特許第6803604号(P6803604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803604
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】棒状化粧料の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/16 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   A45D40/16 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-122479(P2016-122479)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-225543(P2017-225543A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153926
【氏名又は名称】株式会社ヒダン
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】岡村 敦
(72)【発明者】
【氏名】菊池 孝也
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 宏
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 立瑠
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0009183(KR,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2010−0011235(KR,U)
【文献】 特開2014−117121(JP,A)
【文献】 特開2012−245541(JP,A)
【文献】 特開平03−187803(JP,A)
【文献】 特開昭49−097086(JP,A)
【文献】 特開2007−077145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状化粧料の化粧容器を、所定距離を存して支持する状態で搬送する搬送手段と、
加熱により軟化もしくは液化した化粧料を化粧容器に充填する充填手段と、
該化粧容器に充填された化粧料を冷却して固化する冷却手段と、
前記搬送手段の搬送制御をする制御部と、を備えた棒状化粧料製造装置であって、
前記冷却手段は、搬送方向に沿って連続して複数設けられた冷却室と、冷却室を第一室と第二室とに上下に仕切る仕切板と、温度調節された冷風を各冷却室の第二室にそれぞれ供給する冷風供給具と、を備えており、
前記化粧容器は、前記搬送手段によって前記複数の冷却室の第一室に順次搬送、搬出され、
前記仕切板には、前記第二室に供給された冷風を第一室に通風させるための通風孔が前記所定距離ごとに複数設けられており、
前記制御部は、化粧容器の搬送の停止と進行とを交互に繰り返すと共に、第一室内の化粧容器の停止位置を前記通風孔の上方位置となるよう前記搬送手段を制御する一方、
前記複数の冷却室の第二室に供給される冷風の温度を冷却室ごとに異ならしめることで冷却の温度勾配を形成する構成にしたことを特徴とする棒状化粧料製造装置。
【請求項2】
前記冷風供給具は、ボルテックスチューブと、該ボルテックスチューブに圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段とからなり、
該圧縮空気供給手段とボルテックスチューブとの連結部には、供給される圧縮空気の圧力を調整可能な圧力調整器が設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料製造装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、化粧容器を支持する支持部を備えており、
該支持部は、支持される化粧容器の外周部に当接する凸部と、化粧容器の外周部に当接せず第一室に供給された冷風を外部に排出可能な凹部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の棒状化粧料製造装置。
【請求項4】
前記複数の冷却室は、各冷却室の第二室の側面が側面部材によって密閉される一方、第一室は、各冷却室間の化粧容器の搬送が可能なように側面が開放されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の棒状化粧料製造装置。
【請求項5】
複数の棒状化粧料の化粧容器を等間隔で支持して搬送する搬送工程と、
該搬送される化粧容器に加熱により軟化もしくは液化した化粧料を充填する充填工程と、
化粧容器に充填された化粧料を冷却室において冷却して固化する冷却工程と、を有する棒状化粧料の製造方法であって、
前記搬送工程では、搬送を所定時間だけ停止する停止状態と、所定距離進行する進行状態とを交互に繰り返し、
前記冷却工程では、冷却室を搬送方向に沿って連続して複数設け、各冷却室にそれぞれ設けられた冷風供給具により温度調整された冷風を供給して化粧料を冷却するにあたり、
冷却室の化粧容器が通過する第一室に対して仕切板で下側に仕切られた第二室内に供給される前記冷風供給具からの冷風を、仕切板に設けた通風孔を介して第一室内に通風させる一方、第一室内を通過する化粧容器を該通風孔の上方位置で停止させることで、化粧料の冷却をするようにするとともに、
前記複数の冷却室に供給される冷風の温度を冷却室ごとに異ならしめることで冷却の温度勾配を形成するようにしたことを特徴とする棒状化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅等の棒状化粧料の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、棒状の口紅、ファンデーション、リップクリーム等の棒状化粧料を製造するにあたり、棒状化粧料の型に液化した化粧料を充填し、これを冷却して化粧料を固化して製造する手法がある。この際の冷却方法としては、冷凍機から発生させた冷風をダクト経由で吹きつけて冷却するものや、冷凍機でチラー水やブライン水を作り、それを用いて冷却するものが知られている。例えば、特許文献1のものは、プレクーラー部において冷風を取り込み口から取り込み、送風路を通じて化粧容器内の化粧料を冷却・固化するものである。また、特許文献2のものは、冷却水を収容した浴槽から、化粧料を充填した金型に冷却水を散水して、液化した化粧料を冷却・固化するものである。そして、特許文献3のものは、循環した冷却水によって冷却部材を冷却し、液化した化粧料が充填された化粧容器に当接した熱伝達治具に冷却部材を囲繞して当接させることで、化粧料を冷却・固化するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−271425号公報
【特許文献2】特開平3−297406号公報
【特許文献3】特許第5270137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで口紅等を成形する際の冷却温度としては、一般に−10〜−5℃が理想とされている。しかしながら、冷凍機から発生した冷風をダクトや送風路を通じて吹き付けて冷却する場合には、装置での霜付き、送風路での熱ロス、化粧料以外の部分への冷風の飛散による熱ロス、送風路での結露や結氷等が発生するため、実際には上記の冷風温度を達することは難しく、0℃付近の温度しか得られないという問題がある。さらに、特許文献1のものでは、プレクーラー部の端部と中央部とでは温度差が生じるため、均一な温度での冷却が困難である結果、化粧料の品質が低下するおそれがあるという問題がある。
【0005】
また、冷却水を用いて冷却する場合には、所望の温度での冷却は難しく、特許文献2のもののように冷却水を散水する場合には、化粧料に冷水が飛散・付着することがあり、陥没や色むら等が生じてしまうおそれがある。さらに、特許文献3のものでは、冷水を散布するものではなく、流水によって冷却された冷却部材から、熱伝達治具を介して冷却しているため、化粧水に冷水が直接飛散・付着してしまうおそれは少ないものの、冷却部材や熱伝達治具が当接する部分での結露や、水漏れのリスクはあり、これらに本発明が解決せんとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため鋭意創作されたものであって、請求項1の発明は、複数の棒状化粧料の化粧容器を、所定距離を存して支持する状態で搬送する搬送手段と、加熱により軟化もしくは液化した化粧料を化粧容器に充填する充填手段と、該化粧容器に充填された化粧料を冷却して固化する冷却手段と、前記搬送手段の搬送制御をする制御部と、を備えた棒状化粧料製造装置であって、前記冷却手段は、搬送方向に沿って連続して複数設けられた冷却室と、冷却室を第一室と第二室とに上下に仕切る仕切板と、温度調節された冷風を各冷却室の第二室にそれぞれ供給する冷風供給具と、を備えており、前記化粧容器は、前記搬送手段によって前記複数の冷却室の第一室に順次搬送、搬出され、前記仕切板には、前記第二室に供給された冷風を第一室に通風させるための通風孔が前記所定距離ごとに複数設けられており、前記制御部は、化粧容器の搬送の停止と進行とを交互に繰り返すと共に、第一室内の化粧容器の停止位置を前記通風孔の上方位置となるよう前記搬送手段を制御する一方、前記複数の冷却室の第二室に供給される冷風の温度を冷却室ごとに異ならしめることで冷却の温度勾配を形成する構成にしたことを特徴とする棒状化粧料製造装置である。
請求項2の発明は、前記冷風供給具は、ボルテックスチューブと、該ボルテックスチューブに圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段とからなり、該圧縮空気供給手段とボルテックスチューブとの連結部には、供給される圧縮空気の圧力を調整可能な圧力調整器が設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料製造装置である。
請求項3の発明は、前記搬送手段は、化粧容器を支持する支持部を備えており、該支持部は、支持される化粧容器の外周部に当接する凸部と、化粧容器の外周部に当接せず第一室に供給された冷風を外部に排出可能な凹部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の棒状化粧料製造装置である。
請求項4の発明は、前記複数の冷却室は、各冷却室の第二室の側面が側面部材によって密閉される一方、第一室は、各冷却室間の化粧容器の搬送が可能なように側面が開放されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の棒状化粧料製造装置である。
請求項5の発明は、複数の棒状化粧料の化粧容器を等間隔で支持して搬送する搬送工程と、該搬送される化粧容器に加熱により軟化もしくは液化した化粧料を充填する充填工程と、化粧容器に充填された化粧料を冷却室において冷却して固化する冷却工程と、を有する棒状化粧料の製造方法であって、前記搬送工程では、搬送を所定時間だけ停止する停止状態と、所定距離進行する進行状態とを交互に繰り返し、前記冷却工程では、冷却室を搬送方向に沿って連続して複数設け、各冷却室にそれぞれ設けられた冷風供給具により温度調整された冷風を供給して化粧料を冷却するにあたり、冷却室の化粧容器が通過する第一室に対して仕切板で下側に仕切られた第二室内に供給される前記冷風供給具からの冷風を、仕切板に設けた通風孔を介して第一室内に通風させる一方、第一室内を通過する化粧容器を該通風孔の上方位置で停止させることで、化粧料の冷却をするようにするとともに、前記複数の冷却室に供給される冷風の温度を冷却室ごとに異ならしめることで冷却の温度勾配を形成するようにしたことを特徴とする棒状化粧料の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、5の発明とすることで、第二室に供給された冷風が通風孔を通って化粧容器に直接当たることとなるため、化粧容器に充填された化粧料を均一に冷却・固化することができ、品質のよい棒状化粧料を製造することができる。
請求項2の発明とすることで、冷風を供給しても結露・結氷がなく、冷却温度を所望の温度とすることができて品質のよい棒状化粧料を製造することができると共に、装置も小型化できるため、コストパフォーマンスにも優れたものとすることができる。
請求項3の発明とすることで、通風孔を通じて化粧容器に当たる冷風が、支持部に設けられた凹部から排出されることとなるため、冷風の流路が化粧容器に沿って形成されることとなり、均一で効率的な冷却をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】棒状化粧料製造装置の概略的な平面図である。
図2】棒状化粧料製造装置のA−A断面図である。
図3】冷却手段の斜視図である。
図4】冷却手段の正面断面図である。
図5】冷却手段の(A)右側面断面図、(B)要部拡大断面図である。
図6】パレットの(A)平面図、(B)正面図、(C)底面図、(D)平面側斜視図、(E)底面側斜視図である。
図7】シャッターを備えた搬入口部の、シャッターの閉状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図面において、1は棒状化粧料製造装置であって、該棒状化粧料製造装置1は、化粧容器2を搬送する搬送手段3と、加熱により軟化もしくは液化した化粧料2aを化粧容器2に充填する充填手段4と、充填された化粧料2aを冷却する冷却手段5と、を備えている。
【0010】
化粧容器2は、筒状の本体部2bと、該本体部2bの下部に着脱可能に取り付けられて棒状化粧料の繰出し部における先端部分の形状を成形する型部2cとからなり、本体部2bの上部には化粧料2aを注入可能な注入口2dが設けられている。本体部2bは、棒状化粧料の繰出し機構として、繰出体2eを備えている。該繰出体2eは、本体部2b内を上下方向に移動可能な筒状体であり、後述するように、棒状化粧料の製造時には先端部が突出した状態で型部2cと係合するようになっており、化粧料2aを化粧容器2に充填して冷却・固化した後に、化粧料2aと一体となって上下移動することで化粧料2aを繰出し可能とするものである。また、型部2cは、樹脂、シリコン、金属等の種々の材質のものとすることができる。
【0011】
型部2cの上部には先端部2fより大径で段差状の係合部2gが形成されている。このようにすることにより、係合部2gが後述のパレット7の支持片7dと係合し、パレット7に化粧容器2を支持可能となる。また、係合部2gの内周は、繰出体2eの突出した先端部に外嵌するとともに、係合部2gの内周側に突出した凸部2hが、繰出体2eの先端部に設けられた凹部2iに嵌合するようになっている。これによって、型部2cは、繰出体2eの先端部に着脱可能に外嵌され、また、化粧料2aが冷却・固化された後であっても本体部2bから着脱可能なものとなっている。
【0012】
搬送手段3は、環状のコンベア3aであって、制御部6により、所定時間Tが経過するたびに所定距離Dを進行方向に向けて進行する進行状態と、進行後に再び所定時間Tが経過するまでは停止する停止状態とを繰り返す所謂間欠搬送をするように制御されている。なお、所定時間T及び所定距離Dは、制御部6への入力を調節することにより、任意に設定可能である。
【0013】
コンベア3aには化粧容器2を支持する複数のパレット7が隣接して取り付けられている。該パレット7は、厚みのある板状の樹脂材であって、コンベア3aに着脱可能に取り付けられて進行し、これによってパレット7に支持された化粧容器2が搬送されることとなる。1つのパレット7には、1つの化粧容器2が支持され、パレット7が冷却手段5に位置する場合には、後述の冷却室8の第一室9の上部を橋架して、隣接して密着する複数のパレット7が第一室9の上部を覆蓋するように構成されている。このようにすることで、後述するように第一室9内に供給される冷風が、第一室9の上部から漏出することを防止することができる。このとき、隣接するパレット7に支持される化粧容器2は、冷却手段5に位置するときに所定距離Dを存して支持されるよう構成されている。
【0014】
パレット7には、化粧容器2を支持するための支持部7bが、パレット本体7aに着脱可能に設けられている。該支持部7bには、化粧容器2の先端部が挿通可能な挿通孔7cが設けられており、該挿通孔7cの下部には、化粧容器を支持する支持片7dが設けられている。該支持片7dは、化粧容器2の係合部2gの段差部に係合することで、支持部7bに化粧容器2を支持可能とするものである。
【0015】
さらに、支持片7dは、化粧容器2の係合部2gに当接する凸部7eと、当接しない凹部7fとが交互に連続して形成されている。これによって、後述の冷風供給具12から供給される冷風が凹部7fを通じて外部へ吹き出すこととなり、冷風が後述の通風孔11aからその上部に位置する凹部7fへと流れることとなるため、そのあいだに配される化粧容器2が効率的に冷却されることとなる。
【0016】
充填手段4は、コンベア3aが停止状態のときに、加熱により軟化もしくは液化した化粧料2aを充填口4aから所定量充填するよう制御部6に制御されて構成されている。このようにして化粧容器2に充填された化粧料2aを後述する冷却手段5で冷却することにより、化粧料2aが冷却・固化されることとなる。
【0017】
冷却手段5は、複数の冷却室8が連続して設けられたものであり、各冷却室8には冷風を供給する冷風供給具12が備えられており、冷却室8の一方の側面側(搬入口9a)から化粧容器2が搬入され、他方の側面側(搬出口9d)から化粧容器2が搬出されるように構成されている。より具体的には、冷却室8は、対向する一対の正面板8aと、各正面板8aの下部に設けられた底面板8bと、該底面板8bに平行で冷却室8を上下に仕切る仕切板11と、を備えており、冷却室8の仕切板11で区分けされた上部を第一室9、下部を第二室10とする。そして、冷却室8はさらに、第二室10の側面を密閉するための側面部材10aを備えており、該側面部材10aは、底面板8bから仕切板11に至る高さで設けられ、外部側は垂直状である一方、内部側は底面板8bから仕切板11に向けて幅広に(上部ほど幅広に)傾斜するよう構成されている。一方、第一室9は、上面及び側面が開放されているが、上面は隣接する複数のパレット7によって架橋されて覆蓋されるよう構成されている。このように冷却室8を構成することにより、第一室9は側面が開放されることとなってパレット7に支持された化粧容器2が搬送されて進行可能である一方、第二10室の側面は側面部材10aによって密閉されることとなるため、冷風供給具12から供給される冷風の漏出を防止することができる。なお、正面板8a、底面板8b、仕切り板11、側面部材10a及びパレット7は、いずれも樹脂材からなり、これによって冷却時の結露・結氷が抑えられている。
【0018】
仕切板11には、奥行き方向(コンベア3aの進行方向に対して左右方向)の中央部に所定距離Dの間隔で複数の通風孔11aが設けられている。そして、底面板8bの中央部には、後述の冷風供給具12の冷風口12bを接続して冷却室8内に冷風を送風するための送風孔8cが設けられている。これによって、冷風供給具12から供給された冷風は、まず第二室10内に広がり、その後仕切板11に設けられた各通風孔11aを通じて第一室9に至ることとなる。通風孔11aは所定距離Dの間隔(すなわち、隣り合って配された化粧容器2と等間隔)で設けられており、後述するように、各冷却室8の長さ(コンベア3aの進行方向の長さ)は、所定距離Dを1単位として設定されている。そして、通風孔11aは、仕切板11の奥行き方向(コンベア3aの進行方向に対して左右方向)において、第一室9内を通過する化粧容器と同位置となるように設けられている。
【0019】
冷却室8の底面板8bにはさらに、温度計13のセンサ部13aを挿通させるための、温度計挿通孔8dが設けられている。該温度計挿通孔8dに温度計13のセンサ部13aを挿通させることにより、第二室内10内の温度を測定することができる。これにより、測定温度に基づいて、各冷却室内8が所望の温度となっているか、冷風供給具12から適切な温度の冷風が供給されているか、冷風が漏れていないか等の確認をすることができる。なお、温度計挿通孔8dは、供給された冷風が漏出しないように、センサ部13aを挿通させた状態で密閉する密閉部材13bによって密閉されている。
【0020】
冷風供給具12は、ボルテックスチューブ12aと、該ボルテックスチューブ12aに圧縮空気を供給する図示しない圧縮空気供給手段とからなる。ボルテックスチューブ12aは、供給された圧縮空気を冷風と熱風とに分離し、これをそれぞれ冷風口12b、熱風口12cから排出するものである。そして、該冷風口12bを冷却室8の底面板8bに設けられた送風孔8cに接続して固定することにより、冷風を冷却室8の第二室10に送ることができる。前述のとおり、第二室10に送り込まれた冷風は、仕切板11の通風孔11aを通じて第一室9に通風し、これにより、コンベア3aの進行に伴って第一室9内を通過する化粧容器2を冷却する。ボルテックスチューブ12aを用いることにより、冷却の熱ロスや結露等を防止できるため高品質な棒状化粧料を製造することができ、また、装置の小型化をすることができ、製造装置及び製造のコストを低廉にすることもできる。
【0021】
ボルテックスチューブ12aと圧縮空気供給手段との連結部には、圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気の圧力を調節可能な圧力調節器が設けられており、該圧力調節器によって圧縮空気の圧力を調節することで、ボルテックスチューブから供給される冷風の温度を調節可能となっている。なお、前述の通り、供給されている冷風の温度は、冷却室の第二室10の温度として、温度計13によって測定することができる。
【0022】
冷却手段5は、コンベア3aの進行方向手前側(正面図右側)から3つの第一〜第三冷却室801、802、803が連結されて形成されている。そして、各冷却室にはそれぞれ冷風供給具12が設けられている。したがって、冷風供給具12ごとに供給される冷風の温度を調節可能であるから、冷却室8ごとに異なった温度とすることが可能である。すなわち、複数の冷却室8を備えることによって温度勾配を形成することが可能となるため、化粧料2aが急冷されて陥没等してしまうことを防止することができる。なお、冷却室8の数は冷却する化粧料2aの成分や充填量等に応じて適宜変更可能であり、単一のものとしてもよいし、2以上としてもよく、冷却室8の数を増やすほど、複雑な温度勾配の形成が可能となる。
【0023】
また、各冷却室8の横幅は、所定距離Dを1単位として、それぞれ設定されている。このように冷却室8の横幅を設定、変更することにより、各冷却室8で化粧容器2が冷却される時間を設定することができる。また、冷却室8の横幅を、所定距離Dを1単位として設定することにより、冷却室8の数や横幅を変更する場合であっても、変更後の冷却室8を隣接して配置すればよいため、容易に変更することが可能となる。
【0024】
なお、図7に示すように、第一冷却室801の第一室9におけるコンベア3aの進行方向反対側の側面は開口した搬入口9aであって、該搬入口9aを閉塞する閉側部材であるシャッター9bを、第一冷却室801の搬入口9a側の側面部に設けてもよい。該シャッター9bは、制御部6の制御によって開閉のために上下移動するよう構成されている。この場合に、コンベア3aが停止状態のときには上方の閉位置にシャッター9bを移動させて搬入口9aを閉塞し、コンベア3aが進行状態のときには下方の開位置に移動させて搬入口9aを開放するよう制御されている。このようにすることで、コンベア3aが進行状態のときには化粧容器2が搬入口9aを通過可能として、化粧容器2の冷却室8内への進入を妨げず、コンベア3aが停止状態のときには、搬入口9aが閉塞されて冷風の漏出を防止できるため、搬入口9aに近い位置の化粧容器2に対しても、適切な温度でむらなく冷却が可能となり、品質のよい棒状化粧料を製造することができる。なお、シャッター9bは第三冷却室803の搬出口9d側にも同様に設けてもよく、この場合には、より密閉した状態での冷却が可能となる。
【0025】
次に、上記のように構成された棒状化粧料製造装置1を用いた棒状化粧料の製造方法について説明する。まず、搬送工程として、搬送手段3であるコンベア3aに取り付けられたパレット7の支持部7bに化粧容器2を支持させて配置し、制御手段6の制御によってコンベア3aを所定距離Dだけ進行させる進行状態と、所定時間Tだけ進行を停止させる停止状態とを繰り返して間欠進行させることで、配置された化粧容器2を間欠搬送する搬送工程を行う。該搬送工程は棒状化粧料の製造中に継続して行われ、加熱により軟化もしくは液化した化粧料2aを充填手段4によって化粧容器2に充填する充填工程、化粧容器2を冷却して充填された化粧料2aを冷却・固化する冷却工程を順次経て、棒状化粧料が製造される。
【0026】
充填工程では、制御部6により制御された充填手段4により、コンベア3aが停止状態のときに、化粧容器2上部の注入口2dから、加熱により軟化もしくは液化した化粧料2aを所定量充填する。その後、コンベア3aによって化粧容器2はさらに搬送され、冷却手段5の搬入口9aから冷却室8の第一室9内に進入して冷却工程が行われる。
【0027】
冷却工程では、コンベア3aが前記停止状態のときに、各冷却室8の第一室9と第二室10とを仕切る仕切板11に所定距離Dごとに設けられた通風孔11aの上方に化粧容器2を配置するよう制御し、各冷却室8に備えられた冷風供給具12であるボルテックスチューブ12aによって第二室10内に冷風を供給することで、仕切板11に設けられた通風孔11aを通じて、化粧容器2の略真下から冷風を吹き付けて冷却する。このようにすることで、効率的に同一冷却室8内で略均一の温度による冷却が可能となり、均質な棒状化粧料を製造することができると共に、熱ロスや結露等が抑えられ、高品質な棒状化粧料を製造することが可能となる。そして、パレット7の支持部7bには凹部7fが設けられているため、冷風が通風孔11aから凹部7fへと略真上に流れることとなり、さらに効率的に化粧容器2を冷却することができる。
【0028】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、棒状化粧料製造装置1は、複数の棒状化粧料の化粧容器2をパレット7によって所定距離Dを存して支持する状態で搬送する搬送手段3であるコンベア3aと、加熱により軟化もしくは液化した化粧料2aを化粧容器2に充填する充填手段4と、化粧容器2に充填された化粧料2aを冷却して固化する冷却手段5と、コンベア3aの搬送制御をする制御部6と、を備えた棒状化粧料製造装置1であって、冷却手段5は、仕切板11によって第一室9と第二室10とに上下に仕切られた冷却室8(第一、第二、第三冷却室801、802、803)と、冷風を第二室10に供給する冷風供給具12であるボルテックスチューブ12a及び圧縮空気供給手段とを備えており、前記化粧容器2は、コンベア3aによって第一室9に順次搬送、搬出され、仕切板11には、第二室10に供給された冷風を第一室9に通風させる通風孔11aがコンベア3aの進行方向に沿って所定距離D間隔で複数設けられており、制御部6は、コンベア3aが所定距離Dだけ進行する進行状態と、所定時間Tだけ停止する停止状態とを交互に繰り返すとともに、第一室9内の化粧容器2の停止位置を通風孔11aの上方の位置となるようコンベア3aを制御している。このため、第二室10に供給された冷風が通風孔11aを通って化粧容器2に直接当たることとなるため、化粧容器に充填された化粧料を均一に冷却・固化することができる。また、冷風供給具12としてボルテックスチューブ12を使用しているため、冷風を供給しても結露・結氷がなく、冷却温度を所望の温度とすることができて品質のよい棒状化粧料を製造することができると共に、装置も小型化できるため、コストパフォーマンスにも優れたものである。
【0029】
また、棒状化粧料製造装置1は、化粧容器2を支持するパレット7の支持部7bを備えており、支持部7bは、支持される化粧容器2の外周部に当接する凸部7eと、化粧容器2の外周部に当接せず第一室9に供給された冷風を外部に排出可能な凹部7fとを備えている。これによって、化粧容器2の下方の通風孔11aを通じて化粧容器2に当たる冷風が、化粧容器2を支持する支持部7bに設けられた凹部7eから排出されることとなるため、冷風の流路が化粧容器2に沿って下から上へと形成されることとなり、均一で効率的な冷却をすることができる。
【0030】
さらに、第一冷却室801の第一室9は、搬送される化粧容器2を第一室内9に搬入する搬入口9aを備えており、コンベア3aが停止状態の時には、搬入口を閉塞する一方、コンベア3aが進行状態の時には搬出口を開放して化粧容器2を通過可能とするシャッター9bが設けられている。このため、進行状態では搬入口9aが開放されるため、化粧容器2の第一室9内への搬入が妨げられることがない一方、停止状態では搬入口9aがシャッター9bによって閉塞されるため、供給される冷風が閉塞された搬入口9aから漏れ出さず、均一で効率的な冷却をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、口紅、ファンデーション、リップクリーム等の棒状化粧料の製造に係る分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 棒状化粧料製造装置
2 化粧容器
2a 化粧料
3 搬送手段
3a コンベア
4 充填手段
5 冷却手段
6 制御部
7 パレット
7b 支持部
7e 凸部
7f 凹部
8 冷却室
9 第一室
9a 搬入口
9b シャッター
9d 搬出口
10 第二室
11 仕切板
11a 通風孔
12 冷風供給具
12a ボルテックスチューブ
図1
図2
図3
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図7