特許第6803588号(P6803588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803588
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】加熱コイル
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/38 20060101AFI20201214BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20201214BHJP
   C21D 1/42 20060101ALI20201214BHJP
   C21D 1/10 20060101ALI20201214BHJP
   C21D 9/32 20060101ALN20201214BHJP
【FI】
   H05B6/38
   H05B6/10 331
   C21D1/42 J
   C21D1/10 S
   !C21D9/32 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-189012(P2017-189012)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-67528(P2019-67528A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390026088
【氏名又は名称】富士電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折原 政幸
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】松本 安哲
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳子
(72)【発明者】
【氏名】福地 遼介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘子
(72)【発明者】
【氏名】中井 靖文
(72)【発明者】
【氏名】花木 昭宏
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−014307(JP,A)
【文献】 実開平06−062499(JP,U)
【文献】 実開平06−085357(JP,U)
【文献】 実開昭59−083963(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0290102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00− 6/44
C21D 1/10
C21D 1/42
C21D 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状に形成され、中心軸に対して傾斜した方向に延びる凹凸部が外周面に形成されたワークの前記凹凸部を加熱する加熱コイルであって、
前記ワークの外側に設けられ、前記凹凸部の傾斜方向に直交する方向に延びるように形成され、前記凹凸部に前記加熱コイルの一部が対向する対向面と、前記凹凸部に対向しない非対向面とを有する導体部と、
前記導体部の前記非対向面を覆う第1磁性体と、
前記第1磁性体に連接して設けられ、前記非対向面と、前記対向面のうちの前記凹凸部に対向している部分の外側となる外側部とを覆う第2磁性体と、
を備えることを特徴とする加熱コイル。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱コイルにおいて、
前記第2磁性体は、前記対向面の前記外側部を覆う範囲が、前記第1磁性体から前記ワークの周方向に離れるにつれて大きくなるように形成されていることを特徴とする加熱コイル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の加熱コイルにおいて、
前記導体部は、螺旋状に延び、且つ、前記対向面の周方向の曲率が前記ワークの外周面の曲率よりも小さいことを特徴とする加熱コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波焼入れするための加熱装置に用いられる加熱コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製のギヤ等のワークの表面を硬化させるために、高周波焼入れを行う高周波焼入れ装置が知られている。このような高周波焼入れ装置では、ワークに加熱コイルを巻き付け、加熱コイルに電流を流すことで、コイル内部に磁力を発生させ、この磁力によりワークの表面を加熱している。
【0003】
特許文献1の加熱コイルでは、外周面に傾斜した方向に延びる凹凸部が形成されたワーク(処理対象物)の凹凸部に焼入れを行うために、凹凸部の傾斜方向に直交する方向に延びる導体部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5570147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の加熱コイルは、凹凸部の傾斜方向に直交する方向に延びる導体部を用いることで、凹凸部を均一に焼入れできるようにしているが、加熱時に、凹凸部の凸部での磁束が凹部に流れてしまい、凸部を焼入れすることができないことがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ワークの凹凸部を確実に焼入れすることができる加熱コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加熱コイルは、円形状に形成され、中心軸に対して傾斜した方向に延びる凹凸部が外周面に形成されたワークの前記凹凸部を加熱する加熱コイルであって、前記ワークの外側に設けられ、前記凹凸部の傾斜方向に直交する方向に延びるように形成され、前記凹凸部に前記加熱コイルの一部が対向する対向面と、前記凹凸部に対向しない非対向面とを有する導体部と、前記導体部の前記非対向面を覆う第1磁性体と、前記第1磁性体に連接して設けられ、前記非対向面と、前記対向面のうちの前記凹凸部に対向している部分の外側となる外側部とを覆う第2磁性体と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、加熱コイルに通電することで発生する電磁誘導による磁力によりワークの凹凸部を加熱する際に、第1磁性体は、導体部を流れる電流により発生する磁束を集束してワークの凹凸部の表面に集中させる。これにより、凹凸部の表面に集中して磁束を誘導することができる。しかし、凹凸部の表面に均等に磁束を誘導する構成では、凸部の磁束が凹部に流れてしまい、凹部が集中して加熱される不具合が生じる。
【0009】
そこで、電磁誘導によりワークの凹凸部を加熱する際に、第2磁性体は、導体部を流れる電流により発生する磁束を集束して、ワークの凹凸部の凸部の表面に誘導する。これにより、磁束が集中する凹凸部の凹部に加熱が集中するのを防止することができる。したがって、凸部と凹部との両方を確実に加熱することができる。
【0010】
また、前記第2磁性体は、前記対向面の前記外側部を覆う範囲が、前記第1磁性体から前記ワークの周方向に離れるにつれて大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、より一層、凹凸部の凹部に加熱が集中するのを防止することができる。
【0012】
さらに、前記導体部は、螺旋状に延び、且つ、前記対向面の周方向の曲率が前記ワークの外周面の曲率よりも小さいことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ワークを中心軸方向に移動させた場合でも、導体部の対向面がワークに対向するので、ワークを中心軸方向に移動させながら、ワークの凹凸部を加熱することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワークの凹凸部を確実に焼入れすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の加熱コイルを備える加熱装置を示す概略斜視図である。
図2】左加熱コイルとヘリカルギヤとを示す上面図である。
図3】右加熱コイルとヘリカルギヤとを示す上面図である
図4】左導体部とヘリカルギヤと集束用磁性体と上誘導用磁性体と下誘導用磁性体とを示す正面図である。
図5】左導体部から集束用磁性体と上誘導用磁性体と下誘導用磁性体とを取り外した状態を示す正面図である。
図6】左導体部とヘリカルギヤと集束用磁性体と上誘導用磁性体と下誘導用磁性体と示すVI−VI線断面図である。
図7】第2実施形態の左導体部とヘリカルギヤと集束用磁性体と上誘導用磁性体と下誘導用磁性体と示す平面図である。
図8】上誘導用磁性体及び下誘導用磁性体を設けた加熱コイルにより加熱したヘリカルギヤを示す図。
図9】上誘導用磁性体及び下誘導用磁性体を設けていない加熱コイルにより加熱したヘリカルギヤを示す図。
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1図3に示すように、加熱装置2は、高周波電流を供給する高周波電源3と、高周波電源3に接続コード(図示せず)を介して接続される左導電板4及び右導電板5とを備える。加熱装置2は、例えば金属製のヘリカルギヤ7(ワーク)のギヤ歯7aに対して焼入れを行う。
【0018】
加熱装置2は、両端が左導電板4に接続され、ヘリカルギヤ7のギヤ歯7aを囲む左加熱コイル11と、両端が右導電板5に接続され、ギヤ歯7aを囲む右加熱コイル12とを備える。以下では、左加熱コイル11及び右加熱コイル12をまとめて左右加熱コイル11,12と称する。
【0019】
本実施形態では、予熱の際、左導電板4にのみ、低周波(例えば、4〜8KHz)電流を供給する低周波電源(図示せず)を接続しておくことで、左加熱コイル11には低周波電流、右加熱コイル12には高周波(例えば、40〜60KHz)電流を流れるようにする。2つの異なる周波の電流を用いて透磁率に幅を持たせることで、ギヤ歯7aの表面から所望の深さ予熱することが可能となる。
【0020】
また、加熱装置2は、ヘリカルギヤ7を支持する支持部13と、支持部13を回転及び移動させる回転移動部14とを備える。回転移動部14は、支持部13をヘリカルギヤ7の中心軸方向を中心に回転させ、且つ支持部13をヘリカルギヤ7の軸方向に移動させる。
【0021】
左導電板4は、高周波電源3から供給される高周波電流が流れる左入口側導電板4aと、左入口側導電板4a、左加熱コイル11を通った高周波電流が流れ、内部を流れた高周波電流を高周波電源3に戻す左出口側導電板4bとを備える。左入口側導電板4aと左出口側導電板4bとの間には、隙間があいている。
【0022】
同様に、右導電板5は、高周波電源3から供給される高周波電流が流れる右入口側導電板5aと、右入口側導電板5a、右加熱コイル12を通った高周波電流を高周波電源3に戻す右出口側導電板5bとを備える。右入口側導電板5aと右出口側導電板5bとの間には、隙間があいている。
【0023】
左加熱コイル11は、四角筒状で螺旋状に形成された金属(例えば、銅)製の左導体部21を備える。左導体部21は、上面21a、下面21b、外面21c、内面21dからなる。上面21a、下面21b及び外面21cは、ギヤ歯7aに対向しない非対向面であり、内面21dは、一部がギヤ歯7aに対向する対向面である。左導体部21は、内面21dの周方向の曲率がヘリカルギヤ7の外周面の曲率よりも小さくなるように形成されている。
【0024】
右加熱コイル12は、四角筒状で螺旋状に形成された金属(例えば、銅)製の右導体部22を備える。右導体部22は、上面22a、下面22b、外面22c、内面22dからなる。上面22a、下面22b及び外面22cは、ギヤ歯7aに対向しない非対向面であり、内面22dは、一部がギヤ歯7aに対向する対向面である。右導体部22は、内面22dの周方向の曲率がヘリカルギヤ7の外周面の曲率よりも小さくなるように形成されている。
【0025】
左導体部21は、上端が左入口側導電板4aに接続され、下端が左出口側導電板4bに接続されている。
【0026】
右導体部22は、上端が右入口側導電板5aに接続され、下端が右出口側導電板5bに接続されている。以下では、左導体部21及び右導体部22をまとめて左右導体部21,22と称する。
【0027】
左右導体部21,22には、冷却液供給機27が接続されている。冷却液供給機27から供給された冷却液は、筒状の左右導体部21,22の内部を通って、回収機(図示せず)に回収される。
【0028】
左右導体部21,22は、ヘリカルギヤ7のギヤ歯7aに対向し、ギヤ歯7aが延びる方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。左導体部21と右導体部22とは、同じ形状で形成され、ヘリカルギヤ7の中心軸を中心に180°回転した位置に対向配置されている。なお、直交する方向とは、直交する方向から少しずれた方向も含む。
【0029】
図1図6に示すように、左加熱コイル11は、左導体部21のギヤ歯7aの対面する部分に設けられ、内面21dを除く上面21a、下面21b及び外面21cを覆い、左導体部21での磁束を集束してヘリカルギヤ7のギヤ歯7aの表面に集中させる集束用磁性体31(第1磁性体)を備える。
【0030】
左加熱コイル11は、左導体部21の上面21aと、外面21cの上部と、内面21dのうちのギヤ歯7aに対向する部分の上側となる上側部(外側部)とを覆い、ギヤ歯7aの歯底(凹部)に流れる磁束の一部をギヤ歯7aの歯先(凸部)に誘導する上誘導用磁性体32(第2磁性体)を備える。なお、上誘導用磁性体32は、少なくとも上面21aと、内面21dのうちのギヤ歯7aに対向する部分の上側となる上側部(外側部)とを覆えばよい。
【0031】
また、左加熱コイル11は、下面21bと、外面21cの下部と、内面21dのうちのギヤ歯7aに対向する部分の下側となる下側部(外側部)とを覆い、ギヤ歯7aの歯底に流れる磁束の一部をギヤ歯7aの歯先に誘導する下誘導用磁性体33(第2磁性体)を備える。なお、下誘導用磁性体33(第2磁性体)は、少なくとも、下面21bと、内面21dのうちのギヤ歯7aに対向する部分の下側となる下側部(外側部)とを覆えばよい。
【0032】
また、本実施形態では、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33は、図6における上下方向の厚みが、集束用磁性体31の図6における上下方向の厚みよりも厚くなるように形成されているが、これに限らず、集束用磁性体31、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33の図6における上下方向の厚みは、少なくとも磁束が発散しない厚みであればよい。
【0033】
上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33は、集束用磁性体31に連接して設けられている。なお、図6では、概略的に左導体部21及び各磁性体31〜33を直線状で示し、左導体部21のみを断面で示している。
【0034】
同様に、右加熱コイル12は、集束用磁性体31と、上誘導用磁性体32と、下誘導用磁性体33とを備える(図3参照)。集束用磁性体31、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33は、例えば、フェライトから構成されている。また、集束用磁性体31、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33は、例えば、接着剤により左右導体部21,22に固定されている。
【0035】
[焼入れ]
ヘリカルギヤ7のギヤ歯7aに対して焼入れを行う場合、図1に示すように、支持部13にヘリカルギヤ7をセットする。そして、高周波電源3を駆動して、左導電板4及び右導電板5を介して左右加熱コイル11,12の左右導体部21,22に高周波電流を流す。また、回転移動部14は、支持部13を上下に移動及び回転させる。
【0036】
左右導体部21,22に高周波電流が流れると、左右導体部21,22の内部に電磁誘導による磁力が発生し、左右導体部21,22により囲まれるヘリカルギヤ7、特にギヤ歯7aが加熱される。
【0037】
左右導体部21,22は、ギヤ歯7aが延びる方向に対して直交する方向に延びるように形成されているので、ギヤ歯7aが延びる方向に対して直交していない方向に延びる加熱コイルを用いて加熱した場合に比べて、ギヤ歯7aが不均一に加熱されることを抑制することができる。
【0038】
電磁誘導により加熱する際に、集束用磁性体31により、左右導体部21,22での磁束が集束されてヘリカルギヤ7のギヤ歯7aの表面に集中する。これにより、確実にギヤ歯7aを加熱することができる。また、支持部13は、上下に移動及び回転されているので、ギヤ歯7aの全体を均一に加熱することができる。なお、均一とは、均一から少しずれたものを含む。
【0039】
また、電磁誘導により加熱する際に、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33により、ギヤ歯7aの歯底に流れる磁束の一部がギヤ歯7aの歯先に誘導される。
【0040】
図6に示す実線が、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33を設けた場合の磁束の向きであり、図6に示す2点鎖線が、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33を設けていない場合の磁束の向きである。なお、図6に示す磁束の向きは、簡易的に示したものである。
【0041】
上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33を設けた場合(図6の実線)、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33を設けていない場合(図6の2点鎖線)に比べて、ギヤ歯7aの歯先に向かう磁束が増える。これにより、ギヤ歯7aの歯底に加熱が集中するのを防止することができ、ギヤ歯7aの歯先と歯底との両方を確実に加熱することができる。
【0042】
所定時間、電磁誘導によりヘリカルギヤ7を加熱した後、高周波電源3の駆動を停止する。高周波電源3の駆動が停止すると、左右導体部21,22への高周波電流の供給が停止され、電磁誘導による加熱が停止する。
【0043】
そして、冷却液供給機27を駆動して、左右導体部21,22に冷却液を供給する。冷却液供給機27から供給された冷却液は、筒状の左右導体部21,22の内部を通って、回収機に回収される。この冷却液により、左右導体部21,22が冷却される。
【0044】
左右加熱コイル11,12の下方には、冷却液タンク(図示せず)が設けられており、ヘリカルギヤ7は、加熱終了後に冷却液タンク内に入れられる。冷却液タンク内では、ヘリカルギヤ7に向けて冷却液が噴射され、ヘリカルギヤ7、特にギヤ歯7aが冷却される。
【0045】
ギヤ歯7aは、加熱された後に冷却されることにより、焼入れされて硬化する。そして、十分に冷却された後、回転移動部14の駆動を停止し、ヘリカルギヤ7を支持部13から取り外す。なお、ヘリカルギヤ7を冷却液タンクに入れる前に、回転移動部14によるヘリカルギヤ7の回転を停止させてもよい。
【0046】
なお、図7に示すように、上誘導用磁性体42及び下誘導用磁性体43を、左加熱コイル11の内面21dのうちのギヤ歯7aに対向する部分の上側部及び下側部を覆う範囲が、集束用磁性体31からヘリカルギヤ7の周方向に離れるにつれて大きくなるように形成してもよい。このような形状にすることにより、より一層、ギヤ歯7aの歯底に加熱が集中するのを防止することができる。
【0047】
[実施例]
本発明を実施した左右加熱コイル11,12を有する加熱装置2を用いて、ヘリカルギヤ7のギヤ歯7aに焼入れを行った。図8に、実施例の焼入れ後のヘリカルギヤ7を示す。
【0048】
比較例として、上誘導用磁性体32及び下誘導用磁性体33を設けていない従来の加熱コイルを用いてヘリカルギヤ7のギヤ歯7aに焼入れを行った。図9に、比較例の焼入れ後のヘリカルギヤ7を示す。なお、図8及び図9では、色が濃い部分が焼入れされて硬化した部分を示している。
【0049】
図9に示すように、従来の加熱コイルを用いて焼入れを行った比較例では、ギヤ歯7aの歯底は焼入れできているが、ギヤ歯7aの歯先は焼入れできていない部分がある。
【0050】
これに対して、図8に示すように、本発明を実施した左右加熱コイル11,12を用いて焼入れを行った実施例では、ギヤ歯7aの歯先と歯底との両方が焼入れされた。
【0051】
上記実施形態では、左加熱コイル11及び右加熱コイル12を設けているが、いずれか一方のみ設けるようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
上記実施形態では、ワークとしてヘリカルギヤを用いているが、これに限定されることなく、外周面に傾斜した凹凸部が形成されたワークであれば実施可能である。
【符号の説明】
【0053】
2…加熱装置、3…高周波電源、4…左導電板、5…右導電板、7…ヘリカルギヤ(ワーク)、7a…ギヤ歯(凹凸部)、11…左加熱コイル、12…右加熱コイル、13…支持部、14…回転移動部、21…左導体部、21a,22a…上面(非対向面)、21b,22b…下面(非対向面)、21c,22c…外面(非対向面)、21d,22d…内面(対向面)、22…右導体部、31…集束用磁性体(第1磁性体)、32…上誘導用磁性体(第2磁性体)、33…下誘導用磁性体(第2磁性体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9