孔部を設けるとともに、ストッパー部材は前記外れ防止用孔部に挿入してカバーの係止部がコネクタ収納室の係合部から外れないように規制する外れ防止部を備えた構成としてある。
【0012】
これにより、カバーはその係止部が係合部から外れることなく確実に係止状態を維持するので不用意に外れることがなく強固に固定保持できるとともに、カバーの外れ防止用孔部を設けた側の係止部は比較的係合力の弱いものとすることができるので、カバーの係止部を軽い力でコネクタ収納室の係合部へ装着したり取り外したりすることができ、カバー着脱の作業性を大きく向上させることができる。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記コネクタ収納室は貯蔵室背面側となる後部に回動支点支持部を設けるとともに、カバーには前記回動支点支持部に対応させて回動支点部を設け、前記カバーはその回動支点部を前記コネクタ収納室の回動支点支持部に嵌め合わせて手前側部分をコネクタ収納室側に回動させ、カバーの係止部をコネクタ収納室の係合部に係合させる構成としてある。
【0014】
これにより、カバーはカバーの係止部とコネクタ収納室の係合部との位置合わせをすることなくその回動支点部をコネクタ収納室の回動支点支持部に嵌め合わせてコネクタ収納室側に回動させていくだけで装着でき、カバーの装着作業性が飛躍的に向上する。
【0015】
第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記コネクタ収納室は貯蔵室の背面に設けた冷気ダクトの出っ張り部の側方部分に設け、前記コネクタ収納室の開口部は前記冷気ダクトの出っ張り部を挟み込むように貯蔵室背面に押し当てて設けた棚板の後部上面に開口させるとともに、当該開口に装着したカバーの上方を前記棚板の上面と略同一面を構成する装飾カバーによって覆った構成としてある。
【0016】
これにより、コネクタ収納室は冷気ダクトの出っ張り部の側方のスペースを利用して貯蔵室内に出っ張らせることなく設置することができると同時に、棚板上面と略同一面となる装飾カバーによって覆われるので目立たなくすることができ、貯蔵室内面の美観を高めることができる。
【0017】
第5の発明は第4の発明において、前記コネクタ収納室の各係合部とカバーの各係止部は冷気ダクトの側方方向であって貯蔵室背面壁から離れた手前側部分に設け、かつ前記ストッパー部材は前記冷気ダクトから離れている側の係合部と係止部との係合部分に噛ませた構成としてある。
【0018】
これにより、ストッパー部材は冷気ダクトの出っ張り壁面や貯蔵室背面壁によって邪魔されることなく着脱することができ、カバー着脱の作業性を更に向上させることができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、前記ストッパー部材はストッパー部材自体をカバーに固定させる棒状のストッパー係止部を有するとともに、ストッパー係止部の係止部分側面を傾斜面とした構成としてある。
【0020】
これによりストッパー部材はストッパー係止部の傾斜面に沿って定規やマイナスドライバー等を差し込むことによりストッパー係止部を外れ方向に変形させてカバーから外すことができ、ストッパー部材も容易に外すことができて作業性が向上する。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1〜
図12は本発明の実施の形態1を示すもので、まず、冷蔵庫全体の構成について
図1〜
図3を用い説明する。
【0023】
図1〜
図3において、本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1は、
図3に示すように主に鋼板を用いた外箱2と、ABSなどの硬質樹脂で成型された内箱3と、前記外箱2と内箱3との間に充填された硬質発泡ウレタン等の発泡断熱材4とから構成されている。
【0024】
冷蔵庫本体1は、仕切板5、6、6aによって複数の貯蔵室に区分されており、冷蔵庫本体1の最上部は冷蔵室7、冷蔵室7の下方は切替室8a及びこれに並設した製氷室8b、さらにその下方は冷凍室9、さらに最下部は野菜室10となっている。そして前記各貯蔵室の前面開口部は、扉11a、11b、11c、11d、11eによって開閉可能に閉塞されている。
【0025】
前記冷蔵庫本体1の上部後方領域には機械室14が設けられている。機械室14には、圧縮機15、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。
【0026】
また、冷蔵庫本体1の背面には冷気を生成する冷却室16と、冷却室16からの冷気を前記冷蔵室7、冷凍室9、野菜室10等に供給循環させる冷気ダクト17が設けられている。
【0027】
冷却室16内には冷却器19が配設されており、冷却器19の上部には冷却ファン20が配置されている。前記冷却ファン20は、冷却器19により冷却された冷気を、冷気ダクト17を介し冷蔵室7、冷凍室9、野菜室10等に強制循環させて各室を冷却する
前記冷却室16からの冷気によって冷却される冷蔵室7には食材を載置する複数の棚板21が設けてあり、その最下部には低温貯蔵室23が形成してある。この低温貯蔵室23は例えば約1℃の温度帯に冷却されるチルド室あるいは約−3℃の微凍結温度帯まで冷却されるパーシャル室に切り替え可能な低温貯蔵室となっている。
【0028】
なお、低温貯蔵室23はチルド室或いはパーシャル室に切り替え可能なものでなく、チルド室或いはパーシャル室として専用設計されたものであってもよいものである。
【0029】
上記低温貯蔵室23は、
図4〜
図6に示すように、その上面を冷蔵室7の最下段に位置する棚板としても利用する棚板部材24及び側面の給水タンク室27(
図2参照)との間を仕切る間仕切り板27aとで区画形成してあり、内部には引出自在な容器25が設けてあって、その前方は前記容器25の引出によって棚板部材24の前端部を中心に回動して開くドア26によって閉蓋してある。
【0030】
また、前記低温貯蔵室23はその天井部分に照明装置22が設けてあり、そのリード線は冷蔵庫本体1の背面からの本体リード線と接続してある。
【0031】
以下、上記リード線の接続部処理構成について、
図4〜
図12を用いて説明する。
【0032】
図4〜
図12において、上記リード線のコネクタ接続部を収納するコネクタ収納室30は、冷気ダクト17の出っ張り部17a側方に設け、その上面開口は冷気ダクト17の出っ張り部17aを挟み込むように貯蔵室背面に押し当てて設けた棚板部材24の後部上面に開口している。
【0033】
上記コネクタ収納室30は、
図7に示すように、冷気ダクト17の出っ張り部17aを構成する部材に一体形成してあり、低温貯蔵室23の後方に位置していて棚板部材24のコーナ部面24aで覆い隠され、その上面開口上方は
図4に示すように棚板部材24の上面と略同一面を構成する装飾カバー32によって覆った形となっている。
【0034】
そして、上記コネクタ収納室30は、
図10に示すように、略四角枠状の収納空間33を備え、その後部壁面には冷蔵庫本体1からの本体リード線34(
図6参照)が通る凹所35が、前部壁面には照明装置22から棚板部材24中を通って出てくるリード線36(
図6参照)が通る凹所37が形成してあり、前記両リード線34、36のコネクタ34a、36a(
図6参照)が接続された状態で収納されている。
【0035】
上記コネクタ収納室30は収納空間33の両側に一対の係合部38が設けてあり、さらに低温貯蔵室23の背面側となる後部両側に回動支点支持部39が設けてある。
【0036】
そして、上記コネクタ収納室30の上面開口は
図5に示すようにカバー40を装着してコネクタ接続部分を覆っている。
【0037】
上記カバー40は、
図11(a)〜(d)に示すように、前記コネクタ収納室30の係合部38に対応させてその前方側部分に弾力性を持つリブ状の係止部41a、41bが一対設けてあり、さらに回動支点支持部39に対応させてその後方部分に略L字状の回動支点部43が設けてある。
【0038】
さらに、前記カバー40にはその一対の係止部41a、41bうち冷気ダクト出っ張り部17aから離れている側(
図11の左側)の係止部41aに隣接させてストッパー挿入部44を設けてその下端縁をストッパー用係合部45としてある。
【0039】
加えてさらに前記カバー40にはストッパー挿入部44の後方寄り部分で若干冷気ダクト側にずれた位置に外れ防止用孔部46が連設してあり、これに隣接する形でガイド用孔部47が設けてある。
【0040】
そして、上記カバー40は、その回動支点部43をコネクタ収納室30の回動支点支持部39に嵌め込むとともに、一対の係止部41a、41aをその弾性力によりコネクタ収納室30の係合部38に係合させてコネクタ収納室30の上面開口に装着してある。
【0041】
その上で更に上記コネクタ収納室30の上面開口に装着したカバー40は、
図8に示すようにそのストッパー挿入部44にストッパー部材48を押し込み挿入してコネクタ収納室30の上面開口に固定してある。
【0042】
このコネクタ収納室30の上面開口にカバー40を固定するストッパー部材48は、
図12に示すようにカバー40のストッパー挿入部44に挿入してそのストッパー用係合部45に係止する弾力性を持った棒状のストッパー係止部49が設けてある。なお、このストッパー係止部49は
図12から明らかなように係止部分側の面が傾斜する傾斜面49aとしてある。
【0043】
また、前記ストッパー部材48は上記ストッパー係止部49の後方寄り部分で若干冷気ダクト17側にずれた位置に棒状の外れ防止部50が設けてあり、カバー40の外れ防止用孔部46に挿入し、前記カバー40の係止部41aに沿って位置して当該係止部41a、41bの動きを規制している。
【0044】
さらに、前記ストッパー部材48にはガイド棒51が設けてあり、カバー40のガイド用孔部47に嵌合している。
【0045】
以上のように構成された冷蔵庫について、次にその作用効果を説明する。
【0046】
本実施の形態では、照明装置22のリード線36を本体リード線34に接続するものを例示しているが、前記本体リード線34と照明装置22のリード線36との接続は、まず冷蔵室背面壁から引き出した本体リード線34と棚板部材24から引き出した照明装置22のリード線36とを冷蔵室7内で接続する。そしてそのコネクタ接続部分は各リード線34、36の余った部分とともに収納空間33内に収納し、その後、コネクタ収納室30の上面開口にカバー40を装着し、さらにその上方に装飾カバー32を設置して作業を終了する。
【0047】
ここで、前記リード線接続部分を覆ったカバー40は、コネクタ収納室30の係合部38に係止部41a、41bを嵌め込むだけでよく、簡単な作業でコネクタ収納室30の上面開口に装着固定できる。
【0048】
しかも前記カバー40の係止部41a、41bとコネクタ収納室30の係合部38との係合部分の一つにはカバー40表面側からストッパー部材48が噛ませてあるので、当該係止部41aと係合部38との係合が不用意に外れるというようなことがなくなり、ネジ止めと同様カバー40をコネクタ収納室30の上面開口に強固に固定保持でき、コネクタ接続部分を確実に保護することができる。
【0049】
しかも、この実施の形態のストッパー部材48は、コネクタ収納室30の係合部38と係合する係止部41aに隣接して外れ防止部50が設けてあり、この外れ防止部50が前記カバー40の係止部41aに沿って位置してその動きを規制している。そのため、カバー40の係止部41aは係合部38から外れる方向へ動けなくなる。したがって、カバー40はその係止部41aが係合部38から不用意に離脱するようなことがなくなるので確実に係止状態を保持し、より強固に固定保持されることになる。
【0050】
また、上記の如く外れ防止部50によって係止部41aの動きを規制するので、カバー40の外れ防止用孔部46を設けた側の係止部41aは比較的係合力の弱いものとすることができる。したがって、カバー40の係止部41aを軽い力でコネクタ収納室30の係合部38へ装着したり取り外したりすることができ、カバー着脱の作業性が向上する。
【0051】
また、この実施の形態では上記カバー40は、その回動支点部43を前記コネクタ収納室30の回動支点支持部39に嵌め合わせてカバー手前側部分をコネクタ収納室30側に回動させ押し付けるだけで、カバー40の係止部41a、41bをコネクタ収納室30の係合部38に係合させ装着することができる。
【0052】
したがって、カバー40はカバー40の係止部41a、41bとコネクタ収納室30の係合部38との位置合わせ等をする必要がなくなり、カバー装着の作業性が向上する。
【0053】
しかも上記カバー40の回動支点支持部39への嵌め込み及びコネクタ収納室30側への回動は何れも下向きに行うことができるので、天井面に向かって上向きに行うような場合に比べその作業性は飛躍的に向上する。
【0054】
また、前記ストッパー部材48はカバー40のガイド用孔部47に嵌合するガイド棒51を備えているから、前記した外れ防止部50による係止部41aの外れ防止をより確実なものとすることができる。
【0055】
すなわち、ストッパー部材48はその外れ防止部50がカバー40の外れ防止用孔部46に嵌合し係止部41aに沿ってその動きを規制し外れ防止を行っているが、その際、外れ防止部50は係止部41aから
図8の破線矢印Aで示す方向の弾発力を受け続けてストッパー部材48全体が傾き係止部41aの係合が外れようとする。しかしながら、前記ガイド用孔部47に嵌合したガイド棒51がガイド用孔部47との嵌合によってこのストッパー部材48全体の傾きを阻止するようになる。したがって、ストッパー部材48が傾くようなことがなくなり、外れ防止部50による係止部41aの外れ防止がより確実なものとなるのである。
【0056】
さらに、前記ストッパー部材48はストッパー部材自体をカバーに固定させるストッパー係止部49のストッパー係止部分側面を傾斜面49aとしてあるから、ストッパー部材48の取り外しも容易に行うことができる。すなわち、カバー40の表面上方からストッパー係止部49の傾斜面49aに沿って
図12のXで示す位置に定規やマイナスドライバー等を差し込むと、傾斜面49aに加わる分力によってストッパー係止部49はカバー40のストッパー用係合部45との係合が外れる方向に動く。したがって、ストッパー部材48の取り外しが容易になる。
【0057】
また、この実施の形態で例示したコネクタ収納室30は低温貯蔵室23の背面に設けた冷気ダクト17の出っ張り部17aの側方に設けているので、低温貯蔵室23内に出っ張らせることなく設置することができ、冷気ダクト17の出っ張り部側方のスペースを有効利用しつつコネクタ収納室30の出っ張りを防止できる利点がある。
【0058】
また、上記コネクタ収納室30の上面開口を覆うカバー40上に設置した装飾カバー32は、冷気ダクト17の出っ張り部17aを挟み込むように貯蔵室背面に押し当てて設けた棚板部材24の上面と略同一面を構成しているので、目立たず、冷蔵室7内面の美観を高めることもできる。
【0059】
さらに前記コネクタ収納室30の各係合部38とカバーの各係止部41a、41bは、冷気ダクト17の側方方向であって貯蔵室背面壁から離れた手前側部分に設け、かつ前記ストッパー部材48は前記冷気ダクト17から離れている側の係合部38と係止部41aとの係合部分に噛ませた構成としてあるから、ストッパー部材48は冷気ダクト17の出っ張り部17aの側壁面や貯蔵室背面壁に邪魔されることなく着脱でき、カバー着脱の作業性を向上させることができる。
【0060】
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明してきたが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の目的を達成する範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。すなわち、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。つまり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。